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冷たい熱帯魚 - (2025/04/07 (月) 07:46:21) の1つ前との変更点
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&font(#6495ED){登録日}:2024/08/31 Sat 20:31:08
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#center(){
&sizex(7){&font(b,i,#ffd700){この素晴らしき世界。}}
&sizex(6){&font(b){用意は、いいか。}}
}
&b(){『&ruby(COLD FISH){冷たい熱帯魚}』}は、2011年公開(製作は2010年)の日本のサイコ/スプラッター/ホラー/サスペンス映画。
原案・監督は園子温。脚本は園と高橋ヨシキが共同で担当。
製作・配給は日活。
#openclose(Show=▽目次){
#contents()}
*【概要】
園子温監督による&b(){リアルで起きた事件}から題材をとった&b(){「家賃3部作((残りの二作は『恋の罪』『愛なき森で叫べ』。))」}の第1作目で、1994年に発覚した&b(){『埼玉愛犬家連続殺人事件』}を題材とする。
#region(事件についての簡単な解説)
日本でのアラスカンマラミュートの取り扱いの第一人者、更にはシベリアンハスキーブームの火付け役になった(異説あり)とも言われ、埼玉県熊谷市で犬舎「アフリカケンネル」を経営していたブリーダーの関根元と、その元妻・風間博子が主犯となり、自分達の計画した詐欺行為の標的とした顧客や関係者を口封じのために次々と殺害していった事件。
一連の事件での被害者数は4人だが、関根には立証出来ていないだけで他にも殺人の経験があった可能性が示唆されている。
また、元々は大阪で起こった「大阪愛犬家連続殺人事件」発覚による余波を含めてのマスコミ報道から事件が表面化して、本格的に捜査された事件ではあったものの、肝心の犯人が捕まった頃に阪神淡路大震災や[[地下鉄サリン事件>地下鉄サリン事件(テロ)]]が発生したため、本件の報道がされなくなっていったという事情がある。
本件がそれでも(大阪の事件との混同の危険をも超えて)今日のような知名度を獲得したのはネット環境が整って以降、それこそ本映画がヒットした後の話である。
#endregion
タイトル通り、映画では犯人の職業が犬のブリーダーから熱帯魚販売業者に変えられている他、その他の多くの部分でも大まかな流れを押さえているだけで実際の事件とは違う部分も多い。
……のだが、&b(){主犯となる業者夫婦のキャラクターについては実際に事件の概要から窺える伝聞に基づく丹念な描写}となっている。
特に主犯役を演じたでんでんの怪演は凄まじいインパクトを残し、公開年の国内映画祭にて助演男優賞を総ナメにする勢いだった。
勿論、作品自体の評価も高く、特に体当たりの&font(l){裸の}演技を見せた女優陣も話題に挙がる。
&b(){邦画史上でも屈指のトラウマ量産映画}として知られ、その描写からR18+(18歳未満は見ちゃダメ)指定作品となっている。
*【物語】
[[静岡県]]の県道沿いで小さな熱帯魚専門店を開いている&b(){社本信之}は、うだつの上がらない平凡な男。
目下の悩みは、娘の&b(){美津子}が、迎えたばかりの後妻・&b(){妙子}との折り合いの悪さからか明らかに生活態度が悪くなっていることと、妙子もまた美津子への罪悪感から家庭に馴染めず浮いた存在になってしまっているということだった。
自身でも大きなストレスを抱えながら、何も出来ないでいた信之だったが、ある夜に近所のスーパーの店長から「美津子が[[万引き]]をした」との電話を受けて、慌てて妙子と共に店へ。
慣れた手口から常習犯として美津子を詰っていた店長に信之達も罵詈雑言を浴びせられつつも何とか警察の介入を避けてもらおうとするが、当然の如く聞いてもらえない。
しかし、そこに&b(){村田幸雄}と名乗る、強面だが異様に快活な男が現れて店長をアロワナの話題で懐柔。
どうやら、この幸雄が美津子の万引きを見つけて店長に知らせた張本人だったようなのだが、幸雄に乗せられて店長も今回は万引きを見逃す流れに。
幸雄に感謝を述べて帰ろうとする信之だったが、既に信之が自分の同業者であると知っていた幸雄は一家を自分の店へと誘うのだった。
その店の名前は&b(){「アマゾンゴールド」}。
自分の店の規模との余りの違いに圧倒されると共に、自分の店に居る時とは一転して魚を見てはしゃぐ美津子と妙子の様子を何とも言えぬ感情で遠巻きに見つめる信之に幸雄の妻の&b(){愛子}が話しかけてくる。
愛子と幸雄に乗せられる形で美津子を「アマゾンゴールド」で働かせる流れとなるが、これは破滅への道の始まりだった……。
*【主要登場人物】
&font(b,#ff0000){※以下はネタバレ含む。}
&font(b,#ff0000){また、モデルとなっている実際の関連人物の名称についてはいずれのサイト・動画等でも一貫して共通している主犯格の元夫婦以外の関連人物については、ブレがある=&u(){意図的に本名が解らないようにボヤかされている}と判断し、本項目でも頭文字のみのイニシャルとする。}
-&b(){社本信之}
演:吹越満
本作の主人公。
如何にも小市民的な、気弱で高望みをしない平凡な男(と思われていた)。
プラネタリウムが好きなロマンチストで、劇中でも精神的に追い詰められた時には折々にプラネタリウムの映像とナレーションを反芻しては逃避していた。
美津子の万引きをきっかけとして村田夫婦と関わってしまうことになり、何かしらの素質を見抜かれていたのか……強引に、そして急速に&b(){村田夫婦の共犯者}に仕立て上げられてしまう。
