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サタデー・ナイト・フィーバー(映画) - (2025/04/20 (日) 17:14:53) の1つ前との変更点
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#center(){&font(32px,b,#f39800){土曜の夜は《フィーバー》しよう!!}}
#center(){&font(27px,#f39800){イルミネーションのきらめきの中から明日の青春をつかんだトニー!}}
#center(){&font(32px,b,red){ Saturday}}
#center(){&font(32px,b,red){night}}
#center(){&font(32px,b,red){Fever}}
『&bold(){サタデー・ナイト・フィーバー(Saturday Night Fever)}』とは、1977年に製作されたアメリカ映画。配給はパラマウント。
主演はジョン・トラボルタ。
監督はジョン・バダム。
●目次
#contents
*【概要】
ニューヨークのディスコで踊りに情熱を燃やす青年を描いた音楽映画。
製作費は350万ドルと当時としても大作とは呼べない小粒の作品だったが、公開されるやいなや爆発的に大ヒット。最終的な興行収入は&bold(){2億ドル}を越え、アメリカでのディスコ文化やサブカルチャー方面に与えた影響は計り知れず、
2025年現在でも大小問わず[[様>がんばれゴエモン きらきら道中~僕がダンサーになった理由~]][[々>サタデー・ナイトメア・フィーバー]][[な>ペルソナ4 ダンシング・オールナイト]][[作>永江 衣玖]][[品>レディ・プレイヤー1]]でオマージュやパロディが為されている。
特に、映画本編を見たことがない人でも主演のジョン・トラボルタがポスターで取っていた&bold(){両足を横に開き、腰を捻りつつ右腕を高々と掲げて天を指差すポーズ}を一度は目にしたことがあるだろう。
🕺←こんなやつ
実は公開当時の米国におけるディスコは人気が衰え気味だったのだが、本作のヒットで再び人が集う場所の代表格に返り咲き、主演のトラボルタは一気に世界的大スターの座を得た。
作中で使用された音楽に関しては英国生まれのバリー、ロビン、モーリスのギブ三兄弟で結成されたオーストラリアのボーカルグループ【&bold(){ビー・ジーズ}】が大々的にフィーチャーされ、
「ステイン・アライヴ」、「恋のナイト・フィーヴァー」、「モア・ザン・ア・ウーマン」、「ユー・シュッド・ビー・ダンシング」、「愛はきらめきの中に」など、
数々の名曲が収録されたサウンドトラックは映画音楽史上……どころか米国の音楽史に残るメガヒットとなり、
ビルボードでは&bold(){24週連続一位}という驚異的な数字を叩き出し、映画のサウンドトラックでありながら同年の&bold(){グラミー賞}では&bold(){最優秀アルバム賞}を獲得するという快挙を成し遂げた。
売り上げも全世界で&bold(){4000万枚}を超え、これは5年後に&bold(){[[マイケル・ジャクソン]]}が『&bold(){スリラー}』で更新するまで世界一であり、
映画音楽としてはケビン・コスナー主演の『&bold(){ボディガード}』のサントラに更新されるまで&bold(){15年間}トップの記録だった。
日本においても公開され、こちらも興行収入は&bold(){19億円}と大ヒットを飛ばした。
当時の日本におけるディスコと言えば「不良のたまり場」「怪しい場所」というイメージが付いていたが、本作のヒットにより日本でも首都圏などを中心にディスコブームが巻き起こり、
ディスコで踊り明かすことが「フィーバーする」と呼ばれて流行語となり、社会現象と化した。
また、[[パチンコ]]などでの大当たりを意味する『&bold(){フィーバー}』という単語は本作に由来している。
なお、映画のタイトルや項目冒頭の宣伝文からしてディスコで踊り明かす青年のサクセスストーリーや明るい青春を描いた能天気な作品に思われがちだが、&bold(){実際は全くそんなことはない}。
というのも、本作において描かれているのは、
・物語の舞台となるニューヨークにおける深刻な格差社会
・マイノリティである移民同士の対立や人種差別
など、当時のアメリカが抱える世相を反映した極めてシリアスかつシビアなものばかり。
主人公もそんな環境に閉塞感を抱えながら生活する市井の人間であり、そういった日頃の苦悩や鬱憤を忘れるためにディスコで踊り明かす中での成長、というのがテーマなのである。
むしろ華やかなディスコと対比する形で薄汚れた日常が容赦なく映し出されており、[[スカっとサワヤカ>ヌケサク(ジョジョの奇妙な冒険)]]な内容を期待していると思わぬダメージを受けること間違いなしなので要注意。
&s(){ある意味では広告詐欺}
なお、1981年の『[[日曜洋画劇場]]』での放映に際して日本語吹き替え版が制作されているが、主人公のトニーを吹き替えたのはなんと新御三家として有名な歌手の&bold(){郷ひろみ}。
いわゆる話題性を売りにした芸能人声優枠なのだが、当時すでにテレビドラマや映画などでの主演経験があるため、それなりに堂に入った演技を見せてくれる。
*【ストーリー】
ニューヨークのブルックリンに住む&bold(){トニー・マネロ}は金物屋で働き、両親や妹と一緒に暮らしている。
だが、家では何かにつけ優秀な兄と比較されて小言を言われ、職場では熱心に働いているが給料は雀の涙。
周囲を取り巻く変わり映えのしない退屈な日常にうんざりしているものの、どうする事も出来ずに退屈を募らせる毎日。
そんなトニーの唯一の楽しみは週末の土曜日に仲間たちと共に行きつけのディスコへ繰り出し、踊り明かす事。
平日はうだつの上がらないトニーでも週末のディスコではダンスの上手さから一目置かれる存在であり、ディスコの顔として崇められていた、
そんな折、トニーはディスコで見知らぬ年上の女性&bold(){ステファニー}に出逢う。
踊りの実力もさることながら周りにはいなかった都会的な雰囲気に心を奪われたトニーはステファニーをディスコのダンスコンテストのパートナーへと誘う。
最初は相手にされなかったがトニーの熱心な説得によってペアを組む事になり、コンテストの優勝を目指すが……。
*【登場人物】
※吹き替えはソフト版/テレビ朝日版
・アンソニー・"トニー"・マネロ
演:ジョン・トラボルタ/吹き替え:[[三木眞一郎]]/郷ひろみ
本作の主人公。
ニューヨークのブルックリンに住んでいるイタリア系移民の青年。年齢は19歳で間もなくハタチを迎える。
高校を出た後は実家で両親と祖母、妹と暮らしながらベイリッジの金物屋でペンキ担当として働いている。
イタリア系らしく家族思いで、真面目な上に口が達者なことから職場での評判も良い好青年。
……なのだが、ペンキ屋の給料は薄給そのもので懸命に働いても大した稼ぎにはならず、
さらに安月給の中からきちんと家に食費を入れているにも拘らず、両親からは神父をしている兄と比べられてはロクデナシ呼ばわりされるという散々な扱いを受けている。
本人もそんな現状を苦々しく思っているのだが、学歴もなく家を出てやっていけるだけのコネや金があるわけでもないため、どうにもならない現実に諦めにも似た思いを抱きつつ過ごしている。
そんな日々におけるただ一つの気晴らしは仲間たちと&ruby(Saturday night){土曜日の夜}に精一杯のお洒落をして地元のディスコ【&bold(){2001オデッセイ}】へ繰り出し、&ruby(Fever){朝まで踊り明かす}事。
唯一の趣味として熱心に打ち込んでいるだけあってダンスの腕前は抜群であり、仲間内からは『&bold(){キング}』と呼ばれ、一度トニーが踊り出せば周囲には多数のギャラリーが集うほどにその実力は広く知られている模様。
背も高くハンサムなことも相まってディスコではちょっとした有名人で、言い寄ってくる女性も後を絶たないが本人は踊りにしか興味がないため、いまだに[[経験がない>童貞]]。
仲間たちの間で流行っている麻薬にも「くだらない」と否定的。ディスコでは「セブン&セブン」((シーグラムセブンというアメリカンウイスキーとセブンアップという炭酸飲料を混ぜたカクテル。日本で言えばコークハイのようなものでお酒が弱い人でも飲みやすい。要するに背伸びをしていてもトニーがまだ酒を飲み慣れていない未熟な若者であることの暗喩))を愛飲している。
ある晩のディスコで周囲の女性とは違う都会的な雰囲気を持つステファニーに一目惚れし、賞金付きダンスコンテストのパートナーになって欲しいと頼み込んで優勝を目指し練習を開始することになる。
#openclose(show=ネタバレ注意){
家族の自慢だった神父の兄が辞職した事やプエルトリコ人グループとのケンカなどといったトラブルがありつつもステファニーと共に練習を積み、交流を深めていく。
そしてダンスコンテスト本番では二人揃って息の合った見事なダンスを披露して周囲の喝采を浴びるも、自分たちの次に踊ったプエルトリコ人カップルの腕前に衝撃を受ける。
