(森の中の静かな図書館)
更新日:2020/04/16 Thu 10:38:54
草を踏みしめる靴の音と、幼い少女の歌声が聞こえる。
「ファイトのい~みはにくしみっじゃな~い♪守りたい~のは、みんなで描く夢なぁ~んだ♪きずつい~てもたおれてぇ~も助け合えるみっちをさぁがそぉ~!」
歌っている少女---------優木リリは、手に持った棒を降りながら楽しそうに歩いていた。
傍らに暗い雰囲気の女の子が一人いる。
暗い雰囲気の女の子が、リリに声をかけた。
「ねえリリ、本当にこっちでいいの?人もいなくなってきたよ?」
「ムム、大丈夫だよ!看板があったもん!駐車場はこっちですって!」
リリはムムに笑いかけた。
二人は今日、学校の遠足でイチゴ狩りに来ていた。初めはクラスメイト達と歩いていたが、ムムが遅れ、それを心配したリリが駆け寄り、気付いたときには迷子になっていたのだ。
「ほら!あそこ!あのトンネルの向こうだよ!」
「え?凄く暗いトンネルだけど大丈夫?」
困った二人は取り敢えずバスの所まで帰ろうとしたのだが・・・
「来たときトンネル通ったでしょ!あそこで間違いないって!」
「で、でも・・・熊とかいたらどうしよう?」
「大丈夫だって!わたしの女児符号があるんだから!まかせといて!」
リリは自信ありげに胸を叩いた。どうやら、相当自信があるようである。
「リ、リリがそう言うなら」
ムムも覚悟を決めたのか、鋭い目でトンネルを見つめた。
「あたしから離れないでね」
「ムム、こわいの?」
「あなたが危険な目に会うかもしれないのが怖いの」
ムムはリリの手を握り、初めの一歩を踏み出した。
「ファイトのい~みはにくしみっじゃな~い♪守りたい~のは、みんなで描く夢なぁ~んだ♪きずつい~てもたおれてぇ~も助け合えるみっちをさぁがそぉ~!」
歌っている少女---------優木リリは、手に持った棒を降りながら楽しそうに歩いていた。
傍らに暗い雰囲気の女の子が一人いる。
暗い雰囲気の女の子が、リリに声をかけた。
「ねえリリ、本当にこっちでいいの?人もいなくなってきたよ?」
「ムム、大丈夫だよ!看板があったもん!駐車場はこっちですって!」
リリはムムに笑いかけた。
二人は今日、学校の遠足でイチゴ狩りに来ていた。初めはクラスメイト達と歩いていたが、ムムが遅れ、それを心配したリリが駆け寄り、気付いたときには迷子になっていたのだ。
「ほら!あそこ!あのトンネルの向こうだよ!」
「え?凄く暗いトンネルだけど大丈夫?」
困った二人は取り敢えずバスの所まで帰ろうとしたのだが・・・
「来たときトンネル通ったでしょ!あそこで間違いないって!」
「で、でも・・・熊とかいたらどうしよう?」
「大丈夫だって!わたしの女児符号があるんだから!まかせといて!」
リリは自信ありげに胸を叩いた。どうやら、相当自信があるようである。
「リ、リリがそう言うなら」
ムムも覚悟を決めたのか、鋭い目でトンネルを見つめた。
「あたしから離れないでね」
「ムム、こわいの?」
「あなたが危険な目に会うかもしれないのが怖いの」
ムムはリリの手を握り、初めの一歩を踏み出した。
その日、少女にとってはいつも通りの朝だった。
朝起きて、顔を洗って猫と戯れ、朝食にアップルパイを食べて猫と戯れ、本を読みながら猫と戯れ。
空気が変わったのはお昼時、お気に入りの本の丁度一番好きな場面を読んでいた時の事だった。
彼女は億劫そうに本から目を逸らす。
「お客さん・・・?」
どんな人間がこんな森に入り込んだのか?
「迷いこんだのは多分三人、女の子で、今家の近くをうろついてるわ・・・」
少女がそう呟くと同時に、玄関の方から音がなった。
「やっぱり・・・」
少女はため息混じりに背伸びする。
「あれ・・・?」
置いてあった鏡の奥に、見知らぬ女性の姿が見えた気がしたが、目を擦るといなくなっていた。
「気のせい、よね?」
読みかけの本を閉じ、恐る恐る玄関に向かっていった。
朝起きて、顔を洗って猫と戯れ、朝食にアップルパイを食べて猫と戯れ、本を読みながら猫と戯れ。
空気が変わったのはお昼時、お気に入りの本の丁度一番好きな場面を読んでいた時の事だった。
彼女は億劫そうに本から目を逸らす。
「お客さん・・・?」
どんな人間がこんな森に入り込んだのか?
