怪異(裏バイト:逃亡禁止)

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&font(#6495ED){登録日}:2021/02/05 Fri 00:19:00 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 109 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- #center(){&font(red,b){※この先には『[[裏バイト:逃亡禁止]]』の重大なネタバレしか含まれていません。※} &sizex(6){&bold(){&color(red,black){命とは、斯くも軽いものなのか。}}}} この項目は、マンガワンで連載中のweb[[漫画]]『[[裏バイト:逃亡禁止]]』に登場する怪異たちの解説を行う。 なお『怪異』と銘打っているが、これは項目での便宜上の括りとしている。劇中でも怪異の他に&bold(){『怪奇』}と呼ばれる場合もある。 #openclose(show= ●目次){ #contents } *概要 本作の「裏バイト」とは&bold(){&color(red,black){「表沙汰にできない闇のアルバイト」}}であるが、 犯罪やヤクザなどの反社組織絡みのものではなく、&s(){たま〜にある「雇い主が世間知らずだったり数字を間違えたりしたせいで異常に高給になってしまった仕事」を除き、}どれも&bold(){怨霊・悪魔・神格等々、何らかの人智を超えた存在が関わってくるオカルト案件}で構成されている。 本項ではそんな「裏バイト:逃亡禁止」に登場する怪異を紹介している。 詳しいところは各怪異の説明を読んでもらいたいが、本作の怪異は&bold(){普通なら関わった時点で破滅は免れない、&font(red,black){「殺意の塊」}という表現が大げさに聞こえないほど危険で理不尽な存在}が大半。 関わって&bold(){「楽に死ねる」ならまだマシな方}で、&font(b,red,black){「自分自身も怪異の一部と化す」「死にたくても死ねず永遠に生き地獄を味わわされる」}というパターンも少なくない。 また、全体的にやらかすことの規模が大きいのも特徴的で、直接対峙することになる裏バイターはもちろんのこと、仕事とは直接無関係な近隣住民などが巻き込まれるのは半ば日常茶飯事。 &font(b,red,black){人類の存亡に関わるレベルの事態を引き起こすもの}までちょくちょく顔を出す。 それだけならそこまで悪意的ではなかったり、無差別には人を襲わなかったりする比較的穏健な(?)怪異もいない訳ではないが、そういうものに限って&bold(){欲望や悪意を抱えた人間に利用されている}ことがほとんど。 そして「裏バイト」の世界には、[[怪異を倒す力を秘めた槍を操る少年と大妖怪のコンビ>うしおととら]]とか、[[鬼の手で生徒を怪異から守る先生>地獄先生ぬ~べ~]]とか、[[「破ァ!」の一言で怪異を消し飛ばしてくれる寺生まれで霊感の強い先輩>寺生まれのTさん]]とか、[[悪魔を狩るデビルハンター>ダンテ(DMC)]]とか、[[生まれた瞬間に世界の均衡が変わる程の規格外の呪術師>五条悟(呪術廻戦)]]とか、[[命を燃やす仮面ライダー>天空寺タケル]]とか、[[怪異の方が逆に逃げ出すような幼女>寶月夜宵]]とか、&s(){[[怪異をセックスで退治する変態霊能力者>うしろの正面カムイさん]]とか、}((同じくマンガワン連載。一応コラボイラストで共演していたりはする。))そういった&font(b,red){怪異に真っ向から立ち向かえるヒーローは一切存在しない。} 主人公コンビも[[片割れが異能持ち>黒嶺ユメ(裏バイト:逃亡禁止)]]とはいえ、&bold(){どうにかバイトの期間中は自分たちが生き残ることで手一杯}((手の届く範囲でバイト仲間や巻き込まれそうな人々を助けようとはしているが、結局無駄な足掻きに終わってしまうことも少なくない))であり、その場凌ぎの対処はできても「怪異そのものをどうにかする」ことはほとんど不可能。 なんであれば&bold(){彼女たちをはじめとする「裏」の人間が関わったがゆえに野に放たれてしまった怪異}も少なからず存在する。 一応怪異に対する調査・研究などを行なっているらしい機関は存在するのだが、[[似たようなことをやっている某財団>SCP Foundation]]とは違い積極的な収容などは行なっておらず、対応は基本各事業主と裏バイター任せになっているという有様。 総じて&bold(){あまりにもモブに厳しすぎる世界観}だと言える。というか&font(b,red){モブ以外にも普通に厳しい。} ちなみに&bold(){怪異を物理で殴り飛ばせる場合もある}がこれにも限度はあるらしく、基本的には怯ませた隙に逃げるとか相手方が怯んで逃げ出すとかで終わっている。 *紹介 **人面樹の森 #center(){&bold(){&color(red,black){「はじめまして」「はじめまして」「はじめまして」}} &bold(){&color(red,black){「はじめまして」「はじめまして」「はじめまして」}}} 記念すべき第1話であるホールスタッフのエピソードで登場した、某県の山中に位置するリゾートレストラン&bold(){「緑心庵」}の奥にある森へ巣食う怪異。 眠った人間の夢を介して人間を憑り殺し樹木が飲み込んでいくようで、仮に眠りから目覚めたとしても今度は&bold(){実体化した森の精霊(と思わしき人型の怪物)がその人間を飲み込もうと襲い掛かってくる。} 取り込まれた犠牲者は森と融合して人面樹にされ、精神すらも変質させられ森の一部として生き続けることとなる。 **&ruby(くろぐろ){黒黒}ビルの悪霊たち #center(){&bold(){&color(red,black){助けてよォォォ! 人手が足りないの!}}} ビル警備員のエピソードで登場した怪異。 その昔、とある街中のオフィスビル・&bold(){「黒黒ビル」}7階に居を構えていたブラック企業の自殺した社員たちが悪霊兼地縛霊と化し、ビルの7階に取り憑いた怪異。 黒黒ビルで自殺者を多数発生させ、ビルを最悪の事故物件へと変貌させた元凶。 常に生きた人間を妬み、&bold(){&color(red,black){「何故死ぬ前に助けてくれなかったのか」「人手が足りない」}}と嘆いて仲間(道連れ)を求めている。 特徴としてあの手この手で深夜のビル警備員を&bold(){7階の空き部屋に招き入れて殺害し、仲間にしようとする。} おまけに、 ・7階へ足を踏み入れた警備員に幻覚を見せてテリトリーの空き部屋に入ってくるよう仕向ける ・少しでも多く「社員」を増やすため後任が来るまでは取り込んだ警備員を生かしておき、仕事を交代させた後で自殺させる など狡猾で悪辣な手も使う。 更に深夜帯となると&bold(){1階から7階までビル内の部屋全てがテリトリーとなり、}7階の空き部屋に入らずともビル内にいるだけで呪われ死ぬ危険が発生する。 劇中の様子を見る限り、当時の黒黒ビルにあった[[ブラック企業]]と同じく激しい暴行・罵倒といったパワハラが常態化しているようだが、本来彼らが既に社会から物理的に外れている存在であるのを考慮すると実際にはまともな会社組織としての形態を保てているかすら怪しく、あくまでも「生前の活動を再現しているだけ」に過ぎない。 なのでパワハラ被害者の霊も被害者を装って敢えて同情を買い、積極的に生者を欺き呪い殺そうと狙ってくる。 しかし屋上だけはフルタイムで安全地帯となっている。理由は不明だが、おそらくここに囚われている霊たちにとっては非常に近寄り難い場所であろうことが予想できる。 そもそも日中にビル周辺を慌ただしく歩いている会社員たちの多くは&bold(){&color(red,black){ビルの犠牲となって取り込まれた、或いはビルに取り憑いている地縛霊たち。}} そのためビルのみならず&bold(){ビル周辺の土地一帯が地縛霊たちの住処}に等しく、実体化した地縛霊の「社員」たちが日々生きた人間たちに紛れてビル周辺で蠢いている。 昼間に実体化している地縛霊たちは霊感の有無に拘らず知覚できるため、地縛霊と生者との区別は困難を極める。 総じて社員たちは地縛霊と化した末、&bold(){退職も休みも救いも存在しない終わりなきブラック労働}を行い続ける袋小路に陥っており、和美からは&bold(){&color(gold,#f5f5f5){「究極のブラック企業」}}とまで評された。 **鞄 #center(){&bold(){&color(red,black){「遅れるな」}}} 個人向け配送業のエピソードで、主人公2人が配送することになった正体不明の物品。 中には&bold(){&color(red,black){「明確な意志をもった何か」}}が存在しており、自身の入った鞄が期日通りに目的地へ運ばれるのを望む。 期日に遅れそうになる度、警告と言わんばかりにガタガタと鞄を揺らして間に合わせるよう催促するなど一部の読者からは&bold(){「ちょっと可愛い」}と評判。 一方、運び手以外の者には&bold(){「鞄を手に入れて中身を見たい」}という非常に強烈な誘惑の力を働かせ、誘惑を受けた者は如何なる手段を使ってでも鞄を奪い取り中身を見ようと襲い掛かってくる。 更には本来知らないはずの運び屋の名前まで把握でき、それを利用して騙しにかかるような描写まである。 しかし仮に奪い取っても中身を目の当たりにした瞬間、その者は&bold(){絶望と恐怖、更には中身を見た後悔で即座に発狂。} &bold(){&color(red,black){狂い果てた末に顔面を削り取るように壁や地面に擦り付け自殺}}してしまう。 おまけにこれは人通りが少ない場所である場合で、人の多い場所ではさらにこの鞄の中身を&bold(){「皆に見せてあげよう」という誘惑も発揮される。} 中身の目撃者が複数人であれば&bold(){&color(red){泣き叫んだり馬鹿笑いしたりなど、全員が例外なく発狂する}}阿鼻叫喚の大惨事と化す。 複数人の場合は顔面を削り取るように壁や地面へ擦り付けたりはしないようだが、いずれにせよ大惨事を招くのは確か。 中身を見た者が死ねば死ぬほど鞄は少しずつ大きくなる上に奪われた後であっても、奪って[[中を見た人間を例外なく狂死させ>見るなのタブー]]再び運び役の前へ戻ってくる。 &s(){そのお手軽さから知性を備え持つ怪異にはとりあえず鞄をぶつけようとする読者もいる。} これ自体に遅刻時以外は害意がなく、鞄に惹き寄せられた人々もあくまで鞄を奪おうとするだけで対応能力を超えた厄介事とは言えないため、ユメの異能が全く役立たなくなる。 作中の描写を見ると運び屋にも多少なりとも「鞄の中を見たい」という誘惑が働くらしく(ユメが危うく引っかかりかけた)、中を見てしまうと作中の犠牲者と同様の末路を辿る模様((1巻カバー裏「裏バイト:逃亡禁止if 失敗!個人向け配送業編」より。))。 主人公2人がバイトを完遂した後日、「鞄」によって中東や西アジアの国々がほぼ壊滅させられ&bold(){複数の国が&color(red){事実上の消滅状態}になった}らしい。 **異世界 治験のエピソードで主人公2人と崎村ゆうが迷い込まされた、現実とは異なる世界。 サルバドール・ダリの絵画「記憶の固執」((柔らかくなって溶けてしまったような時計が描かれた作品。))を彷彿とさせるような奇怪極まる風景及びオブジェクト、異形の住民たちがのさばる謎の空間。 次元の狭間にある特異な空間のようで、『扉』の向こう側は&bold(){「想像もつかない位に素晴らしいことが待っている」}という極めて強力な誘惑が発生している。 もし誘惑に負ける或いは金欲しさ((『扉』を開けた者には謝礼として追加で300万円支払われるとされているが、『扉』を開けた者の末路からすると積極的に開けるよう仕向けられている可能性がある。))に『扉』を開けた場合、世界の真理を知った代償として&bold(){&color(red){存在そのものが消滅し人々から忘れ去られてしまう。}} 扉の先を見た人物曰く「&bold(){住んでいた世界は全くの嘘っぱち}」とのこと。 ただし、扉の誘惑を振り切って&bold(){「何の魅力もなく見ただけでクソと分かる、見覚えのあるドア」}を潜れば現実へ帰還できる。 そしてこの世界にいた記憶は滞在者の脳から忘れ去られる。 今回の裏バイトは主人公2人と崎村ゆう・石見絵里の4名が参加し、途中で『扉』を開けてしまった石見絵里の存在が消されたかのように思われていた。 しかし&bold(){本来の参加者は18名もいて、既に『扉』を開けた14名による参加者の存在・記憶が4人から消えていた状態だった((この世界で和美が見た馬とハイエナはそれぞれユメとゆうだったようだが、他の治験参加者と異世界の住民との関連は不明。))。} 『扉』を開けた者は「開通者」と称され、彼らを通して現実とは異なる次元のデータを観測するのが雇用主たちの目的である。 異世界との接点を持つこの裏バイトは雇用主たちから「Q治験」と称され、その後も「&bold(){Q}」の文字が見られる異世界が関与した裏バイトは現れるが、相互に関係あるかも含めて詳細は不明。 **生き人形 #center(){&bold(){&color(red,black){きゃははははははははは!}}} 人形供養のエピソードで葬儀会社「博愛ノココロ」に預けられ、主人公2人とシャーロット天ノ崎が供養することとなった曰く付きの人形。 預けられた人形は例外なく生き物のように動き回る性質を持つ、所謂生き人形の類。 活動を始めるとすぐさま特定の人間へ纏わり付き始めターゲットにされた者は酷く衰弱、やがて人形の中の存在から身体を奪い取られてしまう。 人形の中にて宿るモノに身体を奪われた人間は、生きた人間が近づかない限り一切身動きしない「人ならざる何か」に成り果てる。 そして人形の「中身」が多いほど、身体を奪われる犠牲者の数は増えていく模様。 ただ少なくとも作中で登場した人形は身体を奪う以外に害意はなく、奪った後ではユメの異能が反応しなくなっていた。 一方で身体を奪われた犠牲者は&bold(){精神が人形の方に入れ替わられる。} そのため身動きや他者との一切の意思疎通が不能となり、&bold(){最終的に会社が行う&color(red,black){「お焚き上げ」}によって生きたまま焼かれ死ぬ。} 「博愛ノココロ」全体が把握しているかは不明だが、「&bold(){2階の部屋に入らない}」ように念押ししてその上で&bold(){人形が肉体に入り込むことを把握}しており&bold(){「え…もしかして…供えてない!? 肉体を!?」「まだ君達は君達!?」}と動揺していたため、少なくとも黒柳はどうなるか分かっていたようだ。 なお、今回の「人形」は何故か入れ替わった後も人間と変わらない振舞いを見せていた。人形が特別だったのか、入れ替わられた天ノ崎が「人形になりたい」という願望を持っていたのが関連しているのかは不明。 **しらかみ様 #center(){&bold(){神を崇める者。神を否定する者。神とはなんの関わりもない者。神はどれを見逃すと思う?} &bold(){答えは全て殺す、だ。}} 自然保護監視員のエピソードで登場した、白銀神山に住まう神…と呼ばれている何か。 全身が真っ白な全裸の女性のような姿をしているが、その顔は&font(b,red,black){縦向きの淀んだ目に左右非対称の鼻の穴、あんぐりと異常なほど大きく開いた口}というかなりおぞましいもの。 そして実は&bold(){個体ではなく群体}であり、白銀神山の山中には&font(b,red,black){一斉に動けば遠目には雪崩のように見えるほど夥しい数の「しらかみ様」}が潜んでいる。 自ら山を下ってくるといったことはないようだが、テリトリーに踏み入ってきた人間に対しては容赦なく襲いかかり、&font(b,red){食い殺してしまう。} そればかりでなく犠牲者は&font(b,red,black){すぐには死ねず、生きたまま体の中身を貪り食われ、次第に痛覚や視覚さえも麻痺し、ホワイトアウトしていく視界の中で何もできず死んでいく恐怖を味わい続ける}という生き地獄を見せられる羽目になる。 地元の人々には神として崇められており、実際超常的な力と狡猾な知性を備えた存在であることは間違いないのだが、後述するように「一度味を覚えた餌に執着する」性質を持っていることなど、その振舞いは神というより&bold(){ヒグマなどの山を寝ぐらにする猛獣}のそれに近いところも。 当初はそこまでタチの悪い存在ではなかったようで、白銀神山にホテルを建設しようとする業者を排除しようと事故を起こすくらいで済んでいたのだが、彼らが&bold(){折り悪く発生した雪崩に巻き込まれてしまった}ことが惨劇の始まり。 多くの作業員を食らったしらかみ様は&bold(){人間の味を覚えて「餌」だと認識するようになってしまい、}&font(b,red){ホテルの建設をあえて妨害せず、より多数の&ruby(餌){人間}が山を訪れるよう仕向けた。} そしてクリスマスの夜、ホテルの主催したパーティにおいて大多数の人間が集まってきたところを見計らい、大挙して襲撃。 しらかみ様の存在を頑なに信じなかったホテルの従業員と経営陣、しらかみ様を敬い抗議のために乗り込んできた地元住民、取材へやってきたテレビクルーや宿泊客など元より何の関わりもなかった人々。 その場にいた人間は、&bold(){&color(red,black){全員等しくしらかみ様に貪り食われた。}} しらかみ様からすれば自らを軽んじようが敬おうが無関心だろうがどうでもよく、人間など餌としか見ていなかったのだった。 **&ruby(ふくのかみ){福ノ神} #center(){&bold(){&color(red,black){カラァンッ}}} 助勤巫女のエピソードで登場した、福音島に出現する怪異。 その呼び名通り、見た目は作務衣を着た福耳の男という世の福の神のイメージと概ね変わらないもの。 ただし顔が異常に大きかったり、人の願いを聞き届ける際に大口を開けて笑ったりと、やはり振る舞いは不気味。 元々は島にあった井戸の水を盗み飲みに来る&bold(){「よく分からないもの」}でしかなく、福ノ神という名前は人間が付けた便宜上の名前に過ぎない。 といってもこれまでに出てきた怪異たちとは違って、福ノ神自体は自ら人を害するような悪意ある怪異ではない。 正体は&bold(){&color(red){井戸の中に供物を捧げると、捧げた者の運を自在にコントロールする力}}を持つ超常的な存在。 供物次第では&bold(){非常識的で不可解な事象}すら引き起こして「捧げた者の願い」を叶えようと力を行使する。 一方、供物を捧げなかったとしても何かしらデメリットがある訳でもないらしく、&bold(){人間が欲をかかなければ}基本的には無害な存在と言える。 なお、好みは清純な女性(処女)のよう。 また供物が自ら身を捧げた場合は、供物自身にも願う権利が与えられる。 その昔、神懸かり的な力を求めた人間たちの間で諍いが絶えなくなり、先人が井戸を中心に神社を建設して容易く福ノ神が近づけないようにしたという。 その時以降「それ」は年に一度、正月となる度に歳神へ扮して姿を見せるようになった。 この性質を欲望と己の利益のため利用したのが、現代の福音島の住民である上級国民たちだった。 しかしながら島民と福ノ神との関係性はあくまでも「店員」と「客」程度の繋がりしかなく、&bold(){運を制御できるほどの存在にとって人間など食えるか食えないか程度の違いがあるのみ。} 更に言えば後述するように、&bold(){200人弱と1人の違いすらもない。}おそらく尺度はそれが願った者にとって幸運か否か程度だろう。 最終的に今回の巫女を生涯の友としていた女性が、自身を生贄に差し出して願いを訴え死亡。 その対価として島民の上級国民を含めた「福ノ神に贄を捧げる儀式」に関わった人間184名を惨たらしく苦しむ形(唐突に発生した末期癌や末期脳腫瘍による病死、隕石の直撃による理不尽な事故死など)で皆殺しにして、願いを成就させた。 **マザー・フィッシュ #center(){&bold(){母親の心音は子供に安らぎを与えるよね。} &bold(){マザー・フィッシュにとって、人間なんて子供みたいなものなのさ。}} 水族館スタッフのエピソードで登場した、水族館MAOを根城とする&bold(){&color(red){超巨大な魚の怪物。}} その巨体は普通の水槽どころか水族館そのものにすら収まりきらず、&font(b,red,black){瞳だけで水槽一面が覆い尽くされる}ほどだが、バックヤードにて自身の能力によって作り出したと思われる超巨大水槽の中を悠々と泳ぎ回っている。 曰く&bold(){「この世ならざるもの」「全生物の母なる存在」}とのことだが、これは後述する「心音」に操られたスタッフの発言であるため本当にそうなのかは不明。 マザー・フィッシュの立てる心音のような音を聞いた人間は、母親の心音を聞いた子供のように安らぎを感じ、間もなく警戒心を失ったりマザー・フィッシュに心酔してその意のままに動くようになったりする。 そうしてバックヤードに入ってきた客や裏バイターは&font(b,red,black){水槽内に引き込まれ、魚たちの餌にされてしまう。} タチの悪いことにかなり悪知恵も働き、バックヤードの担当スタッフを操って&bold(){好みの「エサ」を連れて来させる}といったこともする。 対処法としてはシンプルにヘッドホンや耳栓を使って「心音」を聞かないようにするのが比較的有効だが、マザー・フィッシュ側から目をつけられれば先に触れたように影響された人間を操って引き込みに来るし、影響が強まってくると&font(b,red,black){「心音」が耳栓まで貫通して聞こえるようになる}ため一時しのぎにしかならない。 というわけで&bold(){長く関わろうとせずさっさと逃げる}のが裏バイターにとっての無難な選択肢。 強大かつ狡猾な怪異ではあるものの、幸い安定して餌にもありつけている((バックヤードツアーで1人300万円という莫大な売上が得られるため、水族館側からしてもマザー・フィッシュの存在には旨みがあるのではないかという声もある。ただし客入りの頻度はかなり少ないように見え、その管理のために1人頭時給10万円という莫大な人件費をかけて裏バイターを雇わざるを得ず、正規スタッフにも犠牲が出ている…と水族館側に少なからず負担もかけているため、本当にWin-Winの関係と言えるかは微妙。))おかげか、その魔の手が及ぶのはひとまず館内限定。 操られない内に逃げてしまえばとりあえずは安全に、後腐れなく仕事を終わらせられる。 …といっても普通&bold(){ユメのような異能持ちでもないと「心音」の危険性にはまず気付けない}ので、一般的な裏バイターや知らずにやってくる客にとってはとんでもなく恐ろしい存在であることは間違いない。 &font(#0000ff,u){&font(#ffffff){まだ初登場でキャラが固まりきっていなかったとはいえ、『あの』橙を引き込みかけたことから後々評価が上がりつつある。}} ***&bold(){魚たち} マザー・フィッシュと共に水族館MAOの水槽全体を根城とする人喰い魚たち。 水槽から獲物にできそうな人間を品定めすると[[スイミー]]さながら人間の形になるよう集合。この群れが獲物を誘う疑似餌となる。 標的にされた人間は疑似餌が&bold(){「水族館の水槽で楽しそうに&s(){全裸で}泳ぐ人間」}にしか見えずあたかも水族館の水槽内が楽園であるかのように錯覚し、バックヤードツアーを利用してマザー・フィッシュや彼らの巣食う水槽へ自ら入り込んでしまう。 水槽に入った人間は初めこそ水槽内を天国と言わんばかりの恍惚に満ちた表情で泳ぐが、その後&bold(){&color(red,black){彼らから生きたまま貪り食われて死ぬ。}} ただ、この疑似餌は&bold(){現実に対する強いストレスを感じている}者以外には大して効き目がなく、標的以外には「人型に集まって群れている魚」にしか見えない。 不気味極まりない生態だが、やってること自体は概ね[[チョウチンアンコウ]]と同じ。 **いちょうさん #center(){&bold(){あのね、ウチの学校、こんな噂あるの。&br()むかーし学校で自殺した生徒の霊が出るんだって! &br()今までの用務員さん、皆それ見て辞めたって話!}} #center(){&bold(){&color(red,black){いちょうさん}っていうの。}} 学校用務員のエピソードで登場した、花角中学校に巣食う怪異。 黒いコートを着込み山高帽を被った異様な長身の巨体と、点描で描いたように呆けた顔立ちが特徴的な怪人。 連載版では終始無表情のままだったが、単行本では犠牲者に襲いかかる際は&font(b,red,black){満面の笑み}を浮かべている。 いちょうさんに髪の毛を捧げ、何かしらの約束をした者は1週間それを守り通さねばならず、約束を破った者は&font(b,red){いちょうさんに殺される。} 一応、約束を破ってから殺しに来るまでには多少の時間的猶予((ユメハマの前任の用務員が[[土曜日]]に約束を破り、その後少なくとも翌週月曜日までは生き延びていた描写がある。))があり、その間に他の人間がいちょうさんとの約束を破ればそちらが先に殺される羽目になる。 つまり、他の人間を騙していちょうさんとの約束を破らせることで自分の死を&bold(){先送り}にはできる。 …だがそれも所詮は一時凌ぎ。他に約束をする者がいなければいずれ殺される順番が回ってきてしまうため、&bold(){&color(red,black){生き残るために他人を陥れて生贄にし続けなければならない無間地獄}}に陥ってしまう。 なお、&bold(){約束を守り通したとて特に恩恵がある訳でもない。}それどころか誰かが約束を守り通した場合、&font(b,red){いちょうさんはそれまでに約束を破って生き残っていた人間を全員殺してしまう。} 最初の犠牲者は一体誰なのか、何を思っていちょうさんと何の利益もない約束をしたのかは全くの謎。 生徒の間では死んだ生徒や先生、或いは戦時中に死んだ軍人の霊と噂されていたが、実のところどういった存在なのかも不明。 いちょうさんがどういう目的で、何の意味があってこんなことをしているのかもわからない。 そもそも明確な意思を待っているのかさえもはっきりしない。 本作に登場する怪異たちの大半がこれに当てはまるだろうが、人間の解釈できるような意義などは超越した存在だと言う他ないだろう。 #openclose(show=なんの話って? 名前の由来を聞いたろ?){ #center(){&bold(){&color(red,black){だから、&ruby(いちょう){意超}さんって言うのさ。}}} } **&ruby(きょぞう){虚像} #center(){&bold(){吾妻史郎に関わろうとする人間は、皆例外なく…即死するんです}} 探偵助手のエピソードで登場した、華栄地区・九番街に出現する怪異。 九番街を、毎日死亡事故が発生し続ける&bold(){&color(red,black){「魔の九番街」}}へと変えてしまった元凶。そしてマルチタレント・吾妻史郎が生前目撃していた&bold(){「もう1人の自分」。} 所謂[[ドッペルゲンガー]]の一種で、探偵の八木が掲げた仮説を信じるならば&bold(){「あまりにも数多くの人々の視点により画一化された『スターとしての吾妻史郎』のイメージ」}が勝手に現実世界で実体化を果たしたモノ。 八木は世界各地で伝わる「有名人((エルヴィス・プレスリーや[[マイケル・ジャクソン]]が例に挙げられていた。))の死後に発生する死者の目撃例」も、この虚像と同種の現象によるものだと考えていた。 存在自体が本体を象徴する概念に近いためか、たとえ後ろ姿しか見えていなくても他人は虚像を吾妻だと認識してしまう。 「実在する人物の実体のない虚像」に過ぎないため、誰かに認識されて観測されると消滅しかねない。そのため虚像は自身の存在を守ろうとする性質を持つ。 具体的には&bold(){&color(red,black){「他生物が己を認識した」}}と虚像が気が付き、双方の相互認識が成立した瞬間((具体的には虚像を「吾妻史郎」と認識した上で、虚像の顔を近くで見る・声をかける・虚像とすれ違った後に振り向くetc…という感じ。))、&bold(){漏れなく&color(red,black){「不幸な事故」}という形で[[自身と相互認識を果たした生物を人間動物問わず>バフラヴァーン(黒白のアヴェスター)]][[即死させる。>SCP-096]]} これは悪意でやっている訳でなく一種の防衛反応とされ、八木は&s(){メッチャ早口な}考察の中で&bold(){&color(#FEDCBD,#000000){「虚像そのものが意図的に行なっているのではなく『自然現象や世界の摂理』みたいなものだろう」}}と位置付けている。 …とはいえその力は絶大。 虚像と観測者の相互認識が成立した瞬間、観測した生物に向けてありとあらゆるアクシデント((例:鉄骨の落下による圧死、車に轢かれての事故死。))を強制的に引き起こし観測者を即座に殺害。 不特定多数の人間に観測された場合は&bold(){無人の旅客機}((この機体はどこにも登録されていない物であったため、恐らくパラレルワールドや別次元から呼び込まれたのだろうと推測される。))を具現化し飛行機の墜落事故を招くなど、&bold(){&color(red){物理法則を冒涜するかのように不可思議な現象を巻き起こし観測者を1人として残らず大量殺戮する。}} 何よりも恐ろしいのは、虚像は&bold(){素知らぬ顔で九番街周辺をふらふらと散歩するように歩き回っており、&color(red,black){真正面から近づいてきた虚像とバッタリ出会い相互認識してしまった場合も例外なく殺害対象となる}}点。 一応、裏バイターたちが実施していた尾行のように遠くから後ろ姿だけ見て追う行為はセーフ。 もし虚像と道で正面からすれ違ったとしても、すれ違った人間が虚像を『吾妻史郎』だと気付いていない時や虚像から気付かれる前に遠くへ逃げてしまえば、難を逃れられる。 あくまでも ・&bold(){虚像の近くで観測者との相互認識が成立すること} ・&bold(){虚像に&color(red,black){「自分が見られた」}と気付かれること} が殺害のトリガーとなっている模様。 大体気付かれてから死ぬまでは数秒程度かかるので、その間に観測者が虚像の吾妻の存在を言いふらすなどして存在を広めた場合は被害が加速度的に広まってしまう。 人々から忘れ去られない限り存在を続けるため、虚像がいる限りその虚像を生み出した者の[[生存説]]が囁かれ続け、そして虚像が発生した地域において死亡事故が収まることは永遠に無い。 対抗策としては、別作品の話であるが「噂屋」や「[[虚構推理]]」で行われたような[[噂を相殺する>対抗神話]]などがあるものの、ほぼ凡人の主人公2人ではどうしようもない。 **「&ruby(ゆめのゆ){夢ノ湯}」のお湯 温泉宿スタッフのエピソードで登場した怪異…というか&bold(){&color(red,black){謎の異生物。}} その正体は&bold(){『[[自身に一定時間直接触れた生物の外見・記憶・特徴の全てをコピーし、>ワーム(仮面ライダーカブト)]][[その生物の全盛期の姿を得て>ファントム(仮面ライダーウィザード)]][[現れる生態を持つ液体生物>ホラー(牙狼-GARO- 第1期)]]』。} 温泉街で一番ポピュラーな温泉宿『乳海』の人気の秘訣である若返りの温泉「夢ノ湯」の効能の正体で、その実態は「若返りの温泉」などではなく&bold(){&color(red,black){「謎の異生物と存在が入れ替わられる恐怖の温泉」。}} ただし入れ替わった液体生物自体に悪意は見受けられず、その目的も一切不明。 入れ替わった液体生物は犠牲者の全てを丸々受け継ぎ、傍から見るとただ人間が若返り人生を謳歌しているようにしか見えないため八木が正体を明らかにするまで、誰一人として実体を掴めなかった。 また湯を流して入れ替えると、何処からともなく夢ノ湯が湧いて勝手に元通りになるという。 一方で液体生物に存在を奪われて入れ替わられた被害者は逆に『夢ノ湯のお湯』へ成り果て、&bold(){&color(red){湯や排水管からは液体生物に入れ替わられた人間が助けを求めて踠き苦しむ声}}が小さく響き渡る。 そして入れ替わられ液体化した犠牲者は自身が死なないよう風呂の栓を必死に固定、そしてやってきた清掃人の肉体を奪おうとするも上手くいかずに多くの裏バイターを溺死させてきた。 ユメの異能が反応したのは、この生への足掻きに伴う害意が発端。 そして乳海では&bold(){「一度浸かった夢ノ湯の湯は必ず流せ」}と代々女将から申し継がれ、これまでこの事実は旅館が利益を得るため黙認されていた。 存続させるつもりなら、申し継ぎの中に「家族や知人を浸からせるな」ということも入れておくべきだったろう。 #openclose(show=そして真相を知りこれまで旅館が引き起こした所業に責任を取るべく、女将が旅館へ火を放ち夢ノ湯のお湯を道連れにして心中、夢ノ湯は炎の中に消えた。){    #center(){&bold(){「これだけあればひと商売できる」} &bold(){「どこでやる?」} &bold(){「どこでもいいさ。皆、不老の誘惑には抗えないんだ」}} だが、人間の中には夢ノ湯のお湯の存在を理解して利益を稼ごうと「商売」として悪用するグループも存在。 一定量の液体生物を回収すると、乳海の負の歴史に終止符を打つため火を点けられ炎上してゆく旅館を尻目に新たな場所で乳海と同じ行為によって荒稼ぎを企て、車に乗って彼方へと姿を消した。 } **がまずみ #center(){&bold(){&color(red,black){何でですか? 何で?}} &bold(){&color(red,black){無視するな無視するな無視するな無視するな無視するな無視するな無視するな無視するな無視するな無視するな無視するな無視するな無視するな無視するな無視するな無視するな無視するな無視するな無視するな無視するな無視するな}}} ラジオ局ADのエピソードで登場した怪異。 某県の放送局「Mika Mika[[ラジオ]]」内の番組『水曜日のお悩みボックスアワー』の放送中、リスナーとしてメールを送りつけてくる。 「がまずみ」は所謂ラジオネーム。 その正体は当時パーソナリティだった番組スタッフ・三上に[[つきまとった>ストーカー]]挙句、ラジオ塔から投身自殺したリスナーの&bold(){寺井しのぶ}による怨念らしい。 既に何人もの番組スタッフが犠牲になっているため、その悪名はMikaMikaラジオの局中に轟いており放送開始時間が近づいてくると番組関係者以外は&bold(){一斉に逃げるかの如く退勤してしまう。} それならいっそ[[番組を打ち切ってしまえばいいのに、>打ち切り(テレビ番組]]と言いたくなるところだが何らかの事情により続けざるを得なくなっている様子。 あえて身も蓋もない言い方をすると、&font(b,red,black){「『私を無視しないで』というがまずみの花言葉そのままの、傍迷惑な構ってちゃんにしてモンスタークレーマー」。} 番組に対して執拗にメールを送り付け、他のリスナーからのメールを[[文字化け]]させてでも自身のメールを読ませようとしてくる上、 それでもメールを無視されたりそうでなくても自分の気に入らないことをしたりされると、&bold(){キレてスタッフを攻撃しだす。} 最初のうちは耳障りなノイズを起こす程度だが、怒りのボルテージが上がってくると&font(b,red,black){顔面中の穴という穴から出血させて病院送りにしたり、最悪の場合自分と同じように投身自殺させたり}と洒落にならないことをしでかす。 有効な対処法は番組の終了時間まで「がまずみ」の気を損ねないようメールに応対し続けるのみだが、タチ悪く&bold(){具体的にどんなことが気に障るのかも把握できていない上、送りつけてくるメールの内容も支離滅裂で対応に困るようなものばかり}なのでユメのような異能者でもない限り、一切地雷を踏まずに番組を進行させるのは不可能に近い。 更にはどうやら&bold(){他のラジオ番組にも干渉してくることがあり、リスナーの独り言に割り込むなどの迷惑行為を働いている}らしい。 一応、劇中では「電波を介して干渉してきているのでは」と推察されており、そのためか局内のブレーカーを落とすといった方法で&bold(){その場は}「がまずみ」からの攻撃を回避できるようだ。 #openclose(show=じゃ、これ知ってるか? あの番組が終わらせられない理由。){ #center(){&bold(){以前、打ち切りにしようとした時も、「来た」んだ。}} #center(){&bold(){&color(red,black){がまずみです。前の放送、話があります。}}} 怒りが頂点に達すると、「がまずみ」は&font(b,red,black){実体化してラジオ局へ直々に乗り込んでくる。} その後は何をしでかすかはっきりと描かれていない…が、番組収録中にやらかすことを鑑みるに単なる「抗議」で済まないのは間違いあるまい。 番組を打ち切りにできないのも、そうしようとする度に「がまずみ」が乗り込んでくるからであった。 } **冥界の住人 #center(){&bold(){&color(red,black){「ジューンブライドなんて最高っ。」「死が二人を?」「分かつまで~?」「ノンノン!」}} &bold(){&color(red,black){「死が二人を永遠に結びつける!」「オ~イエッス!」「生者の結婚は最低!」}} &bold(){&color(red,black){「現実は最低!」「九割が汚物で構成されているなり!」「綺麗なものしかみたくないっ!」「死すれば綺麗なまま固定っ。」}}} ブライダルスタッフのエピソードで登場した怪異。 〇〇県の結婚式場『オールスターウエディング』の地下に造られた&bold(){「冥界の門」}((壁を黒く塗り冥界へ見立て、そこに扉を取り付けた物。))から多数現れ、死者と生者の結婚式である「冥婚式」に参列していた。 全員が名状しがたい影の怪物のような奇怪な姿を取るが、現世へ現れる際には生者の肉体を憑代にするようだ。 では彼らが具体的にどういう怪異なのかというと、&bold(){割と不明瞭な点が多い。} 元々怪異の素性や起源が明確には描かれず、読者の想像に任せる形で終わることも多い「裏バイト」だがこの怪異が登場するエピソードはその中でも特に曖昧な部分が多い。 少なくとも冥婚式へ参列するための依代を求め、関わった人間に幻を見せるなど様々な怪現象を起こしていたのは間違いないようだが、それ以上は&font(b,red,black){このエピソードで描かれた惨劇}にどこまでこいつらが関わっているのかはっきりしていない。 この項目では便宜上「冥界の住人」とは呼んでいるが、&bold(){本当に「冥界からやってきた存在」かどうか}すら定かではない。 ただ、概ね確かなのは奴らが&font(b,red,black){冥婚の式場を「遊び場」((単行本で加筆修正されたセリフでこう表現されていた。))にしており、関わる生者たちを弄び嘲笑って楽しんでいる}ということ。 実際劇中で描かれた冥婚式の様子は、参列者からの野次が飛び交うどこか下世話な雰囲気のものになっており少なくともこいつらには&bold(){冥婚を果たした新郎新婦を祝う気持ちは毛頭なく、「面白い見世物」くらいに思っている}ことが察せられる。 劇中では上の台詞のように生者の結婚を「最低」「九割が汚物」と貶し冥婚を褒め称えているが、それすらも冥婚に走る生者を焚き付けるための言葉でしかないのかもしれない。 &s(){そもそもこのセリフが出たシーンはどこまでが現実なのやら分からないような描写になっているので、こいつらが本当にこういうことを言っていたのかどうかすら正直怪しい。} 少なくとも他の一部の怪異のように世界や人類そのものを脅かすような真似はしておらず、それどころか裏バイターにも&bold(){直接的には}そこまでの危害は加えていないものの、タチの悪さという意味ではそれらにも負けず劣らずと言ってもいいだろう。 **ファミリーレストラン・マスト #center(){&bold(){&color(#FEDCBD,#000000){死霊は死の直前の行動を繰り返すと言いますが、これほど大規模なものも珍しい。}} &bold(){&color(#FEDCBD,#000000){本来あったはずの輝かしい未来が来ると信じて「その場」を維持しているが、}} &bold(){&color(#FEDCBD,#000000){&ruby(そこ){未来}に向かうことは永遠に無い。}} &bold(){&color(#FEDCBD,#000000){言ってみれば、彼女達がいる「場」は&color(red,black){地獄のファミリーレストラン}ですな。}}} ファミレス店員のエピソードで登場した怪異。 本編の15年前に[[殺人鬼]]・爆龍真拳がマスト店内で起こした無差別殺人により、 ・犠牲者42人の未来を断たれた無念 ・最初から未来の無かった&s(){山田二郎(38)}爆龍真拳の怨念 から呪われ、&bold(){&color(red){ファミレスの店舗と敷地そのものが怪異と化してしまった}}最悪の事故物件パート2。 そもそも呪われたマスト店舗自体は更地となって既にこの世には存在しておらず((そのため店内の設備は店員を呼び出すボタンが設置されておらず、オーダーの受付け方法も15年前当時の旧式によるものとなっている。))、本編の数年前から6月23日になると突如具現化。 店内に構築された「場」を維持しようと別店舗の新人店員を出向という形で強制的に呼び寄せ、忽然と世界から消えて店員も攫う行為を繰り返していた。 死霊がこれほど大規模な活動を行うのは、八木の知る限りでも珍しいケースらしい。 マスト内部では爆龍真拳が店を訪れ始めてから殺戮を行うまでの6月23〜29日の時間が[[無限ループ]]しており、内部では15年前の死者たちが皆死霊と化して生前と同じ流れを繰り返し続けている。 即ちマストという「場」に取り込まれれば最後、&bold(){&color(red,black){死霊に変えられた挙句マストへ閉じ込められ、永遠に苦しみながら殺され続ける。}} ラクガキのようにぐちゃぐちゃでとても読みづらいが、注目して見ると変貌した際に出るセリフの中には助けを求める声や悲鳴などが書かれている。 死霊たちは「場」を維持するためか普段は生前の姿を保ち生前通りの行動をしているが、時折&font(b,red,black){出鱈目な落書きのように異様な姿になり、ループからの助けを求めて絶叫する}ことがある。 どうやらこれはループを繰り返す中で魂が摩耗していき、形を保ちきれなくなると起こるものであるらしく、八木は推測の中でいずれは消えてしまうのかもしれないと語っている。 マストが人を呼び寄せていた理由は、「場」が消えないよう他店舗の店員を身代わりとするためであったようだ。 取り込まれないためには爆龍真拳を撃退するなど、&bold(){「マスト店内で起きた過去再現の場を乱したり運命を大きく変えるような、普通ではあり得ない非常識な行動を取ること」}のみ。「場」を乱した場合はそこから排斥される形で脱出が可能となる。 マスト内は死と生が曖昧な状況となっており、仮に致命傷を負っても気をしっかり持っていれば痛みは覚えず死んだりもしない。爆龍真拳の貧弱さもあり、制圧は決して不可能ではない。 逆に「場」を乱せなかったり常識的な行動((例:殺される恐怖に怯えて店の敷地から逃げ出す。))を取ってしまうとその時点でマストの「場」に取り込まれ死霊化、無限ループに晒される。 &s(){普通ではあり得ない非常識な行動となると橙が適任なのだが、生憎この回では不在だったのが惜しまれる。} 劇中では初めて対処法が確立された怪異で、本編から数年後も単身で「場」へ送り込まれた裏バイターの姿が描かれている。 八木曰く「裏」の業界でこういったことは滅多にないらしく、生還した主人公2人を&bold(){&color(#FEDCBD,#000000){「お手柄だぞ!」}}と褒め称えている。 **ムッキー #center(){&bold(){「マーマ、マーマ」} &bold(){「んー? どうしたのー?」} &bold(){「見てみて、あそこ。&color(red,black){変なの}いる」}} 空き地探しのエピソードで登場した怪異。 劇中では最後まで名称が明かされず、明かされたのは『ちょい足し』の小話から。 全長約4mほどの[[毛むくじゃらな人型を模したぬいぐるみのような外見>ムック(ポンキッキ)]]で、笑みを浮かべる大きな口とガラス玉のように円らな目が特徴。劇中に登場する子供がムッキーの似顔絵を壁へ飾っており、[[元々は怪異ではない普通のキャラクターだった>チャッキー(チャイルド・プレイ)]]可能性もある。 〇〇県小坂井町に出没し町を出歩く人間を手当たり次第追いかけては、大きな手で握り潰しながら捕まえてくるフィジカル系怪異。 しかも特定条件でワープして追いついているかのように見えたり、速く動くものであればあるほど危険度が増していくらしき描写もある((空き地探しにも[[自転車]]ではなく、徒歩が推奨されている。役所の人曰く「目立つから」。))。 作中では「家に閉じ込められたまま老夫婦によって虐待死した子供の霊魂が、死後自由となって怪異と化しケイドロもどきを楽しんでいる」と考えられていたが、実際は&bold(){&color(red,black){発生理由も行動理念も何もかも謎に包まれた正体不明の存在。}} 唯一確かなのは町を舞台にケイドロもどきで遊んでいるのみで、方向性としてはいちょうさんに近い怪物。 遊ぶのが目的であるためか、捕まえた人間を甚振るといった悪意ある行為は見られない。 小坂井町を常に俯瞰視点で監視できるらしく、出歩いている人間を見つければ追跡を開始。そのため屋根などの上を覆い隠す遮蔽物の下に隠れれば認識されなくなり、難を逃れられる。 見つかり追いつかれた人間は握り潰され、肉体が原型を留めなくなる。しかし犠牲者は出血や死亡はせず暫くは意識を保ち、やがて無傷の状態で町内の家の中へ幽閉されてしまう。なぜ握り潰されても血が出ないのかは劇中で和美が気付いていたようだが、詳細は不明。 そうして犠牲者は&bold(){&color(red,black){永遠に家の外には出られず、他人もその家への進入は不可能となる。}} なお小坂井町は衛星写真で観測しようとした場合、町全体を覆い被さるように子供の影らしきものが映るため衛星写真で安全地帯を探す手段は封じられており、[[ヘリやドローンは真っ先に墜とされ>シン・ゴジラ]]活用もできない。 また、上記の対処法はあくまでムッキーから見つからないようにするためで、ムッキー自身は遮蔽物の下へ入れないという訳ではない((ラストシーンで民家の屋根の下へ潜んでいる姿が確認できる。))。 当初から怪しい子供が描写され、霊能力者っぽい人曰く空き地に埋められた子供の死体を発見して供養すれば解決すると思われていたが、実際に埋まっていたのは&bold(){喜色満面とした笑みを浮かべた}老夫婦の死体だったため解決の見通しは消滅。 ちなみに霊能力者っぽい人は&bold(){単なる詐欺師か何か。} 「衛星写真に影が映る子供が遊びとしてムッキーを操っており、ドローンなどに対して優先的に反応するのはそのため。小坂井町に吹き荒れる台風のような風はその息なのではないか」という考察もあったが真偽は不明。 作者が『ちょい足し』で述べている通り&bold(){「理解し難く、恐ろしい。本当に理解した時、正気でいられるか分からない」}怪異としか言いようがない。 未だにムッキーは小坂井町の中にて巣くっている。しかもラストでは&color(red,black){&bold(){まだ住人が家の中に幽閉されていない別の町にも別個体が出没している}}ような描写がある。 **おおいなるもの #center(){&bold(){母なる海とか、雄大な大自然って表現に疑問を持つ人って一人もいないでしょ。} &bold(){きっと、何か&color(red,black){おおいなるもの}が存在して、私たちの思考や総数を「調整」してるの。} &bold(){そうして秩序を保ってるんだわ。}} 海の家スタッフのエピソードで登場した怪異(?)。 正確な外見は不明だが、一度だけ砂浜に巨大な人型の影が映っている。 &bold(){&color(purple){その圧倒的なスケールからユメの異能すらも全く通用しない}}異次元の存在…というか&font(b,red){「怪異」という言葉で括れるかも怪しい、「大自然の意志」や「神」の如き何か。} 奇形の魚や得体の知れない[[巨大生物]]を海岸に打ち上がらせるくらいのことは序の口で、 不特定多数の人間の思考を調整して支配下に置く、&bold(){生きた人間}を作り出して自身のメッセンジャーとして操るなど、これまでに描かれた怪異たちとは一線を画する力の強大さを見せつけている。 おおいなるものの支配下に置かれた人間は、「夜の海に近づいてはいけない」などのルールを&bold(){無意識下で}当然のこととして受け入れ、自発的に守るようになる。 そしておおいなるものは&font(b,red){自らに支配されない人間を決して許さず、}それらのルールを守らない者に対しては上述したような怪現象を引き起こすことで警告を送り、それでも屈服しなければ&font(b,red){全身をフジツボらしきものに覆われた無惨な姿にされる}(「おおいなるもの」に影響された者には&bold(){「かえった」}とされ当然のこととして処理される)ことになる。 劇中では主人公2人も例外なく支配下に置かれ、「おおいなるもの」の支配へ抗い続けた末に「かえって」しまった海の家のオーナー・江口を目の前にして… #center(){&bold(){「江口さん、かえったのね」} &bold(){&color(gold,#f5f5f5){「うん、良かった」}} &bold(){「ええ、ホント」} &bold(){&color(gold,#f5f5f5){「良かった、良かった」}}} といったリアクションを取ってエピソードは終わってしまった。&font(#0000ff,u){&font(#ffffff){後のエピソードでは何らかの干渉を受けていた自覚はあったらしい描写もされているが。}} ただ、江口をはじめ自身の意に沿わない者に対しては残酷そのものの振舞いをしている一方、主人公2人を含め支配下にある人間たちには特に危害を加えていない。 やり口の執拗さやえげつなさが目立つのも事実ではあるが、江口に対しても長らく実力行使へ出ることなく警告を出すだけに留めており、最終的に痺れを切らして海中に引き摺り込むものの&bold(){彼が屈服の意志を示せば一度は生きたまま地上に送り返す}など、本作の怪異の基準で見ればそれなりに寛大な態度を見せているようなところもある。 「ユメの異能が通用しない」とは上述したものの、それはあくまで「ユメの異能ではおおいなるものによる支配を&bold(){脅威として認識できない}」という意味。 ぶっちゃけ&font(b,red,black){逆らったところでどうしようもない存在}である以上、身の安全だけを考えるなら主人公2人のように&bold(){支配に抵抗せず、ルールを守りながら普通に過ごす}のが今回描かれた業務の最適解。 そういう意味では今回もしっかりユメの異能は機能しているのである。 人間にとってはなすすべもない恐るべき存在ではあるが、&bold(){人間の考える善悪の概念で括りきれないもの}という雰囲気もあり、その点も含めて「神」らしい存在だとも言える。 #openclose(show=夢の対決の果て){ 単行本5巻カバー下ではバディ・ユメちゃんとの夢の対決が実現(?)。 あろうことかあっさり敗北し、&bold(){バディ・ユメちゃんに「おおいなるもの」としての立場を奪われてしまった。}&s(){ギャグだからってやりたい放題だなコイツ…。} 神のような存在であっても結局&bold(){ギャグ補正に敵うものはなし、}ということだろう。もしかすると橙にも勝てないのかもしれない。 バディ・ユメちゃんは前巻で騙されて食べた「とんぶり」を結局気に入ったようで、自由を得たパーティーピーポーたちに定期的な献上を要求した。 } **&ruby(まぐろいし){真黒石} #center(){&b(){&color(red,black){ホホホホホホホホ!}}} 葬儀屋スタッフのエピソードで登場した怪異。 某県鉢巻石村で崇められている御神体の黒い石で、時には小さい漆黒の恵比寿様のようにも変化する。 元々は遥か前に初代村長が河原で拾った一切の光を反射しない謎の黒い石であり、いつの間にかモノリス状に変化すると「死後の世界」の知識を村人へ与え、彼らの価値観を&bold(){「死後の世界こそが素晴らしく、現実世界に価値は無い」}という歪んだものに捻じ曲げた。 村人が先祖代々&b(){&color(red,black){「来るべき年の盆の日に約束の人数を連れて約束の地に旅立つ(=自殺)すること」}}を目的としていたのも、この石の齎した知識が原因。 真黒石自体の素性は「一定人数の自殺者をエネルギーとして集め、元の場所に戻ろうとしている[[宇宙人]]もしくは異世界人的な存在」ではないか、という考察もあるが未確定。 石の与える知識は&bold(){&color(#fcc800){「死後の世界には死んでいなくなってしまった人たちが幸福に暮らしている」}}という極楽のようなものだが、積極的に死を勧めてくるのが特徴。 加えて縁者を夢に差し向け、自殺へ賛同させようと狡く仕掛けてくる。 死後の知識に汚染されると、死ぬのを何よりも好む人格へと変質する。葬儀を楽しいものとして捉え始め一様に笑顔を浮かべつつ萬歳を繰り返しながら祝福し、逆に出産は不幸な現世に生まれた惨憺たることだと嘆き悲しむ。最終的に葬儀ができなくなった際には&bold(){積極的に自殺したがるよう成り果てる。} 我先にと競うように自殺すると名乗り出て、&color(red){&bold(){「手間も省けて一石二鳥」と生きたまま火葬場で自ら焼かれようとする}}者たちの姿は主人公たちと読者を戦慄させた。 #openclose(show=こうして真黒石の神託を受け、村人は全員笑顔で惨たらしい自殺に踏み切り幸福なあの世へと旅立っていった。){ …と記したが、実態として真黒石の齎す「幸福な死後の世界の知識」は&b(){&color(red){真っ赤な嘘。}} 幸福な死の世界を夢見て自殺した者たちは、皆等しく&b(){&color(red,black){死後の世界で地獄の拷問を受け続ける末路}}を辿ることになる。 思考を汚染された鉢巻石村の村民・葬儀屋のスタッフ一同が幸福な死後を夢見て全員自殺する中、真黒石に乗った黒い恵比寿は&b(){&color(red,black){満足気で愉しそうな哄笑}}をしながら地獄絵図と化した村の上空を悠々と飛んでいた。 …ただし、「来るべき年の盆の日に約束の人数を連れて約束の地に旅立つ」のが目的だとするならば、主人公2人と村の少年・颯太の分が足りていないため&bold(){少なくとも今回の目的達成には失敗している。} 事態を打開する発端となったのは、死後の世界で地獄の拷問を受け続けながらも颯太へ真実を伝え、自身と同じ苦しみには巻き込むまいとした颯太の母親による愛情であり&bold(){「母性愛に敗れた怪異」}と言える。 怪異からの脅威や人の悪意、狂気に満ち溢れるこの作品にしては珍しく良い話であった。 生き残れた颯太には健やかに育ってほしいものだ。 