&font(#6495ED){登録日}:2017/03/07 Tue 00:50:00 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 10 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- #center(){&bold(){&font(#999999){僕たちは家族五人で幸せに暮らすんだ}} &bold(){&font(#999999){僕たちの絆は誰にも切れない}}} &ruby(るい){累}とは、『[[鬼滅の刃]]』の登場人物の一人である。 [[CV>声優(職業)]]:[[内山昂輝]] ●目次 #contents *◆プロフィール 人間時の名前:累 身長:135cm 体重:30kg 趣味:あやとり 死地:那田蜘蛛山 *◆概要 那田蜘蛛山に住まう[[鬼>鬼(鬼滅の刃)]]の一人で、後述の“家族”の中では最初に[[竈門炭治郎]]と接触した鬼。 見た目は蜘蛛の脚のような白髪をし、蜘蛛の巣の意匠が入った白い着物を着た少年の鬼で、空にかかる糸に乗り、うつろな様子で綾取りをしたりしているなど全体的に不気味な様子を見せる。 小さな少年のようだが、他の家族に対し高圧的に発言したり、彼の家族達が皆累の存在に怯えている節が見受けられる。 ちなみに鬼になってから20年弱で、鬼としては非常に若い個体である。炭治郎のことを&bold(){&font(#999999){「坊や」}}と呼んだりもしていたが、そう呼ぶほど彼より高齢な訳ではない。 その正体は、&bold(){「[[十二鬼月]]」}の&bold(){「下弦の伍」}を預かる強力な鬼であり、那多蜘蛛山に住まう[[蜘蛛鬼達>鬼(鬼滅の刃)]]の支配者。普段は髪で左目が隠れているが、その左目に序列を示す数字が刻まれている。 蜘蛛の家族は彼が集めたもので、&bold(){自分の血と力を分け与え、それによって容姿を自分に近づくよう変形させ、そして自身の力と恐怖で無理矢理縛り付けて形成した偽りの家族}である。 その為、彼等の蜘蛛としての能力や血鬼術も、元々は累が持っていた能力を分け与えられたもの。 一方で、そうやって彼の“家族”に加わった累以外の鬼は元々弱い鬼達であり、鬼狩りに対抗する為の仲間や力が欲しいという打算によって集まった面子である。 *◆人物 一人称は、基本的には&bold(){&font(#999999){「&ruby(ぼく){僕}」}}だが、激昂した時など時折&bold(){&font(#999999){「&ruby(おれ){俺}」}}になる。人間時代の一人称は「僕」だったので、おそらくこれも鬼化による人格汚染の影響だと思われる。 「家族」や各々の「役割」というものに異様な執着を見せているが、同時に&bold(){&font(#999999){「自分の役割を理解してない奴は生きてる必要がない」「他人を恐怖で縛れば強い家族の絆が生まれる(要約)」}}と言い切るなど、非常に歪な価値観の持ち主。 自身が課した家族の役目を配下がこなせない場合は、平気でその鬼を斬り捨てるなど非常に酷薄で、役目をこなせなかった鬼を[[太陽>太陽(天体)]][[光]]で炙る[[拷問]]を執り行ったり、知性を奪って理性無き獣同然に貶めたり、完全な異形の姿に変えるといった制裁を平然と下す残忍さも持ち合わせている。&font(l){てか無惨とやってること丸々同じじゃん}((何気に配下が全員負けた際に「結局誰も役に立たなかった」というニュアンスのことをほざいた点も共通する。)) 下記の4人以外にもこれまでに多くの鬼と「家族ごっこ」をしていたようだが、炭治郎達が討伐に赴いた時点で下記の4人以外の鬼は既に存命はしていなかった。 また、精神年齢はその外見通りに幼く、それ故の感情的な部分や冷酷さ、不寛容さがかなり多く見受けられる。言動もある意味では素直かつ直球であまり裏表のようなものは感じられない。 そして、その歪な絆と価値観を知った炭治郎に「偽物の絆」と否定された時には、激昂し強い殺意と敵意を向ける等、彼自身はその自分の歪な家族観を盲目的に信じている。 ファンの間では鬼について、&bold(){「鬼は鬼になった時点で人としての心身の成長は完全に止まるのではないか」}と言われているのだが、まさにそれを実証する存在だと言える。 一方で、[[鬼舞辻無惨]]のことは病弱だった自分に力を与え、励ましてくれた恩人として認識しており、彼に対する忠誠心は非常に高い。 その無惨の方も、累のことは配下の鬼の中でも特に気に入っていたらしく、累の家族の鬼達からも「累は無惨のお気に入り」として知られていたほど。 詳しくは後述するが、無惨の累に対する優遇っぷりは下弦としてどころか、&bold(){鬼全体で見ても破格とすら言えるレベルである。} *◆戦闘能力 人間どころか[[日輪刀>日輪刀(鬼滅の刃)]]さえ易々と細切れにできる程の[[硬く鋭利>ドンキホーテ・ドフラミンゴ]]な&bold(){「&ruby(はがねいと){[[鋼糸>糸(武器)]]}」}を手から作り出し、それを自在に操って戦いに用いる糸使いである。 糸なのでただでさえ肉眼では視認し難い上に、あらぬ方向から目にもとまらぬスピードで飛んできたりもするので回避も困難。 