&font(#6495ED){登録日}:2024/11/24 Sun 15:45:09 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 6 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- 『&bold(){異次元の色彩}』もしくは『&bold(){宇宙からの色}』((他、『外宇宙の色』、『宇宙の彼方の色』などと訳されている))は、[[ハワード・フィリップス・ラヴクラフト]]の短編小説(The Colour Out of Space)、及び作中に登場する生物?(Colour Out of Space)。 *■小説概要 1880年代にアーカム西部のガードナー家の農場に[[隕石]]が落ちたことを発端に、“色彩”によって動植物が侵される異変を描いた物語。 初出は『Amazing Stories』1927年9月号。 日本では創元推理文庫の『ラヴクラフト全集』4巻や新潮文庫の『インスマスの影』などに収録されている。 **メディアミックス -『襲い狂う呪い』(Die, Monster, Die!) -『デッドウォーター』(THE CURSE) -『宇宙の彼方より』(DIE FARBE) -『カラー・アウト・オブ・スペース -遭遇-』(COLOR OUT OF SPACE) のタイトルで4回映画化されている。 この内、『デッドウォーター』は隕石に潜んでいた液体が元凶と改変された。 *■生物?概要 通常のスペクトルとは異なる奇妙な“色彩”。隕石内部の球体の“種”から生まれ、井戸水など水系に潜んで近辺の動植物を汚染して生命を吸い取り、煙やガス・光のような状態に成長する。十分に育つと宇宙へと飛び立つが、その際一部を潜んでいた水系に残していく。 隕石は金属製だが柔らかく可塑性があり発熱している。空気中では徐々に縮み、ケイ素化合物に反応して消失する性質を持つ。加熱してから分光器に掛けると未知のスペクトルが検出される。 動植物の汚染は、まず植物から始まり初期には表面上は豊かに実ったように見えるが果実などは人間には食せない味となる。 次に小動物が異常行動を起こし、植物は奇妙な“色彩”を帯びて僅かに動くように感じられるようになる。 最後には植物も動物も、灰色の脆い物質に変わり果て崩壊して死に到る。 方法は不明だが、子供を二人井戸に引き込んでおり心を操るか物理的に接触する手段を持つことが示唆される。 **『異時間の色彩』では マイクル・シェイの小説『異時間の色彩(The Color Out of Time)』に登場した進化系と混交したデータが[[TRPG]]で採用されパブリックなイメージとなっているため、そちらについても解説する。 『異時間の色彩』は、ラヴクラフトが現実に起こった事件を取材して『異次元の色彩』を執筆したという世界観の作品で、農場一家の苗字がサイムズなど細部は異なるものの概ね原作通りの事件が過去に起こっている。 作中に登場するものは原作ラストで井戸に落ちた子孫で、進化して親にはなかった性質を獲得している。 子孫は親よりも成長スピードと影響範囲が増大しており、食欲にも際限がなく十分に栄養を取ると物質化することが可能となる(作中ではゼリー状の塊や蜘蛛のような獣の姿で実体化した)。 動物の肉だけでなく[[知的生命体の恐怖心を食糧にしており>スペースビースト]]、捕らえた犠牲者が黒炭のようになっても生かし続けて叫び声を啜る。恐怖心の捕食に関しては距離は関係なく一度“色彩”に汚染されると縄張りから離れても心を支配され自殺や他害など惨劇を引き起こすように操られる。 植物への影響力も増しており、人間を枝葉で引き裂き幹で叩き潰すほどに大きく動き回らせる。 ラヴクラフトとハームズの調査により、どれだけ力を増しても隕石の落下地点に“根”が残り、〈エルダーサイン〉で撃退できるという弱点が突き止められている。 **その他の登場作品 ・『&bold(){橋の下の怪物}』 ジョン・ベレアーズの児童書『ルイスと不思議の時計』シリーズの8巻目。 “色彩”によって灰色の荒野となった農場が登場する。“色彩”の犠牲となった生き物は灰になっても死ねておらず、旧支配者の復活などの異常が起こると末期の脆い灰色の体で蘇る。 ・『&bold(){シャーロック・ホームズとミスカトニックの怪}』 ジェイムズ・ラヴグローヴの『クトゥルー・ケースブック』の2巻目。 隕石の消失はミスカトニック大学が捏造したカバーストーリーで、実際は学生が盗んで転売したという設定になっている。隕石は歴代の購入者を犠牲にした末にシャーロック・ホームズの手に渡りコンパスに加工された。 隕石の落ちた農場に関しては、真偽不明の噂話として怪現象により農場一家が滅んだらしいことが触れられる。 ・『&bold(){異次元の灌木}』 ブライアン・ラムレイの短編。『黒の召喚者』に収録されている。 “色彩”は放射線と解釈されている。農場跡地から掘り出された灌木が怪物化した。 ・『&bold(){ホームズ鬼譚 異次元の色彩}』 異次元の色彩VSシャーロック・ホームズがテーマのアンソロジー。 日本人作家による小説2作とゲームブック1作が掲載されている。 ・『&bold(){星々からの呼び声}』 山本弘の短編。『トンネル・ザ・トロールマガジン』の5号に掲載された。 ラヴクラフトの小説はノンフィクションという設定で、“色彩”の正体は放射性同位元素の毒と解釈されている。 生まれながらに体に毒を宿したアミ・ピアースの孫娘が登場する。 ・『&bold(){死もまた死するものなれば}』 原作・海法紀光×桜井光、作画・狗句の漫画。 くねくねと揺れる人影のような姿を取る“くねくね”と、それが宇宙に帰還できず暴走した“宇宙からの狂える色”と呼ばれる亜種が登場。 くねくねは自身を視認した人間から精神エネルギーを吸い取り成長・増殖する。一度でも目撃してしまうと付け狙われ、目を潰したとしても視えてしまい逃れることは不可能。 宇宙からの狂える色は成長の上限が無くなり際限なく巨大化する。 追記・修正お願いします。 #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,3) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #areaedit() - 壊すべき家に住むとある偏屈な絵描きが従えてた「絵の具」もこれが元ネタらしい -- 名無しさん (2024-11-24 19:10:32) - ホラーというよりSFかな。「宇宙には、人類には理解はもちろん想像すらできないものがいる」というお話 -- 名無しさん (2024-12-02 18:51:14) #comment() #areaedit(end) }