メルグ国の
料理人ギルドで作成されている、主に魔物の食味・調理法に関するレポート記録。
語るべくもないが、メルグは美食を追求する料理人の国である。
普段は捨ててしまっているが、実はその中に美味しい物があるのかも。
危険な魔物でも、調理して見たら美味しく食べられる食材になりえるかも。
未知なる味や素材を追い求める料理人達の願いは、美食の開拓を掲げる同国の冒険者ギルドへと依頼という形で持ち込まれる。
そして冒険者により討伐・収集されたモノの一部が料理人達の手に渡るのだ。
手に入った様々な『食材』を使った調理風景がこのレポートに詰まっている。
【名前順】
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【アシュラザリガニ】 |
【 アシュラザリガニ】
東大陸の河川に生息する巨大なザリガニである。
特に アッシュラに生息するものは他地域の個体と比べ、ふた周りは大きい。
そのままでは致命的な泥臭さを持つが、清浄な水の中で数日間泥抜きすれば問題なく食材となる。
調理次第ではかなりのポテンシャルを持つ食材と言えそうだ。
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【アルク茸】 |
【 アルク茸】
幼菌は食用として認知されている事は今さらである。
汁物や煮物にすればその芳醇な出汁は料理の完成度をワンランク上の物にしてくれるし、焼き物や揚げ物では歯触りや香りの良さで我々を魅了してくれる。
しかも生食が可能で、マリネやピクルスにすると生の茸にこれほど味がある物かと唸らせること間違いなし。
私は新鮮な物が手に入ったら薄切りにして カミーリアオイルと岩塩で食べるのが気に入っている。
と、アルク茸讃歌は止まる事を知らないが、今回のモノは足が生えて成熟した物である。
正直私も成菌を触るのは初めてだが…うん、確かにこれは食用にはならないかな。
というのも自立して歩く関係上、コルクの様に全体が硬くなってしまっている。
恐らくではあるがこれは煮込んだところで柔らかくはならなそうだし、ここまで大きくなると茸臭も気になる所だ。
即ち想定通り、調理開始。
だが流石にこのアルク茸の成菌をそのまま食べるのは困難なので活用法を見出だす格好だ。
事実直接食用には出来ないまでも、出汁や茶のように煮出して喫する茸は存在する。
このアルク茸も当初はそれに習って干してから煮込もうかと思ったが、せっかくなのでこのサイズを生かしたい。
そこで取り出したるは 鶏の胸肉。
トリミングしフォークで滅多刺しにし肉叩きで滅多打ちにする、勢い余って挽き肉にしないように。
塩で軽く下味を付けて肉の下処理は完了。
茸を縦に両断し、そこに肉を挟んでオーブンで火を入れていこう。
これは話に聞いた杉板焼きなる調理法があってその応用。
本来は杉の板材を水に沈めておく必要があるが、今回はアルク茸に元からある水分で十分である。
待つこと暫し、キッチンに茸臭が充満して茸スキーとしては堪らない時間を過ごしたら完成。
茸の香りと旨味が鶏肉に移っており、尚且つしっとり仕上がっている。
今回は塩のみで仕上げたが、他の調味料や香辛料で試しても良いだろう。
それにこれなら野外でも作れるのがありがたい。
アルク茸をくり貫き、具材を詰めたら火に掛けてクルクル回していればそれでいいのだ。
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【アームポット】 |
【 アームポット】
壺に擬態した魔物であり、獲物を見つけると目のついた手を伸ばし催眠術で無力化させて捕食する。
