マルドゥック・スクランブル

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&font(#6495ED){登録日}:2010/11/16(火) 02:26:55 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 6 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- #center(){&font(#ff0000){「どうして私なの?」}} #center(){&font(#FFD400){「選択をするんだ」}} #center(){&font(#FFD400){「生存の選択。その権利は君にある」}} #center(){&font(#ff0000){「死にたくない──」}} #center(){&font(#e6e6fa){それは、彼女の選択──}} #center(){''Mardock Scramble''} ■著作 冲方丁 ■出版社 早川書房 冲方氏が二十代前半の頃に書いた作品。 長い間出版の機会を与えられなかったそうだが、2003年になってようやくハヤカワ文庫で刊行された。 結果、同年の日本SF大賞受賞に至った作品である。 ■ストーリー スラムにて少女娼婦として生活を送っていたバロットはある日、ショーギャンブラーのシェルに救われる。 シェルと暮らしていく中、バロットは自分がどのように住民登録されているのか疑問を抱く。   確認した結果、バロットはシェルの計画により命を落としかける。 しかし彼女は人命保護を目的とした緊急法令「マルドゥック・スクランブル09」を適用され、声帯を失うものの一命を取り留める。 バロットは委任事件担当捜査官であるドクター・イースター、そして「万能道具存在」ウフコックと共に、 自らの力とウフコックを駆使してシェルの犯罪を暴き、自らの生きる意味を探していく。 ■概要 圧縮〈The 1st Compression〉、燃焼〈The 2nd Combustion〉、排気〈The 3rd Exhaust〉の三部に分かれたSF作品、銃活劇。 肉弾戦闘だけではなく、性的な描写や『[[LIAR GAME]]』のような知能・心理戦まで描かれている。 特に知能戦に至っては十年前にビジネスホテルで五日間閉じこもって反吐を吐きながらも書ききったそうである。 この心理戦も含めて頭を使う部分が結構多いため、読破には結構時間が掛かると思われる。 前日談としてボイルドとウフコックの過去を描いた『マルドゥック・ヴェロシティ』が出版された。 変態サイボーグ軍団との能力バトル要素が強めかつ話も暗く、また文体がかなり独特なため人を選ぶ。こちらも新装版が出ている。   また、2011年には完結編としてウフコックの物語である『マルドゥック・アノニマス』が刊行予定。 ……だったが、伸びに伸びて2015年から早川書房の雑誌「SFマガジン」の連載を経て2016年にようやく出版された。 現在も『マルドゥック・アニノマス』は「SFマガジン」で連載中である。 本作品は 初版(文庫)→改訂新版(ハードカバー)→完全版(文庫) と改訂を重ねた小説で、改訂する度に書き直していった。 様々な人から&font(#ff0000){バカじゃないか}──と批判されつつも一から手直ししたのは、 この作品を通じて切り開いた作家・冲方丁のプロ意識によるものである。 その後本作品は様々なメディア展開がなされ、大今良時によるコミカライズや劇場アニメ化がなされた。 ■アニメ 2005年に一度GONZO制作でのアニメ化予定があったが、中止の憂き目に会っている。 しかしその五年後、東京国際アニメフェア2010で三部作劇場アニメとして制作されることが決定。 制作は「プリンセスラバー!」などを手がけたGoHands。 2010年に公開された「圧縮」を皮切りに、約一年のスパンを置いて三部作が公開された。 一部につき60分、全三部作を180分に詰め込むというやや詰め込み気味な構成のため展開が急な感はあるものの、 原作のイメージ通りに描かれた劇中のヴィジュアル、華麗な戦闘シーンなどスタッフの原作愛が随所にあふれており、 原作ファンからはある程度高い評価を得ている。 ただ展開の急さから原作を読んでいないとついていけない部分もある。 100%楽しみたいなら、一度は原作を読んでおくことをオススメする。 ■世界観 舞台は近未来のとある州国家に存在する大都市マルドゥックシティ。