なお、作者によれば&bold(){「今回の話で一番怖いのは地獄の死後の世界に行くのは『真黒石に関わった人間なのか』、それとも『死んだら誰でも行くところなのか』は不明」}という点らしい。 &s(){ゾンビィ! せっかく良い話で終わったのに余計な事言うんじゃねぇ!!} …ブライダルスタッフのエピソードで登場した冥界なども存在するので、一択ではないと思いたいところ((後のエピソードで登場した榊原平原の上空から帰ってきた死者たちは贔屓目に見ても拷問を受けていたようには見えないため、「真黒石に関わった人間のみが堕とされる地獄」と考えた方が自然と思われる。))。&s(){冥界がマシなのかはともかく。} } **13番ホーム #center(){&b(){&color(red,black){「聞いて聞いて お話しして 聞いてるぅ? あのね私わたしここでワタシ死…」}}} 駅員バイトのエピソードで登場した怪異。 〇〇県阿迦羽駅構内から進入可能な謎のホーム。 [[9番線と10番線の間の柵を通り抜けるだけで良い「9と3/4番線」>ハリー・ポッターシリーズ(作品)]]と違い、進入にも脱出にも[[複雑怪奇この上ない手順を踏む必要がある。>なぞのばしょ(ポケモン)]] その手順は、和美ですら橙のようなショート寸前になってしまうレベルで複雑&s(){(橙には絶対に辿り着けないと思われる)}((辿り着く人間を増やさないようにするためか、漏洩してはいけないのは前提として文書へ残すのも許されない。ただしこれ以外で13番線に行くルートも存在するため、普通に迷い込んだ一般人や迷信を真に受けてやってくるオカルト掲示板の住人などもいるので誰も立ち入れないよう完全にルートを潰す事はほぼ不可能に近く、ルート次第では橙すら入ってしまう可能性も有り得る。))。 常に深い霧が立ち籠め、運行表看板も人類のものとは思えない異様な文字で書かれている。 特徴としては&b(){&color(red,black){怪異の乗客}}らしきものが出没する点。 落書きのように不気味な顔で、只管駅員へ話しかけようとして一切反応してもらえないとブチギレる重度のかまってちゃん。 ただし電車が到着すると、怒りを露わにしつつも素直に電車へ乗り込んでいく(余談であるが電車内に崎村らしき人物が乗っている描写がある。次女か四女か、それとも長女or三女なのかそもそも本当に崎村なのかは不明)。 なお、この客に僅かでも反応するのは禁じられ、何をされても存在しないものとして認識しなければならない。 反応した場合は&b(){&color(red,black){電車に引き込まれて自身も同じ乗客へと変えられ、生前の記憶を次第に喪失。最終的に全ての記憶を失い、電車へ乗って世界からも消滅してしまう。}} 客が生者へ積極的に話しかける理由は、独りで消えるのは寂しいから寂しくならないよう仲間を求める習性にあるという。 電車が終着駅へ辿り着く前に無理やり飛び降りれば消滅は免れるが、そうして助かったとしても行き着く先は&bold(){これまで自分が暮らしていた世界と似て非なる[[パラレルワールド]]}である。 パラレルワールドに迷い込んでしまった後、元の世界でその人間がどう扱われるかは不明((帰還したユメに対する望・ミライの反応から、存在自体が抹消された訳ではなく「帰れない事態が発生した」という認識はされていたようだ。))。 **富岡Qランドのマスコットたち #center(){&bold(){夢も希望も与えちゃう~ヘイッッ!}} #center(){&bold(){不可能なんて無い、なんでもできちゃう、なんでもござれ~}} #center(){&b(){&color(red,black){君たち人間とは違うのさ♪}}} 遊園地スタッフのエピソードで登場した、並行世界の日本にある遊園地「富岡Qランド」を根城とする怪異。 マスコットの着ぐるみを着ているが、その下はウサきゅうを含めた&bold(){全員が人身獣面の人ならざる存在。} 名前は判明しているだけでも「ウサきゅう」「クマきゅう」「ネズきゅう」の3体。 他者の時間を餌としており、時間を自在に操る強大な力を持つが故に総じて人間を餌と見做し露骨に扱き下ろす傲慢な性分。 動物を模した被り物を着用して遊園地のマスコットに扮しながら園内を監視しており、ターゲットとなる「現実が辛いと感じる人間の大人」へナイトパレードの光を浴びせ子供まで退行させて魅了。 「退行」した大人や裏切り者をテリトリーである「慈愛の塔」へ送らせ、そして&b(){&color(red,black){胎児まで退行させてからそのまま喰らう。}} なお、無理やり時間を退行させて大人を子供へ変えた場合、味が劣化するという理由から強行策を取るのは消極的。 生態や人間を陥れる手段などから本質的にはマザー・フィッシュに近いものがある。 当初は自分たちの存在を探ろうとした主人公2人や並行世界の八木を捕らえ、制裁ついでに捕食しようと企んでいたが2人は前回のエピソードによって並行世界からやってきていたため、10日前まで逆行させた段階で2人が元の世界へ帰還((その際の発言からマスコットたちは平行世界の存在を把握している模様。))。 まんまと見下していた2人から出し抜かれる形となった。&s(){八木さんは死にました。} #center(){&bold(){&color(red,black){不可能なんて無い~♪}}} しかしその後、主人公2人が帰還した元の世界にあった遊園地で&bold(){&color(red,black){ウサきゅうと同じ姿の着ぐるみがしれっと登場する}}形で物語は終了。 2人に逃げられた並行世界のウサきゅうがキレてわざわざ追いかけて来たのか、それともそれぞれの世界にウサきゅうたちと同種の怪異がいるのか、元の世界のウサきゅうは並行世界と違って善玉なのでは、実は単なる着ぐるみでは、幼少期のユメへ声をかけたマスコットとの関係は…などと読者を混乱させたが、とどのつまり確実なことは何も分からないままという相変わらずのビターなオチであった。 **オヨツ #center(){#bold(){苦しみ抜いた松は獄中で自害した。 「オヨツがやった」「オヨツが自分にやらせた」 松が死の間際に書いた遺言である。 遺言には続きがあった。 「しかし真に恐ろしいのは…」 &color(red,black){「オヨツの仕業ではなく、あれが私の本心ではないか、という疑念である」}}} キャンプ場バイトのエピソードで登場した怪異。〇〇県ひかりキャンプ場の森の奥にて棲んでいた。 ひかりキャンプ場のある地方では「殺苦松」という名前で伝承が残され、四国にもオヨツと同じ怪異の伝承が存在するという。 真っ黒く煤けた肌をした中年男性のような風貌をしている。 人へ取り憑く性質があり、&bold(){&color(red,black){憑かれた人間が心の奥底に秘めた小さな悪意や負の感情を増大させ、殺人を引き起こさせる邪悪な怪異。}} ほんの些細な不平不満であっても、オヨツに憑かれると&bold(){その不平不満を動機として躊躇いなく他人を惨殺できるほどの強い悪意へと昇華される((例:年下の他人に話しかけたら無視されたので殺した、相手に信仰心が感じられないので殺した。))}。 オヨツによって憑かれている間は本人の意識がほとんど失われ、結果凶行を終えた後は正気へ戻って茫然自失と化す。 憑かれた人間は表情が異質なものへと変容するが、逆を言えばそれ以外に区別は不可能。 しかし最大の問題は、オヨツに憑依された人間の近くに誰かが近寄ると&bold(){&color(red,black){その近寄った人間へオヨツが憑依してしまうこと。}}このため昔の人間は大いにオヨツを畏れたという。 劇中ではキャンプ場に訪れた泉豊へ憑依し、深層心理に眠る他者への不平不満を殺意に変えて&color(#F54738){連続殺人を実行させていた}が、妻である加奈子が夫の罪を高田へ被せるためキャンプ場にいた人間を口封じとして全員殺そうと決心((この時、加奈子はまだ素面である。))、オヨツの次の憑き先であった蟻村を殺したところでオヨツが今度は加奈子へと転移し、加奈子は助けようとしていたはずの夫を殺害してそのままキャンプ場の外へと進出。 その後、加奈子を逮捕・聴取していた警官に転移して加奈子を射殺させ、&bold(){&color(red,black){オヨツは人間社会へ伝播していった。}} 結果として裏バイト世界では、オヨツの影響なのか&bold(){「何者か」によって老若男女が犠牲にされる凶悪殺人事件が多発する羽目となる。} 特徴が「殺害の一歩手前である殺意を増幅させる」ことからか、名称は「殺す(コロス)」の文字を五十音表でそれぞれ横に一字ズラしたものになっている。 **覗き魔 映像編集のエピソードで登場した、映像業界で有名とされる怪異。 外見は惚け顔で額の禿げ上がった小太りの中年男性と、おどろおどろしさはまるで皆無。 映像記録媒体に写り込むことで怪談扱いされており、業界内では&bold(){「編集で覗き魔を消すと実体化して殺される」}と噂され恐れられている。 だがその実態は寧ろ真逆で、&bold(){&color(red){覗き魔が写り込んだ映像媒体を基点に、覗き魔の視界から対象が離れると実体化して対象を襲う}}というのが覗き魔の真実。 そのため、覗き魔に見られている状態で[[パソコン]]の画面から離れてしまえばアウトとなる。 実体化した覗き魔は外見こそ冴えない中年だが、身の丈は2m近い巨漢。 実体化を果たした覗き魔から襲われた人間は&bold(){&color(red,black){映像媒体へ永遠に取り込まれ、コマ送りにすると悍ましい苦悶の表情を浮かべた姿を一瞬だけ見せるようになる。}} 対処方法は&bold(){覗き魔から映像越しで見られている間に編集作業で覗き魔の姿を削除すること。}ただし、この手段も別のパソコンから多角的に覗き魔から見られていればアウト。 マストに次いで数少ない明確な対処方法が確立された怪異であるが、その事実は主人公2人以外に伝わることはなかった。 その後は編集作業による削除を逃れたのか、完成したCMに一瞬映り込んでいる「誰も知らないオッサン」として覗き魔と犠牲者の姿の目撃談が[[都市伝説]]の如く語られるようになってしまった…。 **エヴァルス #center(){&bold(){&color(red,black){「クスクス」「フフッ」「クスクス」}}} 農業手伝いのエピソードで登場した、〇〇県織田ファームで栽培されている新種の果物。 …という名目だが実際は別次元の世界にあると思わしき果実。 外観はハニカム状の紋様が浮かび、ルビーレッドに輝く宝石のような果皮が特徴的。 果実自体に知性が備わっているようで、絶えず畑へ迷い込んだ生物を嘲笑うかのような笑い方をしている。 その正体は&bold(){&color(red){知恵の実の逆バージョン。}} 食した者の自我を侵食して肉体を乗っ取り、食べた者へ成り代わる性質を持つ。 エヴァルスに乗っ取られた人間の表皮にはうっすらエヴァルスと同種の紋様が浮かぶので、そこで一応区別できるが普通に見ただけで判別は限りなく不可能に近い。 逆に食べた者は退化し、目から虹が溢れ出すかのような演出の末に自我は後述の「猿」となって体外に排出されてしまう。 食べた量に比例して侵食度が上がっていくため、一応1〜2口程度齧っただけなら猿に堕ちたりはしない…が、調子に乗れば自我を侵食され猿化する。 こうして人間の肉体と知識を得たエヴァルスは、仲間を増やすため人間の文明技術をフル活用してエヴァルスの被食を推し進めていく。 劇中では動画サイトやSNSを活用することで&bold(){「織田ファームだけで食べられる極上の絶品フルーツ」}として情報を拡散させていた。 裏バイターを利用しての収穫も、全てエヴァルスが自身の被食者を広めるために仕組んだ工作の一環である。 ただし、あくまでもそういった「生態」の植物故、エヴァルス自体に人間を脅かすような悪意はない。 そもそも果実は&bold(){「繁殖戦略として動物の食料になる部分を種子の周りに発達させ、食べられることにより動物の体内を通じて種子の散布を行う目的のため進化したもの」}だと考えられており、エヴァルスの進化もその矛先が人類などの知的生命体に特化したものなのかもしれない。 よってユメの異能が効かないタイプの怪異である。 なお、エヴァルスが群生する畑は&bold(){&color(red,black){炎天下の真夏日を彷彿とさせる猛暑が絶えない異界}}で、暑さに負けて果実を食べやすくなるよう仕向けられ環境からしてエヴァルスには好都合となっている。 作者曰く「エヴァ畑視点では人間界も次元の一つに過ぎない」。 名前の由来は奴隷を意味する英語・slaveの逆読み。 ***猿 #center(){#bold(){俺が果実を食べたんじゃない! 果実が俺の中に入り込んだんだ! なんだ!? 無くなった俺はどこに行こうと…!? 嫌だ、人間じゃなくなる!! 退化する! 退化しちゃうぅぅ! 嫌だ嫌だ[[サルになりたくない>たま(バンド)]]サルになりたくないあああああああぁぁぁぁぁ あああっ、あっ、あっ、あっ…}} &bold(){&color(red,black){エヴァルスを食べてしまった愚かな人間の末路。}} エヴァルスを食べ、自我が体外に「排出」されてしまった犠牲者の成れの果て。 見た目は黒くて醜い毛むくじゃらな猿であり、個体間の外見的違いはほぼない。 ただしサイズ差はあり、中には巨人サイズの猿もいる。 猿となった時点で知性や記憶が著しく退化している上に肉体も貧弱化、自分自身の事や人間だった頃の記憶すらまともに思い出せなくなり&bold(){寿命の概念すら失ってしまう。} &bold(){&color(red,black){「逆知恵の実を食べた愚かな人類は憐れにも猿に逆戻りしてしまいました」}}とは作者の談。 ただし、エヴァルスの存在を脅威に感じるというのは意識に残っており、&bold(){&color(red){「この果実を畑から出すな!!」}}という使命感のような欲求に突き動かされエヴァルスを収穫しようとした裏バイターたちからエヴァルスの実を奪い、作業を妨害していた。 よって彼らも悪意で動くタイプの怪異ではなかった…が、猿たちの奮闘も虚しく裏バイターの労力を借りて収穫されたエヴァルスは無事現代社会へと出荷。 Instagramなどを経由して話題となり、更にはテレビを介して新たなブームの火種となる形で流通してしまった。 エヴァルスたちが収穫に向かわないのは、微かながら自我のある猿たちとその身体を奪い去った自分たちが遭遇すれば、妨害でなく殺意を持った襲撃を喰らいかねないからと思われる。 なお作者によれば&bold(){「存在が摂理に反している」}らしく、猿となった時点で人間界には存在できなくなり&bold(){&color(red,black){世界から追放された挙句エヴァルスの畑に事実上幽閉され、数千年以上の時を猿のままエヴァルスの実を守るためだけに生き永らえる羽目となる。}} 作者曰く&bold(){「奴隷の如く、農作物を人間共の悪しき手から守るのだ!」「もしかしたらエヴァルスの犠牲になったのは人間だけではないのかも知れませんね」}。 前者の言及は猿たちの行動理由と相反するように見えるが、実はそうでもない。 エヴァルスにとって最も不都合な事態は、世界中に蔓延らず一部の人間だけで食い尽くされてしまうこと。 そのため繁殖のペースと合わせて果実を持ち出す必要があり、盗人から好き勝手に持ち出されないよう番人が必要なのだ。 つまり猿たちが必死になって人間世界を守ろうとする行動は、皮肉にもエヴァルスにとって都合が良いという話になってしまう。下手をしたらそこまで計算してわざと自我を残している可能性もある。 **マダライツヅ #center(){&bold(){おお、おお、マダライツヅ様、ご転生おめでとうございます。} &bold(){世に蔓延る人間共諸君を、何卒終末へとお導きください。}} 探偵助手2のエピソードで登場した、とある古民家で生み出された「何か」。 仲の悪い双子を民家の密室で&bold(){[[蠱毒]]の要領に則って殺し合わせ続ける事で顕現したモノ。} 転生後の外見は死んだように虚ろな目をした全身血塗れの子供で、転生前と思わしき姿は髪が真ん中分けされた中年女性。 その性質上殺意の塊だったようで、久々にユメの異能をダイレクトに刺激させた怪異。 作者の談によれば時間の流れが狂っていたらしく、閉じ込められていた密室の中では数十年の時間が経っていた様子。 マダライツヅのいた2階の最深部は4つの扉と3つの和室で囲まれており、原理的には蠱毒の壺と蓋を民家で再現したもの。各部屋の壁は真っ白なお札で埋め尽くされている。 今回の依頼人は、探偵を雇ってわざと和室の扉を開かせることで封印を解除させていた。 なお扉を開けると&bold(){&color(red,black){有無を言わせず開けた人間の全身が木っ端微塵に砕かれ、壁に人型の染みと化してこびり付く。}}当然即死である。 依頼人の言動から察するに、何の変哲もない民家自体が儀式の場であり兄弟もマダライツヅの依代となる跡目争いのため、熾烈を極めた仁義なき殺し合いを実行していた模様((子供部屋の壁には相手を罵倒する言葉が書き込まれており、「おまえはえらばれないよ」と跡目争いを思わせるものもある。また、兄弟のどちらかの名前は「アキラ」である模様。))。 なお依頼主は、ノコノコと依頼を引き受ける探偵たちを&bold(){「この家がどんなに恐ろしいか何も知らん」}と冷たく評していたとはいえ、犠牲になった探偵たちを侮辱する気はなかったようで彼らの遺影を&bold(){英霊として}部屋に飾っていた。 作者曰く&bold(){&color(red,black){「苦労の甲斐あって、無事マダライツヅ様がご降臨なされたので人類は滅亡します。その粛清は慈愛なのです」}}。 今回のエピソードの結果、&bold(){&color(red){いつの日か人類がマダライツヅによって皆殺しにされることが決まったようだ。}} 幸い、具体的にいつその日になるのかは不明。ファミレスや天体観測、ベビーシッターのエピソードを踏まえると現状約100年先ほど粛清は起こっていない模様。 たった数人の生贄で人類を滅ぼしてくれるとはえらく気前のいい神だが、その執行自体は気まぐれなのかもしれない。 名前の由来は&s(){そのあまりにもな仕事の遅さから}「未だ未来続く」を改変したものだと思われる。 **&ruby(さかきばらへいげん){榊原平原} #center(){&bold(){外を見てみろ! 凄いぞ! 今す&color(red,black){グ}見ろ!} &bold(){&color(red,black){早ク見ロ! みろ見ロミロ}} &bold(){&color(red,black){見ロロロロロロロロロロロロ路路ロロロ炉六炉}} &bold(){&color(red,black){見ロ見ロ見ロ見ロ見ロ見ロ見ロ見ロ見ロ見ロ見ロ見ロ見ロ見ロ見ロ}}} 気象観測のエピソードで登場した、何の因果か別次元の異世界と繋がってしまった平原。 曰く&bold(){「死後の世界」}。 [[UFO>未確認飛行物体(UFO)]]・フライングヒューマノイド・空飛ぶ馬といったメジャーな空にまつわるオカルト話は、この平原と繋がってしまった世界の一端が漏れ出して垣間見えただけだとか。 何故か過去に死んだはずの人間が落下死してくるが、その平原自体に危険度はない。 ただし、空を飛んだりうっかり長時間空を観測してしまったりといった場合は話が別であり、虚空のような空間では&bold(){&color(red,black){何か大いなる存在が逆にこの世界を観測している。}} その観測者から逆に観測されてしまった場合、空へと連れ去られ何処かに消えてしまう。 気球などの飛行物へ乗ろうものなら一定高度まで達した際に外を見ただけでアウトとなるため、うっかり気球で空に昇った場合ひたすら空を見ず目隠ししたまま、降下するまでやり過ごさなければならない。 一応人類が観測しなければ、あちらからも全く干渉されないのは唯一の救いであろうか。 それよりも問題は&bold(){「死体が空から落ちてきた」}という一点で、後日談では観測日数×××日目((連載時は数百日後となっていたが、単行本化の際に変更された。))に&bold(){&color(red,black){平原の空から多くの異世界人(或いは死後の世界の住民)が移住のため舞い降りることになる。}} &s(){鞄とか虚像とかエヴァルスとかマダライツヅ様とか危険な怪異で溢れる世界に移住…? 正気か…!?} なお、今回の給料袋の隅に「&bold(){Q}」の文字があったため治験や遊園地バイトの異世界と何らかの関係があると思われたものの、結局詳細は分からないいつものパターンでバイトは幕を閉じた。 #center(){&bold(){&color(red,black){観測ノ結果…移住ハ可能デあると思われまス。}} &bold(){&color(red,black){カエろう。かエロう。かエろウ。カエろう。かエロう。かエろウ。}} &bold(){&color(red,black){タダイマ。}}} **&ruby(げだつねこ){解脱猫} #center(){&bold(){&ruby(・・){納期}も迫ってきてるし、バカ共を売りに出そう。} &bold(){&color(red,black){「人生レンタル」}の始まりだ!}} 人材レンタルのエピソードで登場した、〇〇都静川区の人材レンタル会社「宮崎レンタル」で用いられていた&bold(){呪具。} 形状は非常に小さいサイズの不気味な招き猫で、ポーズも通常の物と異なり両腕を互い違いに突き出している。 &bold(){「自分(の意志)を殺して役になり切る」}人間に影響を及ぼす波動を発しており、これに曝されたまま役を演じ続けることで自己の存在が次第に希薄となっていく。 そのまま1か月ほど断続的に曝露と演技を続けていると、最終的に&bold(){&color(red,black){肉体そのものが消滅する。}} 肉体が消滅する予兆は&bold(){「自己の分裂((精神的な意味ではなく、ドッペルゲンガーのように同じ人物が2人以上同時に現れる。))」「肉体の歪み」。} そして肉体消滅を促す最終段階として、依頼人の求める故人へ完璧になりきった演技をさせる「人生レンタル」が行われる。 これによって肉体が消滅しても戸籍や資産などの生きた証はそのままなので、&bold(){&color(red,black){犠牲者の残ったモノを裏で顧客に売り捌く行為}}こそが宮崎レンタルの本業となる((人材レンタルの利益についても、波動をモロに受け続けると給料日前に肉体が消滅するため、裏バイターは実質タダ働きとなり会社は丸儲けできる仕組みになっている。))。 作業を円滑にするため支給品の社用端末へ解脱猫を仕込んで波動を浴びせ続けており、からくりを見破れなかった場合は当然死が確定する。 …のだが、逆に言えば解脱猫自体は単なる波動発生装置に過ぎず、端末本体と手で外せるケースの間に隠されているだけなので簡単に無効化できる。 本編においても初日にあっさりと存在を看破され、会社による謀略は失敗。納期へ間に合わなかった埋め合わせとして社長たちが戸籍と資産を奪われる羽目になった((なお、後の「ホテル従業員」エピソードでのオチにて戸籍を奪った件は役所にバレたことが明かされている。))。 歴代でもトップクラスに対処しやすい部類の怪異と言える((ただし、この「対処しやすい」というのはユメの能力あっての評価であり、何ら力を持たない普通の裏バイターはたまたま端末を落とすなどしない限りは発見すら不可能。現に和美と大熊は気付けておらず、後者に至っては端末の匂いを嗅いでいた。))。 &font(#0000ff,u){&font(#ffffff){尤も、本エピソードは怪異関係とは別ベクトルで戦慄の結末を迎えたのだが…。}} **&ruby(おたき){小滝} #center(){&bold(){&color(red,black){殺してやる…呪ってやる、外道共。}} &bold(){&color(red,black){琉馬の一族は根絶やしじゃ、覚悟しておれ。この怨み晴らさでおくべきか…}} &bold(){&color(red,black){晴らさでおくべきか、晴らさでおくべきか、晴らさでおくべきか、晴らさでおくべきか、晴らさでおくべきか、晴らさでおくべきか、晴らさでおくべきか…}}} 料亭スタッフのエピソードで登場した怪異。 琉馬一族が経営する、江戸時代から続く料亭・琉馬に巣食う怨霊。元は江戸時代の奉公人だったが、当時の一族の2人が後継者争いをしていた中で一方が相手を絞殺した瞬間を不意に目撃してしまった。 小滝は口封じのため座敷牢へ閉じ込められた挙句罪を擦り付けられ、逆さ吊りに遭い惨殺された末に怨霊と化した。 小滝がいる部屋は&bold(){「開かずの間」}と呼ばれ、その部屋に入った者に自身の受けた仕打ちと同じ苦しみを与えて殺害する&bold(){&color(red,black){「逆さ吊りの呪い」}}をかけてしまう。 呪われた者には&bold(){「死相」}と呼ばれる血痕のような痣が顔に発生。 「死相」が発生した段階で熱病に侵されたかのような体調不良を患った後、暫くしてから生きたまま逆さ吊りにされ苦悶の中で死んでいく。 おまけに小滝は40以上ある料亭の各部屋をランダムで移動するため「開かずの間」は一日の間でも次々に変化する。 なので小滝のいる部屋の有無は、扉へ触れた時にのみ聴こえてくる&bold(){&color(red,black){「開けて」}}という小滝の声で判断するしかない。 しかし、既に人がいる部屋でも小滝が移動してきて「開かずの間」となる場合もあるため、声がしなかった部屋なら安全と言い切れる訳でもない。 仮に呪われた場合は呪いが発動して死亡するまでの短い時間の中で「開かずの間」を探し出し、もう一度入ることで「&bold(){逆さ吊りの逆さ=正常な状態}」とする以外に回避の手段は無い。 #openclose(show=とはいえ解決方法が明確に発見されるなど、怪異の中では割と攻略難易度は低いと考えられる。){ #center(){&bold(){&color(#FEDCBD,#000000){生き馬の目を抜く外道連中が跳梁跋扈する世界だ。}} &bold(){&color(#FEDCBD,#000000){なにしろ件の小滝などは、怨みを晴らすどころか…}} &bold(){&color(#FEDCBD,#000000){死してなお、後継争いに利用されているくらいだからな。}} &bold(){&color(purple){ギャハハハハ!}}} その実態は今作初の&bold(){&color(red){人間を脅かすどころか、人間からやりたい放題に利用されまくっている被害者枠の怪異。}} 琉馬一族の後継者候補である三兄妹にとって小滝は鉄砲玉扱いに近く、&bold(){&color(red,black){裏バイターを利用して小滝や呪いの習性・法則を調査しつつ、小滝の呪いを使って互いに殺し合う}}骨肉の争いを仕掛け続けている。 そのため三兄妹は >・&bold(){小滝の声を聴いた側:従業員を利用して「お客様からの呼び出しの伝言」という形で邪魔な兄妹を「開かずの間」に向かわせるよう仕向ける。} >・&bold(){伝言を聴いた側:自分の命を保証するため、裏バイターや他の従業員を疑惑の部屋に向かわせて安全確認(および呪いの身代わり)。} という流れで日々騙し合い及び殺し合いを繰り広げている。作者によれば一応お客様の安全確認も兼ねているとか。 そのため小滝の法則が新たに判明したのが他の家族に漏れるのは都合が悪く、小滝の呪いから生き延びてしまった場合は早急にクビ扱いで料亭から追い出される。 裏バイターを生贄にして調べた内容は移動パターン、移動頻度、呪いや死相の個人差、コミュニケーション能力の有無、好きな食べ物、異性の好みなど多彩。 現在では長年の研究の末、&bold(){声を聴く前から「開かずの間」か否かを判別できるようになっている}など目覚ましい進歩を遂げたという。 三兄妹に監禁されている父親は&bold(){&color(red,black){「(長男が当主になっても)当主を引き摺り落とす殺し合いが続くのだ。延々と。最後の一人となっても」}}と脅えながら述懐している。 ちなみに、現当主である三兄妹の父親もこの呪いを利用した蹴落とし合いを勝ち残って当主になっているあたり、小滝の呪いを利用した殺し合いは遥か昔から続いている模様。 } **&ruby(とくいしゃりょう){特異車両} #center(){&bold(){&color(red,black){それ}を見た者は、恐怖のあまり、発狂してしまう者もいるという。}} 交通量調査のエピソードで登場した、赤刃トンネルに出没する怪異。 便宜上「車両」と呼ばれてはいるものの、実際は「車両」どころか特定の形すら取っておらず、走る%%変態%%人型、車に取り憑く%%アクセサリー%%老婆、行列を成す%%干し柿%%生首といった様々なタイプが存在する。 具体的な性質については不明だが、「対処に手間取ると調査員もただでは済まない」らしく少なくとも安全な怪異という訳ではないらしい((前述の通り見た目が千差万別である事を考えると、そもそも性質からして異なっている可能性もある。))。 中でも通称「超・異質特異車両」と呼ばれる%%ぶどう%%集合霊は&bold(){&color(red,black){見ただけで発狂の可能性がある}}極めて危険な存在となっている。 その正体は、ネット上の噂として広まっている「&bold(){最恐の心霊スポット}」という赤刃トンネルへの「畏れ」が集まって形成された存在。 毎年特定の時期になると赤刃トンネルから溢れ出し、周囲へと流出していくという。 既に対処法が確立されている怪異でもあり、遭遇したとしてもすぐに&bold(){「これは心霊現象ではない」}という別の概念を定義づけてしまえば無害化が可能。 定義づける概念は何でも良く、その場で「これは〇〇である」と恐れることなく&bold(){確信を持って認定されてしまう}と「畏れ」が無くなって存在を保てなくなり、断末魔を上げながら消滅する。 %%どう見ても巨大な生首以外の何物でもない奴を「みかん」認定しても有効だったりと、何なら実態に即している必要すらない。%% 逆を言えば、特異車両を少しでも恐れて定義づけできない場合はアウト。&bold(){数多の特異車両を恐れず観測し続けられる強靭な胆力と精神力が求められる、「逃げ出したら逆にアウト」なタイプの怪異}である。 その一方で&b(){定義づけを「対処法」だと知っている=「心霊現象である」と既に定義づけて認識している人間では、逆に対処できない}という矛盾めいた性質も持つ。 そのため、対処法は何も知らない人間へ危険性を伝えずに行わせなければならない。 赤刃トンネルの周辺では特異車両の流出を防ぐため、交通量調査の名目で毎年裏バイターを派遣して%%明らかに無駄に%%様々な種類が用意された大量のカウンターによって定義づけを行わせている。 作中では%%応募してきた唯一の%%派遣された裏バイターがよりにもよって&bold(){通常の車両の定義の時点で怪しい&font(#ffb74c){橙}}だったため、&bold(){怪異だと気付かれることすらなく}あっさり全滅した。 主人公2人%%もしくは橙より知能が高い大多数の人間%%では遭遇した際に怪異だと定義づけてしまった可能性が高いため、これに関しては橙のお手柄。&s(){それと同時に橙と和美がこっそり密造酒を造っていたのもユメにバレてしまい、後で和美からユメに叱られた八つ当たりをされるのはほぼ確定。} 余談ながら走行する車両の中には、車体にて織田ファームによるエヴァルスの宣伝広告が描かれた%%ノリが軽いから軽%%車両が存在した。&bold(){エヴァルスの生息域拡大は着々と進んでいるようだ。} 特異車両の幾つかが果物に定義づけられていた旨は多分関係ない。 **デザイナー(異形人類) #center(){&bold(){何かが変わっている気がする。そんな気がする。} &bold(){でも、少し考えて気のせいだろうと思う。誰にでもある。} &bold(){何かが変わっている。でも誰もそれを知らない。}} 遺跡発掘調査補助員のエピソードで登場した怪異…を超えたモノ。&bold(){&color(red){『裏バイト:逃亡禁止』の世界の神の如き上位存在。}} 作中では白骨で出現したが、眼窟部分が雪の結晶みたいな異形の形状になっている以外は骨格含め人間そのもの。&bold(){「もしかしたら元々白骨の姿だったのかもしれない」}とも考えられている。 デザイナーは自分たちにとって不都合な歴史や事象が生じると、全てを消し去りもう一度「ある地点」からやり直す形で歴史をリセットしている。 よってこの世界の歴史とは&bold(){&color(red,black){「何度も修正され続け、デザイナーの意図でデザインされた予定調和の歴史」}}でしかない。 ざっくり言えば&bold(){[[裏バイト版歴史の道標。>女カ(藤崎竜版封神演義)]]}やっていること自体は&bold(){「歴史のリセマラ」}と考えるとそれなりに飲み込みやすいかもしれない。 この「ある地点」からやり直される際、その引き金を引いてしまった(今回のエピソードで言えば、異形人類やその所業を掘り当てた、或いは見た)人間は&bold(){&color(red,black){全員例外なく死亡し、デザイナーによって書き換えられた新たな人物が配置される。}} 作者が本エピソードを&bold(){&color(red,black){「致死率100%」}}と謳っていたのはこの現象が理由。 …とはいえこの歴史操作は何の証拠も残らない訳ではないようで、地中にはリセットされる前の残滓として引き金を引いた者(今回の場合は異形人類の化石を発掘した者)の石像らしきものが残される。 そしてこの石像を掘り起こせばそれが消される前の自分自身であること、デザイナーとそれが行なってきた歴史改変の存在を知覚できる。 だがそれをしたが最後、&bold(){デザイナーは「歴史のリセット」を行い、それまでの全ての歴史が消え新たな世界が生み出される。}(言うなれば歴史のアンインストール→再インストール) 発掘調査に携わっていた平川他研究員は全員これによって死亡し新たな存在が割り当てられていたが、平川は掘り起こした石像(=前の世界の自分自身)により上記の現象を察知する。 それによって平川は&bold(){「我々が歴史と呼んでいたものは茶番だったんだ。予定調和しか起きない」}とSAN値が激減してしまった。 他の研究員は真実に耐えられず須く発狂したと思われる。 今回の裏バイトでは何の因果かうっかり異形人類の白骨が掘り起こされてしまい、主人公2人と平川たちはそれに伴って発生する怪奇現象に巻き込まれてしまった。 そんな異形人類の白骨が引き起こす怪奇現象の解決法とは、掘り起こされた白骨の破壊。 #openclose(show=完全に絶望していた平川も和美の発破で立ち直り、上位人類への決別も込めてデザイナーの白骨を破壊した事で事件は解決した。){ …とまあここまでなら漫画の王道パターンだが、&bold(){&color(red,black){そんな人類にとって虫の良い感動の解決など起こり得ない}}のが裏バイト世界。 平川による必死の足掻きも上位人類たるデザイナーには何の意味も為さず、『遺跡発掘調査補助員』という裏バイトは&bold(){存在そのものが歴史から抹消。} 『どこかのホテルでの裏バイト』という内容に世界は呆気なく書き換えられ、デザイナーを破壊しようとした平川は主人公2人の記憶だけでなく&bold(){世界からも消し去られた。} この際、どうやら&bold(){日本(或いは地球?)の創生からやり直した}らしくついでに何か気に食わないところがあったのか、 ・&bold(){北海道の地形が左右逆さまに変更。} ・&bold(){千葉県の銚子付近の地形が消滅。} といった形に世界そのものが変更。世界と歴史は&bold(){「そういったもの」}と定められ、穏やかに本エピソードは終わった。 #co{ //これまでのエピソードでも -最初の仕事であるホールスタッフで2人が出会った(再会した)のが『9月』なのに、次の仕事((エピソードとしてではなく、2人でコンビを組んで2番目の仕事というのが治験エピソードで記憶の擦り合わせをした際に語られている。))であるビル警備員の勤務期間が『6/25~7/25』になっている((加えて6/23~6/29はマストの敷地から出られず両立ができないので、各エピソードと時系列がバラバラでないのなら、裏バイトを1年近く続けた葬儀屋スタッフの前に2年目へ突入している事になってしまう。これが9/25~10/25であったならば、次の個人向け配送業の日程とも辻褄が合うのだが。)) --日付通りなら10ヶ月近く裏バイトをしていないことになりそうな一方で、勤務期間が8/1~8/10の葬儀屋スタッフのエピソードでは、2人が『一年近く裏バイトを続けている』から異常事態に馴れていると同僚の宮に納得されている -温泉宿スタッフの期間が4月『31日』までとなっている((4月は30日まで。)) -キャンプ場スタッフのラストで『未明に』帰宅中の児童が刺される((未明は夜の0時から3時ごろであり、そんな時間に帰宅する児童はまず居ない。)) -&s(){家政婦の日給が790.000円と書かれている} -&s(){橙の存在} と単行本でも修正されない妙な点があったが、これもデザイナーの改変による影響だったのかもしれない。 } //まだ確定したわけではないのでコメントアウト デザイナーにはアシスタントと呼ばれる存在が複数おり、いずれも顔が雪の結晶のような異形となっている。 彼ら?には様々な役割が設けられているらしく、上記の「存在そのものを抹消する」破壊者だけでなく近づいても特に害を齎さない報告担当((これまでの歴史が)終わるよ。と警告してくれる)も居る。 どのみち彼らが目撃された時点で「終わって」しまうのだが、ユメの反応からするに破壊者の方へ近寄ってしまうとよろしくない様子。 ちなみに今回のデザイナーの対応を省みると、 ・研究員たちは%%SAN値が勝手に削れただけで%%&bold(){放置} ・調査を主導した平川も&bold(){1回目は放置} ・居合わせた主人公2人は記憶を書き換えただけで&bold(){無罪放免} と案外寛容なところがある。ひょっとしたら彼らが歴史を操作しているのも、ただ理不尽なだけの行動ではないのかもしれない。 %%というか、あれだけヤバい怪異が溢れてるこの世界が滅びていないのは、もしかして…%% %%あと、主人公2人がとっくに相当稼いでいるはずなのに借金完済できず連載が続いているのも、もしかして…%% よって「怪異の暴威で世界が滅びないよう奔走している存在」と見るべきか、「怪異を放置して世界に蔓延る地獄絵図を看過している邪悪な存在」と見るべきかは読者次第。 &s(){鞄やマダライヅツ様が人類を滅亡させないのはデザイナーのおかげかもしれない。} &font(#0000ff,u){&font(#ffffff){作者コメントによると、主人公2人と依頼を持ってきた藍川時子も「致死率100%」の例外ではなく、死亡して次の存在に書き換えられてしまっているという。}} &font(#0000ff,u){&font(#ffffff){直接現場に行っていない時子さんまでやられてしまったのは、異形人類(デザイナー)が彼女の手へ渡るのは極めて不都合だったのだろうと推察されている。}} &font(#0000ff,u){&font(#ffffff){また主人公2人に至っては前編(最初に「何か」を掘り当てた時点)で一度、その後デザイナーと対峙したことで二度死亡して上記の「無難な裏バイトをこなす役回り」に書き換えられてしまっている。}} &font(#0000ff,u){&font(#ffffff){主人公コンビを実質二度も(本人たちには一切気付かれず)殺害するという暴挙をやってのけた、まさに本作史上最強の怪異と言えるかもしれない。}} &font(#0000ff,u){&font(#ffffff){また、研究員たちは皆発狂して…とはあくまで二度目の平川の推測であり、実際はデザイナーによって破壊されている可能性もある(その場合、何故二度目の平川は発狂していなかったのかという疑問も浮上するが)。}} } なお、今回の元ネタは「世界五分前仮説」ではないかという説が濃厚。 哲学者バートランド・ラッセルによって提唱された&bold(){「世界は実は5分前に始まったのかもしれない」}という哲学における思考実験の1つである。 **&ruby(ゆういんしゃ){誘引者} 工場作業員のエピソードで登場した怪異。 作業現場に現れ、この裏バイトの危険性を跳ね上げている要因。 長い手足を持ち影のように真っ黒だが、よく見ると人間のような顔を持っており目は真っ黒で十字線が入っている。 班長の児島曰く&bold(){&color(red,black){「生命に興味がある」}}らしく、開発された人工知能に引き寄せられて集まってくる。 サイズには個体差があり、小さいものは工場の上を走り回ったり窓から中を覗いているだけで害は無い。 だが大きいものは作業現場に入り込んでくる上、残虐な気質なのか 目があった相手を嬉々として殺す攻撃的な性質を持つ。 このため、作業中はひたすら集中しなければならない。 主人公2人が参加したバイトの最終日には特大の個体が出現、姿を見ていないにも拘らず自分から覗き込んで目を合わせ、数名を殺害した((わざわざ児島が報告していたところを見ると、特大サイズの出現は初めてだったと思われる。))。 和美の指示で裏バイターたちが逃げ出した途端なぜか消えてしまい、業務は終了。 他の裏バイターたちへ[[逃げる]]よう煽動した和美はクビ、ユメも自ら辞めることにして「長く勤めない方がいい」と警告を残しつつ去って行った。 //…ところで、ここで1つの疑問が沸く。 //生命や魂に興味があると言うならこれらを併せ持っている人間が数十億分布している中で、なぜこの工場にしか現れないのか、と。 //これ以上の情報がないため推測に過ぎないが、1つの仮説が立てられる。 //誘引者は単なる好奇心で集まってくるのではない。 //自分たちがこの世界に進出するための入れ物を求めていたのではないか。 //個人の推測をコメントアウト 主人公2人が参加した裏バイトによって完成したキューブがお披露目会にてアンドロイド「ルーシー」へと搭載され、人間並みの知性を持ったアンドロイドが起動した。 だがその目は誘引者と同じく真っ黒であり、不気味な笑みを浮かべていた…。 **契約者 #center(){&font(b,red,black){ギャホッ ギャホッ ギャホッ}} ベビーシッターのエピソードで登場した怪異。 全身真っ黒な羊の頭を持つ男、という見た目といい後述する性質といい、&bold(){概ね一般的にイメージされる「悪魔」そのもの}という、一周回って「裏バイト」ではちょっと珍しいタイプの存在。 例により作中では悪魔と明言されているわけではないが。 黒魔術の儀式によって呼び出され、契約した相手の願いを叶える力を持つ。 ただしその対価として、&s(){例によって}&bold(){人間を生贄に捧げる}必要がある。かつ生贄は儀式を始めてから満月が沈むまでの間に、己の手で殺害する必要があるらしい。 間に合わなかった場合、契約した者は&font(b,red,black){奴の慰み物とされ残酷極まる責め苦を永遠に受け続ける}ことになる。 悪意剥き出しの存在ではあるが基本的に契約相手とその願いに関すること以外には特に干渉してこず、そもそもわざわざ呼ぼうとしなければ出てくることもない。 そういう意味では本作の怪異の中では&bold(){比較的}大人しい方ではあるかもしれない。 なんなら性質そのものは福ノ神あたりと大差ないし。 ***&bold(){&ruby(ごきそ){五木曽}&ruby(たける) {猛}} #center(){&font(b,red,black){ぼく赤ちゃん!}} 上記の存在と契約した男。名前はちょい足しから。ベビーシッターのエピソードで実際に脅威として立ちはだかるのはコチラ。 自らの人生をクソみたいだと蔑み、その原因は所謂「親ガチャ」に失敗したせいだと金持ちの家の子供になることで人生をやり直そうと画策した。 計画では黒魔術によって呼び出した「契約者」の力で金持ち(会社経営者)の家の娘である&color(red){&bold(){りんごちゃん}}の身体を乗っ取り、それと引き換えに渡す人間の魂として、死んでも騒がれないという理由で本来のベビーシッターの代わりに雇用した裏バイターを生贄にするつもりだった。 赤ちゃんの姿でも両足で立ち素早く動くことも可能で、当初はその姿で疑われもせず玩具を踏んだことによる階段の上からの転落事故や、ジュースへの洗剤の混入によって主人公2人を殺害しようとするが悉く回避されてしまい、両親の帰宅前夜に業を煮やして本性を表し実力行使に出るも事前に対策されていたことでこれも失敗。 それでも赤ちゃんの体躯で2人を翻弄するが、最終的には家の中に招き入れられたりんごの魂に身体を奪還された。 #openclose(show=その後はりんごの身体を再度奪うこともできず、魂を回収した契約者の慰みものとなった。){ 彼はりんごが 小学校に入学するまでに手足の爪を&font(b,red,black){99004回}剥がされ、 &font(b,red,black){100015回}全ての指をもがれた。 成人するまでに&font(b,red,black){9765589回}串刺しにされ、 &font(b,red,black){9650回}炭化するまで炎に焼かれた。 その生涯を終える((孫に看取られての大往生。))までに&font(b,red,black){7658736290回}腸と膵臓を啄まれ &font(b,red,black){8766899回}性器を輪切りにされた。 } &font(b,red,black){そしてそれは永遠に終わらない。} りんごに身体を奪還されたことから、ちょい足しにて&bold(){赤ちゃんにも競り負けるメンタリティの持ち主}と評された。 また雇った裏バイターがよりにもよって主人公2人だったため、読者からは親ガチャよりも&bold(){裏バイターガチャに失敗した}とも言われている。 **&ruby(あとしろ){後白}村の神 #center(){&bold(){それでは、} &bold(){無事、&ruby(いみなりなり){&color(red,black){忌成成}}が成就する事を願って。} &bold(){神々にこの宴を捧げましょう。}} 雪まつりスタッフのエピソードで登場した怪異で、○○県後白村の神社に祀られている存在。 全編通して登場したのが1ページかつ、描写されたのもごく一部だけのため外見の情報はほとんど分かっていない。上記したように「神々」と称されているが、実際に複数の神が祀られているのかも不明。 後白村において長きに亘り金と引き換えで行われてきた&bold(){呪術的な暗殺「忌成成」の実行犯}であり、&bold(){「&ruby(けいむてい){仮忌体}」}と呼ばれる雪像へ象られた人間を&bold(){&color(red,black){像の制作者の命と引き換えに凍死させる。}} [[標的は居場所やそこの温度に関係なく氷漬けとなる>ギアッチョ(ジョジョの奇妙な冒険)]]ようで、作中ではとある国会議員が自室にいた間で凍死してしまったことが判明している。 一方で制作者は、神に暗殺の成就を願う「あとしろ火伏祭り」の「夜の部」に参加する事で&bold(){雪像が人に化けている幻の世界}の中へと意識が取り込まれてしまい、いずれ凍死する。…が、その取り込みが発生する前に祭りの現場から離れれば無事でいられる。 この「制作者」の判定は制作に関与した部分の割合で決まるようで、村人たちは顔面以外の全てを裏バイターに作らせて身の安全を確保しつつ、依頼を遂行していた。 なお、人間を凍死させる力の持ち主だからか&bold(){&color(red){村での火の発生を極端なまでに忌避する性質を持つ。}} その嫌い様はライターや煙草程度でも明確な嫌悪感((前編で描写された雪像の表情がにこやかな顔から苛立ったようなものに変わるシーンは、同時刻に隠れて一服していた睦美に反応してのものと思われる。))を抱くほどで、村人たちは ・調理や暖房器具はオール電化 ・夜祭では篝火を使わず、照明は(おそらく電池式の)提灯のみ ・裏バイターに火気厳禁と伝えた上、村に入れるにあたり所持品検査も行う など、徹底して火を起こさないようにしていた。 ちなみに、祭りの名前の「火伏」とは&bold(){「火災の害を押さえ込むこと」}を意味する。 &s(){同じマンガワンのゴリファイアは「火防」} 人々が自分たちの金銭的利益のため共謀し、外から来た人間を生贄として捧げているという点は福ノ神と福音島島民との関係を連想させる。 こちらは先述の通り神社に祀られ、忌成成の成就を願う宴や舞も行われているなどちゃんとした(?)信仰の対象として扱われているようである。 #openclose(show=燃やせ~~~~~燃やせ~~~~~火は燃やす為にあるんじゃ~~~~~何を燃やすって? そりゃ決まってる。) {ユメは心の中の和美の言葉に従って黒い匂いの根源である神社へ向かい、睦美が&s(){密輸した}隠し持っていたライターで&bold(){&color(red){放火。}} &s(){ユメの心の中の和美のイメージがヒドすぎる気もするが、実際言いそうなので仕方ない。} 燃え盛る神社を見た村人たちが&bold(){「神様がいなぐなる…」}とパニックに陥る中、ユメは“神様”と思われる&bold(){&color(red,black){極めて巨大な人の手}}が本殿から伸びるのを目撃。直後に和美は&color(gold,#f5f5f5){「アッツ!」}という叫びと共に目を覚まし、生還するのだった。 #region(動ける? ここから離れ…) 実際のところ神様の力を利用して対等だと思い上がっていた村人たちは、実はとっくに&bold(){&color(red,black){神様なしでは存在すら保てない雪像に信仰と関係なく一人残らずが取って代わられていた。}} 神様の消失と同時に加護も切れたらしく、村人だけでなく忌成成に関わっていた人間も例外なく雪の塊となって溶け崩れ消滅。 そして各エピソードの最後に書かれる恒例の(裏)帳簿において、&bold(){そもそも後白村という村は日本の何処にも存在していなかった}という不可解な事実が明らかとなったため、村の全てが雪となって消え失せた模様。 [[村人だけでなく村自体も、神が生贄を呼び寄せるため作った偽物、幻だった>エンヤ婆(ジョジョの奇妙な冒険)]]とする考察もあるが、詳細は明言されていない。 %%あるいは公の場で盛大にやらかしたせいでデザイナーに村ごと抹消されたか。%% #endregion } **なかたりさん #center(){&bold(){幸せが、死に打ち勝つ事はないと知ってしまった。死に勝るものなんか何も無い。} &bold(){ああ僕も死にたいよ今すぐ死にたい。} &bold(){死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい…} &bold(){&color(red,black){なかたりさん。}}} &bold(){&color(black,red){黒岩案件・特殊清掃員}}のエピソードで登場した怪異。 黒金木ビルと呼ばれるアパートのクローゼットに巣くっていた&bold(){&color(red,black){「死の王」}}と形容される正体不明の存在であり、[[イエス・キリスト]]の如く茨の冠を被った禿頭の痩せた青年のような風貌をしている。 ルーツや由来などは何もかも謎のままだが、&bold(){「なかたりさん」}という言葉を発した場合は&bold(){&color(red,black){「自殺」という形で必ず死ぬ}}点が明らかになっている。 作者曰く&bold(){「その名を口にしてはいけませんよ。死に撫でられるのです」}とのことらしい。 また、なかたりさんが居座っているクローゼットを他人が開けた場合も死に繋がる様子。 これまでの怪異とは異なり、存在・習性・法則が最後までほぼ謎に包まれたまま詳しい説明もされず終わってしまったので、分類的には空き地探しでのムッキーに近い&bold(){よく分からない怪異の1つ。} だが、今回の肝は&bold(){&color(red,black){なかたりさんの対処と裏バイトの業務は全くの別問題}}という点。 なかたりさんによる怪奇現象を乗り越えて、初めて裏バイトの業務が開始されるというかなり変則的なシチュエーションとなった。 元ネタはおそらく1989年に公開されたユルグ・ブットゲライト監督製作であるドイツのホラー映画『死の王』。アニヲタwikiだと『[[ネクロマンティック>ネクロマンティック(映画)]]』シリーズが有名。 月曜日から[[日曜日]]まで、「死の王」により一日毎に様々な「死」を迎えていく人々の姿を一週間に亘り淡々と流すという独特な映画。 &bold(){「とにかく気の滅入る作品」「自殺のススメ的映画」}と形容された問題作である。 **成功体 #center(){&bold(){うちゅう。せかい、かみ、こうぞう。}} 探偵助手3のエピソードで登場した怪異。 生きた人間の脳に直接手を加え、進化した人間を生み出そうとしていた研究所「木谷脳研」の廃墟に潜む&bold(){&color(red,black){被験者たちの成れの果て。}} 全員が普通の人間から逸脱した存在となっているが、人の姿を保ってはいる。 「精神」「肉体」「超常」「完全」の4種に分類されており、1~4階を各々のテリトリーとしているが上階に続く階段には近づきたがらない。 #openclose(show=各成功体の概要) { ・&bold(){精神成功体} 1階の部屋にいる成功体。外見だけなら通常の人間と同じで、他と違い複数体描写されている。 常に不気味な笑顔のままで立っており、刺激にはほとんど反応しないが声をかけると&bold(){「はい、こんにちは」}と返す。&bold(){それも一斉に。} かなり気味の悪い存在だが、数々の裏バイトを潜り続けた主人公2人からは「あれしか言えないのか」とあっさり流された。 生きていると言えるのかも怪しいが、下記の肉体成功体によって&bold(){首を無理やり引きちぎられて殺された個体}もいる。 まともな意思疎通もままならなくなった彼らがなぜ成功例と見なされたのかは、作者も認める考察の余地である。 ・&bold(){肉体成功体} 上の4語を呟きながら、2階を徘徊する成功体。体毛のない巨体と大きな黒い目が特徴の怪物((第97回のちょい足しにおいて、ビジュアルに結構迷ったことが明かされている。完成形は「五感全てが強化されて全部デッカくなっちゃった!というマギー審司的なイメージで描きました」という。))。 侵入者を発見すると猛ダッシュで襲い掛かる。追いつかれれば、上記の精神成功体のように残虐な目へ遭わされると思われる。 他の成功体と比較して表情豊かであり、侵入者を襲う際は笑みを浮かべ3階への階段の前では怯えたような顔をして踵を返す。&s(){「ちょっと可愛い」と読者間では人気が高い。} ・&bold(){超常成功体} 3階をゆっくり徘徊する成功体。厳重に縫い付けられた顔面の各パーツ((肉体成功体は「五感全てが強化された」ものであるが、反対に超常成功体は五感を制限することで生まれたと思われる。))、肉体成功体と同じ無毛の肌、とても大きな頭部が特徴。 外見の通り感知能力が低く、特に身体の左右は至近距離まで近付かれたり小声で話したりしていても全く認識できないという盲点になっている。 ただし気付かれるが最後、[[超能力]]によってその場に浮かされ瞬時に破壊されてしまう。 ・&bold(){完全成功体} 4階の一室に鎮座している成功体。大きくがっしりとした身体や白と黒が反転したような目、そしてワイシャツと蝶ネクタイが特徴。 椅子に腰かけて指を組み、真直ぐ前を向いたまま微動だにしない。