人間をも捕食する危険な魔物だが、今回たまたま手に入れる機会があったので食する事とした。
壺の中身の肉はカニやエビ、そして鶏卵を足して3で割ったような濃厚な味わい。
これはシンプルに壺ごと塩ゆでにした。もしかしたら焼きでも行けるかも。
身を食べ終わっても壺の中には茹で汁というお宝のおまけ付きである。
だが難点はとにかく歩留まりが悪い事だろう。重さの半分は壺なのだ。
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【ウイングシースラッグ】 |
【 ウイングシースラッグ】
体表の粘液に微弱な毒成分を持ち、周辺海域から魚が逃げてしまう事から漁師を困らせているとの事。
今回は『魚が無いならコイツを食えば良いじゃない?』という発想でやっていこうと思う。
内臓を取り出して一度茹でこぼし、改めて塩茹でにしよう。
1度目の茹でこぼし工程で縮んだ身は塩茹での汁ごと冷ましておくと更に引き締まって扱いやすくなるだろう。
後は表面に残ったぬめりや汚れを取り除いて下処理は完了。
今回はこれを輪切りにして リリーオニオン、水で戻した乾燥 タイジュミルと共に辛子酢 豆醤で和えて『ぬた』にする。
ゴリゴリと強い食感に辛子酢豆醤が絡んで、酒飲みにはたまらない珍味。
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【ウミガエル】 |
【 ウミガエル】
大慶や フラソヌールにおいてカエルは一般的な食材であり、同様にこのウミガエルも水産物として扱われている。
酒や塩等をまぶしておくと水分が出て肉も柔らかくなるのでやっておくべし。
一口大にした肉に澱粉をまぶし、大量の湯で火が完全に通るまで茹でたら氷水で冷まし水気を切っておく。
煎酒、 豆醤油、水、 マウメノキの梅干し、刻んだ オオオオバの花穂を合わせた調味液と和えたら『水晶海蛙』の完成だ。
ツルンとした舌触りと酸味のタレとの取り合わせがたまらない。良く冷やしてどうぞ。
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【オーガ】 |
【 オーガ】
味に関しては ゴブリンに比べればマシである。
だが筋張っていて硬い為、丁寧に筋を切ってから調理する必要があるだろう。
しかし ゴブリンジャーキー同様、コレを食べ物と認識する方がおかしいのでは?
単純に筆者はそう思った。
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【オレンジシザース】 |
【 オレンジシザース】
尻尾のハサミ部分には身がたっぷり詰まっている。
勿論それを振り回す胴体の部分も十分に食べがいあるだろう。
余分な頭や脚を取り外し、シンプルに塩茹でにして水で締める。
ハサミ部分の食感はカニに似た弾力と風味であるが、やはり虫なので独特の臭みは残るので注意。
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【ガガンボ】 |
【 ガガンボ】
猿の方である。
全体的に硬く筋ばっており、そもそも肉量が少ない。
果実食なので臭いも少ない為、ポテンシャルは大いに感じる。
だが正直猿とは言え人型なので食欲は湧かない。
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【カクタスメン】 |
人型をしたサボテンの魔物だが、中身は一般的なサボテンと変わらない。
遠目に見れば人に似たシルエットのサボテンもあるしその類と思って良いのかも知れない。
…ではどうやって歩いているんだ??
