セラの天使

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セラの天使 - (2016/09/06 (火) 10:18:04) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2009/09/23(水) 22:09:29
更新日:2024/04/21 Sun 16:16:30
所要時間:約 6 分で読めます




セラの天使はカードゲームMagic the Gathering内に存在するカードの一つである。

〜スペック〜
Serra Angel / セラの天使 (3)(W)(W)
クリーチャー - 天使(Angel)
飛行
警戒(このクリーチャーは攻撃してもタップしない。)
4/4

ちなみに「セラ」とは「serrated(意:鋸状の、ギザギザの)」という単語から作られた造語である。


〜基本情報(黄金期)〜
マジック創世の時代より存在する白の代名詞といっても過言ではないカードの一枚。
登場当初はアンコモンで入手しやすく、しかも初心者にも分かりやすい強さだったことから、
かつて三大白レアと呼ばれた神の怒りハルマゲドン・十字軍以上に影響力があったと言っても過言ではないだろう。
現にそのあまりの人気から彼女を基にプレインズウォーカーのセラはデザインされ、
漫画「デュエルファイター刃」では世良円の名前の由来になったなど逸話は多い。

今でこそこのスペックを超えるクリーチャーは枚挙に暇が無いが、
昔は今よりも2〜3段階はクリーチャーの質が悪かった事を忘れてはならない。
その中で5マナ4/4飛行という5回殴れば人が死ぬ上に、
攻撃に参加してもタップしないおかげで攻撃しながらブロックにも参加できる彼女がいかに偉大だったかは想像に難くない。
特に、飛行で一方的に攻撃を通す攻撃性を持ちながらも、一方で飛行を持っているが故の守備範囲の広さの両立は『ずるい』と言いたくなるくらいの安定感があった。
(リミテッドで彼女を使えば、今ですらなお同じ感想を抱くことであろう)
この安定感は後の天使たちのデファクトスタンダードとなり、彼女の後輩たちの多くが飛行と警戒を持つようになった。
彼女は飛行と攻撃に参加してもタップしない能力の相性の良さを世に知らしめた立役者でもあるのだ。

もちろん稲妻で焼かれないタフネス4というのも見逃せない点である。
タフネス3という非情な生存境界線を乗り越え、まさに不沈艦の如く戦場に降り立つ彼女は僕達の憧れの存在であった。
(まぁ、恐怖に身がすくんだり農場で畑耕したりすることも多かったけどね、うん)

その強さゆえにビートダウンからコントロールまで白ならばある程度デッキを選ばずに投入できたカードの1枚であり、
あるときはかのThe Deckや往年の青白コントロールの勝ち手段に選ばれ、
またあるときはゲドン後の荒野を駆ける役目をアーニーの兄貴と奪い合ったりしていた。
余談ではあるが、なんと人によってはヒッピーゲドンとスイッチしつつ3Tに彼女に出すために暗黒の儀式を入れていた事例もあるというからオソロシイ。
彼女を使うために禁忌に手を染めちゃう人もいただなんて、なんと罪深き天使様であろうか…。(まぁルール上は全く問題ないのだけれど)

しかし、ここまで多くのプレイヤーに愛された彼女であったが、
残念なことに彼女の強さはあまりに時代とかけ離れすぎていた…。
非情にも、今までマジックの顔として頑張って来た彼女に第5版行きのチケットは手渡されなかったのである…。

〜基本情報(衰退期)〜
彼女との別れからどれだけの時が過ぎただろう…、
彼女が不在の頃のマジックは俗に言う暗黒期だったに違いない。
MoMaという黒歴史がプレイヤーの心をズタズタに引き裂き、冬が来た。

だけど、第7版の情報が出たとき…「彼女が帰ってくる!」ってキャッチフレーズを見たとき…、
間違いなく僕は…、そして多分君たちも…、「ときめき」ような気持ちを覚えたに違いない。
彼女の「ただいま」を心から歓迎し、また再びデッキを手に取ったのではないだろうか?
彼女の大活躍を今一度確認するために。

…だが、結論から言うと彼女はほっとんど活躍できなかった。
確かに彼女の復活は当時コロコロのDMの影響でMtGのメイン層が小中学生になりつつある中で、
かつてマジックをやめたプレイヤー達を引き戻す点では力を発揮したが、
この頃のマジックはクリーチャースペックの著しい上昇により、彼女でもどうしようもない環境だったのだ。

まず4マナ5/5被覆のブラストダーム、5マナ6/6+α*3の魂売りは、
目を疑うかのような圧倒的なスペックで彼女を凌駕し、彼女から「高スペック」という称号を剥奪した。