一見すると物静かな男だが、見た目に寄らず、本性では幸雄ですら見抜ききれなかった意外な胆力と危険な衝動・凶暴性の持ち主。
強い性衝動を抱えてもいるようで、前妻と死別してから僅か3年で(家事がダメなあたり肉体が目的で選んだとしか思えない)妙子を迎えていたりと、何処かチグハグな印象のある人物である。
実際、村田夫婦による&b(){犠牲者の解体ショー}を見せられても、毎回のように口は押さえていても&b(){嘔吐まではしていない}。
モデルは、実際の事件でも強引に主犯格の元夫婦の共犯者とされ、後に事件の内容を書籍にもした「アフリカケンネル」の役員であるY。
実際の事件では、自分達(Y夫妻)の逃亡資金のために罪を犯した後妻の身柄を確保された後、司法取引として警察が狙っていた主犯の犯行の詳細を明かしたことにより事件が発覚、逮捕・裁判からの実刑判決となっているが、映画では、より派手なクライマックスとするためか社本の暴走とも呼べる結末を迎える。
ただし、流石に本来の事件の流れからすると終盤の展開は蛇足と呼べるためか、後に園子温自身が&b(){「信之が幸雄を滅多刺しにし、愛子が笑っている場面でスタッフロールに行くように編集し直したい」}と語っており、その場合は&font(b,#ff0000){殺したか否かという違いだけで実際の事件の流れとほぼ同じとなる}。
ちなみに映画では「遺体の解体に使われた小屋は狂ってしまった幸雄の父親の持ち家」という設定となっているが、実際の事件ではYが自宅として使っていた貨車を改装した住居に強引に遺体が持ち込まれ、さらに解体場所として使われていた。
-&b(){社本妙子}
演:神楽坂恵
社本の後妻。30代とまだ若く、肉感的な美女。
信之とは結婚相談所を介して知り合い、短期間で結婚したらしいのだが、そのこともあってか思春期で実の母を失った傷も癒えていない美津子には全く受け入れられることもなく、罪悪感を抱えたまま美津子への遠慮から自由に好きな煙草も吸えなければ[[セックス]]に没頭もできずに若い肉体を持て余すなど、フラストレーションを溜めながら信之の店の手伝いをしている。
とはいえ、才能があったのか商品である熱帯魚の扱いは信之や幸雄からも褒められている。
一方で料理は壊滅的に苦手なようで、僅かでも包丁を使うような描写すらなく、複数の冷凍食品とレトルト食品で体裁を保つのみだった。
美津子を「アマゾンゴールド」まで送り届けた際、幸雄に本心を暴かれた上で受け入れるよう仕向けられて[[レイプ]]され、信之に幸雄のビジネスパートナーになることを勧めてしまう。
モデルになったのはYの後妻と、実際の事件では第3の犯行での犠牲者となった「アフリカケンネル」従業員の母親にして主犯の愛人でもあったS。
実際の事件では&b(){主犯の男はSを殺害した後、Yの眼前でSの遺体を屍姦}している。
劇中では&b(){幾度も105cmのバストを揉みしだかれており}、グロ描写と共に明らかに本作の年齢制限を引き上げている要因の一つだろう。
-&b(){社本美津子}
演:梶原ひかり
社本と前妻の間に生まれた一人娘。
学校には通っていないようだが未だ思春期のようで、実母を失ってから日が浅いのに後妻の(しかも性的な匂いをプンプンさせた)妙子を迎えた信之のことが信じられず非行に走っている。&s(){[[ヤッパリグレタアマレチャン…>相川始]]}
妙子のことは何もかも気に入らないようで、回想では妙子を「部屋に煙草の匂いがつく」「エロ女」と罵りつつ暴力を振るい、最後まで「売女」と言って懐くことはなかった。
彼氏と出ていった後にスーパーで万引きをしたことがきっかけで何もかもが狂ってしまった、&bold(){「無自覚な元凶」に当たる加害者にして被害者}である。
実際にYには別れた前妻との間に子供がおり、主犯格の男はYに言うことを聞かせるためしつこく引き合いに出して脅していたが、前妻と子供は事件には関与していない。
-&b(){吉田アキオ}
演:諏訪太朗
幸雄より、高級熱帯魚の繁殖ビジネスによる投資話を持ちかけられていた男。
いくら人気の種とはいえ、幸雄の言うような数百〜1千万以上もする高級魚はいないという話を聞いてきていたことで渋っていたものの、新たにビジネスに加わった(自分と同じ立場と聞かされていた)信之の存在に後押しされて契約を決めてしまった。
……が、&ruby(●●●●●){その直後に}&b(){毒薬を仕込まれた栄養ドリンクを飲まされて殺害}され、信之は急な事態に混乱したまま「透明」にする手伝いをさせられ、反論の間もなく共犯者に仕立て上げられてしまう。
モデルは実際の事件においても第1の犯行の被害者となった解体事業者の役員K。
犬と魚という違いはあるものの警察犬を卸している友人から主犯格より映画の通りの1,100万円で購入した犬の本当の価値((本来は数十万の価値すら無い上に、実際に渡されたのは子供も見込めない♀の老犬であり、しかも♂の方はまだ引き渡してすらいなかった。))を知ったことで激怒し、返金を迫ったことで殺害・解体されている。
劇中ではやけに強面なアキオの弟(演:三浦誠己)が弟分達を引き連れてアキオの所在を確かめるべく「アマゾンゴールド」に押しかけるが、実際の事件でもKの義弟はチンピラを雇い入れて主犯格の元夫婦を恫喝している。
-&b(){筒井高}
演:渡辺哲
幸雄の顧問弁護士を名乗ってはいるが、その実態は(モデル通りならば)幸雄が行う危うい方面の活動・商売を成功させるため個人的に雇い入れているヤクザ屋さん。
平静を装ってはいるが、殺人にも手を染め始めた幸雄のことは内心見限っているようで、ゆくゆくは幸雄を排除して商売と土地の権利書を手に入れるつもりでおり、愛子のことも籠絡済み。
新たに仲間に加わった信之も自分の手の内に引き込もうとしていた……が、実は愛子が筒井と通じていたのは幸雄の指示によるものであり、自分達の商売を脅かす筒井に対する報復の下準備のためだった。
最終的には愛子と激しいセックスに興じている最中に薬物を飲まされて殺され、村田夫婦によって「透明」にされた。
