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夜の悪魔(映画) - (2024/12/02 (月) 23:01:09) の1つ前との変更点
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&font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red)
&font(#6495ED){所要時間}:約 18 分で読めます
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『夜の悪魔(原題:Son of Dracula)』とは1943年に公開された、[[吸血鬼]]を題材にしたアメリカのホラー映画である。
原案はSF作家のカート・シオドマクが担当し、実兄であるロバート・シオドマクが監督を務めている。
第二次大戦中の作品であるため、日本での公開は戦後の1950年。
当時、配給元であるユニバーサル・スタジオは古典ホラーシリーズで大ヒットを飛ばしており、本作も『[[魔人ドラキュラ>ドラキュラ(映画)]]』、『女ドラキュラ(原題:Dracula's Daughter)』に続くドラキュラシリーズの3作目として制作された。
ここまでの説明を読めば分かるとおり、本作はブームの最中に作られた古典ホラー映画の1作に過ぎない。わざわざアニヲタwikiに項目を建てるほどのものではないと思うことだろう。
だが本作は、&bold(){吸血鬼を題材にした近年のサブカル作品に登場するとあるキャラクターの初出作品なのである。}
**あらすじ
舞台は[[アメリカ合衆国]]ルイジアナ州ニューオーリンズ。
そこで「ダークオークス」と名付けられたプランテーションを経営するコードウェル家に、ハンガリーから一人の人物が訪ねてくることになっていた。
コードウェル家の長女・ケイの恋人のフランクは、ブリュースター教授とともに駅まで客人を迎えに行くが、列車が到着してもそれらしき人物はどこにも見当たらない。
#center(){&sizex(5){&bold(){&color(blue){「アルカード伯爵を迎えに来たのだが姿が見えんのだ」}}}}
車掌曰く、乗客名簿にそのような名前は無いがそれらしき荷物は運んできたとのこと。
荷物を確認するブリュースター教授だったが、人ひとり中に納まりそうな巨大なトランクに刻まれたアルカード(&bold(){Alucard})のスペルを見て、ある違和感に気付く。
#center(){&sizex(5){&bold(){&color(blue){「D、R、A、C……」}}}}
#center(){&sizex(5){&bold(){&color(dimgray){「どうしました?」}}}}
#center(){&sizex(5){&bold(){&color(blue){「何でもない、馬鹿げた考えが浮かんだだけだ」}}}}
結局、伯爵本人は不在のまま荷物だけがコードウェル家に運び込まれた。
その夜、ケイはプランテーション内に居を構える占い師の老婆・ジンバに呼ばれ彼女の元を訪れていた。
ジンバは伯爵の来訪とともに屋敷を不幸が襲うと警告するが、突如として現れた巨大な[[コウモリ]]を目の当たりにし心臓発作で亡くなってしまう。
翌日の夜、コードウェル家では華やかな夜会が催されていた。本来なら伯爵を歓迎するためのものだが、当の伯爵は未だ人々の前に姿を現さないでいた。
その最中、当主であるコードウェル大佐が急性心不全により亡くなってしまう。
屋敷の者が慌てふためく中、まるで見計らったかのようなタイミングで、夜会服に身を包んだ一人の紳士がコードウェル家を訪れた。
#center(){&sizex(5){&bold(){&color(midnightblue){「アルカード伯爵である。今しがた到着した」}}}}
後日、大佐の死やアルカード伯爵に不信感を抱いていたブリュースター教授は、ハンガリーの事情に詳しいラズロ教授に助けを求める。
ラズロ教授は、アルカード伯爵なる貴族はハンガリーに存在しないと説明すると、伯爵が19世紀に滅んだ吸血鬼ドラキュラ伯爵の血筋である可能性を述べ、警戒するようブリュースター教授に告げる。
そんな中、コードウェル家ではケイとクレアの姉妹が判事から遺産相続の説明を受けていたが、不自然なことにケイが持ってきた大佐の遺言状には、ケイには屋敷とプランテーションのみが相続されると書かれてあった。
だがケイはこれでいいのだと微笑むばかり。
相続の件も含め、ここ最近姉の様子がおかしいことをクレアはブリュースター教授に相談する。ラズロ教授の警告のこともあり、アルカード伯爵の荷物をこっそり調べようとするブリュースター教授だったが、駅で見たあの巨大なトランクは屋敷から忽然と消え失せていた。
その夜、ケイが一人でこっそりと外出するのを目撃したフランクはその後を追うが、途中で見失ってしまう。
コードウェルの屋敷へと戻ったフランクだったが、そこには既に入籍を済ませて夫婦となったアルカード伯爵とケイの姿があった。
#center(){&sizex(5){&bold(){&color(crimson){「フランク、二度と来ないでって言ったじゃない……」}}}}
#center(){&sizex(5){&bold(){&color(dimgray){「教えてくれケイ、一体何があったと言うんだ」}}}}
#center(){&sizex(5){&bold(){&color(crimson){「判事の所へ行ったの。結婚したのよ私たち」}}}}
恋人の裏切りに激高し、そのままアルカード伯爵に食って掛かるフランク。怒りのあまり携帯していたピストルを発砲するが、弾丸は伯爵の体をすり抜け背後に立つケイに命中してしまう。
恐怖のあまり屋敷を飛び出したフランクは、伯爵の追跡からどうにか逃れ、命からがらブリュースター教授の自宅まで辿り着いた。
事情を聞いたブリュースター教授は単身屋敷へ乗り込みアルカード伯爵と面会するが、ベッドルームでは死んだはずのケイが普通に生きていたのだった……。
**登場人物
・&bold(){&color(midnightblue){アルカード伯爵}}
ハンガリーから渡米してきた吸血鬼。体を煙に変えてドアの隙間から侵入したり、大コウモリに変身する能力を持つ。
アメリカへとやって来た理由は、故郷であるトランシルヴァニアが一族の暗躍によって荒廃し不毛の土地と化してしまったため。
プランテーション内の湿地帯に、トランクに偽装した自身の棺を隠している。
ネイティブの発音ではアルカードがたまにア&bold(){ロ}カードと聞こえることがあるのだが、そのせいで日本語字幕では最初から最後まで&bold(){アロカード伯爵}と誤記されてしまうという残念な日本デビューを果たす。
・&bold(){&color(crimson){キャサリン・コードウェル}}
コードウェル家の長女。愛称はケイ。
占いだの黒魔術だの、いわゆるオカルトに傾倒している不思議ちゃん。
ブダペストへ旅行に行き、そこでアルカード伯爵と知り合ってからますますオカルトにハマってしまったためフランクからは本気で心配されている。
何らかの目的があってアルカード伯爵をアメリカへと招いたようだが……?