明らかに自分たちを上回る素晴らしいダンスにすっかり自信を打ち砕かれてしまうが、&bold(){優勝はトニーとステファニーだった}。
審査員たちは余所者であるプエルトリコ人が優勝する事を良しとせずに、地元の住民かつディスコの顔役として知られているトニーを勝たせたのだ。
キングとおだてられ、唯一の自慢だったダンスの腕前でさえ井の中の蛙に過ぎなかった事、真剣に打ち込んでいたコンテストを露骨な地元判定で汚されたと感じたトニーは大いに憤慨。
賞金とトロフィーをプエルトリコ人カップルに渡すとディスコを後にする。
&bold(){「みんな他人に荷物を押し付け合っているんだ!親父はお袋に!俺たちはプエルトリコ人に!そうやってみんな憂さを晴らしてる!それの繰り返しだ!」}
全てに失望したトニーは怒りのままにステファニーをレイプ同然に犯そうとするも、強く拒否されて失敗。
その後は仲間たちに促されてブルックリン橋へ出かけるが、グループのメンバーであるボビーが情緒不安定に陥り、自殺同然に橋から転落死するのを目の当たりにする。
一夜の間に心身ともに打ちのめされたトニーは仲間たちとも別れ、ニューヨークの街を一晩中歩き回った後にステファニーの家を訪れる。
怒りを隠さないステファニーに対してトニーは前日に乱暴を働いたことを謝罪し、今の環境を変えるために家を出てマンハッタンへ移り住めるように努力するつもりである事、
そのために友人となって欲しいことを告げ、謝罪を受け入れたステファニーと再び友情を結ぶシーンで映画は幕を閉じる。
}
演者のジョン・トラボルタは当時23歳であり、前年に公開された『[[キャリー>キャリー(スティーヴン・キング)]]』で本格的な映画デビューを果たしたばかりで俳優としては駆け出しの時期だったものの、
テレビ番組『Welcome Back, Kotter』への出演で既にアイドル的な人気を獲得しており、ブルックリンの路上で本作のロケが始まると多数のファンが詰めかけて撮影を中断させてしまったというエピソードを残している((このため屋外でのロケは基本的に早朝、あるいは深夜に撮影されている))。
また、本作の出演に当たっては毎日3キロのジョギングと3時間のダンスレッスンでプロ並みの技術を身に付けると共に10キロ体重を落として撮影に臨んでいる。
それだけにダンスシーンには自信があったようで、「ユー・シュッド・ビー・ダンシング」のBGMがかかる中でソロダンスを披露するシーンでは制作陣がクローズアップでの撮影を考えていると知るや、
「&bold(){それじゃせっかく練習したのにダンスの動きが見せられないじゃないか!}」と激怒してあわや降板寸前にまで至ったという裏話も。
・ステファニー・マンガーノ
演:カレン・リン・ゴーニイ/吹き替え:加藤ゆう子/鈴木弘子
本作のヒロイン。
トニーと同じくブルックリン住まいだが、職場は橋を渡った先のマンハッタンにあり、広告関係の仕事をしている。
ディスコで踊っていたところをたまたまトニーに目撃され、その腕前と洗練された雰囲気に心を奪われたトニーからダンスコンテストのパートナーに誘われ、一緒に出場する事になる。
ダンスの実力はトニーも認めるほどに高く、インテリで立派な職業に就いているオトナの女性((演者のカレン・リン・ゴーニイ女史は当時32歳でトニー役のトラボルタより9つも年上だった))……なのだが、
・作中では事ある毎にマンハッタンの良さを語り出し、労働者階級の多いブルックリンを見下す
・トニーと会うたびに仕事で出会った有名人の自慢話を繰り返す
・学歴がなく、教養もないトニーをやたらと小馬鹿にする
等々、非常に癖のある性格で、2025年現在の日本で言う所のいわゆる&bold(){意識高い系}の典型のような人物。
その余りに尊大な物言いはステファニーを口説こうとしているトニーですら「気取り屋」「鼻持ちならない高慢」と面と向かって批判する程。
トニーの誘いも軽くあしらっていたが、根強い説得と「&bold(){ダンスパートナー以上の関係にはならない}」という契約を結んだ事でコンテストへの出場を承諾する。
当初トニーとの関係自体は良好とは言えなかったが、練習を重ねていく中で次第に態度を軟化させていく。
#openclose(show=ネタバレ注意){
物語の中盤でブルックリンからマンハッタンへと引っ越すことになり、トニーもその引越しの手伝いをするためステファニーの新居へ同行する。
が、そこでトニーが知ったのはステファニーが現在の暮らしのために中年男性の愛人になっていたという事実だった。
自立した立派な女性だと思っていたステファニーにそんな関係の男性がいたことを知ったトニーはステファニーを責めるが、
「&bold(){どうすればよかったのよ!何も知らない女一人がマンハッタンに来てやっていけるわけがないじゃないの!}」と話す。
数々の自慢話も弱い自分を隠すための精一杯の虚勢であり、全てを知られてしまったステファニーは涙に暮れるが、
ステファニーもまた大都会で身を立てようと懸命に努力している事を理解したトニーに慰められて親交を深めていく。
やがてダンスコンテスト当日、ステファニーはトニーとのペアで見事なダンスを披露して優勝を勝ち取るが、トニーは露骨な地元判定での勝利に怒りを爆発させる。
荒れ狂うトニーに勝ちは勝ちだと声を掛けるが気持ちが鎮まることはなく、危うくレイプされそうになるもなんとか未遂に終わる。
翌朝、自宅を訪ねて来たトニーを厳しい言葉で責めるが((日本語字幕では「ゆうべはひどかったわね」と比較的ソフトな表現だが原語だと「First time I ever let a known rapist in my apartment(顔見知りのレイプ犯を家に上げたのなんて初めてだわ)」とかなりドギツい罵倒))、真摯な謝罪の言葉と現状を変える決意をしたトニーの決心を聞き届け、彼を許すのだった。
}
・ダブルJ
演:ポール・ベイブ/吹き替え:望月健一/[[石丸博也]]
トニーが普段からつるんでいる悪友たちの一人。
がっしりとした体格でグループ内ではトニーに次ぐサブリーダー的なポジション。
陽気な性格だが血の気が多く、暴れ出すと止まらない。常に折り畳みナイフを所持している。
グループの他のメンバーにも共通しているが、全員トニー同様に教養も学歴も金もないものの、
そんな現状に特に危機感を抱くこともなく、基本的に遊ぶ事と女とヤる事しか頭にない。
・ジョーイ
演:ジョセフ・カリ/吹き替え:川村拓央/[[田中秀幸>田中秀幸(声優)]]
トニーの悪友たちの一人。
メンバーの中でも特に女好きで、ディスコで見かけた女のことは細かく覚えている。
ダブルJ同様に一度頭に血が上ると非常に好戦的。
・ガス
演:ブルース・オーンスタイン
トニーの悪友たちの一人。
おしゃべりで冗談好きだが、少々口が軽すぎる面がある。
他のメンバーがタバコを愛煙する中で唯一の葉巻党。
#openclose(show=ネタバレ注意){
ストーリー中盤ではその悪癖が災いし、プエルトリコ人を罵倒する言葉を口にしたためにプエルトリコ人の不良グループから目を付けられ、暴行を受けて病院送りにされてしまう。
それを知ったトニーは他のメンバーに焚きつけられる形でお礼参りを行い、苦戦しながらも不良グループを叩きのめす。
だが、実は&bold(){ガスに暴行を加えたのが誰なのかはガス自身も把握しておらず}、お礼参りを終えた後でガスの口から「でも、もしかしたらお礼参りをしたのは別のグループかも」という言葉が飛び出し、トニーを呆れさせた。
そして、このガスの余りのいい加減ぶりとメンバーの後先を考えない行いはトニーが仲間と現在の環境に愛想を尽かす遠因となる。
}
・ボビー
演:バリー・ミラー/吹き替え:上田祐司(現:[[うえだゆうじ]])/塩屋翼
トニーの悪友たちの一人。
メンバーの中では一際小柄で顔立ちも少年のようにあどけない。
そのせいかグループ内では少々軽んじられているようで、扱いもやや雑。
本人もそんな自分に自信が持てないのか、やたらとトニーや他のメンバーを持ち上げる言動をしたり、自己評価を気にしている等、
2025年の日本で言う所のキョロ充のような性格。
グループの中で唯一自動車((中古のシボレー・インパラ))を所持しており、ディスコへの移動に使われれるほか、メンバーがディスコでひっかけた女とのカーセックスの場所としても使われている。
なお、こう見えてポーリンという彼女持ちだったりする。
#openclose(show=ネタバレ注意){
実はそのポーリンを&bold(){妊娠させてしまっており}、しかも彼女が敬虔なカトリックであることから堕胎を拒まれているため、このままだと&bold(){若くして父親になってしまう}境遇にいる。
本人はその状況を真剣に悩んでおり、トニーや他のメンバーを含む知人友人に相談を持ち掛けているものの、前述の扱いもあってほとんど相手にされない状態が続いていた。
その後は悩み抜いた末にポーリンとの結婚を決めたが、タイミングの悪いことにトニー達と共にプエルトリコ人の不良グループへお礼参りに向かった際にヘマをしでかし、
他のメンバーから激しく罵倒されてしまったことで徐々に精神の安定を欠いていく。