(明言はされていないが英語が公用語であること、州に分かれている大国、ネイティブアメリカンそのものな民族が存在することなどからアメリカ合衆国と思われる) この都市は様々な経済利権により急激に発展を遂げていたが同時に貧富の格差も拡大し、近代的で清潔な市街地と治安も衛生も劣悪なスラム街の両方を内包するという歪みを抱えていた。 結果、スラム街を根城にマフィアが台頭し、政治家や大企業とも癒着して利益をむさぼることで急激に治安が悪化。 マフィアや大企業の違法行為の撲滅を図る市議会と法務局はとある科学者の発案により緊急法令マルドゥックスクランブル09を発足。 それは違法の軍事技術の使用を人命救助と犯罪捜査にのみ認めるという法令だった。 かつて軍事技術研究所『楽園』にて改造兵士の研究をしていた科学者ドクター・イースターとそのパートナーのウフコック・ペンティーノはマルドゥックスクランブル09に基づいて犯罪捜査や人命救助を行う委任事件担当捜査官となり、自分たちの有用性を社会に証明するべく犯罪捜査をおこなっていた。 彼らはある時カジノを利用したマフィアのマネーロンダリングの証拠を摘発すべく、その重要参考人であるシェル・セプティノスを監視していたところ、シェルによってルーン=バロットが焼き殺されそうになるところを目撃、重傷を負った彼女を救うべく禁断の軍事技術を使用して彼女を救命し、そしてシェル、そしてその裏の黒幕たちとの戦いを開始するのだった。 ■登場人物 名前のモチーフは[[卵>ゆで卵(料理)]]である。 -''ルーン=バロット'' CV:[[林原めぐみ]] 本作品の主人公。 未成年(15歳)の娼婦であり、シェルに謀殺されかけたがスクランブル09により存命。 その過程で電子干渉(スナーク)能力を手に入れた。 シェルの事件を追う中、自己を知り、成長していく。 一見ぼんやりとした大人しい女の子に見えるが、それは悲惨な人生を歩んできて日常的に重度のストレスにさらされてきたために自分の心を押し殺して無感覚状態になることが習慣化していたため。 実際は『なぜ自分がこんな理不尽な人生を歩まないといけないんだ』という怒りと絶望を内心に秘めており、シェルに焼き殺されそうになったことが切っ掛けでそれは激しい憎悪となっていく。 しかしウフコックとの交流の中でその心は少しずつ癒され、成長していった。 電子干渉(スナーク)能力:バロットの全身の皮膚に移植された代謝性金属繊維を通じて電子的に周囲を認識するとともに、電磁波を発生させて電子ネットワークに侵入してそれを操る能力。 強大なハッキング能力を持ち、バロットの場合はさらにこの能力で自分の体内を調節することで優れた体術にも応用できる。 -''ウフコック=ペンティーノ'' CV:八嶋智人 金の卵(ブリオン)。万能道具的存在(ユニバーサルアイテム)。 委任事件担当捜査官。 戦略・戦闘に特化された喋ることが可能な黄金のネズミ。 バロットの相棒となり、匂いを嗅ぎとって敵の感情を読み取ったり、銃や衣装に変化することで事件解決に貢献していく。 明晰な頭脳と善意の権化とでもいうべき性格を持ち、常に他者に思い遣りをもって行動する人格者(ネズミだけど)。短絡的な手段を嫌い、最善の手段を求めすぎて悩むことも多いこと、ウフコックが半熟卵という意味もあることからイースターからは『煮え切らないやつ』というあだ名で呼ばれることもある。 それゆえに徹底的な不殺主義者で犯罪者であっても殺さずに無力化して逮捕しようとする。だがけして甘くはなく、犯罪者を殺さず無力化するためなら情け容赦ない手段を講じる非情さも併せ持つ。 正体は人工衛星4基分の開発と打ち上げに匹敵するほどの大予算をかけてネズミを改造することで開発された軍用生物兵器。 その能力は空間歪曲技術を利用して体内の亜空間に膨大な質量を保持し、それを多次元的にターンさせることで様々な道具を生み出すというもの。 ウフコックの体内のメモリには様々な道具の三次元構造が登録されており、それに従って色々な道具を生み出すことができる。それはナイフや食器などの単純な道具から各種銃器、防護服、電子機器、ハイテク手術器具など多岐にわたる。 ただし自動車などの大きくて複雑なものの場合は個別に部品を作って後から組み立てる必要がある。 また、ロケットランチャーやミサイルなどの一定以上の破壊力の軍事兵器を生み出すことは法的に禁じられており、もしそれを破ると殺処分を受ける。 -''ドクター・イースター'' CV:[[東地宏樹]] 黒い羊(ブラック・シープ)。 委任事件担当捜査官。 楽園の研究者として“三博士”の一人がスクランブル-09を発案した時に最初に志願した人物。 