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牙狼〈GARO〉－阿修羅－ - (2025/03/23 (日) 10:51:57) のソース
&font(#6495ED){登録日}：2016/07/04 Mon 17:00:22
&font(#6495ED){更新日}：&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red)
&font(#6495ED){所要時間}：約 20 分で読めます
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#center(){&size(25){&b(){&italic(){&font(#c0c0c0){新日本プロレス}}&font(#ff0000){×}&font(#c0c0c0){牙狼 GARO PROJECT}}}}
牙狼〈GARO〉－阿修羅－は雨宮慶太原作の深夜特撮テレビドラマ「[[牙狼-GARO-]]」シリーズの特別編。
[[テレビ東京]]系列にて2016年7月1日に放送された。
放送前の段階で公式サイトを始めとするネット上のアナウンスに加え、前番組[[「牙狼 -GARO- -魔戒烈伝-」>牙狼 -GARO- -魔戒烈伝-]][[最終回]]でも予告されている
(一応本作は「烈伝」のスペシャル回に含まれるようである)。
&bold(){&color(GOLD){牙狼シリーズ10周年}}を記念してのアニバーサリー企画の一環である本作は
&bold(){&color(RED){[[&bold(){&color(RED){プロレス}}>プロレス]]団体・新日本プロレスとのコラボレーションを行う}}という驚愕の展開が特色。
これに伴いコラボ商品も公式オンラインショップ上で順次発売予定。
&color(RED,GOLD){牙狼×プロレス！}という&bold(){&color(RED){異様にテンションが高い組み合わせ}}や、
あの[[棚橋弘至]]と[[真壁刀義]]が
&bold(){リング}→&bold(){&color(RED){魔界}}
&bold(){ベビーフェイス}→&bold(){[[魔戒騎士>魔戒騎士(牙狼)]]}
&bold(){ヒール}→&bold(){[[ホラー>ホラー(牙狼-GARO- 第1期)]]}
…にそれぞれ立ち位置を変えたうえでエンターテイメントを魅せる！という触れ込みは
&color(BLUE){なんだか上手くいくのか爆死するのか怪しいもんだが}&color(RED){とりあえずちょっと見てみたいかなぁ？}
と思わせるような&bold(){謎の引力を放っている。}&DEL(){…ような気がする。}
出演にあたり棚橋氏は
&bold(){「もともとヒーローになりたくて、かっこよくなりたくて、プロレスラーになったんですが、}
&bold(){ お話しを頂いた時に、}&bold(){&color(RED){キターッ}}&bold(){と思いました。}&bold(){&color(RED){&sizex(4){魔戒騎士が僕のハマり役です。}}}&bold(){」}
対する 真壁氏は
&bold(){「っていうかよ、}&bold(){&color(RED){牙狼は俺が主演なんだよ。}}&bold(){もう}&bold(){&color(RED){バチコーンいく、 バチコーンいくからな。}}&bold(){&color(RED){&sizex(4){俺だけ見てろよ。}}}&bold(){」}
と両者ともに強い意気込みを示した。
公式の歴史の中にはきちんと当てはまったエピソードであり、
世界観及び時期はTV版第4期[[「牙狼-GARO- 魔戒ノ花」>牙狼-GARO- 魔戒ノ花]]の前日談に当たる。
ただ、作品世界とのリンクの仕方は少々特徴的で、語り部が述べる物語を映像化した劇中劇という形式を取っている。
その性質上、背景はほぼグリーンバック合成で一目で&bold(){「絵」}とわかる独特の雰囲気となっている。
…語っている人物は&bold(){「作家」}であり、（一般人よりははるかに詳しくはあっても）魔戒騎士の歴史に造詣が深い人物と言うわけでもないことから、
この物語が&color(RED){虚構の寓話}なのか、&color(BLUE){魔戒の史実}なのかはひとえに視聴者の想像に委ねられている。
#center(){&color(RED){以降、自重なきﾈﾀﾊﾞﾚの嵐}}
***&color(RED){▲}あの日から…&color(RED){▲}
#center(){&sizex(4){&bold(){&color(PaleGREEN){その羽は、誰のものでもない、その少女のものでした。}}}
&sizex(4){&bold(){&color(PaleGREEN){その少女は、黄金騎士と一緒にしあわせにくらしました。……おしまい。}}}}