・&bold(){&color(dimgray){フランク・スタンリー}}
ケイの幼馴染で現在は恋人……だったのだが、アルカード伯爵に訳も分からぬまま恋人を寝取られてしまった可哀そうな人。
・&bold(){&color(blue){ハリー・ブリュースター教授}}
医学博士。町の人々の診察も行っている。
アルカード伯爵の来訪に不穏なものを感じ、どうにかしてケイとクレアの姉妹を助けようとするが……。
・&bold(){ラズロ教授}
大学で教鞭を取っているハンガリー人の学者。吸血鬼に詳しい。
ブリュースター教授から電話で相談を受け、アドバイスを送る。
・&bold(){クレア・コードウェル}
コードウェル家の次女。
アルカード伯爵が屋敷にやって来て以来、何かとこそこそ動くようになった姉が心配でならない。
・&bold(){クイーン・ジンバ}
プランテーション内に住む老婆。ジプシーの占いに精通しており、そのためケイからは慕われている模様。
屋敷に訪れる危機を予言するもアルカード伯爵が変身した大コウモリを見てショック死する。
・&bold(){コードウェル大佐}
コードウェル家の当主。
夜会の最中に急死するが、首筋には不自然な傷が2つ残っていた。
**あらすじの続き
翌朝、罪の意識に苛まれたフランクは自首し、保安官事務所の牢屋に入れられる。
死んだはずのケイに会ったと証言しフランクを助けようとするブリュースター教授だったが、保安官とともに向かったコードウェルの屋敷には誰もいない。
念のため昨夜のフランクの足取りを辿ってみたところ、墓場の奥の廟にて安置されたケイの遺体が発見される。
ブリュースター教授が帰宅すると、自宅にはラズロ教授が訪れていた。
今までの出来事を掻い摘んで話すブリュースター教授。それに対しラズロ教授は、アルカード伯爵はドラキュラの末裔の吸血鬼であろうと持論を語る。
今なお半信半疑のブリュースター教授に対し、吸血鬼を滅ぼす方法をレクチャーするラズロ教授だったが、その最中アルカード伯爵自ら二人の下へ乗り込んできた。
#center(){&sizex(5){&bold(){&color(midnightblue){「ラズロ教授、あなたはとても賢い男だ。だが甘いな」}}}}
#center(){&sizex(5){&bold(){&color(midnightblue){「邪魔をされるわけにはいかんのだ!」}}}}
辛くもラズロ教授が所持していた十字架で伯爵を追い払うことに成功するも、間髪入れず自宅へと意識を失った町の子どもが運び込まれてくる。その首筋には小さな噛み傷があった。
時同じくして牢屋では、一匹の大コウモリが眠っているフランクの首筋に噛みつき血を吸っていた。
その後コウモリはケイの姿へと変わり、フランクを眠りから呼び覚ます。やはりケイはあの夜に死に、吸血鬼と化して蘇っていたのだ。
混乱するフランクにケイは自身の計画を話す。なんと&bold(){アルカード伯爵と結婚したのは吸血鬼にしてもらい永遠の命を得るためで、そこに愛はないと言い切ったのだ。}
#center(){&sizex(5){&bold(){&color(crimson){「アルカードの力で私は不死となった。次はあなたの番よ。二人で永遠を生きましょう」}}}}
ケイは最初から愛するフランクとともに永遠を生きることが目的だったのだ。
更にケイは恐ろしい計画を口にする。
#center(){&sizex(5){&bold(){&color(crimson){「あの吸血鬼をこの世から滅ぼして」}}}}
なんと、牢から出してやる代わりに用済みとなったアルカード伯爵を殺してこいと言うのである。
しかもケイは、面会にやって来たクレアが教授の入れ知恵で自分を火葬にしようとしているのを知ると、&bold(){クレアや教授も一緒に殺せとフランクに言ってくる。}
#center(){&sizex(5){&bold(){&color(crimson){「私の邪魔をしようとするだなんて、もう妹でも何でもないわ」}}}}
その後、フランクは脱獄を果たし、伯爵の棺が隠されたプランテーションへと向かう。
だが&bold(){二人して大声で堂々と会話していたせいで}話の内容を保安官が覚えていたため、行き先を知った教授たちもすぐさま後を追っていくのだった。
**登場人物・改
・&bold(){&color(midnightblue){ドラキュラ伯爵}}
アルカード伯爵の本当の名前。&bold(){ケイにさらっと暴露されてしまった。}
ケイにいつか一緒にトランシルヴァニアへ帰ろうと話していたあたり、伯爵としては此度の結婚は本気だった模様。それだけに報われない。
ラズロ教授、ケイの双方から「眠っている間に胸に杭を打つ」または「外に出ている間に棺を破壊する」ことで存在を滅ぼすことができると説明されている。
・&bold(){&color(crimson){キャサリン・コードウェル伯爵夫人}}
吸血鬼をも手玉に取った稀代の悪女。
凶弾に斃れたのち吸血鬼として復活するが、全ては計画通りだった。それもこれもみな、フランクへの一途な愛のためである。……これ、ホラーですよね? 昼ドラや2時間サスペンスの類じゃあないんですよね?
