「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - Tさん-a-21

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 穴が開いたシャッター。その穴から俺の身を隠すようにして立っているTさんの背中に声をかけた。
「Tさん、俺もハーメルンが見たい」
「契約者が見たいのは猫の耳が生えている男の姿だろう」
 ばれてたか……。
「だめか?」
「だめだ」
 即答、にべもない。
「ちぇー」
 不満顔をしていると呆れたようにTさんがこちらを向いた。諭すように言う。
「契約者、あの黒服さんが九割殺しとか言い出す相手なんだ。一応警戒はしろ」
「!!」
 言われた言葉に頭が冴えわたる程の衝撃を感じた。
「お……おう」
 そういえばそうだ。あの黒服さんが九割殺しって……実は怖い奴なのかもしれない、ハーメルン……。
 Tさんは微妙に戦慄している俺を見ると満足そうに頷いて、≪必ず当たる占い師≫の兄ちゃんに声をかけた。
「占い師さん、少し互いの状況を整理しようか」
 ≪必ず当たる占い師≫の兄ちゃんも心得たように「ああ、わかった」と頷き、情報交換を始めた。
 道中会った人間、戦う気が失せた人やなんかまだ元気に暴れている人間のことを話していく。
「――≪マリ・ヴェリテのベート≫と戦ったのか?」
「ああ、追い払ったが。どうかしたのか?」
「いや、……そうか、ジャッカロープの乳があったか」
「? なんだそれは? ――」
 そんな感じに互いの情報を交換していく二人。
 そのまま簡潔に筋だけを話し合い、簡単な結論を出した。
 どうも目下の問題はシャッターの向こうのハーメルン、屋上のマッドガッサー、この階に居るという筋肉男に、
「……マッドガッサーの女体薬を欲する蜘蛛使い、か」
 どうもその蜘蛛使いは待たせているらしい。
「とりひき、するの?」
「ぶっちゃけそんな時間ないんじゃねえか?」
 その蜘蛛使い、多重人格らしくどうも薬があった方が人格が入れ替わった時に便利らしいんだけど。
「……その少女が言っていたと言う取引、ですが。マッドガッサー達が応じるとは思えませんね」
「むしろ、相手を刺激しかねないな」
 Tさんは少し考えるようにし、
「≪13階段≫と≪爆発する携帯電話≫の二人が階下に残ってしまったのは正直痛手だ。マッドガッサーに対して最も有力な交渉人だったんだがな……現状話合いでどうにかなる確率は高いとは言えない、これ以上下手に相手を刺激したくはないな」
 黒服さんもTさんもその多重人格の蜘蛛使いの持ちかけた提案にはあまり乗り気ではないみたいだ。
「でもその蜘蛛使いって女体化する薬が手にはいりゃいいんだろ? ならマッドガッサーたちを止めた上で女体化薬でももらうって言っときゃいいんじゃねえか? ――努力目標で」
「……そうなるか」
 それが表面上一番角が立たんかもしれんな。まあ薬については気が向いたらどうにかしよう。
 しれっとそう呟くTさん。コイツもなかなかひどいな。知ってたけど。
 そんなことを話し合っていると声が聞こえた。
「行くぞ、花子さん。せめて、赤いはんてんたちの手助けをしに行こう」
「み! はんてんちゃんたちをたすけるの!」
 一階で会った小さい嬢ちゃんと契約者の兄ちゃんだ。
「≪赤いはんてん≫も来ていたのか?」
 Tさんが二人の言葉の中に出てきた知り合いの名前に反応した。
「ってことは≪赤マント≫のおっさんもいるのかな」
 俺も会うときはいつも二人ワンセットだったのを思い出す。
「てだすけ、ふたりともこまってるの?」
 リカちゃんが心配そうに言う。
「Tさん」
「お兄ちゃん」
 リカちゃんと二人、Tさんを見る。Tさんは、
「……む」
 唸り、
「時間が無いんだが、まあ仕方ないか」
 そう言って小さい嬢ちゃんたちの後を追おうとして。
「ああ、たぶんそれなら大丈夫だ」
「え?」
 ≪必ず当たる占い師≫の兄ちゃんの言葉に足が止まった。
「相手の弱点は水。今向かって行ったのが≪花子さん≫とその契約者だから大丈夫だろう」
「≪花子さん≫かー」
 おお、あれが。やっぱり……≪必ず当たる占い師≫の兄ちゃんの話に花子さんの名前が出てきた時からなんからしい感じがすると思ってたぜ。
「ふむ……」
 Tさんは≪必ず当たる占い師≫の兄ちゃんの言葉を吟味しているみたいだ。
「少々非情なようですが……とにかく、屋上に急ぐべきでしょう、彼らを、止めませんと」
 ≪花子さん≫たちを見送っていると黒服さんが言った。
「そうだな、赤いはんてん達の加勢に行きたいが、時間が迫っている」
 Tさんの言葉に携帯を開く。確かに、ガスの精製完了までもう10分くらいしかない。
「赤いはんてんの方は、≪花子さん≫と契約者の兄ちゃんを信じるっきゃないな」
「ん、任せるとしよう」
 俺の発言をTさんも肯定した。≪花子さん≫たちを信用しているというより≪必ず当たる占い師≫の兄ちゃんの眼力を信じてるっぽいな。
「わたしたちはどうするの?」
 リカちゃんの質問、Tさんはそうだなー。と前置きし、
「屋上を目指そう、時間が無いこともある。それに――」
「ん? それに、何?」
「いや、なんでもない」
 Tさんは苦笑すると、歩き出した。
 ――今回の騒動に感じるこの違和感、一体なんだ?
 小さい呟きを残して……。



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