そんな謎もトゲや表皮と共に取り去れば扱い易くなる。
維管束の筋が気になる様ならそこもトリミング、試しにそのまま味見してみるとサクサクとした歯触りは小気味良い物の、若干の青臭さと酸味が気になるが、多肉植物は概してこんな味がする。
食感が残る程度に薄くスライスして生ハムと円を描く様に重ねて皿に並べ、ハチミツを垂らして砕いたナッツを振り掛けるとそれだけでちょいとした前菜になるだろう。
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【カコウジャク】 |
火山の火口付近に巣を作る鳥だ。
噴火の予兆を感じ取ると一斉に巣を捨てて飛び立つので楽に卵を採取する事が出来る。
親鳥も然るべき調理を施せば旨いのだが、この鳥は卵こそが身上。
尤も、噴火寸前の火山から生還する事が出来たらの話であるが。
鍋に湯を沸かして酢を加え、そこに卵を割り入れて傷付けない様に菜箸等で全体をかき回してポーチドエッグを作る。
マフィンと上にこのポーチドエッグとコガシラクジラの生ハムを乗せ、卵黄にレモン汁、ハーブを浮かべて煮切った白ワイン、塩、砂糖、バターを加えて良く混ぜたオランデーズソースを掛けて乾燥パセリを飾り『カコウジャクのエッグベネディクト』の完成だ。
お好みで粗挽きの黒胡椒を振ればご機嫌な朝食の一品となるだろう。
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【カリブディス】 |
【 カリブディス】
個体にもよるが、岩山のような体躯に育つホヤである。
浮力で体を維持しているらしいが、流石にこれは規格外だろう。
評価であるが、どんな言い回しも無用の極上品であった。
手に入れる事が出来たのはコレのほんの一部分だけだが、そんな欠片部分でも南国の果物を思わせるような味わいと心地よい潮の香りが口いっぱいに広がる。
味付けは塩、いや、海水で十分である。
それと特筆すべき魅力として、これらを口に入れてから水を飲むとただの水が神の飲み物に変わる。
いや、変える力があるというのではない。そのような感覚を覚えるのだ。
これ以上は私の文才で文字に起こすのは不可能である。
実際に体験してみろとしか書けない。
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【騎鳥】 |
【 騎鳥】
首と頭を落として丸鶏の中抜きの格好にする。
足先は残しても構わないが、焼け落ちるので保護しておくのが好ましい。
今回はレバー、心臓、砂肝も具材として使用する。
先ずは処理した騎鳥をソミュール液に漬けてマリネしよう。
後は各々の流儀で好みのハーブや香辛料を加え、冷暗所にて一晩程漬け込んでおく。
次にスタッフィング(詰め物)を用意する。
ゲルゾワイルドライスに少量の塩を加えて煮ている間、フライパンでバゲットを軽くトースト。
野菜はニンニクと マダララッキョウをみじん切りにし、 カミーリアオイルと トンギュウバターで炒める。
熱が通ってきたら刻んだ セリカブラと内臓類、好みのキノコを加えよう。
そしてゲルゾ米とハーブを入れて更に炒め、ハーブの香りが立ったらあらかじめ鳥ガラから取っておいたスープを注いで煮込み工程に。
最後にバゲットを加えて塩胡椒で味の調整、汁気が飛ぶまで加熱して詰め物の完成である。
次にマリネ液から肉を上げ、洗ってから丁寧に水分を拭こう。
そしてこれを底の深い鉄板に載せ、表面にバターを揉み込む様に塗り、腹の中に詰め物を入れてこれが出ないよう糸で縫い合わせておく。
予熱しておいたオーブンに入れ、焦げないよう数分毎に染み出た肉汁を掛けながらじっくり焼いていこう。
焼き上がり直前に適当な大きさに切った根菜類を騎鳥の周りに載せて火を強め、表面の皮をこんがりとさせるべし。
最後に火を落として15分程休ませて完成だ。 中のスタッフィングと共に好みのソースを添えて頂こう。
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【キバイソメ】 |
【 キバイソメ】
某所で発生していた物を偶然仕入れる事が出来た。
