&font(#6495ED){登録日}:2019/09/28 Sat 22:32:17 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 12分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- えとせとらとは、かつて月刊少年マガジンに連載されていた[[漫画]]作品。 作者はなかざき冬。連載期間は1997年9月号~2000年12月号、単行本は全9巻。 *作品概要 西部開拓時代のアメリカを舞台に、西部最強の奇銃エトガンと、それを巡る人々の人間模様を描いた冒険活劇。 所狭しと動き回る快活なキャラクター達、コミカルかつテンポの良いストーリー展開、時折容赦なく挟まれるシリアスで凄惨なシーンと、作者にとって初の連載ながら「らしさ」がふんだんに詰め込まれている。 序盤からいくつもの伏線が張られ、それらを徐々に回収し、最終盤こそやや駆け足展開ながら大団円に漕ぎつけるストーリー構成は見事であり、読後感も非常にいい。 *作中の重要な用語、設定 ・&bold(){エトガン(干支銃)} 主人公であるミンチャオの祖父が開発した奇銃。 弾丸を込めて火薬で打ち出す通常の拳銃とは違い、&bold(){十二支に属する動物の成分}(体毛や体液等)を銃に塗し、その魂を撃ち出す。 弾丸は込めた動物の生態を想わせる軌道を描き、威力は命中すれば大男をしばらく昏倒させることも可能な程である一方、&bold(){人間に対する殺傷能力は皆無}である((これは逆に言えば敵を殺すことなく無力化することに長けているということであり、血を流さず場を収められるという点でむしろ長所である))。 ただし誰でも扱えるわけではなく、&bold(){&font(#ff0000){グリップ右側にあるⅫのエンブレムを掌に焼印として付けなければ撃つことはできない}}((引金は引けるが弾丸が出ない))。 その他にも特徴があり、それは物語の進行と共に明らかになっていく。 ・&bold(){星座銃(ゾディアック)} エトガンと対を成すもう1挺の奇銃。 その名の通り&bold(){黄道十二星座に属する動物や道具}の成分を銃に塗し、その動物の生態や道具の形状,役割に応じた軌道を描く弾丸を撃ち出す。 グリップ右側には&bold(){十二を縦表記にしたエンブレム}((両文字が重なっているため、実際は「士」と「一」の縦表記に見える。))があり、エトガン同様&bold(){&font(#ff0000){このエンブレムの焼印を掌に持つ者にしか扱えない}}。 エトガンとは兄弟銃だけあり、共通する弾丸(丑と牡牛座、未と牡羊座)を同時に撃ち出すと威力を高めることができる。 詳細は不明だが、エトガンと星座銃の2挺を同時に手にした者は&bold(){「全てを思いのままにすることが出来る」}らしく、 製作者であるミンチャオの祖父は悪用されないようインディアンの1部族に管理を依頼していた。 ・&bold(){組織} 作中世界のアメリカ全土において絶大な影響力を及ぼすマフィア組織。 本拠地はニューヨーク州マンハッタン島沖にあるべドロー島((実在する島(現在のリバティ島)であり、こちらの世界ではかの自由の女神像が設置されていることで有名。))。 全ての構成員は&bold(){純白のウェディングドレスを纏った美女}のレリーフが入ったアイテムを身に着けており、組織傘下の設備等を使用する際の会員証にもなる。 麻薬の密売を主な資金源とし、国内のあらゆるところに構成員や協力者を持ち、警察や司法機関までも意のままに操るほどの財力と権力を有している。 構成員は幹部含め、絶対的な権限を持つボスの命令によって動く徹底したトップダウン形式であり、任務失敗が続くと幹部級であっても粛清の対象とされるなど、いかにも悪の組織らしいシビアさを持つ。 