モデルは実際の事件で面倒事への対処のため主犯に雇われていたヤクザのE。
主犯が殺人を犯したことに気付いて脅迫したことで殺され、第2の犯行の被害者となった。
劇中、眼球などを切り取られた筒井の頭部を幸雄が信之に見せつけて驚かすというシーンがあるが、これは&b(){実際の事件でも主犯の男がYに対して行った行動}である。
-&b(){オオクボヒロシ}
演:裴ジョンミョン
筒井の運転手役の若い男で、ホストのような髪型とスーツで決めているが派手な頭は実はカツラ。
筒井が始末された際に同じく始末され、カツラもせめてもの情けとして忘れられずに遺体に付けられた。
モデルは実際の事件でもEの運転手役であり、共に行動していたことから第2の犯行にて序に始末されたW。
-&b(){さわだゆうこ}
演:瀬戸夏美
「アマゾンゴールド」で美津子の世話役となった女の子。
裏の事情を何処まで知っていたかは不明だが、愛子と性的関係にあることが描写された以外で怪しい様子はないので、人格面に大きな問題はないと思われる。
なお、ゆうこや美津子を含む「アマゾンゴールド」の従業員は皆スタイルのいい若い娘ばかりで、身体の線が出る小さめのTシャツにホットパンツという扇情的なユニフォームで働いている。
また、彼女達は共通して身寄りがなく会社寮に住まわされているとのことで、幸雄は貧困ビジネスにも手を染めていた可能性がある。
実際の事件でも主犯格の男は従業員が女だった場合は手を出していたらしいが、流石に女性ばかりを雇っていたわけではない。
ただし、前述の通り第3の被害者・Sは男性従業員の母親であり、&b(){身内に魔の手が及んでいる}。
-&b(){村田幸雄}
演:でんでん
本作の真の主役にして、息を吐く間もなく展開される狂気の事件の主犯格。
信之とは比較にもならない「水族館みたいな」熱帯魚専門店「アマゾンゴールド」の経営者。
一見すると強面だが細かい気配りの出来るネアカな商売人……に見えるが、実際には&b(){天性の才能で人の本心を見抜き弱味や本音に付け込んで瞬く間に支配してしまう冷酷無慈悲なド外道}である。
己の欲望のためならばどれほど他人を犠牲にしても構わないと語り、敵対した人間は直ぐに殺してしまう上に足がつかないように&b(){「ボディーを透明にする」=肉と骨を丹念に剥がし、肉は細切れに解体して骨は一本ずつ遺留品と共に丹念に焼いて灰にしてしまい死体だと判別できない状態にして捨ててしまう技術}を会得している。
偶然に美津子の万引きを目撃したことを利用して美津子と妙子を籠絡し、信之を事件に巻き込んでいった。
信之のことは何かしらの資質を見出していたのか妙に気に入っていたようだったが、それが仇となり最後には……。
自分の目的のためとはいえ愛子を平気で筒井や信之に抱かせるなど、&b(){どこまでも異常な人物。}
モデルは、実際の事件における主犯・関根元(史実では最高裁で死刑判決を受けるも、判決の8年後・本作上映から6年後の2017年に獄中で病死&footnote(死刑判決の確定から法務大臣による死刑執行命令までの期間は刑事訴訟法では6か月以内と規定されているが、実際には法務省内部の審査だけで6か月を優に超えてしまうようであり、平成以降では最短である[[宅間守]]でも1年を要している。事実関係について争い再審請求などをしている死刑囚の場合は確定から執行までの期間がかなり空くケースが多く(例えば1992年の「大阪愛犬家連続殺人事件」では2005年に主犯の死刑判決が確定するも、2024年現在も執行には至っていない。)、関根のように執行判断が長引き過ぎたせいで獄中死するケースもまま見られる案件である。))。
劇中では父親からの虐待が原因で大きく人格が歪んだとも取れる描写がある(ソシオパスの節が見受けられた)が、現実の関根の父親は真面目な下駄職人であり、&b(){関根は全く人格が歪む要素が無いのに映画以上の規模の事件を起こしていたサイコパス}だという、&b(){事実は小説より奇なり}を地で行く状況であった。
印象的な「透明」をはじめとするエキセントリックな言動も、&b(){実際に関根が発していた}ものである。((映画では使用されていないが「殺しのオリンピックがあれば俺は金メダルだ」等もある。また「透明」をYの前で初めて実演した際には瞬く間にスムーズに遺体を処理していたという。))
幸雄の複雑怪奇な人物像を演じきったでんでんのインパクトは前述の通りで、この年の国内映画賞での殆どの助演(最優秀)男優賞を獲ってしまう勢いだった。
作り込まれたグロ描写に耐えられる自信のある未視聴の方も是非とも自分の目で確かめていただきたい。
ちなみに、同監督作で、同じくサイコパスが引き起こした実在の事件をモデルにした「愛なき森で叫べ」でも同氏が出演しているが、こちらでは「村田」という椎名桔平演じるサイコパスの犯罪者に良いように利用されてしまう善良な人物を演じている。
-&b(){村田愛子}
演:黒沢あすか
幸雄の妻にして犯罪のパートナー。
幸雄よりはかなり年下(30代位)の美人で、常に扇情的な服装をしている。
夫と同様に一見すると人当たりがよく気配りの出来る優しさを示すが、本性は&ruby(サド){女王}さま気質で幸雄よりも裏の顔が出る機会が多い。
遺体の解体の技術まで習得していたり、筒井を釣るために肉体を差し出したりと立派な極悪人ではあるが、本音の本音の部分では強い男に支配されることを望む&ruby(マゾ){奴隷}気質であり、筒井(の股間)に未練を残していたり、最終的には夫を殺した信之に依存しようとしたりと、幸雄とは別の意味で&b(){壊れた人間}なのが窺える。
結局、自分の最後のご主人様となった信之に裏切られる形で致命傷を負わされ、自分がトドメを刺した上にさっきまで自らの手で半分位は解体してしまっていた幸雄の死体に縋り付くようにして死んでいった。