「迷いこんだのは多分三人、女の子で、今家の近くをうろついてるわ・・・」
少女がそう呟くと同時に、玄関の方から音がなった。
「やっぱり・・・」
少女はため息混じりに背伸びする。
「あれ・・・?」
置いてあった鏡の奥に、見知らぬ女性の姿が見えた気がしたが、目を擦るといなくなっていた。
「気のせい、よね?」
読みかけの本を閉じ、恐る恐る玄関に向かっていった。
完全に迷ってしまったリリとムムは、一軒の館で道を尋ねようと試みた。
「う~ん、おるすかな?」
「だれも住んでないのかも」
リリはもう一度ノックしてみる。
「もしも~し!いたら返事してくださ~い」
建物はしーんと静まったままだ。
「やっぱり誰もいないよ、ねえ来た道を戻った方がいいよ」
「う~ん、ムムがそう言うならそうした方がいいかな?」
リリが諦めかけたその時、古いドアがギギギ…と音を立てて動いた。
「あ、あの」
ドアの中から一人の少女が顔を出し、こちらの様子を伺いながら声を上げた。
「・・・入る?」
「う~ん、おるすかな?」
「だれも住んでないのかも」
リリはもう一度ノックしてみる。
「もしも~し!いたら返事してくださ~い」
建物はしーんと静まったままだ。
「やっぱり誰もいないよ、ねえ来た道を戻った方がいいよ」
「う~ん、ムムがそう言うならそうした方がいいかな?」
リリが諦めかけたその時、古いドアがギギギ…と音を立てて動いた。
「あ、あの」
ドアの中から一人の少女が顔を出し、こちらの様子を伺いながら声を上げた。
「・・・入る?」
二人を中に入れてくれた少女は、豊かな濃い緑の髪に、緑の服を着た女の子だった。
まるで眠れる森の美女が、絵本の中からそのまま飛び出してきたみたいだとリリは思った。
そういえば、この子の名前も聞いてなかったと、リリは思い出した。
「あ、あの、わたしリリ!優木リリだよ!こっちはお友だちの無藤来夢!ムムって呼んで!あなたのお名前は?」
「・・・ヤスカタ。この図書館に一人で住んでる。好きな物は読書とアップルパイとネコチャン」
「ネコチャン?」
ムムが聞き返した。
「そう、ネコチャン。他に何か知りたいことある?」
リリがお腹を抑えて恥ずかしそうに言った。
「えっと、食べ物あるかな?お腹ペコペコなの」
まるで眠れる森の美女が、絵本の中からそのまま飛び出してきたみたいだとリリは思った。
そういえば、この子の名前も聞いてなかったと、リリは思い出した。
「あ、あの、わたしリリ!優木リリだよ!こっちはお友だちの無藤来夢!ムムって呼んで!あなたのお名前は?」
「・・・ヤスカタ。この図書館に一人で住んでる。好きな物は読書とアップルパイとネコチャン」
「ネコチャン?」
ムムが聞き返した。
「そう、ネコチャン。他に何か知りたいことある?」
リリがお腹を抑えて恥ずかしそうに言った。
「えっと、食べ物あるかな?お腹ペコペコなの」
ここにやって来たリリと言う訪問者は、物凄い速さでシチューを平らげた。
「あ~おいしかった!」
「リリ、食べるの早すぎ」
一方のムムと言う少女は、まだ半分も食べていない。
「もう、お腹こわすよ?」
「だってヤスカタのご飯美味しいんだもん!」
まるで母子の会話のようだとヤスカタは思った。
「食べ終わったら、出口まで送るわ。この森、たまに人が迷いこむのよね・・・」
「ヤスカタは一人でいるのが好きなの?」
リリは小さな声で質問した。
「そうね、一人で本を読むのは好きよ。ここには本が沢山あるから」
「本・・・?」
ムムが顔を上げ、辺りを見渡した。
この子も本が好きなのかとヤスカタは思い、控えめに切り出した。
「良かったら見てく?」
ムムは警戒心と本を天秤にかけ、考えているようだった。
「う~ん・・・あ、あんたがそんなに見せたいなら見てってあげるわ!」
