人間尊厳自決同盟

人間尊厳自決同盟
略称 人尊同
目的 ・亜人種の絶滅
・人類種族の繁栄/政治的優位
本部 ラヴァンジェ諸侯連合体
公用語 ロフィルナ語
人間尊厳自決同盟(ロフィルナ語:razkeram seleeam deparram lufia/RSDL)とはラヴァンジェ諸侯連合体・オクシレイン大衆自由国を中心にその他多くの国で運動する国際的人間至上主義団体。文明共立機構を筆頭に多数の国際団体や国家から極右的政治集団であることを指摘されており、規制や監視が進んでいる。一方で支持者は一定数あり、特定の闇ビジネスや犯罪行為にも絡んでいることが報告されている。


概要

 RSDLはオクシレインから興った組織であり、ラヴァンジェからの難民流入を批判する勢力によって形成された。文明統一機構のあり方は本質的には正しかったとしながらも、その後継たる文明共立機構が成立するのは政治的必然だったとするオクシレイン的歴史観に影響された見方をしている。
 しかし、オクシレインの公式歴史観と異なるのは、文明共立機構が星間機構の発展形であると考える形であり、オクシレイン政府のように共立機構に対して潜在的な問題を見ているわけではない。そして、この発展においては唯物論史観の中で人間種族のみが主体性を持って生きれる真の存在であり、それ以外の亜人種族は人間に劣り、被支配されて、ゆくゆくは人間種族に同化するのが彼らの幸福に繋がると考えている者が多い。
 政治学・歴史学の研究者たちは、この組織はオクシレイン単独では発生し得なかったと考えており、オクシレインの他国との接触やラヴァンジェの出現、移民問題、そしてオクシレイン自身の共立世界歴史観とラヴァンジェにおける種族思考が重なった結果生まれた思想であると考えられている。

同盟に対する各国・国際機関の立場

ラヴァンジェ諸侯連合体

 自国内に多数の亜人種族を擁するラヴァンジェは、この組織に対して強い規制を敷いている。特に国内のRSDLに対しては名目上の罪状を付けて支持者を逮捕するなど活動家の弾圧とも取れる処置を行っているほどである。これに関しては国内外から独裁的などという批判が来ることがあるが、ラヴァンジェは「我々はあくまでも民主主義的機構が付随した君主連合であり、民主主義国家ではない」として批判を受け流している。
 国際的にはラヴァンジェが過激な批判の筆頭を担っており、同じく獣人の多いユミル・イドゥアムなどに働きかけて国際的規制を強く呼びかけている。

文明共立機構

 過去大戦の反省から、共立三原則(主権擁護、平和協調、内政不干渉)を掲げる最高評議会にとって、RSDLの台頭は文明統一機構(通称、星間機構)に連なる悪しき亡霊の再来として受け止められる。そして、特定人類主義とも指摘される同組織の解釈は現行秩序に対する許しがたい暴論であり、アンダクストール(文明共立機構)は断じて文明統一機構の後継ではないことを強調した。そもそも亜人などという言葉自体が多分に差別的なニュアンスを含む以上、例え当事者視点の原義がそうではなかったとしても、現代の共立世界においては等しく規制すべきであると考えられるからだ。以上の方針から、共立機構は構成各国に対して然るべき枠組みの強化を働きかけており、今のところ支持する見方が優勢である。

ツォルマリア星域連合直轄領

 最高評議会と全く同じ意見であることを表明し、歩調を合わせた。連合首相は必要に応じて粛々と対処する意向を述べている。

セトルラーム共立連邦

 セトルラーム政府は過去大戦における壮絶な歴史を教訓とし、共立機構が提起するところの、あらゆる知的存在について議論を重ねてきた。そして、更に補足するならば、生命倫理の在り方を巡る与野党間の研究も継続しており、多様な種族が共生する当時代において、型通りの基本権に集約できるものなのか、そもそも言語能力を持たぬ知的種族に対して、どのような支援を講じるべきなのかといった考察も広く推奨されて久しいのである。解決の糸口が見えぬこの問題に関して、一つの答えを訴えているのがRSDLであり、それは一見すると唾棄すべき主張であるように思われた。しかし、セトルラーム政府はRSDLの思想を真剣に分析し、彼らの人格を否定することなく問題の根本的解決に取り組む方針を示している。無論、同国大統領は、ヘイトクライムに繋がる、あらゆる行いに対して許さない意向を述べているが。

ロフィルナ王国

 セトルラーム政府が穏健な解決策の検討に務める一方、ロフィルナ政府は自国が定義する差別主義者について、等しく鏖殺すべきであると表明している。また、闘争の味を分からせてやると主張し、下郎に同調するような輩は人にあらず、劣等処遇に相応しいなどと捲し立てた。一国の政府として、このような声明を発すること自体が国際社会に強烈なインパクトをもたらすものであるが、コックス大宰相は全く意に介しておらず、関係各国に対しテロリストを殺処分するよう迫ったのである。ロフィルナ政府が強硬な態度を貫く理由は無論凄惨な歴史を辿った旧暦時代の犠牲に関係するわけだが。それにしても、セトルラームを含む多くの同盟国を困惑させる言動であり、軽挙妄動を慎むように釘を刺されているのが現状とされる。