味は兎も角、身は貝紐の様な歯応えがあるので下味をつけて干物にした後に炙れば安い酒場で出せそうだ。
が、これを専門に狙ってくれる人は少ないだろう。
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【鬼馬】 |
肉の味がとても強く、刺激の強い他の素材に負けていないのは素晴らしいの一言。
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【キバドジョウ】 |
【 キバドジョウ】
一週間程生け簀で絶食させた後、堅果の類いを食べさせておいた。
そして串に刺し、塩を振って焼いただけで脂が染み出し揚げ焼き状態になる。
ヌメリが強く下処理に難儀するが、ホクホクとした身と皮目のゼラチンに挟まれた脂が非常に美味しかった。
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【キャトルオーガ】 |
【 キャトルオーガ】
牛が変異した魔物なので調理方法は通常のものと殆ど変わらない。
野性味に溢れた肉質は多少気になるものの、特段変わった事をする必要はないだろう。
よってロース部分を分厚いステーキにした。
味付けも ソルトペッパーだけで充分だ。
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【キラーダックス】 |
【 キラーダックス】
肉食性の強い魔物な為、若干の臭みが気になる…。
だがここはまとめて挽肉にし、花椒と五香粉と呼ばれる 大慶帝国のスパイスを加えオイスターソース、度数の高い酒、塩胡椒で下味を付ける。
そして一口大に丸めて澱粉をまぶし、これを油で揚げてから黒酢で作ったソースと刻んだ白ネギをかけて完成。
黒酢のソースと香辛料の香りが調和する事で癖のある肉でも美味しくいただく事ができた。
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【グソクガイ】 |
【 グソクガイ】
ヒザラガイの一種だが、流石に顎が痛くなる硬さなので柔らかく仕上げていこうと思う。
不躾ながら少し割愛し乾物にしていたモノを使った。
大慶帝国ではこういった乾物が交易品にもなっているが、距離のせいかメルグまで中々回ってこないのが不満である。
これをぬるま湯に漬けつつ戻すのに一週間、適宜掃除しながら行おう。
紅焼醤と 牧亀の出汁に ニンエル、 カブトヤシノメ、アルク茸の幼菌を適切な大きさに切って入れ、戻したグソクガイを入れて弱火で煮ていく。
味付けはオイスターソース、豆醤油、砂糖、 長城酒、胡椒。
そして皿に盛った後、澱粉でとろみを加えた出汁を掛けて『紅焼棘石鼈』完成となる。
大慶でも宴の席で供される高級料理。
ぷりぷりとしたゼラチンの塊と化した貝は強い旨味を伴い、紅焼醤とも格別の相性の良さを見せてくれた。
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【グラオザームイェーガー】 |
【 グラオザームイェーガー】
空を飛ぶ巨大な甲殻類である。
これの持つ触腕であるが、殻を剥き『大海老』と言われれば騙されるであろう見た目をしており味と食感も海老そのものであった。
かつてグリル帝国の皇帝が手の込んだ調理を施された 皇帝海老を出されて激怒したという話があったが、コレも同様にシンプルな調理方法もいいと思う。
…私個人としては以前聞いたチリソウスという調理法がオススメかな?あれはいいものだ。
続いて鰭部分の筋肉である。
飛行能力を支える為か、もの凄い弾力と濃厚な旨味を有していた。
さらにこの手の生き物にも関わらず、程よい脂のノリもある。
茹でた後に薄切りにしてサラダの具なんかにいかがだろうか。
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【コウテイスズメバチ】 |
【 コウテイスズメバチ】
言わずとも知れた超大型のスズメバチである。
馬鹿げた体格と強力な大顎及び毒、統率された『軍隊』でもある危険な魔物だ。
だが皇国の一部ではこれですら食糧とする事もあるらしい。