一方でボスの命令を遂行する以外の行動については比較的自由らしく、構成員には任務以外では割かし自由に悪事を働いて私腹を肥やす者も多い。 作中ではエトガンと星座銃の捜索のために奇銃の収集を組織全体に命じており、そのためミンチャオ達は旅先で幾度も銃を巡って戦うことになる。 ・&bold(){麻薬} 組織が資金源としてアメリカ中に密売させている薬物。 作中では服用した病人が「楽になった」と述べているように&bold(){鎮痛,麻酔作用}があるが、反面人体への負担は極めて大きく、強い依存性も相俟って服用者は次第に身体を蝕まれ、&bold(){&font(#ff0000){やがて死に至る}}ようになる。 一方で適切に投与すれば外科手術の麻酔薬にも利用可能であり、&bold(){使い方次第では人を救う薬足り得る}ことも描かれている。 *主な登場キャラクター *主人公一行 ・&bold(){ミンチャオ(明朝)} 本作の主人公。中国系アメリカ人の少女で、年齢は13歳。 物心つく前に両親を亡くし、以来アメリカ西部の片田舎で鍛冶屋の祖父と共に暮らしていたが、物語開始より少し前に祖父を亡くし天涯孤独の身となっている。 しかし本人はこれを契機に予てからの夢であった&bold(){「ハリウッドに渡りミュージカルスターとなる」}ための準備を開始し、旅立ちを目前にした頃偶然バスカービルに出会う。 その際の騒動で祖父の形見であった奇銃エトガンの使い方を知り、またバスカービルに同行すればいずれハリウッドに渡れると考え、彼と共に旅に出る。 容姿は爆発したような[[ツインテール]]、アメリカでは異色の民族衣装(チャイナ服)と背中に背負った中華鍋が特徴的な美少女で、本人も自身の美貌には自信を持っている節がある。 だがミュージカルスター志望としては致命的な程の音痴であり、発覚後にはハリウッドに渡ることを一旦断念せざるを得なかった。 ちなみにエトガンを扱うために必要な焼印は、幼少期に完成したばかりのエトガンのグリップを&bold(){うっかり握って}火傷を負った時に偶然ついたものであり、普段は手袋で隠している。 性格は明朗快活、天真爛漫にして純真無垢。 常に明るくエネルギッシュに動き回り、天性の人懐っこさも相俟って周囲の人間にも元気を与えられる元気娘。 時折年相応の心の脆さを覗かせることもあるものの、最終的には自身の信じるものを貫く芯の強さも併せ持つ。 天性の気質ゆえか「死んでもいい人間なんていない」との考えを持ち、たとえ自分の命を狙ってくる悪漢相手でも一貫して殺すことは避け、仲間が相手を殺そうとしてもそれを阻止しようとするほどである。 この考えはならず者が跋扈する西部においては、敵味方問わず「甘い」と評されるが、その「甘い」考えを揺らぐことなく貫く姿勢は味方からも評価されて、そのまま信頼の源となっている。 ・&bold(){バスカービル} 布教のために国内を旅している牧師の青年。ミンチャオからは「牧師様」と呼び慕われている。 物語の冒頭で行き倒れていたところをミンチャオに救われ、エトガンとそれを操るミンチャオに興味を持ち、彼女を旅の友に加えるようになる。 外見は糸目に長い金髪、法衣を纏った長身痩躯の優男で、丁寧な言葉遣いと柔らかい物腰もあって一見人畜無害そうであるが、投げナイフによる戦闘を得意とする実力者である。 また旧知の相手からは&bold(){「そんな(牧師の)カッコしてたから分からなかった」「随分いい子になった」}などと言われるなど、 過去にはかなりの悪事を重ねていたらしいこと、ミンチャオを旅に加えたのもエトガンが目的らしい様子を見せるなど、その真意には悪意らしきものも見え隠れする。 実際糸目を見開いた時の目つきはかなり鋭く、悪人面といって差し支えない。 