【解説】
『
輝爍の撒き手』(きしゃくのまきて)の
称号を持つ、“糜砕の裂眥”
バラルのフレイムヘイズ。
炎の色は桃色。閉じた目を意匠した金色のブレスレット型の
神器“
クルワッハ”を、右手にはめている。
百戦錬磨の強力なフレイムヘイズであり、現代の[
仮装舞踏会]との決戦においては、『
儀装の駆り手』
カムシンと共にフレイムヘイズ陣営の切り札とも評されるほどの猛者であり、フレイムヘイズ屈指の強者。
ショートヘアの似合う細身の美人。ではあるが、少々過ぎた眼光と、印象的な悪戯っぽい笑みが無用にドスの効いた雰囲気を醸し出しており、ラフな着こなしとチグハグな出で立ちが只者ではない印象を助長している。
目つきは悪いが口も悪い。短気で大雑把な性格らしく、XVII巻では暴れる怪我人はぶん殴って昏倒させ、東京
外界宿支部のドアや床を破壊している。
『
爆弾』と称されている
自在法の使い手で、着弾すると爆発する光の球を投げつけたり、光を照射したところを爆破する等、豪快かつ大威力の力を発揮する。
『爆弾』には幾つかバリエーションがあり、単純にレベッカ自身が作りだしたり、人間大の瞳の形の
自在式を出現させ、相手の
炎弾を受け止めて球状に凝縮して爆弾を作り出したり、『
地雷』と呼ばれる遠隔任意爆破可能な爆弾を作り出すことも出来る。他にも『
爆閃』という目くらましの自在法があり、豪華客船
ロード・オブ・ザ・シーズで新参の“徒”たちが『
両界の嗣子』
ユストゥス見たさに殺到しようとした際に使用している。
フリーダー曰く「バカ爆弾」。
ゾフィーからは「利かん坊」、
ザムエルからは「暴れ馬」、[仮装舞踏会]の構成員からは「爆弾魔」の
あだ名を奉られていた。
その性分からか指揮官や集団戦には元来向いていないと自嘲するが、細かな気配りや子分への気遣いも出来、外界宿東京総本部に詰める立場あるフレイムヘイズとしての自覚もしっかりと持ち合わせている。
いつの時点でか“壊刃”
サブラクと交戦し、自身に簡単に滅ぼされたフレイムヘイズと比較して、「『輝爍の撒き手』ほどでなくても、もう少し歯ごたえがなくては」と言わしめた強力な討ち手。
20世紀初頭のハワイ争奪戦では、知己である
ピエトロから頼まれて部隊長を引き受け、フリーダーと共に制圧部隊のリーダー、主戦力として活躍。
1930年代にも強力な討ち手として知られており、
ユーリイ・フヴォイカから尊敬するフレイムヘイズのひとりとして名を挙げられていた。
本編開始の2年前の時点で、ピエトロとヴィルヘルミナとの会話において言及された。どうやら、彼に(ヴィルヘルミナの時とまったく同じ文句で)口説かれたことがあるようだ。彼の死後もその名を口にするあたり、いい旧友であったようだ。
[仮装舞踏会]との決戦を控えて張りつめていた外界宿東京総本部で、軟禁されていた
佐藤を己の一存で解放し、彼の取り扱いを巡ってフリーダーを始めとする総本部の面々と(意図的に)決裂し、その本部責任者の地位を(脅迫じみた宣告で)降りさせてもらっている。
その直後に、ヴィルヘルミナが計画したシャナ奪還作戦に協力するため、彼女との合流地点に向かった。
ヴィルヘルミナやカムシンとの合流後は、ヴィルヘルミナが浮上させた『
天道宮』に乗り込み、『
星黎殿』内部に繋がる通路が修復した後、『星黎殿』に内部から侵入。そして事前の打ち合わせ通りに、ヴィルヘルミナが単独潜入でシャナを奪還するまでの陽動として、爆破の自在法を放って暴れ回る。
その結果、『星黎殿』守備隊を率いる
プルソンと遭遇し戦闘になるが、爆破の自在法と『
