The Elder Scrolls Ⅲ:Morrowind

概要

2002年発売。主要スタッフがかわり、Skyrimでも使われているテーマ曲(Skyrimのタイトル曲はそのアレンジ)が初登場するなど現在のTESシリーズの基礎となった。

神の心臓

遥か昔、モロウウィンドには2つの種族が覇を競っていた。一つはドゥーマー。深きエルフ、機械文明を極めた者達。
そしてもう一つ。デイドラロードのアズラ、ボエシア、メファーラ三神の加護を得たチャイマー。
二つのエルフ族は荒野の大地を血に染めて、争いを繰り返していた。
スカイリムにも進出していたドゥーマーは、チャイマーとノルドに挟まれ苦汁を舐めていた。
勢力が拮抗したまま時が過ぎていく中、あるドゥーマーがモロウウィンドの孤島ヴァーデンフェルに位置する世界一の火山、
レッドマウンテンの鉱脈を採掘中に、地中から不思議な石を発見する。
ドゥーマーたちはそれを調べ、こう結論する。この石は、創世期に罰としてこの世界に投げ込まれた造物主ロルカーンの心臓であると。
彼らは驚愕し、そして狂喜した。絶大なる心臓の力を以ってすれば、モロウウィンドのチャイマーもスカイリムのノルドも、
敵ですらなくなるだろうと。
彼らは持てる知識と技術を注ぎ、神の心臓からその力を抽出し、我が物とする三つの祭器を造りだした。
『サンダー』は心臓を打つ戦槌。『キーニング』は力を収束させる剣。『レイスガード』はそれらを扱うための篭手。
そしてレッドマウンテンでの決戦の日。
死闘に次ぐ死闘で英雄達が次々と斃れて行く中、ドゥーマーたちは遂に心臓の力を引き出す儀式を行った。
その結果、彼らがどうなったかは誰も知らない。その日を境に、ドゥーマーという種族全てが、タムリエルから消滅してしまったのだから。
結果的に勝利したチャイマー達が見つけたものは、三つの祭器と神の心臓、そして主の居ない遺跡と成り果てた、ドゥーマーの創造物だった。

アズラの預言

チャイマーの戦士であるインドリル・ネレヴァルとダゴス・ウル。彼らは無二の親友であり、輝かしい功績を持つ英雄だった。
ドゥーマーとの決戦に勝利した彼らは、レッドマウンテンで『神の心臓』と三つの祭器を発見する。
想像を絶する程の力をもつ心臓と祭器の処遇を、彼らはチャイマーの三賢者『トリビュナル』に委ねた。
ネレヴァルはダゴスに祭器を託すとレッドマウンテンを下山。トリビュナルと合流し、レッドマウンテンへと帰還する。
ところが、彼らが戻った時、ダゴスは祭器の放つ魔力に取り憑かれ狂気に陥っていた。
ダゴスは、あろうことかネレヴァルに向かって、親友との誓いを守ると言い放ち、祭器を渡さず襲い掛かったのだ。
4人はダゴスを打倒するものの、ネレヴァルとトリビュナルは人知を超えた存在である祭器と心臓を封印することを誓った。
しかしネレヴァルの死後、誓いは破られる。トリビュナルは祭器と心臓の誘惑に負け、レッドマウンテンに赴き、祭器を用い自らを神にする儀式を行ってしまう。
その直後、彼らの前にチャイマーの守護神であるデイドラロード・アズラが降臨し、怒りを微塵も隠さずに言い放った。
定命の者が、神になろうとするなど言語道断。ましてや死に旅立った友との誓いを裏切り、永遠を得るという卑劣を許さないと。
アズラは自らの加護を奪い去り、彼らの種族全てに呪いを掛けた。子々孫々に至るまで肌は蒼く死人のように、瞳は炎のように紅く邪なる光を放つように。
チャイマーではなくダンマー…ダークエルフとしての生を与え、彼らが自らの犯した罪を、永久に忘れ得ない為に。
そして彼女は預言を残した。
「いつの日かネレヴァルが転生し、モロウウィンドに顕れ、この過ちを正しに来るであろう。」

そして時は流れ、第三紀427年、ある一人の囚人がこの地に解放される…


モロウウィンドについて

モロウウィンドに降り立った囚人は、解放の代償に皇帝直属の組織ブレイズとしての指令を受ける。
先達である工作員「カイウス」の下で、あらゆる組織に潜伏するブレイズ達と行動を共にするうちに、
やがてヴァーデンフェルを取り巻く逼迫した状況を理解していく。
モロウウィンドを統べる三柱神「トリビュナル」による平和が、蘇った魔人「ダゴス・ウル」により脅かされている事。
世界が終わりを迎える時、英雄ネレヴァルが蘇り、歪みを正し新たな秩序をもたらすという伝承がある事。
そして囚人は、自らがこの地に開放された本当の意味を理解する。
帝国から「英雄ネレヴァルの再来」となるべくして、モロウウィンドへと差し向けられた事を。