モデルは同じく実際の事件の主犯格だった、関根元の元妻((事件が起きた当時、二人は関根の過去の税金滞納への対策を理由に離婚していた。……が、実際には関根の暴力に耐えかねた博子が関根から逃げようとして籍を抜いた模様。しかし「後に関根に嘘を看破され、これを理由に共犯者とされた」とする説もある。))である風間博子。史実では元夫と共に死刑判決を言い渡されたが、2024年現在は関根に続いて風間自身も大病を患ったこともあってか、未だにその執行は行われずに東京拘置所に勾留されたままとなっている((死刑囚でも大病に罹った場合には療養が優先されて刑が先送りにされる→一方では、刑が執行されないままで病で獄中死するケースが多かったりする。死刑囚の療養に税金が使われることへの反論もあるだろうが、闘病生活で長く苦しんだ末の孤独な死に様こそが更に重い刑罰になっているという意見もある。))。
風間は映画の愛子とは違い容姿には優れなかったものの、関根と同様に多数の愛人を作るような女だったという(関根曰く「過去一にブスだが金持ちだから好き」((そもそも結婚した理由が「実家が資産家で金持ちだから」という理由)))。
実際の事件に於いても関根と共に遺体の解体にも手を染め、鼻歌まじりに遺体をミンチにしていたとされるが、事件の詳細を本にしたYは風間を評伝のような悪女だったとはしていない((取り調べの刑事の前では残された犬や子供たちの話になると涙を流すような一面もあったとされる。前述の関根から逃げ出そうとしたのも連れ子である長男への関根の虐待が理由だったとも。))。
また、愛子は熱帯魚についての知識がないように描かれているが、実際の風間はブリーダーとしては(天才的と評されていた)関根以上とも言われた程の才能の持ち主だったという。
演じた黒沢は愛子役に天啓のようなものを感じ、当時は3人目の子供を出産したばかりのタイミングで体型が崩れていたのに、役を勝ち取るべく僅か一か月で徹底的な体質改善をして見れるラインに戻してから愛子役を得たという。
実際、セクシー女優も顔負けの[[濡れ場]]を演じるなど、本作での黒沢の演技は鬼気迫るものがあり、自他ともに認める「女優人生の集大成」となっている。
-&b(){川尻進}
演:坂田雅彦
静岡県警の警部補。幸雄を追って信之に接触する。
*【余談】
-本作と同じく埼玉愛犬家連続殺人事件にまつわる話として、怪談和尚として知られる三木大雲氏が修行時代に関根元と出会ったことを語った『アフリカケンネル』がある。
追記・修正してから『ボディーを透明にして』痕跡を消してください。
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#right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/
#vote3(time=600,11)
}
#include(テンプレ3)
#openclose(show=▷ コメント欄){
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- 一瞬Winkかと思った -- 名無しさん (2024-08-31 21:19:47)
- フライドチキン男、栗原天音、鳥カゴ風来坊、炭火焼オルグ、まごころ寿司の大将、と特撮で馴染み深い方も何人か出てるね -- 名無しさん (2024-08-31 21:22:40)
- ↑2 同じく -- 名無しさん (2024-08-31 21:40:05)
- ボディーを透明にするはマジで手が込んだ隠滅方法なのにY曰く自分がやらされた時点でめちゃくちゃスムーズにやってたそうで… -- 名無しさん (2024-08-31 21:59:18)
- この映画、亡き父(要介護かつほぼ寝たきりの人)がちょくちょくhuruで観てたのに付き合わされてたから普通にトラウマもんなんだよね…。 -- 名無しさん (2024-08-31 22:35:38)
- でんでん氏「自分はいつも話の途中で出番が終わることが多いけど、今回は最後まで出番があると聞いて喜んでたらとんでもない役だった」と嬉しそうに語ってたな -- 名無しさん (2024-08-31 22:42:09)
- グロ耐性あるからいけるやろ思ったらラスト20分くらいからSAN値直葬した -- 名無しさん (2024-09-01 02:47:45)
- ↑7と↑5「淋しい熱帯魚」とごっちゃになるのはわかる -- 名無しさん (2024-09-01 09:26:39)
- ↑なんだっけ?と思ってたがやっとタイトルわかった。ありがとう。 -- 名無しさん (2024-09-01 09:48:24)
- 監督の性暴力でまともに見れなくなったんだよなぁ -- 名無しさん (2024-09-01 12:32:41)
- でんでんさん、この映画の前にも「相棒」や「窓際太郎の事件簿6」でも極悪人の役を演じてたし、別にこの映画から彼の悪役が増えたわけではない。 -- 名無しさん (2024-09-01 13:35:11)
- 監督が嫁が違う男に抱かれる濡れ場シーン撮って興奮したとかいうインタビューをどっかで見て後の不祥事発覚の時まあやってんだろうなあって変な納得した -- 名無しさん (2024-09-01 15:41:04)
- 脚本のトコ、園子温て「園子-温」だったのか…? -- 名無しさん (2024-09-01 18:15:06)
- ジオウのブレイド編で梶原さんが天音ちゃんで出たの見た後に次のリュウソウジャーで吹越さんのういの父さん見たから「偶然とはいえニチアサでこの映画の親子を見るとは…」ってなった記憶w -- 名無しさん (2024-09-01 18:35:31)
- ↑2園-子温が正しいので直しておきました -- 名無しさん (2024-09-01 18:44:22)
- パームの念能力はこっちが元ネタのようで違うという -- 名無しさん (2024-09-02 10:30:01)