皇国に赴いた私がまず試したのは、細く切った幼虫の肉を甘辛いソースで煮詰めた『ツクダニ』と呼ばれる料理だ。
一口食べると、あの化け物蜂からは想像出来ない香ばしく甘い味が口いっぱいに広がった。
次に成虫の足部分の素揚げに手を出してみる。
蜂の足を単に油で揚げて塩を振っただけの簡単な料理だ。
一口齧ると口の中に広がる極上の海老のような味。それがカリッと揚がった香ばしい殻に包まれていた。
優れた食材はシンプルな調理法こそが最適である、という事を語らずして語るもの。
結論から言おう、コウテイスズメバチは屈指の魅力的な食材であった。
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【ゴーリアットハイ】 |
【 ゴーリアットハイ】
名前の一部に鮫が付いているが鮫ではない。
問題はその味である。
端的に言って非常に淡白な白身。
鮫の様な肉質ではなく、貝柱の様な繊維質が束になっていて噛み締めると容易に断ち切られて解れてゆく。
脂に欠けるので揚げ焼き系に使うのが妥当だろう。
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【コルスドン】 |
【 コルスドン】
切り分けられた肉の第一印象は完全に鶏のササミ肉であった。
単に焼くだけだと水分と共に肉汁が逃げてしまい、その割にスープを取ろうとしてもあまり良い出汁は出ないという問題児。
油脂分に欠ける 七面鳥に近いモノかも知れない。
さっぱりしている事には違いないので、茹で鶏のように好みのタレと薬味で食べるのが正解かと思われる。
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【コングキャンサー】 |
【 コングキャンサー】
森等に生息する巨大な陸生カニである。
殻部分の割合が多々であるが、身は繊維の一本一本が歯を押し返す程にしっかりとしていて旨味も強い。
また中腸線(蟹味噌)も味がよく絶品。
身と味噌を同時に味わうなら パスタがいいのだろう。
だが強靭な肉に隠された旨味を味わいたければやはり焼き蟹にするべきと思う。
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【シザーマウスイール】 |
【 シザーマウスイール】
表面のぬめりを酢で凝固させて包丁でこそぎ取ろう。
この一手間で劇的に扱いやすくなる。
赤黒い身は簡単に三枚に下ろせるが、意外と水っぽくて脂も少ない。
どうやら脂は肝臓部分に溜め込む魚のようだ。
皮を剥いたら、片方のサクは軽く拭った コソブルの干物に挟んで水分を抜くと共に薄く削ぎ切りに。
もう片方は極々薄く削ぎ切りにして氷水に。
付けダレは豆醤油に キューブカムクァットの果汁を加えたモノと、砂糖豆醤にモノモウ酢を加えたモノを用意した。
コソブルで挟んだ方は水分も抜けて歯応えもよく、旨味と塩気も乗っていて何も付けずに十分食べられる。
氷水に潜らせて身が弾けたようになった方は付けダレで食べよう。
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【シーサーペント】 |
【シーサーペント】
ギルドの冷蔵施設で保存されていたシーサーペント三種類の切り身。
それぞれ筒切りにされた中型個体の物である。
【 シーサーペント】
尻尾の部分であるが肉の量は中々に多い。
皮目を炙って焼き霜造りにすると鶏肉に近かった。
サラダに使えるだろう。
【 タイドランドサーペント】
埋没骨が気になるレベルで多い。
だが骨の入り方さえ理解すれば問題ない。腹側は皮下埋没骨も無くそのまま使えた。
薄造りにしてみたが歯応えが感じられ、旨味の強い上等な白身であった。
【 ノンフェイスシーサーペント】
ひたすらに強靭な筋肉の塊。
粗塩でヌメリを取った後、平造りにして細かく飾り包丁を入れてみる。
しっかりとした歯ごたえと旨味があり、何も付けなくとも結構食べられた。
バター焼きでもいけるだろう。
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【ジャイアントシーライオン】 |