~参考スペック~
Blastoderm / ブラストダーム (2)(G)(G)
クリーチャー — ビースト(Beast)
ブラストダームは呪文や能力の対象にならない。
消散3(このクリーチャーは、その上に消散(fade)カウンターが3個置かれた状態で戦場に出る。あなたのアップキープの開始時に、それから消散カウンターを1個取り除く。できない場合、それを生け贄に捧げる。)
5/5

Spiritmonger / 魂売り (3)(B)(G)
クリーチャー — ビースト(Beast)
魂売りがクリーチャーにダメージを与えるたび、魂売りの上に+1/+1カウンターを1個置く。
(B):魂売りを再生する。
(G):魂売りは、ターン終了時まであなたが選んだ1色の色になる。
6/6

それでも陸と空という根本的な戦場の違いがあった以上、ここまでならまだアイデンティティの保ちようもあった。
しかし、彼女の風前の灯であった存在価値は完膚無きまでにぶち壊わされる。ある赤と青のカードによって。

まずは、環境を一変させた狙いをつけるのが上手い、鈍くて愚かな遺伝子変異体、火炎舌のカヴー

~参考スペック~
Flametongue Kavu / 火炎舌のカヴー (3)(R)
クリーチャー — カヴー(Kavu)
火炎舌のカヴーが戦場に出たとき、クリーチャー1体を対象とする。火炎舌のカヴーは、それに4点のダメージを与える。
4/2

わずか4マナで4/2のスペックを持ちながらcipでクリーチャーに4点ダメージを与えるチートクリーチャー。
コイツによって彼女は、いやあまねく全ての防御手段を持たぬタフネス4の存在(センギアの吸血鬼とか)は否定されてしまったのだ…。
いつの時代も、マジックには火力などの呪文によって定められるタフネスの壁が存在してきた。最たる例は稲妻の3点の壁だろう。
この時代には稲妻は消えていた、もちろん火葬すらもだ。
ぶっちゃけショックと火山の槌とクソ高いウルザの激怒しかロクな火力の無かった赤は単色ではやっていけないほど弱体化していたはずだった。
しかし、それすらも補って赤を復権させ、すべて変えてしまった存在…それがこの火炎舌のカヴーなのだ。
それほどまでにタフネスの壁を引き上げるという功績(あるいは罪)は大きなものだったのである。

だが彼女の悲劇はこれで終わらなかった。そう、もう一つの青いカードの登場である。

次に紹介するのは、4/4や6/6の地を這うワーム達に空飛ぶ術を与えたインカーネーション、不可思議

~参考スペック~
Wonder / 不可思議 (3)(U)
クリーチャー — インカーネーション(Incarnation)
飛行
不可思議があなたの墓地にあり、かつあなたが島(Island)をコントロールしているかぎり、あなたがコントロールするクリーチャーは飛行を持つ。
2/2

…聡明なる諸君、セラの天使の強さはなんだったであろうか?
高いスペック、攻防一体の運用、火力への潜在的な耐性、などなど色々あるが最たる物は「飛んでいる」ことであった。
もっと言うなら、飛んでいるにもかかわらず十分なサイズと有用な能力を持っていること、これこそが彼女の強さだったのだ。

しかし、インフレの進んだこの時代に、よりスペックの高い…もしくはよりコスパの良いクリーチャーが空を飛べてしまったら、
そこに彼女の空はあるだろうか?いや、残念ながら無かったのだ。
もっと言うならシヴ山のドラゴンの空も、センギアの吸血鬼の空も無かった…。

マッドネスを利用してたった3マナで出てくる4/4ワーム、墓地から唱えれば4マナで出せる6/6ワーム、
墓地と手札を食ってとんでもないサイズに膨れ上がるサイカトグ、マッドネスの軸となった優秀なクリーチャーたち、
こんな奴らがみんなして飛行を持ってしまったのだ。そりゃどうなってしまうかはお察しいただきたい

空にすら、彼女の居場所はなくなってしまったのである。

…復活の際アンコモンからレアに昇格していたセラの天使が、
かつて自分が在籍していたアンコモン枠のカヴーと不可思議に存在が全否定されてしまったのは皮肉としか言いようがない。

だが、かつてアンコモンとして強いレアを差し置いて僕らを支えてくれたのが彼女だとするなら、
カヴーや不可思議といったアンコモンの後輩たちは、同じようにレアを否定して当時の子どもたちを支えただけなのかもしれない。