- これでも実際の事件よりは悲惨度が低いてどういうことだよ -- 名無しさん (2024-09-03 11:24:57)
- 怪談新耳袋にもこの事件にまつわる怪異が載ってたな -- 名無しさん (2024-11-06 23:32:16)
#comment()
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&font(#6495ED){登録日}:2024/08/31 Sat 20:31:08
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&b(){『&ruby(COLD FISH){冷たい熱帯魚}』}は、2011年公開(製作は2010年)の日本のサイコ/スプラッター/ホラー/サスペンス映画。
原案・監督は園子温。脚本は園と高橋ヨシキが共同で担当。
製作・配給は日活。
#openclose(Show=▽目次){
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*【概要】
園子温監督による&b(){リアルで起きた事件}から題材をとった&b(){「家賃3部作((残りの二作は『恋の罪』『愛なき森で叫べ』。))」}の第1作目で、1994年に発覚した&b(){『埼玉愛犬家連続殺人事件』}を題材とする。
#region(事件についての簡単な解説)
日本でのアラスカンマラミュートの取り扱いの第一人者、更にはシベリアンハスキーブームの火付け役になった(異説あり)とも言われ、埼玉県熊谷市で犬舎「アフリカケンネル」を経営していたブリーダーの関根元と、その元妻・風間博子が主犯となり、自分達の計画した詐欺行為の標的とした顧客や関係者を口封じのために次々と殺害していった事件。
一連の事件での被害者数は4人だが、関根には立証出来ていないだけで他にも殺人の経験があった可能性が示唆されている。
また、元々は大阪で起こった「大阪愛犬家連続殺人事件」発覚による余波を含めてのマスコミ報道から事件が表面化して、本格的に捜査された事件ではあったものの、肝心の犯人が捕まった頃に阪神淡路大震災や[[地下鉄サリン事件>地下鉄サリン事件(テロ)]]が発生したため、本件の報道がされなくなっていったという事情がある。
本件がそれでも(大阪の事件との混同の危険をも超えて)今日のような知名度を獲得したのはネット環境が整って以降、それこそ本映画がヒットした後の話である。
#endregion
タイトル通り、映画では犯人の職業が犬のブリーダーから熱帯魚販売業者に変えられている他、その他の多くの部分でも大まかな流れを押さえているだけで実際の事件とは違う部分も多い。
……のだが、&b(){主犯となる業者夫婦のキャラクターについては実際に事件の概要から窺える伝聞に基づく丹念な描写}となっている。
特に主犯役を演じたでんでんの怪演は凄まじいインパクトを残し、公開年の国内映画祭にて助演男優賞を総ナメにする勢いだった。
勿論、作品自体の評価も高く、特に体当たりの&font(l){裸の}演技を見せた女優陣も話題に挙がる。
&b(){邦画史上でも屈指のトラウマ量産映画}として知られ、その描写からR18+(18歳未満は見ちゃダメ)指定作品となっている。
*【物語】
[[静岡県]]の県道沿いで小さな熱帯魚専門店を開いている&b(){社本信之}は、うだつの上がらない平凡な男。
目下の悩みは、娘の&b(){美津子}が、迎えたばかりの後妻・&b(){妙子}との折り合いの悪さからか明らかに生活態度が悪くなっていることと、妙子もまた美津子への罪悪感から家庭に馴染めず浮いた存在になってしまっているということだった。
自身でも大きなストレスを抱えながら、何も出来ないでいた信之だったが、ある夜に近所のスーパーの店長から「美津子が[[万引き]]をした」との電話を受けて、慌てて妙子と共に店へ。
慣れた手口から常習犯として美津子を詰っていた店長に信之達も罵詈雑言を浴びせられつつも何とか警察の介入を避けてもらおうとするが、当然の如く聞いてもらえない。
しかし、そこに&b(){村田幸雄}と名乗る、強面だが異様に快活な男が現れて店長をアロワナの話題で懐柔。
どうやら、この幸雄が美津子の万引きを見つけて店長に知らせた張本人だったようなのだが、幸雄に乗せられて店長も今回は万引きを見逃す流れに。
幸雄に感謝を述べて帰ろうとする信之だったが、既に信之が自分の同業者であると知っていた幸雄は一家を自分の店へと誘うのだった。
その店の名前は&b(){「アマゾンゴールド」}。
自分の店の規模との余りの違いに圧倒されると共に、自分の店に居る時とは一転して魚を見てはしゃぐ美津子と妙子の様子を何とも言えぬ感情で遠巻きに見つめる信之に幸雄の妻の&b(){愛子}が話しかけてくる。
愛子と幸雄に乗せられる形で美津子を「アマゾンゴールド」で働かせる流れとなるが、これは破滅への道の始まりだった……。
*【主要登場人物】
&font(b,#ff0000){※以下はネタバレ含む。}
&font(b,#ff0000){また、モデルとなっている実際の関連人物の名称についてはいずれのサイト・動画等でも一貫して共通している主犯格の元夫婦以外の関連人物については、ブレがある=&u(){意図的に本名が解らないようにボヤかされている}と判断し、本項目でも頭文字のみのイニシャルとする。}
-&b(){社本信之}
演:吹越満
本作の主人公。
如何にも小市民的な、気弱で高望みをしない平凡な男(と思われていた)。
プラネタリウムが好きなロマンチストで、劇中でも精神的に追い詰められた時には折々にプラネタリウムの映像とナレーションを反芻しては逃避していた。
美津子の万引きをきっかけとして村田夫婦と関わってしまうことになり、何かしらの素質を見抜かれていたのか……強引に、そして急速に&b(){村田夫婦の共犯者}に仕立て上げられてしまう。
一見すると物静かな男だが、見た目に寄らず、本性では幸雄ですら見抜ききれなかった意外な胆力と危険な衝動・凶暴性の持ち主。