しかも自分の血を染み込ませることで、更に強度と殺傷力を上げて使用でき、下記するその状態で使える派生技も豊富と、シンプルながらも非常に凶悪な能力。 一応は、[[竈門嬭豆子]]の爆血の炎で燃えたが、これは鬼や血鬼術を燃やせる鬼殺しの血鬼術だからであり、恐らく普通の炎であれば何も問題はないと思われる。 加えて、累自身の頸は彼が作れる全ての鋼糸よりもなお硬く、つまりは&bold(){鋼糸を斬れる力量が無い者は累の頸は斬れない}。 原作では糸で攻撃するだけだったが、アニメでは直接の肉弾戦も披露しており、その実力はこの時点の炭治郎を一撃で吹き飛ばすほど。 更に自分の頸が斬られかけた時には、先に自分で頸を斬って逃れるという対抗策を編み出しており、その為の糸も予め仕込んでいたりと、戦いにおける弱点対策を行う周到さもある。 また、劇中で戦った際は家族に能力を分けていた状態であり、つまり本来は鋼糸だけではなく、&bold(){溶解や操作や変態や眷属化等の能力全てが累のもの}で、非常に多彩な血鬼術に覚醒していた個体である。 累は、これらの力を蜘蛛の形にして他の鬼に分け与えることができ、更に鬼の肉体変形の応用で自身の血を取り込んだ相手の外見を自身とそっくりに作り替えられる。ただし、これらはあくまで累の能力なので、累自身が死んだ場合は他の鬼に分け与えられたこれらの能力も全て消滅するらしい。 このように、劇中では序盤の最大の強敵として炭治郎の前に立ち塞がり、十二鬼月の圧倒的な実力を見せ付けた存在である。 一応は「下弦の伍」という[[十二鬼月]]の中でも下位の序列なのだが、劇中で見える範囲でもとてもそうとは思えない程の強さを発揮しており、[[ヒノカミ神楽]]まで使った炭治郎達を追い込んだことから、「本当に下弦の伍なのか?」と一部のファンからは言われていた。 そしてその後出たファンブック弐弾で、累本人は入れ替わりの血戦に興味がないから「下弦の伍」の地位に甘んじていただけで、上記のファンの疑問通り&bold(){&font(#ff0000){本来の力は下弦の壱や弐に相当する実力者である}}という設定が明かされた。 下弦の壱や弐と言えば、全集中・常中を体得した階級・甲時代の[[煉獄杏寿郎]]や[[不死川実弥]]が苦戦して辛勝したレベルの相手であり、常中すら使えないこの時点の炭治郎が負けたのは当然の結果だったと言える。 更に無惨の見立てによると、&bold(){仲間に分け与えた能力を最初から全て回収して戦っていれば、戦い方次第では柱にも勝てた可能性があった}らしく、そればかりか更に強力な存在に進化した可能性すらあった事がファンブックで語られている。 まだ20年弱しか生きていない若い個体でありながら、非常に多彩な血鬼術に覚醒し、上昇志向を持って成長を続けていれば、本気で上弦に辿り着けるほどの潜在能力があったかもしれない存在だったと言え、これも無惨のお気に入りだった最大の理由の一つである。 ただし、上記した精神的未熟さから沸点は低く、一度激怒するとすぐに冷静さを失ってしまい、技の精度も落ちて力任せな戦い方になってしまうことが玉に瑕。 [[冨岡義勇]]との戦いでは[[柱>柱(鬼滅の刃)]]である義勇の実力を図れず、自分の血鬼術が通用しないことに呆然として激昂し、効かなかった技を「そんな筈はない」とゴリ押ししようとしていた。 基本的に鬼は人間を見下していて、上弦の鬼レベルの経験豊富な鬼でもなければ柱の実力を図れる者は少ないのだが、累もその例外ではなかったばかりか、自分や家族の能力を過信する余り下弦の鬼を狩っている柱の存在を本気で警戒していなかった可能性がある((特に劇中の大正時代の柱達は、歴代最強クラスの実力者揃いとされており、そんな当代の柱達との戦闘を全く考慮してなかったのは致命的だったと言える。))。 この弱点はファンブックでも指摘されており、那田蜘蛛山での戦いでは累は炭治郎相手に冷静さを失ったせいで、いくつもの判断を間違えたと言われている。 その意味では、今の自分の力では勝てないと判断して柱と遭遇した場合は逃走を考えていた零余子や轆轤、鬼殺隊に家族を狩られたことで逃走を提案していた姉蜘蛛の方が現実が見えていたと言えるかもしれない。 また、いずれにせよこのような精神的弱点を抱えた累では、遅かれ早かれ柱に狩られて、結局成長はできなかった可能性も高い。 #openclose(show=※血鬼術・血の鋼糸){ ・&bold(){&ruby(こくしろう){刻糸牢}} 鋼糸を蜘蛛の巣状に形成して撃ち出し、向かってくる相手の進路を塞ぐ。 アニメでは相手の周囲を撃ち出した鋼糸で取り囲み、糸を収束させ細断するように使っていた。 ・&bold(){&ruby(あやめかご){殺目篭}} 相手を中心に360度を鋼糸で完全に囲み糸の籠を形成、一斉に糸を収縮させて細切れにする。 ・&bold(){&ruby(こくしりんてん){刻糸輪転}} 最高硬度の鋼糸の束を広範囲に拡散させて複雑な文様を描くように編み上げ、編み上げた鋼糸を高速で前方に目掛けて撃ち出す最大の大技。 } *◆累の家族 那田蜘蛛山に住まう鬼の郎党。累は曰く「家族」の末弟であり、父親・母親・兄・姉と累の計5人で構成されている。 