主人公2人がレポートを持ち出しても一切無反応。そのため、ユメも4階だけは匂いを全く感じていなかった。 時子はその理由について、完璧な存在となったが故に&b(){&font(#008cff){「この世の全てが下らなくて動く気にもならなかったんじゃないか」}}と推測している。 &s(){読者たちからは「つまり全てがくだらなくて動かない俺みたいな[[ニート]]は完全成功体ってことか」「俺も働く気にならない」とニート扱いされた。完全成功体は「やれる」けど「やらない」だけなので、残念ながら別物です。どちらかと言うとニートは完全しっぱ(ry} } 怪異としては、攻略法があり見つかっても普通の死を迎えられそうなだけかなり有情な方と言えるか(精神と完全は無害に等しいし…)。 なお上階への階段を避けるのは、階層がそのまま成功体たちの格の差を示しており、上にいる自身より完璧な存在に恐怖しているからという考察がある。 &font(#0000ff,u){&font(#ffffff){そう考えると、「彼ら」が地下に潜んでいるというのは、どこか皮肉めいたものが感じられる。}} **手 #center(){&bold(){わからない。今生きている人間でわかっている人間は1人もいない。} &bold(){ただ、脈々と受け継がれているんだ。&ruby(コレ){&color(red,black){軍手落とし}}をしないと、} &bold(){&color(Black,red){人類は3秒で滅びる…と。}}} &bold(){&color(black,red){黒岩案件・軍手落とし}}のエピソードで登場した怪異。 その姿は空から降り注ぐ巨大な手、そして空から俯瞰する異様な単眼。それ以上の仔細は全く以て分かっていない正体不明の怪異。 特徴としては、&bold(){&color(red,black){『軍手落とし』での違反行為を行なった人間を問答無用で抹殺する。}} 具体的には&bold(){「落とした軍手を動かしてはならない」「軍手落としの目的を探ってはならない」}という条項の違反者がターゲット。 もし違反してしまえば屋内外問わず、空から&bold(){&color(red,black){肉眼ではほぼ知覚不可能なほどの超高速で降り下ろされる手によって一瞬で潰殺される。}} 加えて死に方も突き立てた人差し指、拳骨、平手で叩き潰す、デコピン、チョップで圧殺など&s(){無駄に}バリエーション豊富。 ちなみに振り下ろされる手によって死ぬのは違反者のみ。違反者が肉片すらまともに残らないレベルで潰される以外は周囲に破壊は起こらないので、たとえ屋内であってもその建物自体には一切被害が及ばない。 なお、この判定は極めてシビア。 不安と恐怖に駆られて軍手落としがどのように行われたのかを地図アプリなどで探ろうとすればその時点で死が確定、無事軍手を落とせたとしても直後に&bold(){他人からゴミとして拾われてしまえばその時点で軍手を落とした人間の死は確定する。} 端的にまとめれば&bold(){&color(red,black){「バイト内容を少しでも考察しようとした奴絶対殺す怪異」}}とも言い換えられる。 よって当然、人類側はこれがどんな怪異なのかほとんど把握できていない。そして読者側もどんな怪異なのか、何故人類が滅ぶのかも全然分からないままである。&s(){黒岩案件こんなのばっかりか} 見方を変えれば怪異によって殺される条件が初めから明言されていたため、怪異の中では&bold(){まだ}優しい部類に入る…のかもしれない。 作者によれば&bold(){「お手付きという事でしょうか((軍手は配置場所に何か意味があったのか、何故一度置いた場所から動かしてはいけないのかという疑問に対して。))。それはまるで盤上遊戯のようですね。つまり何者かが遥か高みから愚かな人類の命運を賭けたゲームをしていた」}と仮説を立てている。 今回は作者も軍手落としの意義をいつも以上に明確にしてはおらず、&bold(){「軍手落としというものは、色々な仮説があるのです。皆さんも色々考えてみると面白いかもしれません。&color(Black,red){もれなく空から手が降ってきますよ}」}と曖昧なままにしていた。ちなみに作者にも空から手が降ってきたが、ゾンビなので頭に絆創膏だけでセーフ。 そしてこの項目も、&bold(){「軍手落としの目的を探ってはならない」}に違反したためアウトだと思われr… #center(){&size(50){👇} } #center(){&color(Black,red){&bold(){「あっ」}} } **とことこちゃん #center(){&bold(){きっとあの子が引き寄せてたんスよ。} &bold(){マジでこの世の終わりみたいなの。} &bold(){負のオーラヤバかったっすもん。} &bold(){あの子のファンみたいなものかな。}} [[コンビニ]]スタッフのエピソードで登場した怪異。 ナインマートと呼ばれるコンビニにかつて常連客として通っており、車に轢かれ亡くなった少女の霊が怪異化したもの。 その顔は、中央部に無数の顔のパーツが無理やりねじ込まれたかのように混沌としている。 深夜の勤務時間帯に実体化して店内を徘徊し、スタッフに対して何かを訴えかけ続けるがその内容は日に日に鮮明になっていき、1か月ほど経てばはっきりと聞き取れるようになる。 また、店内にはとことこちゃんが持つ強烈な怨みの念に惹かれ、無数の怪異が集まっており彼女と同じく徘徊を繰り返す。 しかし彼女も彼女に惹かれてきた怪異も、&bold(){明確に怨みの矛先を向けている相手以外には一切害を為さない存在}であり、主人公2人より前に深夜帯勤務を経験した人物もしっかり生還している。 このため裏バイトとしての難易度は格段に低いものの、彼女に関する事件が作中で初めて明らかになったところを見ると、その異様な環境に耐えられず辞めていった人の方が多かったのだろう。 最終的に主人公2人が1か月間勤務を続けたことにより、とことこちゃんの訴えが鮮明化。&bold(){ある意味怪異などよりも余程痛ましい}事件の全貌が明らかになった。 その後のナインマートは間もなく休業、事件の関係者やとことこちゃんがどうなったのかは不明のままとなっている。 **ムダイ #center(){&bold(){その本の内容は一定ではない。} &bold(){即ち、&color(red,black){「読むものが最も欲している情報」}が書かれているらしい。}} 図書館スタッフのエピソードで登場した怪異…が生み出した副産物。 表紙も中身も全てが真っ黒な本でタイトルは無く、噂では誰も知らなかった真実が載っていたり、歴史的価値のある古書であったり、希少価値が頗る高い本として知られている。 その実態は、&bold(){「裏」の図書館を徘徊している後述の怪異が、今なお吸収し続けている無尽蔵の知識の中から産み落とした}&del(){ウ〇チ}&bold(){副産物。}このため本の内容は「読み手が最も欲しがっている知識」が写し出される性質を持っており、読み手が違うと内容も異なってくる。 ただしそれ自体はあくまで収集された知識の塊に過ぎないため、「この世に存在しない事象」を求めても「&bold(){無い}」の2文字で済まされるなど、得られる知識には限界がある。 怪異が「裏」の図書館にしか居ない以上、ムダイもまた「裏」の世界にしか存在しない。 「裏」の世界に迷い込んだ人間がムダイを手に取って読んだとしても、「裏」から「表」の世界に戻るとその内容は忘れてしまう。 ただし、このムダイを「表」の世界に持ち出せれば話は別なのだが、持ち出そうとした場合は怪異がそれを妨害してくるため非常に困難。 このためムダイを「表」に持ち出すには、「裏」の入り口付近にムダイが現れたタイミングを計って「表」の世界から「裏」の本棚に手を伸ばして取る以外に方法はない。 ***ウライブラリィ #center(){&bold(){&color(red,black){お、おぼっおぼっおぼぼぼぼぼ…}} &bold(){&color(red,black){宇宙宇宙宇宙宇宙宇宙!}}} 上述の&del(){ウ〇チ}ムダイを生み出している怪異。 屈強な大男の風貌をしているが、その身体は無数の線のような管によって構成されており顔のようなものは存在しない。 名前は&del(){絶妙にダサいので本編には登場せず}ちょい足しからで、「裏」と「ライブラリィ」を合体させたもの。 &bold(){「完全情報体」}という存在になるため無限に本が並ぶ「裏」の図書館を徘徊し、身体を構成する管を触手のように伸ばして対象から情報を吸い上げる。 その情報を実物化させたものがムダイであり、有象無象の知識の集合体という事になる。 基本的に自ら進んで人間に害は及ぼさないが、&bold(){&color(red,black){ムダイを「表」世界に持ち帰ろうとする者には容赦なく襲い掛かり、その管を相手の脳に突き刺し大量の知識を一気に流し込む。}} 知識を流し込まれた人間は、脳のキャパシティが限界を超えても入り続けてくる&bold(){「暴力的情報」}に&del(){宇宙宇宙されて}正気を保てなくなり、風貌は一気に老け込みやがて廃人と化す。&s(){[[別に「ハロウィン!」としか言えなくなる訳ではない。>チェンソーマン]]} 途中でムダイを手放すなり、持ち帰るという意思を無くせば見逃してもらえるよう。 ただし、図書館司書の花巻によれば「裏」から帰ってこなかった図書館スタッフも居たようで、最後までムダイを手放さなかった場合どうなるのかは不明。 **たつ子 #center(){&bold(){&color(red,black){「たつ子」連作は本物の芸術です。}} &bold(){&color(red,black){見る者に「恐怖」を伝える。}} &bold(){&color(red,black){伝える事ができるのが本物のアートの条件なのですから。}}} 美術館スタッフのエピソードで登場した怪異。 上坂象太郎という芸術家が製作した人形・絵画・彫刻といった作品全般を示し、基本的には&bold(){&color(red,black){[[瞳が縦に並んだ>不安の種/不安の種+]]不気味な表情をした和人形のような姿}}をしている。 この作品群は[[2人以上に見られていないと動き出す>SCP-173]]という特徴を持ち、雇われた裏バイターの役割は閉館後この作品が逃げ出すのを防ぐための見張り。 だが、事情を知らない裏バイターがすぐ戻るから大丈夫だろうと[[トイレ]]に立ったことで、多くの作品が脱走してしまった。 その特性は&bold(){&color(red,black){自身を見た者をショック死させるほどの恐怖を与え、さらにその恐怖を伝播させる強力なミーム汚染。}} たつ子に関心を抱く人間の精神を汚染し、自身の幻覚を見せて恐怖心を増大させ、やがては精神をも蝕み死に至らしめる。 更に言えば見られている間も&bold(){&color(red,black){動かないだけであって、ミーム汚染の性質はそのまま。}} そのため前回開催された作品展では、大勢の観客が発狂あるいは死亡する惨事が引き起こされた。 作品に興味を持たない人間には効果が薄いものの、恐怖を抱けばそれを増幅され最悪の場合は死亡してしまう。 逆に言えば何らかの方法で感情を押さえる、もしくは無にすれば被害を受けずに済む((作中でたつ子に遭遇しかけたヤムちゃんはその姿を目の当たりにする直前で失神したため、たつ子の姿を見なかったことで生還を果たしている。))。 ちなみに逃げ出した作品はどうなるのかというと、&bold(){&color(red,black){各地に散らばって感受性が高い人間にだけ見え、恐怖を植え付ける幻覚のような怪異となる。}} こうしてたつ子を見た人間の何人かが恐怖と共にたつ子の存在を媒体に記録し、その媒体がまた[[ミーム]]汚染を引き起こす動く作品となる((美術館の館長は、上坂象太郎が出会ったたつ子も元々はどこからか逃げ出してきたものの一部に過ぎないと推測している。))。 こうやってたつ子は際限なく増えていくのだ。 #center(){&bold(){あのね、真っ暗なね、部屋の奥にね…} &bold(){&color(red,black){「&ruby(・・・){立つ子}」}がいるの。}} **高井津村の住民 #center(){&bold(){&color(red,black){贖え。贖え。贖え。贖え。贖え。贖え。}} &bold(){&color(red,black){贖え。贖え。贖え。贖え。贖え。贖え。贖え。贖え。贖え。贖え。贖え。贖え。}} &bold(){&color(red,black){贖え。贖え。贖え。贖え。贖え。贖え。贖え。贖え。贖え。贖え。贖え。贖え。}}} &bold(){&color(Black,red){黒岩案件・墓参り代行サービス}}のエピソードで登場した怪異。 物語の舞台となった藤吉町に、かつて存在していた高井津という集落で暮らしていた人々。作者曰く&bold(){「高井津ゾンビ」}。 しかしある飢饉の際に「口減らし」の名目で、藤吉町の前身である藤吉村の住人によって皆殺しにされた。 霊園内には「高井津之墓」と書かれた墓石があるが、これは人名ではなく集落の名前。 村人の目的は&bold(){&color(black,red){自分たちを抹殺した藤吉村の人間を生贄にし、彼らに代わって現世に復活すること。}} 藤吉村は高井津村を下層民と見做して奴隷のような扱いを繰り返しており、挙句の果てに村民虐殺へ踏み切ったという。 藤吉町に存在する&s(){心の歪な人には[[アレ>着衣セックス]]に見えると評判の}「おんぶ地蔵」は、かつての高井津と藤吉の関係を表しているとされる。 霊園の周囲に鳴り響いていた&bold(){&color(black,red){「コーン」}}という音は、高井津村の人々の魂を呼び寄せる「召還の儀」で使われた柄杓によるもの。 これにより今生きている人間の魂を生贄とすることで、高井津村の人々が現世へ復活する足掛かりとなる。 彼らは藤吉村の子孫たちの罪悪感を煽り自罰意識を植え付けた上で復活の生贄にしたようで、物語開始時藤吉町には既に人っ子一人いない状態だったため既にほぼ全ての町民が、この「召還の儀」の犠牲になっていたと思われる。 なお、怪異としては&bold(){&color(red,black){他人の人間に憑依して肉体を乗っ取る}}というシンプルなもの。 自分たちを滅ぼした藤吉村の子孫には恨み骨髄に徹す反面、藤吉村の人間以外に対しては基本友好的な存在である。 ただし、話を信じやすい善良な人間はターゲットにされてしまう。 逆を言えば疑り深い人間ほど生存の確率は増していくが、生贄にするかの最終判断は高井津村の村民による独断と匙加減次第なので&bold(){相変わらず生存率は運ゲー。} 逆に裏バイターを身代わりにして高井津村の「召還の儀」から逃れようとした主任は、その卑劣な所業を咎められ[[然るべき処置>おろかな埋葬(遊戯王OCG)]]を施された。 かくして高井津村を虐げていた藤吉村の人間は全滅、正義の復活はここに成ったのである。 めでたしめでたし。 #openclose(show=善良な人ほど、騙されやすいのです。){ …しかし日高主任が事前に役所へ確認した際には、&bold(){&color(black,red){村民を虐げていたのは寧ろ高井津村の方であったという記録が残っていた。}} 飢饉の際にも、口減らしのため高井津村によって藤吉村民の虐殺が計画されていたが、藤吉村から反乱に遭って逆に全滅させられたという。 だが既にその真実を知る人間は死に絶え、更に藤吉村と通じる者も根絶やしにされた今、最早確認する術は存在しない。 そもそも&bold(){肝心の役所での記録も「真実」か否かは分からない。} 本当に悪かったのは高井津村だったのか、はたまた藤吉村だったのか。真実を知るのは過去の当事者であった村民のみ。 善悪二元論で当て嵌めての区別自体が、今回の怪異に取り込まれてしまうトリガーなのかもしれない。 #center(){&bold(){&color(black,red){善良な人ほど、騙されやすいのです。}} &bold(){&color(black,red){ご愁傷様です。}}} } **しーマン 動画配信ゲストのエピソードで登場した怪異。 グレイタイプのエイリアンのような姿をした異形の存在。マジックペンで書き殴ったような目と妙に色っぽい唇、沈黙を促す唇の前で人差し指を立てるポーズが特徴。 裏バイトが世の中に広まるのを防ぐ抑止力的な存在で、裏バイトの内容を広めようとしている人間の元へ現れては&bold(){&color(red,black){存在そのものを消してしまう。}}(作者曰く「しー」される) より簡単に言えば怪異による&bold(){&color(red,black){垢BANならぬ人生BAN。}} 過去改変や認識阻害を起こせるとも受け取れる描写がありその力は未知数だが、本編での言及自体はあったものの最後のコマにしか姿を見せなかった。 モデルはおそらくUFOや異常存在を見た者の前に現れ口止めや隠蔽を試みるというメン・イン・ブラックであろう((メン・イン・ブラックの正体は宇宙人であるという説もあり、この要素はしーマンのビジュアルにも通じる。))。 ***&bold(){視聴者} #center(){&bold(){&color(red,black){人生乙 人生乙 人生乙 人生乙 人生乙 人生乙 人生乙 人生乙}} &bold(){&color(red,black){人生乙 人生乙 人生乙 人生乙 人生乙 人生乙 人生乙 人生乙 人生乙 人生乙}} &bold(){&color(red,black){人生乙 人生乙 人生乙 人生乙 人生乙 人生乙 人生乙 人生乙 人生乙 人生乙}} &bold(){&color(red,black){人生乙 人生乙 人生乙 人生乙 人生乙 人生乙 人生乙 人生乙 人生乙 人生乙}}} 動画配信ゲストのエピソードで登場した怪異。 某笑顔系配信サイトのような配信サイトを見ている&bold(){視聴者のフリをした怪異}。 『裏バイターをゲストに迎え職務経験を百物語の体で話す』という内容の配信にて出没しており、基本的に碌な意思疎通ができない裏バイト怪異には珍しく流暢な日本語を書き込むどころかネットミームまで使いこなしている((作者曰く「読者が怪異になった気分を味わえる話にしてみた」とのこと。))。&del(){「クサいと言われると興奮する」などM気質な奴もいる。} 基本的に友好的な怪異だが、しーマンが現れる直前には遠隔でパソコンの電源を起こして配信を再開させ「人生乙」というコメントで画面を埋め尽くした。 「しーマン来るだろコレ」「しーマン案件」などしーマンの出現を予測したり、「バイターはどうなんやろ」→「仕事しただけだし大丈夫じゃね」、「じゃコイツは?」→「コイツはダメ」としーマンの判断基準を知ってるかのような発言をしているため、『彼らによって消されるか否かの判断が下される』という考察もあるが両者の詳しい関係は不明。 &color(lightgrey){「ふざけたノリで他人の人生を勝手に終わらせようとしてくるあたりも現代っぽい」といった意見も。} 「あそこの業界マジで洒落にならんから」「あんな話公共の電波に乗せられんわな」など裏バイト業界にもある程度精通しているかのようなコメントも見られる。 **荒木源一郎 #center(){&bold(){もう少しで、&color(red,black){私}の頭脳は神の領域に達する。} &bold(){馬鹿が障害になどなるものか。}} 実験助手のエピソードで登場した怪異。 正確には「荒木源一郎」を名乗る存在であり、真の名称は不明。 [[某有名映画>バック・トゥ・ザ・フューチャー]]のドクにそっくりな老年男性で、何度も[[ノーベル賞]]の受賞経験がある超優秀な研究者。 その正体は&bold(){&color(red,black){他者の肉体に自分の自我を移送し、乗っ取ることで生き永らえてきた存在。}} 自身の知能・知識・知性に絶対的な自信を持つと同時に強く執着しており、約1000年もの間に9人もの若くて健康な肉体を乗っ取っている。己の乗っ取ってきた人間を「低脳」「バカ共」と侮蔑するなど性格は傲慢そのもので、犠牲者の成れの果てである干し首をネックレスにして身につける悪趣味な面もある。 図抜けて知性が高い上に人間社会へ溶け込んでいる点も含め、悪辣かつ危険な怪異と言える。 #openclose(show=そして現在の肉体の加齢から、10人目の肉体を選定すべく裏バイターを募集した。){ 若さや健康面に加え、乗っ取りに感づかれなさそうな頭脳面も重視していたのか主人公2人は不採用となる。 そして誰が採用されたのかというと、あの&bold(){&font(#ffb74c){橙}}。「&bold(){自分で考える知能すら持ち合わせていない}」点が採用ポイントになったようだ。 荒木の乗っ取りの手段は、&bold(){&color(red,black){「電脳イス」}}という2台の椅子型装置を用いたもの。受信用の椅子に座らせた被験者の脳が「受け皿」として使えるよう調整を重ね、それが済んだら送信用の椅子に座った荒木の人格のコピーを被験者に移送して肉体を乗っ取る仕組み。 計画は順次順調かと思いきや、実験中に橙がやらかした致命的ミスが発覚したことで実験は失敗。約1000年もの間人々を食い物にして積み上げてきた自慢の知性・自我を&bold(){&font(#ffb74c){橙のそれに上書きされる}}という、因果応報の&s(){惨すぎる}末路を迎えた。 ノーベル賞級による千年の叡智も同時に消失するも、荒木本人は既に頭が橙レベルなのである意味幸せそうなのが救いといえば救いである。 なお、よりにもよって宿主として橙を採用した点については読者たちから&bold(){「橙を採用した時点で賢くないな」「こいつの頭の悪さはあんたがコントロールできるレベルじゃねーんだ」}とボロクソにこき下ろされている。 そして、初登場時の橙を乗っ取りかけたマザー・フィッシュはまたもや株を上げる形になった。 このエピソード内と『ちょい足し』にて荒木視点から見た橙も描かれたが、一部の怪異からすれば橙は&bold(){理解不能な言動をする怪異}そのものに見えるようだ。&s(){あながち間違いとは言い切れない。} } ***干し首 #center(){&bold(){「荒木の言う事を信じるな」} &bold(){&color(red,black){ニゲテ}} &bold(){「このノートが荒木の雇う助手の目に触れることを祈る」}} &bold(){&color(red,black){荒木による乗っ取りの犠牲者たちの成れの果て。}} 見た目は皺くちゃになった、手とほぼ同じサイズによる人間の頭部。肉体を乗っ取られただけでなく荒木により数珠繋ぎにされ、ネックレスにされるという&bold(){尊厳も何もあったもんじゃない扱いを受けている。}%%干し柿%% 荒木の首の真後ろにいる個体だけは&bold(){未だ意識を保っている}ようで、声を出したり血涙を流したりといった反応を見せる。 真後ろの個体は荒木による乗っ取りの犠牲者が増えるのを望まず、こっそり声をあげて橙に逃亡を促すも、荒木から聞かれてしまい眼球を指で潰された。 結局、最後まで橙には生きた人間とは認識されなかったものの、紆余曲折あって荒木の野望が潰えた際はこれ以上犠牲者が増えないことに安堵しつつ、橙に&bold(){「アリガトウ」}と感謝を述べた。 **スーパーマーケット #center(){&bold(){「怪人」とは一体なんなんだろうね。まあ、あれの敵には違いない。} &bold(){「怪人」に関わりすぎると、あれに敵視される。} &bold(){そう、「あれ」…「あれ」に皆、} &bold(){&color(red,black){スーパーマーケットに、支配されている。}}} スーパーマーケット店員のエピソードで登場した怪異。 分類としてはおおいなるものと同様に&bold(){「強大すぎて全体像がはっきり見えない怪異」}に該当し、本編でも得られる情報が限定的だった。 この怪異自体、&bold(){通常なら}人間に何か危害を加えるような存在ではない。 では何をしているのかというと、&bold(){人間の支配}である。 人間は生活するため役割を果たさなければならない。 自分あるいは家族のために日用品や食材をスーパーなどで買い、食事を作り、掃除洗濯をする。 当たり前すぎて自覚がないものの、生きていく限りこの日常のルーティーンからは逃れられない。 この絶対に逃れることのない&bold(){&color(red,black){「日常という名の檻」}}へ人間を閉じ込め、飼育する存在がスーパーマーケットなのだ。 …つまり、&bold(){『スーパーマーケット』という施設そのもの}が怪異の正体といえる。 作者によれば、スーパーへ通う客は&bold(){&color(red,black){奴隷}}でありどれほど怪人が殺人を犯しても客足が途絶えることはなく、警察であろうが抑止するのは不可能のようだ。 繰り返すが、閉じ込められている人間にこの怪異自体が何かをすることはない。 だがこの支配に気付いて&bold(){「[[無限に繰り返され続ける日常の牢獄>カール・クラフト=メルクリウス]]からの解放」}を願った、言わば反逆者には容赦しない。 凄まじい力で引き裂かれ、望み通り日常から&bold(){&color(red,black){(物理的に)解放されてしまう。}} また怪人に接しすぎた場合や、日常の檻の存在を自覚してしまった者も攻撃の標的にされるため、一度トリガーが引かれれば極端に危険度が上昇。 こうなると一刻も早くスーパーから逃げ出さなければ、スーパーの手で殺害されてしまう。 また、「檻」という言葉に関連してかこの話全体を通して&bold(){格子状}のコマ割りが多く見られる。 ***&bold(){怪人} #center(){&bold(){やっべ!! わかっちゃった!} &bold(){解放されたんだね。} &bold(){「怪人」は皆のヒーローだったんだ。「怪人」は沢山いる。}} 奇妙な仮面と[[マント]]を身に着けた怪異。 &bold(){スーパーの店内にてあの手この手で人間を惨殺している犯人}だが、この怪異自体にユメの嗅覚は反応しなかった。 つまりこれは、人間の意に反して命を奪うような怪異ではないのだ。 では何が目的なのかというと、&bold(){人間の解放}である。 作中のセリフによると前述のようにスーパーマーケットの支配に気付き、日常から解放された者が怪人へ変化する。 真実を教えてあげたいと怪人が願う者の前へ付き纏うように現れ、詳細は不明なのだが何らかの方法でスーパーマーケットの支配に気付かせ、解放された者が新たな怪人へと変貌。 &bold(){&color(red,black){客を猟奇的に惨殺して休業へ追い込むような嫌がらせ}}へ励むようになる。 もしも支配されたままであっても日常の中で暮らすのを望むなら、怪人には一切関わらずスーパーマーケットから敵視されないようにするしかない。 その仔細や心情はスーパーマーケットの店員にすら理解されておらず、スーパーマーケットの敵という認識しかされていない。 ちょい足しによれば、客を小間切れに解体するなどして惨殺していた理由は&bold(){「(ヒーローとして)スーパーマーケットへの嫌がらせのため」}とのこと。 &bold(){「[[青鬼さん>青鬼(フリーゲーム)]]みたいなものなのでしょうか」「解放希望者のみ解放してくれますよ。こう書くと公務員みたいですね」}とは作者の談。 **グリュムフリート #center(){&bold(){郷愁に誘われてここまで来たクチかの? 若者よ、そんなものは幻想、} &bold(){偽物なのじゃよ。} &bold(){ノスタルジーとは&ruby(・・){そこ}に引き込むための甘い餌に過ぎんのじゃ…}} 公園管理員のエピソードで登場した怪異。 〇〇県の南黄公園に巣くっており、成人男性を悠に超えるサイズの頭部と枝分かれする触手状の無数の口吻を備えた&bold(){&color(red,black){怪獣のように巨大な[[蚊>カ]]の化け物。}} 作者曰く&bold(){「お馴染み蚊の王」}。 普段は公園内にある異界(作者曰く&bold(){「キングゾーン」})に潜み、18時になると公園内にいた人間をキングゾーン内に攫い神隠しに遭わせる。 こうして攫った人間たちの頭に口吻を刺し、&bold(){人生を狂わせる麻薬成分}((作者によると、蚊が血を吸う際に分泌する麻酔作用のある唾液のグレート版らしい。))を脳へ分泌しながら&bold(){&color(red,black){「血どころじゃない何か」}}をチューチュー吸い続けるという。 麻薬成分を分泌されトリップ状態になった人間の夢は、キングゾーン内の全員が共有可能。 夢の中では己の思い描く理想の未来や姿を体感でき、こうして犠牲者たちは理想の夢に溺れながら&bold(){&color(red,black){現実では蚊の生き餌となり続ける。}} 存在が一切知覚できない訳ではないらしく、現実世界でもチラチラ黒い枝のような触手状の口吻が顕現し、公園の人間を狙っているかのような演出がなされている。 また、キングゾーン内は「&bold(){黄金に輝く場所」}と形容される強烈なノスタルジーを体験させる作用があり、ノスタルジーに囚われて同じ体験を求めた者はたとえ生還したとしても郷愁を求め、再度キングゾーンに向かってしまうケースもある。 キングゾーンから逃れるためには新しく餌になりうる人間が18時に公園へ足を運ぶしかなく、いくらノスタルジーに吞まれなくても条件を満たさない限りキングゾーンからは永遠に出られなくなる模様。 &bold(){「ずっといると帰れなくなる」}らしいが、厳密には「ずっといると(蚊の王の餌食になり)帰れなくなる」と表現するのが正しい。 ちなみに名前も含めた生態は一切本編では解説されておらず、そういった詳しい生態が明らかになったのはちょい足しによる解説から。 **人魚 #center(){&bold(){「この動物の被り物してりゃさ、人間がやったってバレないんだよ。} &bold(){だから人魚の呪いを受けない」} &bold(){「でも、なんかそれって卑劣じゃね?」} &bold(){「卑劣? そんなん人間の価値観の話じゃん。} &bold(){&color(red,black){人間じゃねえし、コレ」}}} 仲買人のエピソードで登場した怪異。 外見的にはフィクションの「人魚」にほど近く、女性的な表現が成されている。 「人魚の肉を食うと不老不死になれる」として富裕層に大変人気があるらしく、地下の専用の卸売市場にて取引されている。 買い取られた人魚は様々な方法で調理され、金持ちに振舞われているらしい(劇中では活け造りの様子が描かれていた)。 ただし人魚に関わった人間には「人魚の呪い」が掛かり、変死を遂げるとされている。 呪いを受けないようにするには「人間が人魚を殺した」のがバレなければいいと言われており、そのため地下の仲買人は全員動物の被り物を着用している。 #openclose(show=でも、ありゃ嘘だ。){ だが、実は人魚の呪いが掛かるという情報からしてガセであった。 ついでに言うと肉には不老不死の効果もありはせず、扱いとしては&bold(){超高額で売れるレアな魚}でしかない。 死んだ裏バイターは、&bold(){&color(red,black){染み付いた人魚の臭いを目印にして追ってきた人魚に復讐として殺された}}のである。 なので動物の被り物にも意味はなく、裏バイターを安心させるための口実に過ぎない。 ちなみに女性の方はオーソドックスな人魚の姿だが、男性側の方は人間らしい四肢を備えた屈強な半魚人のビジュアル。 尋常ならざる嗅覚を持ち、同族の匂いがついた人間を標的にストーキングして奇襲を仕掛けられるのが特徴。 業者は「染みついた匂い」に反応して襲ってくることを予め知っていたため裏バイターを雇って取り引きを行い、地下には行かない自分たちは絶対に安全だと考えていた((前述した活け造りの職人も、血を絶対に付着させないよう捌いており匂いの件は熟知していた模様。))。 対処方法としても風呂へ入り徹底的に匂いを落とすだけでいいが、長く続ければ続けるほど匂いが染みつくようになり危険度が跳ね上がると思われる。 しかし業者は一つ、重大な思い違いをしていた。 それは人魚が他の魚と同様、いつまでも狩られる立場に甘んじているということ。 &bold(){&color(red,black){人魚が人間自体に復讐を始める}}など想像もしていなかった。 その思い違いとは裏腹に、夥しい数のメスを殺され怒りに燃えるオスの人魚たちが大群を率いて上陸を始めたのだった…。 彼らは「裏バイターたちに染みついた仲間の匂い」でなく、「&bold(){人間の匂いそのもの}」を覚えてしまった可能性が示唆されている。 …とはいえ、マダライツヅやりんごちゃんのエピソードの描写・設定や脅威ではあるが「物理的」な範囲を出ないこと、メスとはいえ狩り方が確立されていることから相応の死傷者は出ただろうが、撃退されたものと思われる。 } **肉皮剥離薬 テーラー(販売スタッフ)のエピソードで登場したオカルト薬品。 MTKコーポレーションというベンチャー企業が開発したものでこれを服用すると、僅か数十秒で全身の皮がまるで[[バナナの皮]]を剥くようにベロンと剥がれるという意味の分からない代物。皮を剥がれる時に痛みを感じる描写は無いものの、筋肉が露出したことによる単純な痛みはある模様。依頼元のテーラー渥美はこの薬で剥いだ皮で後述の「スーツ」を作っていた。 ***麗賓倶楽部 テーラー(販売スタッフ)のエピソードで登場。 最初に断っておくが、これは何の怪異要素も無いただのセレブが集う会員制の倶楽部でしかない。入会には会員の推薦が必要。 女性専用という訳ではないようだが、作中に登場する会員は女性ばかりだった。 この倶楽部は一見するとアパレル業界の人間が集う集会なのだが、外部からは「変態倶楽部」とも呼ばれている。 その理由は麗賓倶楽部が扱っている製品にある。 ここでは&bold(){人間の皮}を使った製品が数多くお披露目されている。 入り口にある虎の皮の敷物ならぬ人間の皮の敷物に始まり、人間の顔を丸ごと使った椅子なんてのもある。&s(){つまりこれに座ると顔面騎乗状態になる。} その中でも最も重要な商品は「スーツ」。 スーツといってもサラリーマンが着ているようなスーツではない。 前述したように麗賓倶楽部の製品は全て人間の皮が使われている。つまり麗賓倶楽部のスーツとは、&bold(){人間の皮を丸ごと剥ぎ取って}テーラー渥美で仕立てたもの。 倶楽部は一見すると若い女性ばかりだが、実際の会員は大多数が老人。 老人は若い女性の皮でできたスーツを身につけることにより、若々しく美しい姿となっているのだ。 人皮をスーツに改造するにはかなりの技術力が必要だが、スーツ製作をテーラー渥美のオーナーが請け負ったことによりスーツは&bold(){「人皮スーツ」}として売り出され一気に広まった模様。 ...つまり&bold(){&color(black,red){スーツ生産のため相当数の犠牲者がいる}}ことになるのだが、劇中ではそちらに関する言及はない。 加えて犠牲者の存在も倶楽部の権力によって揉み消されているためか、犠牲となった人々の存在は表沙汰にはなっていない。 寧ろ嗜好品感覚で人間の皮を愛好しつつ消耗しているため、彼らにとって一般人の犠牲など他の動物から毛皮を剥ぐのと何ら変わらないのかもしれない。 **オサダ #center(){&bold(){これが…お前の作りたかったホテルか? 長田…}} ホテル従業員のエピソードで登場した怪異。漢字表記だと「長田」になる。 ホテル黎明の3階を根城にしている死霊で、特性としては黒黒ビルの悪霊たちと限りなく近いものがある。 生前は別のホテル経営者の一家で、ちょび髭で七三分けの夫が「ホテルは従業員も客も一つの家族となるのが理想だ」としてアットホームなホテルの経営を目標としてきた。 だが理想だけではどうにもならなかったらしく経営が立ち行かなくなり、当てつけのように[[ライバル]]だったホテル黎明の309号室で一家心中を図った。 以降は部屋に居座る地縛霊と化し、&bold(){&color(red,black){309号室に入った人間を首吊り自殺させる悪霊}}へと変貌した。 このせいで309号室では宿泊客の自殺が相次ぎ、宿泊客がいなくなると今度はフロントにコールを掛けて従業員を部屋に呼び寄せ自殺させていく傍迷惑な行為を繰り返すようになった((結果ホテルは3階自体を閉鎖し、裏バイターを雇って形だけの供養を行い犠牲者が出るのを防ぐ対処を余儀なくされた。))。 一応309号室に入りさえしなければ呪い殺されたりはしないものの、3階に足を踏み込めば最後、思考と認識が操られ自発的に309号室へ入ってくるよう仕向けてくるため、ユメのように視覚以外で危険を察知する術を身に着けていないと難を逃がれるのは難しい((一応主人公2人以外にも生存者はいた。))。 もし309号室に立ち入ってしまえば即座に首吊り自殺させられ、死後はホテルの宿泊客として3階へと縛られ続け&s(){たまに変なポーズを取らされ}る羽目になる。 このせいでホテル黎明の3階は&bold(){長田によって不法占拠された}といっても過言ではない。 ちなみに自殺者が出た直後は一時的に無害となるため立ち入りは可能。自殺者の死体の掃除目的ならば呪いの対象から外れるらしい。 #openclose(show=俺の負けだ。長田。もう、終わりにしよう。){       #center(){&bold(){愛してるんだ津村。} &bold(){もう自分の気持ちに嘘はつけない。} &bold(){僕を受け入れてくれよ。}} 実は全ての元凶である長田は同性愛者で、ライバル経営者の津村を深く愛していた。 だが津村はその片想いに応えることはなかった。 津村とは正反対のホテルを目指したのも、子連れのシングルマザーと結婚したのも(津村は独身)、津村のホテルで一家心中に及んだのも全て当てつけだった。 309号室に入った者を自殺させていったのも、己の理想とするホテルを実現させるため。 実のところ、長田の呪いが作用するのは&bold(){3階各部屋に定められた定員が埋まり満室になるまで。} 主人公2人の裏バイトが終盤に差し掛かったあたりで3階はほぼ定員に達しており、その時点で第三者に対しては無害になっていた(そのためユメの異能も反応しなくなった)。 だがユメは気付いていた。 309号室だけ、定員には1人足りないのを。 …実は最後の1人は予め決まっていたのだ。長田は、廃墟となったホテルでその最後の1人を待ち続け… } **手長逆首様 #center(){&bold(){&color(red,black){ギリギリギリギリギリ}}} 引っ越しスタッフのエピソードで登場した怪異。名前はちょい足しで判明。 その名の通り異様なほどに長い腕を持つ女の霊のような姿を持ち、常に首が180°逆を向いているのが特徴。 当人(?)は後ろ向きのままでも何ら行動に支障はないようだが、ユメ曰く万が一顔を見てしまうと&bold(){「良くないことになっていた」}という。上記の「ギリギリ」というのは首を捻る時の音。 アンバランスな体格に反し身体能力は高く、引っ越しトラックを飛び跳ねて追いかけたりと身体を張っていたのだが、格闘能力の高い金には&bold(){概ね押されっぱなしで一度反撃を食らわせた以外は基本ボコボコにされていた}若干可哀想な怪異。 &s(){というか怪異に真っ向から互角以上に立ち向かえる金って本当に人間なの?} ただし一度狙った標的には&bold(){&color(red,black){延々と執念深く付きまとう}}のも特徴で、世界各国の何処へ逃げようと必ず追いかけて脅かしてくるため、人間が逃れるのは不可能。 「顔を見てしまった」ことがトリガーなのかもしれない。 **悪魔? #center(){&bold(){&color(red,black){我は臓物を喰らふ悪魔也。}} &bold(){&color(red,black){絶望せよ。貴様らは混沌に包まれる。}}} 同じくマンガワン掲載作品『翼くんはあかぬけたいのに』とのコラボであるカフェ店員のエピソードで登場した怪異。 片方が欠けた二本角と鋭い牙を持つ。 実を言うと本編を読んだだけでは「怪異らしい」ということが何となく分かる程度で、特性も危険性も謎のまま。 作中では終盤まで、元サタン系ヴィジュアルバンドのボーカル兼リーダーであった店長・赤木健二のコスプレ姿だと認識されており、ユメも匂いを感じておらず店長に当たりの強い従業員((小早川さゆり。原作でも主人公2人と劣らないレベルの美人で、ドSな言動・行動とは裏腹に健二には密かに想いを寄せている。))からは何度も蹴られていた。 「黒キ儀式」「10年の時」という台詞から、正体は恐らく健二本人の組んでいたバンドが10年前の初ライブにてパフォーマンスとして実行していた&bold(){「ガチの悪魔召喚の儀式」で顕現した存在。} 上記の通り最初は健二が悪ノリしているだけと思われていたのだが、悪魔崇拝者を思わせるローブを纏った客が続々と来店して彼を取り囲み、黒ミサのような祈りを続け段々と顔が異形と化していった。 また悪魔を囲んでいたローブの客たちも、実際は幾つもの目らしき器官を持つ異形の存在であった。 信者(?)たちに向けて「この日を以て、人類は滅亡する」と宣言するも、100年近く経ってもまだ人類を滅亡できていない前例があるのでぶっちゃけそれだけの力があるのかどうか未知数。 終盤に「&ruby(ももこ){子供}&bold(){(シェアハウスで同居している女子高生であり実娘ではない)}が腹を下した」と本物の健二が遅刻してきたため別人であることが判明し、その後は&bold(){不審者として警察に連行された。} なお、ちょい足しで作者が明かしたところによるとユメの異能が反応しなかった理由は&bold(){「ユメちゃんサーチにも引っかからない雑魚っちゅ悪魔」}であったため。 &s(){そのザマではやはり人類滅亡は無理だろう。} **&ruby(ますらおに){益荒鬼} #center{&bold(){花火大会は、「反転式」だという。} &bold(){忌まわしきモノを封印する儀式の真逆の手順らしい。} &bold(){何か、封じられていた恐ろしいものを、} &bold(){解き放つための儀式だと。}} 花火大会準備スタッフのエピソードで登場した怪異。 江戸時代に益荒村で流行し&color(#F54738){頭部が崩壊し死に至る病}とされており、数百人の死者が出た。 そのため疫病退散と慰霊として200年前から始まった&color(#F54738){益荒川花火大会}によって病はピタリと止まっており、花火の効果があった模様。そのため200年間欠かさずに花火大会は続いている。 だが益荒川へ花火を運ぼうとすると、その途中で事故に遭ったり運転手が道を間違えて異なる方向に行ったりなど何らかの妨害を受けてしまう。また、会場となる河川敷には花火大会開催を拒絶する、おかっぱ頭をした着物姿の子どもたちの霊が出没している。 しかし今回は主人公2人と茶々のサポートによって、益荒川へ花火の運搬に成功し無事に花火大会は開催される運びとなった。 #openclose(show=うわぁぁぁぁやめろぉぉやめろーやめろーやめろー!){ #center(){&bold(){ぱんっ}} #center(){&bold(){…? 花火…?}} #center(){&bold(){&color(red,black){ニヒッ ギャハハハハハハハハ!}} &bold(){&color(red,black){ギャハハハハハ!!}} &bold(){&color(red,black){ギャ~ッハッハッハッハッ!!!}}} 実際は200年の間、花火大会など一度たりとも催されておらずそもそも益荒鬼とは疫病の類でなく&bold(){&color(red,black){見たものの頭部を破裂させ殺害する怪異}}であった。 その正体は&bold(){空に浮かぶ巨大な鬼の生首。} 200年前に花火へ封印されたものの、花火大会を開催しなければならないと人間を錯覚させて封印から解き放たれる日を待ち望んでいたのである。 花火大会の観客の前に解き放たれた益荒鬼により、その場にいた全員の頭部が花火の如く爆散。屍の山が積み重なる花火会場にて大勢の人々を無差別虐殺した益荒鬼は満足げにゲラゲラ嗤いながら、本エピソードは幕を閉じた。 なお、このせいで多くの犠牲者が出たものの作者は&bold(){「我らがQ様が揉み消すかもしれません」}と答えている。 } ***人身御供にされた子供たち #center{&b(){なにしにきたのお? ねぇ、なにしにきたの〜?}} 200年前に益荒鬼を封印するため生贄にされた子供たち。 みなオカッパの着物姿の少女で、河川敷に入るとその目的を訊ねて花火を上げることと知ると必死の形相で追い返す。 今回の大会開催の妨害も、益荒鬼の復活を阻止するため行なっていたことでこの作品には珍しく&bold(){純粋に人間への善意のみを以て益ある形で働く怪異である。} そのためユメの異能には反応しないが、本人たちは「花火大会を開いちゃダメ」としか口にせず真意が掴めなかったものの、益荒鬼の封印自体も非常に簡素なものでそれを壊そうとすると「良くないことが起こる」という感覚はあったようだ。 封印が解かれてしまったきっかけは茶々の発言であり、読者の中では彼女を訝しむ声も上がっていた。 **百葉箱 #center{&bold(){設置した場所の気温を測るためのものでね、} &bold(){温度計や湿度計などが入っている。} &bold(){普通はね。}} 百葉箱記録員のエピソードで登場した怪異。 辺鄙な山の中に3つ存在し、普通の百葉箱とは違い&bold(){異なる時間や空間}を観察するものである。そのため中には温度計や湿度計は入っておらず、それぞれ&bold(){「手」「12人の男女の写真」「自分」}が入っている。 この百葉箱の影響で周りの時空は歪んでおり、ユメが空を飛んだり和美が分裂するなど&s(){バグる}不可解な現象が起こる。 エピソードでは24時間百葉箱を1時間ごとに観察し、「手」「12人の男女の写真」「自分」に変化がないかを調べた。 #openclose(show=コレ、写真じゃないな。){ 12人による男女の写真の正体は、写真のように平面へ圧縮された百葉箱の観察者たちであった。百葉箱の周りは&bold(){空間の歪みだけでなく、時間という概念すらもなく}写真に圧縮された観測者たちは、&bold(){一切身動きもできず永遠にそのまま}である。 なお、百葉箱自体は見たものを写真のように平面に圧縮させる怪異ではない。ただ周りの時空を歪めるだけの箱である。 百葉箱を観察した者は皆平等に、百葉箱の中に入っていた「未来の自分」により&bold(){今すぐ逃げ出したくなるような恐ろしい未来}が待ち受けていることを知り、すぐさま異次元に逃げ出そうとして失敗し、写真のように圧縮されてしまった。 観察者は誰かが選んだ訳でもないのに皆平等に恐ろしい未来を見た、それはつまり&bold(){世界規模}と言っていいような恐ろしい事態が後に起こるのだろう。&s(){りんごちゃんは幸せに数十年の人生を送ることになるが…} } **樹海の怪異(仮称) #center(){&bold(){&color(black,#96C78C){パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ}}} &bold(){&color(black,#96C78C){黒岩案件・樹海捜索員}}のエピソードで登場した怪異。 仁田四村樹海に巣くう&bold(){&color(black,#96C78C){蓑虫のような赤ん坊}}というビジュアル以外、詳細は全くの不明である&s(){黒岩案件恒例の}怪異。 樹海で遭難してしまった青年の「滝沢純太」を苗床に成長していたようで、彼を捜索しにきた隊員を悉く自殺させてその死体を栄養源に成長していた様子。ちなみに苗床となった彼の腹部は妊婦のように肥大化し、腹部からは無数の臍の緒のような触手が伸びていた。 この怪異の干渉を受けると&bold(){&color(black,#96C78C){「ジュンくんを助けに行かなきゃ」}}という思想の下、森から垂れ下がる蔓のような臍の緒によって&bold(){&color(red,black){率先して首吊り自殺を図ってしまう。}} 今回に限っては&bold(){&color(red){回避・攻略方法が一切分かっていない。}}いつもの補足説明をしてくれるちょい足しでも&bold(){「樹海生誕」}としか語っていない。 &bold(){&color(black,#96C78C){純太を苗床にしていたモノ}}が産まれればその時点で影響下から逃れられ生存できるが、産まれない限りは確実に死ぬしかない。 おまけに、いつものユメの異能が全然反応しないまま完璧に術中へ陥っていた。つまり生存できるか否かは&bold(){過去の怪異含めてもダントツの運ゲー。} ただ、鞄やおおいなるものの性質から見るに「結果的に人間が不幸になる」タイプはユメの能力では感知できないようであるため、この怪異も悪意で人間を死へ追いやっている訳ではないと思われる。 そして、&bold(){&color(black,#96C78C){滝沢純太の姿となって生まれた「何か」}}は無事彼の家族と感動の再会を果たし、&bold(){やがて人間社会から失踪。} &bold(){&color(black,#96C78C){彼の家族を全員同じ苗床へと変貌させ、彼と同じように大多数の人間を養分にしていることを仄めかしつつ本エピソードは幕を閉じた。}} 余談だが、ユメはバイト先の仁田四村樹海に行く道中の記憶を完全に忘却してしまったらしく、&bold(){そもそも樹海捜索員の裏バイトへの参加自体が怪異の術中によるものなのかもしれない。} **スマイリー・ガウチョくん #center{&bold(){ガ~ウチョガ~ウチョガウチョく~ん} &bold(){みんなだいすきガウチョくん もっとわらってスマイル、スマイル} &bold(){&color(red,black){わらわないコは たべちゃうぞ~}}} [[おもちゃ屋]]スタッフのエピソードで登場した怪異。 「おもちゃの長嶋屋」のオリジナルキャラクターによる等身大着ぐるみで、真っ黒な体に巨大な目玉、耳まで裂けて巨大な歯が並んでいる口&del(){と妙に質感のいいプリケツ}を持っている。 正直言ってあまり可愛くはなく寧ろ不気味ですらあるのだが、子供たちには絶大な人気を誇る。 その人気はまさに社会現象といっても過言でなく、ぬいぐるみやフィギュア化は勿論のこと、ゲーム化・[[アニメ化]]・ドラマ化までされている。 また、ガウチョくんのぬいぐるみを近づけるとどんなにグズった子供もたちまち笑顔になるという。 #openclose(show=真顔で「アレ」の前に立とうとすると、凄くクサくなる。){ その実態は後述の店長が何らかの方法で生み出した怪異。 ガウチョくんは人を笑顔にするのを目的としており、&bold(){笑顔以外の表情を見せることは許さない。} もしもガウチョくんの前で笑顔を失うと(少しの間なら笑顔でなくてもセーフらしい)その巨大な歯で噛み砕かれて飲み込まれ、排便するかのようにぬいぐるみとして排出される。 またガウチョくんのぬいぐるみも異常性を持っており、このぬいぐるみを持っていると&u(){[[笑う以外の感情表現ができなくなる。>SMILE(ONE PIECE)]]} ただし逆に言えば笑顔でいればいいということなので、常に笑顔でいられる相手には何もできないのが弱点。 &s(){笑顔のユメたちに散々ぶん殴られて目を回しているガウチョくんはちょっとかわいい。} ***店長 #center(){&bold(){&color(red,black){もう、笑わなくてもいいよ。}} &bold(){&color(red,black){もう、楽しい事は何一つ起こらないから。}}} 「おもちゃの長嶋屋」の店長で、ガウチョくんを生み出した張本人。 実は本物の店長はおもちゃ屋が潰れた後で失意の果てに自殺しており、今いるのは誕生の経緯は不明だが長嶋屋のマスコットが自我を得て怪異化したもの。 生前の店長の意志を継いでいるのかあるいは意志が乗り移っているのか、人を笑顔にするのを生き甲斐としている。 強キャラ感ある前述の台詞とは裏腹に、ガウチョくん同様笑顔のまま対処されると何もできず凶器を持った女性2人にあっさりボコられるほど弱い。 #openclose(show=主人公2人が逃亡後は行方を晦まし、同時にガウチョくんブームも瞬く間に収束した。){ その後、別のおもちゃ屋で今度は「ファンキー・ポンキーくん」なる怪異を生み出して活動を再開。 このファンキー・ポンキーくんのぬいぐるみはガウチョくんのぬいぐるみよりアップデートされており、これを持っていると&bold(){笑う以外の感情そのものがなくなってしまう。} おそらくガウチョくんのぬいぐるみと同様、不特定多数の子供たちの下へ届けられることになるのだろう。 }} **スター・マン #center(){&bold(){今のきみはなんにだってなれるし、どこにでも行ける。} &bold(){だって、今のきみは、} &bold(){肉体という枷から解き放たれた、誰よりも自由な存在だから。} &bold(){さあ、行こう。} &bold(){ぼく達の使命を果たしに…}} 天体観測のエピソードで登場した怪異。 十津能平原の上空でのみ観測でき、人間のような形状を模っているが&bold(){その実態は無数の小惑星らしき物質で構成された異形の存在。} 人型ではあるが物理法則を軽く無視した動きが可能で、&bold(){天体望遠鏡に映った木星の背後で木星と同じサイズの顔を覗かせたり、数多の観測者たちの視線をくぐり抜けて一瞬で地表へ降り立ったり}と、その行動はもはや人間という枠組みを超えている。 さらにこのスター・マンを長時間観測し続けた場合、&bold(){スター・マン側は観測者が自分たちの同志になりたがっていると認識し、&color(red,black){その人間を自分たちと同じスター・マンに変えてしまう。}} スター・マンと化した人間は元の肉体が溶けるように消滅し、小惑星の集合体のような肉体へ生まれ変わり、他のスター・マンと同じように宇宙へと旅立っていく。 なお、観測し続けた人間にはスター・マンが「返事」をしてくることがあるものの、常人がその声を聴くと発狂して&del(){宇宙ジャンボ餃子理論を唱えるようになって}しまう。 ただし、スター・マン側からすればこれら一連の行動は自身らと同じ目的を持った同志を募っているに過ぎず、悪意を持った怪異ではない。 後述する行動原理を踏まえれば、本作では極めて珍しい&bold(){一貫して人類に友好的な怪異}だとすら言える。 時子はこのスター・マンの原理に気付いていたようで、雇用主を罠にハメて彼を「同志」に仕立て上げた。 #openclose(show=コレは警告だ。) { スター・マンの真の目的は、生身の人間では決して辿り着けない「宇宙の外側」に到達すること。人間が天体望遠鏡を使って観測=思いを馳せられる、その先へ到達するのを自らの使命としていた。 そして●●年後、「宇宙の外側」に辿り着いたスター・マンはそこで垣間見た光景と共に人類へ&bold(){&color(red,black){「宇宙の外側へ思いを馳せてはいけない」}}という警告を発する。 ただし、&bold(){&color(red,black){「アッチ」からこちらへはやって来ないという保証はどこにも無い、としながら…。}} ちなみにエピローグで和美がユメと話している場面で、空の彼方で小さく手を振っているスター・マンが確認できる。かわいい。 } **即売会の客 売り子のエピソードで登場した怪異。 アンダーグラウンドで行われているこの即売会は一見すると[[同人誌即売会]]と同じで、個人でブースを出店し品物を売買している。 