地雷』を駆使した熾烈な攻防の末に胸部を撃ち抜かれて重傷を負い、止めの一撃を放たれた。しかし、『星黎殿』が地上に落下したときの衝撃で狙いが外れ、負傷のために数秒遅れて放たれていた逆撃という幸運のため、プルソンを討滅できた。
その後、シャナとヴィルヘルミナが迎えに来てカムシンと合流し、情報交換を行った後に「悠二を追う」と宣言したシャナに同意し、未だ身体を起こせない状態ながらもシャナたちと共に『
神門』に突入した。
そして『
詣道』の途中で待ち伏せしていたサブラクと遭遇する頃には傷も癒え、シャナを一人先に行かせて自身はヴィルヘルミナやカムシンと共に交戦を開始。戦闘ではサブラクの新たな自在法『
スティグマータ』をヴィルヘルミナの次に喰らい、残るカムシンも単独交戦の末に喰らってしまい、敗北は時間の問題となっていたが、それでも戦闘を続行し続けている。
しかしその最中、『詣道』を遡って来た“
祭礼の蛇”神体を見て、かつてない衝撃に呑まれ隙だらけになったサブラクに総攻撃を加え、何の対処もせずにまともに喰らったサブラクを
両界の狭間に落とし、命を拾う。
そのままシャナと合流して“祭礼の蛇”神体の上に飛び移り、
ヘカテーと交戦。色付く影達の援護と相手が全力を出せぬ事を利用して辛うじて生き残った。『詣道』を抜ける寸前、色付く影達の助力でその場を離脱し、“祭礼の蛇”神体たちより一足早く『神門』を抜けてこの世に帰還した。
この世に帰還してからは、直後の“祭礼の蛇”による『
大命』宣布を聞いた後、南部の出城でゾフィー・サバリッシュら
兵団幹部の会議に参加し、方針を確認。『大命』宣布に対して、表面上は特別の動揺は見られなかった。
カムシンと共に、敵南方防衛線の先遣隊を部隊長
パイモンごと撃破後、戦場南部の出城を放棄し、『引潮』作戦に従って東部の保塁へと転進。
しかし、その途上で“祭礼の蛇”坂井悠二による二度目の宣布を受け、己の存在意義を揺るがされ拠り所を失った討ち手たちはパニックを起こして逃げ惑い、次々と殺害され、兵団は完全に崩壊・消滅した。
それでも、[仮装舞踏会]の包囲網内で未だ辛うじて生き残っていた討ち手らを助けるために、揺るがずに残った極僅かの討ち手らと共に偽『天道宮』を用いた偽計を実行。マージョリーが作成した光球を従えて包囲網を混乱させる囮の一人となり、戦場の南東に向けて脱出していった。
中国南西部の戦場から脱出した後は、シャナたちとは合流せずに別行動をとっており、武漢で『天道宮』を分捕ってから新世界に渡る意思のあるフレイムヘイズ千二百二十五名を世界中からかき集め、『天道宮』ごと『
天梯』を通って創造された新世界『
無何有鏡』へ旅立った。
新世界へ渡り来てから一年後の春、『天道宮』を訪れてヴィルヘルミナと『
両界の嗣子』
ユストゥスの様子を見ながらかつて自分がふったフリーダーの話をしていると、やって来たシャナと再会し、新世界の外界宿の再編成について語り合っている。
【由来・元ネタ推察】
「レベッカ・リード」
「レベッカ」は、両世界大戦の間に活躍したイギリスの女性作曲家「レベッカ・ヘルフェリッヒ・クラーク(Rebecca Helferich Clarke)」から、
「リード」は、吹奏楽において20世紀を代表する作曲家「アルフレッド・リード(Alfred Reed)」からではないかと思われる。
「輝爍の撒き手」
「輝」は光り輝くこと、「爍」は「灼」と同義であり、同じく光り輝く様を表す。称号は、「輝く光を撒きちらす者」という意味だと思われる。
最終更新:2024年10月31日 18:23