彼等はそれぞれ[[蜘蛛>クモ]]を模した容姿や能力を持っているという共通点があるが、これは累の血と力を分け与えられた影響であり、元は外見も全く違う普通の雑魚鬼達である。 アニメのオリジナルシーンでは、実際に累の血を飲む描写や、累に顔の皮を剥がされて容姿を作り替えられる工程が描写されている。 通常は鬼が徒党を組むことは無惨が許していないのだが、累は無惨のお気に入りなので特例として許されている。 ちなみに累が末弟であることからも分かるが、家族内での序列は家族の役割とは一切関係ない。 累によってその力と恐怖で強引に支配されており、表面上は家族を謳っているものの、累への情や忠誠心が無いのは言うまでもなく、鬼なので互いの仲間意識等も皆無。 むしろ累以外の家族同士も互いに蔑み合い、裏切ったり利用する関係でしかなく、ある意味無惨という支配者によって支配された鬼の縮図とも言える集団。 藤の花の家紋の家で傷を癒した[[炭治郎>竈門炭治郎]]達は、本部からの緊急指令を受け、那田蜘蛛山へと足を踏み入れることとなる。 **&bold(){蜘蛛の鬼(母)} #center(){&bold(){さぁ私のかわいいお人形たち 手足がもげるまで踊り狂ってね}} CV:[[小清水亜美]] 最初に登場した家族であり、白い長髪と累と同じデザインの着物を着ており、素晴らしい[[太もも>太股]]と[[谷間>巨乳]]という恵まれた外見で読者の中に若干の浮気者を発生させた女の鬼。 母親と呼ばれてはいるが、家族内での立場は最も低いようで、父親への告げ口をちらつかされて脅される姿はなんだかちょっとかわいそう。 ただし、先に到着していた[[鬼殺隊士達>鬼殺隊(鬼滅の刃)]]を血鬼術で操り、同士討ちさせているなどやっていることは外道一直線で、炭治郎は必死に助けた同僚隊士を彼女に殺された際は、[[伊之助>嘴平伊之助]]さえ押し黙るほどの怒気を発していた。 一人称は&bold(){「&ruby(わたし){私}」}。 家族に一人として味方がいない中、累と彼の命を受けた父蜘蛛による理解不能のDVに怯える生活に疲れて果てていたらしく、全ての手札を失い居場所を割り出されて追い詰められた時は、「ようやく死ねる」とさえ思っていた。 その自ら死を望む所作から何かを察した炭治郎によって、あらゆる全ての[[呼吸の型>全集中の呼吸(鬼滅の刃)]]で唯一、鬼に苦痛を与えずに頸を落とす技である伍ノ型「干天の慈雨」によって、&bold(){劇中で唯一命を絶たれた}。 これまでの鬼同様己の非道を顧みずに死んだにも拘らず、そのあまりに痛々しい扱いに同情してしまう読者も多い。 そして炭治郎が死に際の自分に向けた優しい眼差しから、人間だった頃の記憶の一部を思い出し、彼に十二鬼月の存在を警告して消滅した。 #center(){&bold(){優しい目 透き通るような 人間だった頃、誰かに…優しい眼差しを向けられていた気がする} &bold(){あれは誰だった? 思い出せない いつも私を大切にしてくれていた人 あの人は今どうしているのかしら}} #openclose(show=ネタバレ){ 何と、その容姿は鬼の身体変形能力で変形させたもので、&bold(){正体は[[幼い少女>幼女]]の鬼}だった。 [[ロリババア>ロリババア(萌え属性)]]ならぬ&bold(){「お母んロリ」}という謎ジャンルの爆誕である。 家族に加わった当初は人食いの経験も少なかった為か、人間であった時の記憶も残っており、変形なども得意ではなかった為に度々元の姿に戻ってしまい、累から叱責を受けていたようである。 しかし、ファンブック2巻によると元々無惨以外の鬼にとって、全く違う姿に擬態し続けるのは難易度が高いらしい。劇中の鬼達に何とかそれが出来ていたのは累の血による補助ありきで、それでも難易度が高いことに変わりはない((実際に姉蜘蛛ですら少しでも気を抜くと顔が戻ってしまうらしい。))。 つまり鬼としての力も元々そう強くなく、累の力を分け与えられてやっとの力量の彼女には「本来の姿とは全く違う大人の女性の姿を維持し続ける」のは無茶振りもいいところだった訳で、「母親役を振り分けた累のミスキャスト」という読者も少なくない。 この境遇を踏まえて考えると、外見に似つかわしくないどこか幼い言動やそれ故の冷酷な所業、&bold(){「自分の何が悪かったのか分からない」}といった台詞にも納得できるようになっている。 …また、おそらくは彼女を大切にしてくれた人とは母親の事であり、&bold(){そして彼女は母親を喰い殺し、手鬼がそうであったようにそのことを忘却している。} } #openclose(show=【血鬼術】){ ・&bold(){蜘蛛糸繰り} 殆んど肉眼では見えない糸を、使役する小さい蜘蛛を介して対象に取り付け、それを繰って対象を操る。 かなり引っ張る力が強いらしく、人間一人くらい軽く持ち上げられる。この力は操り主に近く糸が太いほど強力になり、人体の構造上不可能な攻撃も強引にさせられるので、本来の実力よりも高い戦闘能力を無理矢理発揮させられる。 ただし、そんな強引な動かし方をすれば当然肉体は壊れていき、折れた骨が内臓に刺さったまま動かされていた者もいる。 鬼が潜む森に突入した隊士10人はこの糸に繰られた隊士との同士討ちに遭ってほぼ全滅。 その有様たるや、身体能力の限界を超えて無理矢理操られたせいで関節はあらぬ方向に曲がり、骨が飛び出しているものまでいるという痛々しい有様。