…ある穏やかな夜、屋敷の一室で母親が小さな男の子に絵本を読み聴かせている。
タイトルのない、裏表紙に一枚の羽が描かれただけの真っ白な絵本。これを描いたのは他ならぬ彼女自身である。
彼女の名は&bold(){&color(PaleGREEN){冴島カオル}}。…新進気鋭の画家にして絵本作家であり、
当代の&bold(){&color(GOLD){黄金騎士ガロ}}の称号を継ぐ者、&bold(){[[冴島鋼牙>冴島鋼牙(牙狼-GARO-)]]}の妻でもある女性だ。
一般人でありながら、陰に潜み人を喰らう&bold(){&color(BLACK){「魔獣ホラー」}}と&bold(){&color(GOLD){「守りし者」}}である&bold(){&color(GOLD){「魔戒騎士」}}たちとの
熾烈な闘争の只中に身を置き、[[文字通り命がけの半生を駆けぬけてきた>牙狼-GARO-]]カオルも
今は愛する鋼牙との間に第一子、&bold(){[[雷牙>冴島雷牙(牙狼-GARO-)]]}を儲け安らかな日々を送っていた。
#center(){&sizex(4){&bold(){&color(DODGERBLUE){おかあさん、ぼくもおおきくなったら"まかいきし"になるの？}}}}
寝る前に小さな雷牙が問いかけてくる。
#center(){&sizex(4){&bold(){&color(PALEGREEN){それはあなたが決めることよ。}}}}
#center(){&sizex(4){&bold(){&color(DODGERBLUE){だったらぼくも}}}&sizex(4){&bold(){&color(GOLD){"おうごんきし"}}}&sizex(4){&bold(){&color(DODGERBLUE){がいい！}}}}
#center(){&sizex(4){&bold(){&color(PALEGREEN){黄金騎士！ガロになるのはとっても大変よ？}}}}
#right(){&sizex(2){[[おさむらいさんの英霊「そうだぞ…おうちから追い出されるかも」>牙狼 紅蓮ノ月]]}
&sizex(2){[[おひゃくしょうさんの英霊「だらしないと鎧、とられちゃうんだぞ」>レオン・ルイス(牙狼-GARO-) ]]}
&sizex(2){[[おうじさまの英霊「昼も夜もいそがしくて、寝るひまもなくなっちゃうかも」>アルフォンソ・サン・ヴァリアンテ(牙狼-GARO-)]]}
&sizex(2){[[おじいちゃんの英霊「強くなれ！」>冴島大河(牙狼-GARO-)]]}}
さてどうする雷牙坊？英霊たちも概ね&color(RED){「進路は慎重に選べ」}と言ってる気がするぞ？((とはいえ視聴者の皆様やこの項目の読者諸兄にとっては、彼が「騎士」としても「守りし者」としても黄金の魔戒騎士の鎧に相応しい青年に育ち、そして新たな牙狼となるのはご存知の事であろうが))
#center(){&sizex(4){&bold(){&color(DODGERBLUE){でも}}}&sizex(4){&bold(){&color(GOLD){"がろ"}}}&sizex(4){&bold(){&color(DODGERBLUE){がいい！}}}
&sizex(4){&bold(){&color(PALEGREEN){そうねぇ、ガロは強いもんね？}}}
&sizex(4){&bold(){&color(DODGERBLUE){…強いだけなの？}}}}
…流石は聡明なことに定評のある雷牙坊、幼児とは思えない切り口の鋭さである。
#center(){&sizex(4){&bold(){&color(PALEGREEN){ガロにはねー、他の魔戒騎士には無い不思議な力があるの。}}}
&sizex(4){&bold(){&color(DODGERBLUE){どんなー！？ききたーい！}}}
&sizex(4){&bold(){&color(PALEGREEN){しょうがないな～、聴いたらちゃんと寝るのよ～？}}}}
…すっかりガロの秘密に興味津々な息子に、カオルはある物語を語り始めるのだった。
#center(){&sizex(6){&bold(){&color(WHITE,BLACK){牙 狼}}}
&sizex(6){&bold(){&color(WHITE,BLACK){阿 修 羅}}}}
#center(){&sizex(4){&bold(){&color(PALEGREEN){魔獣が人々を苦しめ、皆が怯えて暮らしていた。}}}
&sizex(4){&bold(){&color(PALEGREEN){―そんな、遥かな時代。}}}
&sizex(4){&bold(){&color(PALEGREEN){「守りし者」として戦い続ける独りの魔戒騎士が居ました。}}}}
***&color(RED){▲}いにしえの騎士&color(RED){▲}
…その男は闇の中で巨大な異形の陰と対峙していた。
