&font(#6495ED){登録日}:2016/10/18 Tue 05:03:51 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 5 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- #center(){&sizex(7){&bold(){[[花言葉>花言葉/花詞]]は、「&color(gold,black){復讐}」。}}} &bold(){『&ruby(おとぎりそう){弟切草}』}は1992年にチュンソフトから発売された[[スーパーファミコン]](SFC)用ソフト。 所謂&bold(){“サウンドノベル”と呼ばれるジャンルの元祖となった作品}である((よく勘違いされるが、あくまで「サウンドノベル」であり、「ノベルゲーム」の元祖ではない。))。 1999年にはプレイステーション(PS)にて&bold(){サウンドノベルエボリューション1『弟切草 蘇生編』}としてリメイクされた。 SFC版は1996年8月に発売済み旧作ソフトを無料プレイできる[[サテラビュー]]の企画「ゲームベストセレクション」第1弾ソフトとして、また1997年9月にはニンテンドウパワー書き換えロンチソフトとしても供給された。さらに[[Wii]]、[[Wii U]]ではバーチャルコンソールにて配信されており、SFCを代表する作品のひとつと言っても過言ではないだろう。 また、PS版を元にした携帯アプリ版も配信されていた。 その後の[[同人ゲーム]]等で売り出されているサウンドノベルがある程度の儲けになる為にはこの作品に匹敵する事が求められている。 *【概要】 チュンソフトの自社ブランド第一号作品。 脚本の原作と監修はテレビ脚本出身の作家である長坂秀佳((『キカイダー』シリーズや『[[特捜最前線]]』で知られる。元々はチュンソフト単独で開発を進めていたが、シナリオ執筆に難が出たことから依頼を受けての参加だったとのこと。偶然にも長坂が本作に繋がるアイディアを持っていたことが、本ソフトの完成に繋がったのは行幸といえよう。)) 長坂は後にセガ・サターン(SS)にて発売された、元祖サウンドノベル三部作の完成型である『[[街>街(サウンドノベル)]]』でもメイン脚本の原作と監修を担当している。 元々は「オリジナルのRPGを作りたい」との希望を持っていたチュンソフトであったが、容量の問題とグラフィック担当のスタッフらが『[[ドラゴンクエストⅤ 天空の花嫁]]』の開発に回っていて人員を割けなかった……等の理由により、かつてのテキストアドベンチャーのスタイルを応用しつつ、SFCの音源を活かした[[ゲーム]]として本作のコンセプトが出来上がったとのこと。 結果的に「&bold(){ボタンを押して文章を読み進めるだけ}」という、プレイに慣れもコツも必要としないスタイルは、普段はゲームをやらない一般層にも大ウケしてヒット作となった。 SFC~初代PSの時代は、&bold(){TVゲームが大人を中心とした一般社会に進出していった時期}であり、普段からゲームをやる層にとっても得意とするジャンルに拘らずにプレイ出来る本作のコンセプトは、広く受け入れられやすい条件を兼ね備えていたのだと言える。 *【ゲーム内容】 &bold(){絵に合わせて流れるテキストを読み進め、途中に出てくる選択肢のどれかを選択したらまた読み進めるのを繰り返して、エンディングの一つにまで到達させる事}だけである。 [[ゲームオーバー]]による途中終了はないが、エンディングには[[ハッピーエンド]]だけでなく、[[バッドエンド>バッドエンド(ゲーム)]]や[[ビターエンド]]と言えるものも存在する。 選択肢による展開は、ストーリーや人物像が大きく変わるという設定上バラエティ豊富で、&bold(){オカルト、コメディ、サイコ、サスペンス、ホラー、ミステリー}など、とにかく多岐にわたる。 そのため選択肢によっては、&bold(){暗くシリアスな流れが突然ギャグテイストに変わるなど}、落差がひどい展開を遂げることもある。 またサウンドノベルの名称の通り、実際の生活音をサンプリングして使用することで臨場感を高めている((ドアの開閉音や水槽の水音など。))。 *【物語】 #center(){&bold(){「あのダエン形の葉を光にすかすと、黒い点々がいくつも見える。それは・・・弟の怨みの血なのさ」}} ある夜、主人公と恋人の奈美は、山中をドライブ中に道に迷ってしまう。落雷によって[[自動車]]も失ってしまい、さ迷っている内に洋館へと辿り着く。 その庭には弟切草が咲き乱れていた。 