失われた伝説

ブレイズの指令により英雄「インドリル・ネレヴァル」の伝承についての調査を命じられた囚人は、
トリビュナル崇拝とは異なる信仰を持つダークエルフ「アッシュランダー」の住まう荒野へと分け入る。
訪れたアッシュランダー達のキャンプ「アーシラク」で出会った、賢女「スール」。
彼女の課す試練を乗り越えた囚人は、アッシュランダーに伝わる七つの「ネレヴァリンの予言」を授かる。
その第一の予言は、「出自を知らぬ異邦人、ネレヴァルの再来“ネレヴァリン”として顕現する」。
虜囚の身としてヴァーデンフェルを訪れ、その出自に関する一切の記憶を持たぬ者。
囚人の身上は、奇しくも予言に合致するものであった。


不死の血

第二の予言は「あらゆる病魔も呪詛すらも、ネレヴァリンを滅せない」。
ブレイズに帰還した囚人は、新たな指令によりダゴス・ウルの軍勢「ハウス・ダゴス」と相対する。
その尖兵を退けたものの、ダゴスの呪詛、不治の病魔「コープラス」に体を蝕まれてしまう。
コープラスは感染した者のあらゆる病を超越し、最後に感染者を滅ぼす最悪の病魔。
カイウスの人脈を頼り、囚人はモロウウィンド五大家の一つ「テルヴァンニ家」の魔術師「ディベイス」に助力を請う。
彼の調合した、不治の病コープラスを治癒せず、共生するという発想の薬は、
最強の病魔を抑え込み、結果として全ての病に打ち勝つ肉体を囚人に与えた。
紆余曲折を経て、第二の予言は成就する事となった。


ドゥーマー太古の物語

魔術師ディベイスの棲む塔には、囚人の他にもコープラスを克服した者が存在した。
「ヤグラム」と名乗る彼は、太古の昔に消滅した種族「ドゥーマー」の最後の生存者。
永劫の時を生きたヤグラムは厳かに語る。
神話の時代の戦乱、ドゥーマーとチャイマーの戦いの事。
天才鍛冶師「カグレナック」の生み出した遺物、創造主「ロルカーン」の心臓から力を得る神器「カグレナックの祭器」の事。
そして、それを用いたドゥーマー達が、結果としてこの地上から永遠に姿を消した事を。


現代の異端

コープラスを克服した囚人は、カイウスの元へと帰還する。
しかしカイウスは、帝国で発生した騒乱に対処する為に、囚人を残し「シロディール」へと帰国してしまう。
帝国の監視からの解放は自身の釈放とも同義。しかし囚人は、自らの使命を果たす事を決意する。
帝国のブレイズとしてではなく、モロウウィンドに生きる者として。
次なる指令は、異端教団との接触。司祭「メーラ」を訪ね、首都「ヴィベク」へと赴くものの、
既に三柱神を崇拝する教団、「トリビュナル・テンプル」の手が回り、メーラは首都の空中監獄へと投獄されていた。
囚人は空中浮遊の魔法を駆使し監獄へと潜入、彼女を救出する事に成功する。
メーラと異端教団の協力を得た囚人は、テンプルが封印した「ネレヴァリンの失われた予言」と、
三柱神とダゴス、そして英雄ネレヴァルが生きた神話の時代の伝承を授かった。


ネレヴァルの月と星

失われた予言を携え、賢女スールと邂逅した囚人は、続く新たな予言を成就すべく行動する。
第三の予言は、「闇の中、アズラの瞳は月と星を照らす」。
伝承を頼りに訪れたアズラの祠で、囚人は天から響く言葉と共に「月と星の指環」を授かる。
カグレナックが英雄ネレヴァルに贈ったとされるこの指環は、他者が身に付けると、瞬く間にその命を奪うという。
だが、囚人は迷う事無くその指を通す。月と星の指環は沈黙を保ち、正統なる主の帰還を受け入れた。
予言は成就され、英雄ネレヴァルは遂に蘇った。英雄の再来、「ネレヴァリン」として。