太古の魔戒騎士。
はちきれんばかりの筋肉の鎧の上から白く輝く霊獣の毛皮の衣を身に纏い、
武骨なソウルメタルの大剣を構えたむくつけき威容は現代の華麗に洗練された黄金騎士の佇まいと比べると、
遥かに&bold(){&color(BLACK){太く、粗く、しかし掛け値なしに}}&bold(){&color(RED){強い。}}
&font(#ff0000,u){&font(#ffffff){―そう、ぶっちゃけ鎧を纏わぬ方が強そうに見えるくらいに。}}
闇に紛れて男に襲いかかるのはサソリに似た単眼の魔獣。
しかし、男は軽々と剛剣を揮い、たちまちホラーを圧倒する。
ホラーの首を刎ねんと止めの一撃を放つ男だが、その軌道上に一輪の花が顔を出していることに気付いてしまう。
小さな命を散らすことに躊躇し、すんでのところで剣を止めてしまった純真さすらもホラーは見逃さない。
反撃を受け、胸を突き刺され形勢逆転を許してしまう魔戒騎士。だが、今度はホラーのとどめが謎の力場に妨げられた。
苦しむ騎士の傍らに立つ、頭に翼を持った神像…((どことなく第3期「闇を照らす者」の舞台・ボルシティに設けられた女神像に似ている。雨宮作品の古参ファンなら「キバクロウのオブナに似ている」と思うかも。))それが&color(SPRINGGREEN){緑色の光の結界}を張り、ホラーを退けたのだ。
男が目覚めた時、彼は見知らぬ住居の内に匿われ、その傷には手当てが施されていた。
男を助けたのはまだうら若い少女で、名を&bold(){&color(CORAL){レン}}といった。
レンには&bold(){&color(GREEN){シン}}と&bold(){&color(LIMEGREEN){タク}}という二人の弟がいたが、それ以外の家族は見当たらない。
無邪気で人懐こいタクは見ず知らずの男にもすぐ心を開き、その名を尋ねる。
#center(){&sizex(5){&bold(){&color(SILVER){俺は……ゴウキだ。}}}}
男は晴れやかな笑みを浮かべて名乗った((第2期「MAKAISENKI」で同名の魔戒騎士が登場するが、特に関連性は無い。))。
***&color(RED){▲}魔獣の爪痕&color(RED){▲}
生きるか死ぬかという傷を負ったというのにゴウキは早速起き上がって外に出かけようとする。
#center(){&sizex(5){&bold(){&color(SILVER){実はな…俺の「命」を取りに行くんだよ…内緒だぞ？}}}}
ゴウキのいう「命」とは森の入口で地面に刺さったまま放置されていた剣のことだった。
しかし、ゴウキが剣士であることを知ったシンは、途端に敵意を剥き出しにする。
#center(){&sizex(4){&bold(){&color(GREEN){剣を持ってる奴は、魔物と一緒だ！}}}}
実は姉弟の家族や集落の仲間は、今から1年前に襲来した&bold(){&color(BLACK){北の谷に棲む魔物}}に虐殺され、
姉弟は天空から下界を見守る&color(SPRINGGREEN){「守り神様」}を象って造られた魔除けの石像の下に避難したことでからくも命拾いした悲しい過去を背負っていたのだった。
ゆえにシンも暴力の象徴である武器やそれを持つ者に強い憎しみを抱くようになったのである。
レンから話を聴いたゴウキはその石像は[[魔戒法師>魔戒法師(牙狼)]]の手がけたものだと見抜く。
今も魔物の脅威は去ってはいないが、石像のある丘の上は安全((アニメ「炎の刻印」でも番犬所の入り口の残骸に似たような効果が残されていた。))で、
外出の際は石像と同じ&color(SPRINGGREEN){緑色の輝石}でできた首飾りを身に着けていれば魔物に襲われずに済むのだ。
しかし、折しも森の奥からゴウキに傷を負わせたあの単眼のホラーが姿を現わす。
深手の癒えぬまま戦わんとするゴウキを制止するレンだが、構わずにスタスタと黒い森の奥へ歩を進めていくゴウキ。
#center(){&sizex(5){&bold(){&color(SILVER){やられた借りを、返しに行くだけだ。}}}}
…その背中が見えなくなってすぐ、&bold(){&color(GOLD){金色の光芒が闇に閃いた。}}次いで静寂を裂く魔物の断末魔。
再び辺りが静まり返る中、力強く剣を揮い、何事も無かったかの如く帰ってくるゴウキにレンは安堵の笑みを浮かべ、
シンもまた集落を襲った魔物たちとは明らかに異質な&bold(){&color(GOLD){「何か」}}を覚えるのだった。
***&color(RED){▲}「想い」の力&color(RED){▲}
次の朝、森の中で瞑想に耽っているゴウキ。
身じろぎもせず岩のように座す彼を不思議に思ってか、タクが声をかける。
#center(){&sizex(4){&bold(){&color(LIMEGREEN){何してるの？}}}