遺言状のことも考えると、伯爵に大佐を襲わせたのは間違いなく彼女。
どうやら自分なりのこだわりがあるようで、吸血鬼と呼ばれるのを忌み嫌っており、フランクには不死者と呼ぶよう要求している。
・&bold(){&color(dimgray){フランク・スタンリー}}
&font(l){信じて旅行に出したオカルト好き彼女が伯爵と浮気した挙句吸血鬼になるなんて……。}
恋人が自分に何の相談もなく吸血鬼になったうえ、その恋人から恐ろしい殺人計画を持ち掛けられた本作最大の苦労人。
ケイに血を吸われているが、本作では死ぬまで血を吸われない限り吸血鬼化はしないと設定されているので、今も人間のままである。
・&bold(){&color(blue){ハリー・ブリュースター教授}}
フランクを庇おうと偽証したのではないかと保安官に疑われ、非常にストレスを溜め込んでいる。
アルカード伯爵の襲撃を受けたことで、ラズロ教授の話を信じ行動を開始する。
・&bold(){保安官}
最初、牢屋から聞こえてくるケイとフランクの会話を&bold(){頭がおかしくなったフランクの一人芝居だと信じ込み}、教授たちの話もまともに取り合おうとはしなかった。
**顛末
一晩かけてようやくフランクは伯爵の棺を発見する。そこへ現れるドラキュラ伯爵。
#center(){&sizex(5){&bold(){&color(midnightblue){「日が昇る前にやって来るとは……」}}}}
#center(){&sizex(5){&bold(){&color(midnightblue){「君は私を滅ぼすと言ったな。この世からいなくなるのは君の方だ」}}}}
フランクに襲い掛かろうとするドラキュラ伯爵だったが、彼の背後で何かが音を立てて燃えているのに気付く。
それは伯爵の棺だった。既にフランクは棺の中に枯草を敷き詰め、火を放っていたのだ。
#center(){&sizex(5){&bold(){&color(midnightblue){「火を消せ! さっさとしろ! 火を消すんだよ!」}}}}
尋常ではないレベルで取り乱す伯爵だが、消せと言われて素直に従うフランクではない。
もはや消火不能と判断したドラキュラ伯爵は&bold(){今にも泣きそうにしか見えない微妙な表情で}フランクを道連れにしようと首根っこを引っ掴む。フランク絶体絶命! だがその直後、悪夢のような夜が明けた。
陽光を浴び、骨になりながら沼地へと沈んでいくドラキュラ伯爵。全てを見届けたフランクはふらふらの体を引きずりながら、ケイとの待ち合わせ場所であるコードウェル家の地下室へと急いだ。
屋敷に駆け付けたブリュースター教授、ラズロ教授、保安官の前に、魂が抜けたかのような表情のフランクが現れる。彼に案内された先には、火を放たれ燃え上がるケイと彼女の棺があった。
これがケイの誘いに対するフランクの答えであり、彼からの最後の愛の証だった。
**登場人物・改改
・&bold(){&color(midnightblue){ドラキュラ伯爵}}
ある意味&bold(){本作における被害者ポジション}と言っても過言ではない。
棺の火を消そうと焦るあまり、&bold(){そこら辺に落ちていた板切れでバタバタ叩いて何とかしようとする}残念なシーンも。
後述するような他作品のキャラクターで脳内再生しながら[[あらすじ]]を読んでいた人は、ガックリきたことと思う。
なお、ここまでのあらすじを読んで頂いても分かる通り、原題は『Son of Dracula(ドラキュラの息子)』だと言うのに、&bold(){ドラキュラの息子だという話は一言も出てこない。}
これは前作のタイトルが『Dracula's Daughter(ドラキュラの娘)』だったため、
&bold(){「じゃあ娘の次は息子っしょwww」}
というノリで付けられたせいと思われる。
が、作中では同じように&bold(){ドラキュラの息子ではないという話も出てこない。}ドラキュラという名前についても襲名制である可能性は否定できない。
結局、本作の吸血鬼がドラキュラ本人なのか名前を継いだ血縁者なのかは最後まで不明のままなのだ。
・&bold(){&color(crimson){キャサリン・コードウェル伯爵夫人}}
色々とやらかしてくれたが、最期は安らかな寝顔のまま火葬にされる。
何の対策も立てずに無防備な寝姿を晒していたのは、ひとえにフランクを信じていたからであろう。
・&bold(){&color(dimgray){フランク・スタンリー}}
魔道に堕ちた恋人を自らの手で滅ぼすという選択をする。
火を着ける前、ケイの寝顔を見つめながら彼女の指に自分が嵌めていた指輪を嵌めるシーンから、彼の愛もまた不変であったことが窺える。
**アルカードというキャラクターについて
本作で提示された
&bold(){1.アルカードとはドラキュラの息子の名前である}
&bold(){2.アルカード(Alucard)はドラキュラ(Dracula)のアナグラムであり、ドラキュラ本人が使う偽名である}
という2つの設定は、その後のサブカル界隈においてそれぞれ別々に継承されていくこととなる。
ここではこの2つの設定を用いた代表例を紹介する。
・&bold(){悪魔城ドラキュラシリーズ}
KONAMIの[[ゲーム]]作品。1のパターンの代表例。
闇を払う宿命にあるベルモンド家の血筋に手を貸す吸血鬼として、複数の作品に登場。
ただし&bold(){[[アドリアン・ファーレンハイツ・ツェペシュ>アルカード(悪魔城ドラキュラ)]]}という本名が別に存在するため、2の要素も混じっている。
#region(以下、簡単な解説)
初登場は1989年発売の『悪魔城伝説』。
元は人間だったが、吸血鬼と化した父・ドラキュラの手によって人外の者にされる。それでも人の心は失わなかったため、主人公の[[ラルフ・C・ベルモンド]]らに協力して共に戦うという設定。
コウモリに変身してショートカットをしたり落下ミスを防ぐことが可能だが、それ以外の面はラルフの仲間たちの中でも最弱で、&bold(){彼を使うこと自体が縛りプレイのレベル。}
おまけにパッケージイラストが&bold(){[[とんねるず]]の石橋貴明にしか見えない}&footnote(一部では佐藤B作とも。)こともファンの間では散々ネタにされていた。
次に登場した1997年発売の『悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲』ではなんと主役に抜擢。
それに伴って設定の一部が変更され、ドラキュラと人間の母との間に生まれた、東欧の伝承で言うところのダンピールであるとされるようになり現在に至る。
あと重要な点として&bold(){キャラデザも変更された。}もうタカさんだのバシタカだのとは言わせない。
本作ではコウモリだけでなく狼や霧にも姿を変えることができるようになり、『夜の悪魔』での描写に近くなった。