しかしながら多くの人達に愛された彼女にとって「使えない」という烙印が押されるのはどんな気分だったのだろうか…。
(出オチとまで称されるアーニーの兄貴に比べたらまだ大分マシであるが)

僕らは忘れてはいけない、彼女の屈辱を。哀しみを。そして彼女への感謝を。

〜基本情報(そして現在へ…)〜
最強の天使の座を賛美されし天使へと譲った後、彼女はのんびりと引退生活を送っている。

たま〜にリミテッドでシヴ山のドラゴンさんと共に昔の強さを見せつけたり、アダーカーの戦乙女や黄昏の番人といった若手達の相談相手になったりとそれなりに忙しそうだが全盛期の比ではない。

…ところがそんな彼女に2009年風雲急を告げる怒涛の展開が待ち構えていた。

M10に悪斬の天使という彼女を遥かに超える化け物が登場したのはまぁ置いておくとして、
『LORD of VERMILIONU』に参戦が決定したのだ。(最早過去形だが)

里子に出されたなどの否定的な意見もあるが、今はただ彼女の幸せな未来を信じて見守ってあげようじゃないか。
みんなの天使様が再び輝きを取り戻してくれるのかもしれないのだから…。

to be continued...

〜さらにその後〜
第7版から基本セットでのレア度は一貫してレアだったが、
マジック2010での再録でアンコモンに格下げ(といっても登場当時と同じだが)された。
このため、カードプールの限られるリミテッドではアンコモンとは思えないハイスペックさで当時を彷彿とする大活躍をしている……気がする。
そして2015ではパック収録はされないが初心者入門のための配布デッキに入る事になり、優秀なアンコモンが入る枠を邪魔しない点で上級者からは喜ばれ初心者にMTG代表の天使として知ってもらえ、初心者の切り札になるというかなり美味しいポジションを得られた。

また上述の通り『LORD of VERMILIONU』に参戦。レアリティはやはりアンコモン
以下LoVUのステータス
種族:神族
コスト:20
HP:410
攻撃力:50(光)
防御力:65(闇弱点)
速度:4
フィールドスキル:Wゲート
サポートスキル:なし
特殊技:回復『天使の慈悲(エンジェルズ・マーシー)』

と攻守走とバランスがよく(LoVにおいては特化したステータスよりもバランスがいい方が強い 例外あり)、同じく神族のオーディンと組めば回復を駆使した一撃離脱型デッキが組める。
また、同じく神族のゲストのサルカン・ヴォルと組ませれば高攻撃力だが防御に不安のあるサルカン・ヴォルを要塞化出来る。

更に特殊技の回復力も馬鹿にならないと高性能。
やはり往年のエースは格が違った。
全盛期は過ぎたが、今でもHP関連の特殊技持ちか、低い防御性能だが優秀な特殊を持つといったカードの実験投入等に使われて、他のカードの実力を調べるという調査員のような役目を果たしている事が多い。
しかしⅢに移りⅡの運営が終了宣言がなされたころ、彼女は最前線で戦い続けていた。理由は最終盤ではⅢでは入手がまず不可能な称号入手目当てのプレイヤーが多く、神種の称号入手において妖星乱舞のBGMを流せるようになるケフカ、そして属性が異なる上称号も取れる関羽と30コス2体の構成でまず60コストを消耗していた。そして化け物染みた固定ダメージのエリザベスや凄まじくトリッキーかつ優秀なイザナミ、数秒完封する【】マッドハッター等を率いる不死が蔓延していた。そのため如何に上記の二人を生存させるかが鍵となっていたのである。そこで不死の弱点を点ける光かつ、HP回復により生存率を高める彼女に多くの人が目を付けた。その上最終バージョンにおいて長時間DEFを上げる10コスのティファリスが追加され神の称号取りの弱点を補う事が彼女を含めることで最高の戦いが出来るようになったのである。
Ⅱの最初に現れ、最終盤で再び輝いた彼女はMTGではなしえなかった後に評価されるカードとして最後まで戦い続けⅡの終わりとともに使命を終えたのである。

更に応募者限定のスペシャルカードにも選ばれた。
…他のスペシャルカードに選ばれた奴らと違い倍率が100%越えてないのは突っ込んではいけない。
正直もっと美人なアテナとかラクシュミーに匹敵するイラストがあれば…。


まやかしの預言者「セラに愛されるために生きてきたんだろう。 セラの愛のために死ぬ気はないか? 」
















セラ天「…もし、あなたが白いデッキを組もうとしていて、
クリーチャーに困っているのでしたら、良かったら私を使ってみませんか?

えへへ、大丈夫ですよ〜。私…、これでも昔はとっても強かったんですから。」



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