&sizex(5){&bold(){&color(SILVER){ん？こうしているとな、力が湧いてくる。…良い声だ…}}}
&sizex(4){&bold(){&color(LIMEGREEN){声？何の声？}}}
&sizex(5){&bold(){&color(SILVER){木とか、草とか、みんな「生きてるぞ！」って言ってるだろ？なあ、どうだ！}}}}
弟に続き、しぶしぶゴウキの傍に腰を下ろすシン。まだその表情は頑なで、ゴウキが人か魔か半信半疑だ。
#center(){&sizex(5){&bold(){&color(SILVER){そう怖い顔するな。俺は魔物なんかじゃない。…お前の顔の方が、よっぽど魔物みたいだぞ？}}}
&sizex(4){&bold(){&color(GREEN){うるせぇ…アンタ、あんなに強いのになんでやられたんだ？}}}
&sizex(5){&bold(){&color(SILVER){何でやられちゃったんだろうなあ…俺にもわからん。}}}
&sizex(5){&bold(){&color(SILVER){―お前、強くなりたいんだろ？顔に書いてあるぞ。}}}
&sizex(4){&bold(){&color(GREEN){当たり前だ。姉ちゃんとタクを守るのは、俺しかいない！}}}
&sizex(5){&bold(){&color(SILVER){その想いがあれば、お前は強くなるよ。}}}}
ふいに守り神の石像を指すゴウキ。
#center(){&sizex(5){&bold(){&color(SILVER){あれはな、[[「ただの石」>FINAL FANTASY ⅩⅢ]]だ。}}}
&sizex(4){&bold(){&color(GREEN){あんたッ…守り神様になんてこと言うんだよ…！？}}}
&sizex(5){&bold(){&color(SILVER){お前たちを守ったのは「守り神様」じゃない。…石像に込められた「想い」だ。}}}
&sizex(5){&bold(){&color(SILVER){その「想い」により、万物は役目を得る。あの石も、お前が嫌いな・・・この剣もな。}}}
&sizex(4){&bold(){&color(GREEN){わけわかんねェ…}}}}
***&color(RED){▲}阿修羅、推参&color(RED){▲}
のどかな日々は過ぎ、ゴウキの負った傷も完全に癒えた。世話になった礼を述べ、出立しようとするゴウキだが、
彼に淡い好意を寄せるようになっていたレンは少しでもゴウキに長くいてもらおうと
御馳走を振舞うべく、森で採集に励む。しかし、その途中で身体に付いた泥を落とそうと、
お守りの輝石を外し、水浴びを始めた彼女の背後から&bold(){&color(BLACK){邪悪な気配が迫る…}}
&font(#ff0000,u){&font(#ffffff){…カオル、これ幼い雷牙くんに聞かせるの結構やばくないか？}}
レンの帰りが遅すぎることに胸騒ぎを覚えたゴウキはシンと共に日暮れの森を捜索するが、&bold(){&color(RED){見つかったのは枝にかかった服のみ…}}
その時、ゴウキの眼がヒトならぬ速さで木々の間を駆け抜ける陰を捉えた！
追いすがり、仮面を被った妖しの者どもを隠れた木の幹もろともに薙ぎ斃すゴウキ。
赤黒い砕片となって爆発四散する奴らの正体は…&bold(){&color(BLACK){北の谷の魔物、即ち}}&bold(){&color(PURPLE){ホラー}}&bold(){だ！}
#center(){&sizex(5){&bold(){&color(SILVER){ここで待ってろ！}}}
&sizex(4){&bold(){&color(GREEN){姉ちゃんは俺が…}}}
&sizex(5){&bold(){&color(SILVER){お前はタクを守るんだ！}}}}
&bold(){&color(RED){立て 修羅の如く 魔戒の剣士よ 運命の歌の命ずるままに。}}
…所変わって&DEL(){魔城ガッデム}北の谷のホラーの巣窟！
灼熱のマグマ噴きこぼれる杯の如き岩盤上に禍々しくそそり立つ威容はまさに太古の伏魔殿！
その重い石造りの城門をいとも容易く衝き崩し、魔戒騎士ゴウキが押し通る。
迎撃に駆け付ける黒づくめの衛兵に対し、&bold(){&color(GOLD){左手の甲に剣の刃を翳す黄金騎士の構え}}を取るが早いか
暴風の如き剣戟と剛腕で往く手を阻む敵を悉く殲滅していく。
#center(){&sizex(5){&bold(){&color(SILVER){邪魔するな…道を空けろォ！！}}}
&sizex(5){&bold(){&color(BLACK){なら刀を捨てろ…話くらいは聞いてやるよ…}}}}
放送コードの都合で裸身を白布と鎖に縛られたレンの傍らに立つのは
亀甲紋のついた豪奢な衣を纏い、太い鎖を首にかけた見るからに野蛮そうな男。
