発電する魚

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発電する魚 - (2025/07/11 (金) 01:38:54) のソース

&font(#6495ED){登録日}:2022/11/14 Mon 20:21:45
&font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red)
&font(#6495ED){所要時間}:約 4 分で読めます

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*【概要】
体に発電器官を持ち獲物を捕らえたり身を守ったりする時に[[電気]]を放つ魚たちのこと。
淡水魚が多い。
おおよそ7種類ほどが知られており、電圧や電流は種によって様々で、[[人>ヒト(生物)]]や[[動物]]を殺しかねないほどの高電圧を放つものから静電気程度の弱い電気を放つものまでいる。

デンキウナギなど、発電器官が体の大部分を占めているためか体の前部分に心臓などの一般器官が詰まっていることが多い。


**《そもそも、なぜ発電を行うのか》
電気というのは言わずもがな取扱い注意の危険なエネルギーであり、気軽に取り扱える代物ではないのは人も魚も同じである。
それなのに、電気魚はなぜリスクを負ってまで電気を取り扱えるように進化したのか。
%%他の水生生物相手に%%[[%%こうかばつぐんを狙い%%>でんきタイプ(ポケモン)]]%%優位に立つためではない%%

***・障害物と獲物の探知
ほぼすべての電気魚に共通する理由は&bold(){視界の悪い水中で障害物・獲物を正確に探知するため}。
発電する魚は自身の身辺に電場を張り巡らせることができる。
その電場の中に他の生き物や物体が介入してくると、周囲のオブジェクトとの電気抵抗の差が発生し、電場が歪む。
すると、発電する魚はそれを「電気受容器(電位差を感じる器官、いわば電気センサー)」で受け取り&bold(){「あっちにこのくらいの大きさの生き物がいる」}という情報を察知することが出来るのである。

これは、一般的な魚が頼っている視力・嗅覚・触覚とは比にならない正確な情報源であり、生存競争において感電のリスクをも上回るアドバンテージとして、現代まで受け継がれてきたものであると考えられている。
余談だが、自ら電気を発することはなくとも電気受容器を操ることができる生き物は、サメやカモノハシなどがいる。
&color(lightgray){%%やっぱり水辺において電気は強いのである%%}
ちなみに探知できる範囲についてだが、(電気の性質上、水や地面のコンディションによって変わるものの)理論上は半径50cm~1mくらいは探知できるらしい。

***・コミュニケーション
&bold(){放電と電気受容体を用いてコミュニケーションを行う}種がいることが確認されている。
まさに文字通りの&font(b,#ffa500){電気通信}。
研究によると、パルスの応答によって同種であるかどうかを確認したり、種によっては相手の雌雄の判断もつけることができるらしい((後述するジムナーカス科は雌雄でパルスが異なるという))。
とはいえ、電気通信の内容を&bold(){魚に直接聞いたり盗聴したりするわけにもいかない}のでこの分野は未知も多いという。
もしかしたら、人間の知らない泥の底で&bold(){&color(brown){「この辺は電波悪くてかなわんわ」}}なんて会話をしているかもしれない…。

***・攻撃手段
上記のように、電気魚はレーダーとして電気を扱うのが主である。
だが、後述する通り、デンキウナギのように&bold(){電気を獲物や外敵への攻撃手段に転じられるように進化した}生き物もいるのだから、全く自然界とは不可思議なものである。


*【主な種類】
**◇デンキウナギ
学名:Electrophorus electricus
電圧:&font(b,red){600~850V}

発電する魚でもぶっちぎりの知名度を持つ代表にして&bold(){[[最強]]の電気魚}。
体長は2.5mほどにもなり、高電圧に加えて電流も1A(アンペア)以上を放てるので心臓が弱い人だと&bold(){感電死する可能性がある}。
また電気ショックで水中での自由を奪われ溺死する危険性もある。
現地でも食物連鎖の頂点に位置する。
諸君は小学校の理科の実験で、&bold(){並列つなぎよりも、直列つなぎの方が電球が明るくなる=電圧が強いこと}をご存知だろう。
それと同じで、発電器官一つ一つが放つ電気は弱いものの、直列つなぎのように組み合わさるため高い電圧を放つことができるのだ。
普段は弱い電気を流しながら泳いでおり、視力は弱いものの電気をレーダーのようにして獲物を的確に探すことができ、出会うと高電圧を放ち気絶させて食べる。
体は円筒形で全身が暗褐色。

