登録日:2025/10/27 (月) 03:10:03
更新日:2025/10/27 Mon 03:14:06NEW!
所要時間:約 10 分で読めます
Hollow Knight Silksong は、オーストラリアのインディーゲームデベロッパー、『Team Cherry』が開発した2Dアクションアドベンチャーゲーム。
本来「Hollow Knight」のDLCとして製作されていた作品だが、ボリュームの増大により正式に分離、続編かつスピンオフ作品として別個に販売された。
概要
主人公・ホーネットの先祖がもともと住んでいたという国「ファールーム」を冒険する探索型アクションゲーム。
個性豊かなムシ達との交流を通してファールームを冒険しつつ、ホーネットを誘拐した連中を見つけ出して叩きのめす、というのが本作の大まかな目標。
設定や物語の骨子は前作と大差なく、ダークソウルを参考にして作られたという世界観のダーク&ハードさも健在。
だが、本作では明確な個性を持った「ホーネット」という一個人にスポットがあてられており、NPCとの会話、やりとりもより彩豊かになっているほか、彼女自身の過去に迫るエピソードも存在し、より物語としての奥行きが深くなった作品となっている。
また、物語の題材として「母と子」および「音楽」がテーマに据えられており、この2つに注目することが物語を読み解くカギとなる。
なお、難易度は「前作プレイ前提」「"苦痛の道"をも上回る」と称されるレベルに跳ね上がっており、Steamを中心に「難易度が高すぎて苦痛」という意見と「それでも面白い」とする意見とで評価が真っ二つに割れる事態となった。
ゲームシステム
前作同様にメトロイドヴァニア系の探索型横スクロールアクションで、おおまかな部分は共通。
ボスを倒してアイテムを集め、武器や能力を入手して行動範囲を広げながらゲームを進めていくスタンダードなメトロイドヴァニアである。
前作で「ソウル」と呼ばれていたシステムは「シルクスキル」に置き換わっており、攻撃することで溜まり、消費すれば回復や特殊攻撃が行えるようになる。
大きな違いは主人公のアクションであり、前作で飛び道具を多用して戦ったことを反映し、本作主人公のホーネットは多種多様な飛び道具を扱えるようになっている。
これによってボスに触れることなく戦うことができるようになったのが大きな変更点。ボスによっては道具に頼ったゴリ押しプレイも可能である。そうでもしないとクリアできないようなやばいボスも増えたけど
もうひとつの追加要素として「クレスト」システムも存在し、これを付け替えることでホーネットの行動モーション自体を変更することが可能となる。
プレイスタイルに合わせてモーションを変えることができるので、うまくいかないと思ったら使いやすい設定に調整して再挑戦することができる。
もちろん操作感が前作そのまんまのクレストも存在し、ゲーム序盤で手に入る。前作に慣れているプレイヤーは採用すると戦いやすくなるかも?
一度ゲームをクリアすると、ライフが0になると始めからやり直しのスティールソウル・モードが追加される。
登場人物
前作に引き続きフルボイスで、会話中はホーネットを含め架空言語で声が入る。
本作の主人公で、前作において「守護者ホーネット」としてあちこちで対決したクモの女戦士。本作でも声がかわいい。ガラマッ!