一方でそうした思惑抜きにミンチャオを大事に思う様子も多く、周囲から[[そういう趣味>ロリータ・コンプレックス]]ではないかと冗談交じりに言われたりする((本編では言いがかりレベルでしかないが、おまけ漫画ではそれを示唆する描写があったりする。))。 #openclose(show=物語中盤のネタバレ){ 本名は&bold(){レイジー}。 かつては組織の構成員であり、組織の命に従い奇銃を取集しており、その障害となる相手は女子供でも躊躇いなく惨殺する冷酷な人物であった。 レリーフは首から下げた十字架の裏に刻まれている。 作中では西部へ奇銃捜索に行き、そのまま蒸発したことが示唆されているため、何らかの目的のために組織を抜け、その達成のために個人でエトガンを探していたものと思われるが、このために1度はミンチャオに不信感を持たれてしまった。} #openclose(show=物語終盤のネタバレ){ ・&bold(){チゼル} レイジーの妹。物語開始時点では既に故人。 外見はレイジーと同じ長い金髪に、ツリ目がちの大きな瞳と太めの眉毛が特徴的な美少女。 病床に伏している身でありながらそれを然程悲観した様子もなく、明るい笑顔を絶やさない芯の強さも併せ持つ。 レイジーの持つレリーフの刻まれた十字架はチゼルに贈られたものであり、彼にとっては妹の形見でもある。 レイジーがかつて組織に属し、罪の無い女子供すら躊躇いなく惨殺してまで組織の命に従い続けていたのは、病床の彼女を救うため、組織から報酬として薬を受け取るためであった。 しかしある時ボスと幹部の話を偶然立ち聞きし、彼がチゼルの薬として受け取っていたのは麻薬であること、組織はレイジーに麻薬を渡すことを通じてチゼルで人体実験を行っていたことを知ってしまう。 だが時既に遅くチゼルは麻薬の副作用で亡くなってしまい、以来妹の復讐のために組織を抜け、組織に先駆けてエトガンを入手し、それを以てボスを殺すことを目的として活動していた。というのが本編の彼である。} ・&bold(){ベンケイト} 奇銃収集家として西部では名の通った凄腕の女ガンマン。 バスカービルとは旧知であり、かつては奇銃を巡って時に共闘し、時に本気の殺し合いを演じた仲でもある。 とある街でミンチャオを連れたバスカービルと再会し、その際エトガンに目を付け、これを奪い取ろうと画策する。 しかしミンチャオの純真さや悪運の強さなどを見て彼女自体に「変わったヤツ」と興味を持ち、彼女達の旅路に同行するようになる。 容姿はざんばらの赤茶色の長髪、鋭い[[三白眼]]、左頬についた大きな傷跡が特徴的な強面で長身の女性。 一方で、胸の谷間とお腹丸出しのチューブトップ(皮ブラジャー)の上半身、鼠径部と尻肉がはみ出る超短パン、太ももが見えるパンタロンという仲間随一のセクシーな衣装。 奇銃を始めとした珍品への執着が強く、「一度欲しいと思ったものは何が何でも手に入れなければ気が済まない」と豪語し、それらを入手するためなら殺人すら躊躇わない強欲で冷酷な性格だが、 一方で自身に敵意を持たない人物や仲間と認めた相手には面倒見の良い姉御肌な一面を見せる時もある。 戦闘では主装備である全長7フィートの折り畳み式ロングライフル((約213 cm。この長さゆえに鈍器としても使用される。))に加え、全身に仕込んだ無数の奇銃を駆使して戦う。 手数の多さは作中随一であり、1対多数の戦闘では無類の強さを発揮する。 ・&bold(){フィノ} ミンチャオの祖父より星座銃の管理を依頼されていたインディアンの1部族に所属する少女。 右掌に星座銃のエンブレムの焼印があり、このために星座銃を扱うことが出来る。 元は誰に対しても分け隔てなく接することのできる優しく人懐っこい人物であったが、 幼い頃に両親を白人の男・ブラッシュに殺されたことで極度の白人嫌いとなり、ミンチャオにすら「イヤなヤツ」と言われるほどに冷徹で排他的な人物となってしまう。 