しかも体だけ見ても凄惨なのに、精神は特に無関係なので、生きたまま操られる場合は更に悲惨。 &bold(){自分の意に反して仲間を殺してしまった挙句、死んでもなお操られる}という壮絶な地獄を味わうことになる。 一応、糸を斬れば一時的に相手を解放できるのだが、糸はすぐに眷属の蜘蛛達が繋ぎ直すのでキリがない。 ただし、糸が絡まってしまうと制御できなくなるので、炭治郎は相手を木に投げることで糸を絡ませ、それによって操れなくするという対処法を見出だした。 しかし、制御ができなくなっても糸が繋がってさえいれば、操っていた相手の首を無理矢理捻じ曲げて殺すことが可能。 この時死んだ[[ポニーテール]]の女性隊員・尾崎は、[[胸>おっぱい]]やら[[リョナ]]やらポニテやらで結構人気であったので生存が願われていたが、作者のスタイルに隙はなかった。 一方で、逆に言えば操る対象の人形がいなければこの血鬼術は一切意味を持たない。 加えて、あくまでも眷属の小蜘蛛達を使って糸を繋がなければいけないので、小蜘蛛がいけない空中等から攻撃された場合は、やはり血鬼術は意味を成さない。 また、母蜘蛛自身の戦闘力はあまり高くないらしく、前述した境遇や正体もあって精神面も脆くて頭もあまり良くなく、想定外の事態への対応力も低い。 他には、両腕が蜘蛛のようになった頸の無い大男の鬼を操っており、これが彼女が持つ奥の手の人形である。 その外見からこの鬼も累の家族だったことは間違いないが、既に自我は無いらしく、累に制裁として異形化させられ頸を斬られた鬼を傀儡としている模様。 そもそも弱点である頸が無いという、完全に対鬼殺隊用に作られた存在であり、伊之助を混乱に陥れたが、炭治郎の提案で頸の付け根から脇の下まで袈裟斬りにされたことで消滅した。 } **&bold(){蜘蛛の鬼(父)} #center(){&bold(){オ"レの家族に"近づくな"!!}} CV:[[稲田徹]] 身長3mを越える屈強な体格を誇る巨大な蜘蛛鬼。初登場時は後ろ姿しか描かれず、一言も言葉を発しないので性格などは一切不明だった。 ただ、癇癪を起こして妻に暴力を振るうらしく、彼女からは心底恐怖されている。しかも息子の累は「何に怒ったのか分からないのが悪い」などと宣う始末。 後に明かされた彼の容貌は、顔全体がごっそり蜘蛛で口周りにだけ人間の面影が僅かに残っているというもの。ビジュアルは本作の異形の鬼の例に漏れず、いかにも妖怪の蜘蛛男といった出で立ちでかなり怖い。 姉蜘蛛の話から察するに&bold(){実は過去に累に歯向かった為、異形に変えられて知性を奪われたらしく}、濁点交じりの&bold(){「オレの家族に近づくな」}という言葉しか喋らない。 実際は、文字通りただの累の操り人形に過ぎず、ただ累の望むままに「父」として家族を守るべく行動し、累の望む家族を乱す者に「父」として制裁を加えるだけの存在である。 シンプルにその体躯を活かしたパワーに秀でており、川底を殴れば底まで水が吹き飛び、太い丸太をバットのように振り回す。 当時の炭治郎の実力だったとは言え、水の流派で上位の威力の「水車」でも骨で止められるなど、攻防ともに桁違いの化け物である。 その強さは炭治郎が、この父蜘蛛が母蜘蛛の言っていた[[十二鬼月]]だと勘違いした程で、背景・外見・実力の全てにおいて終盤に登場した&bold(){“無限城の異形鬼”達}の先駆けのような存在だと言える。 炭治郎、伊之助の2人がかりでも優勢のままであったが、伊之助に右腕を切り落とされて逃走し、木の上で身体を振るわせて&bold(){脱皮する。} 身体はさらに大きくなり、肩にはとげとげしい角が追加され、頭部は正面から見るともう[[ティラノサウルス>ティラノサウルス(古代生物)]]と蜘蛛の中間みたいな有様に。 この形態が放つ気迫には、強気な伊之助さえ一時戦意喪失して死を覚悟するほどで、圧倒的身体能力で瞬く間に伊之助を締め殺す寸前まで追い詰め、彼に母親と別れた際の走馬灯を見せた。 しかし、駆けつけた[[冨岡義勇]]に腕を斬り落とされ、次の瞬間には水の呼吸・肆ノ型「打ち潮」で瞬殺された。 #openclose(show=【血鬼術】){ ・&bold(){脱皮変態} 脱皮することで体型が更に巨大化し、身長は4m近くになって異形化が進み戦闘力が大幅に上昇する。しかも日輪刀により切断された部位も脱皮により完全再生する。 脱皮前ですら、この当時の炭治郎と伊之助の2人がかりでも苦戦させる実力だった彼が脱皮した結果、伊之助を瞬殺しそうになる程の強さを発揮。 パワーが更に強化された上に、スピードもその巨躯に反して伊之助が反応すら出来ない程に速い。加えて肉体の強度も更に上昇し、伊之助の初代日輪刀をその身体強度だけで受け折ってみせている。 おまけに再生速度も上がっており、切断された腕も一瞬で生やしていて、目測でのその再生速度は十二鬼月と比べても遜色がない程。 ただし、脱皮する為には一時的に無防備な休息状態に入らねばならないらしく、脱皮の際には一旦木の上に避難する為に逃走している。 この当時の伊之助達の基準で見れば規格外とも言える存在であり、同時に彼等と柱である義勇の次元の違いを分かりやすく示してくれた存在でもある。 } **&bold(){蜘蛛の鬼(兄)} #center(){&bold(){くふっ 逃げても無駄だぜ お前はもう負けてる}} CV:[[森久保祥太郎]] 木の根元付近から頭を覗かせるという、嫌な予感しかしない初登場を果たし、その話の内にさっさと全容を見せた。 その姿は、&bold(){超リアル&人間ほどもある蜘蛛の体に人間の頭がくっついている}という、どストレートに気持ち悪いもので、蜘蛛が苦手な人は直視するのも厳しいレベルの外見をしている。 善逸をして「炭治郎なら臭いだけで死んでる」と言わしめる程の刺激臭を全身から発しており、近くで嗅いでいると喉や目まで痛くなってくる程に強烈。 彼もかつて累の不興を買って、姿をこのような異形に変えられてしまったらしく、現在は累に逆らう様子は一切見せない。 ちなみに蜘蛛の身体に人の顔をした鬼という外見から、モデルは恐らく妖怪の「[[土蜘蛛]]」だと思われる。 一人称は&bold(){「&ruby(おれ){俺}」}。 性格は鬼らしく酷薄かつ残忍で、自分の能力で蜘蛛に変えられていく人間を見物しながら彼等が怯え苦しむ姿を楽しみ、味方の家族に対しても父蜘蛛にDVされる母蜘蛛を見て嘲笑っている始末である。自分達のことは「一族」と呼んでいる。 外見も性格も下記する能力も全てが嫌すぎるヤツなのだが、対人感性は意外とまともらしく、ポンコツ全開の[[善逸>我妻善逸]]に「何なんだ?」と困惑したり、彼からのボッチ指摘にカチンときている姿は[[妙に笑いを誘う>シリアスな笑い]]。 一方で、完全に油断していたであろう状態から(眠りに落ちた)善逸の攻撃にすぐさま反応して迎撃したりと、その戦闘能力自体は侮れない。 意外に慢心も少なく、[[毒]]が回って弱っていく中で突如雰囲気が変わった善逸に対しても警戒して迎撃を行うも、それすら凌駕する善逸の「霹靂一閃・六連」の非常識な機動力によって見事斬殺される。 最期は、目の前のロクに手足も動かなくなっている筈のポンコツにやられたことが信じられず、原作では自分が斬られたことすら理解が追い付かずに困惑したまま、アニメでは現実が受け入れられずに絶叫しながら地に落ちて散って行った。 なお、後述の娘蜘蛛鬼が目の点の数が2つで、点が3つの累が彼女を姉と呼んでいる為、点が1つの彼が長男だと思われる。 #openclose(show=【血鬼術】){ ・&bold(){蜘蛛毒} 小さな蜘蛛を介して毒を相手に打ち込み、四半刻(30分)で相手を自分に隷属する人面蜘蛛に変えてしまう。 10分で手足に痛みと痺れが出始め、20分でめまいと吐き気が加わり、25分で激痛と共に&font(#ff0000){体が縮みだして}失神する。また頭髪はかなり早い段階から抜け始める。 最終的には血走った虚ろな目と、殆ど抜け落ちながらも半端に頭髪が残った人間の頭部に、首から下は頭部ほどの大きさの蜘蛛という、&bold(){気持ち悪さの塊の化け物と化す}。 また、この蜘蛛化の毒は精神にも作用するらしく、善逸は毒の後遺症の一つとして一時的に笑い方が兄蜘蛛と同じになってしまっていた。 人面蜘蛛達は知性も殆ど無いらしく、兄蜘蛛の命令に従って戦う。 他にも、作り出した人面蜘蛛達から相手の命を蝕む毒を撃ち込んだりと、人面蜘蛛も介して複数の毒を操れる。 そして、何より厄介なのはこの毒は兄蜘蛛本体が死んでも消えないということであり、これは彼に限らず鬼が使う毒の術は基本的に本体が死んでも消えない。 その為、一度でも毒を打ち込まれたら兄蜘蛛が死んでも蜘蛛化はどんどん進行していき、一応呼吸の応用で毒の巡りを遅らせる事は可能だが、毒を消せる訳ではない。 ただし、蜘蛛毒により人面蜘蛛と化しても、別に鬼化している訳ではないので、後遺症こそあれ完全に蜘蛛化してしまった者も時間をかければ治療によって元に戻すことはできる。 人面蜘蛛化によって縮んだ手足も、あくまでも血鬼術の毒で縮められただけなので、適切な治療で解毒して日光を浴び続ければ元に戻せる。 ・&bold(){&ruby(ふどくたん){斑毒痰}} 溶解性の毒を含んだ痰を口から大量に噴き出す。いわゆる溶解液。 太い木の幹をものの数秒で溶かして倒木させるほどの威力なので、直撃すれば間違いなく即死する。 } **&bold(){蜘蛛の鬼(姉)} #center(){&bold(){しくじった しくじった 私だけは今までしくじったことがなかったのに…!}} CV:[[白石涼子]] 外見は累と同じデザインの白い着物を着た白髪の美少女鬼で、ポニテ隊士や母蜘蛛という女性キャラを失った読者の新しい癒し。 山の現状を把握していなかったのか、のんきに炭治郎達の前に現れて速攻で逃げ出した。 その後、何があったのか累に顔を傷つけられるなど、敵らしからぬ扱いに新たな[[ヒロイン>サブヒロイン]]にならないかと期待した読者がちらほらいたと言う。 一人称は&bold(){「&ruby(わたし){私}」}。 一見大人しそうに見えていたが、その本性は鬼らしく自分本位な性格で、自身の保身の為なら平然と他人を裏切り売り渡す&bold(){クズ}((実は回想で母親が虐げられていた時に眉をひそめて見下すようにそれを眺めていたりと、片鱗はあった))。 