【 ジャイアントシーライオン】
不味くはないが海獣臭、脂肪部分が特に臭う気がする。
根菜と共にワインで煮立ててシチューにするのが良いかも知れない。
脂肪部分は 大慶帝国風に サンダーペッパー他の香辛料で臭いを徹底的に消して数時間煮込む方が無難だろう。
臭いが気にならないのならベーコンという可能性も。
一応『アレの持つそっち方面』の効果は抜群であった。
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【スパイクスネーク】 |
【 スパイクスネーク】
トゲトゲしい皮は首回りに包丁を入れ引っ張ればつるりと剥ける。
びっしりと入った小骨が気になるので、丁寧に骨切りを行って衣も何も付けず素揚げにするのがいいだろう。
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【ツバサクジラ】 |
運良くメルグ領内に墜落してきた比較的小型の個体となる。
まさか本当に天から幸運が舞い降りる事があるとは思わなんだが、ならばこそその幸運に全霊を以て報いよう、調理開始。
取り急ぎスープから。
ツバサクジラから手羽と骨、骨はノコギリやハンマーで適当なサイズに砕いておく。
アブラ、というか広義のコロの部分と一度揚げた狭義のコロも一緒に炊いて途中で取り出す。
牧亀、内蔵を除いた甲羅を含むほぼ全て。
続いて焼いて生臭みを飛ばしたスパイクスネーク。
丸鶏の格好にした騎鳥。
野菜にエンジャー、デビルガーリック、ニンエル、ハイノビル、粒胡椒。
乾物はコソブル、リュウノテ、ミドリイガイ、フォレストオクトパス。
これらを特大の寸胴に投じ、水から強火でガンガンに炊いていこう。
下茹でやアク取りは一切せず信心あるのみである。
寸胴の周りに組んだ足場から船のオールもかくやのヘラで力いっぱいかき混ぜ続けて時折水を足しながらの一昼夜、スープの完成。
スープに並行してカエシとブタの用意だ。
たまり豆醤油、燻製岩塩、酒、味醂、ザラメ、鰹節、乾燥コソブル、蝗醤、ロゼルスワインの赤を一度煮立てた所に改めて煎った飛蝗の焼き干しを投じてタレを作る。
ザラメは一度小鍋で煮とかした所に水を加えてカラメルにしてから使うと深みが出る。
ブタは贅沢にも尾の身を使用。
万年桜の燻煙剤とザラメで熱燻し、狭義のコロと共に上記のタレに一晩漬けておく。
一晩経ったらブタを取り出して火入れを行い、こちらも濾してコソブルスノーを加えたらカエシの完成。
アブラは皮を除いて脂肪の部分だけになったコロを崩してこのカエシで味を付けておこう。
麺については冗長になるので割愛させて貰うが灰麦粉をブレンドした食べ応えと歯応え抜群の極太縮れ麺。
野菜はキャベツとモヤシを茹でた物。
白髪ネギは水に晒して辛味抜き、ニンニクは一度潰してから刻むべし。
鶏油の代わりにコロの部分を火に掛けて鯨油を取り出し、リリーオニオンやエンジャーで風味づけ。
トッピングとして刻んだタマネギ、カエシに漬けた味玉、狭義のコロ、メンマ、メーレスフリュヒテヴルスト、アルク茸の香味油、焼き海苔を用意した。
さぁ、仕上げと行こう。
温めたどんぶりにカエシ、鯨油、スープと注いで湯切りした麺を投入し、各種トッピングをマシマシに盛り付ければ『ツバサクジラの大慶蕎麦』完成。
全ての要素が凄まじくパワフルながらも調和した入魂の一杯に仕上がった。
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【ナッゲェアロワナ】 |
【 ナッゲェアロワナ】
硬質の鱗は武器クラスのモノを使う必要がある。
鱗の下には極上の白身が詰まっているのだが、身の量は意外なほど少ない。
何しろ体の約半分が電気を作る器官で埋まっているのだ。
この部位も結論から言えば食べられるが、強烈な塩気とはまた違う独特の刺激があり相当に好みが分かれると思われる。
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【パープルテイピア】 |
【 パープルテイピア】