2003年発売の『[[キャッスルヴァニア 暁月の円舞曲]]』、2005年発売の『悪魔城ドラキュラ 蒼月の十字架』では&bold(){有門幻也}という名前で身分を偽り日本に潜伏。諜報機関に所属し、父ドラキュラが転生した少年の動向を監視していた。
本編ではNPCだが、クリア後のおまけモードでは使用可能。
設定を一新してやり直した2010年発売の新シリーズ『キャッスルヴァニア ロード オブ シャドウ 宿命の魔鏡』とその続編にも登場。こちらでもドラキュラの子であり本名は別に存在するという点は共通しているが……。
また、ここで紹介した作品以外にも[[様々な作品に>ソニア・ベルモンド]][[出演している。>悪魔城ドラキュラ Harmony of Despair]]
#endregion
・&bold(){[[HELLSING]]}
1998年に発表された[[平野耕太]]作のマンガおよびそれを原作としたアニメ作品。2のパターンの代表例。
イギリスの対吸血鬼特務機関「ヘルシング機関」に所属する、作中最強の吸血鬼として登場。名義は[[アーカード>アーカード(HELLSING)]] &footnote(アニメの海外吹き替え版ではアルカードと発音されている。)。
詳細については項目参照。
**余談
アルカード(ドラキュラ)を演じたロン・チェイニー・Jr.は、本作以前に&bold(){狼男、フランケンシュタインの怪物、ミイラ男を演じており、モンスター映画界の4大スターを一人で制覇した役者となった。}
なお彼の父親であるロン・チェイニーは『オペラの怪人』&footnote(『オペラ座の怪人』のことだが、日本に紹介された当初はこのように訳されていた。決して脱字ではない。)でファントム役を演じ、『魔人ドラキュラ』のベラ・ルゴシ、『[[フランケンシュタイン>フランケンシュタイン(1931年の映画)]]』のボリス・カーロフと並び称えられた名優。
が、父親と比べると表現力は劣るというのが評論家やファンの見解であり、本作に至っては&bold(){「当代一流のメイキャップアーティストが手掛けているにも拘らず、吸血鬼としての説得力に欠ける」}という評価を下されている。
実際、ベラ・ルゴシやクリストファー・リー辺りと比べると確かにスゴ味が足りないように思えるのがなんとも……。
本作はアルカードの初出作品というだけでなく、&bold(){特撮を用いて吸血鬼がコウモリや煙に変わる場面を描いた初の映像作品}、&bold(){吸血鬼に血を吸われた者は吸血鬼になるという設定を初めて明確に示した映像作品}、&bold(){日光を浴びて白骨化する吸血鬼という描写を初めて取り入れた映像作品}だと言われている。
実は吸血鬼モノを語る上では欠かせない作品だったのだ。
本作発表以降もしばしばアルカードという名は世に出ている。たとえば1967年に発表されたオムニバス短編映画『Dr. Terror's Gallery of Horrors』。
ただし冒頭での[[タモリ]]的な人の語りの中にアルカードという単語が出てくるだけで、作中の吸血鬼は一貫して「伯爵」と呼ばれている。
そして&bold(){この作品の「伯爵」もかなり残念な最期を迎えてしまう。}ひょっとして当時の欧米においてアルカードという呼称はドラキュラのパロディを指す言葉だったんじゃないかとつい勘繰ってしまうレベル。
……などと書いていたが、どうやら本当に当時の欧米では&bold(){アルカード=パロディ、コメディの代名詞}という認識だったらしい。
『夜の悪魔』以降アルカードという名前を用いて吸血鬼モノの創作を行うフォロワーが増加したのが原因らしく、散々擦られ続けた結果、ホラーファンは作中でアルカードという単語が出た途端「またかよ」と失笑していたそうな。
1972年にモンスター映画の老舗であるハマー・フィルムが制作した『ドラキュラ'72(原題:Dracula A.D. 1972)』にもアルカードは登場する。名義は&bold(){ジョニー・アルカード}。
ただしこの作品のアルカードは、主人であるドラキュラを現代に復活させようと暗躍する眷属&footnote(作中で吸血鬼化するが、元は人間。)の名前となっており、&bold(){アルカードとはドラキュラを連想させる者、またはドラキュラに近しい位置にある関係者を指し示す名前である}という3番目のパターンを生み出している。
そしてこちらのアルカードも結構アレな最期を……。&font(#0000ff,u){&font(#ffffff){いくら吸血鬼は流水が苦手だからって、シャワー浴びて死んだ吸血鬼なんてこいつぐらいなのでは……。}}
1974年に『Son of Dracula』という本作と同名の映画が発表されているが、ただ題名が被ったというだけでリメイクでも何でもない別物である。そもそもジャンルからしてホラーではなく&bold(){ミュージカル}。ビートルズのリンゴ・スターも出演している。
なお、登場する吸血鬼の名前はアルカード伯爵ではなく&bold(){ダウン伯爵}&footnote(伯爵は英語でカウント。つまりカウントダウンをもじったシャレ。)。
日本のサブカルで初めてアルカードの名が登場したのは上記の『悪魔城伝説』……ではなく、なんと&bold(){[[手塚治虫]]が1969年に発表した『I.L』というマンガ。}&font(l){また手塚か。}
じゃあ次が『悪魔城伝説』……かと思いきや、[[Moo.念平>あまいぞ!男吾]]が1986年に『アルカードくん』というギャグマンガを発表している。
ただし両作品ともマイナーな部類に入るので、日本にアルカードというキャラクターの名が定着するようになったのは、紛れもなく『悪魔城ドラキュラシリーズ』以降であると言えるだろう。&font(l){ついでに強キャラというイメージを定着させたのも。}
ちなみに『I.L』は2のパターン&footnote(作中のキャラクターが棺のスペルを見てそう解釈しただけで、実際は『夜の悪魔』と同じで真相は不明のまま。)、『アルカードくん』は1のパターン&footnote(1995年に発表された雑誌連載版での設定。1986年の読み切り版ではまた違う設定になっている。)に該当する。
追記・修正は見事アルカード伯爵を出し抜いてからお願いします。
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#right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/
#vote3(time=600,7)
}
#include(テンプレ3)
#openclose(show=▷ コメント欄){
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- 勉強になった。サブカルの中のお約束はこういう二次的な創作の中からも生じてくるものなんだな -- 名無しさん (2019-12-25 16:46:16)