彼女自身には嗜虐趣味はあまりなく直接手を下すこともないのだが、自分以外の他人を内心では「馬鹿」と見下して利用し、表面上は相手に気に入られるように振る舞って強者に言い寄り上手く立ち回ろうとするなど、ある意味非常に生々しいタイプのクズである。 一見大人しそうな外見で、口では「5人しか殺していない」等とほざいて雑魚鬼のように振る舞っていたが、実際は作中の時点で既に最低でも&bold(){80人は喰っており}、作中の戦いでも鬼殺隊士を下記する繭で14人殺していた((そもそも5人なら殺してもセーフという謎の基準を持ってる時点で論外である。))。 ただ、そうやって累に取り入った結果、家族内では累に次いで高い地位にいたらしく、劇中では父蜘蛛に指示を出して動かしている様子も見せている。 また累を相手に保身に終始してきた為か、しのぶを見て瞬時にその実力や危険性を察する等、十二鬼月でもない鬼にしてはかなり勘も良く、実際に頭が良い(身の程をわきまえている)のは間違いない。 上記した外見も、母蜘蛛と同じく累に合わせて作り替えられたもので、元の姿はとても美少女とは言えないような吊り上がった目が特徴のただの雑魚鬼((アニメ版ではデザインを踏襲しつつそこそこ可愛く描かれてはいる))であり、新たなヒロイン化を期待した読者のハートを、上記の性格と合わせて見事に打ち砕いた。 アニメでは、鬼殺隊の部隊に追われて狩られそうになった際に累に遭遇し、彼の家族になる代わりに助けられたという経緯も明かされた。 上記の累に顔を斬られたのも、彼に山からの逃走を提案した上に、その時思わず顔が元に戻ったことで累の不興を買ったから((とはいえ彼女自身も言っているが、累の所業を考えると身体を斬られる程度の制裁で済んだのは幸運であり、挽回のチャンスも与えられていた辺り、彼女は実際に累から気に入られていたと思われる。))。 その後は累の命令で生き残っていた隊士の掃討を行うべく、生き残っていた村田を一瞬で血鬼術の繭で包むも、援軍として訪れていた[[柱>柱(鬼滅の刃)]]の一人・[[胡蝶しのぶ]]と遭遇。 本能的に彼女から累とは別質だが同様の圧迫を感じ、すぐに累と同様の圧倒的格上だと察して[[命乞い]]をするも、嘘泣きしながら付いた嘘を簡単に見破られてしまう。 挙句にしのぶの行うサイコな言動((あくまで当時の読者の印象。しのぶの過去や本心が明らかになった現在は、この時大量に人を食い嘘をついて逃れようとする彼女の言動に内心は激怒しており、許す気など一切なかったことが分かる。))に逆上して反撃し、そこで彼女の腕力の無さに気付いたことで一転して油断しながら追撃しようとする。 しかし、既に蟲の呼吸・蝶ノ舞「戯れ」で藤の花の毒を全身に送り込まれていた為に、直後に毒が回って頸を斬られぬまま死亡した。 ちなみに他の家族は累も含めて、全員が一瞬で頸を斬られて痛みも無く死んでいるのだが、彼女だけが毒で苦しみながら最も惨く死ぬという自業自得な末路を辿っている。 公式ファンブック『鬼殺隊見聞録・弐』の各呼吸の斬られ心地インタビューでは、蟲の呼吸の斬られ心地について&bold(){「小さいから舐めてたのよ 突きの攻撃だしね」}と悔しそうに語っていた。 &font(l){なお同じくインタビューを受けていた[[コイツ>童磨(鬼滅の刃)]]は相変わらずな態度だったが} アニメ版では、上記した累に助けられる場面や、整形シーン、空の膳を囲む空虚な団欒など、彼女の視点での[[回想シーン]]で、より累の家族の実態が詳細に掘り下げられている。 中でも印象的なのは、同じように「累の姉」役を課せられた鬼を裏切って、彼女を弟の皮を被った支配者に売り渡したゲスさを補強するエピソードだろう。 #openclose(show=【血鬼術】){ ・&bold(){溶解の繭} 掌から柔らかくも強硬という厄介な特性を持つ糸を出し、その糸を自在に操って繭状にして敵を包み内部を溶解液で満たす。 一度中に閉じ込められると身動きが取れず、体勢的にも状況的にも強度的にも破るのは困難である。 作中だとしのぶは外部からの一突きで繭を破壊していたが、これもあくまでしのぶだから難なく出来ただけだと思われる。 対象を繭内に閉じ込めると、まず&bold(){服を溶かし}、それから体を溶かして自身の食料にするという、蜘蛛らしく且つえぐい能力。 しのぶとのやり取りから察するに、僅か数分で服を溶かされる模様。&s(){おかげで村田さんは別の意味で残念なことになった} 加えて、この糸を束状にしてそのまま操ることもでき、それ自体で相手を撹乱したり攻撃することもできる。 劇中では、村田さんを一瞬で閉じ込めた後は柱のしのぶとしか戦っておらず、戦った相手が反対の意味でどちらも彼女との実力差があり過ぎるので、正確な戦闘力は不明。 しかし前述通り既に100人近い人間を喰っていたことと、家族内でも高い地位にいたようなので、実際はかなりの実力者だったと思われる。 } **&bold(){蜘蛛の鬼(姉の姉)} CV:[[伊藤かな恵]] アニメ版のみ登場する[[オリジナルキャラクター]]。 姉蜘蛛が家族になる前にいた姉蜘蛛で、姉蜘蛛の上の姉にあたる位置の美少女鬼。まあ尤もこの姿も累の整形による外見なのだが。 姉蜘蛛の目の点が横並びの2つに対し、彼女は縦並びの2つ(双子の設定?)。前髪ぱっつんで長い髪を後ろの先で結んでいる。 