助けを求めて中へと入り込んだ二人だが、洋館では人の姿が見えないにもかかわらず奇妙な現象が続く。 ……やがて、奈美は“かつて自分がこの館で暮らしていた記憶”を取り戻していくが……? *【登場人物】 **人間 ■主人公 プレイヤーの分身。 SFC当時はデフォルトネーム無し。 『蘇生編』でのデフォルトネームは公平。 ヘタレなようで勇気があり、真面目なようでスケベな好&font(l){(色)}青年。 キャラクターのコンセプトは後に『[[かまいたちの夜]]』の主人公である“透”に引き継がれたとも分析されている。 ■奈美 本作のヒロイン。 ちょっと我が儘で勝ち気だが奥手で、主人公を&font(l){エロい意味で}翻弄することもある小悪魔的な美女。 『蘇生編』では『街』よろしく、彼女の視点にザッピング出来るのを売りの一つにしていたが、結局は主人公同様にあちこち迷っているだけだった。 主人公は奈美を呼び捨てにするが、奈美の主人公の呼び方は&bold(){周回の度にランダムに決定される}(呼び捨て、「君」「さん」「ちゃん」「センパイ」「チーフ」「&bold(){殿}」「&bold(){どん}」etc…)。 キャラクターのコンセプトは『[[かまいたちの夜]]』のヒロインである真理に(ry ■ナオミ 洋館の住人。 奈美の双子の姉だが、幼い頃に生き別れている。 [[ゲーム]]では額に火傷の痕がある場合が多く、物語と密接に関わっている。 小説では&bold(){有栖川直美}、映画では&bold(){階沢直美}となっている。 ■直樹 洋館の住人。 奈美とナオミの弟((小説では公平の弟となっている。))。 **人外 ■[[ミイラ]] 主人公らが洋館の2階で遭遇する女性の[[ミイラ]]。 車椅子に座っており、日記を持っている。 物語の展開上、必ず一度は出会うことになるが、&bold(){意外な場所で登場することもあるので気が抜けない}。 ルートによっては後々に&bold(){&color(red){物語の伏線}}となる。 ■鎧 西洋の古びた甲冑。 剣を持っており、度々主人公らに襲い掛かる。[[ミイラ]]同様、神出鬼没のため気が抜けない。 ルートによっては&bold(){ロボット扱い}されることも。 ■怪魚 &bold(){2mあまりもある大魚}。 特定のルートでしか出現しないので、出会わずにエンディングを迎えることも。 *【周回プレイ・隠し要素】 一回のプレイ時間はそれほど長くなく、プレイヤーは一つのエンディングに到達したら、次回には選択肢の増えた次の[[ゲーム]]を初めからプレイすることになる。 エンディングの種類こそ多いが、展開の都合上シナリオに大きな変化を及ばさせることは不可能で、そういう意味ではある程度周回してしまうと&bold(){すぐに飽きが来てしまうゲーム}だとも言えるが、&bold(){メーカー側も当然のようにそんなことには気づいており}、その回答として周回すればするほどに&bold(){メタ的な選択肢やカオスな展開が増えていくことになる}。 その極致とも呼べるのが、ある程度までフラグを埋めることで出現する&bold(){&color(hotpink){ピンクの栞}}である。こちらは子供でもやれるゲームにもかかわらず、かなり際どい表現までが登場する&bold(){下ネタの宝庫}となっている((ちなみに、アイディアを出したのは長坂秀佳自らだとか))。 ちなみに&bold(){ピンクの栞を出すのは何気に大変}であり、SFC当時にはピンクの栞を出現させた画面を写真に撮ってチュンソフトに送るとプレゼントが貰えるキャンペーンが行われていたとの事。 完全クリアの為には、全ての選択肢と分岐を[[埋める]]必要があるが、SFC当時は以前にどの選択肢を選んだのかが一目で分からない為に、プレイヤーは苦労させられた。 PS版では選んだ選択肢は分かるようになったものの、システムの都合上『[[かまいたちの夜]] 特別編』や『街 運命の交差点』の様なフローチャートを実装する事が出来ず、完全クリアの為の難易度は相変わらず高かった。 ……まあ、そこまでやって[[ゲーム]]が嫌になるよりはそこそこの所で止めていい思い出として残す方が賢いと思うのだけど。 *【蘇生編】 『[[かまいたちの夜]] 特別編』『街 運命の交差点』と共に“サウンドノベルエボリューション”シリーズと銘打ってPSにてリメイク。 サウンドノベルエボリューション“1”となっているが、&bold(){他の二作と違いフルリメイクに近かった為か発売は一番遅かった}。 音楽が大幅にパワーアップ。 グラフィックも美麗なCGになり臨場感が増したが、SFC版に思い入れのある層からは不評も。 