そして、トニーがダンスコンテストに優勝した後に全員でブルックリン橋へ出かけたところ、孤独感から情緒不安定だった上に酒に酔っていたせいもあって、
橋のワイヤーを登ったり欄干の上で逆立ちをするなど自暴自棄とも思える行動をし、
説得を試みるトニーに「&bold(){今になってなんだよ!相談に乗るって言ってたのに電話もしてくれなかったじゃないか!俺はまだ父親なんかになりたくないよ!}」と思いの丈をぶちまけた直後、
&bold(){足を踏み外して橋から転落死}する。
&bold(){現状に対して悩んでいるのに誰も真剣に取り合ってくれず相談にも乗ってもらえない}、というボビーの境遇は悩みの種類は違えど皮肉にもトニーと&bold(){まったく同一}のものであり、
マンハッタンとブルックリンの格差の象徴とも言えるブルックリン橋を渡ることなく、何者にもなれずに死んでいったその姿はトニーに「&bold(){このままこの環境にいたら自分もダメになってしまう}」という思いを強く抱かせることになるのだった。
}
・アネット
演:ドナ・ペスコウ/吹き替え:山田美穂/藤田淑子
ディスコに通っている少女。
ダンスの腕前はそれなりに高く、トニーとは以前もダンスコンテストでペアを組んだ経験を持つ。
そのこともあって今年のコンテストでもトニーとペアを組もうと必死にアプローチをしている。
……のだが、トニーとはダンスパートナーとしてよりも男女として付き合いたい気持ちの方が強すぎるせいで辟易されており、トニーからの扱いもとにかく雑の一言。
作中でも、
・二人でデートに出かけた時も姉が結婚した話を繰り返して露骨に結婚願望を匂わせる
・会う度にトニーをセックスに誘う
・なんとかトニーをその気にさせてセックスする寸前までいくが、避妊具の用意がないことを指摘したトニーに平然と「&bold(){愛してるから平気よ}」と答える
・そのせいでセックスを断られると自分から大量のコンドームを買ってくる
等々、あまりにも直球過ぎるアプローチの連続でトニーを呆れさせた。&s(){[[愛が重い>常月まとい]]}
それでも積極的なアタックが功を奏して当初はトニーとペアを組めていたが、練習に対する姿勢が余り真面目ではなかった事と((トニーはコンテストの優勝に向けて真剣にダンスの練習をしていたがアネットはデート気分で臨んでおり、練習しかしない事に不満を漏らす有様だった))、トニーがステファニーと知り合った事もあってダンスパートナーの解消を告げられてしまう。
#openclose(show=ネタバレ注意){
その後はダンスコンテストの会場に姿を見せてトニーとアネットの優勝を見届け、ブルックリン橋へ向かうトニー達へ同行するが、
酒に酔っていた事とトニーにフラれて自暴自棄になっていた事もあり、ダブルJやジョーイを誘惑する素振りを見せたせいでその気になった彼らに車内で&bold(){[[代わる代わるレイプされてしまう>輪姦]]}。
コトに及ぶ直前で我に返って拒否したもののそのまま力づくで犯されて&bold(){処女を失い}、ショックを受けるアネットだったがコンテストの後で傷心していたトニーはそんな彼女に
「&bold(){こんなことが望みだったのか。バカな女だな}」と冷たく言い放つのだった((原語版では「Now. You’re a Cunt.(これでお前もクソ女だぜ)」と相当にひどい罵倒を浴びせている))。
}
アネットを演じたドナ・ペスコウ女史はニューヨーク出身の女優で、
キャスティングの段階で制作陣から「&bold(){ヒロインより美人に見える}」という理由で起用を見送られかけたが、体重を増やして少々ぽっちゃりとした体形になったことで無事にアネット役を得た。
また、演劇学校で矯正していたブルックリン訛りを役作りのために再び習得してから演技に臨んでいる。
・フランク・マネロ・シニア
演:ヴァル・ビゾーリオ
トニーの父親でマネロ家の家長。
……が、本編開始時点では失業中であり、半年経っても再就職ができないでいる。
そんな現状にも拘らずプライドだけは高く、家事を手伝ったりもしないばかりか何かにつけて「&bold(){25年もお前らを食わせてきたんだぞ!}」と家族に手を上げたり怒鳴り散らしている。
妻がパートに出て稼いでいることも快く思っておらず、トニーが仕事の時給がアップしたことを報告しても「それっぽっちが何になるんだ」と関心を示さなかった。
そういったこともあってトニーからは愛想を尽かされ、未公開シーンでは再雇用が決まって喜んでいたものの、トニーからは「もう食事代は家に入れないぜ」と冷たく言い放たれた。
・フロー・マネロ
演:ジュリー・ボヴァッソ
トニーの母親。
家事をしつつ、失業中の夫に代わってパートに出ている。
多忙なせいかヒステリックになりがちで、夫のフランクとは度々口論になっている。
信心深く、牧師になったトニーの兄を何よりも自慢に思っており、事ある毎にトニーと比較する形で小言を繰り返すためうんざりされている。
・フランク・マネロ・ジュニア
演:マーティン・シェイカー
トニーの兄。
穏やかで気のいい人格者でトニーからも尊敬されている。
職業は牧師で、両親にとって唯一の自慢であり食卓には大きな写真が飾られている程。
#openclose(show=ネタバレ注意){
……が、物語の中盤で牧師を辞職し、家へと帰ってくる。
理由は「&bold(){両親の期待に応えるために半ば無理矢理牧師にさせられたが、どうしても自分の中に信仰心が芽生えなかった}」というもの。
フランクが神父をやめたことに両親は激しく落胆し、ますます家の中がピリピリすることになる。
その後はトニーに連れられてディスコへ赴いたりしたものの喧騒に馴染むことができず、
自分の本当の居場所を探し求めて家から出て行った。
その際トニーへ牧師の象徴である襟カラーと「&bold(){周りの言う事なんか気にせずに自分が正しいと思う事をやるんだ。そうしないと惨めになるだけだ}」との言葉を残した。
}
・ダン・フスコ
演:サム・コッポラ
トニーが働いている金物屋の主人。
よく働く上に口の上手いトニーを気に入っている。
しかし、給料は安く前借りも認めないなど金銭に関してはシビア。
#openclose(show=ネタバレ注意){
物語中盤でステファニーがマンハッタンへの引っ越す手伝いをするためにトニーが休みを要求するとそれを拒否し、怒ったトニーに売り言葉に買い言葉でクビを言い渡す。
しかし、その後トニーが店を訪れると何食わぬ顔をしてクビを撤回して再び働いてほしいと頼んだ。
が、フスコが他の店員を指差しながら「見てみろよ。あいつは18年、やつは15年もここで働いてるんだぞ」と何気なく掛けた言葉はトニーに&bold(){自分も同じように何年も安月給でこき使われる人生を送るのか}、という疑念を抱かせるのだった。
}
・ピザ屋の店員
演:アン・トラボルタ
オープニングでブルックリンを颯爽と歩くトニーが立ち寄るピザ屋((ブルックリンで実際に営業していたレニーズピザ(Lenny’s Pizza)。映画の公開によって一躍有名になり、ファンや地元民からも親しまれていたが創業70年を迎えた2023年に高齢となったオーナーの引退に伴い惜しまれつつ閉店))の女店員。
トニーの好みを熟知している事から顔なじみである模様。
演じているのはトニー役であるトラボルタの実姉。
・金物屋の客
演:ヘレン・トラボルタ
冒頭でトニーが働く金物屋へペンキを買いに来ていた老婦人。
30分も待たされて立腹していたが、トニーの巧みな営業トークにより8ドルのペンキを11ドルで売りつけられて機嫌を直す。
演じているのはトラボルタの実母。演技講師をしていたが、本作が公開された翌年に亡くなっている。
*【楽曲】
・&bold(){ステイン・アライヴ(Stayin' Alive)}
映画冒頭でトニーがブルックリンを闊歩するシーンで流れるこの映画の象徴とも言える曲。
ラジオ局にリクエストが殺到したことからサウンドトラック発売の一か月後に急遽シングルカットされ、全米シングルチャートで4週連続1位を記録した。
力強いベース音と人生賛歌な歌詞が特徴のノリの良い曲だが曲の中盤では「&bold(){どん詰まりの人生だ。誰か助けてくれ}」というトニーの心情を反映したようなパートがある。
・&bold(){恋のナイト・フィーヴァー(Night Fever)}
ステイン・アライヴと並ぶこの映画を代表するナンバー。
こちらもシングルカットされ、ビルボードではステイン・アライヴを凌ぐ8週連続全米1位の大記録を樹立した。
ディスコに集った客がこの曲をバックに列を組んで踊り狂うシーンは日本の音楽グループ『ケツメイシ』の楽曲「君にBUMP」のMVでオマージュされている((というかMV自体がサタデー・ナイト・フィーバーのパロディそのもの。MV内では俳優の羽賀研二氏がトニーとまったく同じ格好をして映画を彷彿とさせるようなダンスを披露している))。
・&bold(){ユー・シュッド・ビー・ダンシング(You Should Be Dancing)}
ディスコでトニーがソロダンスを披露する際に流れる曲。
「またトニーの独り舞台だぜ!」と囃し立てられながらダンスフロアを独占して華麗に踊るシーンはこの映画における見せ場の一つ。