その名は&bold(){&color(BLACK){ザルギン。}}北の谷の頭目にして、&bold(){&color(BLACK){極悪非道の陰我ホラーである。}}
***&color(RED){▲}勝機&color(RED){▲}
攫われたレンを人質にされたゴウキは剣を手放すほかなかった。
魔戒騎士が&bold(){&color(GOLD){「守りし者」}}である以上、
例えひとりでも人質を確保しておけば如何様にも料理できる。ホラーの卑劣な策である。
為す術もなく柱に縛り付けられ滅多打ちのリンチにかけられるゴウキ。
#center(){&sizex(5){&bold(){&color(BLACK){魔戒騎士よォ…大層ご立派な口ぶりの割にはこの女ひとり！助けることができねえみてぇだなあ…}}}
&sizex(5){&bold(){&color(SILVER){フ…}}}
&sizex(5){&bold(){&color(BLACK){…おい、殴られすぎてオカシクなったかァ～？}}}
&sizex(5){&bold(){&color(SILVER){不思議となあ、}}}&sizex(6){&bold(){&color(RED){死ぬ気がしねぇーんだよ！！}}}
&sizex(5){&bold(){&color(BLACK){はっ、強がりか？女が死んでも笑ってられるかな？}}}}
凶器の鎖を手に巻きつけ、レンの下へにじり寄るザルギン。その顔を突然&color(SPRINGGREEN){緑色に輝く石つぶて}が打った。
#center(){&sizex(5){&bold(){&color(LIMEGREEN,GREEN){姉ちゃんを返せ！}}}}
シンとタクの救援だ！二人は&bold(){&color(RED){守り神の像を打ち欠いて大量の魔石の礫を拵え、北の谷に乗り込んできたのである。}}
愛する家族を救うためなら神罰すらいとわぬ勇気と覚悟。
&bold(){「ただの石」}は、二人のそんな想いを帯びて&color(SPRINGGREEN){輝きを放ち、次々と打ったホラーを消し去っていく。}
&font(#ff0000,u){&font(#ffffff){石、TUEEEEEEEEEEEEEEEEE!}}
そしてその機を逃さずゴウキも持ち前の怪力で鎖を引きちぎり、剣を奪取してレンを縛めから解き放つ。
姉弟が見守る中、ついに魔戒騎士とホラーの死力を尽くす戦いが幕を開ける。
***&color(RED){▲}光臨&color(RED){▲}
#center(){&sizex(5){&bold(){&color(BLACK){魔戒騎士…貴様の首、掻っ切ってやる!!}}}}
鎖を手に襲い掛かるザルギンだが、面と向かえばゴウキの剣技の敵では無い。
たちまち鎖を断たれ、追い詰められる。しかし、我々は知っている。
&bold(){&color(BLACK){人間に憑依したホラーの本領はこんなものではない}}ということを。
咆哮を上げ、内側からその身を突き破るようにして魔獣の本性を顕すザルギン。
逆三角形の巨体から太い手足を生やし、恐竜の骨のような鎧を身に纏う、蛮族の狂戦士めいた姿は原始の人々が抱く恐怖そのものだ！
しかしザルギンの強烈な一撃を剣で受け止め、なお不敵な表情のゴウキ。
頭上に剣先が大きな円を描くと同時に、その軌跡が作った空間の裂け目から召還された&bold(){&color(GOLD){金色の鎧}}がゴウキの全身に装着される。&bold(){&color(RED){明らかに細い！}}((実のところ魔戒騎士の鎧は纏う者の体型や体格に合わせて適切なサイズになるうえ、その内側は他の人間を収容・救助できるほど広々とした異空間が広がっているため設定的には特におかしな点は無い。))、
手にした武骨な剣の内からは殻を破るかの如く&bold(){&color(GOLD){黄金の宝剣・牙狼剣が顕れる！}}
&bold(){&color(GOLD){魔戒騎士の最高位、黄金騎士ガロ・光臨！}}((ガロの鎧はこの時代の時点で既に現代のものと変わらないデザインをしているが、ゴウキが纏った際は瞳が白銀色になっている。これは現在のところ他の伝承者には見られない特徴。))
#center(){&sizex(5){&bold(){&color(BLACK){ガロ？黄金騎士ィ？}}}}
ザルギンが頓狂な声を上げるのも無理は無い。魔獣も慄く黄金騎士の雷名はいつの時代も不変である。
しかしそれはホラーの往生際の悪さも同じこと。ザルギンはガロ相手の真っ向勝負にも一歩も引かず切り結ぶ。
守り神の礫でガロを援護しようと試みる兄弟だが、流石に上級ホラー相手には分が悪い。石が尽き、却って危険に身をさらしてしまう。
守るべき者たちのため、牙狼剣を跳ね飛ばされても仁王立ちとなり我が身を盾として魔獣の猛攻を必死に食い止めるガロ。
しかし、ついに壁にめり込むほどの打撃を受け膝をついてしまう。