しかしミンチャオ達が弟のヤギを救うために共闘してくれたことで彼女らへの認識を改め、同時にブラッシュとも再会したことで彼を討つためにミンチャオ達の旅に同行するようになる。 容姿は色黒の肌におさげにした長い黒髪と、ぱっちりとした大きく黒い瞳が特徴的な美少女。 なお星座銃の焼印は、幼少期に焚火に落とした星座銃を&bold(){不用意に拾い上げた}際に付いてしまったものであり、ヤギからも「見かけによらずドジ」と言われていた((ミンチャオは自分と似たような経緯で焼印をつけてしまったフィノがドジ呼ばわりされたことにショックを受けていたが。))。 性格は先述の経緯から冷徹な印象を受けるが、身内に対する態度からも分かるように本質は心優しく、旅に出てからは白人への偏見も薄れたことでそうした面が目立つようになっていった。 ちなみに動物達を自分の仲間と考えているために肉食は一切しないベジタリアン((ただしフィノの部族は普通に肉食をするし、周囲が肉食をする際にも「自分はいらない」としか言わないため、あくまで個人のポリシー)) である。 ・&bold(){ヤギ} フィノの弟であるインディアンの少年。一行では最年少。 ゴーディの鉱山に探検と称して忍び込んだことで暴行を受けて倒れていたところをミンチャオ達に保護され、彼らを部族へ招き入れるきっかけとなった。 フィノがミンチャオ達に同行して旅立った際には自分もと考えたが、正面から申し出ても反対されるだけと考え、彼女らの荷物に紛れてまでついて行こうとした。 見つかった際には当然集落へ送り返されそうになったが、流砂に落ちたミンチャオ達を救ったことと、何よりフィノが「たった一人残った家族なのだから、共にいたい」と思い直したことで正式に一行に加わった。 容姿はフィノと同じ色黒の肌と三つ編みに結った黒髪で、裸足に褌一丁の雄々しい服装をしている。 幼いが故に身体も小さく、特に武器を持つわけではないので個人の戦闘力はほぼ皆無だが、一方で無鉄砲と言えるほどに胆の座った性格をしており、敵地への潜入などのイレギュラーな活躍の方が目立つ。 *善良な人々 ・&bold(){ミンチャオの祖父} ミンチャオを男手ひとつで育ててきた鍛冶屋の老人であり、エトガンと星座銃の製作者。 物語開始時点で既に故人だが、時折ミンチャオの夢枕に立ってエトガンの仕様説明などのアドバイスを行っている。 孫娘のミンチャオからも言われるほどの頑固で偏屈な人物だが、エトガンと星座銃を扱うために焼印を必要とした理由を問われると&bold(){「おもしろそうじゃから」}と答えるお茶目さもある。 物心がつく前のミンチャオを連れてアメリカ各地を旅していたらしく、ミンチャオは旅先で何人もの彼の縁者と出会うことになる。 ・&bold(){ルリール} ミンチャオが列車の中で乗り合わせた、旅芸人一座の踊り子の少女。 かつて興行中に一時歩けなくなるほどの大怪我を負い、完治後も心的外傷からは立ち直れておらず、杖無しでは歩けない状態であった。 オルタネートが引き起こした列車事故に巻き込まれ、まともに歩けないために崖下に向かう車両に取り残されるが、救出に来たミンチャオに活を入れられたことで車両から自らの足で飛び降り、再び歩けるようになっている。 戦闘技能は持たないが、人間の本質や感情の機微を見抜く眼力を備えており、 初対面のオルタネートやキャバナーの悪意を一目で見抜いたり、ミンチャオのバスカービルに対する感情を察して&bold(){「好きなんだったら離しちゃダメよ」}と耳打ちしたりしている((この時ミンチャオは赤面しながら慌てて否定している。かわいい。))。 *組織の構成員 ・&bold(){ボカッシィ} とある街で情報屋を営むスキンヘッドで鷲鼻の小男。 常に巨漢の男とリーゼントヘアーのチンピラを従え、街では強面で通っているが、旧知であるバスカービルやベンケイトによれば「かつては盗み聞きしか能のない三下」だったらしい。 