厳しいダンスレッスンの末に身に付けたと言われるトラボルタ渾身のダンスは必見。
ちなみに本作を象徴するトラボルタの決めポーズが披露されているのは実はこの曲だったりする。
・&bold(){モア・ザン・ア・ウーマン(More Than A Woman)}
ダンスコンテスト本番でトニーとステファニーがダンスを踊る際の曲。
美しいバラード調の旋律と心を通じ合わせたトニーとステファニーを表すような「&bold(){君はただの女性じゃない。それ以上の存在なんだ}」という歌詞が二人の華麗なダンスに花を添える。
&s(){それだけにこの後から立て続けに襲い掛かる[[鬱展開]]の数々に観客は胸を痛める事になるのだが}
・&bold(){愛はきらめきの中に(How Deep Is Your Love)}
映画終盤で様々な出来事を経験し、傷付き打ちひしがれたトニーがニューヨークを彷徨うシーンで流れるナンバー。
心身ともにボロボロのトニーを優しく癒すようなメロディーと暖かさを感じさせる歌詞が特徴の名曲。
他のアーティストにカバーされる機会も多く、日本においても[[ハッチポッチステーション]]内でグッチ祐三が歌っている。
*【余談】
-前述の通り、本作は公開されるやいなや大ヒットしたが特筆すべきは&bold(){17歳以下は保護者同伴でないと鑑賞が不可能なR指定映画}だった事。&br()通常R指定の映画だと興行収入において重要な要素であるファミリー層の集客が望めないので大きなヒットにはつながりにくく、&br()特に本作で描かれているディスコに通うようなティーンエイジャーが観られないのは大きな痛手のはずだが本作はそれをものともせずに大ヒットした。&br()なお、2年後には暴力的な場面や性的な場面がカットされたPG版が公開されており、そちらも890万ドルの収益をあげている。
-本作は元々1976年にニューヨーク・マガジンに掲載された&bold(){"Tribal Rites of the New Saturday Night" (邦題「新しい土曜の夜の部族儀式」)}という土曜の夜にディスコに集まる若者たちを題材にしたルポを基にしており、&br()要するに&bold(){[[実話を基にした実録作品>仁義なき戦い(映画)]]}という触れ込みも当時話題になったのだが、映画公開から20周年を目前にした1990年代半ばに執筆者自らが&bold(){記事はほとんど創作だった}ことを認めている((執筆者でジャーナリストのニック・コーンはそもそもイギリス人でニューヨークのディスコ文化についてほとんど知らなかった。一応地元で知り合った若者をモデルにはしているらしいのだが))。
-公開から6年後の1983年には続編となる『&bold(){ステイン・アライブ(Staying Alive)}』が制作された。監督と脚本はなんと&bold(){シルベスター・スタローン}((本作でもトニーの部屋に『[[ロッキー>ロッキー(映画)]]』のポスターが貼られている))。&br()スタローンは基本的に自身の監督作では主演を兼ねていることが多いが、この『ステイン・アライブ』だけは監督業に専念している((ただしノンクレジットで通行人としてカメオ出演しているが))。&br()内容は現実時間と同じく6年後を描いており、ブルックリンを出てマンハッタンで暮らすトニーがブロードウェイのダンサーを目指して奮闘する、というもの。&br()主演のジョン・トラボルタが再びトニーを演じ、大ヒット作の続編という話題性から興行的には充分にヒット作と呼べる成績を残したものの、&br()等身大の若者の成長がテーマだった『サタデー・ナイト・フィーバー』に対してこちらはダンスそのものがテーマになっているなど、あまりにも作風が変わり過ぎたことで内容的には酷評の嵐となり、&br()同年のラジー賞では主演男優賞、助演女優賞、新人賞にノミネートされ、挙げ句の果てには後年になって「史上最悪の続編」にも選ばれる等、&br()散々な評価を得る結果に終わり、ほぼ[[黒歴史]]と化している。&br()この作品の失敗によってトラボルタは長きに渡る低迷期に突入し、[[クエンティン・タランティーノ]]監督による『[[パルプ・フィクション>パルプ・フィクション(映画)]]』で再び注目を浴びるまで雌伏の時を過ごす事となる。
-前述の通り、本作は能天気そうなタイトルに反してかなりシリアスな内容だが、これには「フィーバー」という言葉の捉え方も関係している。&br()日本で「フィーバー」と言えば、「&bold(){熱中する}」「&bold(){熱狂する}」のようなポジティブな意味合いとして語られることが殆どだが、&br()英語圏の「Fever」はそれ以外に「&bold(){発熱}」「&bold(){熱病に侵される}」等のネガティブな意味合いを含んでいる。&br()つまり、&bold(){現実を忘れて週末毎にディスコで踊り狂うトニーを含む若者たちを熱病にかかったような奇妙で不健全な存在}としても捉えていることを意味しており、&br()より良い人生を送るにはいつまでも現実逃避するのではなく現実で努力をしなくてはならない、というメッセージも込められている。&br()&s(){[[?「いくら夢の世界ににげても、さめたらみじめになるだけじゃないか!!もっと現実世界でがんばらなくちゃ。」>ドラえもん(キャラクター)]]}
-また、本作が公開された1970年代と言えば&bold(){[[バッドエンド]]}や&bold(){アンチヒーロー}、&bold(){過激な暴力・性描写}などが特徴の&bold(){アメリカン・ニュー・シネマ}が隆盛を極めていた時期でもあり((実際本作の一年前にはその金字塔とも言える『[[タクシードライバー>タクシードライバー(映画)]]』が公開されている))、&br()前年に公開された『[[ロッキー>ロッキー(映画)]]』などで潮流が変わりつつあったとは言え、まだまだその影響下にあったことを考えると本作が重くシリアスな作風になるのもうなずけるかもしれない。
--とはいえ、本作においてトニーは様々な出来事によって心身共に打ちのめされてしまうものの、最終的にはそれらを乗り越えて、&br()「&bold(){今の環境を変えなくてはならない}」と決意するというビターながらも希望を感じさせるエンディングを迎えるため、&br()本作はいわゆるアメリカン・ニュー・シネマとは明確に区別されていることが多い。
-ポスターにも使われ、本作の象徴とも言えるトニーが天を指差すポーズを取っている際に着ている白のスーツだが、実は当初の予定では黒のスーツを着る事になっていた((監督のバダムも演者のトラボルタもそう思っていたとか))。&br()だが、衣装担当のスタッフが暗いディスコの中では黒のスーツだと映像的に映えないと強硬に主張した事から白のスーツへと変更された。
-撮影で使われた【2001オデッセイ】は当時ベイリッジで実際に営業していたディスコで映画の大ヒットに伴って世界中からファンが詰めかける聖地となった。&br()また、撮影のために設置されたダンスフロアは特注品で撮影終了後にそのまま寄贈され、お店の名物になったとか。&br()その後、残念ながら店舗は閉店してしまったものの、設置されていたダンスフロアはオークションにかけられた。
//凍結回避のため歌詞を削除しました。
追記・修正は土曜の夜にディスコでフィーバーしながらお願いします。
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#right(){この項目が面白かったなら……\Fever!/
#vote3(time=600,6)
}
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- これも華やかなイメージがあるけど実際に見ると精神的に来る部分も多い青春鬱映画よね。……実は続編があることは余り知られていないっぽい?(黒歴史みたいな扱いらしいし) -- 名無しさん (2025-03-22 20:22:36)
- 本文中のポーズのくだり、🕺というおあつらえ向きの絵文字があるんだけど載せた方が良さげ? -- 名無しさん (2025-03-22 20:44:54)
- 余談にある通り、アメリカンニューシネマ末期の作品だもんねぇ。明るいのはトラボタルの尻だ(違う -- 名無しさん (2025-03-22 21:03:50)
- あの有名なポーズ、本編で確認できなかったんだけどどっかで見落としたかな? -- 名無しさん (2025-03-23 01:45:54)
- ↑あのポーズ🕺はダンスの中でやってるけど1人で踊ってる時だから白スーツの時にはやってなかったと思う。宣伝用のスチールだけなのかな? -- 名無しさん (2025-03-23 07:26:20)
- ↑5 なんで -- 名無しさん (2025-03-23 08:20:50)
- ↑(続き)なんでかスタローンが監督やったステイン・アライヴだな -- 名無しさん (2025-03-23 08:21:29)
- ↑6を対応してくださった方、ありがとうございます -- 名無しさん (2025-03-24 18:30:42)
#comment()