前述のような[[ゲーム]]としての問題点も解消されていない(てか出来ない)為に仕方のない部分ではあるが、気合いの入ったオープニングとゲーム内でも見れる宣伝ムービーは一見の価値あり。 *【メディアミックス】 ・[[ノベライズ]] 長坂秀佳自身の執筆で、後に『彼岸花』『寄生木』としてシリーズ化された。とりわけ『彼岸花』はチュンソフトとは関係なしにゲーム化、シリーズ化(『死人花』『幽霊花』)もされている。 しかし、&bold(){いずれも余り評価は高くない}((ゲームに至っては控えめに言ってもクソゲーとして名高いとの事。))。 ・映画化 99年当時は所謂“ジャパニーズホラー”が流行していた時代であり、その流れの中で『弟切草』もメディア展開された。 言うまでもないが、[[ゲーム]]、[[ノベライズ]]とも違う結末となっている。 しかし、ホラーを演出するためか、&bold(){カメラワークや演出加工が過多}で見づらく、散々な結果に終わってしまった。 なお、映画版のヒロインは奥菜恵。 *【余談】 -弟切草の花言葉は、ゲーム内では「&color(red){&bold(){復讐}}」と語られているが、実際には「&color(red){&bold(){秘密}}」や「&color(red){&bold(){恨み}}」の方が正確である((現実で「復讐」の花言葉を持つ花は「シロツメクサ」「[[トリカブト>トリカブト(植物)]]」「アザミ」等))。 -[[京都>京都府]]に伝わる民話として、&color(red){秘伝の薬の秘密を漏らした弟を兄が切り殺し、その返り血が葉の模様になった}というものがある。&br()ゲーム内のストーリーはこの民話をモチーフとして展開される。 -本作が発売されて以後、弟切草はチュンソフトが発売した人気シリーズである『不思議のダンジョン』にて、回復アイテムとして登場している((性能は作品によって異なるが、多くは薬草の上位という位置づけ。))。 -『[[学校であった怖い話>学校であった怖い話(ゲーム)]]』などと共に、&bold(){夜中にプレイしていると「出る」ゲーム}としても語られていた。 &bold(){追記修正は“&bold(){&color(gold){復讐}}”を遂げてからお願いします。} #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,8) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #areaedit() - おかげさまで未だに「花言葉:復讐」といえばオトギリソウが真っ先にイメージされるw -- 名無しさん (2016-10-18 11:31:53) - 鬱病に効く薬草として需要が挙がっているらしい。西洋では聖人の血を浴びた神聖な植物とされているし、何で東洋ではこんな扱いなのか -- 名無しさん (2016-10-19 08:40:28) - 寄生木のラストは怖かったな -- 名無しさん (2016-11-26 19:07:54) - 主人公の呼び方は選択できるようにして欲しかった…別に方言を使うわけでもないのに「○○どん」は無いだろ…(だから、かまいたちでは呼び捨てに統一されたんだろうけど) -- 名無しさん (2016-11-26 20:19:04) - そしてスパイクとチュンソフトが合併して数年後、ロンパのBDのおまけに「霧切草」という公式パロゲームが登場することに。 -- 名無しさん (2016-11-26 20:58:14) - 服部あゆみの漫画版には言及されてないのか -- 名無しさん (2019-05-15 20:53:40) - 今やると脈絡ぶった斬ったような急展開超展開多いのは黎明期の試行錯誤ゆえか -- 名無しさん (2021-02-16 08:55:23) - ↑2 回りまわって山崎ぶたぶた(無関係)が引き合いに出される危険性 -- 名無しさん (2021-12-21 21:48:17) - 映画版を観たことがある。主演の俳優さんの演技と、あのラストは良かった -- 名無しさん (2021-12-21 21:52:54) - 確かラストに「完」って出るのがトゥルーエンドだっけか?一回しか見たことないけど -- 名無しさん (2024-01-09 17:48:20) - 蘇生編をやり直してるけど、公平がパートナーに疑心暗鬼になるパートを奈美でやると奈美も疑心暗鬼になってる事がわかるあたりは割と好き。まぁ、そもそも周回ごとの設定異なるどころか選択肢によってコロコロ変わる+相手側の様子がよくわからん状態でザッピングされてもまぁよくわからんわな。 -- 名無しさん (2024-10-23 15:38:56) #comment #areaedit(end) }