目の前にはパープルテイピアの肉と処理を施した内臓がある。
肉は全体的に硬く筋張っており、肉も内臓も処理を施しているにも拘らずひたすら臭い。
これらの処理は全て私自身がやったから分かるが、これでは食用にしようとしないのも頷けようものだ。
と、ここで筆と包丁を置く筆者ではない。
オーブンでローストしたテイピアの骨。
ニンエルを始めとした現在この厨房に存在する臭み消し効果のある香辛料やハーブ。
ジュエルベリーを醸したワインを1本と ロゼルス・ワインの赤のフルボディを数本。
上記の全てを寸胴鍋に投入しブイヨンを作成していく。
ぶつ切りにした肉を焦げ目が付くまでしっかりと焼いた後にブイヨンで煮込み、ひたすらアクを取りながら弱火で5時間以上。
鍋の中から肉を取り出し、ブイヨンから余計なモノを濾し取ってからトマトペーストを加えて再び煮詰め1晩寝かせよう。
次に トンギュウバター1本を丸ごと溶かし、 灰麦粉をダマにならない様に少しずつ加えながらブラウンルーを作る。
最後にブイヨンとブラウンルー、取り出していた肉を小鍋に入れて温めつつ塩胡椒で味を決めたら完成。
『パープルテイピアのシチュー』
重厚なコクと旨味、野菜や果物の慈味、口の中で崩れる柔らかな肉。
これだけで満腹になりたいと思える逸品に仕上がった。
材料を全部経費で落としたので確実に怒られるが私は満足です。
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【バッドバッド】 |
【 バッドバット】
大きさの割に可食部は少ない。
羽・頭・足・内臓を落として皮を剥ぎ、香草を詰め込み釜を使って蒸し焼きに。
ほぼアッシュラ近辺の料理である。
残った骨を焼いて茹でればスープが取れるかと思ったが駄目だった。
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【ファングバス】 |
いたって普通だがそれがいい。柑橘果汁か酢をかけて食べよう。
フラソヌール共和国風に『パイ皮の包み焼き』にしても良いと思う。
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【フォレストオクトパス】 |
【 フォレストオクトパス】
頭足部は水中に生息する蛸同様に熱を通すと硬くなってしまうので注意したい。
カルパッチョ等が最適解なのだろうが、茹で上げたものを細かく切って カメーリエエールコッヘンの具材にすると噛み応えが心地良い。
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【ホネヒトデ】 |
【 ホネヒトデ】
ヒトデ類にしては珍しく、生殖巣が可食部分となる。
取り出した生殖巣を濃い目の塩水でよく洗い、水気を拭って紙や布の上に並べ氷室で保管しておくと余計なエグみが抜ける。
これをこのまま食べても美味しいのだが、今回はパスタにする算段だ。
使用するパスタは濃厚なソースにピッタリなフィスリティーニ。
ガーリックカミーリアオイルで刻んだハイノビルを透明になるまで炒めよう。
そして弱火にしてから生殖巣と白ワインを投じて酒精を飛ばし、その後に生クリームを注いで中火で軽く煮詰めていく。
仕上げに一片のトンギュウバターと茹で上がったフィスリティーニを加えて絡め、皿に盛り付けよう。
パスタの上に摩り下ろしたボルドリアンパルティンチーズを振りかけ、ブルーサーモンの卵の塩漬けを飾れば『ホネヒトデクリームパスタ』の完成。
粗挽きの胡椒をお好みで振ってどうぞ。
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【マウンテンホエール】 |
【 マウンテンホエール】
薫桜国ではイノシシを山鯨と呼ぶ事もあるそうだが、コイツは本当に山に棲むクジラである。
鯨肉で珍重される尾の身は少ないが四肢から肉が採れるので良しとしよう。
冷やした器の中で生の挽き肉に塩胡椒・刻んだニンニク・玉ねぎ・マダララッキョウ・ハーブ類を混ぜ込み、そのまま硬めの丸パンに挟んだ『マウンテンホエールのメット』
グリル帝国でこれを提供する店を出したら流行らないだろうか?