名前に[[ウナギ]]とあり外見も似ているが、実は&bold(){ウナギとは全く違う生物}で1属1種の独立種。
どちらかというと[[ナマズ>ナマズ(魚類)]]に近い((いずれも骨鰾上目に含まれ、デンキウナギ目とナマズ目は特に近縁とされている。))。
疲れたり高齢な個体は上手く発電できない場合があり、そのため一度水面を叩き放電させれば捕獲はそれほど難しくはない。
実は発電中は自分自身も感電しているが、体内に蓄えた脂肪が絶縁体の役割を果たす為、感電死することはない。
だがエラがあまり発達しておらず、たまに空気を吸いに水面に顔を出さないと魚なのに溺死するという間抜けな一面もある。
水族館では水槽に電力を視覚化する為のメーターが付いている事が多く、発電する様子を見る事ができる。
また、上述のように一般器官が体の前側に詰め込まれているため、う○こも喉の近くから出す。
ちなみに脂肪の影響で、[[ウナギ]]と違い食べても美味くはない…らしい。
アクアショップでもごく稀に入荷されることがあるが、巨大になる上に危険性も高いため、一般的な設備で飼育することは極めて難しい。


**◇デンキナマズ
学名:Malapterurus electricus
電圧:&font(red){300~450V}
体長:60~120cm

デンキウナギに次ぐ発電力を持つ種でナイル川を中心にアフリカ各地の湖沼に生息する。
デンキウナギは体の後半部分が発電器官になっているが、デンキナマズは体表を包むように発電器官が発達しており、頭部がマイナス、尾部がプラス極となっている(デンキウナギは逆)。
電気の使い方はだいだいデンキウナギと同じで、こちらも脂肪が絶縁体を果たすため感電死することはない。
日本ではアクアショップで販売されており、家で飼う事も可能。
だが、縄張り意識が強く他の魚を入れると殺してしまうことがあるので単独で飼育する必要がある。
また、暖かい地方に生息しているため冬場は「ヒーター(温度管理)」が必須。


**◇シビレエイ
学名:Torpediniformes
電圧:50~80V
体長:30~40cm

円形の体で、発電する魚では唯一日本近海に生息する。
一対の蜂の巣状の発電器官で獲物を麻痺させて捕食する。
発電できることは古代ギリシャから知られており、出産や手術時に&bold(){麻酔用として利用されていた}。
よくそんなマンガみたいなことを考えつくなァ…。
体の仕組みが解明されるまでは魔術を使う生物だと信じられていたという。
漫画『[[テルマエ・ロマエ]]』で現代に[[タイムスリップ]]した古代ローマの風呂技師ルシウスが「電気」の存在を理解できていたのも、このシビレエイ麻酔を知っていたからである。
また、ラテン語ではトーピードと呼び、[[魚雷>爆弾]]の名前の由来となった。
アクアショップでも稀に入荷しているが、大型の海水魚用水槽が必要であり、難易度は高い。


**◇エレファント・ノーズフィッシュ
学名:Gnathonemus petersii
電圧:&font(#0000ff){1~5V}
体長:約20cm

生息地はデンキナマズと同じくアフリカ。[[アロワナ]]目に属する。
名前の通り[[象>ゾウ(動物)]]の鼻のような突起があるが、鼻ではなく下顎部分が突き出したものである。
これは獲物が水底に生息しているためで、弱い電気を放ちながら濁った水でも獲物を探せる。
実は魚類では最も[[脳]]が大きい種類であり、体との比率でいうと人間を上回る。
現地では食用にされる他、日本でもアクアショップで観賞用の個体が売られているが、性格は臆病で大人しいため危険ではない。


**◇ブラック・ゴースト
学名:Apteronotus albifrons
電圧:&font(#0000ff){1~5V}
体長:30~50cm

デンキウナギ目に属し、ナイフフィッシュの一種。
生息地はベネズエラやペルーで夜行性。
名前の通り黒い幽霊のような不気味な姿だが、性格は臆病なため危険ではない。
アクアショップでも安価で売られており、やや偏食で餌付け次第では肉食魚用の人工餌も食べるようになるが、飼育難易度は初心者向けの魚よりはやや高い。