その過程でウフコックとボイルドと共に証人保護プログラムに従事した。 師匠と同じくギャンブラーである。 優れた頭脳を持つ一流の科学者だが現実的な世事にも長け、政治や経営にも強く、したたかで知恵が周り緻密かつ狡猾に計画を立てることができる策謀家。 常日頃から手八丁口八丁で政治家や警察関係者などを丸め込んで活動資金を引き出している。 しかしながら本質的には純粋なお人よしであり、その狡猾さや能力をけして私利私欲には使わず、人助けと犯罪撲滅、そして仲間を守ることに全力を費やす根っからの善人でもある。 楽園で人体改造の研究に従事していたのも戦争で重傷を負った人々を救いたいという純粋な善意から。こう書くと倫理観がズレたマッドサイエンティストじみているが人体改造技術はあくまでも重傷者の緊急救命と身体障害者の機能回復にしか使わないという良識の持ち主でもあり、本作の主人公であるバロットを始め彼の技術によって救われた人物は多数いる。 その気になればいくらでも大金を稼いで一生遊んで暮らすことも可能だがそうはせず日々ウフコックとともに過酷な犯罪捜査や人命救助に身をやつしていたり、性犯罪防止の講習を受けたことでセックスに嫌悪感を覚えるようになって性的不能になる、楽園時代は戦争で脳障害となった兵士の介護を真摯に行っていたなど、その本質は強烈な自己犠牲精神と奉仕精神の持ち主である。 かつては結婚していて妻子もいたが仕事人間だったことと性的不能となったことが切っ掛けで離婚されてしまった。 身体能力や戦闘能力は一般人並みでしかないが殺されかけようともけして怯むことなく冷静かつ大胆に振る舞える胆力の持ち主。 反面、相手の繊細な心情を慮るのが苦手で初対面のバロットが自分に対して怯えていることに気が付かなかったりといった無神経なところもある。 ''●畜産業者'' ウェルダンをボスとする誘拐屋「バンダースナッチ・カンパニー」。 変わった嗜好の持ち主ばかりの変態集団である。 取り扱う畜産物とは''人間''である。 -''ミディアム・ザ・フィンガーネイル'' CV:若本規夫 殺した相手の指を移植している。 劇場版では若本氏の怪演により、原作以上の存在感を発揮している。 -''ミンチ・ザ・ウィンク'' CV:三宅健太 殺した相手の目を身体全体に移植している。 アタッシュケースに似た形状のマシンガンで戦う。 -''レア・ザ・ヘアー'' CV:[[かないみか]] 殺した相手の髪の毛を移植している。コミックと映画で大きく外見が異なるキャラ。 元々は男性。 金属のワイヤーと振動ナイフを操って戦う。 -''フレッシュ・ザ・パイク'' CV:脇知弘 殺した相手の乳房を身体全体に移植している車椅子の太っちょ。 その姿はグロいとしか言いようがない。 -''ウェルダン・ザ・プッシーハンド'' CV:田中正彦 畜産業者のリーダー。 殺した相手(女性)の''とっておきのもの''を一つ移植している。 ''●楽園'' 禁じられた科学技術の誕生の土地。 政府からも一目置かれた安全な場所である。 -''トゥイードルディ'' CV:[[小林由美子]] 楽園の住人。生来の重障害により楽園に預けられた。 "完全な個体"をテーマに開発されており、呼吸や糧食などが無くても活動することができる。 -''トゥイードルディム'' CV:[[浪川大輔]] サングラスのようなものを掛けたイルカ。 ウフコック同様言語能力を持つ。 トゥイードルディとは''恋人であり、ホモ達である''。 -''プロフェッショサー・フェイスマン'' CV:有本欽隆 名前の通り、首から上しかない御人。楽園の最高管理者にして三博士の一人。   ''●オクトーバー社'' 主にカジノで有名な企業でマルドゥック市ではかなりの影響力を持っている。 -''シェル=セプティノス'' CV:[[中井和哉]] 賭博師で様々なカジノを仕切っている。 様々な女性を殺害し、その遺骨から作ったブルーダイアを手に入れてきた。 彼のその奇妙な行動には、彼の過去が関係している。 -''ディムズデイル・ボイルド'' CV:磯部勉 錆びた銃(ラスティ・ポンプ)。 委任事件担当捜査官。かつてはウフコックの相棒であったが、ある事件をきっかけに訣別してしまう。 それでも尚、ウフコックに執着している。 楽園にて擬似重力を発生させる能力を取得した。 それに加え超短時間の睡眠を繰り返すことでゾンビと揶揄される程の活動時間を得た。 シェルに雇われ、バロットの前に立ちはだかる最大の敵。 彼とウフコックの在りし日の活躍が気になる方は、「マルドゥック・ヴェロシティ」を読んでみよう。 -''ベル・ウィング'' CV:藤田淑子 ルーレット業界で一目置かれている老スピナー。