だがそこで取り扱われている品物は当然[[同人誌]]などではなく、作中では「ヴァヴェボバ」なる商品が売られており、また客の1人は「ウィソジン」という品物を要求していた。 この即売会では客も売り子も被り物を着用しており、仲買人のエピソードと似通っているもあちらとは異なり&bold(){全ての客が人外の存在。} 人間の売り子は被り物を被り続けて人間であることはひた隠しにしなければならず、もし人間だとバレたらただでは済まない模様。 だが、本エピソードで&s(){よりにもよって}雇われたのが&bold(){言われた事を3秒で忘れてしまう橙}だったため、暑かったのも相まって何度も被り物を脱ぐのを繰り返し人間だと疑いを持たれる。 挙げ句とうとう素顔を晒したのだが、常人を超越した思考回路を持つ橙は&bold(){怪異と意気投合、}皆が素顔になり打ち上げで記念撮影するに至った。 そして橙を雇った雇用主は&bold(){怪異よりも橙に恐怖を抱いた。}多分読者も橙に恐怖を抱いている。 **薬品庫の幽霊 薬局スタッフのエピソードで登場した怪異。 大縄薬局の薬品庫に出没する女性の幽霊で、体つきや頭部の輪郭こそ普通だが顔のパーツが普通の人間とは逆さまに付いている。 特別霊感が強い訳でもない和美にも、まるで生きた人間であるかのようにちゃんと見える。 この幽霊を恐れているために主人公2人の雇い主である大縄明美は薬品庫へ入りたがらないが、どうやら明美には見えていない模様。 そして薬品庫に立ち入る2人には目もくれず、時折薬品庫を訪れる明美を恐ろしい形相で睨みつけている。 そして、薬品庫で寝ると幽霊に身体を乗っ取られるという噂がある。 #openclose(show=まるで明美に恨みでもあるかのようなのだが…?){ その正体は&bold(){明美の姉・愛華。} とは言っても明美は養子であるため、血の繋がりはない。 明美にとって義姉である愛華は何かしらの病を患っていたようで、父親(愛華の実父)は「Q」が開発した薬を使おうとしていたのだが安全を確かめるべく、&bold(){血の繋がっていない明美で人体実験を行おうとした。} だが異変に気付いた明美は、自分が飲むはずだったコーヒーを愛華に飲ませた結果、愛華は幽霊へと変わってしまった((その薬は人間を幽霊に変える薬らしいが、病気を治そうと幽霊になっては無意味なためおそらく薬自体が欠陥品だったと思われる。))。 幽霊=愛華が明美に執着するのはその恨みであろう。 薬品庫にしょっちゅう溜まる埃の正体は幽霊となった愛華の身体の破片であり、これを他人が服用すると姉の存在・記憶が希薄になっていき、やがて消失するという。 実子を幽霊にしてしまった父親は重圧に耐えきれず、客に出す薬へ破片を混入させて愛華のことを忘れようとしているが、明美はそれを許さずに時折雇う裏バイターを薬品庫で眠らせ、愛華に肉体を与えることで父親の記憶を保っている。 つまり、&bold(){幽霊が見えないように振る舞っていたのは演技だった}可能性が高い。 もっともこの実体化はおそらく一時的なもので、父親への執着がある限り明美は裏バイターを犠牲にし、愛華を実体化させ続けるのだろう。 } **大倉さん 警備保障会社スタッフのエピソードで登場した怪異。 とあるアパートを根城にしており、外見的には禿げ上がった全裸の中年男性といった感じ。 住民たちの間では昔自殺した住民である「大倉」の死霊と噂されている((アパートのオーナー・久利正志曰く「今まで『大倉』という名の住人は1人もいない」。))。 この怪異の影響か、アパートでは自殺者が絶えない。 荷物を荒らす、窓から入ろうとする、天井に張り付くなどの嫌がらせじみた行為を繰り返すかと思えば、突如として&bold(){金銀兄弟をまとめてワンパンする}など、その行動には謎が多いが…? #openclose(show=「いっつもそう。弱い人は、いっつも餌にされちゃうの」){ 本来の呼び方は「&bold(){大喰らいさん}」であり、大倉さんというのは間違って伝わった呼び方が定着したもの。 その本質は&bold(){「恐怖を煽り、食らう」}&s(){かなりのクチャラーな}怪異。 この恐怖心とは何も大喰らいさんに向けられたものである必要はなく、ほんのわずかな不安や恐怖を抱いただけでも獲物にされてしまう。 大喰らいさんの行動はあくまでもそれだけであり、直接危害を加えることは基本的にせず、自殺者も全て恐怖に耐えかねて自ら死を選んだに過ぎない。 しかし裏を返せば「恐怖を煽る」という目的のためには瞬間移動、ポルターガイスト、ドアを閉ざす、影から語りかける、金銀兄弟をも上回る暴力を見せつけるなど&bold(){万能}とすら呼べる能力を発揮する。 餌場を惜しむ気持ちがあるのか、新たな住民が入ると最初のうちは加減した嫌がらせを行うが、次第に&bold(){我慢できなくなり}相手を自殺にまで追い込んでしまうらしい。 ただし、自身に対して全く恐怖を抱かない相手には興味を失い、姿を消してしまう。 金銀兄弟に一撃で重傷を負わせたものの、恐怖どころか怒りで我を忘れた銀の猛反撃を受け(おそらく恐怖を抱かない相手だと判断し)消滅している。&s(){やっぱりコイツらどうかしてるよ} #openclose(show=「ブラボー! ブラボー!」){ 実はこのアパートには隠しカメラが仕掛けられており((前編で金が隠しカメラに気付く描写がある。))、住民や主人公2人及び金銀兄弟の行動も全てリアルタイムで中継されていた。 その目的は&bold(){賭け。} 大喰らいさんの行動は、[[カイジ>賭博黙示録カイジ]]にでも出てきそうな上級国民たちが「どの住民が生き残るか」に賭ける&bold(){「一大『裏』エンターテイメント」}となっていた。 &s(){この世界の上級国民はどいつもこいつもろくでもないやつらばかりだ。} しかし… #openclose(show=「この人は…不安じゃないのかね。ただの人間にすら見つけられたのに、カメラを通じてこっちの存在が大喰らいさんにバレたら、今すぐにでも…なんて、心配しすぎ」){#center(){ &font(b,50){か} &font(b,50){クチャクチャクチャ ゴクン} }} } } **神の御国へ赴く会 探偵助手4のエピソードで登場した怪異。 喜多区に位置するとある廃ビルを根城にしている死霊の集団で、生前は神の国──つまり天国へ行くことを最終目的としたカルト教団だった。 「儀式がうるさくて近所から苦情が殺到した」「勧誘が強烈だった」とのことだが、この辺りのことは本編では詳しくは語られていない。 ある日に突然信者と関係者全員が失踪してしまい、ビルには人型の黒いシミだけが残された。 以降はこのビルに立ち入った者──それが男性ならば女性信者によるハニートラップで、女性ならば記憶から作り出した幻覚によって惑わし、仲間に引き入れようとする。 魅入られた男性にはこの廃ビルが美しい女性の待つ豪勢なマンションに見えるのだが、第三者から見たら何も無い廃ビルで誰もいない空間に向かって独りごちているようにしか見えず、女性との通話も&bold(){地獄の底から響いてくるような苦しみの声に混じった「死ね死ね死ね死ね死ね」「お前もこっちに来いぃぃ」という禍々しい絶叫}にしか聞こえない。 八木の友人である大山は「信者たちは間違って地獄に行ってしまったのではないか」と予測しており&s(){また地獄か、本当にいくつ地獄があるんだ…}、作中の描写を見るに神様として崇めていたものが実は悪魔で、まとめて地獄に連れ去られたとも推測できる。 魅入られた犠牲者も最終的に地獄へ連れ去られるようだが、幻覚を打ち破るかあるいは誘惑が届かないほど遠くへ逃げることで、難を逃れられる。 作中の依頼主であった女性の旦那も、廃ビルに容易く近づけないほど遠くへと引っ越したため誘惑を断ち切ることができた。 &font(#ff0000,u){&font(#ffffff){確かに逃れることはできた、怪異からは。…とはいえ、真に恐ろしいのは怪異だけではなかったのだが。顛末を見た男性読者は股間がキュッとなったことだろう。}} **置物(仮称) #center(){&bold(){&color(#FEDCBD,#000000){フム…では、やはり父の死因はこの置物にあるのかも…}}} 遺品整理のエピソードで登場した人形。元々は八木さんや赤川さんの&bold(){実父}であり、&bold(){&color(red,black){牛の腹の中からその遺体が発見された}}&bold(){赤川貴明}氏が生前蒐集していた呪具の1つ。 「笑みを浮かべながらマッスルポーズを取っている擬人化された齧歯類」というマスコットじみた外見とは裏腹に危険度の高い代物であるらしく、かなり早い段階からユメの異能が反応していた。 マスコット系の見た目で危険度が高いという点から、スマイリー・ガウチョくんを連想した読者も多かった模様。 …しかし、今回のエピソードは八木さんの&s(){競馬との出会い}過去に焦点が置かれていたせいか&bold(){詳しい性質は一切判明しておらず、上述した父・貴明の不可解な死も「関連があるだろうと思う。しかし、それ以上のことは分からない」と、この呪具によるものだとは明言されていない。} 作中では早々に発見された直後こそ普通の置物らしく振る舞っていたものの、ユメハマコンビが見ている前で&bold(){&color(red,black){徐々に口角を吊り上げ、やがて大口を開けてガタガタと激しく震え出した}}…時点で危険を察知した2人はその場から逃走。 後日戻って来た時にはこの置物だけが&bold(){&color(red,black){何故か忽然と姿を消しており、}}結局&s(){正体不明の呪具が野に放たれて}謎は解明されないまま本エピソードは幕を閉じた。 補足すると、同エピソードでは「裏」は誰にも理解もコントロールも征服もできない「無敵の存在」であり、八木さんはそこに憧れると同時に惹かれているという点が強調されている。 それを踏まえると謎に包まれたまま消えたこの置物は、謎だらけであることにこそ意味があるのだろう。 **ドリーミン・フラワー 花屋スタッフのエピソードで登場した怪異。 フラワーガーデンSAGA近辺の店長・佐賀が個人的に入手した珍しい花。 この花を置いておくと何故か全ての花が枯れてしまったのだが、不思議なことに翌日には花が元通りになっていた。 そして、まるで花を恐れているかのように雇ったバイトは次々に辞めてしまっている。 その実態は「願いを叶えてくれる花」。 …とは言っても何の代償もなしに願いを叶えてくれるような都合の良いものが裏バイトワールドに存在しないのは周知の通りであり、願いを叶えるには人間を生贄にする必要がある。 #openclose(show=作中では主人公2人ばかりか茶々、八木さんまで生贄にされてしまい、代償を捧げた佐賀はかねてから想いを寄せていた大学の同級生である相馬と晴れて両想いになることができた。){ 確かにドリーミン・フラワーは願いを叶えてくれる花である。 ただし、&bold(){夢の中で。}つまりエピソードの大半は佐賀の見ていた夢だったのだ。 本来、夢とはその人が知っている人や物しか出てこないものだが、ドリーミン・フラワーの見せる夢は言わば「最も起こる可能性の高い現実のシミュレート」であり、その人が知らない物事まで登場する可能性がある。 正直言って、本エピソードはどこまでが夢でどこからが現実なのか非常に曖昧となっている。 それでも作中の&bold(){&color(#FEDCBD,#000000){「面識のない私やユメ君、和美君なんかも登場していたかも知れないな」}}というセリフから推測すると、そもそも主人公2人が花屋でのスタッフ業務にあたっていた時点からして夢だった可能性が高い。 そして、台詞から推測される本来のバイトの目的はおそらく「行方不明になった佐賀の捜索」。 エピソード終盤で佐賀は巨大な人面花となった姿を見せ、過程は不明だがどうやらドリーミン・フラワーに取り込まれてしまったようだ。 つまりドリーミン・フラワーとは願望を抱く人間を取り込んで幸せな夢を見せ、第三者に対しては無害という比較的安全な怪異である。 #openclose(show=ドリーミン・フラワーを…どこで手に入れたかって?){ 八木さんが調べたところによると、ドリーミン・フラワーは業者経由で佐賀に売りつけられた模様。 「いつもの仕入れ先」ではあったらしいが、いつもと違い初めて見る顔の人から「売り先は佐賀さんがいい」とこの花を渡されたらしい。 #center(){&bold(){&color(#FFFFFF,#000000){ん? ああ、そうだな、くれた人間は初めて見る顔だった。}}} #center(){&bold(){&color(#994c00,#000000){こう、前髪の&color(#FFFFFF,#000000){真ん中のトコだけ…}白い女だ。}}} }} **気体 探偵助手5のエピソードで登場した怪異。事故、殺人、その他変死事件が&bold(){あの裏バイト世界}の中でも &bold(){&color(red,black){他地域と比べ群を抜いて頻発している危険地帯}}「〇〇県東弥市 工業地区」を漂っている。 このエピソードも遺品整理のエピソードと同様にユメの義母である黒嶺弥生の謎に重点が置かれているため、この怪異についての説明はほとんどない。 東弥地区には&bold(){見えているのになぜか一向に辿り着けないアパート}や&bold(){ゴウンゴウンと音を立てながら謎の製品を製造し続ける工場}など不可思議な建造物が見られるほか、&bold(){黒嶺弥生}について探る者を住民が一丸となって排除((追放や無視などの生易しいものではなく拉致、時には殺害をも辞さない構えを取っている。))しにかかるなど明らかに普通の地域とは思えない点があるも、怪異との明確な関連性は明かされておらず 気体について作中で判明していることは ・街の中心の工場の煙突から排出される ・人間の口と鼻から体内に侵入する ・体内に侵入した人間を操れる ・複数種存在する ・気体毎に独自の意思を持っている(と推察できる) 精々この程度である。 操られた人間は目や口から黒い煙を吐きつつ人並み外れた力を発揮するようになる。金銀により多対2の状況でも制圧された((中盤の操られていない状態では一方的に金銀に制圧されたのに対し、操られていた終盤では銀をキレさせる一撃を入れる者もいたようなので戦闘能力自体は格段に上がっている。))ので一応人の範疇は越えていないようだが、一般人からすれば十分に脅威。 工場で何が作られているのかは誰も知らず、その謎を解明しようとした男の前には巨大な目玉が現れたが、この目玉と気体の関係も不明。 また作中では「善い気体」と名乗る存在が主人公2人の体内に侵入しており、電話でコンタクトをとってきたが自ら「善い」と名乗っているだけあって2人に危害は加えず、目的地のアパートへ到着した途端に大人しく出ていった。 しかし「善い気体」が町を取り仕切って以降の東弥地区はさらに治安が悪化しており、事故件数・犯罪率・重犯罪件数が格段に増えている。 この「善い気体」は街に蔓延している気体や黒嶺弥生と敵対している可能性もあるが、現時点での説明はない。 **&ruby(アトーンメンツ){Atonements} #center(){&bold(){確か、Atonementsって…}} #center(){&bold(){イキナリ出てきて、イキナリ有名になった覆面バンドだよな。}} コンサートスタッフのエピソードで登場した怪異。 ただ便宜上ここでは怪異として紹介するが、厳密には怪異とは言えない。 というのも、彼らは別の怪異に呪われてしまった人間だからである。 元々はKINGDOMという名前でデビューした4人組男性バンドだったのだが、後述する「希美」の呪いによって世にも悍ましい姿に変貌してしまった。 呪いを解くためとして2人の僧侶を呼んだのだが、僧侶だけの祈祷ではとても足りずもっと大勢の祈りが必要だった。 そこで彼らが考えたのはコンサートを解呪の儀式とすることで、自分たちが祈りのポーズを取れば観客もそれを真似るだろうと考えたのだ。 しかしそれは危険な賭けでもあった。 コンサート中は希美の呪いを一身に受け続けるからだ。 それでもギリギリでコンサートは終了となり解呪と供養も終わったかに思えた…が、その時アンコールの掛け声が観客から上がった。 その後は、50,000円の追加報酬によってステージの清掃が行われたという。[[ステージ上の状況は伏す。>不安の種/不安の種+]] ちなみにバンド名は「罪滅ぼし」「償い」を意味する。&s(){(キリスト教の)「神との和解」の意味もあるが、次エピソードの怪異は多分関係ない。} ***&ruby(きみ){希美} #center(){&bold(){&color(red,black){シーネッ シーネッ シーネッ シーネッ}}} #center(){&bold(){&color(red,black){ぱんっㅤㅤ ぱんっㅤㅤ ぱんっㅤㅤ ぱんっ}}} コンサートスタッフのエピソードの元凶となった怪異。 作中では一貫して「あの女」と呼ばれている。 コンサートの後ろの方に陣取り、ひたすら「シーネ、シーネ」とコールを繰り返していた。 正体についての言及はないものの、作中シーンからの推察は可能でその正体は「メンバー全員と四股をかけていたが、嫉妬から殺害された女性の怨霊」。 解呪の儀式は希美の供養も兼ねていたのだが、「アンコール」の先陣を切って目論見通りメンバー全員への復讐を果たした模様。 **十字架 #center(){&bold(){声が、聞こえた。九人の使徒を連れてあの十字架に行けば、}} #center(){&bold(){&color(red,black){全ての罪を贖っていただけると。}}} &bold(){&color(Black,red){黒岩案件・船舶乗務員}}のエピソードで登場した怪異。 海のど真ん中に建っている巨大な十字架で、その場所以外に見た目はこれといって不思議な点はない。 だがこの十字架はSCPで言うところの[[ミーム汚染>ミーム(SCP Foundation)]]の性質を持っており、この十字架を映像ででも見ると&bold(){環境破壊や戦争、虐殺などこれまで人類が犯してきたありとあらゆる過ちや罪を自分がやったと思い込むようになる。} そして同時に&bold(){その罪を贖うため九人の使徒を十字架へ連れて行く}という使命感にも取り憑かれる。 #openclose(show=今回はユメが採用されず和美のみのバイトという異例の事態となったが、橙が一緒なので「橙のギャグ補正でどうにかなるだろう」と多くの読者が高を括っていた、のだが…){ &bold(){実はこのエピソードに登場していた橙は偽物}であり、本物の方は出発日時を間違えたため港に取り残されていた((ユメは無意識に別人と気付いていたのか、序盤の出航間際で最初に橙を名前ではなく「その子のそばから離れないで」と和美に伝えていた。))。&s(){らしいっちゃらしいが、これはこれで今までのギャグエピソードはどうやって成り立ったんだろうか…} 雇い主の教授が受けた神託には「神の子が真に清き心を持つ者の姿を借りて現れる」とあるのだが、&color(orange){その真に清き心を持つ者こそが橙だったのだ。}&s(){あまりにもアレすぎて、邪心すら持てないくらいの良くも悪くも空っぽな心だったからとか、人間より怪異寄りだからとか思ってはならない。} 十字架の元に到着したニセ橙こと神の子は十字架に磔となり、それと引き換えに人類は全ての罪を許された。 こうして人類は何の負い目も罪悪感も感じる必要がなくなり、永遠の幸福が約束されたのだった。 #openclose(show=。なた見){実は十字架は海を貫き、反対側の大地まで突き出ていた。&s(){オカルトとはいえ頑丈すぎる} 反対側の大地にも十字架があり、「逆側」とのこと。 見てはいけないものだが、とある登山家が見てしまい… } } **ヌグベチ #center(){&bold(){この虫の成体は誰も見たことがないのだ。}} 昆虫研究助手のエピソードで登場した怪異。 …といってもあまり異常性はなく、奇妙な生態をしているだけの普通の昆虫である。とある公園にのみ幼体で生息している昆虫で後述の&bold(){カビ}により、野生個体は成虫になるまでに殺され公園から出された場合は成長段階に関係なく殺されてしまう。成虫となる前に繁殖行為を行う((これはネオテニーと呼ばれる生態であり、実在する。))ため子を為せず絶滅という事態は避けられているが、この生態によりヌグベチの成虫を見た者はいない。 幼体は手のひらサイズの繭玉のような姿をしており、成体へ近づくにつれ巨大化しながら人の手のようなものが生えてくる。完全な成体の姿は本編・ちょい足し共に終ぞ描写されなかった。 ヌグベチはずば抜けて高い知能を有しており、周囲の言葉を真似することがある。驚くべきはその精度で、作中でも主人公2人が互いに聞き違えるほどのクオリティであった。また飼育期間中には和美が&bold(){巨大なバッタが研究所内を彷徨く夢}を見たり&bold(){いつの間にか本が出しっぱなしになっている}など不可解な現象が起こったがどれも実害のあるものではなく、本編では退院した雇い主である&s(){罰当たりおじさん}寿教授が飼育を引き継ぐ形で研究し、無事成虫へ変態した。 モチーフは北海道円山公園に生息するヤマトゴキブリであり、気候的問題や寄生虫問題によりコチラもヌグベチ同様円山公園内でしか生きていけない。 ***&bold(){カビ} #center(){&bold(){&color(red,black){ふつふつ ふつふつ}}} ヌグベチを公園に閉じ込めている原因。基本的に人間には無害だが公園外にヌグベチを持ち出した瞬間活発化し、持ち出した者とそのヌグベチを蝕む。数匹程度なら痒みを伴う程度だが、何匹も持ち出すとその勢いは増し人間を死に至らしめる程になる。公園内にヌグベチを戻すとカビは自動的に離れていきそれ以上蝕まれることはない。 このステージギミックじみた性質から一見[[「無敵かこいつ…」>ジョルノ・ジョバァーナ]]となるが&bold(){カビ自体の絶対数はそこまで多くない}という弱点があるため、本編では一人がヌグベチを大量に持ち出して囮となりその隙に別の人物がヌグベチを回収するという方法で出し抜かれた。 由来や動機は不明だが地域住民からは公園内の御神木の祟り、御神木がヌグベチを外に出さないようにしている、と認知されており上記の囮作戦の際は明らかに人の顔状になるなど&s(){ヌグベチよりも}怪異らしい挙動をする。 #openclose(show=和美「ハハ、あんた数日でこんなデカくなったから。あんな夢見ちゃったじゃん。あんなんも〜人類の天敵っしょ」){ ヌグベチは前述した通り知能の高い昆虫である。 そう、&bold()&color(red,black){知能が高すぎる}のである。その知能は人間を遥かに凌駕し、飼育されてからの短期間で人間の言語、昆虫学、薬学その他様々な知識を習得し果ては&bold(){人類にも未開発の薬品}まで生成してしまうほど。 作中では虫を凶暴化・巨大化させる薬を生成しており、凶暴化させる薬で研究室内の他昆虫を手駒にし研究室へ訪れた人物を襲わせていた。 白い匂いにより殺虫剤が効くと知った主人公2人は、寿教授の助けで&bold(){「部屋に隠れて隙間から黒い匂いがしなくなるまで殺虫剤を撒き続ける」}という作戦を決行。2人は難を逃れたがヌグベチを保護するため殺虫剤が十分に散布されない状態で突っ込んだ寿教授はヌグベチの所業に愕然としながら死亡。これにより、ヌグベチの成体を知る者は再びこの世から一人残らず姿を消してしまった((主人公2人は寿教授が退院した時点でお役御免となったため、ヌグベチの成体を目撃していない。))。 死の瞬間、寿教授は「&bold()&color(red,black){もし、ヌグベチ達が人間の天敵であるなら、その存在すら悟られないように、研究所の昆虫にやったことを、人間にもやるのではないだろうか}」と危惧していたが残念ながらその予感は的中してしまう。 公園からの脱出法を知ったヌグベチはそれを共有しあい、公園から完全に脱走。昆虫の次は人間を用いて薬の実験をするようになり、作中では凶暴化させる薬を使われた人間が半笑いを浮かべながら包丁を振りかぶり家族に襲い掛かろうとする姿で幕を閉じる。 こうして晴れて自由の身となったヌグベチは、今日も自らの存在をひた隠しにしながら人間相手に実験を行う &bold()&color(red,black){&ruby(人類にはどうしようもないもの){天敵}} となったのである。 &s(){裏バイト世界に人類の天敵って何体いるんだろう…} } **アルカディア青羽の幽霊 新公団住宅管理員のエピソードで登場した怪異。 全体的に黒ずんだ姿をしている以外はただの人間であり、暗がりや茂みなどで不意に出現するがすぐ消えてしまう。&s(){中には雄叫びを上げながら公衆の面前に現れ消えてゆくファンキーな野郎もいるが。} 様々な設備が揃っており住民も明るい新公団住宅「アルカディア青羽」とは対照的に陰気な雰囲気を纏っており、和美からは特大火の玉ストレートの罵倒を心中で呟かれた。 有害な異常性は無くただ現れては消えるだけなのだが今まで管理人を勤めてきた裏バイターは皆「&bold()&color(red,black){幽霊がいる}」と逃げ出しており&s(){裏バイターにしてはビビりすぎじゃない?}、やはり居て気持ちのいいモノでは無いので管理主任は根絶を目論んでいる。 その正体は、アルカディア青羽が建つ以前に存在した旧団地での火事の犠牲者と噂されており「&bold()&color(red,black){焼け跡の窓から大量の黒い影が見下ろしていた}」という噂も流れている。 #openclose(show=「背乗り」を知ってるか?){ ㅤㅤㅤㅤ #center(){&bold(){&color(red,black){よく聞け。私たちは…}}} #center(){&bold(){&color(red,black){アルカディア青羽の本物の住人だ。}}} ㅤㅤㅤㅤ アルカディア青羽の幽霊の正体、それはれっきとした&bold(){人間}である。それも&bold(){元人間の怪異だとか特殊能力を持った特異な一族}というわけではない。 &bold()&color(red,black){何の変哲もないただの人間であり被害者}なのだ。 ***旧団地の幽霊 新公団住宅管理員のエピソードで登場した怪異。 前述の噂通り窓から見下ろしている黒い影形のタイプと普通の人間と変わらぬ姿で行動するタイプがいる。その正体は前述の火事で亡くなった人々の幽霊。 アルカディア青羽の住人に対してのみ異常性を発揮するのだが、問題はその内容でなんと幽霊に自分の姿を見られた住人は&color(red,black){瞬時に跡形も無くこの世から消されてしまう。}その後は消された人と入れ違いになる形で影形幽霊が肉体を持って蘇生してくるのだ。この際、本人は消えるがその人間がいたという事実は消えないため&bold(){所有物や戸籍等はそのまま現存する}((消滅の際に身につけていた物は巻き添えで消えてしまう。))。 幽霊たちはその基盤を引き継いで以降の人生を謳歌しており、作中ではその手法を「背乗り((犯罪者が一般人を襲って戸籍や身分を奪い成り済ますこと。))」と形容されている。 「存在を消す」「戸籍などその人が存在した痕跡は残る」という点で、よく似た怪異として人材レンタルスタッフ編に登場した&bold(){解脱猫}がいるが、所詮は道具であり即効性に欠けるアチラと比べれば凶悪さは段違い。 現在は元住民のほとんどが幽霊に成り代わられており、残った住民はオーナーが火事の戒めとして作った隠し部屋に閉じ籠もりながら姿を幽霊に見られないよう潜伏しつつ積極的に外部の人間=裏バイターとの接触を図り、状況の打破を試みている。 つまり主人公2人が任務に当たるまで、裏バイターが「幽霊がいる」という理由で退職していたのは単なるビビりではなく&bold()&color(red,black){他人の人生を横取りした化け物共が何食わぬ顔で目の前に犇いている}という事実を告げられたが故の恐怖からであり、幽霊が出現後すぐ消えていたのは幽霊から見つかる前に隠れたもしくは&bold()&color(red,black){影形幽霊に姿を見られ存在を消されていた}から。中には&bold(){長年の潜伏生活に耐えられず発狂する住人}もいるそうでその例が項目冒頭のファンキーなアイツらしい。 様々な点で高井津村の幽霊たちを彷彿とさせるが、比較して見ると 標的:一応藤吉村の子孫のみ↔住人に限るが無差別 乗っ取り方法:大勢で囲い込む↔目視 効果範囲:誰でも連れていける↔住人のみ 怪異化方法:魂呼の儀式↔地縛霊 規模:まるごと町一つ分↔公団住宅一帯 と細かい所で差が見られる。&s(){どっちにしろ迷惑千万だが} 幸いというべきかどうかエピソード後半部分にて元住民全員が背乗りされてしまった際、蘇生した幽霊が「良かった、これで全員です」と発言しているためこれ以上の背乗り被害は出ないと思われる。 &s(){ただの火事の犠牲者がこんな怪異になれるなら、真の住民もそのうち怪異化して復讐しに来そうではあるが。} } **おだんご(仮称) #center(){&bold(){&color(red,black){おだんご おだんご おだんごだいすき}}} カラオケ店員のエピソードで登場した怪異。 このエピソード連載中は作者が普段&s(){フリーダムな近況報告}怪異や話の裏設定を語ってくれるちょい足しにてコミティア体験記を&s(){イカれた言語で}綴っていたため怪異についての情報が本編と次話ちょい足しのごく一部からしか読み取れない。そのため具体的な特性どころか正式名称すら不明の、極めて謎多き怪異。 見た目は&font(b,red,black){これまでこの怪異の犠牲となった人間の生首が紐状に連結している}という悍ましいもので、今エピソードの職場であるカラオケオリジンにて毎日17〜20時の期間に出没していた。この怪異に対してカラオケオリジンは「怪異の出現時間中のみ営業停止」という対抗措置を取っていたが、エピソード開始時点ではなぜかその措置が撤廃されている。怪異は常に「おだんごになりたい」という謎の曲を歌っており、襲撃の際はカラオケ機からもこの歌が流れる。&s(){[[3兄弟>だんご3兄弟]]や[[大家族>だんご大家族]]に多大な風評被害。} #openclose(show=「おだんごになりたい」全文){ おだんご おだんご おだんごだいすき いっしょになりたい みんなおだんご ひとつになりたい おだんごてんごく ひとりじゃさみしい おだんごてんごく 個人はエゴだよ いらないよ ひとりはさみしい さみしいよ ひとりのおまえはもうおしまい さみしさにさよなら おまえはおわりだよ さみしいおまえはおわりだよ さあ、おだんごに やったね 個人のおまえはもういない もうさみしくない みんな一緒に おだんごてんごく ※なお「これで〜ぜんぶかな〜♪ ま〜だだよ♪ ほら、そこに、まだいるぞ♪」などと歌っている場面もあるため、怪異の気分次第で歌詞が変わるようだ。 } 出現時間になって間もなくは、カラオケ室を廊下から覗いたり人間体で部屋に入り込んだりマイクに化けて「おまえはおわりだよォ おだんごになるんだよォォォ」と叫んだりするだけで実害は無い。しかし時間が経つにつれ段々と脅威度が上がり、ついにはカラオケの客を物理的に襲うようになる。 出現時間になってからしばらく経つと人型になり本格的に客を襲い始める。その方法は背後に回りこみ耳の中に指を突っ込んで&font(b,red,black){そのまま頭を引き千切って殺す}というもの。 更に時間が経つとカラオケ店内全てを停電させ生首の姿で廊下を堂々と捜索し、客や従業員を問わず襲いかかるようになる。この際、襲い方が変わり襲われた対象は&font(b,red,black){一瞬で首から上が消失し喉元の断面図が丸見えになる}というグロい形で殺害される。 被害者は生首の姿のままで永遠に(少なくとも数年以上)前述の「おだんごになりたい」を歌いながら犠牲者を求める怪異の一部にされてしまう。どの被害者もおおよそ精気を感じられない顔つきで一様に同じ歌を歌うため自我が残っているようには見えないが、取り込まれてすぐの生首は「ドアを押し止めてコチラへ入ってこないようにする」など、ある程度自我を保てるようだ。 殺意MAXな上に殺られたら即座に取り込まれてしまう凶悪な怪異だが、意外なことに対処法は簡単で&bold(){カラオケ室に籠城し出現時間終了までやり過ごす}だけで難を逃れられる(出現期間中は普通に扉を開ける描写があったため、扉を抑えるなり鍵をかけるなりは必要だろうが)。 ここまで語った点を見る限りはただの首狩りモンスターでしか無いのだが、この怪異にはもう一つ特徴がある。それは&font(b,red,black){この怪異の犠牲になった者は記録、記憶から消えてしまう}というもの。たとえ相手が親友であろうと取り込まれてしまえば記憶からスッポリ抜けてしまい偽りの記憶で上書きされる((改変例:親友と2人でカラオケに来た→ヒトカラが好きで1人で来た、カラオケ店員として客と共に難を逃れた→そもそも客が一切来なかった。))。 この消去能力はある程度制御可能なようで、犠牲者を「身元不明の首無し死体」として残した結果カラオケオリジンが営業停止するようになったという教訓からか、営業停止解除後は「そもそも客が来なかった」と改変するようになっている。 この特性が「人を襲い取り込む」という生態と悪魔的ドッキングをした結果、裏バイト世界では「&bold(){犠牲者は増え続ける一方なのに誰もその脅威に気付けず何の対策も取れない}」という悪夢のごとき事態になっており、被害は本編から数年経っても留まる目処が立たないのが現状である。「5時になったらマズイ」とバックレた店員が「歌に気をつけて」と事情を知っているとしか思えない発言をしているが、これに関しては全くの謎。首無し死体を通報したのが彼だったのかもしれないし、好奇心を擽るために怪異が用意したデコイなのかもしれない。 犠牲者の生首としての姿しか見せない上に補足情報も少ないため、始まりがどういうものだったのかも何の意図があるのかも不明という、いつかのいちょうさんのようなことになっている。お団子に関しては作者ですら「おだんごってなんだろうな でもおだんご以外無いんです。このイメージ」と理解を放棄している始末(作者でも分からないなら我々に分かるはずもない)。 余談だが、本エピソードは珍しくユメの通帳後に後日談として数年後のカラオケオリジンが描かれている。もちろんこの怪異は健在であった。 **太空神社の神 #center{&color(Black,red){&bold(){未だ、道半ば}}} &bold(){&color(Black,red){黒岩案件・参拝案内}}のエピソードで登場した怪異。 今回の職場である太空神社は&s(){裏バイト世界にあるまじき} &font(#e6b422){&bold(){どんな呪いも祓える神聖な場所}}とされており、&bold(){入り口から本宮まで3kmを要し、参道のすぐ近くに飛行場があるため参道の両隣には高いバリケードが置かれている}など、なかなか特殊な場となっている。 また「どんな呪いも祓える神社」を頼るほどの呪いを受けている者は大抵それ相応のことをしでかしているという観点から、太空神社の神主は参拝希望者リストの情報を警察に提供している。&s(){危険かつ悪意の塊な怪異を世に放ち続けているゾンビこと作者も当然このリストに名を連ねている。} モデルは成田空港近辺に位置する東峰神社。 太空神社の神は&bold(){参道を向かいから歩いてくる奇妙な顔をしている以外は一般的な人間型の怪異}と&font(b,red,black){バリケード越しに参拝者を覗き見る巨大な人間型の怪異}に別れており、人間がその御尊顔を見ることは礼を失する行為、つまり&font(b,red,black){「不敬」}であるため禁止されている。 神が近づいてきた時は支給された頭巾を被り、神が立ち去るまでその場から動かず待つしかない。顔を見た者がどうなるのかは不明だが、ユメが「クサい」と警告しているため十中八九碌なことは起きないだろう。 詳細は不明ながら&bold(){魅入られる可能性がある}ため、この神社での仕事も一人一度までと限られている。 顔を見た者を&font(b,red,black){「不敬」}とする他、&bold(){呪いを祓うに値しない者}には参拝の&font(b,red,black){「不許可」}を出すこともある。「不許可」とされた者は参道のスタート地点まで戻され、また参道を歩くループに陥ることになる。しかも戻されるたびに参道までの距離が3kmずつ伸びていくペナルティ付き。 「顔を見た瞬間戻されている。ならば顔を見なきゃ良いだけの話」と誤解した不許可対象に対し、 &font(b,red,black){&bold(){三猿ノオシエ曲解スルナカレ 悪事ヲ見ザル ソノ意味ハ 「悪ニ影響サレルナカレ」 自ラノ悪事ニ目ヲ背ケル事非ズ 告白セヨ 告白セヨ}} と自らの罪と向き合うよう促す発言もしている。不許可となり参道ループに入った者は、神から呪いを祓うに値すると判断されるまでひたすら参道を歩かされ続ける((話中では7563927回目のループが描かれている。))。不許可対象が受けている呪いの強化もできるようで、話中では「右目の視界に幽霊が映り目が痛む」という呪いが、「常に右目から血や無数の目玉が流れ出し、左目や鼻・口からも血が流れ落ち、白髪化し正気を失いたくなるほどの痛みが続く」というものに変化していた。 当然正気を失うのは&font(b,red,black){「不許可」}。 自死を願おうとも #center{&color(red,Black){&bold(){「不許可」}}} また、二周目以降の案内人のユメらは姿を借りた太空神社の神に属する存在であり、その顔はループ回数を重ねる毎に段々と歪み異形のものとなっていく。 不許可対象者には苛烈極まるもののそれ以外の者にこれといった手は出してこず、「あらゆる呪いを祓う」という&s(){裏バイト世界では考えられない}絶大な御利益や悪人のみを選んで罰している姿から、読者には「福の神以来の善神((あちらは贄を必要とするうえ願いを叶える人間の善悪には無頓着という側面があるので、参拝者の善悪を厳格に見定めるこちらの方が善性は上とも評価できる。))」「人類の希望」と有難がられている。 ***池内康太 &bold(){&color(Black,red){黒岩案件・参拝案内}}のエピソードで登場した怪異。 同エピソードで登場しているが、コチラは太空神社の神とはなんの関係もない幼い子供の幽霊。 モデルは恐らくホラー小説『忌録: document X』の「みさき」。 作中に登場する保科周一により誘拐され、右目をくり抜かれた上にそこへナニを突っ込まれるという壮絶な最期を遂げた。 最初は保科の右目の視界にしか映らなかったがみるみる力を増して写真にも映るようになり、保科の右目が常に痛むよう呪いを掛けている。参道ループでは歪んだ顔で笑いながら保科の前に出現し、複数体で現れることもあった。 **母慈臓 家庭教師のエピソードで登場した怪異。 怪異とは言ったが自我は無いようで扱い的には解脱猫のように&bold(){呪具}の部類になるのであろう。 これを用いて「母慈臓法」なるものを行うと死者が生前の姿で復活する。しかし、その代償として術を行った者は命を落とすこととなる。代償としての命は一度に引き抜かれる訳ではなく徐々に引き抜く仕様のため代理の者を立てることで身代わりにすることもできるようだ。((作中では危険が及ぶ前に次の身代わりを立てるリレー方式だったため母慈臓の代償による死者は出ていない様子。)) 詳しいプロセスは不明だが&bold(){「母の、慈愛を、&ruby(はらわた){臓}に」}という言葉が話中に登場することや母慈臓に身代わりとして認められるのは「母の背中を見て育った人間」に限られることから母性が深く関わっているという考察もある。 オマケ機能として「身代わり適性のある人間が母慈臓の元で一晩過ごすと強制的に母性を刺激されその家の母親となってしまう」という&s(){強制ママプレイ洗脳}異常性もあるようだがユメハマコンビは片や父子家庭、片や親無しだったため作中でこの異常性が発揮されることはなかった。 と、このように語ってはいるが作中で母慈臓について説明した人物が誤った知識を教えられている描写や、いくつかの矛盾する描写、この呪具を持ち込んだ怪異があえて情報を隠しているかのような描写もあるため上記の説明も確定的情報ではない。 ***塙(はなわ)一家 家庭教師のエピソードで登場した怪異。 母親 父親 子供二人の四人構成であり父親は純人間で母親は怪異。息子二人は怪異と人間のハーフである。 &bold(){父親} れっきとした人間なのだが異常に小さい頭身をしており頭身だけなら小学生に見紛う程である。 すきっ歯、ハゲ、澄んだ目というお世辞にも整ったとは言えない顔のため作中では小学生に扮する際に紙袋を被ることでそれをカバーしていた。 明らかに人間でない妻と籍を入れた理由は「結婚してくれるってなりゃ結婚するさ誰でも」とのこと。しかし「小ちゃくてカワイイ」と言われたことを照れながら語ったりと妻の尻に敷かれつつも家族仲は良好な様子。 &s(){紙袋を被ったシャイボーイと見せかけてブサイクなおっさんというあまりにもな落差から素顔お披露目回のコメント欄は阿鼻叫喚となった。} &bold(){母親} 一階建て民家と同レベルの巨躯を持つ怪人。身体をコンパクトに縮められるようで部外者がいるときは塙家の屋根裏に潜んでおり用があるときは屋根裏へ通じる穴から頭を逆さまに出して会話する。 野太いゲップをしたり旦那や子供へ悪態ついたりと少々下品ではあるがマトモに意思疎通はできる様子。母慈臓を持ち込んだ張本人で、母慈臓の身代わりとしての役目を終えた裏バイターを旦那や息子たちに黙ってコッソリ食べており全くの無害怪異というわけではない。誤魔化しているが息子からは食人を薄々感づかれているようだ。 &bold(){塙 燈児} 塙家の息子の一人で既に故人。幼少期に事故に遭い死亡したが母慈臓法により復活した。 活発な性格で事故に遭った当時から肉体及び精神の成長が止まっている。母慈臓のエネルギーが枯渇すると自我を保てなくなり消失、後に顔が醜く歪んだ状態で埋めきながら四つん這いで家中をうろつくようになる。母親からはこの状態を「アホザル」と形容された。 &bold(){塙 嶺児} 塙家の息子の一人で存命。 これと言った特異性もない普通の人間の見た目であり話中では紙袋を被り小学生役をする父親に対し父親役を演じていた。 ちょい足し曰く怪異の血はしっかり受け継いでいるそうな。母親の話で惚気る父親に若干引いた視線を送ったり、母親が明らかに非人間なのになぜ結婚したのか尋ねたりと一般的な感性を持っているようにも見えるが、顔面の崩壊した燈児を見ても平然としていたり、母親の食人にうっすら気づきつつも行動を起こさなかったりとおおよそ普通の人間とは違う感性を持っているようだ。 **家 #center{ &color(white,black){ 私達は、住まれた } &color(white,black){ なら、私達は何処に住めばいい? } } 宅配サービスのエピソードで登場した怪異。 家守台住宅地にある家そのものが、経緯や原因は不明だが意思を持って怪異化したもので、町全体を自分たちのテリトリーとしている。 町一つとは言え、大きな家が動くにはそのままではあまりにも狭いため、テリトリー内の空間を歪めて自分達の動くスペースを確保している。 その影響でこの町は非常に複雑になっておりおまけに常に霧がかかっているため非常に迷いやすく、行方不明者まで出ているという。巨大な人のようなものが闊歩しているが、これもその影響で生じた幻のようである。 そしてこの家達は[[自分たちが居住されている事に不満を抱いて>バッタンキングのとりで]]行動しており、その目的は自分達が住める「家」を見つけること。 その家の家というのはつまりは人間のことであり、まるで寄生虫のように口から体内に入り込もうとし、寄生が完了すると人間の口から家が見える状態となる。 この状態になった人間がどうなるかは言及がないため不明。 #openclose(show=そして...){ 町の中心は歪みが強くなり過ぎて家ですら近寄らない状態となっている。 そこに入り込んだ人間の前には死者、生者問わず様々な知人が幻覚のように現れる。 ユメの前には黒嶺弥生が現れたため警戒心を解かず、更に現れた八木が助言してくれたため生還できたが、&bold(){和美は現れた父親と共に霧の奥へと消え、そのまま行方不明となってしまった}。 このエピソードでは恒例のユメの裏帳簿もなく幕を閉じている……。 } #openclose(show=後のエピソードにて判明したこと){ 宅配サービス編は和美が失踪して終了というカタチに終わったが、ユメ視点の宗教法人スタッフ編を挟んだ後で「宅配サービス2」として白浜視点の話が公開された。 町の中心の歪みは家が帰る場所を求めているがゆえか、取り込まれると『自らが帰る場所』と思っている場所へ転移させられるという特性を持っている。ユメは「義弟妹を養う」という目的と拠り所を持っているため住まいであるアパートに飛ばされたが、明確な拠り所を持たない和美は転移先が決まらず歪みの中に取り残されたというのが真相のようだ。 最終的に和美は自らの過去を振り返った上で拠り所を定め歪みから生還している。 ついでに謎に包まれていた「宅配サービス」の仕事の意義も判明しており「届け物をすることで『家』自身にその場所が自らの拠り所であると思わせることで行動範囲及び歪みの拡大を阻止するためのモノ」だそうである。 そしてこの仕事の大元の依頼主は宗教法人スタッフで登場した「白明郷」である。 } *番外編 **&bold(){アパートの怪異} #center(){&font(#ffb74c){&bold(){こう見えても何と家賃たった一万円なんス!}}} #center(){&font(#ffb74c){&bold(){大家さんも毎日「何か異常は無い?」って心配してくれるし、マジ掘り出し物ッスわ!}}} おまけエピソード「橙ちゃんのお部屋」で登場した怪異。 アパートの一室に住み着いている得体の知れない「何か」。 なかなか強力な怪異らしく、ビデオ通話越しにユメはおろか和美にさえ視認できてしまうほど。 …だがその部屋の住民がよりにもよって&bold(){&font(#ffb74c){橙}}であったため&bold(){全く存在には気付かれておらず、}現時点での詳細は不明。 橙のヤバさが明らかになるにつれ、読者の間では &bold(){「橙が普通に生活できているのはこいつが陰から支えているからでは?」} &bold(){「むしろ守護霊なのでは?」} という疑惑まで浮上する有様。 おまけエピソード「橙ちゃんのダイダイエット」においても、ダイエットに励む橙を穏やかに(?)見守っているだけだった。&s(){むしろ怪異は橙の方なんじゃないかな…。} **下半身だけの怪異 4巻での描き下ろしおまけエピソード「断裂」で登場した怪異。 八木が調査したが、裏バイターを雇っていないので当然主人公2人は関与していない。 依頼人の女性・俵屋が新居のアパートに帰宅すると現れる、[[ジーンズ]]を履いた下半身の怪異。その場でダンダンと音を立てて激しく足踏みしている。 その足踏みの音を聞いていた内に俵屋の左足は動かなくなり、右足も徐々に麻痺してきている。 #openclose(show=「嫌だ、実家は…」){ 俵屋の母の出産の日、俵屋の方は無事に生まれてこれたが双子の片割れは&bold(){&color(red,black){上半身と下半身が断裂した状態}}で出産してきた。 本来なら悲しむべきなのだが、どうも片割れは断裂していた状況を抜きにしても普通の赤子ではなかったらしく出産に立ち会った医者や看護師も恐れ慄き、実母ですら&bold(){「産まれなくてよかったんじゃないかなぁって」}と考え、寺の住職が&bold(){&color(red,black){「アンタら一体何産んだんだ!?」「これを家中に貼って! 金は要らん…さあ早く…」}}と大慌てで札を差し出す始末であった。 生きることこそ叶わなかったがその後も怪異として成長を続け、俵屋を悩ませてきた模様。 八木曰く&bold(){&color(#FEDCBD,#000000){「ご実家へお帰りなさい、それで解決します」「珍しいんですよ。裏の関係で、解決策が見いだされるのは。悪い事は言わないから、お帰りなさい」}}とのこと。 「嫌だ、実家は…」と口にはしたものの、アドバイスに従わざるを得なかった俵屋は実家へと帰る。 その晩、布団の中で俵屋はある「仮説」を立てていた。 &bold(){「それ」から逃げるために実家を出て、アパートを借りた。「それ」には足が無いから追ってこれないだろうと。} &bold(){しかし、「足が無い」訳ではなく「分かれていただけ」だとしたら…?} 天井を見つめる俵屋の目の前には、不気味に笑う&bold(){「上半身」}の姿があった。 この怪異の正体は&bold(){上下に分断された俵屋の片割れ}であり、アパートに潜んでいた怪異ではなかった。 とても解決したようには見えないのだが、一体どのようにして解決されたかは作中では語られていない。 } **深淵の者 コラボ回の廃神社探索のエピソードで登場した、&bold(){&color(red,black){その名を知ることすら許されない、この世の摂理そのものと言える存在。}} 今回は得体の知れない霊能力者も同行した。 #openclose(show=でも退治しました){       #center(){&bold(){なにこの匂い…? いつもの嫌な予兆とは違う…なんかイカっぽいというか…}} #center(){&bold(){クッサ…!}} 実はこの回(?)はエピソードではなくイラストであり、実質2ページで終わった。 何せコラボ相手が[[怪異・ずぶ濡れ金髪フルチン男>うしろの正面カムイさん]]だったため、&s(){エッチ}アッチの作品の方法で&color(deeppink){“超”除霊}され、&bold(){名前・容姿・能力の何もかも分からずじまいで退治されてしまった。}ずぶ濡れ金髪フルチン男は怪異の性別には頓着しないタイプのため性別すら不明。話からすると、おおいなるものレベルの格がありそうなんだけどなぁ…。 除霊光景を目撃したユメは久々にフリーズして「Now Loading…」状態になった。 &s(){料亭スタッフのエピソード合間に公開されたため、「小滝にぶつけてハッピーエンドにしようぜ!」という声が読者間から続出。} &s(){「カムイさん」側が顔合わせを描いて健全、「裏バイト」側が除霊を描いて不健全という逆転現象も発生している。} } **&font(#ffb74c){モンキーの怪異} 単行本6巻に収録されたボーナスエピソードにて登場。 とある案件の調査を依頼された茶々が遭遇した(この案件には八木も関わっている)。 エヴァルスの畑にいる猿とはまた別物。 茶々と話ができるレベルには[[日本語]]が理解できるらしく会話が可能だが、思考パターンが常人のそれとは大きく逸脱しているため意思の疎通は困難。 #openclose(show=ただ怪異そのものには積極的に人間へ危害を加える気がないのは不幸中の幸いか。){ その実態は怪異でも何でもなく、&font(#ffb74c){&bold(){篠月橙}}その人。 あまりにもぶっ飛んだ橙の頭を垣間見て思わずこう称した。 &s(){言動・行動の数々を見るに間違いとは言い切れない。} } **祠の神様 マンガワンの美男美女同居コメディ&s(){の皮を被ったオール変人ギャグ漫画}『翼くんはあかぬけたいのに』とのコラボエピソードで登場した怪異。 厳密に言うと、この話は『翼くんはあかぬけたいのに』の一エピソードという扱いであって『裏バイト:逃亡禁止』とは別作品。夏のホラー回での恐ろしさには定評のある作品の作者が『裏バイト:逃亡禁止』サイドと互いの原案を交換し、ノリノリで描いただけあって凄まじいクオリティとなった。 [[長野県]]の山奥に佇むとある村へ祀られている神様で、毎日午前2時に小皿へ入った塩、水、米、酒×2をお供えしなければならない。 この時はお供物を並べる順番を決して間違えないようにしなければならず、渡されたメモに「必ず間違えないように」と書かれており翼より先にバイトへ来ていたユメも去り際、「『向き』だけは絶対に間違えないで」と忠告していた。 だが何故か『裏バイト:逃亡禁止』での主人公2人が置いていったお供物は、メモに書かれた順番と逆に置かれていた。 実はメモの順番は「祠の内側」から見た順番であり、わざと間違えるよう書いてあった。 もし置く順番を間違えるとその人間は祠の中へ取り込まれ、「御神体」となってしまう。 おそらく前任の主人公2人はユメの異能によって引っ掛けが通用しなかったため、急遽新たな裏バイターを募集したと思われる。 異能など持ち合わせていない翼は引っ掛けを見抜けず祠へ取り込まれ、新たな御神体となってしまったのだった((翼が御神体として取り込まれてからは、お供え物の配置が主人公2人の置いた配置になっている。機が熟すまでの封印も兼ねているのだろうか…))。 裏バイトワールドの怪異は他作品の主人公であろうと全く容赦しなかった((「ちょい足し」にて3日後、強キャラである翼の両親によって無事解放された模様。『翼くんはあかぬけたいのに』の作者が描き下ろした橙も見られる。))。 #openclose(show=その頃、とある病院の産婦人科では…){ ある病院の産婦人科では赤ちゃん4人の生誕が案内されていた。 4人のうち3人は父親・母親の名前と共に赤ちゃんの写真が貼られていたのだが、最後の1枚は『不明』の文言と一緒に黒塗りの写真が掲載された。 翼と入れ替わりになった御神体は一体どのような形で現れたのだろうか…? } *余談 本作には単行本でも修正されなかった奇妙な点がいくつか存在する。怪異との関連は不明であるが、それらを以下に記す。 -最初の仕事であるホールスタッフで2人が出会った(再会した)のが『9月』なのに、コンビを組んで次の仕事((エピソードとしてではなく、2人でコンビを組んで2番目の仕事である事が治験エピソードで記憶の摺り合わせをした際に語られている。))のビル警備員の勤務期間が『6/25~7/25』になっている((加えて6/23~6/29はマストの敷地から出られず両立ができないので、各エピソードと時系列がバラバラでないのなら、裏バイトを1年近く続けた葬儀屋スタッフの前に2年目に突入している事になってしまう。これが9/25~10/25であったならば、次の個人向け配送業の日程とも辻褄が合うのだが…)) --日付通りなら10ヶ月近く裏バイトをしていない事になりそうな一方で、勤務期間が8/1~8/10の葬儀屋スタッフのエピソードでは、2人が『一年近く裏バイトを続けている』から異常事態に馴れているのだと同僚の宮に納得されている。 -温泉宿スタッフの勤務期間が4月『31日』までとなっている((4月は30日まで。))。 -キャンプ場スタッフのラストで『未明に』帰宅中の児童が刺される((未明は夜の0時から3時ごろであり、そんな時間に帰宅する児童はまず居ない。)) -&s(){家政婦の日給が790.000円と書かれている。} -&s(){橙の存在。} これらがゾンビこと作者のミスなのか、先述のある怪異による影響なのかは不明である。&s(){橙は多分関係ない} //話のタネにはなりそうなので、デザイナーとは別の話として「こんなのあるよ」的な紹介として記述します 追記・修正は怪異から楽に殺して貰えた人がお願いします。 #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,461) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #lsd() #comment_num2(num=30) }
