狂骨の夢(小説)

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狂骨の夢(小説) - (2024/09/03 (火) 23:31:02) のソース

&font(#6495ED){登録日}:2011/05/06(金) 04:51:06
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&font(#6495ED){所要時間}:約 6 分で読めます

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#center(){私はそのうち、すっかり骨だけになる} 




&blankimg(03-1kyoukotsu.jpg,width=76,height=102)

●狂骨
&font(b,i){狂骨は井中の白骨なり。}
&font(b,i){世の諺に甚しき事をきやうこつといふも、このうらみのはなはだしきよりいふならん}



*■&ruby(きょうこつ){狂骨}の&ruby(ゆめ){夢}

[[京極夏彦]]の小説作品。
『妖怪シリーズ』の第三作。
95年に「講談社ノベルズ」より発売された後、現在は複数の文庫版が存在する。
シリーズとしては初めて、[[ミステリー]]の体裁を取って描かれた作品とも紹介される。
また、以前の『[[姑獲鳥の夏>姑獲鳥の夏(小説)]]』『[[魍魎の匣>魍魎の匣(小説)]]』とは違い、文庫化の際に大幅な加筆修正が為されているが、
これは夏のミステリーフェアと銘打たれて本書を刊行する為に、十分な時間が取れなかった為。
その所為か新書版では、お馴染みのタイトルを引用した台詞が存在しなかった。
尚、キャッチコピーは“本格小説”……。


*【概要】
昭和二十七年冬……。
ある女の見る不気味な「[[夢]]」と、思い起こされては消えてゆく過去の記憶……。
“有り得ない記憶”に翻弄される女の告白から始まる、様々な人物達の「骨」に纏わる物語。
「海を漂う黄金の髑髏」「兵役忌避者殺人事件」「二子山集団自殺事件」……そして「血塗れの神主」に「髑髏を抱いた僧侶」の話題。
八年前に夫とその情婦を殺した女、朱美。
「骨」の夢に取り憑かれた精神科医、降旗。
信仰に迷う牧師、白丘。
彼らとの邂逅、或いは間接的な接触の中で事件に関わる伊佐間、木場、関口らと探偵・榎木津礼二郎……。
奇妙な符号と齟齬の中、京極堂は如何なる答えを導き出すのか?
果たして「蘇る死者」の謎とは?


#center(){&blankimg(03-2gaikotsu.jpg,width=76,height=102)}
#center(){●[[骸骨>骸骨/髑髏]]} 


*【事件関係者】

・佐田朱美
「お兄さん。釣りですの……」
本作のヒロイン。
なお佐田は&bold(){前の結婚相手の名字}で、終盤にて元々の旧姓は「南方」と判明している。
逗子にある切り通しを拓いて作られた古い屋敷に住む。
八年前に兵役を忌避した夫を殺害し、更にその情婦をも殺した過去を持つ。
鴨田酒造に奉公に出されていたが家族を火事で失い、そこから嫁に出された矢先の出来事であった。
…そして作中の現在では紆余曲折を経て、新しい夫と共に暮らすように。そんな中偶々1人で過ごしていた時、伊佐間一成と出会う事になる。

・降旗弘
「髑髏ですよ」
「飯島基督教会」に居候している元・精神科医。
フロイトに傾倒し、そして自らの心の奥底を辿り、フロイトにより挫折した経験を持つ。
「山中で堆く積まれた髑髏を前に性交する男女の群れ」の「夢」を幼い頃から繰り返し見ている。
木場、榎木津とは幼馴染みで、生涯を通して友と呼べる数少ない人間として彼らの名前を思い出していた。

・白丘亮一
「骨が怖いのだ」
「飯島基督教会」の牧師。
新教なので牧師。
年齢は四十絡み。
彷徨っていた降旗を拾う。
教義に関する豊富な知識を持つが、それは「ある理由」により自らの信仰に確固たる信念を導き出せないが故の反動。

・宇多川崇
「メイの字が違うとでも云うのかね?」
幻想小説の大家。
年齢は六十間近位。
乱歩(江戸川)のエグみと鏡花(泉)の品格を併せ持ち、虫太郎(小栗)の魔境に露伴(幸田)を遊ばせるような……と讃えられるが、
本人は年齢の割に精神の若い大柄な紳士。
命を助けた事が契機で連れ添う様になった若い妻……“朱美”の精神の衰弱について関口に相談を持ちかける。

・長門五十次
「ああ、修さんはせっかちだねえ」
東京警視庁の古参刑事。
前回の事件で暴走した木場の新しいパートナー(お目付け)。
女房に先立たれて長い所の寡暮らしだが、何処に行くにも弁当を持って行く主義。

・石井寛爾
「何で君がここにいるんだね!」
[[神奈川県]]警察本部の警部。
前回の事件で降格の憂き目に遭った筈だったが一時的な罰だったのか元の警部として登場。
「金色髑髏事件」……では無く、「逗子湾生首殺人事件」を捜査するが前回の失敗から所轄の若手から蔑まれ不当な疎外感に苛まれていた。
仇敵とも呼ぶべき木場との再会に狼狽するが、名誉挽回のチャンスを与えるとの言葉に乗り……。