累の家族を意味のない『家族ごっこ』と評している一方で、姉蜘蛛の事は本当の妹のように気に入っていた。 鬼は根本的に同族嫌悪を抱くように無惨に設定されていることを考えても、非常に珍しい存在だったと言える。 ただし、あくまで気に入っていたのは姉蜘蛛だけで、他の家族は累に虐待されていた母蜘蛛のことも含めて「馬鹿」と評して見下したり、そもそも姉蜘蛛を気に入ったきっかけも彼女は馬鹿じゃないと判断したからであったり等、やはり鬼らしく歪んだ部分もある。 累が無惨に呼ばれて一時的に山を離れると知り、姉蜘蛛を一緒に山から逃げようと誘って共に逃走。 しかし姉蜘蛛が裏切って密告した為、累の怒りを買ってしまい鋼糸で切り刻まれた挙句、朝日炙りの刑に処されて焼死した。この際には、妹への恨みも言わず涙を流しながら静かに焼けていった。 ちなみに仮に逃げたとしても、累の血を取り込んだ彼女らは無惨が自分の血を取り込んだ全ての鬼の位置を把握しているのと同様に、累に位置を把握されてすぐに捕捉されたと思われる((もし累にその能力が無いとしても、無惨に聞けば一発で居場所は特定される。))。 つまり逃走など最初から不可能であり、そういう意味では密告という形で自分の身と地位を守った姉蜘蛛は、間違いなく賢明な判断をしたと言える。その点は皮肉にも彼女の見立て通り&bold(){「馬鹿じゃなかった」}のだ。 加えて、鬼殺隊が来る以前は彼女以外にも兄弟姉妹がいたようだが、累に逆らったり彼の望むような家族を演じられずに同様に処刑されたらしい。 ちなみに父蜘蛛と兄蜘蛛も、前述通り累の不興を買って異形にされたり知性を奪われているので、本編の時点でまともな状態で残っていたのは姉蜘蛛と母蜘蛛だけである。 会話から彼女も累から何かしらの能力を受けていた筈だが、詳細は不明。現在の姉蜘蛛の能力(溶解の繭)ではないかという説もある。 *◆劇中での顛末 劇中では、鬼と人でありながら兄妹の絆を保ち、身を挺して兄を守った[[禰豆子>竈門禰豆子]]の姿に瞠目し、躍起になって彼女を奪おうとする。 血鬼術の糸で炭治郎の日輪刀をあっさり折るなど絶望的な戦力差を見せつけるも、前述の通り禰豆子の奪取にかまけて即座に殺さなかったことで、反撃を許すこととなった。 それでも炭治郎とは大きな実力の差があり余裕を保っていたが、竈門兄妹の絆と[[目覚めた新たな力>ヒノカミ神楽]]でその首を切り裂かれる。 …と思いきや、切られる直前になんと&bold(){自分の糸で首を切断することで死亡を回避する}という離れ業を披露。 再度兄妹を殺そうとするが、救援に間に合った義勇と対峙。 炭治郎達に頸を斬られかけた上に、邪魔者が次々と現れたことに激昂し、彼が柱であることにも気付かず、目の前で自分の糸を難なく斬った彼の実力も考慮しないまま最大の技を繰り出すが、義勇の水の呼吸・拾壱ノ型「凪」であっさりと無効化されてしまい驚愕。 現実が受け入れられず、逆上して同じ技でゴリ押ししようとするが、次の瞬間には&bold(){文字通り瞬きをする間に頸を斬られてしまい}、今度は自分で頸を斬って回避する暇すら無いままに倒された。 そうして累が思い出した走馬灯。人間だった頃の累は病弱で、一人では満足に走ることもできない身体だった。 この辺りは人間だった頃の無惨と重なるものもあり、これもお気に入りであった一因でもあるかもしれない。 無惨によって鬼となることで克服する、も人喰いとなった息子を憂いた両親に殺されそうになった際に逆に殺してしまった。 だが死に際の言葉で両親が実は息子を殺した後は自分たちも死ぬつもりだったことを知り、命を懸けた愛情を自ら断ってしまったことに気付く。 しかし後悔しても時すでに遅く、無惨に唆されて外道へと堕ちていったのだった。 そして、鬼は人を食い続けることで生前の記憶は薄れてしまい、ただ執着のみが強くなっていく。 身体が滅びていく中で、累は本当の願いを思い出す。それは本当の絆を作ることなどではない。彼はただ、&bold(){両親に謝りたかった}。その為に、本物の家族を求め続けていたのである。 しかしそれは叶わないと諦めの言葉を呟く。大勢の人間を殺してきた自分は地獄へ行くから、極楽に居るであろう両親には会えないと。 #center(){#bold(){&font(#999999){全部僕が悪かったよう ごめんなさい} &font(#999999){ごめんなさいごめんなさい……} &font(#999999){ごめんなさい……!}}} しかし、そんな彼の魂の下に両親の魂は再び訪れる。 己の罪を号泣しながら懺悔する累の姿は、もはや残虐な人食い鬼ではなくただの幼い少年だった。両親は自分達を殺した息子を責めず、優しく微笑み抱き合いながら本物の絆で結ばれた三人の家族は、共に地獄の業火へと消えていった。 一方、累の死は鬼の陣営にも大きな影響を与えた。 彼の敗北により無惨は下弦の鬼そのものを見限り、生き残りの五人の下弦たる釜鵺、零余子、病葉、轆轤、[[魘夢]]を自分の下へ召集。 倒されては補充しを繰り返してきた下弦の不甲斐なさを散々詰めた末、&bold(){怒りに任せて理不尽過ぎる詰問を繰り返しながら、そのまま魘夢以外の四人を皆殺し}にしてしまうのであった。 &s(){あまりの展開に「お気に入りを殺された無惨様の八つ当たり」と囁かれているとか…。