&font(#6495ED){登録日}:2021/02/05 Fri 00:19:00 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 109 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- #center(){&font(red,b){※この先には『[[裏バイト:逃亡禁止]]』の重大なネタバレしか含まれていません。※} &sizex(6){&bold(){&color(red,black){命とは、斯くも軽いものなのか。}}}} この項目は、マンガワンで連載中のweb[[漫画]]『[[裏バイト:逃亡禁止]]』に登場する怪異たちの解説を行う。 なお『怪異』と銘打っているが、これは項目での便宜上の括りとしている。劇中でも怪異の他に&bold(){『怪奇』}と呼ばれる場合もある。 #openclose(show= ●目次){ #contents } *概要 本作の「裏バイト」とは&bold(){&color(red,black){「表沙汰にできない闇のアルバイト」}}であるが、 犯罪やヤクザなどの反社組織絡みのものではなく、&s(){たま〜にある「雇い主が世間知らずだったり数字を間違えたりしたせいで異常に高給になってしまった仕事」を除き、}どれも&bold(){怨霊・悪魔・神格等々、何らかの人智を超えた存在が関わってくるオカルト案件}で構成されている。 本項ではそんな「裏バイト:逃亡禁止」に登場する怪異を紹介している。 詳しいところは各怪異の説明を読んでもらいたいが、本作の怪異は&bold(){普通なら関わった時点で破滅は免れない、&font(red,black){「殺意の塊」}という表現が大げさに聞こえないほど危険で理不尽な存在}が大半。 関わって&bold(){「楽に死ねる」ならまだマシな方}で、&font(b,red,black){「自分自身も怪異の一部と化す」「死にたくても死ねず永遠に生き地獄を味わわされる」}というパターンも少なくない。 また、全体的にやらかすことの規模が大きいのも特徴的で、直接対峙することになる裏バイターはもちろんのこと、仕事とは直接無関係な近隣住民などが巻き込まれるのは半ば日常茶飯事。 &font(b,red,black){人類の存亡に関わるレベルの事態を引き起こすもの}までちょくちょく顔を出す。 それだけならそこまで悪意的ではなかったり、無差別には人を襲わなかったりする比較的穏健な(?)怪異もいない訳ではないが、そういうものに限って&bold(){欲望や悪意を抱えた人間に利用されている}ことがほとんど。 そして「裏バイト」の世界には、[[怪異を倒す力を秘めた槍を操る少年と大妖怪のコンビ>うしおととら]]とか、[[鬼の手で生徒を怪異から守る先生>地獄先生ぬ~べ~]]とか、[[「破ァ!」の一言で怪異を消し飛ばしてくれる寺生まれで霊感の強い先輩>寺生まれのTさん]]とか、[[悪魔を狩るデビルハンター>ダンテ(DMC)]]とか、[[生まれた瞬間に世界の均衡が変わる程の規格外の呪術師>五条悟(呪術廻戦)]]とか、[[命を燃やす仮面ライダー>天空寺タケル]]とか、[[怪異の方が逆に逃げ出すような幼女>寶月夜宵]]とか、&s(){[[怪異をセックスで退治する変態霊能力者>うしろの正面カムイさん]]とか、}((同じくマンガワン連載。一応コラボイラストで共演していたりはする。))そういった&font(b,red){怪異に真っ向から立ち向かえるヒーローは一切存在しない。} 主人公コンビも[[片割れが異能持ち>黒嶺ユメ(裏バイト:逃亡禁止)]]とはいえ、&bold(){どうにかバイトの期間中は自分たちが生き残ることで手一杯}((手の届く範囲でバイト仲間や巻き込まれそうな人々を助けようとはしているが、結局無駄な足掻きに終わってしまうことも少なくない))であり、その場凌ぎの対処はできても「怪異そのものをどうにかする」ことはほとんど不可能。 なんであれば&bold(){彼女たちをはじめとする「裏」の人間が関わったがゆえに野に放たれてしまった怪異}も少なからず存在する。 一応怪異に対する調査・研究などを行なっているらしい機関は存在するのだが、[[似たようなことをやっている某財団>SCP Foundation]]とは違い積極的な収容などは行なっておらず、対応は基本各事業主と裏バイター任せになっているという有様。 総じて&bold(){あまりにもモブに厳しすぎる世界観}だと言える。というか&font(b,red){モブ以外にも普通に厳しい。} ちなみに&bold(){怪異を物理で殴り飛ばせる場合もある}がこれにも限度はあるらしく、基本的には怯ませた隙に逃げるとか相手方が怯んで逃げ出すとかで終わっている。 *紹介 **人面樹の森 #center(){&bold(){&color(red,black){「はじめまして」「はじめまして」「はじめまして」}} &bold(){&color(red,black){「はじめまして」「はじめまして」「はじめまして」}}} 記念すべき第1話であるホールスタッフのエピソードで登場した、某県の山中に位置するリゾートレストラン&bold(){「緑心庵」}の奥にある森へ巣食う怪異。 眠った人間の夢を介して人間を憑り殺し樹木が飲み込んでいくようで、仮に眠りから目覚めたとしても今度は&bold(){実体化した森の精霊(と思わしき人型の怪物)がその人間を飲み込もうと襲い掛かってくる。} 取り込まれた犠牲者は森と融合して人面樹にされ、精神すらも変質させられ森の一部として生き続けることとなる。 **&ruby(くろぐろ){黒黒}ビルの悪霊たち #center(){&bold(){&color(red,black){助けてよォォォ! 人手が足りないの!}}} ビル警備員のエピソードで登場した怪異。 その昔、とある街中のオフィスビル・&bold(){「黒黒ビル」}7階に居を構えていたブラック企業の自殺した社員たちが悪霊兼地縛霊と化し、ビルの7階に取り憑いた怪異。 黒黒ビルで自殺者を多数発生させ、ビルを最悪の事故物件へと変貌させた元凶。 常に生きた人間を妬み、&bold(){&color(red,black){「何故死ぬ前に助けてくれなかったのか」「人手が足りない」}}と嘆いて仲間(道連れ)を求めている。 特徴としてあの手この手で深夜のビル警備員を&bold(){7階の空き部屋に招き入れて殺害し、仲間にしようとする。} おまけに、 ・7階へ足を踏み入れた警備員に幻覚を見せてテリトリーの空き部屋に入ってくるよう仕向ける ・少しでも多く「社員」を増やすため後任が来るまでは取り込んだ警備員を生かしておき、仕事を交代させた後で自殺させる など狡猾で悪辣な手も使う。 更に深夜帯となると&bold(){1階から7階までビル内の部屋全てがテリトリーとなり、}7階の空き部屋に入らずともビル内にいるだけで呪われ死ぬ危険が発生する。 劇中の様子を見る限り、当時の黒黒ビルにあった[[ブラック企業]]と同じく激しい暴行・罵倒といったパワハラが常態化しているようだが、本来彼らが既に社会から物理的に外れている存在であるのを考慮すると実際にはまともな会社組織としての形態を保てているかすら怪しく、あくまでも「生前の活動を再現しているだけ」に過ぎない。 なのでパワハラ被害者の霊も被害者を装って敢えて同情を買い、積極的に生者を欺き呪い殺そうと狙ってくる。 しかし屋上だけはフルタイムで安全地帯となっている。理由は不明だが、おそらくここに囚われている霊たちにとっては非常に近寄り難い場所であろうことが予想できる。 そもそも日中にビル周辺を慌ただしく歩いている会社員たちの多くは&bold(){&color(red,black){ビルの犠牲となって取り込まれた、或いはビルに取り憑いている地縛霊たち。}} そのためビルのみならず&bold(){ビル周辺の土地一帯が地縛霊たちの住処}に等しく、実体化した地縛霊の「社員」たちが日々生きた人間たちに紛れてビル周辺で蠢いている。 昼間に実体化している地縛霊たちは霊感の有無に拘らず知覚できるため、地縛霊と生者との区別は困難を極める。 総じて社員たちは地縛霊と化した末、&bold(){退職も休みも救いも存在しない終わりなきブラック労働}を行い続ける袋小路に陥っており、和美からは&bold(){&color(gold,#f5f5f5){「究極のブラック企業」}}とまで評された。 **鞄 #center(){&bold(){&color(red,black){「遅れるな」}}} 個人向け配送業のエピソードで、主人公2人が配送することになった正体不明の物品。 中には&bold(){&color(red,black){「明確な意志をもった何か」}}が存在しており、自身の入った鞄が期日通りに目的地へ運ばれるのを望む。 期日に遅れそうになる度、警告と言わんばかりにガタガタと鞄を揺らして間に合わせるよう催促するなど一部の読者からは&bold(){「ちょっと可愛い」}と評判。 一方、運び手以外の者には&bold(){「鞄を手に入れて中身を見たい」}という非常に強烈な誘惑の力を働かせ、誘惑を受けた者は如何なる手段を使ってでも鞄を奪い取り中身を見ようと襲い掛かってくる。 更には本来知らないはずの運び屋の名前まで把握でき、それを利用して騙しにかかるような描写まである。 しかし仮に奪い取っても中身を目の当たりにした瞬間、その者は&bold(){絶望と恐怖、更には中身を見た後悔で即座に発狂。} &bold(){&color(red,black){狂い果てた末に顔面を削り取るように壁や地面に擦り付け自殺}}してしまう。 おまけにこれは人通りが少ない場所である場合で、人の多い場所ではさらにこの鞄の中身を&bold(){「皆に見せてあげよう」という誘惑も発揮される。} 中身の目撃者が複数人であれば&bold(){&color(red){泣き叫んだり馬鹿笑いしたりなど、全員が例外なく発狂する}}阿鼻叫喚の大惨事と化す。 複数人の場合は顔面を削り取るように壁や地面へ擦り付けたりはしないようだが、いずれにせよ大惨事を招くのは確か。 中身を見た者が死ねば死ぬほど鞄は少しずつ大きくなる上に奪われた後であっても、奪って[[中を見た人間を例外なく狂死させ>見るなのタブー]]再び運び役の前へ戻ってくる。 &s(){そのお手軽さから知性を備え持つ怪異にはとりあえず鞄をぶつけようとする読者もいる。} これ自体に遅刻時以外は害意がなく、鞄に惹き寄せられた人々もあくまで鞄を奪おうとするだけで対応能力を超えた厄介事とは言えないため、ユメの異能が全く役立たなくなる。 作中の描写を見ると運び屋にも多少なりとも「鞄の中を見たい」という誘惑が働くらしく(ユメが危うく引っかかりかけた)、中を見てしまうと作中の犠牲者と同様の末路を辿る模様((1巻カバー裏「裏バイト:逃亡禁止if 失敗!個人向け配送業編」より。))。 主人公2人がバイトを完遂した後日、「鞄」によって中東や西アジアの国々がほぼ壊滅させられ&bold(){複数の国が&color(red){事実上の消滅状態}になった}らしい。 **異世界 治験のエピソードで主人公2人と崎村ゆうが迷い込まされた、現実とは異なる世界。 サルバドール・ダリの絵画「記憶の固執」((柔らかくなって溶けてしまったような時計が描かれた作品。))を彷彿とさせるような奇怪極まる風景及びオブジェクト、異形の住民たちがのさばる謎の空間。 次元の狭間にある特異な空間のようで、『扉』の向こう側は&bold(){「想像もつかない位に素晴らしいことが待っている」}という極めて強力な誘惑が発生している。 もし誘惑に負ける或いは金欲しさ((『扉』を開けた者には謝礼として追加で300万円支払われるとされているが、『扉』を開けた者の末路からすると積極的に開けるよう仕向けられている可能性がある。))に『扉』を開けた場合、世界の真理を知った代償として&bold(){&color(red){存在そのものが消滅し人々から忘れ去られてしまう。}} 扉の先を見た人物曰く「&bold(){住んでいた世界は全くの嘘っぱち}」とのこと。 ただし、扉の誘惑を振り切って&bold(){「何の魅力もなく見ただけでクソと分かる、見覚えのあるドア」}を潜れば現実へ帰還できる。 そしてこの世界にいた記憶は滞在者の脳から忘れ去られる。 今回の裏バイトは主人公2人と崎村ゆう・石見絵里の4名が参加し、途中で『扉』を開けてしまった石見絵里の存在が消されたかのように思われていた。 しかし&bold(){本来の参加者は18名もいて、既に『扉』を開けた14名による参加者の存在・記憶が4人から消えていた状態だった((この世界で和美が見た馬とハイエナはそれぞれユメとゆうだったようだが、他の治験参加者と異世界の住民との関連は不明。))。} 『扉』を開けた者は「開通者」と称され、彼らを通して現実とは異なる次元のデータを観測するのが雇用主たちの目的である。 異世界との接点を持つこの裏バイトは雇用主たちから「Q治験」と称され、その後も「&bold(){Q}」の文字が見られる異世界が関与した裏バイトは現れるが、相互に関係あるかも含めて詳細は不明。 **生き人形 #center(){&bold(){&color(red,black){きゃははははははははは!}}} 人形供養のエピソードで葬儀会社「博愛ノココロ」に預けられ、主人公2人とシャーロット天ノ崎が供養することとなった曰く付きの人形。 預けられた人形は例外なく生き物のように動き回る性質を持つ、所謂生き人形の類。 活動を始めるとすぐさま特定の人間へ纏わり付き始めターゲットにされた者は酷く衰弱、やがて人形の中の存在から身体を奪い取られてしまう。 人形の中にて宿るモノに身体を奪われた人間は、生きた人間が近づかない限り一切身動きしない「人ならざる何か」に成り果てる。 そして人形の「中身」が多いほど、身体を奪われる犠牲者の数は増えていく模様。 ただ少なくとも作中で登場した人形は身体を奪う以外に害意はなく、奪った後ではユメの異能が反応しなくなっていた。 一方で身体を奪われた犠牲者は&bold(){精神が人形の方に入れ替わられる。} そのため身動きや他者との一切の意思疎通が不能となり、&bold(){最終的に会社が行う&color(red,black){「お焚き上げ」}によって生きたまま焼かれ死ぬ。} 「博愛ノココロ」全体が把握しているかは不明だが、「&bold(){2階の部屋に入らない}」ように念押ししてその上で&bold(){人形が肉体に入り込むことを把握}しており&bold(){「え…もしかして…供えてない!? 肉体を!?」「まだ君達は君達!?」}と動揺していたため、少なくとも黒柳はどうなるか分かっていたようだ。 なお、今回の「人形」は何故か入れ替わった後も人間と変わらない振舞いを見せていた。人形が特別だったのか、入れ替わられた天ノ崎が「人形になりたい」という願望を持っていたのが関連しているのかは不明。 **しらかみ様 #center(){&bold(){神を崇める者。神を否定する者。神とはなんの関わりもない者。神はどれを見逃すと思う?} &bold(){答えは全て殺す、だ。}} 自然保護監視員のエピソードで登場した、白銀神山に住まう神…と呼ばれている何か。 全身が真っ白な全裸の女性のような姿をしているが、その顔は&font(b,red,black){縦向きの淀んだ目に左右非対称の鼻の穴、あんぐりと異常なほど大きく開いた口}というかなりおぞましいもの。 そして実は&bold(){個体ではなく群体}であり、白銀神山の山中には&font(b,red,black){一斉に動けば遠目には雪崩のように見えるほど夥しい数の「しらかみ様」}が潜んでいる。 自ら山を下ってくるといったことはないようだが、テリトリーに踏み入ってきた人間に対しては容赦なく襲いかかり、&font(b,red){食い殺してしまう。} そればかりでなく犠牲者は&font(b,red,black){すぐには死ねず、生きたまま体の中身を貪り食われ、次第に痛覚や視覚さえも麻痺し、ホワイトアウトしていく視界の中で何もできず死んでいく恐怖を味わい続ける}という生き地獄を見せられる羽目になる。 地元の人々には神として崇められており、実際超常的な力と狡猾な知性を備えた存在であることは間違いないのだが、後述するように「一度味を覚えた餌に執着する」性質を持っていることなど、その振舞いは神というより&bold(){ヒグマなどの山を寝ぐらにする猛獣}のそれに近いところも。 当初はそこまでタチの悪い存在ではなかったようで、白銀神山にホテルを建設しようとする業者を排除しようと事故を起こすくらいで済んでいたのだが、彼らが&bold(){折り悪く発生した雪崩に巻き込まれてしまった}ことが惨劇の始まり。 多くの作業員を食らったしらかみ様は&bold(){人間の味を覚えて「餌」だと認識するようになってしまい、}&font(b,red){ホテルの建設をあえて妨害せず、より多数の&ruby(餌){人間}が山を訪れるよう仕向けた。} そしてクリスマスの夜、ホテルの主催したパーティにおいて大多数の人間が集まってきたところを見計らい、大挙して襲撃。 しらかみ様の存在を頑なに信じなかったホテルの従業員と経営陣、しらかみ様を敬い抗議のために乗り込んできた地元住民、取材へやってきたテレビクルーや宿泊客など元より何の関わりもなかった人々。 その場にいた人間は、&bold(){&color(red,black){全員等しくしらかみ様に貪り食われた。}} しらかみ様からすれば自らを軽んじようが敬おうが無関心だろうがどうでもよく、人間など餌としか見ていなかったのだった。 **&ruby(ふくのかみ){福ノ神} #center(){&bold(){&color(red,black){カラァンッ}}} 助勤巫女のエピソードで登場した、福音島に出現する怪異。 その呼び名通り、見た目は作務衣を着た福耳の男という世の福の神のイメージと概ね変わらないもの。 ただし顔が異常に大きかったり、人の願いを聞き届ける際に大口を開けて笑ったりと、やはり振る舞いは不気味。 元々は島にあった井戸の水を盗み飲みに来る&bold(){「よく分からないもの」}でしかなく、福ノ神という名前は人間が付けた便宜上の名前に過ぎない。 といってもこれまでに出てきた怪異たちとは違って、福ノ神自体は自ら人を害するような悪意ある怪異ではない。 正体は&bold(){&color(red){井戸の中に供物を捧げると、捧げた者の運を自在にコントロールする力}}を持つ超常的な存在。 供物次第では&bold(){非常識的で不可解な事象}すら引き起こして「捧げた者の願い」を叶えようと力を行使する。 一方、供物を捧げなかったとしても何かしらデメリットがある訳でもないらしく、&bold(){人間が欲をかかなければ}基本的には無害な存在と言える。 なお、好みは清純な女性(処女)のよう。 また供物が自ら身を捧げた場合は、供物自身にも願う権利が与えられる。 その昔、神懸かり的な力を求めた人間たちの間で諍いが絶えなくなり、先人が井戸を中心に神社を建設して容易く福ノ神が近づけないようにしたという。 その時以降「それ」は年に一度、正月となる度に歳神へ扮して姿を見せるようになった。 この性質を欲望と己の利益のため利用したのが、現代の福音島の住民である上級国民たちだった。 しかしながら島民と福ノ神との関係性はあくまでも「店員」と「客」程度の繋がりしかなく、&bold(){運を制御できるほどの存在にとって人間など食えるか食えないか程度の違いがあるのみ。} 更に言えば後述するように、&bold(){200人弱と1人の違いすらもない。}おそらく尺度はそれが願った者にとって幸運か否か程度だろう。 最終的に今回の巫女を生涯の友としていた女性が、自身を生贄に差し出して願いを訴え死亡。 その対価として島民の上級国民を含めた「福ノ神に贄を捧げる儀式」に関わった人間184名を惨たらしく苦しむ形(唐突に発生した末期癌や末期脳腫瘍による病死、隕石の直撃による理不尽な事故死など)で皆殺しにして、願いを成就させた。 **マザー・フィッシュ #center(){&bold(){母親の心音は子供に安らぎを与えるよね。} &bold(){マザー・フィッシュにとって、人間なんて子供みたいなものなのさ。}} 水族館スタッフのエピソードで登場した、水族館MAOを根城とする&bold(){&color(red){超巨大な魚の怪物。}} その巨体は普通の水槽どころか水族館そのものにすら収まりきらず、&font(b,red,black){瞳だけで水槽一面が覆い尽くされる}ほどだが、バックヤードにて自身の能力によって作り出したと思われる超巨大水槽の中を悠々と泳ぎ回っている。 曰く&bold(){「この世ならざるもの」「全生物の母なる存在」}とのことだが、これは後述する「心音」に操られたスタッフの発言であるため本当にそうなのかは不明。 マザー・フィッシュの立てる心音のような音を聞いた人間は、母親の心音を聞いた子供のように安らぎを感じ、間もなく警戒心を失ったりマザー・フィッシュに心酔してその意のままに動くようになったりする。 そうしてバックヤードに入ってきた客や裏バイターは&font(b,red,black){水槽内に引き込まれ、魚たちの餌にされてしまう。} タチの悪いことにかなり悪知恵も働き、バックヤードの担当スタッフを操って&bold(){好みの「エサ」を連れて来させる}といったこともする。 対処法としてはシンプルにヘッドホンや耳栓を使って「心音」を聞かないようにするのが比較的有効だが、マザー・フィッシュ側から目をつけられれば先に触れたように影響された人間を操って引き込みに来るし、影響が強まってくると&font(b,red,black){「心音」が耳栓まで貫通して聞こえるようになる}ため一時しのぎにしかならない。 というわけで&bold(){長く関わろうとせずさっさと逃げる}のが裏バイターにとっての無難な選択肢。 強大かつ狡猾な怪異ではあるものの、幸い安定して餌にもありつけている((バックヤードツアーで1人300万円という莫大な売上が得られるため、水族館側からしてもマザー・フィッシュの存在には旨みがあるのではないかという声もある。ただし客入りの頻度はかなり少ないように見え、その管理のために1人頭時給10万円という莫大な人件費をかけて裏バイターを雇わざるを得ず、正規スタッフにも犠牲が出ている…と水族館側に少なからず負担もかけているため、本当にWin-Winの関係と言えるかは微妙。))おかげか、その魔の手が及ぶのはひとまず館内限定。 操られない内に逃げてしまえばとりあえずは安全に、後腐れなく仕事を終わらせられる。 …といっても普通&bold(){ユメのような異能持ちでもないと「心音」の危険性にはまず気付けない}ので、一般的な裏バイターや知らずにやってくる客にとってはとんでもなく恐ろしい存在であることは間違いない。 &font(#0000ff,u){&font(#ffffff){まだ初登場でキャラが固まりきっていなかったとはいえ、『あの』橙を引き込みかけたことから後々評価が上がりつつある。}} ***&bold(){魚たち} マザー・フィッシュと共に水族館MAOの水槽全体を根城とする人喰い魚たち。 水槽から獲物にできそうな人間を品定めすると[[スイミー]]さながら人間の形になるよう集合。この群れが獲物を誘う疑似餌となる。 標的にされた人間は疑似餌が&bold(){「水族館の水槽で楽しそうに&s(){全裸で}泳ぐ人間」}にしか見えずあたかも水族館の水槽内が楽園であるかのように錯覚し、バックヤードツアーを利用してマザー・フィッシュや彼らの巣食う水槽へ自ら入り込んでしまう。 水槽に入った人間は初めこそ水槽内を天国と言わんばかりの恍惚に満ちた表情で泳ぐが、その後&bold(){&color(red,black){彼らから生きたまま貪り食われて死ぬ。}} ただ、この疑似餌は&bold(){現実に対する強いストレスを感じている}者以外には大して効き目がなく、標的以外には「人型に集まって群れている魚」にしか見えない。 不気味極まりない生態だが、やってること自体は概ね[[チョウチンアンコウ]]と同じ。 **いちょうさん #center(){&bold(){あのね、ウチの学校、こんな噂あるの。&br()むかーし学校で自殺した生徒の霊が出るんだって! &br()今までの用務員さん、皆それ見て辞めたって話!}} #center(){&bold(){&color(red,black){いちょうさん}っていうの。}} 学校用務員のエピソードで登場した、花角中学校に巣食う怪異。 黒いコートを着込み山高帽を被った異様な長身の巨体と、点描で描いたように呆けた顔立ちが特徴的な怪人。 連載版では終始無表情のままだったが、単行本では犠牲者に襲いかかる際は&font(b,red,black){満面の笑み}を浮かべている。 いちょうさんに髪の毛を捧げ、何かしらの約束をした者は1週間それを守り通さねばならず、約束を破った者は&font(b,red){いちょうさんに殺される。} 一応、約束を破ってから殺しに来るまでには多少の時間的猶予((ユメハマの前任の用務員が[[土曜日]]に約束を破り、その後少なくとも翌週月曜日までは生き延びていた描写がある。))があり、その間に他の人間がいちょうさんとの約束を破ればそちらが先に殺される羽目になる。 つまり、他の人間を騙していちょうさんとの約束を破らせることで自分の死を&bold(){先送り}にはできる。 …だがそれも所詮は一時凌ぎ。他に約束をする者がいなければいずれ殺される順番が回ってきてしまうため、&bold(){&color(red,black){生き残るために他人を陥れて生贄にし続けなければならない無間地獄}}に陥ってしまう。 なお、&bold(){約束を守り通したとて特に恩恵がある訳でもない。}それどころか誰かが約束を守り通した場合、&font(b,red){いちょうさんはそれまでに約束を破って生き残っていた人間を全員殺してしまう。} 最初の犠牲者は一体誰なのか、何を思っていちょうさんと何の利益もない約束をしたのかは全くの謎。 生徒の間では死んだ生徒や先生、或いは戦時中に死んだ軍人の霊と噂されていたが、実のところどういった存在なのかも不明。 いちょうさんがどういう目的で、何の意味があってこんなことをしているのかもわからない。 そもそも明確な意思を待っているのかさえもはっきりしない。 本作に登場する怪異たちの大半がこれに当てはまるだろうが、人間の解釈できるような意義などは超越した存在だと言う他ないだろう。 #openclose(show=なんの話って? 名前の由来を聞いたろ?){ #center(){&bold(){&color(red,black){だから、&ruby(いちょう){意超}さんって言うのさ。}}} } **&ruby(きょぞう){虚像} #center(){&bold(){吾妻史郎に関わろうとする人間は、皆例外なく…即死するんです}} 探偵助手のエピソードで登場した、華栄地区・九番街に出現する怪異。 九番街を、毎日死亡事故が発生し続ける&bold(){&color(red,black){「魔の九番街」}}へと変えてしまった元凶。そしてマルチタレント・吾妻史郎が生前目撃していた&bold(){「もう1人の自分」。} 所謂[[ドッペルゲンガー]]の一種で、探偵の八木が掲げた仮説を信じるならば&bold(){「あまりにも数多くの人々の視点により画一化された『スターとしての吾妻史郎』のイメージ」}が勝手に現実世界で実体化を果たしたモノ。 八木は世界各地で伝わる「有名人((エルヴィス・プレスリーや[[マイケル・ジャクソン]]が例に挙げられていた。))の死後に発生する死者の目撃例」も、この虚像と同種の現象によるものだと考えていた。 存在自体が本体を象徴する概念に近いためか、たとえ後ろ姿しか見えていなくても他人は虚像を吾妻だと認識してしまう。 「実在する人物の実体のない虚像」に過ぎないため、誰かに認識されて観測されると消滅しかねない。そのため虚像は自身の存在を守ろうとする性質を持つ。 具体的には&bold(){&color(red,black){「他生物が己を認識した」}}と虚像が気が付き、双方の相互認識が成立した瞬間((具体的には虚像を「吾妻史郎」と認識した上で、虚像の顔を近くで見る・声をかける・虚像とすれ違った後に振り向くetc…という感じ。))、&bold(){漏れなく&color(red,black){「不幸な事故」}という形で[[自身と相互認識を果たした生物を人間動物問わず>バフラヴァーン(黒白のアヴェスター)]][[即死させる。>SCP-096]]} これは悪意でやっている訳でなく一種の防衛反応とされ、八木は&s(){メッチャ早口な}考察の中で&bold(){&color(#FEDCBD,#000000){「虚像そのものが意図的に行なっているのではなく『自然現象や世界の摂理』みたいなものだろう」}}と位置付けている。 …とはいえその力は絶大。 虚像と観測者の相互認識が成立した瞬間、観測した生物に向けてありとあらゆるアクシデント((例:鉄骨の落下による圧死、車に轢かれての事故死。))を強制的に引き起こし観測者を即座に殺害。 不特定多数の人間に観測された場合は&bold(){無人の旅客機}((この機体はどこにも登録されていない物であったため、恐らくパラレルワールドや別次元から呼び込まれたのだろうと推測される。))を具現化し飛行機の墜落事故を招くなど、&bold(){&color(red){物理法則を冒涜するかのように不可思議な現象を巻き起こし観測者を1人として残らず大量殺戮する。}} 何よりも恐ろしいのは、虚像は&bold(){素知らぬ顔で九番街周辺をふらふらと散歩するように歩き回っており、&color(red,black){真正面から近づいてきた虚像とバッタリ出会い相互認識してしまった場合も例外なく殺害対象となる}}点。 一応、裏バイターたちが実施していた尾行のように遠くから後ろ姿だけ見て追う行為はセーフ。 もし虚像と道で正面からすれ違ったとしても、すれ違った人間が虚像を『吾妻史郎』だと気付いていない時や虚像から気付かれる前に遠くへ逃げてしまえば、難を逃れられる。 あくまでも ・&bold(){虚像の近くで観測者との相互認識が成立すること} ・&bold(){虚像に&color(red,black){「自分が見られた」}と気付かれること} が殺害のトリガーとなっている模様。 大体気付かれてから死ぬまでは数秒程度かかるので、その間に観測者が虚像の吾妻の存在を言いふらすなどして存在を広めた場合は被害が加速度的に広まってしまう。 人々から忘れ去られない限り存在を続けるため、虚像がいる限りその虚像を生み出した者の[[生存説]]が囁かれ続け、そして虚像が発生した地域において死亡事故が収まることは永遠に無い。 対抗策としては、別作品の話であるが「噂屋」や「[[虚構推理]]」で行われたような[[噂を相殺する>対抗神話]]などがあるものの、ほぼ凡人の主人公2人ではどうしようもない。 **「&ruby(ゆめのゆ){夢ノ湯}」のお湯 温泉宿スタッフのエピソードで登場した怪異…というか&bold(){&color(red,black){謎の異生物。}} その正体は&bold(){『[[自身に一定時間直接触れた生物の外見・記憶・特徴の全てをコピーし、>ワーム(仮面ライダーカブト)]][[その生物の全盛期の姿を得て>ファントム(仮面ライダーウィザード)]][[現れる生態を持つ液体生物>ホラー(牙狼-GARO- 第1期)]]』。} 温泉街で一番ポピュラーな温泉宿『乳海』の人気の秘訣である若返りの温泉「夢ノ湯」の効能の正体で、その実態は「若返りの温泉」などではなく&bold(){&color(red,black){「謎の異生物と存在が入れ替わられる恐怖の温泉」。}} ただし入れ替わった液体生物自体に悪意は見受けられず、その目的も一切不明。 入れ替わった液体生物は犠牲者の全てを丸々受け継ぎ、傍から見るとただ人間が若返り人生を謳歌しているようにしか見えないため八木が正体を明らかにするまで、誰一人として実体を掴めなかった。 また湯を流して入れ替えると、何処からともなく夢ノ湯が湧いて勝手に元通りになるという。 一方で液体生物に存在を奪われて入れ替わられた被害者は逆に『夢ノ湯のお湯』へ成り果て、&bold(){&color(red){湯や排水管からは液体生物に入れ替わられた人間が助けを求めて踠き苦しむ声}}が小さく響き渡る。 そして入れ替わられ液体化した犠牲者は自身が死なないよう風呂の栓を必死に固定、そしてやってきた清掃人の肉体を奪おうとするも上手くいかずに多くの裏バイターを溺死させてきた。 ユメの異能が反応したのは、この生への足掻きに伴う害意が発端。 そして乳海では&bold(){「一度浸かった夢ノ湯の湯は必ず流せ」}と代々女将から申し継がれ、これまでこの事実は旅館が利益を得るため黙認されていた。 存続させるつもりなら、申し継ぎの中に「家族や知人を浸からせるな」ということも入れておくべきだったろう。 #openclose(show=そして真相を知りこれまで旅館が引き起こした所業に責任を取るべく、女将が旅館へ火を放ち夢ノ湯のお湯を道連れにして心中、夢ノ湯は炎の中に消えた。){    #center(){&bold(){「これだけあればひと商売できる」} &bold(){「どこでやる?」} &bold(){「どこでもいいさ。皆、不老の誘惑には抗えないんだ」}} だが、人間の中には夢ノ湯のお湯の存在を理解して利益を稼ごうと「商売」として悪用するグループも存在。 一定量の液体生物を回収すると、乳海の負の歴史に終止符を打つため火を点けられ炎上してゆく旅館を尻目に新たな場所で乳海と同じ行為によって荒稼ぎを企て、車に乗って彼方へと姿を消した。 } **がまずみ #center(){&bold(){&color(red,black){何でですか? 何で?}} &bold(){&color(red,black){無視するな無視するな無視するな無視するな無視するな無視するな無視するな無視するな無視するな無視するな無視するな無視するな無視するな無視するな無視するな無視するな無視するな無視するな無視するな無視するな無視するな}}} ラジオ局ADのエピソードで登場した怪異。 某県の放送局「Mika Mika[[ラジオ]]」内の番組『水曜日のお悩みボックスアワー』の放送中、リスナーとしてメールを送りつけてくる。 「がまずみ」は所謂ラジオネーム。 その正体は当時パーソナリティだった番組スタッフ・三上に[[つきまとった>ストーカー]]挙句、ラジオ塔から投身自殺したリスナーの&bold(){寺井しのぶ}による怨念らしい。 既に何人もの番組スタッフが犠牲になっているため、その悪名はMikaMikaラジオの局中に轟いており放送開始時間が近づいてくると番組関係者以外は&bold(){一斉に逃げるかの如く退勤してしまう。} それならいっそ[[番組を打ち切ってしまえばいいのに、>打ち切り(テレビ番組]]と言いたくなるところだが何らかの事情により続けざるを得なくなっている様子。 あえて身も蓋もない言い方をすると、&font(b,red,black){「『私を無視しないで』というがまずみの花言葉そのままの、傍迷惑な構ってちゃんにしてモンスタークレーマー」。} 番組に対して執拗にメールを送り付け、他のリスナーからのメールを[[文字化け]]させてでも自身のメールを読ませようとしてくる上、 それでもメールを無視されたりそうでなくても自分の気に入らないことをしたりされると、&bold(){キレてスタッフを攻撃しだす。} 最初のうちは耳障りなノイズを起こす程度だが、怒りのボルテージが上がってくると&font(b,red,black){顔面中の穴という穴から出血させて病院送りにしたり、最悪の場合自分と同じように投身自殺させたり}と洒落にならないことをしでかす。 有効な対処法は番組の終了時間まで「がまずみ」の気を損ねないようメールに応対し続けるのみだが、タチ悪く&bold(){具体的にどんなことが気に障るのかも把握できていない上、送りつけてくるメールの内容も支離滅裂で対応に困るようなものばかり}なのでユメのような異能者でもない限り、一切地雷を踏まずに番組を進行させるのは不可能に近い。 更にはどうやら&bold(){他のラジオ番組にも干渉してくることがあり、リスナーの独り言に割り込むなどの迷惑行為を働いている}らしい。 一応、劇中では「電波を介して干渉してきているのでは」と推察されており、そのためか局内のブレーカーを落とすといった方法で&bold(){その場は}「がまずみ」からの攻撃を回避できるようだ。 #openclose(show=じゃ、これ知ってるか? あの番組が終わらせられない理由。){ #center(){&bold(){以前、打ち切りにしようとした時も、「来た」んだ。}} #center(){&bold(){&color(red,black){がまずみです。前の放送、話があります。}}} 怒りが頂点に達すると、「がまずみ」は&font(b,red,black){実体化してラジオ局へ直々に乗り込んでくる。} その後は何をしでかすかはっきりと描かれていない…が、番組収録中にやらかすことを鑑みるに単なる「抗議」で済まないのは間違いあるまい。 番組を打ち切りにできないのも、そうしようとする度に「がまずみ」が乗り込んでくるからであった。 } **冥界の住人 #center(){&bold(){&color(red,black){「ジューンブライドなんて最高っ。」「死が二人を?」「分かつまで~?」「ノンノン!」}} &bold(){&color(red,black){「死が二人を永遠に結びつける!」「オ~イエッス!」「生者の結婚は最低!」}} &bold(){&color(red,black){「現実は最低!」「九割が汚物で構成されているなり!」「綺麗なものしかみたくないっ!」「死すれば綺麗なまま固定っ。」}}} ブライダルスタッフのエピソードで登場した怪異。 〇〇県の結婚式場『オールスターウエディング』の地下に造られた&bold(){「冥界の門」}((壁を黒く塗り冥界へ見立て、そこに扉を取り付けた物。))から多数現れ、死者と生者の結婚式である「冥婚式」に参列していた。 全員が名状しがたい影の怪物のような奇怪な姿を取るが、現世へ現れる際には生者の肉体を憑代にするようだ。 では彼らが具体的にどういう怪異なのかというと、&bold(){割と不明瞭な点が多い。} 元々怪異の素性や起源が明確には描かれず、読者の想像に任せる形で終わることも多い「裏バイト」だがこの怪異が登場するエピソードはその中でも特に曖昧な部分が多い。 少なくとも冥婚式へ参列するための依代を求め、関わった人間に幻を見せるなど様々な怪現象を起こしていたのは間違いないようだが、それ以上は&font(b,red,black){このエピソードで描かれた惨劇}にどこまでこいつらが関わっているのかはっきりしていない。 この項目では便宜上「冥界の住人」とは呼んでいるが、&bold(){本当に「冥界からやってきた存在」かどうか}すら定かではない。 ただ、概ね確かなのは奴らが&font(b,red,black){冥婚の式場を「遊び場」((単行本で加筆修正されたセリフでこう表現されていた。))にしており、関わる生者たちを弄び嘲笑って楽しんでいる}ということ。 実際劇中で描かれた冥婚式の様子は、参列者からの野次が飛び交うどこか下世話な雰囲気のものになっており少なくともこいつらには&bold(){冥婚を果たした新郎新婦を祝う気持ちは毛頭なく、「面白い見世物」くらいに思っている}ことが察せられる。 劇中では上の台詞のように生者の結婚を「最低」「九割が汚物」と貶し冥婚を褒め称えているが、それすらも冥婚に走る生者を焚き付けるための言葉でしかないのかもしれない。 &s(){そもそもこのセリフが出たシーンはどこまでが現実なのやら分からないような描写になっているので、こいつらが本当にこういうことを言っていたのかどうかすら正直怪しい。} 少なくとも他の一部の怪異のように世界や人類そのものを脅かすような真似はしておらず、それどころか裏バイターにも&bold(){直接的には}そこまでの危害は加えていないものの、タチの悪さという意味ではそれらにも負けず劣らずと言ってもいいだろう。 **ファミリーレストラン・マスト #center(){&bold(){&color(#FEDCBD,#000000){死霊は死の直前の行動を繰り返すと言いますが、これほど大規模なものも珍しい。}} &bold(){&color(#FEDCBD,#000000){本来あったはずの輝かしい未来が来ると信じて「その場」を維持しているが、}} &bold(){&color(#FEDCBD,#000000){&ruby(そこ){未来}に向かうことは永遠に無い。}} &bold(){&color(#FEDCBD,#000000){言ってみれば、彼女達がいる「場」は&color(red,black){地獄のファミリーレストラン}ですな。}}} ファミレス店員のエピソードで登場した怪異。 本編の15年前に[[殺人鬼]]・爆龍真拳がマスト店内で起こした無差別殺人により、 ・犠牲者42人の未来を断たれた無念 ・最初から未来の無かった&s(){山田二郎(38)}爆龍真拳の怨念 から呪われ、&bold(){&color(red){ファミレスの店舗と敷地そのものが怪異と化してしまった}}最悪の事故物件パート2。 そもそも呪われたマスト店舗自体は更地となって既にこの世には存在しておらず((そのため店内の設備は店員を呼び出すボタンが設置されておらず、オーダーの受付け方法も15年前当時の旧式によるものとなっている。))、本編の数年前から6月23日になると突如具現化。 店内に構築された「場」を維持しようと別店舗の新人店員を出向という形で強制的に呼び寄せ、忽然と世界から消えて店員も攫う行為を繰り返していた。 死霊がこれほど大規模な活動を行うのは、八木の知る限りでも珍しいケースらしい。 マスト内部では爆龍真拳が店を訪れ始めてから殺戮を行うまでの6月23〜29日の時間が[[無限ループ]]しており、内部では15年前の死者たちが皆死霊と化して生前と同じ流れを繰り返し続けている。 即ちマストという「場」に取り込まれれば最後、&bold(){&color(red,black){死霊に変えられた挙句マストへ閉じ込められ、永遠に苦しみながら殺され続ける。}} ラクガキのようにぐちゃぐちゃでとても読みづらいが、注目して見ると変貌した際に出るセリフの中には助けを求める声や悲鳴などが書かれている。 死霊たちは「場」を維持するためか普段は生前の姿を保ち生前通りの行動をしているが、時折&font(b,red,black){出鱈目な落書きのように異様な姿になり、ループからの助けを求めて絶叫する}ことがある。 どうやらこれはループを繰り返す中で魂が摩耗していき、形を保ちきれなくなると起こるものであるらしく、八木は推測の中でいずれは消えてしまうのかもしれないと語っている。 マストが人を呼び寄せていた理由は、「場」が消えないよう他店舗の店員を身代わりとするためであったようだ。 取り込まれないためには爆龍真拳を撃退するなど、&bold(){「マスト店内で起きた過去再現の場を乱したり運命を大きく変えるような、普通ではあり得ない非常識な行動を取ること」}のみ。「場」を乱した場合はそこから排斥される形で脱出が可能となる。 マスト内は死と生が曖昧な状況となっており、仮に致命傷を負っても気をしっかり持っていれば痛みは覚えず死んだりもしない。爆龍真拳の貧弱さもあり、制圧は決して不可能ではない。 逆に「場」を乱せなかったり常識的な行動((例:殺される恐怖に怯えて店の敷地から逃げ出す。))を取ってしまうとその時点でマストの「場」に取り込まれ死霊化、無限ループに晒される。 &s(){普通ではあり得ない非常識な行動となると橙が適任なのだが、生憎この回では不在だったのが惜しまれる。} 劇中では初めて対処法が確立された怪異で、本編から数年後も単身で「場」へ送り込まれた裏バイターの姿が描かれている。 八木曰く「裏」の業界でこういったことは滅多にないらしく、生還した主人公2人を&bold(){&color(#FEDCBD,#000000){「お手柄だぞ!」}}と褒め称えている。 **ムッキー #center(){&bold(){「マーマ、マーマ」} &bold(){「んー? どうしたのー?」} &bold(){「見てみて、あそこ。&color(red,black){変なの}いる」}} 空き地探しのエピソードで登場した怪異。 劇中では最後まで名称が明かされず、明かされたのは『ちょい足し』の小話から。 全長約4mほどの[[毛むくじゃらな人型を模したぬいぐるみのような外見>ムック(ポンキッキ)]]で、笑みを浮かべる大きな口とガラス玉のように円らな目が特徴。劇中に登場する子供がムッキーの似顔絵を壁へ飾っており、[[元々は怪異ではない普通のキャラクターだった>チャッキー(チャイルド・プレイ)]]可能性もある。 〇〇県小坂井町に出没し町を出歩く人間を手当たり次第追いかけては、大きな手で握り潰しながら捕まえてくるフィジカル系怪異。 しかも特定条件でワープして追いついているかのように見えたり、速く動くものであればあるほど危険度が増していくらしき描写もある((空き地探しにも[[自転車]]ではなく、徒歩が推奨されている。役所の人曰く「目立つから」。))。 作中では「家に閉じ込められたまま老夫婦によって虐待死した子供の霊魂が、死後自由となって怪異と化しケイドロもどきを楽しんでいる」と考えられていたが、実際は&bold(){&color(red,black){発生理由も行動理念も何もかも謎に包まれた正体不明の存在。}} 唯一確かなのは町を舞台にケイドロもどきで遊んでいるのみで、方向性としてはいちょうさんに近い怪物。 遊ぶのが目的であるためか、捕まえた人間を甚振るといった悪意ある行為は見られない。 小坂井町を常に俯瞰視点で監視できるらしく、出歩いている人間を見つければ追跡を開始。そのため屋根などの上を覆い隠す遮蔽物の下に隠れれば認識されなくなり、難を逃れられる。 見つかり追いつかれた人間は握り潰され、肉体が原型を留めなくなる。しかし犠牲者は出血や死亡はせず暫くは意識を保ち、やがて無傷の状態で町内の家の中へ幽閉されてしまう。なぜ握り潰されても血が出ないのかは劇中で和美が気付いていたようだが、詳細は不明。 そうして犠牲者は&bold(){&color(red,black){永遠に家の外には出られず、他人もその家への進入は不可能となる。}} なお小坂井町は衛星写真で観測しようとした場合、町全体を覆い被さるように子供の影らしきものが映るため衛星写真で安全地帯を探す手段は封じられており、[[ヘリやドローンは真っ先に墜とされ>シン・ゴジラ]]活用もできない。 また、上記の対処法はあくまでムッキーから見つからないようにするためで、ムッキー自身は遮蔽物の下へ入れないという訳ではない((ラストシーンで民家の屋根の下へ潜んでいる姿が確認できる。))。 当初から怪しい子供が描写され、霊能力者っぽい人曰く空き地に埋められた子供の死体を発見して供養すれば解決すると思われていたが、実際に埋まっていたのは&bold(){喜色満面とした笑みを浮かべた}老夫婦の死体だったため解決の見通しは消滅。 ちなみに霊能力者っぽい人は&bold(){単なる詐欺師か何か。} 「衛星写真に影が映る子供が遊びとしてムッキーを操っており、ドローンなどに対して優先的に反応するのはそのため。小坂井町に吹き荒れる台風のような風はその息なのではないか」という考察もあったが真偽は不明。 作者が『ちょい足し』で述べている通り&bold(){「理解し難く、恐ろしい。本当に理解した時、正気でいられるか分からない」}怪異としか言いようがない。 未だにムッキーは小坂井町の中にて巣くっている。しかもラストでは&color(red,black){&bold(){まだ住人が家の中に幽閉されていない別の町にも別個体が出没している}}ような描写がある。 **おおいなるもの #center(){&bold(){母なる海とか、雄大な大自然って表現に疑問を持つ人って一人もいないでしょ。} &bold(){きっと、何か&color(red,black){おおいなるもの}が存在して、私たちの思考や総数を「調整」してるの。} &bold(){そうして秩序を保ってるんだわ。}} 海の家スタッフのエピソードで登場した怪異(?)。 正確な外見は不明だが、一度だけ砂浜に巨大な人型の影が映っている。 &bold(){&color(purple){その圧倒的なスケールからユメの異能すらも全く通用しない}}異次元の存在…というか&font(b,red){「怪異」という言葉で括れるかも怪しい、「大自然の意志」や「神」の如き何か。} 奇形の魚や得体の知れない[[巨大生物]]を海岸に打ち上がらせるくらいのことは序の口で、 不特定多数の人間の思考を調整して支配下に置く、&bold(){生きた人間}を作り出して自身のメッセンジャーとして操るなど、これまでに描かれた怪異たちとは一線を画する力の強大さを見せつけている。 おおいなるものの支配下に置かれた人間は、「夜の海に近づいてはいけない」などのルールを&bold(){無意識下で}当然のこととして受け入れ、自発的に守るようになる。 そしておおいなるものは&font(b,red){自らに支配されない人間を決して許さず、}それらのルールを守らない者に対しては上述したような怪現象を引き起こすことで警告を送り、それでも屈服しなければ&font(b,red){全身をフジツボらしきものに覆われた無惨な姿にされる}(「おおいなるもの」に影響された者には&bold(){「かえった」}とされ当然のこととして処理される)ことになる。 劇中では主人公2人も例外なく支配下に置かれ、「おおいなるもの」の支配へ抗い続けた末に「かえって」しまった海の家のオーナー・江口を目の前にして… #center(){&bold(){「江口さん、かえったのね」} &bold(){&color(gold,#f5f5f5){「うん、良かった」}} &bold(){「ええ、ホント」} &bold(){&color(gold,#f5f5f5){「良かった、良かった」}}} といったリアクションを取ってエピソードは終わってしまった。&font(#0000ff,u){&font(#ffffff){後のエピソードでは何らかの干渉を受けていた自覚はあったらしい描写もされているが。}} ただ、江口をはじめ自身の意に沿わない者に対しては残酷そのものの振舞いをしている一方、主人公2人を含め支配下にある人間たちには特に危害を加えていない。 やり口の執拗さやえげつなさが目立つのも事実ではあるが、江口に対しても長らく実力行使へ出ることなく警告を出すだけに留めており、最終的に痺れを切らして海中に引き摺り込むものの&bold(){彼が屈服の意志を示せば一度は生きたまま地上に送り返す}など、本作の怪異の基準で見ればそれなりに寛大な態度を見せているようなところもある。 「ユメの異能が通用しない」とは上述したものの、それはあくまで「ユメの異能ではおおいなるものによる支配を&bold(){脅威として認識できない}」という意味。 ぶっちゃけ&font(b,red,black){逆らったところでどうしようもない存在}である以上、身の安全だけを考えるなら主人公2人のように&bold(){支配に抵抗せず、ルールを守りながら普通に過ごす}のが今回描かれた業務の最適解。 そういう意味では今回もしっかりユメの異能は機能しているのである。 人間にとってはなすすべもない恐るべき存在ではあるが、&bold(){人間の考える善悪の概念で括りきれないもの}という雰囲気もあり、その点も含めて「神」らしい存在だとも言える。 #openclose(show=夢の対決の果て){ 単行本5巻カバー下ではバディ・ユメちゃんとの夢の対決が実現(?)。 あろうことかあっさり敗北し、&bold(){バディ・ユメちゃんに「おおいなるもの」としての立場を奪われてしまった。}&s(){ギャグだからってやりたい放題だなコイツ…。} 神のような存在であっても結局&bold(){ギャグ補正に敵うものはなし、}ということだろう。もしかすると橙にも勝てないのかもしれない。 バディ・ユメちゃんは前巻で騙されて食べた「とんぶり」を結局気に入ったようで、自由を得たパーティーピーポーたちに定期的な献上を要求した。 } **&ruby(まぐろいし){真黒石} #center(){&b(){&color(red,black){ホホホホホホホホ!}}} 葬儀屋スタッフのエピソードで登場した怪異。 某県鉢巻石村で崇められている御神体の黒い石で、時には小さい漆黒の恵比寿様のようにも変化する。 元々は遥か前に初代村長が河原で拾った一切の光を反射しない謎の黒い石であり、いつの間にかモノリス状に変化すると「死後の世界」の知識を村人へ与え、彼らの価値観を&bold(){「死後の世界こそが素晴らしく、現実世界に価値は無い」}という歪んだものに捻じ曲げた。 村人が先祖代々&b(){&color(red,black){「来るべき年の盆の日に約束の人数を連れて約束の地に旅立つ(=自殺)すること」}}を目的としていたのも、この石の齎した知識が原因。 真黒石自体の素性は「一定人数の自殺者をエネルギーとして集め、元の場所に戻ろうとしている[[宇宙人]]もしくは異世界人的な存在」ではないか、という考察もあるが未確定。 石の与える知識は&bold(){&color(#fcc800){「死後の世界には死んでいなくなってしまった人たちが幸福に暮らしている」}}という極楽のようなものだが、積極的に死を勧めてくるのが特徴。 加えて縁者を夢に差し向け、自殺へ賛同させようと狡く仕掛けてくる。 死後の知識に汚染されると、死ぬのを何よりも好む人格へと変質する。葬儀を楽しいものとして捉え始め一様に笑顔を浮かべつつ萬歳を繰り返しながら祝福し、逆に出産は不幸な現世に生まれた惨憺たることだと嘆き悲しむ。最終的に葬儀ができなくなった際には&bold(){積極的に自殺したがるよう成り果てる。} 我先にと競うように自殺すると名乗り出て、&color(red){&bold(){「手間も省けて一石二鳥」と生きたまま火葬場で自ら焼かれようとする}}者たちの姿は主人公たちと読者を戦慄させた。 #openclose(show=こうして真黒石の神託を受け、村人は全員笑顔で惨たらしい自殺に踏み切り幸福なあの世へと旅立っていった。){ …と記したが、実態として真黒石の齎す「幸福な死後の世界の知識」は&b(){&color(red){真っ赤な嘘。}} 幸福な死の世界を夢見て自殺した者たちは、皆等しく&b(){&color(red,black){死後の世界で地獄の拷問を受け続ける末路}}を辿ることになる。 思考を汚染された鉢巻石村の村民・葬儀屋のスタッフ一同が幸福な死後を夢見て全員自殺する中、真黒石に乗った黒い恵比寿は&b(){&color(red,black){満足気で愉しそうな哄笑}}をしながら地獄絵図と化した村の上空を悠々と飛んでいた。 …ただし、「来るべき年の盆の日に約束の人数を連れて約束の地に旅立つ」のが目的だとするならば、主人公2人と村の少年・颯太の分が足りていないため&bold(){少なくとも今回の目的達成には失敗している。} 事態を打開する発端となったのは、死後の世界で地獄の拷問を受け続けながらも颯太へ真実を伝え、自身と同じ苦しみには巻き込むまいとした颯太の母親による愛情であり&bold(){「母性愛に敗れた怪異」}と言える。 怪異からの脅威や人の悪意、狂気に満ち溢れるこの作品にしては珍しく良い話であった。 生き残れた颯太には健やかに育ってほしいものだ。 なお、作者によれば&bold(){「今回の話で一番怖いのは地獄の死後の世界に行くのは『真黒石に関わった人間なのか』、それとも『死んだら誰でも行くところなのか』は不明」}という点らしい。 &s(){ゾンビィ! せっかく良い話で終わったのに余計な事言うんじゃねぇ!!} …ブライダルスタッフのエピソードで登場した冥界なども存在するので、一択ではないと思いたいところ((後のエピソードで登場した榊原平原の上空から帰ってきた死者たちは贔屓目に見ても拷問を受けていたようには見えないため、「真黒石に関わった人間のみが堕とされる地獄」と考えた方が自然と思われる。))。&s(){冥界がマシなのかはともかく。} } **13番ホーム #center(){&b(){&color(red,black){「聞いて聞いて お話しして 聞いてるぅ? あのね私わたしここでワタシ死…」}}} 駅員バイトのエピソードで登場した怪異。 〇〇県阿迦羽駅構内から進入可能な謎のホーム。 [[9番線と10番線の間の柵を通り抜けるだけで良い「9と3/4番線」>ハリー・ポッターシリーズ(作品)]]と違い、進入にも脱出にも[[複雑怪奇この上ない手順を踏む必要がある。>なぞのばしょ(ポケモン)]] その手順は、和美ですら橙のようなショート寸前になってしまうレベルで複雑&s(){(橙には絶対に辿り着けないと思われる)}((辿り着く人間を増やさないようにするためか、漏洩してはいけないのは前提として文書へ残すのも許されない。ただしこれ以外で13番線に行くルートも存在するため、普通に迷い込んだ一般人や迷信を真に受けてやってくるオカルト掲示板の住人などもいるので誰も立ち入れないよう完全にルートを潰す事はほぼ不可能に近く、ルート次第では橙すら入ってしまう可能性も有り得る。))。 常に深い霧が立ち籠め、運行表看板も人類のものとは思えない異様な文字で書かれている。 特徴としては&b(){&color(red,black){怪異の乗客}}らしきものが出没する点。 落書きのように不気味な顔で、只管駅員へ話しかけようとして一切反応してもらえないとブチギレる重度のかまってちゃん。 ただし電車が到着すると、怒りを露わにしつつも素直に電車へ乗り込んでいく(余談であるが電車内に崎村らしき人物が乗っている描写がある。次女か四女か、それとも長女or三女なのかそもそも本当に崎村なのかは不明)。 なお、この客に僅かでも反応するのは禁じられ、何をされても存在しないものとして認識しなければならない。 反応した場合は&b(){&color(red,black){電車に引き込まれて自身も同じ乗客へと変えられ、生前の記憶を次第に喪失。最終的に全ての記憶を失い、電車へ乗って世界からも消滅してしまう。}} 客が生者へ積極的に話しかける理由は、独りで消えるのは寂しいから寂しくならないよう仲間を求める習性にあるという。 電車が終着駅へ辿り着く前に無理やり飛び降りれば消滅は免れるが、そうして助かったとしても行き着く先は&bold(){これまで自分が暮らしていた世界と似て非なる[[パラレルワールド]]}である。 パラレルワールドに迷い込んでしまった後、元の世界でその人間がどう扱われるかは不明((帰還したユメに対する望・ミライの反応から、存在自体が抹消された訳ではなく「帰れない事態が発生した」という認識はされていたようだ。))。 **富岡Qランドのマスコットたち #center(){&bold(){夢も希望も与えちゃう~ヘイッッ!}} #center(){&bold(){不可能なんて無い、なんでもできちゃう、なんでもござれ~}} #center(){&b(){&color(red,black){君たち人間とは違うのさ♪}}} 遊園地スタッフのエピソードで登場した、並行世界の日本にある遊園地「富岡Qランド」を根城とする怪異。 マスコットの着ぐるみを着ているが、その下はウサきゅうを含めた&bold(){全員が人身獣面の人ならざる存在。} 名前は判明しているだけでも「ウサきゅう」「クマきゅう」「ネズきゅう」の3体。 他者の時間を餌としており、時間を自在に操る強大な力を持つが故に総じて人間を餌と見做し露骨に扱き下ろす傲慢な性分。 動物を模した被り物を着用して遊園地のマスコットに扮しながら園内を監視しており、ターゲットとなる「現実が辛いと感じる人間の大人」へナイトパレードの光を浴びせ子供まで退行させて魅了。 「退行」した大人や裏切り者をテリトリーである「慈愛の塔」へ送らせ、そして&b(){&color(red,black){胎児まで退行させてからそのまま喰らう。}} なお、無理やり時間を退行させて大人を子供へ変えた場合、味が劣化するという理由から強行策を取るのは消極的。 生態や人間を陥れる手段などから本質的にはマザー・フィッシュに近いものがある。 当初は自分たちの存在を探ろうとした主人公2人や並行世界の八木を捕らえ、制裁ついでに捕食しようと企んでいたが2人は前回のエピソードによって並行世界からやってきていたため、10日前まで逆行させた段階で2人が元の世界へ帰還((その際の発言からマスコットたちは平行世界の存在を把握している模様。))。 まんまと見下していた2人から出し抜かれる形となった。&s(){八木さんは死にました。} #center(){&bold(){&color(red,black){不可能なんて無い~♪}}} しかしその後、主人公2人が帰還した元の世界にあった遊園地で&bold(){&color(red,black){ウサきゅうと同じ姿の着ぐるみがしれっと登場する}}形で物語は終了。 2人に逃げられた並行世界のウサきゅうがキレてわざわざ追いかけて来たのか、それともそれぞれの世界にウサきゅうたちと同種の怪異がいるのか、元の世界のウサきゅうは並行世界と違って善玉なのでは、実は単なる着ぐるみでは、幼少期のユメへ声をかけたマスコットとの関係は…などと読者を混乱させたが、とどのつまり確実なことは何も分からないままという相変わらずのビターなオチであった。 **オヨツ #center(){#bold(){苦しみ抜いた松は獄中で自害した。 「オヨツがやった」「オヨツが自分にやらせた」 松が死の間際に書いた遺言である。 遺言には続きがあった。 「しかし真に恐ろしいのは…」 &color(red,black){「オヨツの仕業ではなく、あれが私の本心ではないか、という疑念である」}}} キャンプ場バイトのエピソードで登場した怪異。〇〇県ひかりキャンプ場の森の奥にて棲んでいた。 ひかりキャンプ場のある地方では「殺苦松」という名前で伝承が残され、四国にもオヨツと同じ怪異の伝承が存在するという。 真っ黒く煤けた肌をした中年男性のような風貌をしている。 人へ取り憑く性質があり、&bold(){&color(red,black){憑かれた人間が心の奥底に秘めた小さな悪意や負の感情を増大させ、殺人を引き起こさせる邪悪な怪異。}} ほんの些細な不平不満であっても、オヨツに憑かれると&bold(){その不平不満を動機として躊躇いなく他人を惨殺できるほどの強い悪意へと昇華される((例:年下の他人に話しかけたら無視されたので殺した、相手に信仰心が感じられないので殺した。))}。 オヨツによって憑かれている間は本人の意識がほとんど失われ、結果凶行を終えた後は正気へ戻って茫然自失と化す。 憑かれた人間は表情が異質なものへと変容するが、逆を言えばそれ以外に区別は不可能。 しかし最大の問題は、オヨツに憑依された人間の近くに誰かが近寄ると&bold(){&color(red,black){その近寄った人間へオヨツが憑依してしまうこと。}}このため昔の人間は大いにオヨツを畏れたという。 劇中ではキャンプ場に訪れた泉豊へ憑依し、深層心理に眠る他者への不平不満を殺意に変えて&color(#F54738){連続殺人を実行させていた}が、妻である加奈子が夫の罪を高田へ被せるためキャンプ場にいた人間を口封じとして全員殺そうと決心((この時、加奈子はまだ素面である。))、オヨツの次の憑き先であった蟻村を殺したところでオヨツが今度は加奈子へと転移し、加奈子は助けようとしていたはずの夫を殺害してそのままキャンプ場の外へと進出。 その後、加奈子を逮捕・聴取していた警官に転移して加奈子を射殺させ、&bold(){&color(red,black){オヨツは人間社会へ伝播していった。}} 結果として裏バイト世界では、オヨツの影響なのか&bold(){「何者か」によって老若男女が犠牲にされる凶悪殺人事件が多発する羽目となる。} 特徴が「殺害の一歩手前である殺意を増幅させる」ことからか、名称は「殺す(コロス)」の文字を五十音表でそれぞれ横に一字ズラしたものになっている。 **覗き魔 映像編集のエピソードで登場した、映像業界で有名とされる怪異。 外見は惚け顔で額の禿げ上がった小太りの中年男性と、おどろおどろしさはまるで皆無。 映像記録媒体に写り込むことで怪談扱いされており、業界内では&bold(){「編集で覗き魔を消すと実体化して殺される」}と噂され恐れられている。 だがその実態は寧ろ真逆で、&bold(){&color(red){覗き魔が写り込んだ映像媒体を基点に、覗き魔の視界から対象が離れると実体化して対象を襲う}}というのが覗き魔の真実。 そのため、覗き魔に見られている状態で[[パソコン]]の画面から離れてしまえばアウトとなる。 実体化した覗き魔は外見こそ冴えない中年だが、身の丈は2m近い巨漢。 実体化を果たした覗き魔から襲われた人間は&bold(){&color(red,black){映像媒体へ永遠に取り込まれ、コマ送りにすると悍ましい苦悶の表情を浮かべた姿を一瞬だけ見せるようになる。}} 対処方法は&bold(){覗き魔から映像越しで見られている間に編集作業で覗き魔の姿を削除すること。}ただし、この手段も別のパソコンから多角的に覗き魔から見られていればアウト。 マストに次いで数少ない明確な対処方法が確立された怪異であるが、その事実は主人公2人以外に伝わることはなかった。 その後は編集作業による削除を逃れたのか、完成したCMに一瞬映り込んでいる「誰も知らないオッサン」として覗き魔と犠牲者の姿の目撃談が[[都市伝説]]の如く語られるようになってしまった…。 **エヴァルス #center(){&bold(){&color(red,black){「クスクス」「フフッ」「クスクス」}}} 農業手伝いのエピソードで登場した、〇〇県織田ファームで栽培されている新種の果物。 …という名目だが実際は別次元の世界にあると思わしき果実。 外観はハニカム状の紋様が浮かび、ルビーレッドに輝く宝石のような果皮が特徴的。 果実自体に知性が備わっているようで、絶えず畑へ迷い込んだ生物を嘲笑うかのような笑い方をしている。 その正体は&bold(){&color(red){知恵の実の逆バージョン。}} 食した者の自我を侵食して肉体を乗っ取り、食べた者へ成り代わる性質を持つ。 エヴァルスに乗っ取られた人間の表皮にはうっすらエヴァルスと同種の紋様が浮かぶので、そこで一応区別できるが普通に見ただけで判別は限りなく不可能に近い。 逆に食べた者は退化し、目から虹が溢れ出すかのような演出の末に自我は後述の「猿」となって体外に排出されてしまう。 食べた量に比例して侵食度が上がっていくため、一応1〜2口程度齧っただけなら猿に堕ちたりはしない…が、調子に乗れば自我を侵食され猿化する。 こうして人間の肉体と知識を得たエヴァルスは、仲間を増やすため人間の文明技術をフル活用してエヴァルスの被食を推し進めていく。 劇中では動画サイトやSNSを活用することで&bold(){「織田ファームだけで食べられる極上の絶品フルーツ」}として情報を拡散させていた。 裏バイターを利用しての収穫も、全てエヴァルスが自身の被食者を広めるために仕組んだ工作の一環である。 ただし、あくまでもそういった「生態」の植物故、エヴァルス自体に人間を脅かすような悪意はない。 そもそも果実は&bold(){「繁殖戦略として動物の食料になる部分を種子の周りに発達させ、食べられることにより動物の体内を通じて種子の散布を行う目的のため進化したもの」}だと考えられており、エヴァルスの進化もその矛先が人類などの知的生命体に特化したものなのかもしれない。 よってユメの異能が効かないタイプの怪異である。 なお、エヴァルスが群生する畑は&bold(){&color(red,black){炎天下の真夏日を彷彿とさせる猛暑が絶えない異界}}で、暑さに負けて果実を食べやすくなるよう仕向けられ環境からしてエヴァルスには好都合となっている。 作者曰く「エヴァ畑視点では人間界も次元の一つに過ぎない」。 名前の由来は奴隷を意味する英語・slaveの逆読み。 ***猿 #center(){#bold(){俺が果実を食べたんじゃない! 果実が俺の中に入り込んだんだ! なんだ!? 無くなった俺はどこに行こうと…!? 嫌だ、人間じゃなくなる!! 退化する! 退化しちゃうぅぅ! 嫌だ嫌だ[[サルになりたくない>たま(バンド)]]サルになりたくないあああああああぁぁぁぁぁ あああっ、あっ、あっ、あっ…}} &bold(){&color(red,black){エヴァルスを食べてしまった愚かな人間の末路。}} エヴァルスを食べ、自我が体外に「排出」されてしまった犠牲者の成れの果て。 見た目は黒くて醜い毛むくじゃらな猿であり、個体間の外見的違いはほぼない。 ただしサイズ差はあり、中には巨人サイズの猿もいる。 猿となった時点で知性や記憶が著しく退化している上に肉体も貧弱化、自分自身の事や人間だった頃の記憶すらまともに思い出せなくなり&bold(){寿命の概念すら失ってしまう。} &bold(){&color(red,black){「逆知恵の実を食べた愚かな人類は憐れにも猿に逆戻りしてしまいました」}}とは作者の談。 ただし、エヴァルスの存在を脅威に感じるというのは意識に残っており、&bold(){&color(red){「この果実を畑から出すな!!」}}という使命感のような欲求に突き動かされエヴァルスを収穫しようとした裏バイターたちからエヴァルスの実を奪い、作業を妨害していた。 よって彼らも悪意で動くタイプの怪異ではなかった…が、猿たちの奮闘も虚しく裏バイターの労力を借りて収穫されたエヴァルスは無事現代社会へと出荷。 Instagramなどを経由して話題となり、更にはテレビを介して新たなブームの火種となる形で流通してしまった。 エヴァルスたちが収穫に向かわないのは、微かながら自我のある猿たちとその身体を奪い去った自分たちが遭遇すれば、妨害でなく殺意を持った襲撃を喰らいかねないからと思われる。 なお作者によれば&bold(){「存在が摂理に反している」}らしく、猿となった時点で人間界には存在できなくなり&bold(){&color(red,black){世界から追放された挙句エヴァルスの畑に事実上幽閉され、数千年以上の時を猿のままエヴァルスの実を守るためだけに生き永らえる羽目となる。}} 作者曰く&bold(){「奴隷の如く、農作物を人間共の悪しき手から守るのだ!」「もしかしたらエヴァルスの犠牲になったのは人間だけではないのかも知れませんね」}。 前者の言及は猿たちの行動理由と相反するように見えるが、実はそうでもない。 エヴァルスにとって最も不都合な事態は、世界中に蔓延らず一部の人間だけで食い尽くされてしまうこと。 そのため繁殖のペースと合わせて果実を持ち出す必要があり、盗人から好き勝手に持ち出されないよう番人が必要なのだ。 つまり猿たちが必死になって人間世界を守ろうとする行動は、皮肉にもエヴァルスにとって都合が良いという話になってしまう。下手をしたらそこまで計算してわざと自我を残している可能性もある。 **マダライツヅ #center(){&bold(){おお、おお、マダライツヅ様、ご転生おめでとうございます。} &bold(){世に蔓延る人間共諸君を、何卒終末へとお導きください。}} 探偵助手2のエピソードで登場した、とある古民家で生み出された「何か」。 仲の悪い双子を民家の密室で&bold(){[[蠱毒]]の要領に則って殺し合わせ続ける事で顕現したモノ。} 転生後の外見は死んだように虚ろな目をした全身血塗れの子供で、転生前と思わしき姿は髪が真ん中分けされた中年女性。 その性質上殺意の塊だったようで、久々にユメの異能をダイレクトに刺激させた怪異。 作者の談によれば時間の流れが狂っていたらしく、閉じ込められていた密室の中では数十年の時間が経っていた様子。 マダライツヅのいた2階の最深部は4つの扉と3つの和室で囲まれており、原理的には蠱毒の壺と蓋を民家で再現したもの。各部屋の壁は真っ白なお札で埋め尽くされている。 今回の依頼人は、探偵を雇ってわざと和室の扉を開かせることで封印を解除させていた。 なお扉を開けると&bold(){&color(red,black){有無を言わせず開けた人間の全身が木っ端微塵に砕かれ、壁に人型の染みと化してこびり付く。}}当然即死である。 依頼人の言動から察するに、何の変哲もない民家自体が儀式の場であり兄弟もマダライツヅの依代となる跡目争いのため、熾烈を極めた仁義なき殺し合いを実行していた模様((子供部屋の壁には相手を罵倒する言葉が書き込まれており、「おまえはえらばれないよ」と跡目争いを思わせるものもある。また、兄弟のどちらかの名前は「アキラ」である模様。))。 なお依頼主は、ノコノコと依頼を引き受ける探偵たちを&bold(){「この家がどんなに恐ろしいか何も知らん」}と冷たく評していたとはいえ、犠牲になった探偵たちを侮辱する気はなかったようで彼らの遺影を&bold(){英霊として}部屋に飾っていた。 作者曰く&bold(){&color(red,black){「苦労の甲斐あって、無事マダライツヅ様がご降臨なされたので人類は滅亡します。その粛清は慈愛なのです」}}。 今回のエピソードの結果、&bold(){&color(red){いつの日か人類がマダライツヅによって皆殺しにされることが決まったようだ。}} 幸い、具体的にいつその日になるのかは不明。ファミレスや天体観測、ベビーシッターのエピソードを踏まえると現状約100年先ほど粛清は起こっていない模様。 たった数人の生贄で人類を滅ぼしてくれるとはえらく気前のいい神だが、その執行自体は気まぐれなのかもしれない。 名前の由来は&s(){そのあまりにもな仕事の遅さから}「未だ未来続く」を改変したものだと思われる。 **&ruby(さかきばらへいげん){榊原平原} #center(){&bold(){外を見てみろ! 凄いぞ! 今す&color(red,black){グ}見ろ!} &bold(){&color(red,black){早ク見ロ! みろ見ロミロ}} &bold(){&color(red,black){見ロロロロロロロロロロロロ路路ロロロ炉六炉}} &bold(){&color(red,black){見ロ見ロ見ロ見ロ見ロ見ロ見ロ見ロ見ロ見ロ見ロ見ロ見ロ見ロ見ロ}}} 気象観測のエピソードで登場した、何の因果か別次元の異世界と繋がってしまった平原。 曰く&bold(){「死後の世界」}。 [[UFO>未確認飛行物体(UFO)]]・フライングヒューマノイド・空飛ぶ馬といったメジャーな空にまつわるオカルト話は、この平原と繋がってしまった世界の一端が漏れ出して垣間見えただけだとか。 何故か過去に死んだはずの人間が落下死してくるが、その平原自体に危険度はない。 ただし、空を飛んだりうっかり長時間空を観測してしまったりといった場合は話が別であり、虚空のような空間では&bold(){&color(red,black){何か大いなる存在が逆にこの世界を観測している。}} その観測者から逆に観測されてしまった場合、空へと連れ去られ何処かに消えてしまう。 気球などの飛行物へ乗ろうものなら一定高度まで達した際に外を見ただけでアウトとなるため、うっかり気球で空に昇った場合ひたすら空を見ず目隠ししたまま、降下するまでやり過ごさなければならない。 一応人類が観測しなければ、あちらからも全く干渉されないのは唯一の救いであろうか。 それよりも問題は&bold(){「死体が空から落ちてきた」}という一点で、後日談では観測日数×××日目((連載時は数百日後となっていたが、単行本化の際に変更された。))に&bold(){&color(red,black){平原の空から多くの異世界人(或いは死後の世界の住民)が移住のため舞い降りることになる。}} &s(){鞄とか虚像とかエヴァルスとかマダライツヅ様とか危険な怪異で溢れる世界に移住…? 正気か…!?} なお、今回の給料袋の隅に「&bold(){Q}」の文字があったため治験や遊園地バイトの異世界と何らかの関係があると思われたものの、結局詳細は分からないいつものパターンでバイトは幕を閉じた。 #center(){&bold(){&color(red,black){観測ノ結果…移住ハ可能デあると思われまス。}} &bold(){&color(red,black){カエろう。かエロう。かエろウ。カエろう。かエロう。かエろウ。}} &bold(){&color(red,black){タダイマ。}}} **&ruby(げだつねこ){解脱猫} #center(){&bold(){&ruby(・・){納期}も迫ってきてるし、バカ共を売りに出そう。} &bold(){&color(red,black){「人生レンタル」}の始まりだ!}} 人材レンタルのエピソードで登場した、〇〇都静川区の人材レンタル会社「宮崎レンタル」で用いられていた&bold(){呪具。} 形状は非常に小さいサイズの不気味な招き猫で、ポーズも通常の物と異なり両腕を互い違いに突き出している。 &bold(){「自分(の意志)を殺して役になり切る」}人間に影響を及ぼす波動を発しており、これに曝されたまま役を演じ続けることで自己の存在が次第に希薄となっていく。 そのまま1か月ほど断続的に曝露と演技を続けていると、最終的に&bold(){&color(red,black){肉体そのものが消滅する。}} 肉体が消滅する予兆は&bold(){「自己の分裂((精神的な意味ではなく、ドッペルゲンガーのように同じ人物が2人以上同時に現れる。))」「肉体の歪み」。} そして肉体消滅を促す最終段階として、依頼人の求める故人へ完璧になりきった演技をさせる「人生レンタル」が行われる。 これによって肉体が消滅しても戸籍や資産などの生きた証はそのままなので、&bold(){&color(red,black){犠牲者の残ったモノを裏で顧客に売り捌く行為}}こそが宮崎レンタルの本業となる((人材レンタルの利益についても、波動をモロに受け続けると給料日前に肉体が消滅するため、裏バイターは実質タダ働きとなり会社は丸儲けできる仕組みになっている。))。 作業を円滑にするため支給品の社用端末へ解脱猫を仕込んで波動を浴びせ続けており、からくりを見破れなかった場合は当然死が確定する。 …のだが、逆に言えば解脱猫自体は単なる波動発生装置に過ぎず、端末本体と手で外せるケースの間に隠されているだけなので簡単に無効化できる。 本編においても初日にあっさりと存在を看破され、会社による謀略は失敗。納期へ間に合わなかった埋め合わせとして社長たちが戸籍と資産を奪われる羽目になった((なお、後の「ホテル従業員」エピソードでのオチにて戸籍を奪った件は役所にバレたことが明かされている。))。 歴代でもトップクラスに対処しやすい部類の怪異と言える((ただし、この「対処しやすい」というのはユメの能力あっての評価であり、何ら力を持たない普通の裏バイターはたまたま端末を落とすなどしない限りは発見すら不可能。現に和美と大熊は気付けておらず、後者に至っては端末の匂いを嗅いでいた。))。 &font(#0000ff,u){&font(#ffffff){尤も、本エピソードは怪異関係とは別ベクトルで戦慄の結末を迎えたのだが…。}} **&ruby(おたき){小滝} #center(){&bold(){&color(red,black){殺してやる…呪ってやる、外道共。}} &bold(){&color(red,black){琉馬の一族は根絶やしじゃ、覚悟しておれ。この怨み晴らさでおくべきか…}} &bold(){&color(red,black){晴らさでおくべきか、晴らさでおくべきか、晴らさでおくべきか、晴らさでおくべきか、晴らさでおくべきか、晴らさでおくべきか、晴らさでおくべきか…}}} 料亭スタッフのエピソードで登場した怪異。 琉馬一族が経営する、江戸時代から続く料亭・琉馬に巣食う怨霊。元は江戸時代の奉公人だったが、当時の一族の2人が後継者争いをしていた中で一方が相手を絞殺した瞬間を不意に目撃してしまった。 小滝は口封じのため座敷牢へ閉じ込められた挙句罪を擦り付けられ、逆さ吊りに遭い惨殺された末に怨霊と化した。 小滝がいる部屋は&bold(){「開かずの間」}と呼ばれ、その部屋に入った者に自身の受けた仕打ちと同じ苦しみを与えて殺害する&bold(){&color(red,black){「逆さ吊りの呪い」}}をかけてしまう。 呪われた者には&bold(){「死相」}と呼ばれる血痕のような痣が顔に発生。 「死相」が発生した段階で熱病に侵されたかのような体調不良を患った後、暫くしてから生きたまま逆さ吊りにされ苦悶の中で死んでいく。 おまけに小滝は40以上ある料亭の各部屋をランダムで移動するため「開かずの間」は一日の間でも次々に変化する。 なので小滝のいる部屋の有無は、扉へ触れた時にのみ聴こえてくる&bold(){&color(red,black){「開けて」}}という小滝の声で判断するしかない。 しかし、既に人がいる部屋でも小滝が移動してきて「開かずの間」となる場合もあるため、声がしなかった部屋なら安全と言い切れる訳でもない。 仮に呪われた場合は呪いが発動して死亡するまでの短い時間の中で「開かずの間」を探し出し、もう一度入ることで「&bold(){逆さ吊りの逆さ=正常な状態}」とする以外に回避の手段は無い。 #openclose(show=とはいえ解決方法が明確に発見されるなど、怪異の中では割と攻略難易度は低いと考えられる。){ #center(){&bold(){&color(#FEDCBD,#000000){生き馬の目を抜く外道連中が跳梁跋扈する世界だ。}} &bold(){&color(#FEDCBD,#000000){なにしろ件の小滝などは、怨みを晴らすどころか…}} &bold(){&color(#FEDCBD,#000000){死してなお、後継争いに利用されているくらいだからな。}} &bold(){&color(purple){ギャハハハハ!}}} その実態は今作初の&bold(){&color(red){人間を脅かすどころか、人間からやりたい放題に利用されまくっている被害者枠の怪異。}} 琉馬一族の後継者候補である三兄妹にとって小滝は鉄砲玉扱いに近く、&bold(){&color(red,black){裏バイターを利用して小滝や呪いの習性・法則を調査しつつ、小滝の呪いを使って互いに殺し合う}}骨肉の争いを仕掛け続けている。 そのため三兄妹は >・&bold(){小滝の声を聴いた側:従業員を利用して「お客様からの呼び出しの伝言」という形で邪魔な兄妹を「開かずの間」に向かわせるよう仕向ける。} >・&bold(){伝言を聴いた側:自分の命を保証するため、裏バイターや他の従業員を疑惑の部屋に向かわせて安全確認(および呪いの身代わり)。} という流れで日々騙し合い及び殺し合いを繰り広げている。作者によれば一応お客様の安全確認も兼ねているとか。 そのため小滝の法則が新たに判明したのが他の家族に漏れるのは都合が悪く、小滝の呪いから生き延びてしまった場合は早急にクビ扱いで料亭から追い出される。 裏バイターを生贄にして調べた内容は移動パターン、移動頻度、呪いや死相の個人差、コミュニケーション能力の有無、好きな食べ物、異性の好みなど多彩。 現在では長年の研究の末、&bold(){声を聴く前から「開かずの間」か否かを判別できるようになっている}など目覚ましい進歩を遂げたという。 三兄妹に監禁されている父親は&bold(){&color(red,black){「(長男が当主になっても)当主を引き摺り落とす殺し合いが続くのだ。延々と。最後の一人となっても」}}と脅えながら述懐している。 ちなみに、現当主である三兄妹の父親もこの呪いを利用した蹴落とし合いを勝ち残って当主になっているあたり、小滝の呪いを利用した殺し合いは遥か昔から続いている模様。 } **&ruby(とくいしゃりょう){特異車両} #center(){&bold(){&color(red,black){それ}を見た者は、恐怖のあまり、発狂してしまう者もいるという。}} 交通量調査のエピソードで登場した、赤刃トンネルに出没する怪異。 便宜上「車両」と呼ばれてはいるものの、実際は「車両」どころか特定の形すら取っておらず、走る%%変態%%人型、車に取り憑く%%アクセサリー%%老婆、行列を成す%%干し柿%%生首といった様々なタイプが存在する。 具体的な性質については不明だが、「対処に手間取ると調査員もただでは済まない」らしく少なくとも安全な怪異という訳ではないらしい((前述の通り見た目が千差万別である事を考えると、そもそも性質からして異なっている可能性もある。))。 中でも通称「超・異質特異車両」と呼ばれる%%ぶどう%%集合霊は&bold(){&color(red,black){見ただけで発狂の可能性がある}}極めて危険な存在となっている。 その正体は、ネット上の噂として広まっている「&bold(){最恐の心霊スポット}」という赤刃トンネルへの「畏れ」が集まって形成された存在。 毎年特定の時期になると赤刃トンネルから溢れ出し、周囲へと流出していくという。 既に対処法が確立されている怪異でもあり、遭遇したとしてもすぐに&bold(){「これは心霊現象ではない」}という別の概念を定義づけてしまえば無害化が可能。 定義づける概念は何でも良く、その場で「これは〇〇である」と恐れることなく&bold(){確信を持って認定されてしまう}と「畏れ」が無くなって存在を保てなくなり、断末魔を上げながら消滅する。 %%どう見ても巨大な生首以外の何物でもない奴を「みかん」認定しても有効だったりと、何なら実態に即している必要すらない。%% 逆を言えば、特異車両を少しでも恐れて定義づけできない場合はアウト。&bold(){数多の特異車両を恐れず観測し続けられる強靭な胆力と精神力が求められる、「逃げ出したら逆にアウト」なタイプの怪異}である。 その一方で&b(){定義づけを「対処法」だと知っている=「心霊現象である」と既に定義づけて認識している人間では、逆に対処できない}という矛盾めいた性質も持つ。 そのため、対処法は何も知らない人間へ危険性を伝えずに行わせなければならない。 赤刃トンネルの周辺では特異車両の流出を防ぐため、交通量調査の名目で毎年裏バイターを派遣して%%明らかに無駄に%%様々な種類が用意された大量のカウンターによって定義づけを行わせている。 作中では%%応募してきた唯一の%%派遣された裏バイターがよりにもよって&bold(){通常の車両の定義の時点で怪しい&font(#ffb74c){橙}}だったため、&bold(){怪異だと気付かれることすらなく}あっさり全滅した。 主人公2人%%もしくは橙より知能が高い大多数の人間%%では遭遇した際に怪異だと定義づけてしまった可能性が高いため、これに関しては橙のお手柄。&s(){それと同時に橙と和美がこっそり密造酒を造っていたのもユメにバレてしまい、後で和美からユメに叱られた八つ当たりをされるのはほぼ確定。} 余談ながら走行する車両の中には、車体にて織田ファームによるエヴァルスの宣伝広告が描かれた%%ノリが軽いから軽%%車両が存在した。&bold(){エヴァルスの生息域拡大は着々と進んでいるようだ。} 特異車両の幾つかが果物に定義づけられていた旨は多分関係ない。 **デザイナー(異形人類) #center(){&bold(){何かが変わっている気がする。そんな気がする。} &bold(){でも、少し考えて気のせいだろうと思う。誰にでもある。} &bold(){何かが変わっている。でも誰もそれを知らない。}} 遺跡発掘調査補助員のエピソードで登場した怪異…を超えたモノ。&bold(){&color(red){『裏バイト:逃亡禁止』の世界の神の如き上位存在。}} 作中では白骨で出現したが、眼窟部分が雪の結晶みたいな異形の形状になっている以外は骨格含め人間そのもの。&bold(){「もしかしたら元々白骨の姿だったのかもしれない」}とも考えられている。 デザイナーは自分たちにとって不都合な歴史や事象が生じると、全てを消し去りもう一度「ある地点」からやり直す形で歴史をリセットしている。 よってこの世界の歴史とは&bold(){&color(red,black){「何度も修正され続け、デザイナーの意図でデザインされた予定調和の歴史」}}でしかない。 ざっくり言えば&bold(){[[裏バイト版歴史の道標。>女カ(藤崎竜版封神演義)]]}やっていること自体は&bold(){「歴史のリセマラ」}と考えるとそれなりに飲み込みやすいかもしれない。 この「ある地点」からやり直される際、その引き金を引いてしまった(今回のエピソードで言えば、異形人類やその所業を掘り当てた、或いは見た)人間は&bold(){&color(red,black){全員例外なく死亡し、デザイナーによって書き換えられた新たな人物が配置される。}} 作者が本エピソードを&bold(){&color(red,black){「致死率100%」}}と謳っていたのはこの現象が理由。 …とはいえこの歴史操作は何の証拠も残らない訳ではないようで、地中にはリセットされる前の残滓として引き金を引いた者(今回の場合は異形人類の化石を発掘した者)の石像らしきものが残される。 そしてこの石像を掘り起こせばそれが消される前の自分自身であること、デザイナーとそれが行なってきた歴史改変の存在を知覚できる。 だがそれをしたが最後、&bold(){デザイナーは「歴史のリセット」を行い、それまでの全ての歴史が消え新たな世界が生み出される。}(言うなれば歴史のアンインストール→再インストール) 発掘調査に携わっていた平川他研究員は全員これによって死亡し新たな存在が割り当てられていたが、平川は掘り起こした石像(=前の世界の自分自身)により上記の現象を察知する。 それによって平川は&bold(){「我々が歴史と呼んでいたものは茶番だったんだ。予定調和しか起きない」}とSAN値が激減してしまった。 他の研究員は真実に耐えられず須く発狂したと思われる。 今回の裏バイトでは何の因果かうっかり異形人類の白骨が掘り起こされてしまい、主人公2人と平川たちはそれに伴って発生する怪奇現象に巻き込まれてしまった。 そんな異形人類の白骨が引き起こす怪奇現象の解決法とは、掘り起こされた白骨の破壊。 #openclose(show=完全に絶望していた平川も和美の発破で立ち直り、上位人類への決別も込めてデザイナーの白骨を破壊した事で事件は解決した。){ …とまあここまでなら漫画の王道パターンだが、&bold(){&color(red,black){そんな人類にとって虫の良い感動の解決など起こり得ない}}のが裏バイト世界。 平川による必死の足掻きも上位人類たるデザイナーには何の意味も為さず、『遺跡発掘調査補助員』という裏バイトは&bold(){存在そのものが歴史から抹消。} 『どこかのホテルでの裏バイト』という内容に世界は呆気なく書き換えられ、デザイナーを破壊しようとした平川は主人公2人の記憶だけでなく&bold(){世界からも消し去られた。} この際、どうやら&bold(){日本(或いは地球?)の創生からやり直した}らしくついでに何か気に食わないところがあったのか、 ・&bold(){北海道の地形が左右逆さまに変更。} ・&bold(){千葉県の銚子付近の地形が消滅。} といった形に世界そのものが変更。世界と歴史は&bold(){「そういったもの」}と定められ、穏やかに本エピソードは終わった。 #co{ //これまでのエピソードでも -最初の仕事であるホールスタッフで2人が出会った(再会した)のが『9月』なのに、次の仕事((エピソードとしてではなく、2人でコンビを組んで2番目の仕事というのが治験エピソードで記憶の擦り合わせをした際に語られている。))であるビル警備員の勤務期間が『6/25~7/25』になっている((加えて6/23~6/29はマストの敷地から出られず両立ができないので、各エピソードと時系列がバラバラでないのなら、裏バイトを1年近く続けた葬儀屋スタッフの前に2年目へ突入している事になってしまう。これが9/25~10/25であったならば、次の個人向け配送業の日程とも辻褄が合うのだが。)) --日付通りなら10ヶ月近く裏バイトをしていないことになりそうな一方で、勤務期間が8/1~8/10の葬儀屋スタッフのエピソードでは、2人が『一年近く裏バイトを続けている』から異常事態に馴れていると同僚の宮に納得されている -温泉宿スタッフの期間が4月『31日』までとなっている((4月は30日まで。)) -キャンプ場スタッフのラストで『未明に』帰宅中の児童が刺される((未明は夜の0時から3時ごろであり、そんな時間に帰宅する児童はまず居ない。)) -&s(){家政婦の日給が790.000円と書かれている} -&s(){橙の存在} と単行本でも修正されない妙な点があったが、これもデザイナーの改変による影響だったのかもしれない。 } //まだ確定したわけではないのでコメントアウト デザイナーにはアシスタントと呼ばれる存在が複数おり、いずれも顔が雪の結晶のような異形となっている。 彼ら?には様々な役割が設けられているらしく、上記の「存在そのものを抹消する」破壊者だけでなく近づいても特に害を齎さない報告担当((これまでの歴史が)終わるよ。と警告してくれる)も居る。 どのみち彼らが目撃された時点で「終わって」しまうのだが、ユメの反応からするに破壊者の方へ近寄ってしまうとよろしくない様子。 ちなみに今回のデザイナーの対応を省みると、 ・研究員たちは%%SAN値が勝手に削れただけで%%&bold(){放置} ・調査を主導した平川も&bold(){1回目は放置} ・居合わせた主人公2人は記憶を書き換えただけで&bold(){無罪放免} と案外寛容なところがある。ひょっとしたら彼らが歴史を操作しているのも、ただ理不尽なだけの行動ではないのかもしれない。 %%というか、あれだけヤバい怪異が溢れてるこの世界が滅びていないのは、もしかして…%% %%あと、主人公2人がとっくに相当稼いでいるはずなのに借金完済できず連載が続いているのも、もしかして…%% よって「怪異の暴威で世界が滅びないよう奔走している存在」と見るべきか、「怪異を放置して世界に蔓延る地獄絵図を看過している邪悪な存在」と見るべきかは読者次第。 &s(){鞄やマダライヅツ様が人類を滅亡させないのはデザイナーのおかげかもしれない。} &font(#0000ff,u){&font(#ffffff){作者コメントによると、主人公2人と依頼を持ってきた藍川時子も「致死率100%」の例外ではなく、死亡して次の存在に書き換えられてしまっているという。}} &font(#0000ff,u){&font(#ffffff){直接現場に行っていない時子さんまでやられてしまったのは、異形人類(デザイナー)が彼女の手へ渡るのは極めて不都合だったのだろうと推察されている。}} &font(#0000ff,u){&font(#ffffff){また主人公2人に至っては前編(最初に「何か」を掘り当てた時点)で一度、その後デザイナーと対峙したことで二度死亡して上記の「無難な裏バイトをこなす役回り」に書き換えられてしまっている。}} &font(#0000ff,u){&font(#ffffff){主人公コンビを実質二度も(本人たちには一切気付かれず)殺害するという暴挙をやってのけた、まさに本作史上最強の怪異と言えるかもしれない。}} &font(#0000ff,u){&font(#ffffff){また、研究員たちは皆発狂して…とはあくまで二度目の平川の推測であり、実際はデザイナーによって破壊されている可能性もある(その場合、何故二度目の平川は発狂していなかったのかという疑問も浮上するが)。}} } なお、今回の元ネタは「世界五分前仮説」ではないかという説が濃厚。 哲学者バートランド・ラッセルによって提唱された&bold(){「世界は実は5分前に始まったのかもしれない」}という哲学における思考実験の1つである。 **&ruby(ゆういんしゃ){誘引者} 工場作業員のエピソードで登場した怪異。 作業現場に現れ、この裏バイトの危険性を跳ね上げている要因。 長い手足を持ち影のように真っ黒だが、よく見ると人間のような顔を持っており目は真っ黒で十字線が入っている。 班長の児島曰く&bold(){&color(red,black){「生命に興味がある」}}らしく、開発された人工知能に引き寄せられて集まってくる。 サイズには個体差があり、小さいものは工場の上を走り回ったり窓から中を覗いているだけで害は無い。 だが大きいものは作業現場に入り込んでくる上、残虐な気質なのか 目があった相手を嬉々として殺す攻撃的な性質を持つ。 このため、作業中はひたすら集中しなければならない。 主人公2人が参加したバイトの最終日には特大の個体が出現、姿を見ていないにも拘らず自分から覗き込んで目を合わせ、数名を殺害した((わざわざ児島が報告していたところを見ると、特大サイズの出現は初めてだったと思われる。))。 和美の指示で裏バイターたちが逃げ出した途端なぜか消えてしまい、業務は終了。 他の裏バイターたちへ[[逃げる]]よう煽動した和美はクビ、ユメも自ら辞めることにして「長く勤めない方がいい」と警告を残しつつ去って行った。 //…ところで、ここで1つの疑問が沸く。 //生命や魂に興味があると言うならこれらを併せ持っている人間が数十億分布している中で、なぜこの工場にしか現れないのか、と。 //これ以上の情報がないため推測に過ぎないが、1つの仮説が立てられる。 //誘引者は単なる好奇心で集まってくるのではない。 //自分たちがこの世界に進出するための入れ物を求めていたのではないか。 //個人の推測をコメントアウト 主人公2人が参加した裏バイトによって完成したキューブがお披露目会にてアンドロイド「ルーシー」へと搭載され、人間並みの知性を持ったアンドロイドが起動した。 だがその目は誘引者と同じく真っ黒であり、不気味な笑みを浮かべていた…。 **契約者 #center(){&font(b,red,black){ギャホッ ギャホッ ギャホッ}} ベビーシッターのエピソードで登場した怪異。 全身真っ黒な羊の頭を持つ男、という見た目といい後述する性質といい、&bold(){概ね一般的にイメージされる「悪魔」そのもの}という、一周回って「裏バイト」ではちょっと珍しいタイプの存在。 例により作中では悪魔と明言されているわけではないが。 黒魔術の儀式によって呼び出され、契約した相手の願いを叶える力を持つ。 ただしその対価として、&s(){例によって}&bold(){人間を生贄に捧げる}必要がある。かつ生贄は儀式を始めてから満月が沈むまでの間に、己の手で殺害する必要があるらしい。 間に合わなかった場合、契約した者は&font(b,red,black){奴の慰み物とされ残酷極まる責め苦を永遠に受け続ける}ことになる。 悪意剥き出しの存在ではあるが基本的に契約相手とその願いに関すること以外には特に干渉してこず、そもそもわざわざ呼ぼうとしなければ出てくることもない。 そういう意味では本作の怪異の中では&bold(){比較的}大人しい方ではあるかもしれない。 なんなら性質そのものは福ノ神あたりと大差ないし。 ***&bold(){&ruby(ごきそ){五木曽}&ruby(たける) {猛}} #center(){&font(b,red,black){ぼく赤ちゃん!}} 上記の存在と契約した男。名前はちょい足しから。ベビーシッターのエピソードで実際に脅威として立ちはだかるのはコチラ。 自らの人生をクソみたいだと蔑み、その原因は所謂「親ガチャ」に失敗したせいだと金持ちの家の子供になることで人生をやり直そうと画策した。 計画では黒魔術によって呼び出した「契約者」の力で金持ち(会社経営者)の家の娘である&color(red){&bold(){りんごちゃん}}の身体を乗っ取り、それと引き換えに渡す人間の魂として、死んでも騒がれないという理由で本来のベビーシッターの代わりに雇用した裏バイターを生贄にするつもりだった。 赤ちゃんの姿でも両足で立ち素早く動くことも可能で、当初はその姿で疑われもせず玩具を踏んだことによる階段の上からの転落事故や、ジュースへの洗剤の混入によって主人公2人を殺害しようとするが悉く回避されてしまい、両親の帰宅前夜に業を煮やして本性を表し実力行使に出るも事前に対策されていたことでこれも失敗。 それでも赤ちゃんの体躯で2人を翻弄するが、最終的には家の中に招き入れられたりんごの魂に身体を奪還された。 #openclose(show=その後はりんごの身体を再度奪うこともできず、魂を回収した契約者の慰みものとなった。){ 彼はりんごが 小学校に入学するまでに手足の爪を&font(b,red,black){99004回}剥がされ、 &font(b,red,black){100015回}全ての指をもがれた。 成人するまでに&font(b,red,black){9765589回}串刺しにされ、 &font(b,red,black){9650回}炭化するまで炎に焼かれた。 その生涯を終える((孫に看取られての大往生。))までに&font(b,red,black){7658736290回}腸と膵臓を啄まれ &font(b,red,black){8766899回}性器を輪切りにされた。 } &font(b,red,black){そしてそれは永遠に終わらない。} りんごに身体を奪還されたことから、ちょい足しにて&bold(){赤ちゃんにも競り負けるメンタリティの持ち主}と評された。 また雇った裏バイターがよりにもよって主人公2人だったため、読者からは親ガチャよりも&bold(){裏バイターガチャに失敗した}とも言われている。 **&ruby(あとしろ){後白}村の神 #center(){&bold(){それでは、} &bold(){無事、&ruby(いみなりなり){&color(red,black){忌成成}}が成就する事を願って。} &bold(){神々にこの宴を捧げましょう。}} 雪まつりスタッフのエピソードで登場した怪異で、○○県後白村の神社に祀られている存在。 全編通して登場したのが1ページかつ、描写されたのもごく一部だけのため外見の情報はほとんど分かっていない。上記したように「神々」と称されているが、実際に複数の神が祀られているのかも不明。 後白村において長きに亘り金と引き換えで行われてきた&bold(){呪術的な暗殺「忌成成」の実行犯}であり、&bold(){「&ruby(けいむてい){仮忌体}」}と呼ばれる雪像へ象られた人間を&bold(){&color(red,black){像の制作者の命と引き換えに凍死させる。}} [[標的は居場所やそこの温度に関係なく氷漬けとなる>ギアッチョ(ジョジョの奇妙な冒険)]]ようで、作中ではとある国会議員が自室にいた間で凍死してしまったことが判明している。 一方で制作者は、神に暗殺の成就を願う「あとしろ火伏祭り」の「夜の部」に参加する事で&bold(){雪像が人に化けている幻の世界}の中へと意識が取り込まれてしまい、いずれ凍死する。…が、その取り込みが発生する前に祭りの現場から離れれば無事でいられる。 この「制作者」の判定は制作に関与した部分の割合で決まるようで、村人たちは顔面以外の全てを裏バイターに作らせて身の安全を確保しつつ、依頼を遂行していた。 なお、人間を凍死させる力の持ち主だからか&bold(){&color(red){村での火の発生を極端なまでに忌避する性質を持つ。}} その嫌い様はライターや煙草程度でも明確な嫌悪感((前編で描写された雪像の表情がにこやかな顔から苛立ったようなものに変わるシーンは、同時刻に隠れて一服していた睦美に反応してのものと思われる。))を抱くほどで、村人たちは ・調理や暖房器具はオール電化 ・夜祭では篝火を使わず、照明は(おそらく電池式の)提灯のみ ・裏バイターに火気厳禁と伝えた上、村に入れるにあたり所持品検査も行う など、徹底して火を起こさないようにしていた。 ちなみに、祭りの名前の「火伏」とは&bold(){「火災の害を押さえ込むこと」}を意味する。 &s(){同じマンガワンのゴリファイアは「火防」} 人々が自分たちの金銭的利益のため共謀し、外から来た人間を生贄として捧げているという点は福ノ神と福音島島民との関係を連想させる。 こちらは先述の通り神社に祀られ、忌成成の成就を願う宴や舞も行われているなどちゃんとした(?)信仰の対象として扱われているようである。 #openclose(show=燃やせ~~~~~燃やせ~~~~~火は燃やす為にあるんじゃ~~~~~何を燃やすって? そりゃ決まってる。) {ユメは心の中の和美の言葉に従って黒い匂いの根源である神社へ向かい、睦美が&s(){密輸した}隠し持っていたライターで&bold(){&color(red){放火。}} &s(){ユメの心の中の和美のイメージがヒドすぎる気もするが、実際言いそうなので仕方ない。} 燃え盛る神社を見た村人たちが&bold(){「神様がいなぐなる…」}とパニックに陥る中、ユメは“神様”と思われる&bold(){&color(red,black){極めて巨大な人の手}}が本殿から伸びるのを目撃。直後に和美は&color(gold,#f5f5f5){「アッツ!」}という叫びと共に目を覚まし、生還するのだった。 #region(動ける? ここから離れ…) 実際のところ神様の力を利用して対等だと思い上がっていた村人たちは、実はとっくに&bold(){&color(red,black){神様なしでは存在すら保てない雪像に信仰と関係なく一人残らずが取って代わられていた。}} 神様の消失と同時に加護も切れたらしく、村人だけでなく忌成成に関わっていた人間も例外なく雪の塊となって溶け崩れ消滅。 そして各エピソードの最後に書かれる恒例の(裏)帳簿において、&bold(){そもそも後白村という村は日本の何処にも存在していなかった}という不可解な事実が明らかとなったため、村の全てが雪となって消え失せた模様。 [[村人だけでなく村自体も、神が生贄を呼び寄せるため作った偽物、幻だった>エンヤ婆(ジョジョの奇妙な冒険)]]とする考察もあるが、詳細は明言されていない。 %%あるいは公の場で盛大にやらかしたせいでデザイナーに村ごと抹消されたか。%% #endregion } **なかたりさん #center(){&bold(){幸せが、死に打ち勝つ事はないと知ってしまった。死に勝るものなんか何も無い。} &bold(){ああ僕も死にたいよ今すぐ死にたい。} &bold(){死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい…} &bold(){&color(red,black){なかたりさん。}}} &bold(){&color(black,red){黒岩案件・特殊清掃員}}のエピソードで登場した怪異。 黒金木ビルと呼ばれるアパートのクローゼットに巣くっていた&bold(){&color(red,black){「死の王」}}と形容される正体不明の存在であり、[[イエス・キリスト]]の如く茨の冠を被った禿頭の痩せた青年のような風貌をしている。 ルーツや由来などは何もかも謎のままだが、&bold(){「なかたりさん」}という言葉を発した場合は&bold(){&color(red,black){「自殺」という形で必ず死ぬ}}点が明らかになっている。 作者曰く&bold(){「その名を口にしてはいけませんよ。死に撫でられるのです」}とのことらしい。 また、なかたりさんが居座っているクローゼットを他人が開けた場合も死に繋がる様子。 これまでの怪異とは異なり、存在・習性・法則が最後までほぼ謎に包まれたまま詳しい説明もされず終わってしまったので、分類的には空き地探しでのムッキーに近い&bold(){よく分からない怪異の1つ。} だが、今回の肝は&bold(){&color(red,black){なかたりさんの対処と裏バイトの業務は全くの別問題}}という点。 なかたりさんによる怪奇現象を乗り越えて、初めて裏バイトの業務が開始されるというかなり変則的なシチュエーションとなった。 元ネタはおそらく1989年に公開されたユルグ・ブットゲライト監督製作であるドイツのホラー映画『死の王』。アニヲタwikiだと『[[ネクロマンティック>ネクロマンティック(映画)]]』シリーズが有名。 月曜日から[[日曜日]]まで、「死の王」により一日毎に様々な「死」を迎えていく人々の姿を一週間に亘り淡々と流すという独特な映画。 &bold(){「とにかく気の滅入る作品」「自殺のススメ的映画」}と形容された問題作である。 **成功体 #center(){&bold(){うちゅう。せかい、かみ、こうぞう。}} 探偵助手3のエピソードで登場した怪異。 生きた人間の脳に直接手を加え、進化した人間を生み出そうとしていた研究所「木谷脳研」の廃墟に潜む&bold(){&color(red,black){被験者たちの成れの果て。}} 全員が普通の人間から逸脱した存在となっているが、人の姿を保ってはいる。 「精神」「肉体」「超常」「完全」の4種に分類されており、1~4階を各々のテリトリーとしているが上階に続く階段には近づきたがらない。 #openclose(show=各成功体の概要) { ・&bold(){精神成功体} 1階の部屋にいる成功体。外見だけなら通常の人間と同じで、他と違い複数体描写されている。 常に不気味な笑顔のままで立っており、刺激にはほとんど反応しないが声をかけると&bold(){「はい、こんにちは」}と返す。&bold(){それも一斉に。} かなり気味の悪い存在だが、数々の裏バイトを潜り続けた主人公2人からは「あれしか言えないのか」とあっさり流された。 生きていると言えるのかも怪しいが、下記の肉体成功体によって&bold(){首を無理やり引きちぎられて殺された個体}もいる。 まともな意思疎通もままならなくなった彼らがなぜ成功例と見なされたのかは、作者も認める考察の余地である。 ・&bold(){肉体成功体} 上の4語を呟きながら、2階を徘徊する成功体。体毛のない巨体と大きな黒い目が特徴の怪物((第97回のちょい足しにおいて、ビジュアルに結構迷ったことが明かされている。完成形は「五感全てが強化されて全部デッカくなっちゃった!というマギー審司的なイメージで描きました」という。))。 侵入者を発見すると猛ダッシュで襲い掛かる。追いつかれれば、上記の精神成功体のように残虐な目へ遭わされると思われる。 他の成功体と比較して表情豊かであり、侵入者を襲う際は笑みを浮かべ3階への階段の前では怯えたような顔をして踵を返す。&s(){「ちょっと可愛い」と読者間では人気が高い。} ・&bold(){超常成功体} 3階をゆっくり徘徊する成功体。厳重に縫い付けられた顔面の各パーツ((肉体成功体は「五感全てが強化された」ものであるが、反対に超常成功体は五感を制限することで生まれたと思われる。))、肉体成功体と同じ無毛の肌、とても大きな頭部が特徴。 外見の通り感知能力が低く、特に身体の左右は至近距離まで近付かれたり小声で話したりしていても全く認識できないという盲点になっている。 ただし気付かれるが最後、[[超能力]]によってその場に浮かされ瞬時に破壊されてしまう。 ・&bold(){完全成功体} 4階の一室に鎮座している成功体。大きくがっしりとした身体や白と黒が反転したような目、そしてワイシャツと蝶ネクタイが特徴。 椅子に腰かけて指を組み、真直ぐ前を向いたまま微動だにしない。主人公2人がレポートを持ち出しても一切無反応。そのため、ユメも4階だけは匂いを全く感じていなかった。 