#center(){&sizex(4){&bold(){&color(GREEN){ゴウキ…}}}}
絶望に屈しそうになるシンの脳裏によぎったのは、いつか森で説かれたゴウキの教えだった。
#center(){&sizex(4){&bold(){&color(GREEN){姉ちゃん、これ！これに想いを！}}}}
シンがレンに差し出したのは輝石の首飾りだった。
#center(){&sizex(4){&bold(){&color(GREEN){あいつを助けたいんだ！}}}}
レン・シン・タク。三人の想いを受けた石が&bold(){&color(SPRINGGREEN){一層強い光を帯び、猛る。}}
#center(){&sizex(4){&bold(){&color(CORAL){守り神様！ゴウキに力を！}}}}
レンの放った石はザルギンの背に当たるも、即座に砕け散ってしまい、まるで効果が無い…
#center(){&sizex(4){&bold(){&color(GREEN){くそっ、ダメか！}}}
&sizex(5){&bold(){&color(BLACK){ハッハッハッハ！これで終わりだあ！}}}}
致命の鉄拳を打ち下ろすザルギン。しかし砕けた輝石から漏れ出した光の粒子が
ガロを包み込みその拳を弾き返す。そして飛び上がった光の繭を裂き中から現れたのは…
#center(){&sizex(6){&bold(){&color(GOLD,LIGHTSTEELBLUE){天 翔 牙 狼}}}
&sizex(6){&bold(){&color(GOLD,LIGHTSTEELBLUE){貴様の陰我!!俺がッ!!この想いがッ!!断ち切る!!}}}}
#openclose(show=天翔牙狼){
レン・シン・タクの&bold(){&color(SPRINGGREEN){「ゴウキに力を」}}という想いを受けたガロの黄金の鎧が形創った奇跡の形態。
これよりはるか未来の時代に顕現することになる&bold(){&color(GOLD){翼人ガロ}}の如き&bold(){&color(GOLD){一対の金色の翼}}が、&bold(){[[頭部両側面から生えている>ラーゼフォン(Rahxephon)]]}のが特徴。
これは「守り神の像」と同じ形状であり、姉弟の「守り神様」への信心を反映しているのだと思われる。
頭部以外にも鎧の各部はまるで&bold(){&color(GOLD){黄金の羽飾り}}のように展開している。
闘いの最中牙狼剣を取り落としてしまった状態で光臨したため、&bold(){&color(GOLD){攻撃手段はすべて徒手空拳の肉弾戦}}という異色の騎士((歴代牙狼でいうとアルフォンソに近いか。))。
軽やかに宙を飛翔し相手を攪乱する空中殺法にとどまらず、真っ向からホラーの攻撃を受け止めて振り回すゴウキらしいパワフルな戦法も健在。
フェイバリットホールドは&bold(){はるか上空から己の肉体を投げだし、}
&bold(){&color(GOLD){ソウルメタルの鎧そのものを武器にホラーを圧殺・封印する}}&bold(){&color(RED){ハイフライフロー}}
&bold(){…のような技。}&font(#ff0000,u){&font(#ffffff){ただのフライングボディプレスとか言うなよ？}}
この技が炸裂する瞬間、ホラーを磔にするかの如く、&bold(){&color(GOLD){大地に突き立った巨大な牙狼剣の形の光芒が天高く立ち昇る。}}
}
想いの力を形に変えた牙狼の強さはまさに無敵だった。
天より舞い降りた黄金騎士は巨大な陰我を跡形もなく消滅させたのだった。
***&color(RED){▲}風～旅立ちの詩～&color(RED){▲}
恐怖に満ちた夜が明けた。
#center(){&sizex(5){&bold(){&color(SILVER){…すまん。ひどいめに遭わせてしまったな。}}}
&sizex(4){&bold(){&color(GREEN){いいんだ。あんたに助けてもらえなかったら今頃…}}}
&sizex(5){&bold(){&color(SILVER){俺こそお前たちに助けられた。}}}
&sizex(4){&bold(){&color(CORAL,LIMEGREEN){えっ？}}}
&sizex(5){&bold(){&color(SILVER){お前たちの「想い」が俺を助け、奴らを倒したんだ。}}}
&sizex(5){&bold(){&color(SILVER){「想い」があれば、何も恐れることは無い！}}}
&sizex(4){&bold(){&color(CORAL){ありがとう、ゴウキ…}}}
&sizex(4){&bold(){&color(LIMEGREEN){ゴウキ、さよなら！}}}}