- 音楽業界においてのだいたいBeatlesがやってる説どうよう、だいたい漫画界においては手塚治虫がやっている説 -- 名無しさん (2022-03-08 21:33:56)
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『夜の悪魔(原題:Son of Dracula)』とは1943年に公開された、[[吸血鬼]]を題材にしたアメリカのホラー映画である。
原案はSF作家のカート・シオドマクが担当し、実兄であるロバート・シオドマクが監督を務めている。
第二次大戦中の作品であるため、日本での公開は戦後の1950年。
当時、配給元であるユニバーサル・スタジオは古典ホラーシリーズで大ヒットを飛ばしており、本作も『[[魔人ドラキュラ>ドラキュラ(映画)]]』、『女ドラキュラ(原題:Dracula's Daughter)』に続くドラキュラシリーズの3作目として制作された。
ここまでの説明を読めば分かるとおり、本作はブームの最中に作られた古典ホラー映画の1作に過ぎない。わざわざアニヲタwikiに項目を建てるほどのものではないと思うことだろう。
だが本作は、&bold(){吸血鬼を題材にした近年のサブカル作品に登場するとあるキャラクターの初出作品なのである。}
**あらすじ
舞台は[[アメリカ合衆国]]ルイジアナ州ニューオーリンズ。
そこで「ダークオークス」と名付けられたプランテーションを経営するコードウェル家に、ハンガリーから一人の人物が訪ねてくることになっていた。
コードウェル家の長女・ケイの恋人のフランクは、ブリュースター教授とともに駅まで客人を迎えに行くが、列車が到着してもそれらしき人物はどこにも見当たらない。
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車掌曰く、乗客名簿にそのような名前は無いがそれらしき荷物は運んできたとのこと。
荷物を確認するブリュースター教授だったが、人ひとり中に納まりそうな巨大なトランクに刻まれたアルカード(&bold(){Alucard})のスペルを見て、ある違和感に気付く。
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#center(){&sizex(5){&bold(){&color(dimgray){「どうしました?」}}}}
#center(){&sizex(5){&bold(){&color(blue){「何でもない、馬鹿げた考えが浮かんだだけだ」}}}}
結局、伯爵本人は不在のまま荷物だけがコードウェル家に運び込まれた。
その夜、ケイはプランテーション内に居を構える占い師の老婆・ジンバに呼ばれ彼女の元を訪れていた。
ジンバは伯爵の来訪とともに屋敷を不幸が襲うと警告するが、突如として現れた巨大な[[コウモリ]]を目の当たりにし心臓発作で亡くなってしまう。
翌日の夜、コードウェル家では華やかな夜会が催されていた。本来なら伯爵を歓迎するためのものだが、当の伯爵は未だ人々の前に姿を現さないでいた。
その最中、当主であるコードウェル大佐が急性心不全により亡くなってしまう。
屋敷の者が慌てふためく中、まるで見計らったかのようなタイミングで、夜会服に身を包んだ一人の紳士がコードウェル家を訪れた。
#center(){&sizex(5){&bold(){&color(midnightblue){「アルカード伯爵である。今しがた到着した」}}}}
後日、大佐の死やアルカード伯爵に不信感を抱いていたブリュースター教授は、ハンガリーの事情に詳しいラズロ教授に助けを求める。
ラズロ教授は、アルカード伯爵なる貴族はハンガリーに存在しないと説明すると、伯爵が19世紀に滅んだ吸血鬼ドラキュラ伯爵の血筋である可能性を述べ、警戒するようブリュースター教授に告げる。
そんな中、コードウェル家ではケイとクレアの姉妹が判事から遺産相続の説明を受けていたが、不自然なことにケイが持ってきた大佐の遺言状には、ケイには屋敷とプランテーションのみが相続されると書かれてあった。
だがケイはこれでいいのだと微笑むばかり。
相続の件も含め、ここ最近姉の様子がおかしいことをクレアはブリュースター教授に相談する。ラズロ教授の警告のこともあり、アルカード伯爵の荷物をこっそり調べようとするブリュースター教授だったが、駅で見たあの巨大なトランクは屋敷から忽然と消え失せていた。
その夜、ケイが一人でこっそりと外出するのを目撃したフランクはその後を追うが、途中で見失ってしまう。
コードウェルの屋敷へと戻ったフランクだったが、そこには既に入籍を済ませて夫婦となったアルカード伯爵とケイの姿があった。
#center(){&sizex(5){&bold(){&color(crimson){「フランク、二度と来ないでって言ったじゃない……」}}}}
#center(){&sizex(5){&bold(){&color(dimgray){「教えてくれケイ、一体何があったと言うんだ」}}}}
#center(){&sizex(5){&bold(){&color(crimson){「判事の所へ行ったの。結婚したのよ私たち」}}}}
恋人の裏切りに激高し、そのままアルカード伯爵に食って掛かるフランク。怒りのあまり携帯していたピストルを発砲するが、弾丸は伯爵の体をすり抜け背後に立つケイに命中してしまう。
恐怖のあまり屋敷を飛び出したフランクは、伯爵の追跡からどうにか逃れ、命からがらブリュースター教授の自宅まで辿り着いた。
事情を聞いたブリュースター教授は単身屋敷へ乗り込みアルカード伯爵と面会するが、ベッドルームでは死んだはずのケイが普通に生きていたのだった……。
**登場人物
・&bold(){&color(midnightblue){アルカード伯爵}}
ハンガリーから渡米してきた吸血鬼。体を煙に変えてドアの隙間から侵入したり、大コウモリに変身する能力を持つ。
アメリカへとやって来た理由は、故郷であるトランシルヴァニアが一族の暗躍によって荒廃し不毛の土地と化してしまったため。
プランテーション内の湿地帯に、トランクに偽装した自身の棺を隠している。
ネイティブの発音ではアルカードがたまにア&bold(){ロ}カードと聞こえることがあるのだが、そのせいで日本語字幕では最初から最後まで&bold(){アロカード伯爵}と誤記されてしまうという残念な日本デビューを果たす。
・&bold(){&color(crimson){キャサリン・コードウェル}}
コードウェル家の長女。愛称はケイ。
占いだの黒魔術だの、いわゆるオカルトに傾倒している不思議ちゃん。
ブダペストへ旅行に行き、そこでアルカード伯爵と知り合ってからますますオカルトにハマってしまったためフランクからは本気で心配されている。
何らかの目的があってアルカード伯爵をアメリカへと招いたようだが……?