強い性衝動を抱えてもいるようで、前妻と死別してから僅か3年で(家事がダメなあたり肉体が目的で選んだとしか思えない)妙子を迎えていたりと、何処かチグハグな印象のある人物である。
実際、村田夫婦による&b(){犠牲者の解体ショー}を見せられても、毎回のように口は押さえていても&b(){嘔吐まではしていない}。
モデルは、実際の事件でも強引に主犯格の元夫婦の共犯者とされ、後に事件の内容を書籍にもした「アフリカケンネル」の役員であるY。
実際の事件では、自分達(Y夫妻)の逃亡資金のために罪を犯した後妻の身柄を確保された後、司法取引として警察が狙っていた主犯の犯行の詳細を明かしたことにより事件が発覚、逮捕・裁判からの実刑判決となっているが、映画では、より派手なクライマックスとするためか社本の暴走とも呼べる結末を迎える。
ただし、流石に本来の事件の流れからすると終盤の展開は蛇足と呼べるためか、後に園子温自身が&b(){「信之が幸雄を滅多刺しにし、愛子が笑っている場面でスタッフロールに行くように編集し直したい」}と語っており、その場合は&font(b,#ff0000){殺したか否かという違いだけで実際の事件の流れとほぼ同じとなる}。
ちなみに映画では「遺体の解体に使われた小屋は狂ってしまった幸雄の父親の持ち家」という設定となっているが、実際の事件ではYが自宅として使っていた貨車を改装した住居に強引に遺体が持ち込まれ、さらに解体場所として使われていた。
-&b(){社本妙子}
演:神楽坂恵
社本の後妻。30代とまだ若く、肉感的な美女。
信之とは結婚相談所を介して知り合い、短期間で結婚したらしいのだが、そのこともあってか思春期で実の母を失った傷も癒えていない美津子には全く受け入れられることもなく、罪悪感を抱えたまま美津子への遠慮から自由に好きな煙草も吸えなければ[[セックス]]に没頭もできずに若い肉体を持て余すなど、フラストレーションを溜めながら信之の店の手伝いをしている。
とはいえ、才能があったのか商品である熱帯魚の扱いは信之や幸雄からも褒められている。
一方で料理は壊滅的に苦手なようで、僅かでも包丁を使うような描写すらなく、複数の冷凍食品とレトルト食品で体裁を保つのみだった。
美津子を「アマゾンゴールド」まで送り届けた際、幸雄に本心を暴かれた上で受け入れるよう仕向けられて[[レイプ]]され、信之に幸雄のビジネスパートナーになることを勧めてしまう。
モデルになったのはYの後妻と、実際の事件では第3の犯行での犠牲者となった「アフリカケンネル」従業員の母親にして主犯の愛人でもあったS。
実際の事件では&b(){主犯の男はSを殺害した後、Yの眼前でSの遺体を屍姦}している。
劇中では&b(){幾度も105cmのバストを揉みしだかれており}、グロ描写と共に明らかに本作の年齢制限を引き上げている要因の一つだろう。
-&b(){社本美津子}
演:梶原ひかり
社本と前妻の間に生まれた一人娘。
学校には通っていないようだが未だ思春期のようで、実母を失ってから日が浅いのに後妻の(しかも性的な匂いをプンプンさせた)妙子を迎えた信之のことが信じられず非行に走っている。&s(){[[ヤッパリグレタアマレチャン…>相川始]]}
妙子のことは何もかも気に入らないようで、回想では妙子を「部屋に煙草の匂いがつく」「エロ女」と罵りつつ暴力を振るい、最後まで「売女」と言って懐くことはなかった。
彼氏と出ていった後にスーパーで万引きをしたことがきっかけで何もかもが狂ってしまった、&bold(){「無自覚な元凶」に当たる加害者にして被害者}である。
実際にYには別れた前妻との間に子供がおり、主犯格の男はYに言うことを聞かせるためしつこく引き合いに出して脅していたが、前妻と子供は事件には関与していない。
-&b(){吉田アキオ}
演:諏訪太朗
幸雄より、高級熱帯魚の繁殖ビジネスによる投資話を持ちかけられていた男。
いくら人気の種とはいえ、幸雄の言うような数百〜1千万以上もする高級魚はいないという話を聞いてきていたことで渋っていたものの、新たにビジネスに加わった(自分と同じ立場と聞かされていた)信之の存在に後押しされて契約を決めてしまった。
……が、&ruby(●●●●●){その直後に}&b(){毒薬を仕込まれた栄養ドリンクを飲まされて殺害}され、信之は急な事態に混乱したまま「透明」にする手伝いをさせられ、反論の間もなく共犯者に仕立て上げられてしまう。
モデルは実際の事件においても第1の犯行の被害者となった解体事業者の役員K。
犬と魚という違いはあるものの警察犬を卸している友人から主犯格より映画の通りの1,100万円で購入した犬の本当の価値((本来は数十万の価値すら無い上に、実際に渡されたのは子供も見込めない♀の老犬であり、しかも♂の方はまだ引き渡してすらいなかった。))を知ったことで激怒し、返金を迫ったことで殺害・解体されている。
劇中ではやけに強面なアキオの弟(演:三浦誠己)が弟分達を引き連れてアキオの所在を確かめるべく「アマゾンゴールド」に押しかけるが、実際の事件でもKの義弟はチンピラを雇い入れて主犯格の元夫婦を恫喝している。
-&b(){筒井高}
演:渡辺哲
幸雄の顧問弁護士を名乗ってはいるが、その実態は(モデル通りならば)幸雄が行う危うい方面の活動・商売を成功させるため個人的に雇い入れているヤクザ屋さん。
平静を装ってはいるが、殺人にも手を染め始めた幸雄のことは内心見限っているようで、ゆくゆくは幸雄を排除して商売と土地の権利書を手に入れるつもりでおり、愛子のことも籠絡済み。
新たに仲間に加わった信之も自分の手の内に引き込もうとしていた……が、実は愛子が筒井と通じていたのは幸雄の指示によるものであり、自分達の商売を脅かす筒井に対する報復の下準備のためだった。
最終的には愛子と激しいセックスに興じている最中に薬物を飲まされて殺され、村田夫婦によって「透明」にされた。
モデルは実際の事件で面倒事への対処のため主犯に雇われていたヤクザのE。