少年の声に応えるかのように振り返った男は微笑み、[[力強く天を指した>天道総司]]後、また歩き出した。((実に「仮面ライダーZO」。ちなみにこれは棚橋氏のキメポーズでもあり、平成ライダーでは「[[仮面ライダーカブト]]」が一番好きとのこと。また、棚橋氏の「moviescoop！」の2020年1月10日付のインタビューによると「[[仮面ライダークウガ]]」放送中に「クウガレスラー化プロジェクト」が水面下で進んでおり、そのの中身に棚橋氏が候補として挙がっていた模様。雨宮監督が仮面ライダーに関わったことを踏まえるとなんとも不思議な縁を感じさせる。))
～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～
#center(){&sizex(4){&bold(){&color(PALEGREEN){…きっと、彼らの心の中にある「守りし者」としての「想い」が、鎧と共鳴したのでしょう。}}}
&sizex(4){&bold(){&color(PALEGREEN){ゴウキの起こした奇跡は、それからも歴代の黄金騎士に受け継がれていくことになりました。}}}
&sizex(4){&bold(){&color(PALEGREEN){・・・お し ま い 。}}}}
#center(){&sizex(4){&bold(){&color(DODGERBLUE){やっぱり}}}&sizex(4){&bold(){&color(GOLD){"がろ"}}}&sizex(4){&bold(){&color(DODGERBLUE){ってすごいねぇ！！}}}
&sizex(4){&bold(){&color(PALEGREEN){ね♪ガロは強いだけじゃなくて、人の想いを形にする力があるんだね…}}}
&sizex(4){&bold(){&color(DODGERBLUE){とうさんも、そうだった？}}}
&sizex(4){&bold(){&color(PALEGREEN){お父さんも、}}}&sizex(4){&bold(){&color(GOLD){金色の翼を生やした姿}}}&sizex(4){&bold(){&color(PALEGREEN){になったことがあるんだよ？}}}
&sizex(4){&bold(){&color(DODGERBLUE){ぼくもいつかつよい"まかいきし"になる！}}}
&sizex(4){&bold(){&color(PALEGREEN){そして…ガロになる？}}}
&sizex(4){&bold(){&color(DODGERBLUE){うん！}}}}
しばらくして寝付いた我が子の顔に手を当てるカオル。
魔戒騎士とは単なる&bold(){「役割」}ではなく、&bold(){&color(RED){「生き方」}}だ。その前途は厳しく、課される試練も限りない。
彼女は魔戒騎士の妻として、独りの母として、いったい何を思うのか。
今はただ、息子が健やかに育つことを祈るばかりである。
#center(){&sizex(5){&bold(){&color(PALEGREEN){おやすみ…雷牙。}}}}
***&color(RED){▲}エンディング&color(RED){▲}
エンディングは、シリーズを代表する主題歌ともいえる一曲、[[JAM Project]]の [[「牙狼 ～SAVIOR IN THE DARK～」>牙狼 ～SAVIOR IN THE DARK～]] を[[BGM]]に
これまでのシリーズで黄金騎士たちが戦いの最終局面で見せた、「人の想い」を受け進化した奇跡の形態が公式MAD形式で流れるという豪華な仕様。
世界観を別とする[[道外流牙>道外流牙(牙狼-GARO-)]]を主人公とするシリーズも含めている一方で、あくまで実写作品に限定したチョイスであり、
残念ながらアニメシリーズのガロの変体は見ることができない。
#center(){&sizex(5){[[未来を描く絵筆。>牙狼-GARO- 暗黒魔戒騎士篇(小説)]] }
&sizex(5){[[母の祝福。>牙狼-GARO-スペシャル 白夜の魔獣]]}
&sizex(5){[[英霊たちの遺志。>牙狼-GARO- RED REQUIEM]]}
&sizex(5){[[死線を超え、取り戻した希望。>牙狼-GARO- 闇を照らす者]]}
&sizex(5){[[「約束の地」に棲まう「モノ」たちの想い。>牙狼-GARO- 蒼哭ノ魔竜]] }
&sizex(5){[[使命を呼び覚ます鈴の音。>牙狼-GARO- 魔戒ノ花]] }
&sizex(5){[[大地の光と託された夢。心の暗がり。そして巻き起こす金色の嵐。>牙狼-GARO- -GOLDSTORM- 翔]]}}
&bold(){&color(GOLD){「想い」}}の数だけ奇跡は起こり、守るべき者たちの&bold(){&color(GOLD){「想い」}}を受けた時、
いつの時代、いかなる世界であろうともガロは&bold(){&color(GOLD){不滅の黄金騎士}}であり続けるのだ。