自身の街にエトガンの所持者がいることを聞きつけ、エトガンを奪うと同時にミンチャオ達もまとめて始末しようとしたが、手下共々返り討ちに遭ってしまう。 その後彼らの尋問を受け、星座銃の存在に言及している((なおこの後、「自分達を殺そうとした罰」と称して2人にボコボコにされている。仕方ないね))。 当初は単なる三下の悪党として描かれていたが、ボスの回想に登場するため構成員であったと思われる。 ・&bold(){オルタネート} ボカッシィからの情報でエトガンに目を付け、ミンチャオから奪い取ろうとした少年。 坊ちゃん刈りにした黒髪とモノクルが特徴的な痩躯の少年で、いかにも育ちの良さそうな風貌をしている。 レリーフの刻まれたコインを所持しているが、彼自身は組織の構成員ではなく((そもそも彼自身は組織の存在すら知らなかった))、父の宝箱からくすねたものである。 周囲からは策略家と評される優秀な頭脳を持つが、本人も「幼少期から欲しいモノは他者を傷つけ欺いてでも手にしてきた」と述懐するなど性格は屈折しており、その策略も狡猾で残忍なものである。 だが幾度も作戦に失敗し、更にはゴーディがブラッシュに殺された挙句「ゴーディはミンチャオに殺された」という嘘を吹き込まれ、復讐のためにゴーディと共にミンチャオ達を付け狙うようになる。 #openclose(show=物語中盤以降のネタバレ){ だがその途中で本当にゴーディを殺したのはブラッシュであることを知り、本当の父の仇を討つためにミンチャオ達の旅への同行を志願し、彼女らの仲間となる。 敵であった時は狡猾な面が目立っていたが、ゴーディを大事に思っていたように自身の身内は大事にするタイプのようで、身を挺して仲間を庇う場面も見られるようになった。} ・&bold(){ゴーディ} オルタネートの父であり、組織の構成員。レリーフの刻まれたアイテムは先述の通りコイン。 息子とは対照的な筋骨隆々の大男で、顔や耳には純金製と思われる[[ピアス]]をいくつも施している。 金銀財宝に目の無い強欲な人物であり、 その執着たるや数年前にフィノ達の部族が霊峰と崇める山に金鉱脈があることを突き止めると、以来自分以外の人間の立ち入りを一切禁じ、&bold(){自分一人で鉱山開発を行い}産出した金を独り占めするというトンデモぶりである。 戦闘では2本のツルハシと外見に違わぬパワー、及び外見以上のタフネスを武器に戦いミンチャオ達を追い詰めるが、山中に秘匿されていた星座銃を手にしたフィノの狙撃を受けて昏倒してしまう。 その後目を覚ました際にブラッシュと会いエトガンを見つけたことを話すが、手柄を独り占めしようとしたブラッシュによって暗殺されてしまう。 その所業を見ても擁護不能の悪人ではあるものの、暗殺された際にはオルタネートは怒りを露わにしている辺り、意外と良き父親だったのかもしれない。 ・&bold(){ブラッシュ} 騎兵隊の隊長を務めるガンマンの男で、組織の構成員。 レリーフは彼の所持する銃のグリップに刻まれている。 組織では星座銃の捜索を担当しており、物語の5年前にその過程でフィノ達の部族に怪我人を装って潜入し聞き込みを行っていたが、 星座銃については頑として口を噤むフィノの両親に逆上し彼らを殺害したことで、フィノからは仇敵として激しい憎悪を向けられている。 風貌はグラサンにテンガロンハットを身に着けた屈強な大男で、戦闘ではレリーフ入りの2丁拳銃による凄まじい早撃ち((その腕前は尋常ではなく、1発しか銃声が聞こえないにもかかわらず、一瞬で12発の弾丸を撃ち尽くしているという常軌を逸したもの。当然通常のリロードでは追い付かず、作中ではシリンダーごと交換して弾丸を補充していた。))を得意とするが、パワーとタフネスも体躯に違わず高く純粋な肉弾戦も十分強い。 