ダン・ブラウン

天使と悪魔




 「ダ・ヴィンチ・コード」のラングドンシリーズ第一作目です。巷ではこっちの方が面白いとの噂でしたので、期待して読み始めました。結果はというと、確かにダヴィンチ~より面白かったです。序盤の展開は割とたらたらしていましたが、中盤からの追い上げがすごい。文庫で読んだので上中下とありましたが、中と下は一気に読んでしまいました。
 今回の舞台はヴァチカンです。どうやって取材したんやろ。ダヴィンチ~は宗教的に文句が来たようですが、私から見るとヴァチカンの威信をかけるならこっちに文句を言った方がいいのでは?ってな内容でした。
 美術/芸術/宗教に関する豆知識(正しいかどうかは置いといて)はてんこ盛りですし、サスペンスな展開は面白く、翻弄されること間違いなしですし、ダヴィンチ~を面白いと思った人には文句なくお勧めですよ。映画化も決まっているようなので、読んでみてはいかがでしょうか。私はダヴィンチ~映画は、本を読んだ後で良かったと思いましたし、この「天使と悪魔」も読んでからの方がいいと思います。
 ただ感動や涙を求める人は多分向きません。「あ~面白かった!」で終わりじゃないかな。そういうのを求めている人はいいと思います。

 ここから先はネタバレです。
 原子云々のくだりは、ちょっと眉唾だと思いました。私に知識があるからそう言うのではなく、設定としてもどうかな、と。ラングドンシリーズは「トンデモ設定をさも真実であるように信じさせる」のがいいのであって、トンデモの内容の正否は問わないと個人的には考えています。真実はどうであれ、それを甘んじて飲み込める程度の信憑性があれば良いというスタンスです。その上で、原子話はちょっと受け入れがたいと感じました。まぁ物語の中ではさほど重要なファクターでは無いのに、つらつらと説明されるのが辛かっただけかもしれません。本題はそこじゃないから「すっごいの作っちゃったんだ♪」でも良かったんじゃないかな。でも説得力が無いとしんどいか。読者ってわがままだなぁ、って自分で言っちゃ駄目ですね。
 ヒロインとまた恋に落ちるところは笑ってしまいました。またそれかい!って。ダヴィンチ~には彼女は出てきていませんでしたが、その辺は別に気にしなくていいのか。独身だからいいのか。外国のお話には、危機を乗り越えた男女は恋に落ちるパターンが多いなぁと思いました。
 でも面白かったです。今まで読んだダン・ブラウン作では一番ですね。シドニィ・シェルダンみたいに日本でも流行るのかな。でもああいう流行り方はなんだか嫌かも。
 これ一冊書くのにすごく調査やらが必要そうですね。次出たら読んでみたいけど、買う気にはならないかも。一回読んだらいいかなぁ。文句なしに面白いけど、読み返したくはないです。ちょっと複雑。
(2006/11/22)

ダ・ヴィンチ・コード


[429] Client error: `POST https://webservices.amazon.co.jp/paapi5/getitems` resulted in a `429 Too Many Requests` response: {"__type":"com.amazon.paapi5#TooManyRequestsException","Errors":[{"Code":"TooManyRequests","Message":"The request was de (truncated...)
 なかなか手を出せずにいたのですが、映画公開を機に読みました。面白かったです。
 舞台はフランスとかイギリスとか。横文字オンパレードで辛かった…。それでも英訳っぽい文章もなく、かなり読みやすかったんですけどね。シリーズ物のようで、「前の事件がどーたらこーたら」っていう記述もありましたが、それを知らなくても充分楽しめました。知ってたらもっと楽しめたのかもしれません。
 主人公は宗教とか美術とかに詳しいロバート。ある日の深夜いきなり警察に同行を求められます。訳が分からず着いて行くと、そこには奇妙な殺人現場が。要はこの殺人事件の黒幕探しのお話です。妙齢の女性も登場します。彼女と二人で謎を解いていく訳です。
 推理小説って言うんでしょうか、久しぶりに謎を解いて黒幕を捜すぞってお話を読みました。このお話の魅力的な所は、謎が全て宗教/美術に関わるところ、そしてそのヒントが全て暗号になっているところでしょうか。謎を解くとまた謎が出てきて、スピード感のある展開です。うまいこと言えませんが、グーニーズって映画にわくわくした人は好きなんじゃないでしょうか。暗号って心踊りませんか。ましてやそれが歴史的な芸術品に絡んでいたらなおさらです。
 題名の通り、レオナルドダヴィンチの作品が多く出てきます。文庫本では巻頭に物語り中に出てくる美術品の写真が載っていたので、それを見ながら読むのも面白かったです。また「この作品に出ている文献とかは全部本物なんですよ」って書かれているんですね。普通「このお話はフィクションやから似た団体名とかあったとしても関係ないからね!」って主張する所なのに。そう書かれちゃうと逆に「リアリティ持たせる為にそんなこと言ってるのかしら」とか勘繰っちゃいました。でもそういう小技も面白かったです。実際かなり本当っぽくて、鵜呑みにしちゃいそうになりましたから。ヴァチカンから抗議が来たとか噂に聞きましたけど、確かにキリスト教徒に取っては、かなり嫌な内容かもしれません。信仰を持っている友人には勧めませんでした。
 美術品/宗教絡みって謎が多くて面白いなぁと思いました。なんか今でも謎が残されていて、かつ宗教的な理由からそれを研究させない、っていうところにロマンを感じるというか。宗教を信じる側ではなく、研究する側からの視点みたいなのが新鮮でした。
 推理小説好き!っていう人は読んでも損はないと思います。宗教/美術の蘊蓄が好きな人にも。少し長めだけどあっという間に読めましたし。文庫本なら電車でも読みやすいですよ。

 黒幕がわかった時、あまり「ええっ」という感じはしませんでした。先が読みたいだけで、推理は巡らせていなかったので。犯人が分かった状態でもう一度読んだら面白いのかな~。お勧めしといてなんですが、もう一度読み返す気力は今のところないです。ただ所々蘊蓄部分は面白かったので、推理小説としてよりそっちは読み返したいかな。かなり斜め読みしたので。勿体なかった。
 ラストシーンでキスするところ、笑えてしまいました。なんかハリウッド映画の終わり方っぽくて。ロバートはおじいさんだと想いながら読んでいたのですが、何歳だったのでしょう。今手元に本がないのでわかりません。でもハリウッド映画見てると自分のお父ん位の人と平気で恋に落ちたり出来るので、不思議です。私は一回り以上離れてると全くそんな気にならないので。
 結局聖杯は美術館にあるんだよってことでいいのかな。実は、最後はせかされながら読んだので、オチがよくわかっていません。祖母と弟が生きていたってとこは、最後に意外で面白かったです。謎が多すぎて、犯人が分かった時に「あれ、終わるの?」って感じでした。翻弄されすぎ。実はまだ謎があるんちゃうん?みたいな。
(2006/06/01)

名前:
コメント:

[カウンタ: - ]
最終更新:2007年04月02日 23:47
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。