警戒心と本を天秤にかけた結果、本への興味の方が勝ったらしい。
「ムムってつんでれな所があるらしいから、気にさわったらごめんね」
ヤスカタは対して気にしていなかったが、リリの謝罪に気を良くした。
「あ~おいしかった!」
「リリ、食べるの早すぎ」
一方のムムと言う少女は、まだ半分も食べていない。
「もう、お腹こわすよ?」
「だってヤスカタのご飯美味しいんだもん!」
まるで母子の会話のようだとヤスカタは思った。
「食べ終わったら、出口まで送るわ。この森、たまに人が迷いこむのよね・・・」
「ヤスカタは一人でいるのが好きなの?」
リリは小さな声で質問した。
「そうね、一人で本を読むのは好きよ。ここには本が沢山あるから」
「本・・・?」
ムムが顔を上げ、辺りを見渡した。
この子も本が好きなのかとヤスカタは思い、控えめに切り出した。
「良かったら見てく?」
ムムは警戒心と本を天秤にかけ、考えているようだった。
「う~ん・・・あ、あんたがそんなに見せたいなら見てってあげるわ!」
警戒心と本を天秤にかけた結果、本への興味の方が勝ったらしい。
「ムムってつんでれな所があるらしいから、気にさわったらごめんね」
ヤスカタは対して気にしていなかったが、リリの謝罪に気を良くした。
「わぁぁぁ!」
この館の大部分を占める図書館に、リリもムムも感動の声を上げた。
「リ、リリ!ちょっと探検してくる!」
珍しくムムが色めき立ち、リリを置き去りにして走っていった。
「あの子、本が好きなのね」
「本と言うか、文字を読むのが好きみたい。しんじられないかもしれないけど、ちょっと前までは何にも読めなかったんだ」
「そうなの?」
「うん、ナミって言うお姉ちゃんが、文字も読めない子は美しくないって教えてくれたの。それからだよ、ムムが本の虫になったのは」
「ふ~ん」
その時、リリはこちらをじっと見つめてくる目線に気付いた。
「あれって・・・」
目線の主は、にゃぁんと鳴きながら二人に近付いてくる。リリは叫ぼうにも叫べないため、心の中で叫んだ。
(ねこちぁぁぁぁぁん!)
高い口笛を吹くと、更に猫が寄ってくる。
リリは近寄ってきた猫の顎を撫でた。
「よしよしよし!君の名前はなぁにかな?」
『ボクの名前はシャルだよ、顎より背中撫でて!』
「おおこっちか!ふわぁぁぁぁシャルくんモフモフだぁ!」
「え、なんで分かるの?」
ヤスカタはビックリしていた。リリは得意気になる。
「んふふふ。わたし、動物達の言葉が分かるの!これがわたしの女児符号だよ!」
「ガールズ…コード?」
ヤスカタには聞き慣れない言葉のようだ。
「えぇ?!女児符号を知らないの?」
リリはビックリした。
「ええ、初めて聞いたわ」
「そうなんだ・・・女児符号って言うのはね」
リリが説明しようとした時、ムムの叫び声がした。
「リリ!ちょっと来て!」
「あら、何かしら?」
「取りあえず、行ってみよう」
ヤスカタとリリは図書館の奥に走っていったのだった。
この館の大部分を占める図書館に、リリもムムも感動の声を上げた。
「リ、リリ!ちょっと探検してくる!」
珍しくムムが色めき立ち、リリを置き去りにして走っていった。
「あの子、本が好きなのね」
「本と言うか、文字を読むのが好きみたい。しんじられないかもしれないけど、ちょっと前までは何にも読めなかったんだ」
「そうなの?」
「うん、ナミって言うお姉ちゃんが、文字も読めない子は美しくないって教えてくれたの。それからだよ、ムムが本の虫になったのは」
「ふ~ん」
その時、リリはこちらをじっと見つめてくる目線に気付いた。
「あれって・・・」
目線の主は、にゃぁんと鳴きながら二人に近付いてくる。リリは叫ぼうにも叫べないため、心の中で叫んだ。
(ねこちぁぁぁぁぁん!)