主犯が殺人を犯したことに気付いて脅迫したことで殺され、第2の犯行の被害者となった。
劇中、眼球などを切り取られた筒井の頭部を幸雄が信之に見せつけて驚かすというシーンがあるが、これは&b(){実際の事件でも主犯の男がYに対して行った行動}である。
-&b(){オオクボヒロシ}
演:裴ジョンミョン
筒井の運転手役の若い男で、ホストのような髪型とスーツで決めているが派手な頭は実はカツラ。
筒井が始末された際に同じく始末され、カツラもせめてもの情けとして忘れられずに遺体に付けられた。
モデルは実際の事件でもEの運転手役であり、共に行動していたことから第2の犯行にて序に始末されたW。
-&b(){さわだゆうこ}
演:瀬戸夏美
「アマゾンゴールド」で美津子の世話役となった女の子。
裏の事情を何処まで知っていたかは不明だが、愛子と性的関係にあることが描写された以外で怪しい様子はないので、人格面に大きな問題はないと思われる。
なお、ゆうこや美津子を含む「アマゾンゴールド」の従業員は皆スタイルのいい若い娘ばかりで、身体の線が出る小さめのTシャツにホットパンツという扇情的なユニフォームで働いている。
また、彼女達は共通して身寄りがなく会社寮に住まわされているとのことで、幸雄は貧困ビジネスにも手を染めていた可能性がある。
実際の事件でも主犯格の男は従業員が女だった場合は手を出していたらしいが、流石に女性ばかりを雇っていたわけではない。
ただし、前述の通り第3の被害者・Sは男性従業員の母親であり、&b(){身内に魔の手が及んでいる}。
-&b(){村田幸雄}
演:でんでん
本作の真の主役にして、息を吐く間もなく展開される狂気の事件の主犯格。
信之とは比較にもならない「水族館みたいな」熱帯魚専門店「アマゾンゴールド」の経営者。
一見すると強面だが細かい気配りの出来るネアカな商売人……に見えるが、実際には&b(){天性の才能で人の本心を見抜き弱味や本音に付け込んで瞬く間に支配してしまう冷酷無慈悲なド外道}である。
己の欲望のためならばどれほど他人を犠牲にしても構わないと語り、敵対した人間は直ぐに殺してしまう上に足がつかないように&b(){「ボディーを透明にする」=肉と骨を丹念に剥がし、肉は細切れに解体して骨は一本ずつ遺留品と共に丹念に焼いて灰にしてしまい死体だと判別できない状態にして捨ててしまう技術}を会得している。
偶然に美津子の万引きを目撃したことを利用して美津子と妙子を籠絡し、信之を事件に巻き込んでいった。
信之のことは何かしらの資質を見出していたのか妙に気に入っていたようだったが、それが仇となり最後には……。
自分の目的のためとはいえ愛子を平気で筒井や信之に抱かせるなど、&b(){どこまでも異常な人物。}
モデルは、実際の事件における主犯・関根元(史実では最高裁で死刑判決を受けるも、判決の8年後・本作上映から6年後の2017年に獄中で病死&footnote(死刑判決の確定から法務大臣による死刑執行命令までの期間は刑事訴訟法では6か月以内と規定されているが、実際には法務省内部の審査だけで6か月を優に超えてしまうようであり、平成以降では最短である[[宅間守]]でも1年を要している。事実関係について争い再審請求などをしている死刑囚の場合は確定から執行までの期間がかなり空くケースが多く(例えば1992年の「大阪愛犬家連続殺人事件」では2005年に主犯の死刑判決が確定するも、2024年現在も執行には至っていない。)、関根のように執行判断が長引き過ぎたせいで獄中死するケースもまま見られる案件である。))。
劇中では父親からの虐待が原因で大きく人格が歪んだとも取れる描写がある(ソシオパスの節が見受けられた)が、現実の関根の父親は真面目な下駄職人であり、&b(){関根は全く人格が歪む要素が無いのに映画以上の規模の事件を起こしていたサイコパス}だという、&b(){事実は小説より奇なり}を地で行く状況であった。
印象的な「透明」をはじめとするエキセントリックな言動も、&b(){実際に関根が発していた}ものである。((映画では使用されていないが「殺しのオリンピックがあれば俺は金メダルだ」等もある。また「透明」をYの前で初めて実演した際には瞬く間にスムーズに遺体を処理していたという。))
幸雄の複雑怪奇な人物像を演じきったでんでんのインパクトは前述の通りで、この年の国内映画賞での殆どの助演(最優秀)男優賞を獲ってしまう勢いだった。
作り込まれたグロ描写に耐えられる自信のある未視聴の方も是非とも自分の目で確かめていただきたい。
ちなみに、同監督作で、同じくサイコパスが引き起こした実在の事件をモデルにした「愛なき森で叫べ」でも同氏が出演しているが、こちらでは「村田」という椎名桔平演じるサイコパスの犯罪者に良いように利用されてしまう善良な人物を演じている。
-&b(){村田愛子}
演:黒沢あすか
幸雄の妻にして犯罪のパートナー。
幸雄よりはかなり年下(30代位)の美人で、常に扇情的な服装をしている。
夫と同様に一見すると人当たりがよく気配りの出来る優しさを示すが、本性は&ruby(サド){女王}さま気質で幸雄よりも裏の顔が出る機会が多い。
遺体の解体の技術まで習得していたり、筒井を釣るために肉体を差し出したりと立派な極悪人ではあるが、本音の本音の部分では強い男に支配されることを望む&ruby(マゾ){奴隷}気質であり、筒井(の股間)に未練を残していたり、最終的には夫を殺した信之に依存しようとしたりと、幸雄とは別の意味で&b(){壊れた人間}なのが窺える。
結局、自分の最後のご主人様となった信之に裏切られる形で致命傷を負わされ、自分がトドメを刺した上にさっきまで自らの手で半分位は解体してしまっていた幸雄の死体に縋り付くようにして死んでいった。