・&bold(){&color(dimgray){フランク・スタンリー}}
ケイの幼馴染で現在は恋人……だったのだが、アルカード伯爵に訳も分からぬまま恋人を寝取られてしまった可哀そうな人。
・&bold(){&color(blue){ハリー・ブリュースター教授}}
医学博士。町の人々の診察も行っている。
アルカード伯爵の来訪に不穏なものを感じ、どうにかしてケイとクレアの姉妹を助けようとするが……。
・&bold(){ラズロ教授}
大学で教鞭を取っているハンガリー人の学者。吸血鬼に詳しい。
ブリュースター教授から電話で相談を受け、アドバイスを送る。
・&bold(){クレア・コードウェル}
コードウェル家の次女。
アルカード伯爵が屋敷にやって来て以来、何かとこそこそ動くようになった姉が心配でならない。
・&bold(){クイーン・ジンバ}
プランテーション内に住む老婆。ジプシーの占いに精通しており、そのためケイからは慕われている模様。
屋敷に訪れる危機を予言するもアルカード伯爵が変身した大コウモリを見てショック死する。
・&bold(){コードウェル大佐}
コードウェル家の当主。
夜会の最中に急死するが、首筋には不自然な傷が2つ残っていた。
**あらすじの続き
翌朝、罪の意識に苛まれたフランクは自首し、保安官事務所の牢屋に入れられる。
死んだはずのケイに会ったと証言しフランクを助けようとするブリュースター教授だったが、保安官とともに向かったコードウェルの屋敷には誰もいない。
念のため昨夜のフランクの足取りを辿ってみたところ、墓場の奥の廟にて安置されたケイの遺体が発見される。
ブリュースター教授が帰宅すると、自宅にはラズロ教授が訪れていた。
今までの出来事を掻い摘んで話すブリュースター教授。それに対しラズロ教授は、アルカード伯爵はドラキュラの末裔の吸血鬼であろうと持論を語る。
今なお半信半疑のブリュースター教授に対し、吸血鬼を滅ぼす方法をレクチャーするラズロ教授だったが、その最中アルカード伯爵自ら二人の下へ乗り込んできた。
#center(){&sizex(5){&bold(){&color(midnightblue){「ラズロ教授、あなたはとても賢い男だ。だが甘いな」}}}}
#center(){&sizex(5){&bold(){&color(midnightblue){「邪魔をされるわけにはいかんのだ!」}}}}
辛くもラズロ教授が所持していた十字架で伯爵を追い払うことに成功するも、間髪入れず自宅へと意識を失った町の子どもが運び込まれてくる。その首筋には小さな噛み傷があった。
時同じくして牢屋では、一匹の大コウモリが眠っているフランクの首筋に噛みつき血を吸っていた。
その後コウモリはケイの姿へと変わり、フランクを眠りから呼び覚ます。やはりケイはあの夜に死に、吸血鬼と化して蘇っていたのだ。
混乱するフランクにケイは自身の計画を話す。なんと&bold(){アルカード伯爵と結婚したのは吸血鬼にしてもらい永遠の命を得るためで、そこに愛はないと言い切ったのだ。}
#center(){&sizex(5){&bold(){&color(crimson){「アルカードの力で私は不死となった。次はあなたの番よ。二人で永遠を生きましょう」}}}}
ケイは最初から愛するフランクとともに永遠を生きることが目的だったのだ。
更にケイは恐ろしい計画を口にする。
#center(){&sizex(5){&bold(){&color(crimson){「あの吸血鬼をこの世から滅ぼして」}}}}
なんと、牢から出してやる代わりに用済みとなったアルカード伯爵を殺してこいと言うのである。
しかもケイは、面会にやって来たクレアが教授の入れ知恵で自分を火葬にしようとしているのを知ると、&bold(){クレアや教授も一緒に殺せとフランクに言ってくる。}
#center(){&sizex(5){&bold(){&color(crimson){「私の邪魔をしようとするだなんて、もう妹でも何でもないわ」}}}}
その後、フランクは脱獄を果たし、伯爵の棺が隠されたプランテーションへと向かう。
だが&bold(){二人して大声で堂々と会話していたせいで}話の内容を保安官が覚えていたため、行き先を知った教授たちもすぐさま後を追っていくのだった。
**登場人物・改
・&bold(){&color(midnightblue){ドラキュラ伯爵}}
アルカード伯爵の本当の名前。&bold(){ケイにさらっと暴露されてしまった。}
ケイにいつか一緒にトランシルヴァニアへ帰ろうと話していたあたり、伯爵としては此度の結婚は本気だった模様。それだけに報われない。
ラズロ教授、ケイの双方から「眠っている間に胸に杭を打つ」または「外に出ている間に棺を破壊する」ことで存在を滅ぼすことができると説明されている。
・&bold(){&color(crimson){キャサリン・コードウェル伯爵夫人}}
吸血鬼をも手玉に取った稀代の悪女。
凶弾に斃れたのち吸血鬼として復活するが、全ては計画通りだった。それもこれもみな、フランクへの一途な愛のためである。……これ、ホラーですよね? 昼ドラや2時間サスペンスの類じゃあないんですよね?