高い口笛を吹くと、更に猫が寄ってくる。
リリは近寄ってきた猫の顎を撫でた。
「よしよしよし!君の名前はなぁにかな?」
『ボクの名前はシャルだよ、顎より背中撫でて!』
「おおこっちか!ふわぁぁぁぁシャルくんモフモフだぁ!」
「え、なんで分かるの?」
ヤスカタはビックリしていた。リリは得意気になる。
「んふふふ。わたし、動物達の言葉が分かるの!これがわたしの女児符号だよ!」
「ガールズ…コード?」
ヤスカタには聞き慣れない言葉のようだ。
「えぇ?!女児符号を知らないの?」
リリはビックリした。
「ええ、初めて聞いたわ」
「そうなんだ・・・女児符号って言うのはね」
リリが説明しようとした時、ムムの叫び声がした。
「リリ!ちょっと来て!」
「あら、何かしら?」
「取りあえず、行ってみよう」
ヤスカタとリリは図書館の奥に走っていったのだった。
「ミネルヴァ!」
ムムはリリの顔を見た瞬間叫んだ。
「ミネルヴァがいた!」
「ミネルバ?」
息切れしたヤスカタが途切れ途切れに質問した。
「って・・・誰なの?」
「えっとね、うちにデウスって子がいるんだけど、その子曰く、はらぐろくてイタズラ好きのわるいマジョなんだって」
ヤスカタは首をかしげた。
「そう・・・でもそんな人が入ってきたら、わたしが直ぐに気付くと思うけれど」
「あ~ら光栄、あたしの能力が高いって証明してくれたのねェ」
三人のどれとも異なる猫撫で声に、リリとムム、ヤスカタがワンテンポ遅れて振り返ると、後ろに背の高い女性がいた。
その女性は、今朝ヤスカタが鏡の中に見た女性だった。魔女のような帽子を被り、露出度の高い服を着た白髪の女だ。
「あたしがミネルヴァだよ、お嬢ちゃん」
「何しに来たのよ!このお邪魔虫!」
ムムが厳しく罵倒し、睨み付けると、ミネルヴァはケラケラ笑う。
「そんな酷い事言っても、可愛い声じゃ迫力でないわねェム~ム~ちゃん」
ミネルヴァの言葉に、ムムの顔が赤くなった。
ヤスカタはそんな様子を見ながら、頭の中に疑問符が浮かんだ。
「貴方・・・誰?」
「は?」
思わず口から出た言葉に、ミネルヴァは間抜けな声を出した。
「貴方の身体、何人もの人の・・・う~ん、分かりやすく言うと、気配がするの。普通、人間と言う生き物は一人につき一個しかない物を持ってるもの、でも、貴方からは何十個もの気配を感じるのよね、貴方は誰?」
「・・・」
ミネルヴァは押し黙り、少し考えた後、突然くるりと背を向けた。
「なんか白けたわ、か~え~る~」
「は、え、ほんと?」
まさか穏便にすむと思っていなかったのか、リリが間抜けな声をあげる。
「ええ本当よ、まぁ・・・」
ミネルヴァが楽しげな様子でくるりと一回転して見せた
「土産は置いていくけどね」
その瞬間、屋敷のありとあらゆる鏡から黒い物体が湧いて出てきた。
「バーハーハイ♪」
ミネルヴァが甲高い笑い声を上げながら、鏡の中に吸い込まれていく。
直後、緑や黄色の瞳を持つ塊が、三人に襲いかかったのだった。
ムムはリリの顔を見た瞬間叫んだ。
「ミネルヴァがいた!」
「ミネルバ?」
息切れしたヤスカタが途切れ途切れに質問した。
「って・・・誰なの?」
「えっとね、うちにデウスって子がいるんだけど、その子曰く、はらぐろくてイタズラ好きのわるいマジョなんだって」
ヤスカタは首をかしげた。
「そう・・・でもそんな人が入ってきたら、わたしが直ぐに気付くと思うけれど」
「あ~ら光栄、あたしの能力が高いって証明してくれたのねェ」
三人のどれとも異なる猫撫で声に、リリとムム、ヤスカタがワンテンポ遅れて振り返ると、後ろに背の高い女性がいた。
その女性は、今朝ヤスカタが鏡の中に見た女性だった。魔女のような帽子を被り、露出度の高い服を着た白髪の女だ。
「あたしがミネルヴァだよ、お嬢ちゃん」
「何しに来たのよ!このお邪魔虫!」