一見すると訛り混じり(作中表現では関西弁)の軽快な口調で話す飄々とした人物だが、 フィノの両親を殺した経緯やインディアンを嬉々として殺していた((西部開拓時代における騎兵隊(≒第七騎兵連隊)の任務は開拓者のボディーガードとしてインディアンと戦うことなので、殺すこと自体は任務を遂行しているに過ぎない。問題は「嬉々として」の部分である。))という元部下の証言からも分かるように、その本性は極めて残忍。 #openclose(show=物語終盤のネタバレ){ 上記のようにフィノとオルタネートの仇敵であり、彼らの旅の目的はブラッシュを殺すことだったのだが、キャバナーとの最初の戦い後に逃走して以来登場せず、結局彼らとの決着は描かれずじまいであった。 まあ犯行動機の根底に組織の命令がある以上全ての因縁はボスのゴシックに収束すると言えるし、キャバナーとの戦い後は組織から罷免されたも同然の状況だったし、 何よりこんなドサンピンとの決着に紙面を割く必要性の有無を考えれば残当ではあるけど。 ただ作者も忘れていたわけではなく、最終回ではべドロー島の見える港から決着を見届ける彼の後姿も描かれている。 ちなみに単行本最終巻のおまけページでは放置プレイを食らったことで荒れている様子や、決着の余波に巻き込まれるおまけマンガが描かれた。} ・&bold(){キャバナー・P・スクリプト} 片手に持ったキセルと身に纏った高価そうな婦人服が目立つ妙齢の女性。 組織では幹部級の構成員であり、ボスの右腕とも称される辺り幹部の中でも上位に位置すると思われる。 幹部だけあってあまり自分からは動かず、部下を使役して作戦を遂行しようとするスタイルを好む。 一方で場合によっては自分に忠実な部下すらあっさり使い捨てたり、過去にはブラッシュの手柄を&bold(){自分の功績として上層部に報告}したりするなどかなりの&bold(){ブラック上司}でもある。 ラスベガスの賭場でミンチャオ達と出会い、当初は善良な人を装って彼女達を組織の船に招き入れ、その中で部下を使役してエトガンも星座銃もまとめて奪い取ろうとするが、ミンチャオ達の抵抗とブラッシュの反目により星座銃については失敗。 その場は逃げおおせるものの、以後も2挺の銃を狙って度々襲撃を仕掛けてくるようになる。 #openclose(show=物語中盤以降のネタバレ){ 物語の中では最もミンチャオ達との交戦の多い構成員で、その狡猾さ、残虐さ、執念深さから十分に強敵としての存在感を示しているが、 一方で登場するたびに身体とボスからの信用がボロボロになっていき、同時に言動と顔芸も加速度的にヤバいことになっていっている。具体的には、 エトガン奪取に成功するが、星座銃は取り返され、つき従っていた部下が海の藻屑になる。 「どうにか陸に辿りついたわね。」 ↓ フィノの双子座弾を受け、飛んできた石礫で右目を潰される。 「許せない レイジーも…ミンチャオもフィノも……皆殺しにしてやる」 ↓ 右目を潰された怒りから自らの手でミンチャオ達を殺せるよう、自らエトガンの焼印を付ける。 「血を流し過ぎたせいか、血の滴るステーキじゃないとおいしく感じなくなったの。」→部下gkbr ↓ ミンチャオ達を捕らえ処刑寸前まで追い詰めるも、予想外の事態と駆けつけたフィノ達の反撃を受け逃走。エトガンも奪回された上に右腕に重傷を負い、焼印も消えてしまう。 ↓ ミンチャオ達をNYで始末しようとするが、イナひげの手引きもあって本拠地への襲来を許す。 ↓ ボス「これで何度目だね?君の失態は?」 ↓ 「お許しくださいゴシック様!」 という有様であり、初登場時との落差がかなり凄い。} ・&bold(){イナひげ} ニューヨークのチャイナタウンで薬屋を営む中国系の老人。 ミンチャオの祖父とは旧知であったらしく、自身に万一のことがあった際にはイナひげを頼るようにとミンチャオへ言伝を遺していた。 しかしいざミンチャオが訪ねた際には素っ気ない態度を取り、「組織に関わるな。