遺言状のことも考えると、伯爵に大佐を襲わせたのは間違いなく彼女。
どうやら自分なりのこだわりがあるようで、吸血鬼と呼ばれるのを忌み嫌っており、フランクには不死者と呼ぶよう要求している。
・&bold(){&color(dimgray){フランク・スタンリー}}
&font(l){信じて旅行に出したオカルト好き彼女が伯爵と浮気した挙句吸血鬼になるなんて……。}
恋人が自分に何の相談もなく吸血鬼になったうえ、その恋人から恐ろしい殺人計画を持ち掛けられた本作最大の苦労人。
ケイに血を吸われているが、本作では死ぬまで血を吸われない限り吸血鬼化はしないと設定されているので、今も人間のままである。
・&bold(){&color(blue){ハリー・ブリュースター教授}}
フランクを庇おうと偽証したのではないかと保安官に疑われ、非常にストレスを溜め込んでいる。
アルカード伯爵の襲撃を受けたことで、ラズロ教授の話を信じ行動を開始する。
・&bold(){保安官}
最初、牢屋から聞こえてくるケイとフランクの会話を&bold(){頭がおかしくなったフランクの一人芝居だと信じ込み}、教授たちの話もまともに取り合おうとはしなかった。
**顛末
一晩かけてようやくフランクは伯爵の棺を発見する。そこへ現れるドラキュラ伯爵。
#center(){&sizex(5){&bold(){&color(midnightblue){「日が昇る前にやって来るとは……」}}}}
#center(){&sizex(5){&bold(){&color(midnightblue){「君は私を滅ぼすと言ったな。この世からいなくなるのは君の方だ」}}}}
フランクに襲い掛かろうとするドラキュラ伯爵だったが、彼の背後で何かが音を立てて燃えているのに気付く。
それは伯爵の棺だった。既にフランクは棺の中に枯草を敷き詰め、火を放っていたのだ。
#center(){&sizex(5){&bold(){&color(midnightblue){「火を消せ! さっさとしろ! 火を消すんだよ!」}}}}
尋常ではないレベルで取り乱す伯爵だが、消せと言われて素直に従うフランクではない。
もはや消火不能と判断したドラキュラ伯爵は&bold(){今にも泣きそうにしか見えない微妙な表情で}フランクを道連れにしようと首根っこを引っ掴む。フランク絶体絶命! だがその直後、悪夢のような夜が明けた。
陽光を浴び、骨になりながら沼地へと沈んでいくドラキュラ伯爵。全てを見届けたフランクはふらふらの体を引きずりながら、ケイとの待ち合わせ場所であるコードウェル家の地下室へと急いだ。
屋敷に駆け付けたブリュースター教授、ラズロ教授、保安官の前に、魂が抜けたかのような表情のフランクが現れる。彼に案内された先には、火を放たれ燃え上がるケイと彼女の棺があった。
これがケイの誘いに対するフランクの答えであり、彼からの最後の愛の証だった。
**登場人物・改改
・&bold(){&color(midnightblue){ドラキュラ伯爵}}
ある意味&bold(){本作における被害者ポジション}と言っても過言ではない。
棺の火を消そうと焦るあまり、&bold(){そこら辺に落ちていた板切れでバタバタ叩いて何とかしようとする}残念なシーンも。
後述するような他作品のキャラクターで脳内再生しながら[[あらすじ]]を読んでいた人は、ガックリきたことと思う。
なお、ここまでのあらすじを読んで頂いても分かる通り、原題は『Son of Dracula(ドラキュラの息子)』だと言うのに、&bold(){ドラキュラの息子だという話は一言も出てこない。}
これは前作のタイトルが『Dracula's Daughter(ドラキュラの娘)』だったため、
&bold(){「じゃあ娘の次は息子っしょwww」}
というノリで付けられたせいと思われる。
が、作中では同じように&bold(){ドラキュラの息子ではないという話も出てこない。}ドラキュラという名前についても襲名制である可能性は否定できない。
結局、本作の吸血鬼がドラキュラ本人なのか名前を継いだ血縁者なのかは最後まで不明のままなのだ。
・&bold(){&color(crimson){キャサリン・コードウェル伯爵夫人}}
色々とやらかしてくれたが、最期は安らかな寝顔のまま火葬にされる。
何の対策も立てずに無防備な寝姿を晒していたのは、ひとえにフランクを信じていたからであろう。
・&bold(){&color(dimgray){フランク・スタンリー}}
魔道に堕ちた恋人を自らの手で滅ぼすという選択をする。
火を着ける前、ケイの寝顔を見つめながら彼女の指に自分が嵌めていた指輪を嵌めるシーンから、彼の愛もまた不変であったことが窺える。
**アルカードというキャラクターについて
本作で提示された
&bold(){1.アルカードとはドラキュラの息子の名前である}
&bold(){2.アルカード(Alucard)はドラキュラ(Dracula)のアナグラムであり、ドラキュラ本人が使う偽名である}
という2つの設定は、その後のサブカル界隈においてそれぞれ別々に継承されていくこととなる。
ここではこの2つの設定を用いた代表例を紹介する。
・&bold(){悪魔城ドラキュラシリーズ}
KONAMIの[[ゲーム]]作品。1のパターンの代表例。
闇を払う宿命にあるベルモンド家の血筋に手を貸す吸血鬼として、複数の作品に登場。
ただし&bold(){[[アドリアン・ファーレンハイツ・ツェペシュ>アルカード(悪魔城ドラキュラ)]]}という本名が別に存在するため、2の要素も混じっている。
#region(以下、簡単な解説)
初登場は1989年発売の『悪魔城伝説』。
元は人間だったが、吸血鬼と化した父・ドラキュラの手によって人外の者にされる。それでも人の心は失わなかったため、主人公の[[ラルフ・C・ベルモンド]]らに協力して共に戦うという設定。
コウモリに変身してショートカットをしたり落下ミスを防ぐことが可能だが、それ以外の面はラルフの仲間たちの中でも最弱で、&bold(){彼を使うこと自体が縛りプレイのレベル。}
おまけにパッケージイラストが&bold(){[[とんねるず]]の石橋貴明にしか見えない}&footnote(一部では佐藤B作とも。)こともファンの間では散々ネタにされていた。
次に登場した1997年発売の『悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲』ではなんと主役に抜擢。
それに伴って設定の一部が変更され、ドラキュラと人間の母との間に生まれた、東欧の伝承で言うところのダンピールであるとされるようになり現在に至る。
あと重要な点として&bold(){キャラデザも変更された。}もうタカさんだのバシタカだのとは言わせない。
本作ではコウモリだけでなく狼や霧にも姿を変えることができるようになり、『夜の悪魔』での描写に近くなった。