ムムが厳しく罵倒し、睨み付けると、ミネルヴァはケラケラ笑う。
「そんな酷い事言っても、可愛い声じゃ迫力でないわねェム~ム~ちゃん」
ミネルヴァの言葉に、ムムの顔が赤くなった。
ヤスカタはそんな様子を見ながら、頭の中に疑問符が浮かんだ。
「貴方・・・誰?」
「は?」
思わず口から出た言葉に、ミネルヴァは間抜けな声を出した。
「貴方の身体、何人もの人の・・・う~ん、分かりやすく言うと、気配がするの。普通、人間と言う生き物は一人につき一個しかない物を持ってるもの、でも、貴方からは何十個もの気配を感じるのよね、貴方は誰?」
「・・・」
ミネルヴァは押し黙り、少し考えた後、突然くるりと背を向けた。
「なんか白けたわ、か~え~る~」
「は、え、ほんと?」
まさか穏便にすむと思っていなかったのか、リリが間抜けな声をあげる。
「ええ本当よ、まぁ・・・」
ミネルヴァが楽しげな様子でくるりと一回転して見せた
「土産は置いていくけどね」
その瞬間、屋敷のありとあらゆる鏡から黒い物体が湧いて出てきた。
「バーハーハイ♪」
ミネルヴァが甲高い笑い声を上げながら、鏡の中に吸い込まれていく。
直後、緑や黄色の瞳を持つ塊が、三人に襲いかかったのだった。
「何こいつら?」
ヤスカタはムッとしながら言った。そして館に踏み込んできた不届き者を睨む。
「オン・ヤミー、悪魔の手先・・・かな?」
「そんな物よ、あんた、こいつらを追い払うために、ここで暴れてもいいわね?」
ヤスカタは肩を竦めた。
「追い払わないと住めないしね、問題はどう追い払うかよ」
「その辺は問題ないよ」
「まあ、こっちは悪魔退治の専門家だから」
リリとムムはそう答え、何か棒状の物を取り出した。
「行くよムム!」
「分かってるわ、リリ」
『マキナ・タクト・チェンジ!』
『マキナ・タクト・チェンジ!』
二人が棒を降ると、白と黒の光が二人を包んだ。
その光が二人に絡み、服装や髪型を作り変えていく。二人の持っていた棒も鎌と刺叉に姿を変え、しっかりと二人の手に握られている。
『マキナ・ディーヴァ!ただいま参上!』
『マキナ・サルタ!・・・参る!』
「わぁ・・・」
立ちどころに姿を変えた二人に、ヤスカタは目を輝かせた。
リリは真っ白な新婦を思わせる衣装に、ムムは真っ黒な新郎を思わせる衣装に変わったのだ。
『ヤスカタは下がってて!』
『あんたの家・・・あたしが守る!』
武器を構えた二人が、オン・ヤミーの群れに突っ込んでいった。
ヤスカタはムッとしながら言った。そして館に踏み込んできた不届き者を睨む。
「オン・ヤミー、悪魔の手先・・・かな?」
「そんな物よ、あんた、こいつらを追い払うために、ここで暴れてもいいわね?」
ヤスカタは肩を竦めた。
「追い払わないと住めないしね、問題はどう追い払うかよ」
「その辺は問題ないよ」
「まあ、こっちは悪魔退治の専門家だから」
リリとムムはそう答え、何か棒状の物を取り出した。
「行くよムム!」
「分かってるわ、リリ」
『マキナ・タクト・チェンジ!』
『マキナ・タクト・チェンジ!』
二人が棒を降ると、白と黒の光が二人を包んだ。
その光が二人に絡み、服装や髪型を作り変えていく。二人の持っていた棒も鎌と刺叉に姿を変え、しっかりと二人の手に握られている。
『マキナ・ディーヴァ!ただいま参上!』
『マキナ・サルタ!・・・参る!』
「わぁ・・・」
立ちどころに姿を変えた二人に、ヤスカタは目を輝かせた。
リリは真っ白な新婦を思わせる衣装に、ムムは真っ黒な新郎を思わせる衣装に変わったのだ。
『ヤスカタは下がってて!』
『あんたの家・・・あたしが守る!』
武器を構えた二人が、オン・ヤミーの群れに突っ込んでいった。
戦いは数分も立たなかった。勝利を期したディーヴァとサルタは、リリとムムの姿に戻り、辺りを見渡した。
「何とか荒らさずに倒せた・・・?」
「ええ、あなたのお陰よ。リリ」
