ほうかごがかり(小説)

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ほうかごがかり(小説) - (2025/05/13 (火) 22:41:20) のソース

&font(#6495ED){登録日}:2024/06/12 Wed 19:20:00
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&font(#6495ED){所要時間}:約 10 分で読めます

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#center(){
|BGCOLOR(#000000):&bold(){&font(#ff0000,){}&br()&font(#ffffff,19){よる十二時のチャイムが鳴ると}&br()&font(#ffffff,19){ぼくらは『ほうかご』にとらわれる}&br()&font(#ff0000,){}&br()&font(#ffffff,19){そこには正解もゴールもクリアもなくて}&br()&font(#ff0000,19){ただ、ぼくたちの死体が積み上げられている}&br()&font(#ff0000,){}&br()}|
}

#center(){&sizex(7){&font(#,#000000){ほうかごがかり}}}


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*■概要

ほうかごがかりとは、[[『Missing』>Missing]]や[[『断章のグリム』>断章のグリム]]の&bold(){甲田学人}著の&s(){ホラー}メルヘン小説である。

突如として怪異が巣くう異常な空間&bold(){「ほうかご」}へと囚われた子供たちが、生き残りを目指して怪異の&bold(){「記録」}に挑む、恐怖と絶望、そして熱狂の物語。

2024年6月現在、電撃文庫より3巻まで刊行されている。

著者の過去作を知る読者がお察しの通り、今作も例に漏れずに&bold(){非常に容赦のない作風}である。


*■あらすじ

ある日、小学生の二森啓は教室の黒板に自分の名前が書かれているのを目撃する。
その傍には&bold(){「ほうかごがかり」}という謎の言葉が…

その夜のこと、自宅で眠る二森啓の部屋に、突如として&bold(){校内放送}が響き渡る。

#center(){&color(#ff0000,#000000){……かかり、の、連絡でス}}
#center(){&color(#ff0000,#000000){ほうかごガかり……は}}
#center(){&color(#ff0000,#000000){ガっ……こウに、集ゴう、シて下さい}}

異常な事態。しかもこの放送は、&bold(){母親の部屋へと続いている筈の扉}から聞こえてくるのだ。
怯えながらも母の無事を確かめるため扉へ近付くと、扉がひとりでに開く。
おそるおそる一歩を踏み出すと、その先に広がっていたのは&bold(){不気味な夜の学校の屋上}だった。

混乱する二森啓。しかし後ろを振り返ると、既に自室へ続くはずの扉は消えていた。

外観だけならそこは普段通っている[[小学校]]。しかし、明らかに異常がある。
学校の周囲を囲む子供の亡霊。校庭を埋め尽くす墓。暗い校舎の中にはいたるところに&color(#ff0000,#000000){いる}の貼り紙。そして絶えず感じる、不気味な気配…

怯える二森啓の前に現れたのは彼の友人、緒方セイだった。
彼に連れられて辿り着いた表の世界では&bold(){開かずの間}と呼ばれる部屋。そこには二森啓や緒方セイと同じような&bold(){数人の少年少女}が集まっていた。

そして彼らは、顧問を自称する白髪の少年タロウさんから告げられる。

#center(){&bold(){じゃあ、まあ、よろしくね}}
#center(){&bold(){今年の&color(#F54738){『ほうかごがかり』}のみなさん}}

君たちは選ばれたのだと。
この夜の学校&bold(){「ほうかご」}に巣くう怪異、&bold(){「名無不思議」}の記録者たる&bold(){「ほうかごがかり」}に。

逃げ場はない。
生き残るためには、記録するしかない。
果たして彼らは、恐怖と絶望の&bold(){「ほうかごがかり」}を生き残れるのだろうか…?