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&font(#6495ED){登録日}:2025/03/22 Sat 20:15:30
&font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red)
&font(#6495ED){所要時間}:約 10 分で読めます
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#center(){&font(32px,b,#f39800){土曜の夜は《フィーバー》しよう!!}}
#center(){&font(27px,#f39800){イルミネーションのきらめきの中から明日の青春をつかんだトニー!}}
#center(){&font(32px,b,red){ Saturday}}
#center(){&font(32px,b,red){night}}
#center(){&font(32px,b,red){Fever}}
『&bold(){サタデー・ナイト・フィーバー(Saturday Night Fever)}』とは、1977年に製作されたアメリカ映画。配給はパラマウント。
主演はジョン・トラボルタ。
監督はジョン・バダム。
●目次
#contents
*【概要】
ニューヨークのディスコで踊りに情熱を燃やす青年を描いた音楽映画。
製作費は350万ドルと当時としても大作とは呼べない小粒の作品だったが、公開されるやいなや爆発的に大ヒット。最終的な興行収入は&bold(){2億ドル}を越え、アメリカでのディスコ文化やサブカルチャー方面に与えた影響は計り知れず、
2025年現在でも大小問わず[[様>がんばれゴエモン きらきら道中~僕がダンサーになった理由~]][[々>サタデー・ナイトメア・フィーバー]][[な>ペルソナ4 ダンシング・オールナイト]][[作>永江 衣玖]][[品>レディ・プレイヤー1]]でオマージュやパロディが為されている。
特に、映画本編を見たことがない人でも主演のジョン・トラボルタがポスターで取っていた&bold(){両足を横に開き、腰を捻りつつ右腕を高々と掲げて天を指差すポーズ}を一度は目にしたことがあるだろう。
🕺←こんなやつ
実は公開当時の米国におけるディスコは人気が衰え気味だったのだが、本作のヒットで再び人が集う場所の代表格に返り咲き、主演のトラボルタは一気に世界的大スターの座を得た。
作中で使用された音楽に関しては英国生まれのバリー、ロビン、モーリスのギブ三兄弟で結成されたオーストラリアのボーカルグループ【&bold(){ビー・ジーズ}】が大々的にフィーチャーされ、
「ステイン・アライヴ」、「恋のナイト・フィーヴァー」、「モア・ザン・ア・ウーマン」、「ユー・シュッド・ビー・ダンシング」、「愛はきらめきの中に」など、
数々の名曲が収録されたサウンドトラックは映画音楽史上……どころか米国の音楽史に残るメガヒットとなり、
ビルボードでは&bold(){24週連続一位}という驚異的な数字を叩き出し、映画のサウンドトラックでありながら同年の&bold(){グラミー賞}では&bold(){最優秀アルバム賞}を獲得するという快挙を成し遂げた。
売り上げも全世界で&bold(){4000万枚}を超え、これは5年後に&bold(){[[マイケル・ジャクソン]]}が『&bold(){スリラー}』で更新するまで世界一であり、
映画音楽としてはケビン・コスナー主演の『&bold(){ボディガード}』のサントラに更新されるまで&bold(){15年間}トップの記録だった。
日本においても公開され、こちらも興行収入は&bold(){19億円}と大ヒットを飛ばした。
当時の日本におけるディスコと言えば「不良のたまり場」「怪しい場所」というイメージが付いていたが、本作のヒットにより日本でも首都圏などを中心にディスコブームが巻き起こり、
ディスコで踊り明かすことが「フィーバーする」と呼ばれて流行語となり、社会現象と化した。
また、[[パチンコ]]などでの大当たりを意味する『&bold(){フィーバー}』という単語は本作に由来している。
なお、映画のタイトルや項目冒頭の宣伝文からしてディスコで踊り明かす青年のサクセスストーリーや明るい青春を描いた能天気な作品に思われがちだが、&bold(){実際は全くそんなことはない}。
というのも、本作において描かれているのは、
・物語の舞台となるニューヨークにおける深刻な格差社会
・マイノリティである移民同士の対立や人種差別
など、当時のアメリカが抱える世相を反映した極めてシリアスかつシビアなものばかり。
主人公もそんな環境に閉塞感を抱えながら生活する市井の人間であり、そういった日頃の苦悩や鬱憤を忘れるためにディスコで踊り明かす中での成長、というのがテーマなのである。
むしろ華やかなディスコと対比する形で薄汚れた日常が容赦なく映し出されており、[[スカっとサワヤカ>ヌケサク(ジョジョの奇妙な冒険)]]な内容を期待していると思わぬダメージを受けること間違いなしなので要注意。
&s(){ある意味では広告詐欺}
なお、1981年の『[[日曜洋画劇場]]』での放映に際して日本語吹き替え版が制作されているが、主人公のトニーを吹き替えたのはなんと新御三家として有名な歌手の&bold(){郷ひろみ}。
いわゆる話題性を売りにした芸能人声優枠なのだが、当時すでにテレビドラマや映画などでの主演経験があるため、それなりに堂に入った演技を見せてくれる。
*【ストーリー】
ニューヨークのブルックリンに住む&bold(){トニー・マネロ}は金物屋で働き、両親や妹と一緒に暮らしている。
だが、家では何かにつけ優秀な兄と比較されて小言を言われ、職場では熱心に働いているが給料は雀の涙。
周囲を取り巻く変わり映えのしない退屈な日常にうんざりしているものの、どうする事も出来ずに退屈を募らせる毎日。
そんなトニーの唯一の楽しみは週末の土曜日に仲間たちと共に行きつけのディスコへ繰り出し、踊り明かす事。
平日はうだつの上がらないトニーでも週末のディスコではダンスの上手さから一目置かれる存在であり、ディスコの顔として崇められていた、
そんな折、トニーはディスコで見知らぬ年上の女性&bold(){ステファニー}に出逢う。
踊りの実力もさることながら周りにはいなかった都会的な雰囲気に心を奪われたトニーはステファニーをディスコのダンスコンテストのパートナーへと誘う。
最初は相手にされなかったがトニーの熱心な説得によってペアを組む事になり、コンテストの優勝を目指すが……。
*【登場人物】
※吹き替えはソフト版/テレビ朝日版
・アンソニー・"トニー"・マネロ
演:ジョン・トラボルタ/吹き替え:[[三木眞一郎]]/郷ひろみ
本作の主人公。
ニューヨークのブルックリンに住んでいるイタリア系移民の青年。年齢は19歳で間もなくハタチを迎える。
高校を出た後は実家で両親と祖母、妹と暮らしながらベイリッジの金物屋でペンキ担当として働いている。
イタリア系らしく家族思いで、真面目な上に口が達者なことから職場での評判も良い好青年。
……なのだが、ペンキ屋の給料は薄給そのもので懸命に働いても大した稼ぎにはならず、
さらに安月給の中からきちんと家に食費を入れているにも拘らず、両親からは神父をしている兄と比べられてはロクデナシ呼ばわりされるという散々な扱いを受けている。
本人もそんな現状を苦々しく思っているのだが、学歴もなく家を出てやっていけるだけのコネや金があるわけでもないため、どうにもならない現実に諦めにも似た思いを抱きつつ過ごしている。
そんな日々におけるただ一つの気晴らしは仲間たちと&ruby(Saturday night){土曜日の夜}に精一杯のお洒落をして地元のディスコ【&bold(){2001オデッセイ}】へ繰り出し、&ruby(Fever){朝まで踊り明かす}事。
唯一の趣味として熱心に打ち込んでいるだけあってダンスの腕前は抜群であり、仲間内からは『&bold(){キング}』と呼ばれ、一度トニーが踊り出せば周囲には多数のギャラリーが集うほどにその実力は広く知られている模様。
背も高くハンサムなことも相まってディスコではちょっとした有名人で、言い寄ってくる女性も後を絶たないが本人は踊りにしか興味がないため、いまだに[[経験がない>童貞]]。
仲間たちの間で流行っている麻薬にも「くだらない」と否定的。ディスコでは「セブン&セブン」((シーグラムセブンというアメリカンウイスキーとセブンアップという炭酸飲料を混ぜたカクテル。日本で言えばコークハイのようなものでお酒が弱い人でも飲みやすい。要するに背伸びをしていてもトニーがまだ酒を飲み慣れていない未熟な若者であることの暗喩))を愛飲している。
ある晩のディスコで周囲の女性とは違う都会的な雰囲気を持つステファニーに一目惚れし、賞金付きダンスコンテストのパートナーになって欲しいと頼み込んで優勝を目指し練習を開始することになる。
#openclose(show=ネタバレ注意){
家族の自慢だった神父の兄が辞職した事やプエルトリコ人グループとのケンカなどといったトラブルがありつつもステファニーと共に練習を積み、交流を深めていく。