**◇グラス・ナイフフィッシュ
学名:Eigenmannia virescens
電圧:&font(#0000ff){1〜5V}
体長:オス約45cm、メス約20cm

生息地はチリを除く南米。
グリーンナイフフィッシュとも呼ばれる。
体が半透明で骨や内臓が透けて見える。
平たい体をしており、臀鰭を立たせて泳ぎ、群れで行動する。
性格は大人しいため飼育は比較的容易。


**◇ジムナーカス
学名:Gymnarchus niloticus
電圧:&font(#0000ff){1~5V}
体長:約1.5m

上述したエレファントノーズフィッシュやデンキナマズ同様アフリカに生息する。
エレファントノーズフィッシュとは近縁の関係。
発電する魚ではデンキウナギに次ぐ大きさ。
イルカのような頭部と[[ウナギ]]のような細長い体型が特徴。
視力は弱いためデンキウナギと同じく発電器官をレーダーのようにして獲物を探す。
電圧は弱く、ぶっちゃけ電気よりも何にでも噛み付く獰猛な性格と&bold(){人間の指を噛みちぎることもある}鋭い歯の方が危険。
水槽で飼える魚の中では最強という意見もある。


*【関連キャラクター】
デンキウナギのイメージが強いためか、フィクションではほとんどデンキウナギモチーフのものが登場する。続いてシビレエイ・デンキナマズ辺りであろうか。

・[[エイキング]]、[[ナマズギラー>ナマズギラー(ショッカー怪人)]]([[仮面ライダー]])
・奇械人電気エイ([[仮面ライダーストロンガー]])
・シビレイジン([[仮面ライダー(新)]])
・[[シャウタコンボ]]、電気ウナギカンドロイド、[[メズール>メズール(仮面ライダーオーズ)]]([[仮面ライダーOOO]])
・アオデンキウナギ([[人造人間キカイダー]])
・エレキ[[ウナギ]]、エレキヅノー、[[デンキウナギン>銀河闘士]]、[[サソリナマズギン>合身銀河闘士]]、ウナダイゴ、サウナギンナン([[スーパー戦隊シリーズ]])
・ナマズノイド([[機動刑事ジバン]])
・[[アドルフ・ラインハルト]]、[[発電魚型テラフォーマー>M.O.型テラフォーマー]]([[テラフォーマーズ> テラフォーマーズ(漫画)]])
・ボルギス(七星闘神ガイファード)
・[[ナマズン]]、[[マッギョ]]、シビシラス、シビビール、[[シビルドン]]([[ポケモン>ポケットモンスター]])
・・[[ナマズン]]は頭部に黄色いWにも似たマークを持つ他、電気技である「スパーク」を覚えたりする。
・[[エレキング]]([[ウルトラマンシリーズ]])
・でんきウナーギ([[MOTHER2>MOTHER2 ギーグの逆襲]])
・[[マンタ>マンタ(スーパーマリオサンシャイン)]]([[スーパーマリオサンシャイン]])
・デンチナマズ、オオデンチナマズ([[Splatoonシリーズ]])
・[[エレゲン>超獣化兵五人衆(強殖装甲ガイバー)]]([[強殖装甲ガイバー]])
・ウナギング([[空想科学大戦!]])
・イール([[THE ビッグオー]])
・電気ウナギイヌ(東京ガスのCM)
・[[カール・ハイゼンベルク]]((作中のレポートにて、シビレエイなどの魚に見られる「発電器官」が形成された怪人と説明されている。))([[バイオハザード ヴィレッジ]])
・ゴルガノス([[モンスターハンター]])
・[[ヴォルティール・ビブリーオ>バイル八審官]]([[ロックマンゼロ3]])
・・デンキウナギ型レプリロイド。ポリネシア神話に伝わる雷や津波を操る鰻の神・トゥナもモチーフとしている
・[[エレキテル・ナマズロス]]([[ロックマンX3]])
・デンキナマズ([[エース・オブ・シーフード]])