・鴨田周三
鴨田酒造の主人。
朱美の恩人。

・佐田申義
「俺には兵役より大事だった」
かつての朱美の夫。
病の父を慮る、孝行息子との評判だったが……。
赤紙が届いた後に姿を消し、一度姿を現した後に首無し死体として発見された。

・宗像民江
朱美と共に鴨田酒造で働いていた娘。
物覚えが悪く足りない娘と思われていた。
朱美との結婚以前より申義とは出来ていたとされ、申義が逃げた際にも共に連れ立っていた。
申義を殺害し首を切り取った犯人とされる。
申義の首を持ち彷徨っていた途中で偶然にも朱美と出会い、その際に朱美は彼女を殺したと語るが……。
&font(#0000ff){&u(){&font(#ffffff){※}}} 
#center(){{{&font(#0000ff){&u(){&font(#ffffff){「いたんですよ。あの女」}}} 
&font(#0000ff){&u(){&font(#ffffff){「民江がいたんです」}}} 
}}}
#right(){&font(#0000ff){&u(){&font(#ffffff){※}}}} 


*【主要登場人物】

・伊佐間一成
「味噌」
通称・いさまや。
軍隊時代の榎木津の部下で、現在は釣り堀屋の親爺。
それが縁で結びついた「怪しい仲間達」の一人。
若いが何処か老成した雰囲気を持つ公家顔の男で、途中で言葉が切れているにもかかわらず、何故か言わんとしている事が解ると云う喋り方をする。
暇を持て余し過ぎて笛を吹いたり、オブジェを作ったり、自ら釣りに出かけたり……と云う生活をしている。
引き上げ船の中でマラリアに罹った際に所謂「臨死体験」をしている。
やって来た逗子にて、佐田朱美との邂逅を果たす。

・[[木場修太郎]]
「あまり馬鹿なことをいうと逮捕勾留拷問して起訴後即実刑判決だ」
東京警視庁刑事。
前回の暴走からお目付けと組まされ、木場曰く暇な事件に回されるも、事件は意外な展開を迎える事になる。
更に幼馴染みだった歯医者の息子……降旗からの連絡を受けるが……。
卵は固茹でが好み。

・[[関口巽]]
「いやだ!」
相変わらず迷いっ放しの語り部。
宇多川との出会いに、彼の身の上に同情する。
……が、その矢先に宇多川が殺害された事と、その犯人が妻の朱美である事を知らされる。

・[[榎木津礼二郎]]
「じゃあ四つ子」
全体的には出番が少ないのだが、相変わらず破壊的な活躍を見せる榎木津礼二郎探偵閣下。
お供に猿(関口)と河童(伊佐間)を従え颯爽と逗子に降臨なされる。

・[[中禅寺秋彦>中禅寺秋彦(京極堂)]]
「漸く死人が生き返った。これで僕の反魂術は成功だ!」
ある人物の為に神式の「葬儀」を執り行って以降は京都の拾鶴館まで稀少本(「桃山人夜話(絵本百物語)」の極美本)を取りに行っていて姿を見せない古本屋。
奇妙な符号により拡がり続け、収縮を見せない事件に前回とは「逆」の形で決着を付ける。

#center(){&blankimg(03-2hangonkou.jpg,width=76,height=102)}
#center(){●反魂香} 





*【余談】

本書以降の京極作品では、読者が読み易い様に一ページ毎に区切りが為される様になった。

ちなみに『[[後巷説百物語>後巷説百物語(小説)]]』内では、本作の事件にまつわる「因縁の一つ」の由来が描かれている。





※以下、若干のネタバレ。

#center(){{{




&font(#0000ff){&u(){&font(#ffffff){千五百年。五百年。前世の夢に現世の夢。}}}




&font(#0000ff){&u(){&font(#ffffff){骨を巡る沢山の夢ばかりが繋がって、協奏曲を奏でていたようだ。}}} 




&font(#0000ff){&u(){&font(#ffffff){「狂骨の……夢だな」}}} 

}}}






「アニヲタWikiの混沌の海」を「必然の浮輪」で泳げる様になってから追記願います。















#center(){「まあ執念深い」}











#center(){「お前なんか、大っ嫌いだッ!」}

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#openclose(show=▷ コメント欄){
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- 心が汚れているので、立川流の儀式のとこで興奮しました  -- 名無しさん  (2024-02-22 10:09:52)
- …今回、出た被害の一部は「『彼女』から悪夢を聞いた後即警察に出頭か病院に入院させる」である程度抑制出来ていたかもが(それだと「憑物」と誤解は晴れないままにしろ)つらい…。周囲の半端な優しさが仇になったという…。  -- 名無しさん   (2024-07-10 11:23:34)
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