2003年発売の『[[キャッスルヴァニア 暁月の円舞曲]]』、2005年発売の『悪魔城ドラキュラ 蒼月の十字架』では&bold(){有門幻也}という名前で身分を偽り日本に潜伏。諜報機関に所属し、父ドラキュラが転生した少年の動向を監視していた。
本編ではNPCだが、クリア後のおまけモードでは使用可能。
設定を一新してやり直した2010年発売の新シリーズ『キャッスルヴァニア ロード オブ シャドウ 宿命の魔鏡』とその続編にも登場。こちらでもドラキュラの子であり本名は別に存在するという点は共通しているが……。
また、ここで紹介した作品以外にも[[様々な作品に>ソニア・ベルモンド]][[出演している。>悪魔城ドラキュラ Harmony of Despair]]
#endregion
・&bold(){[[HELLSING]]}
1998年に発表された[[平野耕太]]作のマンガおよびそれを原作としたアニメ作品。2のパターンの代表例。
イギリスの対吸血鬼特務機関「ヘルシング機関」に所属する、作中最強の吸血鬼として登場。名義は[[アーカード>アーカード(HELLSING)]] &footnote(アニメの海外吹き替え版ではアルカードと発音されている。)。
詳細については項目参照。
**余談
アルカード(ドラキュラ)を演じたロン・チェイニー・Jr.は、本作以前に&bold(){狼男、フランケンシュタインの怪物、ミイラ男を演じており、モンスター映画界の4大スターを一人で制覇した役者となった。}
なお彼の父親であるロン・チェイニーは『オペラの怪人』&footnote(『オペラ座の怪人』のことだが、日本に紹介された当初はこのように訳されていた。決して脱字ではない。)でファントム役を演じ、『魔人ドラキュラ』のベラ・ルゴシ、『[[フランケンシュタイン>フランケンシュタイン(1931年の映画)]]』のボリス・カーロフと並び称えられた名優。
が、父親と比べると表現力は劣るというのが評論家やファンの見解であり、本作に至っては&bold(){「当代一流のメイキャップアーティストが手掛けているにも拘らず、吸血鬼としての説得力に欠ける」}という評価を下されている。
実際、ベラ・ルゴシやクリストファー・リー辺りと比べると確かにスゴ味が足りないように思えるのがなんとも……。
本作はアルカードの初出作品というだけでなく、&bold(){特撮を用いて吸血鬼がコウモリや煙に変わる場面を描いた初の映像作品}、&bold(){吸血鬼に血を吸われた者は吸血鬼になるという設定を初めて明確に示した映像作品}、&bold(){日光を浴びて白骨化する吸血鬼という描写を初めて取り入れた映像作品}だと言われている。
実は吸血鬼モノを語る上では欠かせない作品だったのだ。
本作発表以降もしばしばアルカードという名は世に出ている。たとえば1967年に発表されたオムニバス短編映画『Dr. Terror's Gallery of Horrors』。
ただし冒頭での[[タモリ]]的な人の語りの中にアルカードという単語が出てくるだけで、作中の吸血鬼は一貫して「伯爵」と呼ばれている。
そして&bold(){この作品の「伯爵」もかなり残念な最期を迎えてしまう。}ひょっとして当時の欧米においてアルカードという呼称はドラキュラのパロディを指す言葉だったんじゃないかとつい勘繰ってしまうレベル。
……などと書いていたが、どうやら本当に当時の欧米では&bold(){アルカード=パロディ、コメディの代名詞}という認識だったらしい。
『夜の悪魔』以降アルカードという名前を用いて吸血鬼モノの創作を行うフォロワーが増加したのが原因らしく、散々擦られ続けた結果、ホラーファンは作中でアルカードという単語が出た途端「またかよ」と失笑していたそうな。
1972年にモンスター映画の老舗であるハマー・フィルムが制作した『ドラキュラ'72(原題:Dracula A.D. 1972)』にもアルカードは登場する。名義は&bold(){ジョニー・アルカード}。
ただしこの作品のアルカードは、主人であるドラキュラを現代に復活させようと暗躍する眷属&footnote(作中で吸血鬼化するが、元は人間。)の名前となっており、&bold(){アルカードとはドラキュラを連想させる者、またはドラキュラに近しい位置にある関係者を指し示す名前である}という3番目のパターンを生み出している。
そしてこちらのアルカードも結構アレな最期を……。&font(#0000ff,u){&font(#ffffff){いくら吸血鬼は流水が苦手だからって、シャワー浴びて死んだ吸血鬼なんてこいつぐらいなのでは……。}}
1974年に『Son of Dracula』という本作と同名の映画が発表されているが、ただ題名が被ったというだけでリメイクでも何でもない別物である。そもそもジャンルからしてホラーではなく&bold(){ミュージカル}。ビートルズのリンゴ・スターも出演している。
なお、登場する吸血鬼の名前はアルカード伯爵ではなく&bold(){ダウン伯爵}&footnote(伯爵は英語でカウント。つまりカウントダウンをもじったシャレ。)。
日本のサブカルで初めてアルカードの名が登場したのは上記の『悪魔城伝説』……ではなく、なんと&bold(){[[手塚治虫]]が1969年に発表した『I.L』というマンガ。}&font(l){また手塚か。}
じゃあ次が『悪魔城伝説』……かと思いきや、[[Moo.念平>あまいぞ!男吾]]が1986年に『アルカードくん』というギャグマンガを発表している。
ただし両作品ともマイナーな部類に入るので、日本にアルカードというキャラクターの名が定着するようになったのは、紛れもなく『悪魔城ドラキュラシリーズ』以降であると言えるだろう。&font(l){ついでに強キャラというイメージを定着させたのも。}
ちなみに『I.L』は2のパターン&footnote(作中のキャラクターが棺のスペルを見てそう解釈しただけで、実際は『夜の悪魔』と同じで真相は不明のまま。)、『アルカードくん』は1のパターン&footnote(1995年に発表された雑誌連載版での設定。1986年の読み切り版ではまた違う設定になっている。)に該当する。
追記・修正は見事アルカード伯爵を出し抜いてからお願いします。
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- 勉強になった。サブカルの中のお約束はこういう二次的な創作の中からも生じてくるものなんだな -- 名無しさん (2019-12-25 16:46:16)
- 音楽業界においてのだいたいBeatlesがやってる説どうよう、だいたい漫画界においては手塚治虫がやっている説 -- 名無しさん (2022-03-08 21:33:56)
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