モデルは同じく実際の事件の主犯格だった、関根元の元妻((事件が起きた当時、二人は関根の過去の税金滞納への対策を理由に離婚していた。……が、実際には関根の暴力に耐えかねた博子が関根から逃げようとして籍を抜いた模様。しかし「後に関根に嘘を看破され、これを理由に共犯者とされた」とする説もある。))である風間博子。史実では元夫と共に死刑判決を言い渡されたが、2024年現在は関根に続いて風間自身も大病を患ったこともあってか、未だにその執行は行われずに東京拘置所に勾留されたままとなっている((死刑囚でも大病に罹った場合には療養が優先されて刑が先送りにされる→一方では、刑が執行されないままで病で獄中死するケースが多かったりする。死刑囚の療養に税金が使われることへの反論もあるだろうが、闘病生活で長く苦しんだ末の孤独な死に様こそが更に重い刑罰になっているという意見もある。))。
風間は映画の愛子とは違い容姿には優れなかったものの、関根と同様に多数の愛人を作るような女だったという(関根曰く「過去一にブスだが金持ちだから好き」((そもそも結婚した理由が「実家が資産家で金持ちだから」という理由)))。
実際の事件に於いても関根と共に遺体の解体にも手を染め、鼻歌まじりに遺体をミンチにしていたとされるが、事件の詳細を本にしたYは風間を評伝のような悪女だったとはしていない((取り調べの刑事の前では残された犬や子供たちの話になると涙を流すような一面もあったとされる。前述の関根から逃げ出そうとしたのも連れ子である長男への関根の虐待が理由だったとも。))。
また、愛子は熱帯魚についての知識がないように描かれているが、実際の風間はブリーダーとしては(天才的と評されていた)関根以上とも言われた程の才能の持ち主だったという。
演じた黒沢は愛子役に天啓のようなものを感じ、当時は3人目の子供を出産したばかりのタイミングで体型が崩れていたのに、役を勝ち取るべく僅か一か月で徹底的な体質改善をして見れるラインに戻してから愛子役を得たという。
実際、セクシー女優も顔負けの[[濡れ場]]を演じるなど、本作での黒沢の演技は鬼気迫るものがあり、自他ともに認める「女優人生の集大成」となっている。
-&b(){川尻進}
演:坂田雅彦
静岡県警の警部補。幸雄を追って信之に接触する。
*【余談】
-本作と同じく埼玉愛犬家連続殺人事件にまつわる話として、怪談和尚として知られる三木大雲氏が修行時代に関根元と出会ったことを語った『アフリカケンネル』がある。
追記・修正してから『ボディーを透明にして』痕跡を消してください。
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- 一瞬Winkかと思った -- 名無しさん (2024-08-31 21:19:47)
- フライドチキン男、栗原天音、鳥カゴ風来坊、炭火焼オルグ、まごころ寿司の大将、と特撮で馴染み深い方も何人か出てるね -- 名無しさん (2024-08-31 21:22:40)
- ↑2 同じく -- 名無しさん (2024-08-31 21:40:05)
- ボディーを透明にするはマジで手が込んだ隠滅方法なのにY曰く自分がやらされた時点でめちゃくちゃスムーズにやってたそうで… -- 名無しさん (2024-08-31 21:59:18)
- この映画、亡き父(要介護かつほぼ寝たきりの人)がちょくちょくhuruで観てたのに付き合わされてたから普通にトラウマもんなんだよね…。 -- 名無しさん (2024-08-31 22:35:38)
- でんでん氏「自分はいつも話の途中で出番が終わることが多いけど、今回は最後まで出番があると聞いて喜んでたらとんでもない役だった」と嬉しそうに語ってたな -- 名無しさん (2024-08-31 22:42:09)
- グロ耐性あるからいけるやろ思ったらラスト20分くらいからSAN値直葬した -- 名無しさん (2024-09-01 02:47:45)
- ↑7と↑5「淋しい熱帯魚」とごっちゃになるのはわかる -- 名無しさん (2024-09-01 09:26:39)
- ↑なんだっけ?と思ってたがやっとタイトルわかった。ありがとう。 -- 名無しさん (2024-09-01 09:48:24)
- 監督の性暴力でまともに見れなくなったんだよなぁ -- 名無しさん (2024-09-01 12:32:41)
- でんでんさん、この映画の前にも「相棒」や「窓際太郎の事件簿6」でも極悪人の役を演じてたし、別にこの映画から彼の悪役が増えたわけではない。 -- 名無しさん (2024-09-01 13:35:11)
- 監督が嫁が違う男に抱かれる濡れ場シーン撮って興奮したとかいうインタビューをどっかで見て後の不祥事発覚の時まあやってんだろうなあって変な納得した -- 名無しさん (2024-09-01 15:41:04)
- 脚本のトコ、園子温て「園子-温」だったのか…? -- 名無しさん (2024-09-01 18:15:06)
- ジオウのブレイド編で梶原さんが天音ちゃんで出たの見た後に次のリュウソウジャーで吹越さんのういの父さん見たから「偶然とはいえニチアサでこの映画の親子を見るとは…」ってなった記憶w -- 名無しさん (2024-09-01 18:35:31)
- ↑2園-子温が正しいので直しておきました -- 名無しさん (2024-09-01 18:44:22)
- パームの念能力はこっちが元ネタのようで違うという -- 名無しさん (2024-09-02 10:30:01)
- これでも実際の事件よりは悲惨度が低いてどういうことだよ -- 名無しさん (2024-09-03 11:24:57)
- 怪談新耳袋にもこの事件にまつわる怪異が載ってたな -- 名無しさん (2024-11-06 23:32:16)
- ちょっとグロ描写が丹念過ぎて、そこら辺は目を瞑ってしまった。でも面白かった。 -- 名無しさん (2025-04-07 07:46:21)
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