この病院に入院して、4日目の朝を迎えた。
真紅と何度かメールのやり取りをして、なんとなく物事の大枠は把握することができたのであるが、一番根本的なところで、何故そんなことになるのだ。も一歩進んで、そんなわけあるかい!あほんだら!という、大いなる疑問も抱いているのである。
何を好き好んで、そのような珍妙なる異世界に紛れ込んでしまったのだ?我が最愛の娘よ。それよりなにより、そのような異世界の玉に魂をちゅーっと吸い込まれてしまった我が妻洋子、そして彼女をしてそこまで追い詰めてしまった私の不甲斐なさが、この世もなく情けなくもアホらしいのである。
とてもとても現実のこととは思えず、どこかの組織が、大掛かりな罠というか、昔風に表現するとドッキリを自分に仕掛けてきているのではないかとも考えたが、私のように、事業に失敗して、さらに体を壊し、無一文になりかけている人間を陥れたところで、益するところはないはずだ。
今朝方、義母と国際電話にて連絡を取ったが、洋子の容態は相変わらずで、昏睡状態のまま意識が戻らぬようだ。真紅からの報告によると、なんとかいう世界にある『暗黒のオーブ』に洋子の魂が取り込まれてしまっているから、それを景気よくカチ割り、解放してやらねばならないらしい。洋子の担当医師によると、様々な検査を行ったものの、全く原因不明ということなので、もしかすると、真紅が報告してきたことが唯一絶対の原因及び対処法であるのかもしれない。ただしこれは、真紅が本当に異世界へ紛れ込んでしまったということが紛れもない真実であるという条件つきである。
異世界に紛れ込んだことが紛れもない真実であれば、自動的に『暗黒のオーブ』の件も真実であるという結論が導き出されるのである。
いずれにせよ、真紅本人が、自分で何とかする。洋子も救出すると宣言してくれているのだから、それを信じて全てを任せるしかないのか。
こうして、真紅と洋子のことばかり考えていても、思考は堂々巡りという螺旋を描きながら、どんどん沈み込むばかりなので、またプログラム言語Rubyについての考察を再開してみよう。
最終更新:2008年12月26日 08:53