森薫

乙嫁語り





 ため息が出るような丁寧な絵。取材や勉強をたくさんしたんだろうなぁという内容で、1冊がすごく濃い内容。
 遊牧民のお話で、最初は別の部族から嫁いできたアミルという女の子が出てくる。夫のカルルクは12歳で、アミルより8歳年下。この環境でも珍しい年の差の夫婦だけど、アミルが少しずつ環境に馴染んでいく様を追っている。3巻まで読んだけど、もしかするとこの2人が主人公というわけではないのかもしれない。
 この2人に焦点を当ててはいるものの、興味深い理由は他にもある。話の流れ以外にも込められている情報がとても多いことだ。例えば、彼らの部族にとっては布がとても重要なもので娘が生まれるとたくさんの布を織り、嫁入り道具に持たせるのだという風習や、その刺繍がものすごく細かいこと、刺繍の腕が良い女ランキングの元になっているとか、パンの模様も細かいとか、そういう一見頭がよくなりそうな知識がたくさん詰め込まれている。
 知り合いが一人もいないところの、顔も知らない夫へ一人馬を駆り嫁ぐという、今の時代の一般人なら考えられないシチュエーションでも、人の営みは変わらずにあったということを再認識させてくれる。もちろん幸せな環境でない人もいただろうけど、アミルの嫁いだ家族はとても暖かく心がふんわりする。
 これも続きが楽しみだなー。
(2012/11/29)

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最終更新:2012年11月29日 19:40
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