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【マーダードードー】 |
【 マーダードードー】
肉の味は鳩に近く旨みも濃い。
だが肉質は非常に硬く、柔らかくしようと煮込んだら更に硬くなってしまった。
ドードーの卵と混ぜ合わせて肉団子にしたりすると美味しく頂けるだろう。
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【牧亀】 |
【 牧亀】
ゼラチンを多く含む肉は旨味に富み、下処理した甲羅や骨を長時間煮れば白濁した良いスープが取れる。
このスープは塩で味を調えるだけで充分、鍋に亀の肉と内臓を入れて楽しもう。
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【マッドボクサー】 |
【 マッドボクサー】
沼地に潜む大型のシャコだ。
肝要なのは必ず活のまま調理する事にある。
シャコの仲間は足が早く、死ぬとすぐに身が崩れて溶けてしまうのだ。
ということで大鍋で生きたまま『塩茹で』にする。
まずは泥抜きするのだが、生半可な容器では破壊されてしまうので注意したい。
尤も脚部分は食う所も無いので先に除去してしまうのが吉であろう。
エビミソならぬシャコミソは癖がある物の味は悪くなく、身も強靭な筋肉の塊で歯ごたえ抜群。
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【ミドリイガイ】 |
【 ミドリイガイ】
食味の良さは既に広く認知されており大変結構な事である。
事実、駆除作業の駄賃とばかりに冒険者諸君にも食べられている様だ。
オススメはバターと白ワインで蒸したイガイに揚げた ドゥンケトッフェルを添えたムールフリットと呼ばれる料理である。
そして蒸した後の残り汁にはパスタを絡めよう。
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【ライジンオコゼ】 |
【 ライジンオコゼ】
『ライジンオコゼのブイヤベース』
死亡事故を引き起こす事もある危険な魚だが、同時に美味い魚でもある。
何はともあれ毒棘を持つ鰭を根元からハサミで切り落とし、身を三枚に。
斜めに立て掛けたバットに塩をまぶした身を乗せて余分な水分を抜いておき、アラ部分は焼いて生臭みを飛ばしておく。
寸胴でガーリックカミーリアオイルでニンエル、セロリ、マダララッキョウを炒める。
そして焼いたアラを投じて水、白ワイン、ブーケガルニを加えて適宜アクを取りながら煮こみ、ヘラとザルで潰しながら出汁を絞ってスープドポワソンを作成。
これにトマトペースト、蒸して皮を剥いたジャガイモ、ミドリガイ、シーバイト、ナックルロブスター、ハーブ類を加えて加熱、最後に粉を叩いてソテーした身を入れて完成だ。
ちなみに下処理の段階で切り落とした毒棘鰭。
これだけ出汁の出る魚なのだからこれを捨てるのは惜しまれる。
毒はどうしたと思われる読者諸兄も居るかも知れないが、魚の刺毒は概して熱に弱い。
という事で天日干しにした物を炙って辛口の酒の熱燗に投入。酒精を火で飛ばした後に蓋をして待つ事暫し。
『鰭酒』は芳醇な味と香りが実に佳味であった。
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【リビングアイスバーグ】 |
【 リビングアイスバーグ】
普通の氷である。
塩味でなければ削ったものに果汁を掛けるのも悪くはない。
砕いて飲み物に浮かべるのもよし、食材の冷却に使うのもよし。
まあ、その普通の氷(氷山)がなぜ生命と悪意を持つようになったのかは謎であるが。
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【リュウノテ】 |
【 リュウノテ】
豆醤油とみりんを小鍋に入れ、酒精を飛ばしながら煮詰め“かえし”を作っていく。
同時に天日干にして軽く炙った リュウノテを コソブルの旨みを抽出しておいた水に入れ、沸騰させない程度に加熱してから布巾で濾す。
そしてこの リュウノテの出汁に酒を加えて一度沸騰させ、上記の“かえし”を入れて出汁の完成。
この出汁に蕎麦粉で作った麺を入れた物が 薫桜ノ皇国で食されているスープパスタである。
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【レイピアテイルクラブ】 |
【 レイピアテイルクラブ】
カブトガニの仲間だが、歩留まりは最悪と言ってしまって良いだろう。
水っぽい身は貧相な脚と尻尾を振り回す部分からほじくり出す必要がある為、量も期待できない。
長方形の型にほじくり出した身と、独特の芳香を持つ クミダド草をハーブとして千切って入れる。
ここに小型の レイピアテイルクラブから青色をした血液を絞り出して注いで混ぜていこう。
血には独特の甘さとコクがあり、手早く混ぜるとゼリー状にしっかりと固まるので面白い。
型から外して切り分け、 レイピアテイルクラブのブラッドプディングの完成である。
生の青トウガラシやハーブを散らし、ライムをたっぷりと絞っていただこう。
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【ワイバーン】 |
ジューシーな肉に酸味が良く合って美味。
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最終更新:2025年07月25日 11:38