そしてダンスコンテスト本番では二人揃って息の合った見事なダンスを披露して周囲の喝采を浴びるも、自分たちの次に踊ったプエルトリコ人カップルの腕前に衝撃を受ける。
明らかに自分たちを上回る素晴らしいダンスにすっかり自信を打ち砕かれてしまうが、&bold(){優勝はトニーとステファニーだった}。
審査員たちは余所者であるプエルトリコ人が優勝する事を良しとせずに、地元の住民かつディスコの顔役として知られているトニーを勝たせたのだ。
キングとおだてられ、唯一の自慢だったダンスの腕前でさえ井の中の蛙に過ぎなかった事、真剣に打ち込んでいたコンテストを露骨な地元判定で汚されたと感じたトニーは大いに憤慨。
賞金とトロフィーをプエルトリコ人カップルに渡すとディスコを後にする。
&bold(){「みんな他人に荷物を押し付け合っているんだ!親父はお袋に!俺たちはプエルトリコ人に!そうやってみんな憂さを晴らしてる!それの繰り返しだ!」}
全てに失望したトニーは怒りのままにステファニーをレイプ同然に犯そうとするも、強く拒否されて失敗。
その後は仲間たちに促されてブルックリン橋へ出かけるが、グループのメンバーであるボビーが情緒不安定に陥り、自殺同然に橋から転落死するのを目の当たりにする。
一夜の間に心身ともに打ちのめされたトニーは仲間たちとも別れ、ニューヨークの街を一晩中歩き回った後にステファニーの家を訪れる。
怒りを隠さないステファニーに対してトニーは前日に乱暴を働いたことを謝罪し、今の環境を変えるために家を出てマンハッタンへ移り住めるように努力するつもりである事、
そのために友人となって欲しいことを告げ、謝罪を受け入れたステファニーと再び友情を結ぶシーンで映画は幕を閉じる。
}
演者のジョン・トラボルタは当時23歳であり、前年に公開された『[[キャリー>キャリー(スティーヴン・キング)]]』で本格的な映画デビューを果たしたばかりで俳優としては駆け出しの時期だったものの、
テレビ番組『Welcome Back, Kotter』への出演で既にアイドル的な人気を獲得しており、ブルックリンの路上で本作のロケが始まると多数のファンが詰めかけて撮影を中断させてしまったというエピソードを残している((このため屋外でのロケは基本的に早朝、あるいは深夜に撮影されている))。
また、本作の出演に当たっては毎日3キロのジョギングと3時間のダンスレッスンでプロ並みの技術を身に付けると共に10キロ体重を落として撮影に臨んでいる。
それだけにダンスシーンには自信があったようで、「ユー・シュッド・ビー・ダンシング」のBGMがかかる中でソロダンスを披露するシーンでは制作陣がクローズアップでの撮影を考えていると知るや、
「&bold(){それじゃせっかく練習したのにダンスの動きが見せられないじゃないか!}」と激怒してあわや降板寸前にまで至ったという裏話も。
・ステファニー・マンガーノ
演:カレン・リン・ゴーニイ/吹き替え:加藤ゆう子/鈴木弘子
本作のヒロイン。
トニーと同じくブルックリン住まいだが、職場は橋を渡った先のマンハッタンにあり、広告関係の仕事をしている。
ディスコで踊っていたところをたまたまトニーに目撃され、その腕前と洗練された雰囲気に心を奪われたトニーからダンスコンテストのパートナーに誘われ、一緒に出場する事になる。
ダンスの実力はトニーも認めるほどに高く、インテリで立派な職業に就いているオトナの女性((演者のカレン・リン・ゴーニイ女史は当時32歳でトニー役のトラボルタより9つも年上だった))……なのだが、
・作中では事ある毎にマンハッタンの良さを語り出し、労働者階級の多いブルックリンを見下す
・トニーと会うたびに仕事で出会った有名人の自慢話を繰り返す
・学歴がなく、教養もないトニーをやたらと小馬鹿にする
等々、非常に癖のある性格で、2025年現在の日本で言う所のいわゆる&bold(){意識高い系}の典型のような人物。
その余りに尊大な物言いはステファニーを口説こうとしているトニーですら「気取り屋」「鼻持ちならない高慢」と面と向かって批判する程。
トニーの誘いも軽くあしらっていたが、根強い説得と「&bold(){ダンスパートナー以上の関係にはならない}」という契約を結んだ事でコンテストへの出場を承諾する。
当初トニーとの関係自体は良好とは言えなかったが、練習を重ねていく中で次第に態度を軟化させていく。
#openclose(show=ネタバレ注意){
物語の中盤でブルックリンからマンハッタンへと引っ越すことになり、トニーもその引越しの手伝いをするためステファニーの新居へ同行する。
が、そこでトニーが知ったのはステファニーが現在の暮らしのために中年男性の愛人になっていたという事実だった。
自立した立派な女性だと思っていたステファニーにそんな関係の男性がいたことを知ったトニーはステファニーを責めるが、
「&bold(){どうすればよかったのよ!何も知らない女一人がマンハッタンに来てやっていけるわけがないじゃないの!}」と話す。
数々の自慢話も弱い自分を隠すための精一杯の虚勢であり、全てを知られてしまったステファニーは涙に暮れるが、
ステファニーもまた大都会で身を立てようと懸命に努力している事を理解したトニーに慰められて親交を深めていく。
やがてダンスコンテスト当日、ステファニーはトニーとのペアで見事なダンスを披露して優勝を勝ち取るが、トニーは露骨な地元判定での勝利に怒りを爆発させる。
荒れ狂うトニーに勝ちは勝ちだと声を掛けるが気持ちが鎮まることはなく、危うくレイプされそうになるもなんとか未遂に終わる。
翌朝、自宅を訪ねて来たトニーを厳しい言葉で責めるが((日本語字幕では「ゆうべはひどかったわね」と比較的ソフトな表現だが原語だと「First time I ever let a known rapist in my apartment(顔見知りのレイプ犯を家に上げたのなんて初めてだわ)」とかなりドギツい罵倒))、真摯な謝罪の言葉と現状を変える決意をしたトニーの決心を聞き届け、彼を許すのだった。
}
・ダブルJ
演:ポール・ベイブ/吹き替え:望月健一/[[石丸博也]]
トニーが普段からつるんでいる悪友たちの一人。
がっしりとした体格でグループ内ではトニーに次ぐサブリーダー的なポジション。
陽気な性格だが血の気が多く、暴れ出すと止まらない。常に折り畳みナイフを所持している。
グループの他のメンバーにも共通しているが、全員トニー同様に教養も学歴も金もないものの、
そんな現状に特に危機感を抱くこともなく、基本的に遊ぶ事と女とヤる事しか頭にない。
・ジョーイ
演:ジョセフ・カリ/吹き替え:川村拓央/[[田中秀幸>田中秀幸(声優)]]
トニーの悪友たちの一人。
メンバーの中でも特に女好きで、ディスコで見かけた女のことは細かく覚えている。
ダブルJ同様に一度頭に血が上ると非常に好戦的。
・ガス
演:ブルース・オーンスタイン
トニーの悪友たちの一人。
おしゃべりで冗談好きだが、少々口が軽すぎる面がある。
他のメンバーがタバコを愛煙する中で唯一の葉巻党。
#openclose(show=ネタバレ注意){
ストーリー中盤ではその悪癖が災いし、プエルトリコ人を罵倒する言葉を口にしたためにプエルトリコ人の不良グループから目を付けられ、暴行を受けて病院送りにされてしまう。
それを知ったトニーは他のメンバーに焚きつけられる形でお礼参りを行い、苦戦しながらも不良グループを叩きのめす。
だが、実は&bold(){ガスに暴行を加えたのが誰なのかはガス自身も把握しておらず}、お礼参りを終えた後でガスの口から「でも、もしかしたらお礼参りをしたのは別のグループかも」という言葉が飛び出し、トニーを呆れさせた。
そして、このガスの余りのいい加減ぶりとメンバーの後先を考えない行いはトニーが仲間と現在の環境に愛想を尽かす遠因となる。
}
・ボビー
演:バリー・ミラー/吹き替え:上田祐司(現:[[うえだゆうじ]])/塩屋翼
トニーの悪友たちの一人。
メンバーの中では一際小柄で顔立ちも少年のようにあどけない。
そのせいかグループ内では少々軽んじられているようで、扱いもやや雑。
本人もそんな自分に自信が持てないのか、やたらとトニーや他のメンバーを持ち上げる言動をしたり、自己評価を気にしている等、
2025年の日本で言う所のキョロ充のような性格。
グループの中で唯一自動車((中古のシボレー・インパラ))を所持しており、ディスコへの移動に使われれるほか、メンバーがディスコでひっかけた女とのカーセックスの場所としても使われている。
なお、こう見えてポーリンという彼女持ちだったりする。
#openclose(show=ネタバレ注意){
実はそのポーリンを&bold(){妊娠させてしまっており}、しかも彼女が敬虔なカトリックであることから堕胎を拒まれているため、このままだと&bold(){若くして父親になってしまう}境遇にいる。
本人はその状況を真剣に悩んでおり、トニーや他のメンバーを含む知人友人に相談を持ち掛けているものの、前述の扱いもあってほとんど相手にされない状態が続いていた。
その後は悩み抜いた末にポーリンとの結婚を決めたが、タイミングの悪いことにトニー達と共にプエルトリコ人の不良グループへお礼参りに向かった際にヘマをしでかし、
