『廃墟の町』
更新日:2020/07/24 Fri 12:45:46
目次
「ここは……」
メローナを追って螺旋階段を登りきった愛歩は、息を乱しながら辺りを見渡した。
愛歩は呆気にとられた。そこは廃墟の町のようになっていた。が、普通の廃墟では無い。
道や街頭や家までもがビスケットやクッキーで出来ているのだ。
「すごい…」
愛歩は自分の立っている地面を触った。ふわふわでいい匂いがする……少しちぎってみる。スポンジケーキだ。
「ん?オメーもリビング・ラビリンスに来たんだべか?」
「え?!」
白いマフラーに水色の水着を来た大柄な少女が愛歩の隣に座っていた。
「だべロリ白熊。ここは食べ物がたくさんあって天国だべな」
少女が真っ青な爪の生えた手を差し出してきた。握手のつもりらしい。
「あ、私はーーー」
愛歩は夏休みの最初の方の事件を思い出した。
「サキだよ。よろしく」
握った手は、モフモフしていて柔らかかった。
メローナを追って螺旋階段を登りきった愛歩は、息を乱しながら辺りを見渡した。
愛歩は呆気にとられた。そこは廃墟の町のようになっていた。が、普通の廃墟では無い。
道や街頭や家までもがビスケットやクッキーで出来ているのだ。
「すごい…」
愛歩は自分の立っている地面を触った。ふわふわでいい匂いがする……少しちぎってみる。スポンジケーキだ。
「ん?オメーもリビング・ラビリンスに来たんだべか?」
「え?!」
白いマフラーに水色の水着を来た大柄な少女が愛歩の隣に座っていた。
「だべロリ白熊。ここは食べ物がたくさんあって天国だべな」
少女が真っ青な爪の生えた手を差し出してきた。握手のつもりらしい。
「あ、私はーーー」
愛歩は夏休みの最初の方の事件を思い出した。
「サキだよ。よろしく」
握った手は、モフモフしていて柔らかかった。
「サキは人間だべな?もしかして迷い込んで来たんだべか?」
「えっと…」
愛歩はなんと言えばいいか迷ってしまった。
「もし出たいなら、オラが厨房の出入口まで送り届けるべよ」
「厨房……?」
愛歩は辺りを見渡した。厨房があるのなら、メローナもいるかもしれない。
「だべ、今はここから歩いて七日位の所にあるだべよ」
「なのか…?!」
あまりの事に、愛歩は目を見開く。だべロリ白熊は慌てて訂正したも
「人間の足では、だべ。オラの足なら二時間でつくべよ」
「ま、マジか?!」
「その為にはいっぱい食べて力を蓄えなきゃな」
そう言うと、おもむろにスポンジケーキの地面を食べ始めた。
「え?汚くない?」
自分の靴とだべロリ白熊の肉球が乗った地面なのだ。少しばっちぃ気がする。
今足元を見て気がついたが、自分は素足だった。靴は履いていない。
「オラは気にしないべ!別に喫茶店やってるわけでもねえし。ん?」
だべロリ白熊は何かに気が付いたように愛歩の首に手を伸ばした。
愛歩はビックリしたが、逃げようとする前にだべロリ白熊の手がなにかを捕まえた。
灰色の鼠だ。
「なんだと思ったら鼠だべか、どうしてサキの首にしがみついてたんだべ?」
「尻尾を持つなでち!離すでち!」
でちロリ鼠は鼠から人の形に変身して逃れようとしたが、だべロリ白熊が大きすぎるから、宙吊りの状態になっていた。
手足をバタバタさせてだべロリ白熊の手から離れようとするでちロリ鼠。悲しいかな、手も足も全くだべロリ白熊に届いていない。
「ね、鼠さん」
愛歩は自分の首を擦りながら言った。いつから首に張り付いていたんだろう。
「離せって言ってるでち!さっさとするでち!このデブ!」
だべロリ白熊がでちロリ鼠を離す。べちっと音がしてでちロリ鼠がスポンジケーキの床に落ちた。