時子はその理由について、完璧な存在となったが故に&b(){&font(#008cff){「この世の全てが下らなくて動く気にもならなかったんじゃないか」}}と推測している。 &s(){読者たちからは「つまり全てがくだらなくて動かない俺みたいな[[ニート]]は完全成功体ってことか」「俺も働く気にならない」とニート扱いされた。完全成功体は「やれる」けど「やらない」だけなので、残念ながら別物です。どちらかと言うとニートは完全しっぱ(ry} } 怪異としては、攻略法があり見つかっても普通の死を迎えられそうなだけかなり有情な方と言えるか(精神と完全は無害に等しいし…)。 なお上階への階段を避けるのは、階層がそのまま成功体たちの格の差を示しており、上にいる自身より完璧な存在に恐怖しているからという考察がある。 &font(#0000ff,u){&font(#ffffff){そう考えると、「彼ら」が地下に潜んでいるというのは、どこか皮肉めいたものが感じられる。}} **手 #center(){&bold(){わからない。今生きている人間でわかっている人間は1人もいない。} &bold(){ただ、脈々と受け継がれているんだ。&ruby(コレ){&color(red,black){軍手落とし}}をしないと、} &bold(){&color(Black,red){人類は3秒で滅びる…と。}}} &bold(){&color(black,red){黒岩案件・軍手落とし}}のエピソードで登場した怪異。 その姿は空から降り注ぐ巨大な手、そして空から俯瞰する異様な単眼。それ以上の仔細は全く以て分かっていない正体不明の怪異。 特徴としては、&bold(){&color(red,black){『軍手落とし』での違反行為を行なった人間を問答無用で抹殺する。}} 具体的には&bold(){「落とした軍手を動かしてはならない」「軍手落としの目的を探ってはならない」}という条項の違反者がターゲット。 もし違反してしまえば屋内外問わず、空から&bold(){&color(red,black){肉眼ではほぼ知覚不可能なほどの超高速で降り下ろされる手によって一瞬で潰殺される。}} 加えて死に方も突き立てた人差し指、拳骨、平手で叩き潰す、デコピン、チョップで圧殺など&s(){無駄に}バリエーション豊富。 ちなみに振り下ろされる手によって死ぬのは違反者のみ。違反者が肉片すらまともに残らないレベルで潰される以外は周囲に破壊は起こらないので、たとえ屋内であってもその建物自体には一切被害が及ばない。 なお、この判定は極めてシビア。 不安と恐怖に駆られて軍手落としがどのように行われたのかを地図アプリなどで探ろうとすればその時点で死が確定、無事軍手を落とせたとしても直後に&bold(){他人からゴミとして拾われてしまえばその時点で軍手を落とした人間の死は確定する。} 端的にまとめれば&bold(){&color(red,black){「バイト内容を少しでも考察しようとした奴絶対殺す怪異」}}とも言い換えられる。 よって当然、人類側はこれがどんな怪異なのかほとんど把握できていない。そして読者側もどんな怪異なのか、何故人類が滅ぶのかも全然分からないままである。&s(){黒岩案件こんなのばっかりか} 見方を変えれば怪異によって殺される条件が初めから明言されていたため、怪異の中では&bold(){まだ}優しい部類に入る…のかもしれない。 作者によれば&bold(){「お手付きという事でしょうか((軍手は配置場所に何か意味があったのか、何故一度置いた場所から動かしてはいけないのかという疑問に対して。))。それはまるで盤上遊戯のようですね。つまり何者かが遥か高みから愚かな人類の命運を賭けたゲームをしていた」}と仮説を立てている。 今回は作者も軍手落としの意義をいつも以上に明確にしてはおらず、&bold(){「軍手落としというものは、色々な仮説があるのです。皆さんも色々考えてみると面白いかもしれません。&color(Black,red){もれなく空から手が降ってきますよ}」}と曖昧なままにしていた。ちなみに作者にも空から手が降ってきたが、ゾンビなので頭に絆創膏だけでセーフ。 そしてこの項目も、&bold(){「軍手落としの目的を探ってはならない」}に違反したためアウトだと思われr… #center(){&size(50){👇} } #center(){&color(Black,red){&bold(){「あっ」}} } **とことこちゃん #center(){&bold(){きっとあの子が引き寄せてたんスよ。} &bold(){マジでこの世の終わりみたいなの。} &bold(){負のオーラヤバかったっすもん。} &bold(){あの子のファンみたいなものかな。}} [[コンビニ]]スタッフのエピソードで登場した怪異。 ナインマートと呼ばれるコンビニにかつて常連客として通っており、車に轢かれ亡くなった少女の霊が怪異化したもの。 その顔は、中央部に無数の顔のパーツが無理やりねじ込まれたかのように混沌としている。 深夜の勤務時間帯に実体化して店内を徘徊し、スタッフに対して何かを訴えかけ続けるがその内容は日に日に鮮明になっていき、1か月ほど経てばはっきりと聞き取れるようになる。 また、店内にはとことこちゃんが持つ強烈な怨みの念に惹かれ、無数の怪異が集まっており彼女と同じく徘徊を繰り返す。 しかし彼女も彼女に惹かれてきた怪異も、&bold(){明確に怨みの矛先を向けている相手以外には一切害を為さない存在}であり、主人公2人より前に深夜帯勤務を経験した人物もしっかり生還している。 このため裏バイトとしての難易度は格段に低いものの、彼女に関する事件が作中で初めて明らかになったところを見ると、その異様な環境に耐えられず辞めていった人の方が多かったのだろう。 最終的に主人公2人が1か月間勤務を続けたことにより、とことこちゃんの訴えが鮮明化。&bold(){ある意味怪異などよりも余程痛ましい}事件の全貌が明らかになった。 その後のナインマートは間もなく休業、事件の関係者やとことこちゃんがどうなったのかは不明のままとなっている。 **ムダイ #center(){&bold(){その本の内容は一定ではない。} &bold(){即ち、&color(red,black){「読むものが最も欲している情報」}が書かれているらしい。}} 図書館スタッフのエピソードで登場した怪異…が生み出した副産物。 表紙も中身も全てが真っ黒な本でタイトルは無く、噂では誰も知らなかった真実が載っていたり、歴史的価値のある古書であったり、希少価値が頗る高い本として知られている。 その実態は、&bold(){「裏」の図書館を徘徊している後述の怪異が、今なお吸収し続けている無尽蔵の知識の中から産み落とした}&del(){ウ〇チ}&bold(){副産物。}このため本の内容は「読み手が最も欲しがっている知識」が写し出される性質を持っており、読み手が違うと内容も異なってくる。 ただしそれ自体はあくまで収集された知識の塊に過ぎないため、「この世に存在しない事象」を求めても「&bold(){無い}」の2文字で済まされるなど、得られる知識には限界がある。 怪異が「裏」の図書館にしか居ない以上、ムダイもまた「裏」の世界にしか存在しない。 「裏」の世界に迷い込んだ人間がムダイを手に取って読んだとしても、「裏」から「表」の世界に戻るとその内容は忘れてしまう。 ただし、このムダイを「表」の世界に持ち出せれば話は別なのだが、持ち出そうとした場合は怪異がそれを妨害してくるため非常に困難。 このためムダイを「表」に持ち出すには、「裏」の入り口付近にムダイが現れたタイミングを計って「表」の世界から「裏」の本棚に手を伸ばして取る以外に方法はない。 ***ウライブラリィ #center(){&bold(){&color(red,black){お、おぼっおぼっおぼぼぼぼぼ…}} &bold(){&color(red,black){宇宙宇宙宇宙宇宙宇宙!}}} 上述の&del(){ウ〇チ}ムダイを生み出している怪異。 屈強な大男の風貌をしているが、その身体は無数の線のような管によって構成されており顔のようなものは存在しない。 名前は&del(){絶妙にダサいので本編には登場せず}ちょい足しからで、「裏」と「ライブラリィ」を合体させたもの。 &bold(){「完全情報体」}という存在になるため無限に本が並ぶ「裏」の図書館を徘徊し、身体を構成する管を触手のように伸ばして対象から情報を吸い上げる。 その情報を実物化させたものがムダイであり、有象無象の知識の集合体という事になる。 基本的に自ら進んで人間に害は及ぼさないが、&bold(){&color(red,black){ムダイを「表」世界に持ち帰ろうとする者には容赦なく襲い掛かり、その管を相手の脳に突き刺し大量の知識を一気に流し込む。}} 知識を流し込まれた人間は、脳のキャパシティが限界を超えても入り続けてくる&bold(){「暴力的情報」}に&del(){宇宙宇宙されて}正気を保てなくなり、風貌は一気に老け込みやがて廃人と化す。&s(){[[別に「ハロウィン!」としか言えなくなる訳ではない。>チェンソーマン]]} 途中でムダイを手放すなり、持ち帰るという意思を無くせば見逃してもらえるよう。 ただし、図書館司書の花巻によれば「裏」から帰ってこなかった図書館スタッフも居たようで、最後までムダイを手放さなかった場合どうなるのかは不明。 **たつ子 #center(){&bold(){&color(red,black){「たつ子」連作は本物の芸術です。}} &bold(){&color(red,black){見る者に「恐怖」を伝える。}} &bold(){&color(red,black){伝える事ができるのが本物のアートの条件なのですから。}}} 美術館スタッフのエピソードで登場した怪異。 上坂象太郎という芸術家が製作した人形・絵画・彫刻といった作品全般を示し、基本的には&bold(){&color(red,black){[[瞳が縦に並んだ>不安の種/不安の種+]]不気味な表情をした和人形のような姿}}をしている。 この作品群は[[2人以上に見られていないと動き出す>SCP-173]]という特徴を持ち、雇われた裏バイターの役割は閉館後この作品が逃げ出すのを防ぐための見張り。 だが、事情を知らない裏バイターがすぐ戻るから大丈夫だろうと[[トイレ]]に立ったことで、多くの作品が脱走してしまった。 その特性は&bold(){&color(red,black){自身を見た者をショック死させるほどの恐怖を与え、さらにその恐怖を伝播させる強力なミーム汚染。}} たつ子に関心を抱く人間の精神を汚染し、自身の幻覚を見せて恐怖心を増大させ、やがては精神をも蝕み死に至らしめる。 更に言えば見られている間も&bold(){&color(red,black){動かないだけであって、ミーム汚染の性質はそのまま。}} そのため前回開催された作品展では、大勢の観客が発狂あるいは死亡する惨事が引き起こされた。 作品に興味を持たない人間には効果が薄いものの、恐怖を抱けばそれを増幅され最悪の場合は死亡してしまう。 逆に言えば何らかの方法で感情を押さえる、もしくは無にすれば被害を受けずに済む((作中でたつ子に遭遇しかけたヤムちゃんはその姿を目の当たりにする直前で失神したため、たつ子の姿を見なかったことで生還を果たしている。))。 ちなみに逃げ出した作品はどうなるのかというと、&bold(){&color(red,black){各地に散らばって感受性が高い人間にだけ見え、恐怖を植え付ける幻覚のような怪異となる。}} こうしてたつ子を見た人間の何人かが恐怖と共にたつ子の存在を媒体に記録し、その媒体がまた[[ミーム]]汚染を引き起こす動く作品となる((美術館の館長は、上坂象太郎が出会ったたつ子も元々はどこからか逃げ出してきたものの一部に過ぎないと推測している。))。 こうやってたつ子は際限なく増えていくのだ。 #center(){&bold(){あのね、真っ暗なね、部屋の奥にね…} &bold(){&color(red,black){「&ruby(・・・){立つ子}」}がいるの。}} **高井津村の住民 #center(){&bold(){&color(red,black){贖え。贖え。贖え。贖え。贖え。贖え。}} &bold(){&color(red,black){贖え。贖え。贖え。贖え。贖え。贖え。贖え。贖え。贖え。贖え。贖え。贖え。}} &bold(){&color(red,black){贖え。贖え。贖え。贖え。贖え。贖え。贖え。贖え。贖え。贖え。贖え。贖え。}}} &bold(){&color(Black,red){黒岩案件・墓参り代行サービス}}のエピソードで登場した怪異。 物語の舞台となった藤吉町に、かつて存在していた高井津という集落で暮らしていた人々。作者曰く&bold(){「高井津ゾンビ」}。 しかしある飢饉の際に「口減らし」の名目で、藤吉町の前身である藤吉村の住人によって皆殺しにされた。 霊園内には「高井津之墓」と書かれた墓石があるが、これは人名ではなく集落の名前。 村人の目的は&bold(){&color(black,red){自分たちを抹殺した藤吉村の人間を生贄にし、彼らに代わって現世に復活すること。}} 藤吉村は高井津村を下層民と見做して奴隷のような扱いを繰り返しており、挙句の果てに村民虐殺へ踏み切ったという。 藤吉町に存在する&s(){心の歪な人には[[アレ>着衣セックス]]に見えると評判の}「おんぶ地蔵」は、かつての高井津と藤吉の関係を表しているとされる。 霊園の周囲に鳴り響いていた&bold(){&color(black,red){「コーン」}}という音は、高井津村の人々の魂を呼び寄せる「召還の儀」で使われた柄杓によるもの。 これにより今生きている人間の魂を生贄とすることで、高井津村の人々が現世へ復活する足掛かりとなる。 彼らは藤吉村の子孫たちの罪悪感を煽り自罰意識を植え付けた上で復活の生贄にしたようで、物語開始時藤吉町には既に人っ子一人いない状態だったため既にほぼ全ての町民が、この「召還の儀」の犠牲になっていたと思われる。 なお、怪異としては&bold(){&color(red,black){他人の人間に憑依して肉体を乗っ取る}}というシンプルなもの。 自分たちを滅ぼした藤吉村の子孫には恨み骨髄に徹す反面、藤吉村の人間以外に対しては基本友好的な存在である。 ただし、話を信じやすい善良な人間はターゲットにされてしまう。 逆を言えば疑り深い人間ほど生存の確率は増していくが、生贄にするかの最終判断は高井津村の村民による独断と匙加減次第なので&bold(){相変わらず生存率は運ゲー。} 逆に裏バイターを身代わりにして高井津村の「召還の儀」から逃れようとした主任は、その卑劣な所業を咎められ[[然るべき処置>おろかな埋葬(遊戯王OCG)]]を施された。 かくして高井津村を虐げていた藤吉村の人間は全滅、正義の復活はここに成ったのである。 めでたしめでたし。 #openclose(show=善良な人ほど、騙されやすいのです。){ …しかし日高主任が事前に役所へ確認した際には、&bold(){&color(black,red){村民を虐げていたのは寧ろ高井津村の方であったという記録が残っていた。}} 飢饉の際にも、口減らしのため高井津村によって藤吉村民の虐殺が計画されていたが、藤吉村から反乱に遭って逆に全滅させられたという。 だが既にその真実を知る人間は死に絶え、更に藤吉村と通じる者も根絶やしにされた今、最早確認する術は存在しない。 そもそも&bold(){肝心の役所での記録も「真実」か否かは分からない。} 本当に悪かったのは高井津村だったのか、はたまた藤吉村だったのか。真実を知るのは過去の当事者であった村民のみ。 善悪二元論で当て嵌めての区別自体が、今回の怪異に取り込まれてしまうトリガーなのかもしれない。 #center(){&bold(){&color(black,red){善良な人ほど、騙されやすいのです。}} &bold(){&color(black,red){ご愁傷様です。}}} } **しーマン 動画配信ゲストのエピソードで登場した怪異。 グレイタイプのエイリアンのような姿をした異形の存在。マジックペンで書き殴ったような目と妙に色っぽい唇、沈黙を促す唇の前で人差し指を立てるポーズが特徴。 裏バイトが世の中に広まるのを防ぐ抑止力的な存在で、裏バイトの内容を広めようとしている人間の元へ現れては&bold(){&color(red,black){存在そのものを消してしまう。}}(作者曰く「しー」される) より簡単に言えば怪異による&bold(){&color(red,black){垢BANならぬ人生BAN。}} 過去改変や認識阻害を起こせるとも受け取れる描写がありその力は未知数だが、本編での言及自体はあったものの最後のコマにしか姿を見せなかった。 モデルはおそらくUFOや異常存在を見た者の前に現れ口止めや隠蔽を試みるというメン・イン・ブラックであろう((メン・イン・ブラックの正体は宇宙人であるという説もあり、この要素はしーマンのビジュアルにも通じる。))。 ***&bold(){視聴者} #center(){&bold(){&color(red,black){人生乙 人生乙 人生乙 人生乙 人生乙 人生乙 人生乙 人生乙}} &bold(){&color(red,black){人生乙 人生乙 人生乙 人生乙 人生乙 人生乙 人生乙 人生乙 人生乙 人生乙}} &bold(){&color(red,black){人生乙 人生乙 人生乙 人生乙 人生乙 人生乙 人生乙 人生乙 人生乙 人生乙}} &bold(){&color(red,black){人生乙 人生乙 人生乙 人生乙 人生乙 人生乙 人生乙 人生乙 人生乙 人生乙}}} 動画配信ゲストのエピソードで登場した怪異。 某笑顔系配信サイトのような配信サイトを見ている&bold(){視聴者のフリをした怪異}。 『裏バイターをゲストに迎え職務経験を百物語の体で話す』という内容の配信にて出没しており、基本的に碌な意思疎通ができない裏バイト怪異には珍しく流暢な日本語を書き込むどころかネットミームまで使いこなしている((作者曰く「読者が怪異になった気分を味わえる話にしてみた」とのこと。))。&del(){「クサいと言われると興奮する」などM気質な奴もいる。} 基本的に友好的な怪異だが、しーマンが現れる直前には遠隔でパソコンの電源を起こして配信を再開させ「人生乙」というコメントで画面を埋め尽くした。 「しーマン来るだろコレ」「しーマン案件」などしーマンの出現を予測したり、「バイターはどうなんやろ」→「仕事しただけだし大丈夫じゃね」、「じゃコイツは?」→「コイツはダメ」としーマンの判断基準を知ってるかのような発言をしているため、『彼らによって消されるか否かの判断が下される』という考察もあるが両者の詳しい関係は不明。 &color(lightgrey){「ふざけたノリで他人の人生を勝手に終わらせようとしてくるあたりも現代っぽい」といった意見も。} 「あそこの業界マジで洒落にならんから」「あんな話公共の電波に乗せられんわな」など裏バイト業界にもある程度精通しているかのようなコメントも見られる。 **荒木源一郎 #center(){&bold(){もう少しで、&color(red,black){私}の頭脳は神の領域に達する。} &bold(){馬鹿が障害になどなるものか。}} 実験助手のエピソードで登場した怪異。 正確には「荒木源一郎」を名乗る存在であり、真の名称は不明。 [[某有名映画>バック・トゥ・ザ・フューチャー]]のドクにそっくりな老年男性で、何度も[[ノーベル賞]]の受賞経験がある超優秀な研究者。 その正体は&bold(){&color(red,black){他者の肉体に自分の自我を移送し、乗っ取ることで生き永らえてきた存在。}} 自身の知能・知識・知性に絶対的な自信を持つと同時に強く執着しており、約1000年もの間に9人もの若くて健康な肉体を乗っ取っている。己の乗っ取ってきた人間を「低脳」「バカ共」と侮蔑するなど性格は傲慢そのもので、犠牲者の成れの果てである干し首をネックレスにして身につける悪趣味な面もある。 図抜けて知性が高い上に人間社会へ溶け込んでいる点も含め、悪辣かつ危険な怪異と言える。 #openclose(show=そして現在の肉体の加齢から、10人目の肉体を選定すべく裏バイターを募集した。){ 若さや健康面に加え、乗っ取りに感づかれなさそうな頭脳面も重視していたのか主人公2人は不採用となる。 そして誰が採用されたのかというと、あの&bold(){&font(#ffb74c){橙}}。「&bold(){自分で考える知能すら持ち合わせていない}」点が採用ポイントになったようだ。 荒木の乗っ取りの手段は、&bold(){&color(red,black){「電脳イス」}}という2台の椅子型装置を用いたもの。受信用の椅子に座らせた被験者の脳が「受け皿」として使えるよう調整を重ね、それが済んだら送信用の椅子に座った荒木の人格のコピーを被験者に移送して肉体を乗っ取る仕組み。 計画は順次順調かと思いきや、実験中に橙がやらかした致命的ミスが発覚したことで実験は失敗。約1000年もの間人々を食い物にして積み上げてきた自慢の知性・自我を&bold(){&font(#ffb74c){橙のそれに上書きされる}}という、因果応報の&s(){惨すぎる}末路を迎えた。 ノーベル賞級による千年の叡智も同時に消失するも、荒木本人は既に頭が橙レベルなのである意味幸せそうなのが救いといえば救いである。 なお、よりにもよって宿主として橙を採用した点については読者たちから&bold(){「橙を採用した時点で賢くないな」「こいつの頭の悪さはあんたがコントロールできるレベルじゃねーんだ」}とボロクソにこき下ろされている。 そして、初登場時の橙を乗っ取りかけたマザー・フィッシュはまたもや株を上げる形になった。 このエピソード内と『ちょい足し』にて荒木視点から見た橙も描かれたが、一部の怪異からすれば橙は&bold(){理解不能な言動をする怪異}そのものに見えるようだ。&s(){あながち間違いとは言い切れない。} } ***干し首 #center(){&bold(){「荒木の言う事を信じるな」} &bold(){&color(red,black){ニゲテ}} &bold(){「このノートが荒木の雇う助手の目に触れることを祈る」}} &bold(){&color(red,black){荒木による乗っ取りの犠牲者たちの成れの果て。}} 見た目は皺くちゃになった、手とほぼ同じサイズによる人間の頭部。肉体を乗っ取られただけでなく荒木により数珠繋ぎにされ、ネックレスにされるという&bold(){尊厳も何もあったもんじゃない扱いを受けている。}%%干し柿%% 荒木の首の真後ろにいる個体だけは&bold(){未だ意識を保っている}ようで、声を出したり血涙を流したりといった反応を見せる。 真後ろの個体は荒木による乗っ取りの犠牲者が増えるのを望まず、こっそり声をあげて橙に逃亡を促すも、荒木から聞かれてしまい眼球を指で潰された。 結局、最後まで橙には生きた人間とは認識されなかったものの、紆余曲折あって荒木の野望が潰えた際はこれ以上犠牲者が増えないことに安堵しつつ、橙に&bold(){「アリガトウ」}と感謝を述べた。 **スーパーマーケット #center(){&bold(){「怪人」とは一体なんなんだろうね。まあ、あれの敵には違いない。} &bold(){「怪人」に関わりすぎると、あれに敵視される。} &bold(){そう、「あれ」…「あれ」に皆、} &bold(){&color(red,black){スーパーマーケットに、支配されている。}}} スーパーマーケット店員のエピソードで登場した怪異。 分類としてはおおいなるものと同様に&bold(){「強大すぎて全体像がはっきり見えない怪異」}に該当し、本編でも得られる情報が限定的だった。 この怪異自体、&bold(){通常なら}人間に何か危害を加えるような存在ではない。 では何をしているのかというと、&bold(){人間の支配}である。 人間は生活するため役割を果たさなければならない。 自分あるいは家族のために日用品や食材をスーパーなどで買い、食事を作り、掃除洗濯をする。 当たり前すぎて自覚がないものの、生きていく限りこの日常のルーティーンからは逃れられない。 この絶対に逃れることのない&bold(){&color(red,black){「日常という名の檻」}}へ人間を閉じ込め、飼育する存在がスーパーマーケットなのだ。 …つまり、&bold(){『スーパーマーケット』という施設そのもの}が怪異の正体といえる。 作者によれば、スーパーへ通う客は&bold(){&color(red,black){奴隷}}でありどれほど怪人が殺人を犯しても客足が途絶えることはなく、警察であろうが抑止するのは不可能のようだ。 繰り返すが、閉じ込められている人間にこの怪異自体が何かをすることはない。 だがこの支配に気付いて&bold(){「[[無限に繰り返され続ける日常の牢獄>カール・クラフト=メルクリウス]]からの解放」}を願った、言わば反逆者には容赦しない。 凄まじい力で引き裂かれ、望み通り日常から&bold(){&color(red,black){(物理的に)解放されてしまう。}} また怪人に接しすぎた場合や、日常の檻の存在を自覚してしまった者も攻撃の標的にされるため、一度トリガーが引かれれば極端に危険度が上昇。 こうなると一刻も早くスーパーから逃げ出さなければ、スーパーの手で殺害されてしまう。 また、「檻」という言葉に関連してかこの話全体を通して&bold(){格子状}のコマ割りが多く見られる。 ***&bold(){怪人} #center(){&bold(){やっべ!! わかっちゃった!} &bold(){解放されたんだね。} &bold(){「怪人」は皆のヒーローだったんだ。「怪人」は沢山いる。}} 奇妙な仮面と[[マント]]を身に着けた怪異。 &bold(){スーパーの店内にてあの手この手で人間を惨殺している犯人}だが、この怪異自体にユメの嗅覚は反応しなかった。 つまりこれは、人間の意に反して命を奪うような怪異ではないのだ。 では何が目的なのかというと、&bold(){人間の解放}である。 作中のセリフによると前述のようにスーパーマーケットの支配に気付き、日常から解放された者が怪人へ変化する。 真実を教えてあげたいと怪人が願う者の前へ付き纏うように現れ、詳細は不明なのだが何らかの方法でスーパーマーケットの支配に気付かせ、解放された者が新たな怪人へと変貌。 &bold(){&color(red,black){客を猟奇的に惨殺して休業へ追い込むような嫌がらせ}}へ励むようになる。 もしも支配されたままであっても日常の中で暮らすのを望むなら、怪人には一切関わらずスーパーマーケットから敵視されないようにするしかない。 その仔細や心情はスーパーマーケットの店員にすら理解されておらず、スーパーマーケットの敵という認識しかされていない。 ちょい足しによれば、客を小間切れに解体するなどして惨殺していた理由は&bold(){「(ヒーローとして)スーパーマーケットへの嫌がらせのため」}とのこと。 &bold(){「[[青鬼さん>青鬼(フリーゲーム)]]みたいなものなのでしょうか」「解放希望者のみ解放してくれますよ。こう書くと公務員みたいですね」}とは作者の談。 **グリュムフリート #center(){&bold(){郷愁に誘われてここまで来たクチかの? 若者よ、そんなものは幻想、} &bold(){偽物なのじゃよ。} &bold(){ノスタルジーとは&ruby(・・){そこ}に引き込むための甘い餌に過ぎんのじゃ…}} 公園管理員のエピソードで登場した怪異。 〇〇県の南黄公園に巣くっており、成人男性を悠に超えるサイズの頭部と枝分かれする触手状の無数の口吻を備えた&bold(){&color(red,black){怪獣のように巨大な[[蚊>カ]]の化け物。}} 作者曰く&bold(){「お馴染み蚊の王」}。 普段は公園内にある異界(作者曰く&bold(){「キングゾーン」})に潜み、18時になると公園内にいた人間をキングゾーン内に攫い神隠しに遭わせる。 こうして攫った人間たちの頭に口吻を刺し、&bold(){人生を狂わせる麻薬成分}((作者によると、蚊が血を吸う際に分泌する麻酔作用のある唾液のグレート版らしい。))を脳へ分泌しながら&bold(){&color(red,black){「血どころじゃない何か」}}をチューチュー吸い続けるという。 麻薬成分を分泌されトリップ状態になった人間の夢は、キングゾーン内の全員が共有可能。 夢の中では己の思い描く理想の未来や姿を体感でき、こうして犠牲者たちは理想の夢に溺れながら&bold(){&color(red,black){現実では蚊の生き餌となり続ける。}} 存在が一切知覚できない訳ではないらしく、現実世界でもチラチラ黒い枝のような触手状の口吻が顕現し、公園の人間を狙っているかのような演出がなされている。 また、キングゾーン内は「&bold(){黄金に輝く場所」}と形容される強烈なノスタルジーを体験させる作用があり、ノスタルジーに囚われて同じ体験を求めた者はたとえ生還したとしても郷愁を求め、再度キングゾーンに向かってしまうケースもある。 キングゾーンから逃れるためには新しく餌になりうる人間が18時に公園へ足を運ぶしかなく、いくらノスタルジーに吞まれなくても条件を満たさない限りキングゾーンからは永遠に出られなくなる模様。 &bold(){「ずっといると帰れなくなる」}らしいが、厳密には「ずっといると(蚊の王の餌食になり)帰れなくなる」と表現するのが正しい。 ちなみに名前も含めた生態は一切本編では解説されておらず、そういった詳しい生態が明らかになったのはちょい足しによる解説から。 **人魚 #center(){&bold(){「この動物の被り物してりゃさ、人間がやったってバレないんだよ。} &bold(){だから人魚の呪いを受けない」} &bold(){「でも、なんかそれって卑劣じゃね?」} &bold(){「卑劣? そんなん人間の価値観の話じゃん。} &bold(){&color(red,black){人間じゃねえし、コレ」}}} 仲買人のエピソードで登場した怪異。 外見的にはフィクションの「人魚」にほど近く、女性的な表現が成されている。 「人魚の肉を食うと不老不死になれる」として富裕層に大変人気があるらしく、地下の専用の卸売市場にて取引されている。 買い取られた人魚は様々な方法で調理され、金持ちに振舞われているらしい(劇中では活け造りの様子が描かれていた)。 ただし人魚に関わった人間には「人魚の呪い」が掛かり、変死を遂げるとされている。 呪いを受けないようにするには「人間が人魚を殺した」のがバレなければいいと言われており、そのため地下の仲買人は全員動物の被り物を着用している。 #openclose(show=でも、ありゃ嘘だ。){ だが、実は人魚の呪いが掛かるという情報からしてガセであった。 ついでに言うと肉には不老不死の効果もありはせず、扱いとしては&bold(){超高額で売れるレアな魚}でしかない。 死んだ裏バイターは、&bold(){&color(red,black){染み付いた人魚の臭いを目印にして追ってきた人魚に復讐として殺された}}のである。 なので動物の被り物にも意味はなく、裏バイターを安心させるための口実に過ぎない。 ちなみに女性の方はオーソドックスな人魚の姿だが、男性側の方は人間らしい四肢を備えた屈強な半魚人のビジュアル。 尋常ならざる嗅覚を持ち、同族の匂いがついた人間を標的にストーキングして奇襲を仕掛けられるのが特徴。 業者は「染みついた匂い」に反応して襲ってくることを予め知っていたため裏バイターを雇って取り引きを行い、地下には行かない自分たちは絶対に安全だと考えていた((前述した活け造りの職人も、血を絶対に付着させないよう捌いており匂いの件は熟知していた模様。))。 対処方法としても風呂へ入り徹底的に匂いを落とすだけでいいが、長く続ければ続けるほど匂いが染みつくようになり危険度が跳ね上がると思われる。 しかし業者は一つ、重大な思い違いをしていた。 それは人魚が他の魚と同様、いつまでも狩られる立場に甘んじているということ。 &bold(){&color(red,black){人魚が人間自体に復讐を始める}}など想像もしていなかった。 その思い違いとは裏腹に、夥しい数のメスを殺され怒りに燃えるオスの人魚たちが大群を率いて上陸を始めたのだった…。 彼らは「裏バイターたちに染みついた仲間の匂い」でなく、「&bold(){人間の匂いそのもの}」を覚えてしまった可能性が示唆されている。 …とはいえ、マダライツヅやりんごちゃんのエピソードの描写・設定や脅威ではあるが「物理的」な範囲を出ないこと、メスとはいえ狩り方が確立されていることから相応の死傷者は出ただろうが、撃退されたものと思われる。 } **肉皮剥離薬 テーラー(販売スタッフ)のエピソードで登場したオカルト薬品。 MTKコーポレーションというベンチャー企業が開発したものでこれを服用すると、僅か数十秒で全身の皮がまるで[[バナナの皮]]を剥くようにベロンと剥がれるという意味の分からない代物。皮を剥がれる時に痛みを感じる描写は無いものの、筋肉が露出したことによる単純な痛みはある模様。依頼元のテーラー渥美はこの薬で剥いだ皮で後述の「スーツ」を作っていた。 ***麗賓倶楽部 テーラー(販売スタッフ)のエピソードで登場。 最初に断っておくが、これは何の怪異要素も無いただのセレブが集う会員制の倶楽部でしかない。入会には会員の推薦が必要。 女性専用という訳ではないようだが、作中に登場する会員は女性ばかりだった。 この倶楽部は一見するとアパレル業界の人間が集う集会なのだが、外部からは「変態倶楽部」とも呼ばれている。 その理由は麗賓倶楽部が扱っている製品にある。 ここでは&bold(){人間の皮}を使った製品が数多くお披露目されている。 入り口にある虎の皮の敷物ならぬ人間の皮の敷物に始まり、人間の顔を丸ごと使った椅子なんてのもある。&s(){つまりこれに座ると顔面騎乗状態になる。} その中でも最も重要な商品は「スーツ」。 スーツといってもサラリーマンが着ているようなスーツではない。 前述したように麗賓倶楽部の製品は全て人間の皮が使われている。つまり麗賓倶楽部のスーツとは、&bold(){人間の皮を丸ごと剥ぎ取って}テーラー渥美で仕立てたもの。 倶楽部は一見すると若い女性ばかりだが、実際の会員は大多数が老人。 老人は若い女性の皮でできたスーツを身につけることにより、若々しく美しい姿となっているのだ。 人皮をスーツに改造するにはかなりの技術力が必要だが、スーツ製作をテーラー渥美のオーナーが請け負ったことによりスーツは&bold(){「人皮スーツ」}として売り出され一気に広まった模様。 ...つまり&bold(){&color(black,red){スーツ生産のため相当数の犠牲者がいる}}ことになるのだが、劇中ではそちらに関する言及はない。 加えて犠牲者の存在も倶楽部の権力によって揉み消されているためか、犠牲となった人々の存在は表沙汰にはなっていない。 寧ろ嗜好品感覚で人間の皮を愛好しつつ消耗しているため、彼らにとって一般人の犠牲など他の動物から毛皮を剥ぐのと何ら変わらないのかもしれない。 **オサダ #center(){&bold(){これが…お前の作りたかったホテルか? 長田…}} ホテル従業員のエピソードで登場した怪異。漢字表記だと「長田」になる。 ホテル黎明の3階を根城にしている死霊で、特性としては黒黒ビルの悪霊たちと限りなく近いものがある。 生前は別のホテル経営者の一家で、ちょび髭で七三分けの夫が「ホテルは従業員も客も一つの家族となるのが理想だ」としてアットホームなホテルの経営を目標としてきた。 だが理想だけではどうにもならなかったらしく経営が立ち行かなくなり、当てつけのように[[ライバル]]だったホテル黎明の309号室で一家心中を図った。 以降は部屋に居座る地縛霊と化し、&bold(){&color(red,black){309号室に入った人間を首吊り自殺させる悪霊}}へと変貌した。 このせいで309号室では宿泊客の自殺が相次ぎ、宿泊客がいなくなると今度はフロントにコールを掛けて従業員を部屋に呼び寄せ自殺させていく傍迷惑な行為を繰り返すようになった((結果ホテルは3階自体を閉鎖し、裏バイターを雇って形だけの供養を行い犠牲者が出るのを防ぐ対処を余儀なくされた。))。 一応309号室に入りさえしなければ呪い殺されたりはしないものの、3階に足を踏み込めば最後、思考と認識が操られ自発的に309号室へ入ってくるよう仕向けてくるため、ユメのように視覚以外で危険を察知する術を身に着けていないと難を逃がれるのは難しい((一応主人公2人以外にも生存者はいた。))。 もし309号室に立ち入ってしまえば即座に首吊り自殺させられ、死後はホテルの宿泊客として3階へと縛られ続け&s(){たまに変なポーズを取らされ}る羽目になる。 このせいでホテル黎明の3階は&bold(){長田によって不法占拠された}といっても過言ではない。 ちなみに自殺者が出た直後は一時的に無害となるため立ち入りは可能。自殺者の死体の掃除目的ならば呪いの対象から外れるらしい。 #openclose(show=俺の負けだ。長田。もう、終わりにしよう。){       #center(){&bold(){愛してるんだ津村。} &bold(){もう自分の気持ちに嘘はつけない。} &bold(){僕を受け入れてくれよ。}} 実は全ての元凶である長田は同性愛者で、ライバル経営者の津村を深く愛していた。 だが津村はその片想いに応えることはなかった。 津村とは正反対のホテルを目指したのも、子連れのシングルマザーと結婚したのも(津村は独身)、津村のホテルで一家心中に及んだのも全て当てつけだった。 309号室に入った者を自殺させていったのも、己の理想とするホテルを実現させるため。 実のところ、長田の呪いが作用するのは&bold(){3階各部屋に定められた定員が埋まり満室になるまで。} 主人公2人の裏バイトが終盤に差し掛かったあたりで3階はほぼ定員に達しており、その時点で第三者に対しては無害になっていた(そのためユメの異能も反応しなくなった)。 だがユメは気付いていた。 309号室だけ、定員には1人足りないのを。 …実は最後の1人は予め決まっていたのだ。長田は、廃墟となったホテルでその最後の1人を待ち続け… } **手長逆首様 #center(){&bold(){&color(red,black){ギリギリギリギリギリ}}} 引っ越しスタッフのエピソードで登場した怪異。名前はちょい足しで判明。 その名の通り異様なほどに長い腕を持つ女の霊のような姿を持ち、常に首が180°逆を向いているのが特徴。 当人(?)は後ろ向きのままでも何ら行動に支障はないようだが、ユメ曰く万が一顔を見てしまうと&bold(){「良くないことになっていた」}という。上記の「ギリギリ」というのは首を捻る時の音。 アンバランスな体格に反し身体能力は高く、引っ越しトラックを飛び跳ねて追いかけたりと身体を張っていたのだが、格闘能力の高い金には&bold(){概ね押されっぱなしで一度反撃を食らわせた以外は基本ボコボコにされていた}若干可哀想な怪異。 &s(){というか怪異に真っ向から互角以上に立ち向かえる金って本当に人間なの?} ただし一度狙った標的には&bold(){&color(red,black){延々と執念深く付きまとう}}のも特徴で、世界各国の何処へ逃げようと必ず追いかけて脅かしてくるため、人間が逃れるのは不可能。 「顔を見てしまった」ことがトリガーなのかもしれない。 **悪魔? #center(){&bold(){&color(red,black){我は臓物を喰らふ悪魔也。}} &bold(){&color(red,black){絶望せよ。貴様らは混沌に包まれる。}}} 同じくマンガワン掲載作品『翼くんはあかぬけたいのに』とのコラボであるカフェ店員のエピソードで登場した怪異。 片方が欠けた二本角と鋭い牙を持つ。 実を言うと本編を読んだだけでは「怪異らしい」ということが何となく分かる程度で、特性も危険性も謎のまま。 作中では終盤まで、元サタン系ヴィジュアルバンドのボーカル兼リーダーであった店長・赤木健二のコスプレ姿だと認識されており、ユメも匂いを感じておらず店長に当たりの強い従業員((小早川さゆり。原作でも主人公2人と劣らないレベルの美人で、ドSな言動・行動とは裏腹に健二には密かに想いを寄せている。))からは何度も蹴られていた。 「黒キ儀式」「10年の時」という台詞から、正体は恐らく健二本人の組んでいたバンドが10年前の初ライブにてパフォーマンスとして実行していた&bold(){「ガチの悪魔召喚の儀式」で顕現した存在。} 上記の通り最初は健二が悪ノリしているだけと思われていたのだが、悪魔崇拝者を思わせるローブを纏った客が続々と来店して彼を取り囲み、黒ミサのような祈りを続け段々と顔が異形と化していった。 また悪魔を囲んでいたローブの客たちも、実際は幾つもの目らしき器官を持つ異形の存在であった。 信者(?)たちに向けて「この日を以て、人類は滅亡する」と宣言するも、100年近く経ってもまだ人類を滅亡できていない前例があるのでぶっちゃけそれだけの力があるのかどうか未知数。 終盤に「&ruby(ももこ){子供}&bold(){(シェアハウスで同居している女子高生であり実娘ではない)}が腹を下した」と本物の健二が遅刻してきたため別人であることが判明し、その後は&bold(){不審者として警察に連行された。} なお、ちょい足しで作者が明かしたところによるとユメの異能が反応しなかった理由は&bold(){「ユメちゃんサーチにも引っかからない雑魚っちゅ悪魔」}であったため。 &s(){そのザマではやはり人類滅亡は無理だろう。} **&ruby(ますらおに){益荒鬼} #center{&bold(){花火大会は、「反転式」だという。} &bold(){忌まわしきモノを封印する儀式の真逆の手順らしい。} &bold(){何か、封じられていた恐ろしいものを、} &bold(){解き放つための儀式だと。}} 花火大会準備スタッフのエピソードで登場した怪異。 江戸時代に益荒村で流行し&color(#F54738){頭部が崩壊し死に至る病}とされており、数百人の死者が出た。 そのため疫病退散と慰霊として200年前から始まった&color(#F54738){益荒川花火大会}によって病はピタリと止まっており、花火の効果があった模様。そのため200年間欠かさずに花火大会は続いている。 だが益荒川へ花火を運ぼうとすると、その途中で事故に遭ったり運転手が道を間違えて異なる方向に行ったりなど何らかの妨害を受けてしまう。また、会場となる河川敷には花火大会開催を拒絶する、おかっぱ頭をした着物姿の子どもたちの霊が出没している。 しかし今回は主人公2人と茶々のサポートによって、益荒川へ花火の運搬に成功し無事に花火大会は開催される運びとなった。 #openclose(show=うわぁぁぁぁやめろぉぉやめろーやめろーやめろー!){ #center(){&bold(){ぱんっ}} #center(){&bold(){…? 花火…?}} #center(){&bold(){&color(red,black){ニヒッ ギャハハハハハハハハ!}} &bold(){&color(red,black){ギャハハハハハ!!}} &bold(){&color(red,black){ギャ~ッハッハッハッハッ!!!}}} 実際は200年の間、花火大会など一度たりとも催されておらずそもそも益荒鬼とは疫病の類でなく&bold(){&color(red,black){見たものの頭部を破裂させ殺害する怪異}}であった。 その正体は&bold(){空に浮かぶ巨大な鬼の生首。} 200年前に花火へ封印されたものの、花火大会を開催しなければならないと人間を錯覚させて封印から解き放たれる日を待ち望んでいたのである。 花火大会の観客の前に解き放たれた益荒鬼により、その場にいた全員の頭部が花火の如く爆散。屍の山が積み重なる花火会場にて大勢の人々を無差別虐殺した益荒鬼は満足げにゲラゲラ嗤いながら、本エピソードは幕を閉じた。 なお、このせいで多くの犠牲者が出たものの作者は&bold(){「我らがQ様が揉み消すかもしれません」}と答えている。 } ***人身御供にされた子供たち #center{&b(){なにしにきたのお? ねぇ、なにしにきたの〜?}} 200年前に益荒鬼を封印するため生贄にされた子供たち。 みなオカッパの着物姿の少女で、河川敷に入るとその目的を訊ねて花火を上げることと知ると必死の形相で追い返す。 今回の大会開催の妨害も、益荒鬼の復活を阻止するため行なっていたことでこの作品には珍しく&bold(){純粋に人間への善意のみを以て益ある形で働く怪異である。} そのためユメの異能には反応しないが、本人たちは「花火大会を開いちゃダメ」としか口にせず真意が掴めなかったものの、益荒鬼の封印自体も非常に簡素なものでそれを壊そうとすると「良くないことが起こる」という感覚はあったようだ。 封印が解かれてしまったきっかけは茶々の発言であり、読者の中では彼女を訝しむ声も上がっていた。 **百葉箱 #center{&bold(){設置した場所の気温を測るためのものでね、} &bold(){温度計や湿度計などが入っている。} &bold(){普通はね。}} 百葉箱記録員のエピソードで登場した怪異。 辺鄙な山の中に3つ存在し、普通の百葉箱とは違い&bold(){異なる時間や空間}を観察するものである。そのため中には温度計や湿度計は入っておらず、それぞれ&bold(){「手」「12人の男女の写真」「自分」}が入っている。 この百葉箱の影響で周りの時空は歪んでおり、ユメが空を飛んだり和美が分裂するなど&s(){バグる}不可解な現象が起こる。 エピソードでは24時間百葉箱を1時間ごとに観察し、「手」「12人の男女の写真」「自分」に変化がないかを調べた。 #openclose(show=コレ、写真じゃないな。){ 12人による男女の写真の正体は、写真のように平面へ圧縮された百葉箱の観察者たちであった。百葉箱の周りは&bold(){空間の歪みだけでなく、時間という概念すらもなく}写真に圧縮された観測者たちは、&bold(){一切身動きもできず永遠にそのまま}である。 なお、百葉箱自体は見たものを写真のように平面に圧縮させる怪異ではない。ただ周りの時空を歪めるだけの箱である。 百葉箱を観察した者は皆平等に、百葉箱の中に入っていた「未来の自分」により&bold(){今すぐ逃げ出したくなるような恐ろしい未来}が待ち受けていることを知り、すぐさま異次元に逃げ出そうとして失敗し、写真のように圧縮されてしまった。 観察者は誰かが選んだ訳でもないのに皆平等に恐ろしい未来を見た、それはつまり&bold(){世界規模}と言っていいような恐ろしい事態が後に起こるのだろう。&s(){りんごちゃんは幸せに数十年の人生を送ることになるが…} } **樹海の怪異(仮称) #center(){&bold(){&color(black,#96C78C){パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ}}} &bold(){&color(black,#96C78C){黒岩案件・樹海捜索員}}のエピソードで登場した怪異。 仁田四村樹海に巣くう&bold(){&color(black,#96C78C){蓑虫のような赤ん坊}}というビジュアル以外、詳細は全くの不明である&s(){黒岩案件恒例の}怪異。 樹海で遭難してしまった青年の「滝沢純太」を苗床に成長していたようで、彼を捜索しにきた隊員を悉く自殺させてその死体を栄養源に成長していた様子。ちなみに苗床となった彼の腹部は妊婦のように肥大化し、腹部からは無数の臍の緒のような触手が伸びていた。 この怪異の干渉を受けると&bold(){&color(black,#96C78C){「ジュンくんを助けに行かなきゃ」}}という思想の下、森から垂れ下がる蔓のような臍の緒によって&bold(){&color(red,black){率先して首吊り自殺を図ってしまう。}} 今回に限っては&bold(){&color(red){回避・攻略方法が一切分かっていない。}}いつもの補足説明をしてくれるちょい足しでも&bold(){「樹海生誕」}としか語っていない。 &bold(){&color(black,#96C78C){純太を苗床にしていたモノ}}が産まれればその時点で影響下から逃れられ生存できるが、産まれない限りは確実に死ぬしかない。 おまけに、いつものユメの異能が全然反応しないまま完璧に術中へ陥っていた。つまり生存できるか否かは&bold(){過去の怪異含めてもダントツの運ゲー。} ただ、鞄やおおいなるものの性質から見るに「結果的に人間が不幸になる」タイプはユメの能力では感知できないようであるため、この怪異も悪意で人間を死へ追いやっている訳ではないと思われる。 そして、&bold(){&color(black,#96C78C){滝沢純太の姿となって生まれた「何か」}}は無事彼の家族と感動の再会を果たし、&bold(){やがて人間社会から失踪。} &bold(){&color(black,#96C78C){彼の家族を全員同じ苗床へと変貌させ、彼と同じように大多数の人間を養分にしていることを仄めかしつつ本エピソードは幕を閉じた。}} 余談だが、ユメはバイト先の仁田四村樹海に行く道中の記憶を完全に忘却してしまったらしく、&bold(){そもそも樹海捜索員の裏バイトへの参加自体が怪異の術中によるものなのかもしれない。} **スマイリー・ガウチョくん #center{&bold(){ガ~ウチョガ~ウチョガウチョく~ん} &bold(){みんなだいすきガウチョくん もっとわらってスマイル、スマイル} &bold(){&color(red,black){わらわないコは たべちゃうぞ~}}} [[おもちゃ屋]]スタッフのエピソードで登場した怪異。 「おもちゃの長嶋屋」のオリジナルキャラクターによる等身大着ぐるみで、真っ黒な体に巨大な目玉、耳まで裂けて巨大な歯が並んでいる口&del(){と妙に質感のいいプリケツ}を持っている。 正直言ってあまり可愛くはなく寧ろ不気味ですらあるのだが、子供たちには絶大な人気を誇る。 その人気はまさに社会現象といっても過言でなく、ぬいぐるみやフィギュア化は勿論のこと、ゲーム化・[[アニメ化]]・ドラマ化までされている。 また、ガウチョくんのぬいぐるみを近づけるとどんなにグズった子供もたちまち笑顔になるという。 #openclose(show=真顔で「アレ」の前に立とうとすると、凄くクサくなる。){ その実態は後述の店長が何らかの方法で生み出した怪異。 ガウチョくんは人を笑顔にするのを目的としており、&bold(){笑顔以外の表情を見せることは許さない。} もしもガウチョくんの前で笑顔を失うと(少しの間なら笑顔でなくてもセーフらしい)その巨大な歯で噛み砕かれて飲み込まれ、排便するかのようにぬいぐるみとして排出される。 またガウチョくんのぬいぐるみも異常性を持っており、このぬいぐるみを持っていると&u(){[[笑う以外の感情表現ができなくなる。>SMILE(ONE PIECE)]]} ただし逆に言えば笑顔でいればいいということなので、常に笑顔でいられる相手には何もできないのが弱点。 &s(){笑顔のユメたちに散々ぶん殴られて目を回しているガウチョくんはちょっとかわいい。} ***店長 #center(){&bold(){&color(red,black){もう、笑わなくてもいいよ。}} &bold(){&color(red,black){もう、楽しい事は何一つ起こらないから。}}} 「おもちゃの長嶋屋」の店長で、ガウチョくんを生み出した張本人。 実は本物の店長はおもちゃ屋が潰れた後で失意の果てに自殺しており、今いるのは誕生の経緯は不明だが長嶋屋のマスコットが自我を得て怪異化したもの。 生前の店長の意志を継いでいるのかあるいは意志が乗り移っているのか、人を笑顔にするのを生き甲斐としている。 強キャラ感ある前述の台詞とは裏腹に、ガウチョくん同様笑顔のまま対処されると何もできず凶器を持った女性2人にあっさりボコられるほど弱い。 #openclose(show=主人公2人が逃亡後は行方を晦まし、同時にガウチョくんブームも瞬く間に収束した。){ その後、別のおもちゃ屋で今度は「ファンキー・ポンキーくん」なる怪異を生み出して活動を再開。 このファンキー・ポンキーくんのぬいぐるみはガウチョくんのぬいぐるみよりアップデートされており、これを持っていると&bold(){笑う以外の感情そのものがなくなってしまう。} おそらくガウチョくんのぬいぐるみと同様、不特定多数の子供たちの下へ届けられることになるのだろう。 }} **スター・マン #center(){&bold(){今のきみはなんにだってなれるし、どこにでも行ける。} &bold(){だって、今のきみは、} &bold(){肉体という枷から解き放たれた、誰よりも自由な存在だから。} &bold(){さあ、行こう。} &bold(){ぼく達の使命を果たしに…}} 天体観測のエピソードで登場した怪異。 十津能平原の上空でのみ観測でき、人間のような形状を模っているが&bold(){その実態は無数の小惑星らしき物質で構成された異形の存在。} 人型ではあるが物理法則を軽く無視した動きが可能で、&bold(){天体望遠鏡に映った木星の背後で木星と同じサイズの顔を覗かせたり、数多の観測者たちの視線をくぐり抜けて一瞬で地表へ降り立ったり}と、その行動はもはや人間という枠組みを超えている。 さらにこのスター・マンを長時間観測し続けた場合、&bold(){スター・マン側は観測者が自分たちの同志になりたがっていると認識し、&color(red,black){その人間を自分たちと同じスター・マンに変えてしまう。}} スター・マンと化した人間は元の肉体が溶けるように消滅し、小惑星の集合体のような肉体へ生まれ変わり、他のスター・マンと同じように宇宙へと旅立っていく。 なお、観測し続けた人間にはスター・マンが「返事」をしてくることがあるものの、常人がその声を聴くと発狂して&del(){宇宙ジャンボ餃子理論を唱えるようになって}しまう。 ただし、スター・マン側からすればこれら一連の行動は自身らと同じ目的を持った同志を募っているに過ぎず、悪意を持った怪異ではない。 後述する行動原理を踏まえれば、本作では極めて珍しい&bold(){一貫して人類に友好的な怪異}だとすら言える。 時子はこのスター・マンの原理に気付いていたようで、雇用主を罠にハメて彼を「同志」に仕立て上げた。 #openclose(show=コレは警告だ。) { スター・マンの真の目的は、生身の人間では決して辿り着けない「宇宙の外側」に到達すること。人間が天体望遠鏡を使って観測=思いを馳せられる、その先へ到達するのを自らの使命としていた。 そして●●年後、「宇宙の外側」に辿り着いたスター・マンはそこで垣間見た光景と共に人類へ&bold(){&color(red,black){「宇宙の外側へ思いを馳せてはいけない」}}という警告を発する。 ただし、&bold(){&color(red,black){「アッチ」からこちらへはやって来ないという保証はどこにも無い、としながら…。}} ちなみにエピローグで和美がユメと話している場面で、空の彼方で小さく手を振っているスター・マンが確認できる。かわいい。 } **即売会の客 売り子のエピソードで登場した怪異。 アンダーグラウンドで行われているこの即売会は一見すると[[同人誌即売会]]と同じで、個人でブースを出店し品物を売買している。 