他のメンバーから激しく罵倒されてしまったことで徐々に精神の安定を欠いていく。
そして、トニーがダンスコンテストに優勝した後に全員でブルックリン橋へ出かけたところ、孤独感から情緒不安定だった上に酒に酔っていたせいもあって、
橋のワイヤーを登ったり欄干の上で逆立ちをするなど自暴自棄とも思える行動をし、
説得を試みるトニーに「&bold(){今になってなんだよ!相談に乗るって言ってたのに電話もしてくれなかったじゃないか!俺はまだ父親なんかになりたくないよ!}」と思いの丈をぶちまけた直後、
&bold(){足を踏み外して橋から転落死}する。
&bold(){現状に対して悩んでいるのに誰も真剣に取り合ってくれず相談にも乗ってもらえない}、というボビーの境遇は悩みの種類は違えど皮肉にもトニーと&bold(){まったく同一}のものであり、
マンハッタンとブルックリンの格差の象徴とも言えるブルックリン橋を渡ることなく、何者にもなれずに死んでいったその姿はトニーに「&bold(){このままこの環境にいたら自分もダメになってしまう}」という思いを強く抱かせることになるのだった。
}
・アネット
演:ドナ・ペスコウ/吹き替え:山田美穂/藤田淑子
ディスコに通っている少女。
ダンスの腕前はそれなりに高く、トニーとは以前もダンスコンテストでペアを組んだ経験を持つ。
そのこともあって今年のコンテストでもトニーとペアを組もうと必死にアプローチをしている。
……のだが、トニーとはダンスパートナーとしてよりも男女として付き合いたい気持ちの方が強すぎるせいで辟易されており、トニーからの扱いもとにかく雑の一言。
作中でも、
・二人でデートに出かけた時も姉が結婚した話を繰り返して露骨に結婚願望を匂わせる
・会う度にトニーをセックスに誘う
・なんとかトニーをその気にさせてセックスする寸前までいくが、避妊具の用意がないことを指摘したトニーに平然と「&bold(){愛してるから平気よ}」と答える
・そのせいでセックスを断られると自分から大量のコンドームを買ってくる
等々、あまりにも直球過ぎるアプローチの連続でトニーを呆れさせた。&s(){[[愛が重い>常月まとい]]}
それでも積極的なアタックが功を奏して当初はトニーとペアを組めていたが、練習に対する姿勢が余り真面目ではなかった事と((トニーはコンテストの優勝に向けて真剣にダンスの練習をしていたがアネットはデート気分で臨んでおり、練習しかしない事に不満を漏らす有様だった))、トニーがステファニーと知り合った事もあってダンスパートナーの解消を告げられてしまう。
#openclose(show=ネタバレ注意){
その後はダンスコンテストの会場に姿を見せてトニーとアネットの優勝を見届け、ブルックリン橋へ向かうトニー達へ同行するが、
酒に酔っていた事とトニーにフラれて自暴自棄になっていた事もあり、ダブルJやジョーイを誘惑する素振りを見せたせいでその気になった彼らに車内で&bold(){[[代わる代わるレイプされてしまう>輪姦]]}。
コトに及ぶ直前で我に返って拒否したもののそのまま力づくで犯されて&bold(){処女を失い}、ショックを受けるアネットだったがコンテストの後で傷心していたトニーはそんな彼女に
「&bold(){こんなことが望みだったのか。バカな女だな}」と冷たく言い放つのだった((原語版では「Now. You’re a Cunt.(これでお前もクソ女だぜ)」と相当にひどい罵倒を浴びせている))。
}
アネットを演じたドナ・ペスコウ女史はニューヨーク出身の女優で、
キャスティングの段階で制作陣から「&bold(){ヒロインより美人に見える}」という理由で起用を見送られかけたが、体重を増やして少々ぽっちゃりとした体形になったことで無事にアネット役を得た。
また、演劇学校で矯正していたブルックリン訛りを役作りのために再び習得してから演技に臨んでいる。
・フランク・マネロ・シニア
演:ヴァル・ビゾーリオ
トニーの父親でマネロ家の家長。
……が、本編開始時点では失業中であり、半年経っても再就職ができないでいる。
そんな現状にも拘らずプライドだけは高く、家事を手伝ったりもしないばかりか何かにつけて「&bold(){25年もお前らを食わせてきたんだぞ!}」と家族に手を上げたり怒鳴り散らしている。
妻がパートに出て稼いでいることも快く思っておらず、トニーが仕事の時給がアップしたことを報告しても「それっぽっちが何になるんだ」と関心を示さなかった。
そういったこともあってトニーからは愛想を尽かされ、未公開シーンでは再雇用が決まって喜んでいたものの、トニーからは「もう食事代は家に入れないぜ」と冷たく言い放たれた。
・フロー・マネロ
演:ジュリー・ボヴァッソ
トニーの母親。
家事をしつつ、失業中の夫に代わってパートに出ている。
多忙なせいかヒステリックになりがちで、夫のフランクとは度々口論になっている。
信心深く、牧師になったトニーの兄を何よりも自慢に思っており、事ある毎にトニーと比較する形で小言を繰り返すためうんざりされている。
・フランク・マネロ・ジュニア
演:マーティン・シェイカー
トニーの兄。
穏やかで気のいい人格者でトニーからも尊敬されている。
職業は牧師で、両親にとって唯一の自慢であり食卓には大きな写真が飾られている程。
#openclose(show=ネタバレ注意){
……が、物語の中盤で牧師を辞職し、家へと帰ってくる。
理由は「&bold(){両親の期待に応えるために半ば無理矢理牧師にさせられたが、どうしても自分の中に信仰心が芽生えなかった}」というもの。
フランクが神父をやめたことに両親は激しく落胆し、ますます家の中がピリピリすることになる。
その後はトニーに連れられてディスコへ赴いたりしたものの喧騒に馴染むことができず、
自分の本当の居場所を探し求めて家から出て行った。
その際トニーへ牧師の象徴である襟カラーと「&bold(){周りの言う事なんか気にせずに自分が正しいと思う事をやるんだ。そうしないと惨めになるだけだ}」との言葉を残した。
}
・ダン・フスコ
演:サム・コッポラ
トニーが働いている金物屋の主人。
よく働く上に口の上手いトニーを気に入っている。
しかし、給料は安く前借りも認めないなど金銭に関してはシビア。
#openclose(show=ネタバレ注意){
物語中盤でステファニーがマンハッタンへの引っ越す手伝いをするためにトニーが休みを要求するとそれを拒否し、怒ったトニーに売り言葉に買い言葉でクビを言い渡す。
しかし、その後トニーが店を訪れると何食わぬ顔をしてクビを撤回して再び働いてほしいと頼んだ。
が、フスコが他の店員を指差しながら「見てみろよ。あいつは18年、やつは15年もここで働いてるんだぞ」と何気なく掛けた言葉はトニーに&bold(){自分も同じように何年も安月給でこき使われる人生を送るのか}、という疑念を抱かせるのだった。
}
・ピザ屋の店員
演:アン・トラボルタ
オープニングでブルックリンを颯爽と歩くトニーが立ち寄るピザ屋((ブルックリンで実際に営業していたレニーズピザ(Lenny’s Pizza)。映画の公開によって一躍有名になり、ファンや地元民からも親しまれていたが創業70年を迎えた2023年に高齢となったオーナーの引退に伴い惜しまれつつ閉店))の女店員。
トニーの好みを熟知している事から顔なじみである模様。
演じているのはトニー役であるトラボルタの実姉。
・金物屋の客
演:ヘレン・トラボルタ
冒頭でトニーが働く金物屋へペンキを買いに来ていた老婦人。
30分も待たされて立腹していたが、トニーの巧みな営業トークにより8ドルのペンキを11ドルで売りつけられて機嫌を直す。
演じているのはトラボルタの実母。演技講師をしていたが、本作が公開された翌年に亡くなっている。
*【楽曲】
・&bold(){ステイン・アライヴ(Stayin' Alive)}
映画冒頭でトニーがブルックリンを闊歩するシーンで流れるこの映画の象徴とも言える曲。
ラジオ局にリクエストが殺到したことからサウンドトラック発売の一か月後に急遽シングルカットされ、全米シングルチャートで4週連続1位を記録した。
力強いベース音と人生賛歌な歌詞が特徴のノリの良い曲だが曲の中盤では「&bold(){どん詰まりの人生だ。誰か助けてくれ}」というトニーの心情を反映したようなパートがある。
・&bold(){恋のナイト・フィーヴァー(Night Fever)}
ステイン・アライヴと並ぶこの映画を代表するナンバー。
こちらもシングルカットされ、ビルボードではステイン・アライヴを凌ぐ8週連続全米1位の大記録を樹立した。
ディスコに集った客がこの曲をバックに列を組んで踊り狂うシーンは日本の音楽グループ『ケツメイシ』の楽曲「君にBUMP」のMVでオマージュされている((というかMV自体がサタデー・ナイト・フィーバーのパロディそのもの。MV内では俳優の羽賀研二氏がトニーとまったく同じ格好をして映画を彷彿とさせるようなダンスを披露している))。
・&bold(){ユー・シュッド・ビー・ダンシング(You Should Be Dancing)}
ディスコでトニーがソロダンスを披露する際に流れる曲。