古き習わし

第四の予言は、「異邦人の声が氏族を一つに。人は彼を“ホーテイター”と呼ぶ」。
第五の予言は、「異邦人の手が部族を一つに。人は彼を“ネレヴァリン”と呼ぶ」。
予言に従い、ネレヴァリンはヴァーデンフェルを渡り歩く。
ヴァーデンフェルのグレート・ハウス「テルヴァンニ家」「フラール家」「レドラン家」。
アッシュランダーの四部族「アヘムーサ」「エラベニムサン」「アーシラク」「ザイナブ」。
救いを求める者達にはその手を差し伸べ、私欲の為に救世主の再来を拒む者達とは対峙する。
行脚の果てに、アッシュランダーのネレヴァリンは、グレート・ハウスの導き手「ホーテイター」とも呼ばれていく。
伝承は現代に蘇り、二つの予言もまた成就した。


栄光と嘆き

ネレヴァル再来の噂は巡り、ヴァーデンフェルを統治する現人神「ヴィベク」は遂にネレヴァリンを招聘する。
トリビュナル・テンプルへと赴いたネレヴァリンに、ヴィベクはその胸の内を語る。
遥かな過去、ネレヴァルとの誓いを破り、ロルカーンの心臓の力を得た事に対する後悔。
その力を用いて築き上げた、モロウウィンドの永き平和の時代に対する誇り。
ダゴスを討ち、ロルカーンの心臓を破壊する事は、力の源を同じくする三柱神トリビュナルの力をも奪う結果となる事。
それでも、モロウウィンドに生きる者達のために、ダゴスを討たねばならないという事。
ヴィベクの苦悩と願いを受け入れたネレヴァリンは、ダゴス打倒の計略を授かる。
そして、ロルカーンの心臓に触れる者を護る篭手、カグレナックの祭器「レイスガード」を授かった。


レッドマウンテンの戦い

ヴァーデンフェルの中心部、灰の嵐が吹き荒れる「レッドマウンテン」。
現人神が築いた防護柵「ゴーストフェンス」を抜け、ダゴスの居城へと侵攻したネレヴァリンは、
ダゴスの持つ2つのカグレナックの祭器を守護する、アッシュ・ヴァンパイア達と対峙する。
それは第六の予言、「悼まれぬ者達に誉れを与え、罪を赦し転生させる」を果たす戦いでもあった。
激戦の末、心臓の力を抽出する槌「サンダー」、その力を制御する短剣「キーニング」を奪還したネレヴァリン。
目指すはレッドマウンテンの最奥部。ダゴスの玉座、そしてロルカーンの心臓が座する聖域「ハートチャンバー」へと突き進んでいく。


伝説の災厄

ハートチャンバーでネレヴァリンが目にしたものは、「西の歪み」の再来。
ダゴスの築いた新たなゴーレム「アクラカーン」が聳え立ち、心臓から湧き出る魔力が注ぎ込まれていた。
胎動するゴーレムを背にした魔神ダゴス・ウルはネレヴァリンに語りかける。
かつての絆を再び取り戻し、共にこの世界を支配しようと。
しかし、ネレヴァリンは否定する。握り締めたその手に、カグレナックの祭器を携えて。
神の力を持つダゴスの熾烈な攻撃を掻い潜り、ロルカーンの心臓の下へと駆け抜けたネレヴァリンは、
「レイスガード」に護られた腕で「サンダー」を振るい、そして「キーニング」で心臓の力を解き放つ。
激しい閃光を放ち、ロルカーンの心臓は消滅した。そして同時にダゴスのゴーレム、アクラカーンも崩れ落ちていく。
自らの力の源を失ったダゴスもまた、崩壊するアクラカーンと共に、溶岩の滾る火口へと消えていった。


アズラの祈り

ダゴスを討ち果たし、ハートチャンバーを去るネレヴァリン。その眼前に、女神アズラが降臨する。
第七の予言、「彼の者は偽りの神々を開放し、綻びを紡ぎ、狂気から救い出す」。
心臓は開放され、神の力は在るべき場所へと還る。
アズラの祝福により、遂に最後の予言が成就された。

ヴィベクの下へと帰還し、全てが終わった事を告げるネレヴァリン。
ダゴスと同じく現人神としての力を失ったヴィベクは、感謝の言葉と共に最後の願いを口にする。
「ダゴス亡き後も、モロウウィンドの人々を護って欲しい。私もこの命の続く限り、民の為に生きる」と。
ネレヴァリンは、ただ静かに頷いたのだった。

神の名を冠する首都を後にし、ネレヴァリンが見上げた大空は、
ダゴスの魔力により吹き荒れていた紅い灰の嵐が止み、清らかに晴れ渡っていた。
それは、モロウウィンドに再び訪れた平和が永遠に続くであろう未来を、
祝福しているかのようにも思える青さだった。

ネレヴァリンの旅は続く。
エルダースクロールに刻まれた英雄の物語は、始まったばかりなのだから…

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最終更新:2018年03月04日 19:26