<正弦波>
- 正弦波(sine wave,sinusoidal wave)とは
正弦関数として観測可能な周期的変化を示す波動のこと。
その波形は正弦曲線(sine curve)もしくはシヌソイド(Sinusoid)と呼ばれる。
固定された観測位置における正弦波は次のような関数として記述することができる。
(基本形):
tは時刻 、Aは振幅(波の中心からの最大偏差)、ωは
角周波数、−φは初期位相(t=0における位相)である。
−φは位相シフトとも関係がある。
例えば、初期位相−φが負の値であれば、波形全体が未来の時間へシフトされる、すなわち波の到達が遅れる。
シフトされる時間は、φ/ωである。
(一般形)
基本形に、波動の発生源からの距離xや波数k、直流成分(振幅の中心となる値)Dなどを含めて、
という関数の形で波形を記述できるものを正弦波と総称する。
波数は角周波数と以下のような関係にある。
ここで、λは波長、fは周波数、cは
位相速度である。
この方程式は1次元の正弦波となるため、上記の一般化された方程式では、時刻tにおける位置xでの波の振幅が導かれる。
これは例えば、ワイヤーに沿った波の値と考えることが出来る。
コサイン波形(余弦波)もシヌソイドと言われる。これは、正弦波が後方にシフトされたもので波形が同一だからである。
なお、正弦関数は波動方程式・ヘルムホルツ方程式を満たす最も基本的な関数である。
1822年、フランス人数学者のジョゼフ・フーリエは、周期的な波動をさまざまな(基本周波数の整数倍の)周波数の正弦波の重ね合わせとして表す方法を発見した。
この方法はフーリエ級数またはフーリエ級数展開と呼ばれ、信号処理におけるもっとも基礎的な手法の一つである。
また、単一のパルス波や人の声による不規則な音波といった周期的でない波形も、連続的に変化する異なった周波数の波を重ね合わせて表すことができる。
このような一般的で複雑な波を様々な周波数の正弦波に分解して解析する手法はフーリエ変換と呼ばれている。
人の耳は単一の正弦波を認識することが出来る。
なぜなら、そのような波形を持つ音は人には純粋な音高の音としてはっきりと聞こえるからである。
純粋な正弦波に近い音には、口笛や、ぬれた指先でクリスタルグラスの縁をなぞって振動させる際に発生する音、そして音叉の音がある。
このように正弦波として聞こえる音は純音と呼ばれる。
音波が2つ以上の正弦波によって構成される場合、その中で最も周波数が低い正弦波を基準として、その他の正弦波の周波数が基準となる正弦波の周波数の整数倍で構成されるときは、その音波の波形は周期的な交流波形となる。
この音は、人の耳には楽音または単音として認識される。
それ以外の2つ以上の正弦波によって構成される音は
ノイズか和音、ないしは
うなりとして聞こえる。
最終更新:2009年08月11日 07:43