上条「――――何、だよ……アレ……!?」
夜闇の中、突如現れたその光景に、上条は目を奪われていた。
巨大な一本の光の柱が、天を貫くように、立ち昇っている。
その根元は街並みに隠れて視えてはいないが、学園都市内から発せられている光であるのは間違いない。
暗闇を引き裂くように空を照らす光柱は、どこか神々しくすら見える。
上条「誰かの能力か……?」
光柱の出所は、どうやらかなり近いようだ。
方向と距離から察するに、第二学区の一角だ。
上条の足が、自然と光柱の方向へと向かう。
もしかしたら生存者がいるのかもしれない、という期待。
そうでなくとも、このまま何の当ても無く歩き続けるよりは良い、という希望。
あの光は、この閉塞的な状況を打開する切欠なのかもしれない。
けれど、その時。
それ以上に決定的に、状況を打開する一つを、上条は視界の端に捉えた。
上条「禁書目録(インデックス)……!?」
純白の修道服に、光を弾く銀髪。いつもの白いフードは頭に無く、腰まで伸びる長い髪が曝け出されている。
月明かりの代わりに、強く照りつける光柱のお陰か、一瞬、その姿が目に焼き付いた。
慌てて目で追いかけるも、すでに姿は見当たらない。
上条「おい、インデックス!! 俺だ、迎えに来たぞ、インデックスーッ!!!」
最早光柱など関係ない。
上条は必死に周囲を探し始めた。
禁書目録、インデックス。
彼女さえ探し出せば、きっとこの悪夢のような世界を、終わらせる事が出来るのだろう。
上条(待ってろよ、インデックス……ッ!)
昏い夜空を裂く光を尻目に、上条は走った。
アーカイブ:『神話・理尾や丹』
最終更新:2010年11月07日 05:55