ルーレットを思い通りに操る腕前の持ち主。 深い英知と人生観、強い信念を持ち、誰からも尊敬される偉大な女性。 彼女との出会いが、バロットの人生観に影響を及ぼす。 -''アシュレイ・ハーヴェスト'' CV:土師孝也 カジノハウスの責任者。シェルの右腕。 シェルを遥かに上回る、カードを言葉通り「自在に操る」神業を持つ。 洞察力に優れているだけではなく、ユーモアにも溢れている。 -''クリーンウィル・ジョン・オクトーバー'' オクトーバー社の社長。非常に残忍な人物。 #center(){&font(#ff0000){「私は追記修正したい!」}} #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,6) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #areaedit() - 3冊纏めて貪るように読んだなぁ、大好きだ  ラノベとして出そうとしてくれた出版社があったそうだが、流石に無理たと思います  あとフラグメンツの記述がないかな -- 名無しさん (2014-02-06 05:41:37) - ↑オイレンはラノベ行けたけど、あれも大概だよねwああ、ヴェロシティ映画化はよ、アノニマスもはよ -- 名無しさん (2014-02-06 07:18:45) - ベルさんもだが、アシュレイとボイルドとかいうクソかっこいい敵キャラ それに比べてシェル・・・ -- 名無しさん (2014-03-22 10:23:08) - アシュレイが化け物すぎるんだよな・・・読み終わったあとに作品の感想を聞かれたら真っ先にアシュレイ戦が出てくると思う。 -- 名無しさん (2015-02-24 22:05:35) - そんなアシュレイさんも今じゃ名前を変えてしがないカフェの店長・・・ -- 名無しさん (2015-06-20 14:44:01) - 結構前にヴェロシティ読んでイマイチ理解してなかったが、あれは結局盛大なマッチポンプだったってことで良いんかな? -- 名無しさん (2016-12-05 13:35:41) - やっぱアシュレイ印象残るよね。本筋メインのキャラじゃないのに。 -- 名無しさん (2022-10-04 20:42:57) #comment #areaedit(end) }
&font(#6495ED){登録日}:2010/11/16(火) 02:26:55 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 6 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- #center(){&font(#ff0000){「どうして私なの?」}} #center(){&font(#FFD400){「選択をするんだ」}} #center(){&font(#FFD400){「生存の選択。その権利は君にある」}} #center(){&font(#ff0000){「死にたくない──」}} #center(){&font(#e6e6fa){それは、彼女の選択──}} #center(){''Mardock Scramble''} ■著作 冲方丁 ■出版社 早川書房 冲方氏が二十代前半の頃に書いた作品。 長い間出版の機会を与えられなかったそうだが、2003年になってようやくハヤカワ文庫で刊行された。 結果、同年の日本SF大賞受賞に至った作品である。 ■ストーリー スラムにて少女娼婦として生活を送っていたバロットはある日、ショーギャンブラーのシェルに救われる。 シェルと暮らしていく中、バロットは自分がどのように住民登録されているのか疑問を抱く。   確認した結果、バロットはシェルの計画により命を落としかける。 しかし彼女は人命保護を目的とした緊急法令「マルドゥック・スクランブル09」を適用され、声帯を失うものの一命を取り留める。 バロットは委任事件担当捜査官であるドクター・イースター、そして「万能道具存在」ウフコックと共に、 自らの力とウフコックを駆使してシェルの犯罪を暴き、自らの生きる意味を探していく。 ■概要 圧縮〈The 1st Compression〉、燃焼〈The 2nd Combustion〉、排気〈The 3rd Exhaust〉の三部に分かれたSF作品、銃活劇。 肉弾戦闘だけではなく、性的な描写や『[[LIAR GAME]]』のような知能・心理戦まで描かれている。 