キルマリーナ共立国

 民主闘争主義を掲げるキルマリーナ政府にとって、特定基準による選別は必ずしも悪ではない。ただし、それを担うに値する独自の倫理条項を提唱しており、亜人種の絶滅に関しては実行の必然性を感じず、救済の基準を満たしていないと断定した。そして、なぜRSDLは性急に事を進めようとするのか?この共立時代において、種の絶滅を唱えることに何の利点があるのかと指摘している。ただ徒に対象の敵意を煽り、全く論理的ではない手法で自らの首を締めているだけではないのか。以上の観点から、キルマリーナ政府は共立機構の提案に同調する意向を示し、RSDLを監視対象に指定した。

カルスナード教王国

 生命倫理を重んじるカルスナード政府は、RSDLの主張に強い懸念をもって注視していることを明かし、難民問題の根本的解決を図るよう各国政府に呼びかけた。本件に関しては独自の宗教的解釈を述べているが、当面の課題として共立機構の提案に従う意向を表明。特定種族の優位性について否定的な見方を示し、自己中心的で、思慮に欠ける言動だと指摘している。カルスナードの教義によれば、一見知性がないように見えても、全ての存在には神の期待が宿っているのだという。そして人は生きるために他者を犠牲にするわけだが、そうした競争の試練を乗り越え、共立の精神をもって、堅実に克服しなければならないのだとX教王は訴えた。「例え教義に反して生み出された機械人種であっても、正しく導けば無限の可能性に満ちている」。我々人類の尺度で語れるものではなく、性急に事を進めるべきではないと断じた。

オクシレイン大衆自由国

 君主国であるラヴァンジェからの政治移民や転移者戦争時の疎開民を相当数受け入れているオクシレインでは反移民感情・反異種族感情が高まっており、共立機構加盟に向け外交・内務的努力をした政府に対しても「世界に忖度した腰抜け政府」と見なす右派勢力も少なからず居る。このため、RSDLに対する支持はオクシレイン政府にとって危機感を抱く事情である一方で、RSDLを支持していないとしても、その一挙一動に影響される右派層が一定数居ることからラヴァンジェやロフィルナほどの強い動きに踏み出せないのも事実であり、民主国家の弱点を露呈しているともされる。共立機構やセトルラームなどの穏健的規制の動きに対しても手放し賛同できないのもこの影響によるものである。
 一方で、国外とのパイプラインに関しては厳しく監視を行っており、仮想敵国たるラヴァンジェの間は異例の「過激派組織に関する機密情報の共有協定」を結ぶほどである。これは国家安全保障に関わる事象であるため、前者の政治的なものとは別物として扱っているという見方をしているものである。

ユミル・イドゥアム連合帝国

 帝国執政院声明文『RSDLの行動目的は、我が連合帝国及び皇帝陛下の尊厳を汚し、帝国の未来ひいてはセクター・イドゥニアの安全を脅かす非常に危険な行いである。
そのような危険な組織は我が帝国として受け入れられるものではなく、入国禁止措置及び入国が判明した場合は即時取り締まり対象に指定する。彼らの主張は皇帝陛下に対する冒涜でもあるため、取り締まりは近衛騎士団が対応するものと決定した』

 近衛騎士団による皇室裁判の後、ロフィルナ方面から来たRSDLの構成員はロフィルナへ、ラヴァンジェ方面から来たRSDLの構成員はラヴァンジェへ引き渡す。
これにより、帝国は自国の手を汚さずRSDLの構成員を処分し、ロフィルナ・ラヴァンジェとの連携を進めてきた歴史がある。
転移者戦争を起点にロフィルナとの関係が悪化すると、人道的配慮を名目に受け入れ体制が整う第三国へ移送する手続きを取った。

エルカム交通公団

 各国で犯罪を犯しているRSDLに対して危機感を抱くと同時に、人類よりも優れた存在である機械を否定する事は歴史の停滞を招く恐ろしい物であると発表。
エルカムの列車や駅施設への侵入禁止措置や万が一侵入した場合は相手国へ引き渡しを行う意向を表明した。

ウェトラム人類統一機構

 旧暦時代における文明統一機構の崩壊から、その理念を引き継ぐウェトラム政府にとって物質の電子化は世界平和のために必要な措置である。一方、共立機構が提唱する三原則に関しては概ね肯定的な評価を下しており、この枠組みが維持される限りにおいて、究極目標とされる自国の方針を強いることはないとした。物質の電子化、つまり、この世からの解脱に照らし合わせてウェトラム自体の立場はRSDLの方針に一定の理解を表するものである。ただし、人類であれ、それ以外の存在であれ、種の共存が不可能となったその時に全ての分離解脱を実行する決意を示した。以上の見解から、現段階の方針としては共立機構による世界統治を称賛し、その提案に全面的な協力を行うことで合意している。

最終更新:2024年01月27日 21:13