前作での事件解決後、シタデルの手のものに拉致され無理やりファールームに連れてこられたが、運よく脱出。
攫おうとしたムシたちの親玉へ"お礼参り"をするためにシタデルを目指すことになる。
生物かどうかすら怪しい謎めいた前作主人公「The Knight」とは異なりホーネットは自分の考えをはっきり口にするので、高飛車で乙女なホーネットの人となりがよく観察できるのが本作ならではのポイント。
余談だが、父親が1人・母親が3人おり、幼少期はその3人の母の間をたらいまわしにされていたという超複雑な家庭の生まれであり、本作最終盤ではそれに絡んだ話が少し出てくる。
蜘蛛なのに「ホーネット(蜂)」というちぐはぐな名前がついているのもそのため。
脊髄の道で祈りを捧げる歌を歌っている巡礼者。
かわいらしい声で歌いながら、ホーネットに一緒に歌うことを勧めてくれる本作の清涼剤。なお男の子である。
苛烈な世界観の本作には珍しい、"あらゆる試練は信心と歌によって解決できる"と信じているちょっとお花畑な能天気な人物。
実際に戦闘能力はゼロなのだが運が猛烈に良く、ホーネットが難敵を倒した直後そのルートにやってきたり、敵と毎回のようにニアミスしたりするのでほぼ無傷で旅ができている。
「かわいい声で歌う癒し系キャラ」と聴いて前作のマイラが頭をよぎった人のために(楽しみを損なわない範囲で)軽くネタバレすると、
シェルマはどのルートでも最後まで元気に生き残るのでご安心を。
ホーネットの行く先々で現れる、熟練の女戦士。
明言はされないが、体型が前作のカマキリに似ているのでおそらく種族はカマキリであると思われる。
姿を消した「師匠」なる人物を探すためにファールーム各地を旅しており、その過程で各地の地図を描いている。
前作におけるコーニファーにあたる立ち位置のキャラで、新しいエリアに着いたらまず彼女のチャクラムと「ラ-イライライライラ…」というアルトボイスの唄声を頼りに彼女を探し、地図を購入することが目標となる。
また、彼女と会って会話しておくと一部のイベント戦で共闘してくれるため、会ったら積極的に話しかけて仲良くしておくとお得。
サブイベントの依頼人でもあり、彼女のイベントを完遂するとシャクラが使っているチャクラムを武器としてプレゼントしてもらえるほか、シャクラ自身と戦うこともできる。
勝利しても敵図鑑(狩猟の書)にシャクラのことが記載されるだけなので旨味はないが、本作屈指の強者であり、倒すのは困難。腕に自信があるなら挑戦してみよう。
灰色の丘陵で初めて遭遇し、以降ホーネットの行く先々で現れる老戦士&その乗り物。
上に乗っているお爺さんがガーモンド、乗られているムシがザザである。
殺された故郷の同胞の仇討ちをするため各地を旅して回っているという殺伐とした背景こそあるが、本人はちょっと説教臭いだけの朗らかなおじいちゃん。
シャクラ同様、こちらも接触しておくとイベント戦で助太刀してくれるほか、手合わせもお願いできる。
余談だが、前作のゾート同様「ドン・キホーテ」をモデルにしたと思われるキャラ。口がでかいだけの噓っこきだったゾートとは異なり、こちらはちゃんと実力のある人格者。
本作においてファストトラベルを担当するムシ。
「獣」なので喋ることはなく、戦って従わせることで仲間にできる。
本編のストーリーにかかわってくることは殆どないが、駅につくたびに寝ていたり早く乗れとせがむように騒ぎ立てたりと表情豊か。
ちなみにメスで、ある条件を満たすと彼女の息子(娘?)たちも登場する。
脊髄の道で遭遇することになる赤いムシ。自身のことを「老いぼれグリンドル」と呼んでいるので老齢である模様。
そんな彼の職業は「泥棒」であり、初登場時牢につながれているところをホーネットがぶち壊すことで脱走。以降は各地で姿を見せ、ホーネットにビンタされたりしながら奇妙な友情を築くことになる。
中盤~終盤はショップを開くようになり、彼が各地で盗んできた盗品を買うことができるのだが、ここに並ぶのがプレイヤーが見逃した落とし物やイベントの報酬品。
ゲットし損ねたアイテムは大抵彼のもとに集まっているので、気になったら足を運ぶとよい。
脊髄の道で遭遇することになるノミ。
「ノミのキャラバン」を率いる長で、各地に散り散りになった犬ノミたちの探索を依頼してくる。
仲間の発見と救出をするごとにキャラバンは賑やかになり、利用できる設備も増えていく。
灰色の丘陵にあるホテルに宿泊しているムシ。おそらくナメクジ。かつ男性。あとビンタ被害者。
他のキャラとはかけ離れた突飛なキャラデザに加え、「ニューは○○するネ!」という特徴的すぎる語尾のおかげで異様な存在感を放つキャラ。
話しかけると本作の敵図鑑である「狩猟の書」を託してくれるのだが、この狩猟の書、説明も解説文もホーネットが書いているという設定になっており、解説文の端々にホーネット自身の人物像や過去が垣間見えたりするので、わりと重要なアイテムである。
ホーネットの行く先々で現れては闘いを挑んでくる謎の女剣士。
針を片手剣のように振り回すホーネットとは異なり、フェンシングの要領で突き攻撃を多用する。
本人の言い分では聖都シタデルの支配者と親密な仲にあたるらしく、ホーネットの冒険を無駄だと嘲笑いながら襲い掛かってくる。
そんな彼女の存在が、「Hollow Knight Silksong」という物語のカギとなるのだが……?