「そ、そんな事ないよ!これはムムが女児符号を使ったからで」
「二人とも」
ヤスカタが声を上げた。
「怪我はない?」
「あ、うん」
「お陰さまで」
ヤスカタも辺りを見渡す。
「二人とも強いのね、あの変な影を全部倒しちゃって」
「そ、そう?」
年上の人からあまり褒められ慣れていないのか、ムムは照れて顔を赤くした。
「何とか荒らさずに倒せた・・・?」
「ええ、あなたのお陰よ。リリ」
「そ、そんな事ないよ!これはムムが女児符号を使ったからで」
「二人とも」
ヤスカタが声を上げた。
「怪我はない?」
「あ、うん」
「お陰さまで」
ヤスカタも辺りを見渡す。
「二人とも強いのね、あの変な影を全部倒しちゃって」
「そ、そう?」
年上の人からあまり褒められ慣れていないのか、ムムは照れて顔を赤くした。
「ほら、これで帰れるわ」
ヤスカタは森の方を指して言った。
「本当に?」
ムムが訝しげに聞いた。
「本当よ、嘘だと思うなら一度歩いてみたら?」
そう言うヤスカタの表情は、とても自信ありげに見えた。
「私は見送れないわ、でも安心して、絶対元いた場所に帰れるから」
「う、うん。分かった」
リリはそう言い、玄関から外に出た。
「あぁ二人とも、家から出たら絶対に振り返らないようにね」
「えぇ?!」
「あと、この事は誰にも言わないで」
「「ふぇぇ?!」」
ヤスカタの言葉に、リリとムムはビックリしたが、もう外に出てしまった為、後の祭りである。
後ろから聞こえるヤスカタの声は、若干寂しそうだった。
「大丈夫よ、見守ってるから・・・さあ、直ぐに帰った方がいいわ」
ヤスカタは森の方を指して言った。
「本当に?」
ムムが訝しげに聞いた。
「本当よ、嘘だと思うなら一度歩いてみたら?」
そう言うヤスカタの表情は、とても自信ありげに見えた。
「私は見送れないわ、でも安心して、絶対元いた場所に帰れるから」
「う、うん。分かった」
リリはそう言い、玄関から外に出た。
「あぁ二人とも、家から出たら絶対に振り返らないようにね」
「えぇ?!」
「あと、この事は誰にも言わないで」
「「ふぇぇ?!」」
ヤスカタの言葉に、リリとムムはビックリしたが、もう外に出てしまった為、後の祭りである。
後ろから聞こえるヤスカタの声は、若干寂しそうだった。
「大丈夫よ、見守ってるから・・・さあ、直ぐに帰った方がいいわ」
「はじめはだぁ~れもヒーローじゃなぁい!ちがう形のただちぃっぽけな星なんだ~ぶつかぁりぃあい!はげましあい!立ちはだかる!やっみをこぉえよぉ~!かなしみなんか、ない世界!あいをあきらぁめたくない!どんななみだもかならずかぁわく!ぼくらがかえてく未来!きずなはとぉぎぃれはしない!むぅげぇんにつうづく!光の中へぇぇぇぇ!」
幼い少女の、辿々しい歌声が辺りに響いた。
歌の合間から聞こえてくる環境音が、鳥のさえずりや川のせせらぎから、車の走る音や踏み切りの音に変わっていく。
「わぁ~本当に帰ってこれたね!」
「本当に帰ってきたって言うか」
二人が森を歩いていくと、見慣れたいつもの光景が目に飛び込んできた。
そこはリリの家だったのである。
その後、二人は心配して怒ったリリの母からも、担任の先生からも怒られる事になったのだが、あの森で行方不明になった時、どこで何をしていたのかは絶対に言わなかったと言う。
幼い少女の、辿々しい歌声が辺りに響いた。
歌の合間から聞こえてくる環境音が、鳥のさえずりや川のせせらぎから、車の走る音や踏み切りの音に変わっていく。
「わぁ~本当に帰ってこれたね!」
「本当に帰ってきたって言うか」
二人が森を歩いていくと、見慣れたいつもの光景が目に飛び込んできた。
そこはリリの家だったのである。
その後、二人は心配して怒ったリリの母からも、担任の先生からも怒られる事になったのだが、あの森で行方不明になった時、どこで何をしていたのかは絶対に言わなかったと言う。