だがそこで取り扱われている品物は当然[[同人誌]]などではなく、作中では「ヴァヴェボバ」なる商品が売られており、また客の1人は「ウィソジン」という品物を要求していた。 この即売会では客も売り子も被り物を着用しており、仲買人のエピソードと似通っているもあちらとは異なり&bold(){全ての客が人外の存在。} 人間の売り子は被り物を被り続けて人間であることはひた隠しにしなければならず、もし人間だとバレたらただでは済まない模様。 だが、本エピソードで&s(){よりにもよって}雇われたのが&bold(){言われた事を3秒で忘れてしまう橙}だったため、暑かったのも相まって何度も被り物を脱ぐのを繰り返し人間だと疑いを持たれる。 挙げ句とうとう素顔を晒したのだが、常人を超越した思考回路を持つ橙は&bold(){怪異と意気投合、}皆が素顔になり打ち上げで記念撮影するに至った。 そして橙を雇った雇用主は&bold(){怪異よりも橙に恐怖を抱いた。}多分読者も橙に恐怖を抱いている。 **薬品庫の幽霊 薬局スタッフのエピソードで登場した怪異。 大縄薬局の薬品庫に出没する女性の幽霊で、体つきや頭部の輪郭こそ普通だが顔のパーツが普通の人間とは逆さまに付いている。 特別霊感が強い訳でもない和美にも、まるで生きた人間であるかのようにちゃんと見える。 この幽霊を恐れているために主人公2人の雇い主である大縄明美は薬品庫へ入りたがらないが、どうやら明美には見えていない模様。 そして薬品庫に立ち入る2人には目もくれず、時折薬品庫を訪れる明美を恐ろしい形相で睨みつけている。 そして、薬品庫で寝ると幽霊に身体を乗っ取られるという噂がある。 #openclose(show=まるで明美に恨みでもあるかのようなのだが…?){ その正体は&bold(){明美の姉・愛華。} とは言っても明美は養子であるため、血の繋がりはない。 明美にとって義姉である愛華は何かしらの病を患っていたようで、父親(愛華の実父)は「Q」が開発した薬を使おうとしていたのだが安全を確かめるべく、&bold(){血の繋がっていない明美で人体実験を行おうとした。} だが異変に気付いた明美は、自分が飲むはずだったコーヒーを愛華に飲ませた結果、愛華は幽霊へと変わってしまった((その薬は人間を幽霊に変える薬らしいが、病気を治そうと幽霊になっては無意味なためおそらく薬自体が欠陥品だったと思われる。))。 幽霊=愛華が明美に執着するのはその恨みであろう。 薬品庫にしょっちゅう溜まる埃の正体は幽霊となった愛華の身体の破片であり、これを他人が服用すると姉の存在・記憶が希薄になっていき、やがて消失するという。 実子を幽霊にしてしまった父親は重圧に耐えきれず、客に出す薬へ破片を混入させて愛華のことを忘れようとしているが、明美はそれを許さずに時折雇う裏バイターを薬品庫で眠らせ、愛華に肉体を与えることで父親の記憶を保っている。 つまり、&bold(){幽霊が見えないように振る舞っていたのは演技だった}可能性が高い。 もっともこの実体化はおそらく一時的なもので、父親への執着がある限り明美は裏バイターを犠牲にし、愛華を実体化させ続けるのだろう。 } **大倉さん 警備保障会社スタッフのエピソードで登場した怪異。 とあるアパートを根城にしており、外見的には禿げ上がった全裸の中年男性といった感じ。 住民たちの間では昔自殺した住民である「大倉」の死霊と噂されている((アパートのオーナー・久利正志曰く「今まで『大倉』という名の住人は1人もいない」。))。 この怪異の影響か、アパートでは自殺者が絶えない。 荷物を荒らす、窓から入ろうとする、天井に張り付くなどの嫌がらせじみた行為を繰り返すかと思えば、突如として&bold(){金銀兄弟をまとめてワンパンする}など、その行動には謎が多いが…? #openclose(show=「いっつもそう。弱い人は、いっつも餌にされちゃうの」){ 本来の呼び方は「&bold(){大喰らいさん}」であり、大倉さんというのは間違って伝わった呼び方が定着したもの。 その本質は&bold(){「恐怖を煽り、食らう」}&s(){かなりのクチャラーな}怪異。 この恐怖心とは何も大喰らいさんに向けられたものである必要はなく、ほんのわずかな不安や恐怖を抱いただけでも獲物にされてしまう。 大喰らいさんの行動はあくまでもそれだけであり、直接危害を加えることは基本的にせず、自殺者も全て恐怖に耐えかねて自ら死を選んだに過ぎない。 しかし裏を返せば「恐怖を煽る」という目的のためには瞬間移動、ポルターガイスト、ドアを閉ざす、影から語りかける、金銀兄弟をも上回る暴力を見せつけるなど&bold(){万能}とすら呼べる能力を発揮する。 餌場を惜しむ気持ちがあるのか、新たな住民が入ると最初のうちは加減した嫌がらせを行うが、次第に&bold(){我慢できなくなり}相手を自殺にまで追い込んでしまうらしい。 ただし、自身に対して全く恐怖を抱かない相手には興味を失い、姿を消してしまう。 金銀兄弟に一撃で重傷を負わせたものの、恐怖どころか怒りで我を忘れた銀の猛反撃を受け(おそらく恐怖を抱かない相手だと判断し)消滅している。&s(){やっぱりコイツらどうかしてるよ} #openclose(show=「ブラボー! ブラボー!」){ 実はこのアパートには隠しカメラが仕掛けられており((前編で金が隠しカメラに気付く描写がある。))、住民や主人公2人及び金銀兄弟の行動も全てリアルタイムで中継されていた。 その目的は&bold(){賭け。} 大喰らいさんの行動は、[[カイジ>賭博黙示録カイジ]]にでも出てきそうな上級国民たちが「どの住民が生き残るか」に賭ける&bold(){「一大『裏』エンターテイメント」}となっていた。 &s(){この世界の上級国民はどいつもこいつもろくでもないやつらばかりだ。} しかし… #openclose(show=「この人は…不安じゃないのかね。ただの人間にすら見つけられたのに、カメラを通じてこっちの存在が大喰らいさんにバレたら、今すぐにでも…なんて、心配しすぎ」){#center(){ &font(b,50){か} &font(b,50){クチャクチャクチャ ゴクン} }} } } **神の御国へ赴く会 探偵助手4のエピソードで登場した怪異。 喜多区に位置するとある廃ビルを根城にしている死霊の集団で、生前は神の国──つまり天国へ行くことを最終目的としたカルト教団だった。 「儀式がうるさくて近所から苦情が殺到した」「勧誘が強烈だった」とのことだが、この辺りのことは本編では詳しくは語られていない。 ある日に突然信者と関係者全員が失踪してしまい、ビルには人型の黒いシミだけが残された。 以降はこのビルに立ち入った者──それが男性ならば女性信者によるハニートラップで、女性ならば記憶から作り出した幻覚によって惑わし、仲間に引き入れようとする。 魅入られた男性にはこの廃ビルが美しい女性の待つ豪勢なマンションに見えるのだが、第三者から見たら何も無い廃ビルで誰もいない空間に向かって独りごちているようにしか見えず、女性との通話も&bold(){地獄の底から響いてくるような苦しみの声に混じった「死ね死ね死ね死ね死ね」「お前もこっちに来いぃぃ」という禍々しい絶叫}にしか聞こえない。 八木の友人である大山は「信者たちは間違って地獄に行ってしまったのではないか」と予測しており&s(){また地獄か、本当にいくつ地獄があるんだ…}、作中の描写を見るに神様として崇めていたものが実は悪魔で、まとめて地獄に連れ去られたとも推測できる。 魅入られた犠牲者も最終的に地獄へ連れ去られるようだが、幻覚を打ち破るかあるいは誘惑が届かないほど遠くへ逃げることで、難を逃れられる。 作中の依頼主であった女性の旦那も、廃ビルに容易く近づけないほど遠くへと引っ越したため誘惑を断ち切ることができた。 &font(#ff0000,u){&font(#ffffff){確かに逃れることはできた、怪異からは。…とはいえ、真に恐ろしいのは怪異だけではなかったのだが。顛末を見た男性読者は股間がキュッとなったことだろう。}} **置物(仮称) #center(){&bold(){&color(#FEDCBD,#000000){フム…では、やはり父の死因はこの置物にあるのかも…}}} 遺品整理のエピソードで登場した人形。元々は八木さんや赤川さんの&bold(){実父}であり、&bold(){&color(red,black){牛の腹の中からその遺体が発見された}}&bold(){赤川貴明}氏が生前蒐集していた呪具の1つ。 「笑みを浮かべながらマッスルポーズを取っている擬人化された齧歯類」というマスコットじみた外見とは裏腹に危険度の高い代物であるらしく、かなり早い段階からユメの異能が反応していた。 マスコット系の見た目で危険度が高いという点から、スマイリー・ガウチョくんを連想した読者も多かった模様。 …しかし、今回のエピソードは八木さんの&s(){競馬との出会い}過去に焦点が置かれていたせいか&bold(){詳しい性質は一切判明しておらず、上述した父・貴明の不可解な死も「関連があるだろうと思う。しかし、それ以上のことは分からない」と、この呪具によるものだとは明言されていない。} 作中では早々に発見された直後こそ普通の置物らしく振る舞っていたものの、ユメハマコンビが見ている前で&bold(){&color(red,black){徐々に口角を吊り上げ、やがて大口を開けてガタガタと激しく震え出した}}…時点で危険を察知した2人はその場から逃走。 後日戻って来た時にはこの置物だけが&bold(){&color(red,black){何故か忽然と姿を消しており、}}結局&s(){正体不明の呪具が野に放たれて}謎は解明されないまま本エピソードは幕を閉じた。 補足すると、同エピソードでは「裏」は誰にも理解もコントロールも征服もできない「無敵の存在」であり、八木さんはそこに憧れると同時に惹かれているという点が強調されている。 それを踏まえると謎に包まれたまま消えたこの置物は、謎だらけであることにこそ意味があるのだろう。 **ドリーミン・フラワー 花屋スタッフのエピソードで登場した怪異。 フラワーガーデンSAGA近辺の店長・佐賀が個人的に入手した珍しい花。 この花を置いておくと何故か全ての花が枯れてしまったのだが、不思議なことに翌日には花が元通りになっていた。 そして、まるで花を恐れているかのように雇ったバイトは次々に辞めてしまっている。 その実態は「願いを叶えてくれる花」。 …とは言っても何の代償もなしに願いを叶えてくれるような都合の良いものが裏バイトワールドに存在しないのは周知の通りであり、願いを叶えるには人間を生贄にする必要がある。 #openclose(show=作中では主人公2人ばかりか茶々、八木さんまで生贄にされてしまい、代償を捧げた佐賀はかねてから想いを寄せていた大学の同級生である相馬と晴れて両想いになることができた。){ 確かにドリーミン・フラワーは願いを叶えてくれる花である。 ただし、&bold(){夢の中で。}つまりエピソードの大半は佐賀の見ていた夢だったのだ。 本来、夢とはその人が知っている人や物しか出てこないものだが、ドリーミン・フラワーの見せる夢は言わば「最も起こる可能性の高い現実のシミュレート」であり、その人が知らない物事まで登場する可能性がある。 正直言って、本エピソードはどこまでが夢でどこからが現実なのか非常に曖昧となっている。 それでも作中の&bold(){&color(#FEDCBD,#000000){「面識のない私やユメ君、和美君なんかも登場していたかも知れないな」}}というセリフから推測すると、そもそも主人公2人が花屋でのスタッフ業務にあたっていた時点からして夢だった可能性が高い。 そして、台詞から推測される本来のバイトの目的はおそらく「行方不明になった佐賀の捜索」。 エピソード終盤で佐賀は巨大な人面花となった姿を見せ、過程は不明だがどうやらドリーミン・フラワーに取り込まれてしまったようだ。 つまりドリーミン・フラワーとは願望を抱く人間を取り込んで幸せな夢を見せ、第三者に対しては無害という比較的安全な怪異である。 #openclose(show=ドリーミン・フラワーを…どこで手に入れたかって?){ 八木さんが調べたところによると、ドリーミン・フラワーは業者経由で佐賀に売りつけられた模様。 「いつもの仕入れ先」ではあったらしいが、いつもと違い初めて見る顔の人から「売り先は佐賀さんがいい」とこの花を渡されたらしい。 #center(){&bold(){&color(#FFFFFF,#000000){ん? ああ、そうだな、くれた人間は初めて見る顔だった。}}} #center(){&bold(){&color(#994c00,#000000){こう、前髪の&color(#FFFFFF,#000000){真ん中のトコだけ…}白い女だ。}}} }} **気体 探偵助手5のエピソードで登場した怪異。事故、殺人、その他変死事件が&bold(){あの裏バイト世界}の中でも &bold(){&color(red,black){他地域と比べ群を抜いて頻発している危険地帯}}「〇〇県東弥市 工業地区」を漂っている。 このエピソードも遺品整理のエピソードと同様にユメの義母である黒嶺弥生の謎に重点が置かれているため、この怪異についての説明はほとんどない。 東弥地区には&bold(){見えているのになぜか一向に辿り着けないアパート}や&bold(){ゴウンゴウンと音を立てながら謎の製品を製造し続ける工場}など不可思議な建造物が見られるほか、&bold(){黒嶺弥生}について探る者を住民が一丸となって排除((追放や無視などの生易しいものではなく拉致、時には殺害をも辞さない構えを取っている。))しにかかるなど明らかに普通の地域とは思えない点があるも、怪異との明確な関連性は明かされておらず 気体について作中で判明していることは ・街の中心の工場の煙突から排出される ・人間の口と鼻から体内に侵入する ・体内に侵入した人間を操れる ・複数種存在する ・気体毎に独自の意思を持っている(と推察できる) 精々この程度である。 操られた人間は目や口から黒い煙を吐きつつ人並み外れた力を発揮するようになる。金銀により多対2の状況でも制圧された((中盤の操られていない状態では一方的に金銀に制圧されたのに対し、操られていた終盤では銀をキレさせる一撃を入れる者もいたようなので戦闘能力自体は格段に上がっている。))ので一応人の範疇は越えていないようだが、一般人からすれば十分に脅威。 工場で何が作られているのかは誰も知らず、その謎を解明しようとした男の前には巨大な目玉が現れたが、この目玉と気体の関係も不明。 また作中では「善い気体」と名乗る存在が主人公2人の体内に侵入しており、電話でコンタクトをとってきたが自ら「善い」と名乗っているだけあって2人に危害は加えず、目的地のアパートへ到着した途端に大人しく出ていった。 しかし「善い気体」が町を取り仕切って以降の東弥地区はさらに治安が悪化しており、事故件数・犯罪率・重犯罪件数が格段に増えている。 この「善い気体」は街に蔓延している気体や黒嶺弥生と敵対している可能性もあるが、現時点での説明はない。 **&ruby(アトーンメンツ){Atonements} #center(){&bold(){確か、Atonementsって…}} #center(){&bold(){イキナリ出てきて、イキナリ有名になった覆面バンドだよな。}} コンサートスタッフのエピソードで登場した怪異。 ただ便宜上ここでは怪異として紹介するが、厳密には怪異とは言えない。 というのも、彼らは別の怪異に呪われてしまった人間だからである。 元々はKINGDOMという名前でデビューした4人組男性バンドだったのだが、後述する「希美」の呪いによって世にも悍ましい姿に変貌してしまった。 呪いを解くためとして2人の僧侶を呼んだのだが、僧侶だけの祈祷ではとても足りずもっと大勢の祈りが必要だった。 そこで彼らが考えたのはコンサートを解呪の儀式とすることで、自分たちが祈りのポーズを取れば観客もそれを真似るだろうと考えたのだ。 しかしそれは危険な賭けでもあった。 コンサート中は希美の呪いを一身に受け続けるからだ。 それでもギリギリでコンサートは終了となり解呪と供養も終わったかに思えた…が、その時アンコールの掛け声が観客から上がった。 その後は、50,000円の追加報酬によってステージの清掃が行われたという。[[ステージ上の状況は伏す。>不安の種/不安の種+]] ちなみにバンド名は「罪滅ぼし」「償い」を意味する。&s(){(キリスト教の)「神との和解」の意味もあるが、次エピソードの怪異は多分関係ない。} ***&ruby(きみ){希美} #center(){&bold(){&color(red,black){シーネッ シーネッ シーネッ シーネッ}}} #center(){&bold(){&color(red,black){ぱんっㅤㅤ ぱんっㅤㅤ ぱんっㅤㅤ ぱんっ}}} コンサートスタッフのエピソードの元凶となった怪異。 作中では一貫して「あの女」と呼ばれている。 コンサートの後ろの方に陣取り、ひたすら「シーネ、シーネ」とコールを繰り返していた。 正体についての言及はないものの、作中シーンからの推察は可能でその正体は「メンバー全員と四股をかけていたが、嫉妬から殺害された女性の怨霊」。 解呪の儀式は希美の供養も兼ねていたのだが、「アンコール」の先陣を切って目論見通りメンバー全員への復讐を果たした模様。 **十字架 #center(){&bold(){声が、聞こえた。九人の使徒を連れてあの十字架に行けば、}} #center(){&bold(){&color(red,black){全ての罪を贖っていただけると。}}} &bold(){&color(Black,red){黒岩案件・船舶乗務員}}のエピソードで登場した怪異。 海のど真ん中に建っている巨大な十字架で、その場所以外に見た目はこれといって不思議な点はない。 だがこの十字架はSCPで言うところの[[ミーム汚染>ミーム(SCP Foundation)]]の性質を持っており、この十字架を映像ででも見ると&bold(){環境破壊や戦争、虐殺などこれまで人類が犯してきたありとあらゆる過ちや罪を自分がやったと思い込むようになる。} そして同時に&bold(){その罪を贖うため九人の使徒を十字架へ連れて行く}という使命感にも取り憑かれる。 #openclose(show=今回はユメが採用されず和美のみのバイトという異例の事態となったが、橙が一緒なので「橙のギャグ補正でどうにかなるだろう」と多くの読者が高を括っていた、のだが…){ &bold(){実はこのエピソードに登場していた橙は偽物}であり、本物の方は出発日時を間違えたため港に取り残されていた((ユメは無意識に別人と気付いていたのか、序盤の出航間際で最初に橙を名前ではなく「その子のそばから離れないで」と和美に伝えていた。))。&s(){らしいっちゃらしいが、これはこれで今までのギャグエピソードはどうやって成り立ったんだろうか…} 雇い主の教授が受けた神託には「神の子が真に清き心を持つ者の姿を借りて現れる」とあるのだが、&color(orange){その真に清き心を持つ者こそが橙だったのだ。}&s(){あまりにもアレすぎて、邪心すら持てないくらいの良くも悪くも空っぽな心だったからとか、人間より怪異寄りだからとか思ってはならない。} 十字架の元に到着したニセ橙こと神の子は十字架に磔となり、それと引き換えに人類は全ての罪を許された。 こうして人類は何の負い目も罪悪感も感じる必要がなくなり、永遠の幸福が約束されたのだった。 #openclose(show=。なた見){実は十字架は海を貫き、反対側の大地まで突き出ていた。&s(){オカルトとはいえ頑丈すぎる} 反対側の大地にも十字架があり、「逆側」とのこと。 見てはいけないものだが、とある登山家が見てしまい… } } **ヌグベチ #center(){&bold(){この虫の成体は誰も見たことがないのだ。}} 昆虫研究助手のエピソードで登場した怪異。 …といってもあまり異常性はなく、奇妙な生態をしているだけの普通の昆虫である。とある公園にのみ幼体で生息している昆虫で後述の&bold(){カビ}により、野生個体は成虫になるまでに殺され公園から出された場合は成長段階に関係なく殺されてしまう。成虫となる前に繁殖行為を行う((これはネオテニーと呼ばれる生態であり、実在する。))ため子を為せず絶滅という事態は避けられているが、この生態によりヌグベチの成虫を見た者はいない。 幼体は手のひらサイズの繭玉のような姿をしており、成体へ近づくにつれ巨大化しながら人の手のようなものが生えてくる。完全な成体の姿は本編・ちょい足し共に終ぞ描写されなかった。 ヌグベチはずば抜けて高い知能を有しており、周囲の言葉を真似することがある。驚くべきはその精度で、作中でも主人公2人が互いに聞き違えるほどのクオリティであった。また飼育期間中には和美が&bold(){巨大なバッタが研究所内を彷徨く夢}を見たり&bold(){いつの間にか本が出しっぱなしになっている}など不可解な現象が起こったがどれも実害のあるものではなく、本編では退院した雇い主である&s(){罰当たりおじさん}寿教授が飼育を引き継ぐ形で研究し、無事成虫へ変態した。 モチーフは北海道円山公園に生息するヤマトゴキブリであり、気候的問題や寄生虫問題によりコチラもヌグベチ同様円山公園内でしか生きていけない。 ***&bold(){カビ} #center(){&bold(){&color(red,black){ふつふつ ふつふつ}}} ヌグベチを公園に閉じ込めている原因。基本的に人間には無害だが公園外にヌグベチを持ち出した瞬間活発化し、持ち出した者とそのヌグベチを蝕む。数匹程度なら痒みを伴う程度だが、何匹も持ち出すとその勢いは増し人間を死に至らしめる程になる。公園内にヌグベチを戻すとカビは自動的に離れていきそれ以上蝕まれることはない。 このステージギミックじみた性質から一見[[「無敵かこいつ…」>ジョルノ・ジョバァーナ]]となるが&bold(){カビ自体の絶対数はそこまで多くない}という弱点があるため、本編では一人がヌグベチを大量に持ち出して囮となりその隙に別の人物がヌグベチを回収するという方法で出し抜かれた。 由来や動機は不明だが地域住民からは公園内の御神木の祟り、御神木がヌグベチを外に出さないようにしている、と認知されており上記の囮作戦の際は明らかに人の顔状になるなど&s(){ヌグベチよりも}怪異らしい挙動をする。 #openclose(show=和美「ハハ、あんた数日でこんなデカくなったから。あんな夢見ちゃったじゃん。あんなんも〜人類の天敵っしょ」){ ヌグベチは前述した通り知能の高い昆虫である。 そう、&bold()&color(red,black){知能が高すぎる}のである。その知能は人間を遥かに凌駕し、飼育されてからの短期間で人間の言語、昆虫学、薬学その他様々な知識を習得し果ては&bold(){人類にも未開発の薬品}まで生成してしまうほど。 作中では虫を凶暴化・巨大化させる薬を生成しており、凶暴化させる薬で研究室内の他昆虫を手駒にし研究室へ訪れた人物を襲わせていた。 白い匂いにより殺虫剤が効くと知った主人公2人は、寿教授の助けで&bold(){「部屋に隠れて隙間から黒い匂いがしなくなるまで殺虫剤を撒き続ける」}という作戦を決行。2人は難を逃れたがヌグベチを保護するため殺虫剤が十分に散布されない状態で突っ込んだ寿教授はヌグベチの所業に愕然としながら死亡。これにより、ヌグベチの成体を知る者は再びこの世から一人残らず姿を消してしまった((主人公2人は寿教授が退院した時点でお役御免となったため、ヌグベチの成体を目撃していない。))。 死の瞬間、寿教授は「&bold()&color(red,black){もし、ヌグベチ達が人間の天敵であるなら、その存在すら悟られないように、研究所の昆虫にやったことを、人間にもやるのではないだろうか}」と危惧していたが残念ながらその予感は的中してしまう。 公園からの脱出法を知ったヌグベチはそれを共有しあい、公園から完全に脱走。昆虫の次は人間を用いて薬の実験をするようになり、作中では凶暴化させる薬を使われた人間が半笑いを浮かべながら包丁を振りかぶり家族に襲い掛かろうとする姿で幕を閉じる。 こうして晴れて自由の身となったヌグベチは、今日も自らの存在をひた隠しにしながら人間相手に実験を行う &bold()&color(red,black){&ruby(人類にはどうしようもないもの){天敵}} となったのである。 &s(){裏バイト世界に人類の天敵って何体いるんだろう…} } **アルカディア青羽の幽霊 新公団住宅管理員のエピソードで登場した怪異。 全体的に黒ずんだ姿をしている以外はただの人間であり、暗がりや茂みなどで不意に出現するがすぐ消えてしまう。&s(){中には雄叫びを上げながら公衆の面前に現れ消えてゆくファンキーな野郎もいるが。} 様々な設備が揃っており住民も明るい新公団住宅「アルカディア青羽」とは対照的に陰気な雰囲気を纏っており、和美からは特大火の玉ストレートの罵倒を心中で呟かれた。 有害な異常性は無くただ現れては消えるだけなのだが今まで管理人を勤めてきた裏バイターは皆「&bold()&color(red,black){幽霊がいる}」と逃げ出しており&s(){裏バイターにしてはビビりすぎじゃない?}、やはり居て気持ちのいいモノでは無いので管理主任は根絶を目論んでいる。 その正体は、アルカディア青羽が建つ以前に存在した旧団地での火事の犠牲者と噂されており「&bold()&color(red,black){焼け跡の窓から大量の黒い影が見下ろしていた}」という噂も流れている。 #openclose(show=「背乗り」を知ってるか?){ ㅤㅤㅤㅤ #center(){&bold(){&color(red,black){よく聞け。私たちは…}}} #center(){&bold(){&color(red,black){アルカディア青羽の本物の住人だ。}}} ㅤㅤㅤㅤ アルカディア青羽の幽霊の正体、それはれっきとした&bold(){人間}である。それも&bold(){元人間の怪異だとか特殊能力を持った特異な一族}というわけではない。 &bold()&color(red,black){何の変哲もないただの人間であり被害者}なのだ。 ***旧団地の幽霊 新公団住宅管理員のエピソードで登場した怪異。 前述の噂通り窓から見下ろしている黒い影形のタイプと普通の人間と変わらぬ姿で行動するタイプがいる。その正体は前述の火事で亡くなった人々の幽霊。 アルカディア青羽の住人に対してのみ異常性を発揮するのだが、問題はその内容でなんと幽霊に自分の姿を見られた住人は&color(red,black){瞬時に跡形も無くこの世から消されてしまう。}その後は消された人と入れ違いになる形で影形幽霊が肉体を持って蘇生してくるのだ。この際、本人は消えるがその人間がいたという事実は消えないため&bold(){所有物や戸籍等はそのまま現存する}((消滅の際に身につけていた物は巻き添えで消えてしまう。))。 幽霊たちはその基盤を引き継いで以降の人生を謳歌しており、作中ではその手法を「背乗り((犯罪者が一般人を襲って戸籍や身分を奪い成り済ますこと。))」と形容されている。 「存在を消す」「戸籍などその人が存在した痕跡は残る」という点で、よく似た怪異として人材レンタルスタッフ編に登場した&bold(){解脱猫}がいるが、所詮は道具であり即効性に欠けるアチラと比べれば凶悪さは段違い。 現在は元住民のほとんどが幽霊に成り代わられており、残った住民はオーナーが火事の戒めとして作った隠し部屋に閉じ籠もりながら姿を幽霊に見られないよう潜伏しつつ積極的に外部の人間=裏バイターとの接触を図り、状況の打破を試みている。 つまり主人公2人が任務に当たるまで、裏バイターが「幽霊がいる」という理由で退職していたのは単なるビビりではなく&bold()&color(red,black){他人の人生を横取りした化け物共が何食わぬ顔で目の前に犇いている}という事実を告げられたが故の恐怖からであり、幽霊が出現後すぐ消えていたのは幽霊から見つかる前に隠れたもしくは&bold()&color(red,black){影形幽霊に姿を見られ存在を消されていた}から。中には&bold(){長年の潜伏生活に耐えられず発狂する住人}もいるそうでその例が項目冒頭のファンキーなアイツらしい。 様々な点で高井津村の幽霊たちを彷彿とさせるが、比較して見ると 標的:一応藤吉村の子孫のみ↔住人に限るが無差別 乗っ取り方法:大勢で囲い込む↔目視 効果範囲:誰でも連れていける↔住人のみ 怪異化方法:魂呼の儀式↔地縛霊 規模:まるごと町一つ分↔公団住宅一帯 と細かい所で差が見られる。&s(){どっちにしろ迷惑千万だが} 幸いというべきかどうかエピソード後半部分にて元住民全員が背乗りされてしまった際、蘇生した幽霊が「良かった、これで全員です」と発言しているためこれ以上の背乗り被害は出ないと思われる。 &s(){ただの火事の犠牲者がこんな怪異になれるなら、真の住民もそのうち怪異化して復讐しに来そうではあるが。} } **おだんご(仮称) #center(){&bold(){&color(red,black){おだんご おだんご おだんごだいすき}}} カラオケ店員のエピソードで登場した怪異。 このエピソード連載中は作者が普段&s(){フリーダムな近況報告}怪異や話の裏設定を語ってくれるちょい足しにてコミティア体験記を&s(){イカれた言語で}綴っていたため怪異についての情報が本編と次話ちょい足しのごく一部からしか読み取れない。そのため具体的な特性どころか正式名称すら不明の、極めて謎多き怪異。 見た目は&font(b,red,black){これまでこの怪異の犠牲となった人間の生首が紐状に連結している}という悍ましいもので、今エピソードの職場であるカラオケオリジンにて毎日17〜20時の期間に出没していた。この怪異に対してカラオケオリジンは「怪異の出現時間中のみ営業停止」という対抗措置を取っていたが、エピソード開始時点ではなぜかその措置が撤廃されている。怪異は常に「おだんごになりたい」という謎の曲を歌っており、襲撃の際はカラオケ機からもこの歌が流れる。&s(){[[3兄弟>だんご3兄弟]]や[[大家族>だんご大家族]]に多大な風評被害。} #openclose(show=「おだんごになりたい」全文){ おだんご おだんご おだんごだいすき いっしょになりたい みんなおだんご ひとつになりたい おだんごてんごく ひとりじゃさみしい おだんごてんごく 個人はエゴだよ いらないよ ひとりはさみしい さみしいよ ひとりのおまえはもうおしまい さみしさにさよなら おまえはおわりだよ さみしいおまえはおわりだよ さあ、おだんごに やったね 個人のおまえはもういない もうさみしくない みんな一緒に おだんごてんごく ※なお「これで〜ぜんぶかな〜♪ ま〜だだよ♪ ほら、そこに、まだいるぞ♪」などと歌っている場面もあるため、怪異の気分次第で歌詞が変わるようだ。 } 出現時間になって間もなくは、カラオケ室を廊下から覗いたり人間体で部屋に入り込んだりマイクに化けて「おまえはおわりだよォ おだんごになるんだよォォォ」と叫んだりするだけで実害は無い。しかし時間が経つにつれ段々と脅威度が上がり、ついにはカラオケの客を物理的に襲うようになる。 出現時間になってからしばらく経つと人型になり本格的に客を襲い始める。その方法は背後に回りこみ耳の中に指を突っ込んで&font(b,red,black){そのまま頭を引き千切って殺す}というもの。 更に時間が経つとカラオケ店内全てを停電させ生首の姿で廊下を堂々と捜索し、客や従業員を問わず襲いかかるようになる。この際、襲い方が変わり襲われた対象は&font(b,red,black){一瞬で首から上が消失し喉元の断面図が丸見えになる}というグロい形で殺害される。 被害者は生首の姿のままで永遠に(少なくとも数年以上)前述の「おだんごになりたい」を歌いながら犠牲者を求める怪異の一部にされてしまう。どの被害者もおおよそ精気を感じられない顔つきで一様に同じ歌を歌うため自我が残っているようには見えないが、取り込まれてすぐの生首は「ドアを押し止めてコチラへ入ってこないようにする」など、ある程度自我を保てるようだ。 殺意MAXな上に殺られたら即座に取り込まれてしまう凶悪な怪異だが、意外なことに対処法は簡単で&bold(){カラオケ室に籠城し出現時間終了までやり過ごす}だけで難を逃れられる(出現期間中は普通に扉を開ける描写があったため、扉を抑えるなり鍵をかけるなりは必要だろうが)。 ここまで語った点を見る限りはただの首狩りモンスターでしか無いのだが、この怪異にはもう一つ特徴がある。それは&font(b,red,black){この怪異の犠牲になった者は記録、記憶から消えてしまう}というもの。たとえ相手が親友であろうと取り込まれてしまえば記憶からスッポリ抜けてしまい偽りの記憶で上書きされる((改変例:親友と2人でカラオケに来た→ヒトカラが好きで1人で来た、カラオケ店員として客と共に難を逃れた→そもそも客が一切来なかった。))。 この消去能力はある程度制御可能なようで、犠牲者を「身元不明の首無し死体」として残した結果カラオケオリジンが営業停止するようになったという教訓からか、営業停止解除後は「そもそも客が来なかった」と改変するようになっている。 この特性が「人を襲い取り込む」という生態と悪魔的ドッキングをした結果、裏バイト世界では「&bold(){犠牲者は増え続ける一方なのに誰もその脅威に気付けず何の対策も取れない}」という悪夢のごとき事態になっており、被害は本編から数年経っても留まる目処が立たないのが現状である。「5時になったらマズイ」とバックレた店員が「歌に気をつけて」と事情を知っているとしか思えない発言をしているが、これに関しては全くの謎。首無し死体を通報したのが彼だったのかもしれないし、好奇心を擽るために怪異が用意したデコイなのかもしれない。 犠牲者の生首としての姿しか見せない上に補足情報も少ないため、始まりがどういうものだったのかも何の意図があるのかも不明という、いつかのいちょうさんのようなことになっている。お団子に関しては作者ですら「おだんごってなんだろうな でもおだんご以外無いんです。このイメージ」と理解を放棄している始末(作者でも分からないなら我々に分かるはずもない)。 余談だが、本エピソードは珍しくユメの通帳後に後日談として数年後のカラオケオリジンが描かれている。もちろんこの怪異は健在であった。 **太空神社の神 #center{&color(Black,red){&bold(){未だ、道半ば}}} &bold(){&color(Black,red){黒岩案件・参拝案内}}のエピソードで登場した怪異。 今回の職場である太空神社は&s(){裏バイト世界にあるまじき} &font(#e6b422){&bold(){どんな呪いも祓える神聖な場所}}とされており、&bold(){入り口から本宮まで3kmを要し、参道のすぐ近くに飛行場があるため参道の両隣には高いバリケードが置かれている}など、なかなか特殊な場となっている。 また「どんな呪いも祓える神社」を頼るほどの呪いを受けている者は大抵それ相応のことをしでかしているという観点から、太空神社の神主は参拝希望者リストの情報を警察に提供している。&s(){危険かつ悪意の塊な怪異を世に放ち続けているゾンビこと作者も当然このリストに名を連ねている。} モデルは成田空港近辺に位置する東峰神社。 太空神社の神は&bold(){参道を向かいから歩いてくる奇妙な顔をしている以外は一般的な人間型の怪異}と&font(b,red,black){バリケード越しに参拝者を覗き見る巨大な人間型の怪異}に別れており、人間がその御尊顔を見ることは礼を失する行為、つまり&font(b,red,black){「不敬」}であるため禁止されている。 神が近づいてきた時は支給された頭巾を被り、神が立ち去るまでその場から動かず待つしかない。顔を見た者がどうなるのかは不明だが、ユメが「クサい」と警告しているため十中八九碌なことは起きないだろう。 詳細は不明ながら&bold(){魅入られる可能性がある}ため、この神社での仕事も一人一度までと限られている。 顔を見た者を&font(b,red,black){「不敬」}とする他、&bold(){呪いを祓うに値しない者}には参拝の&font(b,red,black){「不許可」}を出すこともある。「不許可」とされた者は参道のスタート地点まで戻され、また参道を歩くループに陥ることになる。しかも戻されるたびに参道までの距離が3kmずつ伸びていくペナルティ付き。 「顔を見た瞬間戻されている。ならば顔を見なきゃ良いだけの話」と誤解した不許可対象に対し、 &font(b,red,black){&bold(){三猿ノオシエ曲解スルナカレ 悪事ヲ見ザル ソノ意味ハ 「悪ニ影響サレルナカレ」 自ラノ悪事ニ目ヲ背ケル事非ズ 告白セヨ 告白セヨ}} と自らの罪と向き合うよう促す発言もしている。不許可となり参道ループに入った者は、神から呪いを祓うに値すると判断されるまでひたすら参道を歩かされ続ける((話中では7563927回目のループが描かれている。))。不許可対象が受けている呪いの強化もできるようで、話中では「右目の視界に幽霊が映り目が痛む」という呪いが、「常に右目から血や無数の目玉が流れ出し、左目や鼻・口からも血が流れ落ち、白髪化し正気を失いたくなるほどの痛みが続く」というものに変化していた。 当然正気を失うのは&font(b,red,black){「不許可」}。 自死を願おうとも #center{&color(red,Black){&bold(){「不許可」}}} また、二周目以降の案内人のユメらは姿を借りた太空神社の神に属する存在であり、その顔はループ回数を重ねる毎に段々と歪み異形のものとなっていく。 不許可対象者には苛烈極まるもののそれ以外の者にこれといった手は出してこず、「あらゆる呪いを祓う」という&s(){裏バイト世界では考えられない}絶大な御利益や悪人のみを選んで罰している姿から、読者には「福の神以来の善神((あちらは贄を必要とするうえ願いを叶える人間の善悪には無頓着という側面があるので、参拝者の善悪を厳格に見定めるこちらの方が善性は上とも評価できる。))」「人類の希望」と有難がられている。 ***池内康太 &bold(){&color(Black,red){黒岩案件・参拝案内}}のエピソードで登場した怪異。 同エピソードで登場しているが、コチラは太空神社の神とはなんの関係もない幼い子供の幽霊。 モデルは恐らくホラー小説『忌録: document X』の「みさき」。 作中に登場する保科周一により誘拐され、右目をくり抜かれた上にそこへナニを突っ込まれるという壮絶な最期を遂げた。 最初は保科の右目の視界にしか映らなかったがみるみる力を増して写真にも映るようになり、保科の右目が常に痛むよう呪いを掛けている。参道ループでは歪んだ顔で笑いながら保科の前に出現し、複数体で現れることもあった。 **母慈臓 家庭教師のエピソードで登場した怪異。 怪異とは言ったが自我は無いようで扱い的には解脱猫のように&bold(){呪具}の部類になるのであろう。 これを用いて「母慈臓法」なるものを行うと死者が生前の姿で復活する。しかし、その代償として術を行った者は命を落とすこととなる。代償としての命は一度に引き抜かれる訳ではなく徐々に引き抜く仕様のため代理の者を立てることで身代わりにすることもできるようだ。((作中では危険が及ぶ前に次の身代わりを立てるリレー方式だったため母慈臓の代償による死者は出ていない様子。)) 詳しいプロセスは不明だが&bold(){「母の、慈愛を、&ruby(はらわた){臓}に」}という言葉が話中に登場することや母慈臓に身代わりとして認められるのは「母の背中を見て育った人間」に限られることから母性が深く関わっているという考察もある。 オマケ機能として「身代わり適性のある人間が母慈臓の元で一晩過ごすと強制的に母性を刺激されその家の母親となってしまう」という&s(){強制ママプレイ洗脳}異常性もあるようだがユメハマコンビは片や父子家庭、片や親無しだったため作中でこの異常性が発揮されることはなかった。 と、このように語ってはいるが作中で母慈臓について説明した人物が誤った知識を教えられている描写や、いくつかの矛盾する描写、この呪具を持ち込んだ怪異があえて情報を隠しているかのような描写もあるため上記の説明も確定的情報ではない。 ***塙(はなわ)一家 家庭教師のエピソードで登場した怪異。 母親 父親 子供二人の四人構成であり父親は純人間で母親は怪異。息子二人は怪異と人間のハーフである。 &bold(){父親} れっきとした人間なのだが異常に小さい頭身をしており頭身だけなら小学生に見紛う程である。 すきっ歯、ハゲ、澄んだ目というお世辞にも整ったとは言えない顔のため作中では小学生に扮する際に紙袋を被ることでそれをカバーしていた。 明らかに人間でない妻と籍を入れた理由は「結婚してくれるってなりゃ結婚するさ誰でも」とのこと。しかし「小ちゃくてカワイイ」と言われたことを照れながら語ったりと妻の尻に敷かれつつも家族仲は良好な様子。 &s(){紙袋を被ったシャイボーイと見せかけてブサイクなおっさんというあまりにもな落差から素顔お披露目回のコメント欄は阿鼻叫喚となった。} &bold(){母親} 一階建て民家と同レベルの巨躯を持つ怪人。身体をコンパクトに縮められるようで部外者がいるときは塙家の屋根裏に潜んでおり用があるときは屋根裏へ通じる穴から頭を逆さまに出して会話する。 野太いゲップをしたり旦那や子供へ悪態ついたりと少々下品ではあるがマトモに意思疎通はできる様子。母慈臓を持ち込んだ張本人で、母慈臓の身代わりとしての役目を終えた裏バイターを旦那や息子たちに黙ってコッソリ食べており全くの無害怪異というわけではない。誤魔化しているが息子からは食人を薄々感づかれているようだ。 &bold(){塙 燈児} 塙家の息子の一人で既に故人。幼少期に事故に遭い死亡したが母慈臓法により復活した。 活発な性格で事故に遭った当時から肉体及び精神の成長が止まっている。母慈臓のエネルギーが枯渇すると自我を保てなくなり消失、後に顔が醜く歪んだ状態で埋めきながら四つん這いで家中をうろつくようになる。母親からはこの状態を「アホザル」と形容された。 &bold(){塙 嶺児} 塙家の息子の一人で存命。 これと言った特異性もない普通の人間の見た目であり話中では紙袋を被り小学生役をする父親に対し父親役を演じていた。 ちょい足し曰く怪異の血はしっかり受け継いでいるそうな。母親の話で惚気る父親に若干引いた視線を送ったり、母親が明らかに非人間なのになぜ結婚したのか尋ねたりと一般的な感性を持っているようにも見えるが、顔面の崩壊した燈児を見ても平然としていたり、母親の食人にうっすら気づきつつも行動を起こさなかったりとおおよそ普通の人間とは違う感性を持っているようだ。 **家 #center{ &color(white,black){ 私達は、住まれた } &color(white,black){ なら、私達は何処に住めばいい? } } 宅配サービスのエピソードで登場した怪異。 家守台住宅地にある家そのものが、経緯や原因は不明だが意思を持って怪異化したもので、町全体を自分たちのテリトリーとしている。 町一つとは言え、大きな家が動くにはそのままではあまりにも狭いため、テリトリー内の空間を歪めて自分達の動くスペースを確保している。 その影響でこの町は非常に複雑になっておりおまけに常に霧がかかっているため非常に迷いやすく、行方不明者まで出ているという。巨大な人のようなものが闊歩しているが、これもその影響で生じた幻のようである。 そしてこの家達は[[自分たちが居住されている事に不満を抱いて>バッタンキングのとりで]]行動しており、その目的は自分達が住める「家」を見つけること。 その家の家というのはつまりは人間のことであり、まるで寄生虫のように口から体内に入り込もうとし、寄生が完了すると人間の口から家が見える状態となる。 この状態になった人間がどうなるかは言及がないため不明。 #openclose(show=そして...){ 町の中心は歪みが強くなり過ぎて家ですら近寄らない状態となっている。 そこに入り込んだ人間の前には死者、生者問わず様々な知人が幻覚のように現れる。 ユメの前には黒嶺弥生が現れたため警戒心を解かず、更に現れた八木が助言してくれたため生還できたが、&bold(){和美は現れた父親と共に霧の奥へと消え、そのまま行方不明となってしまった}。 このエピソードでは恒例のユメの裏帳簿もなく幕を閉じている……。 } #openclose(show=後のエピソードにて判明したこと){ 宅配サービス編は和美が失踪して終了というカタチに終わったが、ユメ視点の宗教法人スタッフ編を挟んだ後で「宅配サービス2」として白浜視点の話が公開された。 町の中心の歪みは家が帰る場所を求めているがゆえか、取り込まれると『自らが帰る場所』と思っている場所へ転移させられるという特性を持っている。ユメは「義弟妹を養う」という目的と拠り所を持っているため住まいであるアパートに飛ばされたが、明確な拠り所を持たない和美は転移先が決まらず歪みの中に取り残されたというのが真相のようだ。 最終的に和美は自らの過去を振り返った上で拠り所を定め歪みから生還している。 ついでに謎に包まれていた「宅配サービス」の仕事の意義も判明しており「届け物をすることで『家』自身にその場所が自らの拠り所であると思わせることで行動範囲及び歪みの拡大を阻止するためのモノ」だそうである。 そしてこの仕事の大元の依頼主は宗教法人スタッフで登場した「白明郷」である。 } *番外編 **&bold(){アパートの怪異} #center(){&font(#ffb74c){&bold(){こう見えても何と家賃たった一万円なんス!}}} #center(){&font(#ffb74c){&bold(){大家さんも毎日「何か異常は無い?」って心配してくれるし、マジ掘り出し物ッスわ!}}} おまけエピソード「橙ちゃんのお部屋」で登場した怪異。 アパートの一室に住み着いている得体の知れない「何か」。 なかなか強力な怪異らしく、ビデオ通話越しにユメはおろか和美にさえ視認できてしまうほど。 …だがその部屋の住民がよりにもよって&bold(){&font(#ffb74c){橙}}であったため&bold(){全く存在には気付かれておらず、}現時点での詳細は不明。 橙のヤバさが明らかになるにつれ、読者の間では &bold(){「橙が普通に生活できているのはこいつが陰から支えているからでは?」} &bold(){「むしろ守護霊なのでは?」} という疑惑まで浮上する有様。 おまけエピソード「橙ちゃんのダイダイエット」においても、ダイエットに励む橙を穏やかに(?)見守っているだけだった。&s(){むしろ怪異は橙の方なんじゃないかな…。} **下半身だけの怪異 4巻での描き下ろしおまけエピソード「断裂」で登場した怪異。 八木が調査したが、裏バイターを雇っていないので当然主人公2人は関与していない。 依頼人の女性・俵屋が新居のアパートに帰宅すると現れる、[[ジーンズ]]を履いた下半身の怪異。その場でダンダンと音を立てて激しく足踏みしている。 その足踏みの音を聞いていた内に俵屋の左足は動かなくなり、右足も徐々に麻痺してきている。 #openclose(show=「嫌だ、実家は…」){ 俵屋の母の出産の日、俵屋の方は無事に生まれてこれたが双子の片割れは&bold(){&color(red,black){上半身と下半身が断裂した状態}}で出産してきた。 本来なら悲しむべきなのだが、どうも片割れは断裂していた状況を抜きにしても普通の赤子ではなかったらしく出産に立ち会った医者や看護師も恐れ慄き、実母ですら&bold(){「産まれなくてよかったんじゃないかなぁって」}と考え、寺の住職が&bold(){&color(red,black){「アンタら一体何産んだんだ!?」「これを家中に貼って! 金は要らん…さあ早く…」}}と大慌てで札を差し出す始末であった。 生きることこそ叶わなかったがその後も怪異として成長を続け、俵屋を悩ませてきた模様。 八木曰く&bold(){&color(#FEDCBD,#000000){「ご実家へお帰りなさい、それで解決します」「珍しいんですよ。裏の関係で、解決策が見いだされるのは。悪い事は言わないから、お帰りなさい」}}とのこと。 「嫌だ、実家は…」と口にはしたものの、アドバイスに従わざるを得なかった俵屋は実家へと帰る。 その晩、布団の中で俵屋はある「仮説」を立てていた。 &bold(){「それ」から逃げるために実家を出て、アパートを借りた。「それ」には足が無いから追ってこれないだろうと。} &bold(){しかし、「足が無い」訳ではなく「分かれていただけ」だとしたら…?} 天井を見つめる俵屋の目の前には、不気味に笑う&bold(){「上半身」}の姿があった。 この怪異の正体は&bold(){上下に分断された俵屋の片割れ}であり、アパートに潜んでいた怪異ではなかった。 とても解決したようには見えないのだが、一体どのようにして解決されたかは作中では語られていない。 } **深淵の者 コラボ回の廃神社探索のエピソードで登場した、&bold(){&color(red,black){その名を知ることすら許されない、この世の摂理そのものと言える存在。}} 今回は得体の知れない霊能力者も同行した。 #openclose(show=でも退治しました){       #center(){&bold(){なにこの匂い…? いつもの嫌な予兆とは違う…なんかイカっぽいというか…}} #center(){&bold(){クッサ…!}} 実はこの回(?)はエピソードではなくイラストであり、実質2ページで終わった。 何せコラボ相手が[[怪異・ずぶ濡れ金髪フルチン男>うしろの正面カムイさん]]だったため、&s(){エッチ}アッチの作品の方法で&color(deeppink){“超”除霊}され、&bold(){名前・容姿・能力の何もかも分からずじまいで退治されてしまった。}ずぶ濡れ金髪フルチン男は怪異の性別には頓着しないタイプのため性別すら不明。話からすると、おおいなるものレベルの格がありそうなんだけどなぁ…。 除霊光景を目撃したユメは久々にフリーズして「Now Loading…」状態になった。 &s(){料亭スタッフのエピソード合間に公開されたため、「小滝にぶつけてハッピーエンドにしようぜ!」という声が読者間から続出。} &s(){「カムイさん」側が顔合わせを描いて健全、「裏バイト」側が除霊を描いて不健全という逆転現象も発生している。} } **&font(#ffb74c){モンキーの怪異} 単行本6巻に収録されたボーナスエピソードにて登場。 とある案件の調査を依頼された茶々が遭遇した(この案件には八木も関わっている)。 エヴァルスの畑にいる猿とはまた別物。 茶々と話ができるレベルには[[日本語]]が理解できるらしく会話が可能だが、思考パターンが常人のそれとは大きく逸脱しているため意思の疎通は困難。 #openclose(show=ただ怪異そのものには積極的に人間へ危害を加える気がないのは不幸中の幸いか。){ その実態は怪異でも何でもなく、&font(#ffb74c){&bold(){篠月橙}}その人。 あまりにもぶっ飛んだ橙の頭を垣間見て思わずこう称した。 &s(){言動・行動の数々を見るに間違いとは言い切れない。} } **祠の神様 マンガワンの美男美女同居コメディ&s(){の皮を被ったオール変人ギャグ漫画}『翼くんはあかぬけたいのに』とのコラボエピソードで登場した怪異。 厳密に言うと、この話は『翼くんはあかぬけたいのに』の一エピソードという扱いであって『裏バイト:逃亡禁止』とは別作品。夏のホラー回での恐ろしさには定評のある作品の作者が『裏バイト:逃亡禁止』サイドと互いの原案を交換し、ノリノリで描いただけあって凄まじいクオリティとなった。 [[長野県]]の山奥に佇むとある村へ祀られている神様で、毎日午前2時に小皿へ入った塩、水、米、酒×2をお供えしなければならない。 この時はお供物を並べる順番を決して間違えないようにしなければならず、渡されたメモに「必ず間違えないように」と書かれており翼より先にバイトへ来ていたユメも去り際、「『向き』だけは絶対に間違えないで」と忠告していた。 だが何故か『裏バイト:逃亡禁止』での主人公2人が置いていったお供物は、メモに書かれた順番と逆に置かれていた。 実はメモの順番は「祠の内側」から見た順番であり、わざと間違えるよう書いてあった。 もし置く順番を間違えるとその人間は祠の中へ取り込まれ、「御神体」となってしまう。 おそらく前任の主人公2人はユメの異能によって引っ掛けが通用しなかったため、急遽新たな裏バイターを募集したと思われる。 異能など持ち合わせていない翼は引っ掛けを見抜けず祠へ取り込まれ、新たな御神体となってしまったのだった((翼が御神体として取り込まれてからは、お供え物の配置が主人公2人の置いた配置になっている。機が熟すまでの封印も兼ねているのだろうか…))。 裏バイトワールドの怪異は他作品の主人公であろうと全く容赦しなかった((「ちょい足し」にて3日後、強キャラである翼の両親によって無事解放された模様。『翼くんはあかぬけたいのに』の作者が描き下ろした橙も見られる。))。 #openclose(show=その頃、とある病院の産婦人科では…){ ある病院の産婦人科では赤ちゃん4人の生誕が案内されていた。 4人のうち3人は父親・母親の名前と共に赤ちゃんの写真が貼られていたのだが、最後の1枚は『不明』の文言と一緒に黒塗りの写真が掲載された。 翼と入れ替わりになった御神体は一体どのような形で現れたのだろうか…? } *余談 本作には単行本でも修正されなかった奇妙な点がいくつか存在する。怪異との関連は不明であるが、それらを以下に記す。 -最初の仕事であるホールスタッフで2人が出会った(再会した)のが『9月』なのに、コンビを組んで次の仕事((エピソードとしてではなく、2人でコンビを組んで2番目の仕事である事が治験エピソードで記憶の摺り合わせをした際に語られている。))のビル警備員の勤務期間が『6/25~7/25』になっている((加えて6/23~6/29はマストの敷地から出られず両立ができないので、各エピソードと時系列がバラバラでないのなら、裏バイトを1年近く続けた葬儀屋スタッフの前に2年目に突入している事になってしまう。これが9/25~10/25であったならば、次の個人向け配送業の日程とも辻褄が合うのだが…)) --日付通りなら10ヶ月近く裏バイトをしていない事になりそうな一方で、勤務期間が8/1~8/10の葬儀屋スタッフのエピソードでは、2人が『一年近く裏バイトを続けている』から異常事態に馴れているのだと同僚の宮に納得されている。 -温泉宿スタッフの勤務期間が4月『31日』までとなっている((4月は30日まで。))。 -キャンプ場スタッフのラストで『未明に』帰宅中の児童が刺される((未明は夜の0時から3時ごろであり、そんな時間に帰宅する児童はまず居ない。)) -&s(){家政婦の日給が790.000円と書かれている。} -&s(){橙の存在。} これらがゾンビこと作者のミスなのか、先述のある怪異による影響なのかは不明である。&s(){橙は多分関係ない} //話のタネにはなりそうなので、デザイナーとは別の話として「こんなのあるよ」的な紹介として記述します 追記・修正は怪異から楽に殺して貰えた人がお願いします。 #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,462) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #lsd() #comment_num2(num=30) }

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