前作に引き続いて登場する、でかいキノコにのっぺりとした顔が付いた微妙にかわいくない隠しキャラ。
終盤である特定の隠し部屋に赴くとクエストが解放され、各地を回って旅する彼を訪れることになる。
隠しキャラなので彼のイベントをクリアしなくても真エンドは見られるのだが、完遂した状態でエンディングを迎えるとあるシーンが追加される。
用語
ムシ
前作「Hollow Knight」と同様、本作の登場キャラは味方から敵にいたるまで全員が昆虫、節足動物、甲殻類、軟体動物といった無脊椎動物で構成されている。
これらを総称する呼び方として「ムシ」という単語が使われ、これが我々でいうところの「人間」あるいは「生き物」に相当する単位となっている。
クモ、ダニ、ムカデ、ナメクジといった見る人を選びそうな題材もいるにはいるが、どれも可愛らしくデフォルメされているので序盤は生理的嫌悪を感じることはないだろう。
嘴がついてるし鳴くし飛び回るしカラス避けを設置したとたん居なくなるカラスみたいな蚊がいたり全身モフモフで遠吠えをするどう見ても犬にしか見えないノミがいたりドブネズミみたいな声と見た目をしたダニがいたりするが全部ムシである。いいね?
そんな世界観なので、本作の会話シーンでは身体のことを「殻」、武装のことを「爪」と呼ぶなどの独特の言い回しが存在する。
ファールーム
本作の舞台で、前作「Hollow Knight」の舞台であったハロウネストとは別の国。
聖都シタデルを中心とした宗教国家のような様相を呈しており、"己の力で聖都シタデルへ上り、迎え入れられれば救済がもたらされる"という信仰が広く蔓延している。
本作で会話のできるムシのほとんどはこの教義を信じ、聖都シタデルを目的地とした旅をする"巡礼者"であり、本作における金銭にあたるアイテムも、ロザリオをもじった「ロザリー」という物体が通貨となっている。
一方、シタデルの支配が隅々まで及んでいるかというと少々微妙で、あちらこちらに独自の文化圏を築く勢力もいる。
シルク
物語のカギを握る白い糸状の物質で、"紡ぐ者"の手によって生成される。
「シルク(絹)」といえばカイコガが出す絹糸だが、本作においてシルクを出すのはカイコガではなくクモである。
大雑把に言うならこれ自体が魂あるいは生命の源のようなはたらきを持っており、このシルクを生きたムシが身体に取り込めば本来の寿命を超越して生きられる長寿の存在となれ、死体にこのシルクを注入すれば生きているかのように動き出す。
ただ、魂に等しい存在であるシルクを取り込んで延命を図るのは、すなわち己の魂に他人(シルクの元の持ち主)の魂を混ぜるのに等しい行為。
安易にこの行為に手を出したが最後、そのムシはシルクを提供した"紡ぐ者"に肉体を乗っ取られ、操り人形として使い潰される末路を辿ることになる。
紡ぐ者
シルクを生成し、それを操る術を持つクモたちの総称。
それぞれがシルクを用いた驚異的な技を持っていたようだが"彼女"と呼ぶ存在の手にかかって誅殺され、生き残った者も辺境や地の底に潜伏を余儀なくされている。
本作では遺構として登場し、訪れることでシルクスキルと呼ばれる技を獲得できる。
主人公ホーネットもこの力をもつ"紡ぐ者"のひとりであり、"紡ぐ者"の血を引く存在であることが誘拐された理由であるらしい。
追記・修正をお願いします。
最終更新:2025年10月27日 03:14