特に知能戦に至っては十年前にビジネスホテルで五日間閉じこもって反吐を吐きながらも書ききったそうである。 この心理戦も含めて頭を使う部分が結構多いため、読破には結構時間が掛かると思われる。 前日談としてボイルドとウフコックの過去を描いた『マルドゥック・ヴェロシティ』が出版された。 変態サイボーグ軍団との[[能力バトル]]要素が強めかつ話も暗く、また文体がかなり独特なため人を選ぶ。こちらも新装版が出ている。   また、2011年には完結編としてウフコックの物語である『マルドゥック・アノニマス』が刊行予定。 ……だったが、伸びに伸びて2015年から早川書房の雑誌「SFマガジン」の連載を経て2016年にようやく出版された。 現在も『マルドゥック・アニノマス』は「SFマガジン」で連載中である。 本作品は 初版(文庫)→改訂新版(ハードカバー)→完全版(文庫) と改訂を重ねた小説で、改訂する度に書き直していった。 様々な人から&font(#ff0000){バカじゃないか}──と批判されつつも一から手直ししたのは、 この作品を通じて切り開いた作家・冲方丁のプロ意識によるものである。 その後本作品は様々なメディア展開がなされ、大今良時によるコミカライズや劇場[[アニメ化]]がなされた。 ■アニメ 2005年に一度GONZO制作でのアニメ化予定があったが、中止の憂き目に会っている。 しかしその五年後、東京国際アニメフェア2010で三部作劇場アニメとして制作されることが決定。 制作は「[[プリンセスラバー!]]」などを手がけたGoHands。 2010年に公開された「圧縮」を皮切りに、約一年のスパンを置いて三部作が公開された。 一部につき60分、全三部作を180分に詰め込むというやや詰め込み気味な構成のため展開が急な感はあるものの、 原作のイメージ通りに描かれた劇中のヴィジュアル、華麗な戦闘シーンなどスタッフの原作愛が随所にあふれており、 原作ファンからはある程度高い評価を得ている。 ただ展開の急さから原作を読んでいないとついていけない部分もある。 100%楽しみたいなら、一度は原作を読んでおくことをオススメする。 ■世界観 舞台は近未来のとある州国家に存在する大都市マルドゥックシティ。(明言はされていないが英語が公用語であること、州に分かれている大国、ネイティブアメリカンそのものな民族が存在することなどから[[アメリカ合衆国]]と思われる) この都市は様々な経済利権により急激に発展を遂げていたが同時に貧富の格差も拡大し、近代的で清潔な市街地と治安も衛生も劣悪なスラム街の両方を内包するという歪みを抱えていた。 結果、スラム街を根城にマフィアが台頭し、政治家や大企業とも癒着して利益をむさぼることで急激に治安が悪化。 マフィアや大企業の違法行為の撲滅を図る市議会と法務局はとある科学者の発案により緊急法令マルドゥックスクランブル09を発足。 それは違法の軍事技術の使用を人命救助と犯罪捜査にのみ認めるという法令だった。 かつて軍事技術研究所『楽園』にて改造兵士の研究をしていた科学者ドクター・イースターとそのパートナーのウフコック・ペンティーノはマルドゥックスクランブル09に基づいて犯罪捜査や人命救助を行う委任事件担当捜査官となり、自分たちの有用性を社会に証明するべく犯罪捜査をおこなっていた。 彼らはある時カジノを利用したマフィアのマネーロンダリングの証拠を摘発すべく、その重要参考人であるシェル・セプティノスを監視していたところ、シェルによってルーン=バロットが焼き殺されそうになるところを目撃、重傷を負った彼女を救うべく禁断の軍事技術を使用して彼女を救命し、そしてシェル、そしてその裏の黒幕たちとの戦いを開始するのだった。 ■登場人物 名前のモチーフは[[卵>ゆで卵(料理)]]である。 -''ルーン=バロット'' CV:[[林原めぐみ]] 本作品の主人公。 未成年(15歳)の娼婦であり、シェルに謀殺されかけたがスクランブル09により存命。 その過程で電子干渉(スナーク)能力を手に入れた。 シェルの事件を追う中、自己を知り、成長していく。 一見ぼんやりとした大人しい女の子に見えるが、それは悲惨な人生を歩んできて日常的に重度のストレスにさらされてきたために自分の心を押し殺して無感覚状態になることが習慣化していたため。 実際は『なぜ自分がこんな理不尽な人生を歩まないといけないんだ』という怒りと絶望を内心に秘めており、シェルに焼き殺されそうになったことが切っ掛けでそれは激しい憎悪となっていく。 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