でないと(切り落とされた右掌を見せて)お前さんらもこうなる。」と警告して追い返し、 更には組織の麻薬密売における仲介人を務めていることが明らかになるなど、およそ彼女達の味方とは思えない行動をとる。 #openclose(show=物語終盤のネタバレ){ 想像の通り本来はミンチャオ達の味方であり、またミンチャオが見つけた在りし日の祖父とイナひげのツーショット写真では、彼の失われた右掌にエトガンの焼印があったことが確認できる。 彼自身はミンチャオの祖父から麻薬の隠蔽を任されており、彼がミンチャオを連れて逃亡してからの約10年、 組織に与したフリをして麻薬を小出しに流し続け、自身が利用されないようエトガンの焼印を右掌ごと棄て、組織を打倒しうる存在をじっと待ち続けていたのである((ただ結果としてその間国中に麻薬をばら撒いていたのも事実であり、イナひげ自身「ワシも(組織と)同罪」と認めている。))。 ミンチャオが夜半に単独で押しかけてきた際には、彼女を監禁したと見せかけ、べドロー島へ続く地下道へ手引きしている。 その後自身も彼女達の後を追って島へ侵入し、重傷を負ったヤギとベンケイトを治療した上でボスとの決戦に同行している。} ・&bold(){ゴシック} 組織のボス。 作中世界のアメリカ全土に麻薬をばら撒いた張本人であり、本作における&bold(){&font(#ff0000){全ての元凶}}。 常に顔の半分を隠すマスクを身に着け、名を変え声も潰し、姿すら見えない闇の中から部下達に指示を出すなど徹底的に自身の正体を隠している。 ん、[[そういうヤツ>ディアボロ(ジョジョの奇妙な冒険)]]が[[他誌の作品>ジョジョの奇妙な冒険 Part5 黄金の風]]にもいたような……?((舞台となる時代や国は違うけど、連載時期はほぼ同時期となるね)) 「全てを思いのままにする」べくエトガンと星座銃の奪取を組織に命じ、ミンチャオ達を執拗に狙っている。 組織の開発した小型[[機関銃]](ブレスレットのように腕に巻きつけて使い、指1本動かすだけで超スピードで掃射を行うトンデモスペックの代物)を用いて戦う、事実上組織最強のガンマン。 更にその右掌にはエトガンと星座銃の両方の焼印、すなわち双方の銃の使用資格を持つ。 #openclose(show=重大なネタバレ){ その正体は中国から渡ってきた移民であり、ミンチャオの祖父の息子。 すなわち&bold(){&font(#ff0000){ミンチャオの実の父親}}である。 本編の十数年前、父や妻、父の親友であったイナひげらと共に国内に蔓延していた麻薬を大量に盗み出し、北米大陸に渡ってきた過去を持つ。 故に本作のアメリカへ麻薬を持ち込んだのも彼らであり、同時に麻薬の正体は精製したアヘンであると推察される。 次いでゴシックの口から語られたのは、ミンチャオの祖父はイナひげと共に大量の麻薬を悪用されないよう何処かへ隠し、その在り処を「地図」に記していたこと、 その&bold(){「地図」とはエトガンと星座銃}であり、&bold(){「地図」を読む方法は2挺の焼印を両方所有する者が2挺を同時に手にすること}、 すなわち&bold(){「全てを思いのままにすることが出来る」}とは、&bold(){&font(#ff0000){「(全てを思いのままに出来る程の莫大な富を生む)大量の麻薬を手にできる」}}ということであった。 ゴシックは自分達移民を迫害した((一例として、彼の妻(ミンチャオの母)はミンチャオを生んですぐに体調を崩し、移民であるが故に満足な医療サービスが受けられなかったことも災いしてそのまま亡くなっている。))アメリカを憎悪しており、組織を立ち上げたのも、 その報復として&bold(){&font(#ff0000){麻薬をばら撒いて国全体をヤク漬けにし、それにより得た莫大な財力と麻薬の依存性を以て政府の要人や資産家等を自身の傀儡に治め、アメリカを裏から支配する}}ためであった。 