「だ、誰が……」
響いてきただべロリ白熊の声に、愛歩はハッとした。とても低い、地を這う蛇のような声だ……
「誰がぁ……」
でちロリ鼠がこっちに向かってあっかんべーをし、鼠に変身してどこか遠くへ逃げていった。鼠状態の彼女は、驚くほど素早い。
「誰がデブだァァァァァァァァァァァァ!!!」
鼓膜が破れるかと思った瞬間、何かが愛歩の耳を掠めた。
「……氷?」
確かに氷だ。愛歩の後ろにあるポッキーの電柱に氷柱が突き刺さっている。
「ま、待って!私じゃない!」
だべロリ白熊は我を忘れているようだ。愛歩に氷の槍が何本も迫る。
時間を止めて避けようとしたが、その前に誰かに引っ張られた。
でちロリ鼠が戻ってきたか、のじゃロリ猫が助けてくれたのだと思い、振り向くと見知らぬ顔。
「やれやれだよ。人間さんの子供を見殺しには出来ないね!」
青いマフラーと犬の耳をした少女が明るく笑った。
「えっと…」
愛歩はなんと言えばいいか迷ってしまった。
「もし出たいなら、オラが厨房の出入口まで送り届けるべよ」
「厨房……?」
愛歩は辺りを見渡した。厨房があるのなら、メローナもいるかもしれない。
「だべ、今はここから歩いて七日位の所にあるだべよ」
「なのか…?!」
あまりの事に、愛歩は目を見開く。だべロリ白熊は慌てて訂正したも
「人間の足では、だべ。オラの足なら二時間でつくべよ」
「ま、マジか?!」
「その為にはいっぱい食べて力を蓄えなきゃな」
そう言うと、おもむろにスポンジケーキの地面を食べ始めた。
「え?汚くない?」
自分の靴とだべロリ白熊の肉球が乗った地面なのだ。少しばっちぃ気がする。
今足元を見て気がついたが、自分は素足だった。靴は履いていない。
「オラは気にしないべ!別に喫茶店やってるわけでもねえし。ん?」
だべロリ白熊は何かに気が付いたように愛歩の首に手を伸ばした。
愛歩はビックリしたが、逃げようとする前にだべロリ白熊の手がなにかを捕まえた。
灰色の鼠だ。
「なんだと思ったら鼠だべか、どうしてサキの首にしがみついてたんだべ?」
「尻尾を持つなでち!離すでち!」
でちロリ鼠は鼠から人の形に変身して逃れようとしたが、だべロリ白熊が大きすぎるから、宙吊りの状態になっていた。
手足をバタバタさせてだべロリ白熊の手から離れようとするでちロリ鼠。悲しいかな、手も足も全くだべロリ白熊に届いていない。
「ね、鼠さん」
愛歩は自分の首を擦りながら言った。いつから首に張り付いていたんだろう。
「離せって言ってるでち!さっさとするでち!このデブ!」
だべロリ白熊がでちロリ鼠を離す。べちっと音がしてでちロリ鼠がスポンジケーキの床に落ちた。
「だ、誰が……」
響いてきただべロリ白熊の声に、愛歩はハッとした。とても低い、地を這う蛇のような声だ……
「誰がぁ……」
でちロリ鼠がこっちに向かってあっかんべーをし、鼠に変身してどこか遠くへ逃げていった。鼠状態の彼女は、驚くほど素早い。
「誰がデブだァァァァァァァァァァァァ!!!」
鼓膜が破れるかと思った瞬間、何かが愛歩の耳を掠めた。
「……氷?」
確かに氷だ。愛歩の後ろにあるポッキーの電柱に氷柱が突き刺さっている。
「ま、待って!私じゃない!」
だべロリ白熊は我を忘れているようだ。愛歩に氷の槍が何本も迫る。
時間を止めて避けようとしたが、その前に誰かに引っ張られた。
でちロリ鼠が戻ってきたか、のじゃロリ猫が助けてくれたのだと思い、振り向くと見知らぬ顔。
「やれやれだよ。人間さんの子供を見殺しには出来ないね!」
青いマフラーと犬の耳をした少女が明るく笑った。