痕の祀り

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痕の祀り - (2024/12/30 (月) 17:34:38) のソース

&font(#6495ED){登録日}:2015/08/07 Fri 19:42:51
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&font(#6495ED){所要時間}:約 4 分で読めます

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『痕の祀り』とは『S-Fマガジン2015年6月号』に掲載された短編小説。
著者は酉島伝法。イラストは加藤直之。

斉一顕現体、万状顕現体と呼ばれる存在が出現するようになった世界で、
万状顕現体の遺体を処理する『加賀特掃会』に勤める男が主人公の短編。
ぶっちゃけ、&bold(){ほぼ九割九分ぐらいはウルトラシリーズの小説ではないと言って過言でない}。

当初酉島氏は、[[あとがき]]で「[[ウルトラマンレオ]]」の敵が「[[異次元人 ヤプール]]」だと勘違いしていた。
後に読者に指摘され訂正された。どうやら書き間違えたらしい。

後に他の円谷プロとS-Fマガジンのタイアップ企画による作品群共々、『[[多々良島ふたたび]] ウルトラ怪獣アンソロジー』に収録された。


*■登場人物

・降矢
この作品の主人公。加賀特掃会に勤める男性。元々は刑事だった。
顕現体が始めて出現した際に絶対子を至近距離で浴び、廃人となった妻を罵ったことを後悔し続けている。

・石井
・伊吉
・葉山
・寺田
加賀特掃会のメンバー。

・勝津
検体採取の為に同行した坊主頭の生物学研究者。
絶対子を浴びるのは始めてだった為一時錯乱してしまうが、共感作用の影響を全く受けていない。

・昭英
降矢の一人息子。妻の体内にいた際に絶対子を浴びている。


*■用語

・斉一顕現体
胴回りから足先までが茜色の巨大な人型の存在。
顕現するたびに差異が見られ十タイプほどに分けられ、
同じタイプでも細かな違いがあるため、数人の元になる存在を元に象りなおされているのではないかと考えられている。
万状顕現体と争い、長い両手を&color(red){&bold(){十字やL字に組み}}絶対子を放射する。

・絶対子
万状顕現体の毒素を中和する仄白く発光する粒子。
磁気閃光のようなものと考えられているが正確には分かっていない。
高濃度になると周囲の人物に過去に犯した罪を追体験させる「審問効果」が起こり、至近距離で浴びれば廃人となる可能性もある。

・万状顕現体
多様な形態を取る巨大な生命体。
腐敗が早く、体液は有機汚染物質となり残留する。
[[自衛隊]]が攻撃した周囲一帯は未だに封鎖されている。
死骸は、周囲の人間に自身の変化と同様の錯覚をさせる共感効果を持つ。

・[[妥蠡(だり)>ダリー]]
万状顕現体の体内で共生する三叉の生物。

・[[嚢腫体>ガッツ星人]]
万状顕現体の嚢腫の内部から発見される&bold(){鸚鵡に似た頭部}の生物。
体表には&bold(){青いジグザグ模様}が走っている。「やぷぅ……やぷぅ」と奇妙な声を発する。
万状顕現体の体で最も腐りやすい。


■以下ストーリーの[[ネタバレ]]のため注意





















五社合同の都市回復機構から派遣された五名の加賀特掃会員と、
生物学者の勝津は斉一顕現体と万状顕現体が出現した都市に訪れる。

万丈顕現体に向かう途中、絶対子を浴び審問効果により勝津が錯乱し、
「領胞の拡大、幾度も阻止、やぷるに栄え、磔定」などと意味の分からない奇声を挙げる。

勝津を案じつつも先に進み、合流した協力企業と共に解体を進める。
共感作用による不快感により新人が倒れて行く中で作業を進める内に、
幾つかの嚢腫体が現れる。

内部に痕跡を残しつつ空の嚢腫を不可思議に感じ、
「ひょっとしたら街中にテレポートでもしてるんじゃ」と言う石井の軽口に、自身の学説に近いと喜んだ勝津は見解を述べ始める。

「万状顕現体は別時空の存在がこの世界に渡る為の門。
同時にアレを殲滅する為に人類の深層心理から象って、接触状況を集めている観測機の役割を担っている」と、

作業を進める中、腸管内に発見された嚢腫を見ようと身を乗り出した勝津はコンテナに当たり腸管内に転落してしまう。

助ける為に腸管を探る降矢の耳に勝津のうわ言が途切れ途切れに届く。
「至高存在にとって、侵、略本能で種の繁栄を図ってき、た知性体は、許容できるはずもない存在……あなた方もまた……じ」

腸管から引き上げられた勝津に意識はなく頭部が倍以上に膨らみ、
親族が経営するという&bold(){巨大な十字架像}を建設中の病院に運ばれた。


作業を終え帰宅し、嚢腫体とそっくりな勝津の姿と、
「斉一にとってあなた方も我々も大差ない」という言葉を思い出す降矢に、一人息子の昭英が話しかける。

「父さんはいつも、[[ウルトラマン]]が現れる度にいなくなるよね」
斉一顕現体のことを言っていると思い、家に居らず寂しい思いをさせていることを謝る降矢だが、

昭英は違うと否定し目を逸らし、ある一言を告げるのだった。
その姿は微光を帯びているように見えた。



追記・修正は自身の中の侵略本能を見つめてからお願いします。

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