「またトニーの独り舞台だぜ!」と囃し立てられながらダンスフロアを独占して華麗に踊るシーンはこの映画における見せ場の一つ。
厳しいダンスレッスンの末に身に付けたと言われるトラボルタ渾身のダンスは必見。
ちなみに本作を象徴するトラボルタの決めポーズが披露されているのは実はこの曲だったりする。
・&bold(){モア・ザン・ア・ウーマン(More Than A Woman)}
ダンスコンテスト本番でトニーとステファニーがダンスを踊る際の曲。
美しいバラード調の旋律と心を通じ合わせたトニーとステファニーを表すような「&bold(){君はただの女性じゃない。それ以上の存在なんだ}」という歌詞が二人の華麗なダンスに花を添える。
&s(){それだけにこの後から立て続けに襲い掛かる[[鬱展開]]の数々に観客は胸を痛める事になるのだが}
・&bold(){愛はきらめきの中に(How Deep Is Your Love)}
映画終盤で様々な出来事を経験し、傷付き打ちひしがれたトニーがニューヨークを彷徨うシーンで流れるナンバー。
心身ともにボロボロのトニーを優しく癒すようなメロディーと暖かさを感じさせる歌詞が特徴の名曲。
他のアーティストにカバーされる機会も多く、日本においても[[ハッチポッチステーション]]内でグッチ祐三が歌っている。
*【余談】
-前述の通り、本作は公開されるやいなや大ヒットしたが特筆すべきは&bold(){17歳以下は保護者同伴でないと鑑賞が不可能なR指定映画}だった事。&br()通常R指定の映画だと興行収入において重要な要素であるファミリー層の集客が望めないので大きなヒットにはつながりにくく、&br()特に本作で描かれているディスコに通うようなティーンエイジャーが観られないのは大きな痛手のはずだが本作はそれをものともせずに大ヒットした。&br()なお、2年後には暴力的な場面や性的な場面がカットされたPG版が公開されており、そちらも890万ドルの収益をあげている。
-本作は元々1976年にニューヨーク・マガジンに掲載された&bold(){"Tribal Rites of the New Saturday Night" (邦題「新しい土曜の夜の部族儀式」)}という土曜の夜にディスコに集まる若者たちを題材にしたルポを基にしており、&br()要するに&bold(){[[実話を基にした実録作品>仁義なき戦い(映画)]]}という触れ込みも当時話題になったのだが、映画公開から20周年を目前にした1990年代半ばに執筆者自らが&bold(){記事はほとんど創作だった}ことを認めている((執筆者でジャーナリストのニック・コーンはそもそもイギリス人でニューヨークのディスコ文化についてほとんど知らなかった。一応地元で知り合った若者をモデルにはしているらしいのだが))。
-公開から6年後の1983年には続編となる『&bold(){ステイン・アライブ(Staying Alive)}』が制作された。監督と脚本はなんと&bold(){シルベスター・スタローン}((本作でもトニーの部屋に『[[ロッキー>ロッキー(映画)]]』のポスターが貼られている))。&br()スタローンは基本的に自身の監督作では主演を兼ねていることが多いが、この『ステイン・アライブ』だけは監督業に専念している((ただしノンクレジットで通行人としてカメオ出演しているが))。&br()内容は現実時間と同じく6年後を描いており、ブルックリンを出てマンハッタンで暮らすトニーがブロードウェイのダンサーを目指して奮闘する、というもの。&br()主演のジョン・トラボルタが再びトニーを演じ、大ヒット作の続編という話題性から興行的には充分にヒット作と呼べる成績を残したものの、&br()等身大の若者の成長がテーマだった『サタデー・ナイト・フィーバー』に対してこちらはダンスそのものがテーマになっているなど、あまりにも作風が変わり過ぎたことで内容的には酷評の嵐となり、&br()同年のラジー賞では主演男優賞、助演女優賞、新人賞にノミネートされ、挙げ句の果てには後年になって「史上最悪の続編」にも選ばれる等、&br()散々な評価を得る結果に終わり、ほぼ[[黒歴史]]と化している。&br()この作品の失敗によってトラボルタは長きに渡る低迷期に突入し、[[クエンティン・タランティーノ]]監督による『[[パルプ・フィクション>パルプ・フィクション(映画)]]』で再び注目を浴びるまで雌伏の時を過ごす事となる。
-前述の通り、本作は能天気そうなタイトルに反してかなりシリアスな内容だが、これには「フィーバー」という言葉の捉え方も関係している。&br()日本で「フィーバー」と言えば、「&bold(){熱中する}」「&bold(){熱狂する}」のようなポジティブな意味合いとして語られることが殆どだが、&br()英語圏の「Fever」はそれ以外に「&bold(){発熱}」「&bold(){熱病に侵される}」等のネガティブな意味合いを含んでいる。&br()つまり、&bold(){現実を忘れて週末毎にディスコで踊り狂うトニーを含む若者たちを熱病にかかったような奇妙で不健全な存在}としても捉えていることを意味しており、&br()より良い人生を送るにはいつまでも現実逃避するのではなく現実で努力をしなくてはならない、というメッセージも込められている。&br()&s(){[[?「いくら夢の世界ににげても、さめたらみじめになるだけじゃないか!!もっと現実世界でがんばらなくちゃ。」>ドラえもん(キャラクター)]]}
-また、本作が公開された1970年代と言えば&bold(){[[バッドエンド]]}や&bold(){アンチヒーロー}、&bold(){過激な暴力・性描写}などが特徴の&bold(){アメリカン・ニュー・シネマ}が隆盛を極めていた時期でもあり((実際本作の一年前にはその金字塔とも言える『[[タクシードライバー>タクシードライバー(映画)]]』が公開されている))、&br()前年に公開された『[[ロッキー>ロッキー(映画)]]』などで潮流が変わりつつあったとは言え、まだまだその影響下にあったことを考えると本作が重くシリアスな作風になるのもうなずけるかもしれない。
--とはいえ、本作においてトニーは様々な出来事によって心身共に打ちのめされてしまうものの、最終的にはそれらを乗り越えて、&br()「&bold(){今の環境を変えなくてはならない}」と決意するというビターながらも希望を感じさせるエンディングを迎えるため、&br()本作はいわゆるアメリカン・ニュー・シネマとは明確に区別されていることが多い。
-ポスターにも使われ、本作の象徴とも言えるトニーが天を指差すポーズを取っている際に着ている白のスーツだが、実は当初の予定では黒のスーツを着る事になっていた((監督のバダムも演者のトラボルタもそう思っていたとか))。&br()だが、衣装担当のスタッフが暗いディスコの中では黒のスーツだと映像的に映えないと強硬に主張した事から白のスーツへと変更された。
-撮影で使われた【2001オデッセイ】は当時ベイリッジで実際に営業していたディスコで映画の大ヒットに伴って世界中からファンが詰めかける聖地となった。&br()また、撮影のために設置されたダンスフロアは特注品で撮影終了後にそのまま寄贈され、お店の名物になったとか。&br()その後、残念ながら店舗は閉店してしまったものの、設置されていたダンスフロアはオークションにかけられた。
//凍結回避のため歌詞を削除しました。
追記・修正は土曜の夜にディスコでフィーバーしながらお願いします。
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- これも華やかなイメージがあるけど実際に見ると精神的に来る部分も多い青春鬱映画よね。……実は続編があることは余り知られていないっぽい?(黒歴史みたいな扱いらしいし) -- 名無しさん (2025-03-22 20:22:36)
- 本文中のポーズのくだり、🕺というおあつらえ向きの絵文字があるんだけど載せた方が良さげ? -- 名無しさん (2025-03-22 20:44:54)
- 余談にある通り、アメリカンニューシネマ末期の作品だもんねぇ。明るいのはトラボタルの尻だ(違う -- 名無しさん (2025-03-22 21:03:50)
- あの有名なポーズ、本編で確認できなかったんだけどどっかで見落としたかな? -- 名無しさん (2025-03-23 01:45:54)
- ↑あのポーズ🕺はダンスの中でやってるけど1人で踊ってる時だから白スーツの時にはやってなかったと思う。宣伝用のスチールだけなのかな? -- 名無しさん (2025-03-23 07:26:20)
- ↑5 なんで -- 名無しさん (2025-03-23 08:20:50)
- ↑(続き)なんでかスタローンが監督やったステイン・アライヴだな -- 名無しさん (2025-03-23 08:21:29)
- ↑6を対応してくださった方、ありがとうございます -- 名無しさん (2025-03-24 18:30:42)
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