*■ほうかごがかり

夜の[[小学校]]の姿をした異常空間「ほうかご」に囚われた子供達の総称。
一人一人に担当する名無不思議が存在し、&bold(){その記録を行うこと}が「かかり」の使命となる。

毎年4月に7人が選ばれ、[[小学校]]を卒業するまで毎週金曜日(正確には[[土曜日]])の午前12時12分12秒に「ほうかご」へと呼び出され、同じく午前4時44分44秒まで閉じ込められる。

途中で死亡者が出た場合でも年度内は「かかり」は補充されることはなく、次の年の4月を迎えた時に昨年の生存者を含めて7人になるように再度「かかり」が選ばれるシステム。

過去にはこの「ほうかご」から逃れようとした子供達もいたものの、金曜日の呼び出しに応じなければ&bold(){無理やり「ほうかご」へと引きずり込まれ}、「ほうかご」内で校外に脱出しようとしても『学校わらし』に阻まれるため、逃れることに成功した子供は一つの例外を除いて存在していない。

また大人は「ほうかご」のことを認識できないため外部の助けも期待できない。「かかり」の子供達が無理に助けを求めたとしても&bold(){その瞬間だけ虚脱状態になり不自然に無視されてしまう}のだ。

他の[[小学校]]の「ほうかごがかり」や「かかり」を生き残り卒業したOBと連絡を取ることは可能なものの、彼らも「ほうかご」に入れないため意味のある助けにはならないらしい。

「ほうかご」内で死亡した「かかり」はその&bold(){存在自体がなかったこと}にされてしまい、同じ「かかり」以外の記憶からは消え去ることとなる。
親しい肉親には朧気ながら記憶が維持されたり、「かかり」の遺品が存在し続けることもある。

「ほうかごがかり」の起源は不明ながら少なくとも数十年以上前から存在しており、また一つの小学校ではなく&bold(){全国の全ての小学校で}同じ現象が起きていることが示唆されている。

以下は物語時点でのメンバー。

**二森 啓
六年生の男子。
担当怪異は&bold(){『まっかっかさん』}

物静かで寡黙な少年であり、熱意というものを見せることがない。
かつては裕福な暮らしをしていたが、父親が息子の啓に虐待を加える人間のクズだったために両親が離婚。現在はシングルマザーの母親との二人暮らしで、貧しい生活を送っている。

絵描きを趣味としており、数々のコンクールで賞を取るなどその才能は本物。
描くことを「克服」とみなす独特の創作姿勢と子供らしい豊かな感性も相まって&bold(){「本質を捉える力」}が芸術家の域に達しており、その能力を活かして怪異の記録に臨もうとしている。

緒方セイとは親友。

**緒方 セイ
六年生の男子。
担当怪異は&bold(){『学校わらし』}

運動神経抜群で学業優秀、更には実家がお金持ちで人柄もよくみんなに慕われているという&bold(){完璧超人}。
両親もセイに惜しみなく愛情を注ぐ素晴らしい人物であり、親子関係も円満である。

「ほうかごがかり」は二年目で、堂島菊と共に昨年を生き延びた。
その経験を活かしてリーダーシップを発揮し、「ほうかご」を生き残るためのしおりの作成や記録の管理、更には各メンバーのメンタルケアまで行うなど八面六臂の活躍を見せる。

二森啓とは親友。

**見上 真絢
六年生の女子。
担当怪異は&bold(){『赤いマント』}

キッズモデルをするほど容姿端麗。立ち振る舞いも大人びて社交的でクラスでも人気者で、学校カーストの最上位に位置している。

家庭は裕福で、母親がマネージャーとして真絢の生活を徹底的に管理している。

周囲が望む自分を演じるのが得意であり、学校での社交的な振る舞いも実は半分演技。キッズモデルも母親の期待に応えるためにやっているだけなど、内心では確固たる自分がなく操り人形のような生活を送っていることに強いストレスを感じている。

「ほうかごがかり」にはあまり関心がなく、記録もおざなりになっている。

**瀬戸 イルマ
五年生の女子。
担当怪異は&bold(){『ムラサキカガミ』}

いつも猫のようなフードのついた[[パーカー]]を着ている少女。
日本人の父親とインドネシア人の母親のハーフであり、かつてはインドネシアで暮らしていた。
その間に日本文化を理解するためにと触れてきた日本のアニメや漫画から「ヒロイン」という存在に強い憧れを抱いており、同時にそうした存在になれないあまりに普通な自分にコンプレックスを抱いている。

そのためキッズモデルとして活躍している見上真絢を神聖視しており、「ほうかごがかり」に臨むにあたって彼女の存在を支えとしている。

生来臆病であり、「ほうかごがかり」の活動には消極的。


**小嶋 留希
五年生の男子。
担当怪異は&bold(){『こちょこちょオバケ』}

線が細く女の子のような恰好をしているため女子と間違えられがちだが、れっきとした男の子。
トランスジェンダー[[というわけ]]でもなく、本人の性自認も男である。

女の子のような恰好をしているのは母親の趣味であり、大きくなったルキが嫌がるようになっても強制しているようだ。
案の定学校では恰好のせいで浮いており、いじめの対象となっている。
そうした事実を母親も把握しているがそれでも自分の趣味を優先させているなど結構な毒親。

「ほうかごがかり」には真面目に取り組んでいるものの、その記録にはおかしな点が見られ…?