しかしそのことで父と対立、最終的にはエトガンと星座銃のみならず、娘のミンチャオを奪われ ((この時右目部分に大きな傷を負わされており、仮面を被っているのはこれを隠す意味もあると思われる。))、以来組織をあげてエトガンと星座銃の捜索を命じていたのである。 同時にミンチャオの祖父がかつて彼女を連れて全米中を旅していたのは、逃亡の目的もあったことがわかる。 この話を聞かされたレイジー達からは&bold(){「狂ってやがる」}と評されたが、本人は&bold(){「私が狂っているのなら、父もイナひげもそうなのだろう」}と無表情に返している。 ミンチャオに対しては&bold(){「愛娘」「この10年忘れた日は1度もなかった」}と表現するように父としての情を向け((その割には組織の連中はバリバリ彼女の命を狙っていたが。ただレイジーも驚いてたし、少なくとも構成員は知らなかったんだろうけど。))、自分の元に来るよう誘いをかけるが、 ミンチャオは&bold(){&font(#ff0000){「こんな血 なくなればいいんだ」「あたしも 父ちゃんも みんななくなっちゃえっ」}}と真っ向から拒否。エトガンの銃口をゴシックに向け、物語は最終局面を迎える。} *余談 本作のべドロー島には自由の女神像は無く、その場所には代わりに組織の本部社屋兼象徴たる「黒い女神」((その名の通り自由の女神像の全身を漆黒に塗ったようなクッソ邪悪な像))がそびえている。 ちなみに自由の女神像でいう頭部展望台にボスの部屋がある。 [[アメリカ合衆国]]の自由と民主主義の象徴たる建造物の代わりにあるのが国中に麻薬をばら撒いたマフィア組織のアジトなあたり、ある意味本作のアメリカの象徴である。 追記、修正はエトガンと星座銃の焼印を2つとも付けてからお願いします。 #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,2) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #areaedit() - まさかここであの漫画の名を目にするとは…項目作成乙です。 -- 名無しさん (2019-09-28 22:58:05) - 懐かしい…。確か「Who is 風生!?」へのゲスト出演時に牧師様のロリコン疑惑がより強固なものになってた記憶w -- 名無しさん (2019-09-29 01:03:36) - 十二支も十二星座も全部出てこなかったんだよな。十二支の方は、かろうじて他作品で出そろったけど -- 名無しさん (2019-09-29 20:46:20) - 懐かしい喃 作者は今何してんのかねぇ -- 名無しさん (2019-09-29 21:29:20) - 作者名間違ってたから直しといた -- 名無しさん (2019-09-30 09:49:33) - カードゲームのキャラ/クリーチャーデザインとかしてるみたいね -- 名無しさん (2019-09-30 10:44:17) - 使わなかった弾丸がどんな性能だったのか気になる -- 名無しさん (2019-10-03 07:45:20) - ↑ -- 名無しさん (2024-07-20 22:56:50) - 獅子座弾(レオ)なんて未使用のままだったしな。十二星座じゃ最優遇されがちな獅子座が、この作品じゃ最冷遇されているという珍しい例だったな。 -- 名無しさん (2024-07-20 22:59:05) - ↑ぶっちゃけ獅子座弾出してもただの「強い弾」にしかならなさそう。破壊力ならエトガンと合体技できる牡牛座弾で十分だし、話の都合上殺傷能力特化にするわけにもいかないし。 -- 名無しさん (2024-11-24 22:30:04) #comment #areaedit(end) }