} 更にアニメのオリジナルの柱合会議のシーンで、この突然累が大きく動いた那田蜘蛛山の一件は、浅草で炭治郎に見つかった無惨が姿を隠すべく、鬼殺隊の注意を反らさせる為にやらせた&bold(){“陽動作戦”}だったことが[[産屋敷輝哉]]によって推測されている。 つまり、累達は無惨が鬼殺隊から逃げる為の囮として使われたということであり、お気に入りの累すら必要であれば囮に使い、そして累が死ねば他の下弦に当たり散らす無惨の身勝手さが改めて窺える。 *◆余談 **○無惨のお気に入り ここまで記述してきたように、累は無惨のお気に入りなのだが、その待遇は下弦の鬼どころか、上弦の鬼と比較しても破格とすら言えるレベルであり、無惨の上弦に対する対応や各設定が明かされた上で改めて読み返すと、本当に&bold(){下弦の鬼としては異例なまでに無惨に気に入られていたことが分かる}。 無惨が累に行った優遇は以下の通り ・鬼化した直後に両親を殺してしまった累に、&bold(){わざわざフォローをするべく現れる}。 ・無惨は鬼が徒党を組むことを禁じており、それが出来ないよう同族嫌悪や共食いの設定までしているにも拘わらず、家族というコミュニティを形成することを許す。 ・無惨は十二鬼月には基本的に更に力を付けて階級を上げ、自分の役に立つことを望んでいるにも拘わらず、階級を上げることに興味を持たない累の姿勢を許容する。 ・十二鬼月は無惨から鬼としての新しい名前を与えられるのだが、人間時代に執着を持つ累は人間時代の名前を名乗ることを望み、それを許す。 等々、 特に2番目と3番目に関しては、最早無惨が設定した鬼や十二鬼月という集団の基本理念を揺るがすレベルの特例措置であり、&bold(){上弦の鬼ですらここまでの特例措置を受けている者はいない}((しいて言えば、妹の堕姫と徒党を組むことを許され、堕姫を切り捨てればもっと強くなれた可能性があるにも拘わらず、それをしないことを許され、累と同じく人間時代の名前を名乗ることを許されていた妓夫太郎くらいであり、彼も無惨のお気に入りだったことが明言されている。))。 一方で、徒党を組むことを禁じているのはあくまで無惨への反抗防止が目的であるので、累の場合は自分の力を与えることで弱体化していたので許されたというのもあるかもしれない。 おまけに、アニメによると累は定期的に無惨に呼び出されていたらしく、上弦の鬼とすらこのような定期ミーティングは基本は行っていない。 ここまで累が気に入られた理由は、自身と重なる背景にその鬼としての高い潜在能力、更に自分とよく似た性格や思考に加え、それでいて部下としては素直で自分に対する忠誠心が高い等が理由だと思われる。 **○自分の頸の切断について 稀に「累の頸はどんな鋼糸より硬い筈なのに、鋼糸で切れたのは何故?」という疑問を持たれることもあるが、これについては自分で頸の強度を変えて切断したのだと思われる。 鬼はある程度のレベルになると、この程度の肉体の変形や状態変化は普通にできるので、下弦の鬼である累ならば別に難しくはない上に、むしろできない理屈がない((まあ自分の急所を弱くする行為なので、普通の鬼はやる理由はないのだが。))。 とはいえ、強度が下がった状態でもこの時点の炭治郎の実力と折れた日輪刀では、爆血刀の状態でなければ刃が進まない程の強度はある模様。 ただ、炭治郎の刀は完全に頸を捉えており、頸を切断したタイミングが不明なのだが、こちらは&bold(){「最初から自分の頸に切断用の糸を巻いていた」}可能性が高い。 鬼は頸を日輪刀で切断される以外のいかなるダメージでも死なない上に、切断力が高いだけでなく柔軟性も操作性も極めて高い糸を出せる彼ならば、最悪の事態に備えて「緊急脱出装置」の一種としてこういった仕組みを設定しておくことは容易である。 鬼としては若い個体にも拘わらず、こういった対策ができる能力や判断力も、無惨に気に入られた理由だと思われる。 あるいはこれも無惨の入れ知恵なのかもしれない。 **○煽りのネタバレ 実は本誌連載時代、だいたいの読者は薄々察していたとはいえ、累が十二鬼月であると明かす前に、当時の担当編集が本誌の煽り文で[[ネタバレ]]してしまうという珍事件が発生した。 「その刃、十二鬼月には届かず!!鬼に抗う術はなし…!?」 **○アニメでの活躍 アニメ第一期「竈門炭治郎立志編」では、そのエピソード範囲の関係上、彼との戦いが実質的な[[ラスボス]]戦となっている。 それもあってか、ヒノカミ神楽発動からの一連のシーンは凄まじく気合いを入れて作られており、放送時は&bold(){伝説の回として世界的に話題を呼び、この那田蜘蛛山のエピソードから鬼滅は一気に世界的大ヒット作へとなっていった}。 加えて、前述の通り彼らの空虚な「家族ごっこ」についても、原作以上に詳細に深掘りされている。 #center{&bold(){&color(#999999){お前の役割は僕の項目を追記・修正する役だ。それが出来ないなら規制されるしかないよ}}} #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,39) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #lsd() #comment_num2(num=30) }