***&color(RED){▲}余談&color(RED){▲}
&color(RED){▲}雷牙に魔戒騎士の物語を読み聞かせるというシチュエーションは、
『[[魔戒騎士列伝 鋼の咆哮>牙狼-GARO- 魔戒騎士列伝 鋼の咆哮]]』が元ネタになっている。
向こうで読み聞かせをしているのはカオルでなくゴンザだが。
&color(RED){▲}カオルが&color(RED){「冴島」}姓で登場する作品は現段階では本作のみ。
長年にわたって&bold(){バレバレなのに「雷牙の母」名義でいた}が、
ここに来てようやく冴島家のピースが揃ったことになる。本当に長い道のりであった。
&color(RED){▲}カオルが雷牙に読み聞かせていた絵本は
第2期[[「牙狼-GARO- MAKAISENKI」>牙狼-GARO- MAKAISENKI]] にてカオルが
仕事で執筆した&color(SILVER){「白い幻獣と秘密の森」}とは別に、鋼牙に見せるつもりで描いた一冊きりの絵本。
同作エンディングの最後で毎回映し出される、本編を暗示したような絵の正体でもある。
内容は記憶の無い少女がなぜか持っていた一枚の羽に&color(PALEGREEN){「私を持ち主に返してください」}
と頼まれて不思議な世界を冒険するが、最後に&color(BLUE){羽の持ち主は自分であった}ことに気付いた、
という&color(BLUE){「青い鳥」}めいたメッセージの籠ったファンタジー。
実はこの「絵本をカオルが執筆する」という案自体は1期の時点で既にあり、
雨宮監督のブログ「仕事のココロ」で詳細を拝むことができる。
&color(RED){▲}この回の心は、&color(RED){「人の想いを形や力に変えることができるゆえにガロは最強の騎士なのだ」}、
ということなのだが、一応[[パチンコ]]作品で[[銀牙騎士ゼロ>涼邑零(牙狼-GARO-)]]が翼人に進化したり、
第3期[[「闇を照らす者」>牙狼-GARO- 闇を照らす者]]の最終決戦で一時的に[[天弓騎士ガイ>楠神哀空吏(牙狼-GARO-)]]・[[炎刃騎士ゼン>蛇崩猛竜(牙狼-GARO-)]]の鎧が
ガロの放つ光を受けて黄金騎士のそれと変わらない性質を獲得する&color(GOLD){&ruby(こんじき){「金色」}}という現象が確認されている。
いずれもカオルの知る余地のない話ではあるが、これ以降も牙狼以外の騎士がこのような奇跡を起こす可能性は充分にある。
&sizex(5){&bold(){&color(SILVER){項目の編集に、お前の持つ「想い」を込めるんだ…}}}
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- 古き良きジャンプの読みきり漫画のような懐かしさ。正直どんなもんかと半信半疑だったが、素敵なスペシャル回だったと思う。 -- 名無しさん (2016-07-04 17:04:10)
- 何このツッコミ多い文章……確かに全部その通りだけどさw -- 名無しさん (2016-07-04 17:25:01)
- これが「シリアスな笑い」か・・・ｗ 前半はまだ我慢できたけど石でホラー倒し始めたとこから笑いっぱなしだったわｗ -- 名無しさん (2016-07-04 23:32:24)
- 花で翼人も自力でなれることが分かったからそれまでパチで自由に翼人やらになれてた説明がついた…といっていいのかね -- 名無しさん (2016-07-05 10:46:10)
- カオルさん、プヲタ説。というか、ハイフライフローの場面とかあの絵本内でどのように描写されてたのか、どのように雷牙に語られてたのか実際聞きたいくらいだｗ -- 名無しさん (2016-07-05 15:31:03)
- ↑・・・この話はカオルが空で語って聞かせたんだから絵すらない。「黄金騎士は城で一番高い柱の上に飛び乗ると、思い切りその身を投げ出しました！どしーん！悪いホラーはぺしゃんこです！」みたいな・・・即興の童話とは思えないストーリーテリング能力だわ冴島カオル先生…流石はプロの童話作家ｗ -- 名無しさん (2016-07-05 15:37:01)
- もしも雷牙くんに曇りなき眼で「はいあんどふろーと、だいびんぐぼでぃぷれすって、なにがちがうの？」とか聞かれたら多分、俺は何も答えられない。↑ご指摘ありがとう。すまねぇ。 -- 名無しさん (2016-07-05 15:51:11)
- ところどころ英霊たちの声が聞こえてくるんですがｗ -- 名無しさん (2016-07-08 18:16:45)
- 今度のアニガロの主役がゴウキばりにゴツイのに吹いた -- 名無しさん (2017-09-09 01:07:47)
- 歴代黄金騎士の皆様、こう連ねてみるとほんと大変だなあ……w -- 名無しさん (2024-04-11 14:39:10)
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