**堂島 菊
六年生の女子。
担当怪異は&bold(){『テケテケ』}

物静かでいつも箒を抱えている少女。
セイと共に昨年の「ほうかごがかり」を生き残ったサバイバーだが、セイの陰に隠れてあまり目立たない。

実は霊媒体質の持ち主であり、表の世界でも霊的な存在を惹き付けてしまうためケガが絶えない。
ある霊能者から教えを受けたことで簡単な除霊や結界の作成が行える。

その能力を活かして『テケテケ』を教室に封じ込めることに成功しており、定期的に封印の状態を確認している。

霊能力で二森啓のサポートをすることが多い。

**タロウさん
年齢不詳。
担当怪異は&bold(){『開かずの間』}

「ほうかご」のあかずの間にいる白髪の少年。
名無不思議の記録の[[管理人]]のようなことをしている。

皮肉屋で偽悪的に振舞い、「ほうかごがかり」の少年少女への対応は辛辣。

実はかつて『開かずの間』の記録に失敗し、その際に幽霊の腕に足を掴まれたことで開かずの間から出ることができなくなっている。
結果として「ほうかご」に&bold(){数十年間閉じ込められる}ハメとなっており、歴代の「ほうがごがかり」の活動内容に詳しい。

その知識で「ほうかごがかり」にアドバイスをし、時に名無不思議の正体に迫るような考察を披露することもある。

*■名無不思議

七不思議とかけており、ナナフシギと読む。&s(){オヤジギャグ}

「ほうかご」に跋扈する怪異の中でも特に&bold(){「かかり」の担当が存在する怪異}がこの名称で呼ばれる。
実在する怪談と似た特徴を持つ名無不思議が多く、記録のためにつけられる名前もそれにあやかったものが多い。

作中では&bold(){怪談の雛}と表現されており、基本的に「ほうかご」でしか存在できない生まれたての怪異である。
生まれた当初は怪異としての力も強くなく、活動場所も限定されており遠巻きに観察する分にはそこまで危険でもない。

しかし時間の経過や「かかり」の理解が深まることで&bold(){加速度的に危険度を増す}性質を持ち、特に「かかり」を食らった名無不思議は「ほうかご」を出て現実世界で実体化するほどの力を得る。

担当する「かかり」との関係性は不明瞭ながら、「かかり」が「ほうかご」に入った際に必ず担当する名無不思議の前に現れるようになっているなど、何かしらの繋がりを感じさせる描写が多い。
また担当の「かかり」に取り憑くことが可能で、現実世界でも幻覚として「かかり」の前に現れることがある。

こうした明確に「かかり」を認識した行動から、
名無不思議は「かかり」を&bold(){「最初のエピソード」の犠牲者}とすることで怪談として完成しようとしており、完成した名無不思議が完全に「ほうかご」から解き放たれることで、全国的に語られるような怪談が生み出されているのではないかとタロウ君は推測している。

名無不思議には「かかり」に記録を作成されると弱体化してしまうという弱点が存在し、記録が詳細であればあるほど完全な無害化へと近づいていく。
ただし単純に見た目や性質を記録するだけでは不十分であり、その名無不思議が持つ本質を捉えて記録することが重要となるらしい。
一方で名無不思議への理解を深めることは&bold(){「かかり」と名無不思議との距離が近くなってしまう}ことも意味し、大きな危険が伴う。

この名無不思議の記録に挑み、少しでもその脅威を減じることこそが「ほうかごがかり」の使命となる。





追記・修正はかかりを生き残ってからお願いします。

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- 小説3巻あとがきによると、話はまだ続くらしいので完結ではないかと。  -- 名無しさん(2024-06-12 22:28:36)
- ↑すいません勘違いしていました… 情報ありがとうございます。修正しました。  -- 名無しさん  (2024-06-12 22:38:43)
- 二森君の旧姓が出た瞬間ガチで悲鳴上げた。  -- 名無しさん  (2024-06-15 18:43:26)
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