*【余談】
・デンキクラゲ
魚ではないが、同じ水生生物仲間の&bold(){クラゲ}界隈にも、デンキクラゲと呼ばれるカテゴリが存在する。
最も代表的なのは、[[カツオノエボシ]]。

ただし、クラゲの場合は&bold(){感電したかのように強烈な痛みを生じる[[毒]]を持つ}というだけであり、ここで挙げた魚のように本当に電気を発する種はいない。
それでも、ここから派生してクラゲと電気を結びつける創作はよく見られる。


・電気エネルギーへの転用
&bold(){&color(orange){電気魚を用いた発電システムの発明}}という研究の分野が存在する。
具体的には、シビレエイから切り取った&bold(){発電&ruby(・・){器官}を用いて発電&ruby(・・){機関}を作り出す}研究や、シビレエイを&bold(){家畜のように育てて発電を行わせる}研究なども行われているらしい。
現在(2022年執筆次点)においてはまだ発電所レベルの発電機関にはほど遠い状況であるものの、プロセスの解明や実際に電気を作り出す実験などは成功例がある。


追記・修正は発電する魚を素手で獲ってからお願いします

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- 一覧項目には当たらないだろうけど、調べると「電気魚」「発電魚」というのが一応総称としては比較的使われているようなので、そちらに合わせた方がいいのでは?生物学的な総称ではないようだけど…  -- 名無しさん  (2022-11-14 20:38:55)
- サルゲッチュのでんきなまず  -- 名無しさん  (2022-11-14 21:13:31)
- テラフォーマーズではデンキウナギかデンキナマズっぽい手術を受けたゴキブリが出たことがあるが、そのまま平成に置き去りになったので登場コマは2コマぐらい  -- 名無しさん  (2022-11-14 21:44:41)
- テラフォで電気ウナギと言うならゴキブリより前にアドルフさんの名前を出さなきゃ! 序盤に退場するには惜しい魅力の持ち主だったな…そういう生死がシビアな所も作品の魅力なのだけれど。  -- 名無しさん  (2022-11-15 02:45:22)
- 関連キャラの項目を削除しないと一覧項目になりそう  -- 名無しさん  (2022-11-15 06:39:29)
- ナマズンにデンキナマズ要素あるか?  -- 名無しさん  (2022-11-15 07:15:50)
- デンキウナギを食べれば雷も怖くない!←ものすごい超理論だ!  -- 名無しさん  (2022-11-15 07:26:45)
- ↑2 ランターン「彼はタマゴ技でスパーク覚えるから……(´・ω・`)」  -- 名無しさん  (2022-11-15 11:00:27)
- ブラックゴーストは肉食魚用の人工飼料モリモリ食うしそれほど難しくないぞ  -- 名無しさん  (2022-11-15 21:52:19)
- エレキング? と思ったけど、幼体か。  -- 名無しさん  (2022-11-16 10:41:35)
- ↑6 問題ないとは思いましたが、確かに一覧の割に概要の部分が短かい気はしたので、少し追記しました。  -- 名無しさん  (2022-11-16 21:37:09)
- エレキングは当初「湖に生息していたデンキウナギを宇宙人が育てて怪獣化する」という脚本だったけど「日本にデンキウナギはいねえよ!」という事で宇宙怪獣になったそうな。外見上のモチーフはポインター犬。  -- 名無しさん  (2022-11-17 12:02:00)
- スカイガールズで電気ウナギ型ワーム(ナノマシン集合体の機械生命体)が登場してたな  -- さ  (2022-11-17 23:17:47)
- 実写アメスパのエレクトロは電気ウナギに噛まれてああなったね バイオハザードのハイゼンベルクはシビレエイに似た発電器官があるからあんなマグニートーみたいなことができるんだったな  -- 名無しさん  (2023-09-18 00:03:44)
- ↑電気ウナギとシビレエイの中間の電力の電気ナマズだと何ができるようになるんだろうな…  -- 名無しさん  (2023-11-15 13:15:22)
- シビレエイの情報にはびっくりしたわ。古代ギリシャ人が医療用麻酔に応用したとか、それで電気のことも理解できるとか。日本近海にいるってのも驚き。  -- 名無しさん  (2024-02-05 14:32:08)
- 電気鰻が九州やら信濃川にいるってどゆこと  -- 名無しさん  (2024-09-25 16:01:37)
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