J・ゲバル

「J・ゲバル」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

J・ゲバル - (2023/10/25 (水) 02:49:23) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2014/07/22 Tue 14:42:19
更新日:2023/11/26 Sun 11:16:26
所要時間:約 10 分で読めます





死ぬにはいい日だ






J・ゲバルはバキシリーズの登場人物。
シリーズ第3部・『範馬刃牙』の超絶!!監獄バトル編に登場。
CV:野島健児

●目次

◆概要◆


全米でも指折りの凶悪犯罪者、いわば犯罪エリートが収監されるアリゾナ州立刑務所
通称『ブラックペンタゴン』の服役囚。
大統領誘拐の罪状で逮捕された刃牙や、最大トーナメント編の出場選手アイアン・マイケル
収監された房の牢名主的存在であり、所内では囚人から看守に至るまで知らぬもの無き有名人。
皆からは『ミスター2(セカン)という異名で呼ばれている。

およそあらゆる『自由』を剥奪される監獄内において

  • 朝食の献立のポークビーンズが気に入らなかったので自分専用の特別メニューオムレツ。おいしそう)を作ってもらう
  • 看守の前で喫煙、あまつさえ拳銃を勝手に抜いて弄ぶ
  • 囚人同士のケンカのためにガンポイント(射殺許可の下りたエリア)である体育館を無断で使用

など何物にも束縛されない異様な待遇を受けており、
そのフリーダムぶりはこの刑務所の服役囚の大半を『ハント』し、王様のような暮らしを満喫している
ブラックペンタゴン影の支配者Mr.アンチェイン(繋がれぬ者)ビスケット・オリバを髣髴とさせる。

ゲバル自身はオリバのゴージャス極まる君臨ぶりに強い反感と対抗意識を持っており、
この刑務所にも「アメリカで一番ケンカが強い男と闘うために」あえて捕まった経緯を持つ
(なお、いつでも脱獄することは可能)。

そうした意味では勇次郎との決戦を前に強い相手との闘いを求める刃牙と同じオリバへの挑戦者。
彼の異名『ミスター2』とは『所内における実力ランキングが2位』という意味ではなく、
オリバを倒し『Mr.アンチェインの2代目となる男』を意味している。



◆経歴◆


本名はジュン(純)・ゲバル。その名の通り日本人の血を引く(日系3世)。
アメリカの統治下にある南米の離島に生まれ、若かりし日は手下を引き連れ海賊稼業で付近を通りかかった商船を襲っていたが、
それも貧しい自国の民衆を救いたいという願いからであった。

その志が高じ、17歳の頃に島の独立を目指して組織をつくり、必勝の作戦として幼少時から祖父に仕込まれた素手による戦闘術を構成員に伝授。
結果、組織は訓練によって幾人もの死者を出しながらも自ら離脱するものは一人もおらず、
最終的には『武器持たぬゲバル軍団』が完成し、組織員全員がたった一人で素手によるハイジャックや原子力発電所の奪取を可能とする
(素手の戦闘術を備えていれば、厳重な武器チェックがある場所にも容易に出入り可能であるため)に至る。

その構成員をアメリカ各州に2名ずつ配置し、かつ自身はボッシュ大統領自宅へ赴きシークレットサービスを全員叩きのめす事で、
大統領個人への脅迫によって島の独立を米国から無血で勝ち取った。

これを機に完全に合衆国にマークされ、地上最強の生物・範馬勇次郎
Mr.アンチェイン・ビスケット・オリバに続き監視衛星による偵察対象にされている。
この3名のうち1人でも時速4km以上で動いたとき半数以上の衛星が緊急動作を強いられるため
軍事衛星を使用する世界中のカーナビゲーションが70mもズレてしまうと言われている。
実に迷惑な連中である。

現在は自国の大統領であり、仲間及び国民は彼が姿を消し監獄に投獄されていることすら知らなかった模様。




◆人物像◆


伸び放題の髪にバンダナを巻いたワイルドで精悍な顔つきの青年。ヒゲ面のため判りにくいが年齢は21歳と若い。
一見したところは中肉中背の体格だが、囚人服の下の五体は鋼のように無駄なく鍛えこまれている。

掴みどころの無い飄々とした人柄で、暗く殺伐としたブラックペンタゴンの住人にもかかわらず表情豊かで笑顔の似合う男。
オリバからも「虚勢を張らず威嚇をしない」「かと言って思い上がってもいない」とその面構えを通して現れる器の大きさを賞賛されている。
しかし挑発的な口利きをした刃牙には鋭い殺気を返すなど、
本質的には海賊・革命運動家として修羅場を潜ってきた戦士(ウォリアー)としての自覚と矜持を持つ。
「死ぬとき以外は地に身体を預けない」というポリシーを持つため、普段はロッカーの中で立って寝る習慣があり、
初登場時はいきなりそこから表れて起き掛けの刃牙を驚愕させた。当たり前だ。

闘士としての彼のスタンスは一貫して『弱者の救済』と『搾取する側=富める者への反抗』である。
特に故郷を支配していながら民の貧困に何一つ手を差し伸べようとしなかったアメリカを嫌悪しており、
刃牙がトラブルから死にかけた看守を助けようとした時も「アメリカ人だから」という理由で冷たい目で傍観するなど、
そのネガティヴな感情は根深い。
もっとも同房のアイアン・マイケルが看守のマウス三兄弟にリンチを受けたときには助けに向かっており必ずしもアメリカ人全てに敵意を持っているわけではないらしい。

この他にも自分に挑戦するためだけに皆の唯一の楽しみである食事を台無しにした元力士の囚人を再起不能にしたうえで
ガンポイントに放置し看守に射殺させるなど、自由を侵すものに対する仕打ちは冷徹非情。

闘いに挑む時その心には常に護るべき『弱き民』の姿があるが、
『他が為に戦うか』という信念の核を得意げに語って聞かせることは嫌っており、
表向きは「戦うために何か/誰かが必要というのはむしろ弱みだ」というドライな持論を嘯く。
ゆえに臆面も無く「愛する女のために戦う」と言ってのけたオリバに対しては強い失意を覚えていた。

また、それとは別にオリバ(ひいてはこの作品の大半の闘士)同様
『いい歳をして喧嘩に()けたくない』という大きな欠点があり、
強い奴がいると聞くと何を置いても挑みたくなるという点では2人のアンチェインは似た者同士である。

口癖は「死ぬにはいい日だ」。
死の覚悟を決めているようにも聴こえるが、実際は「死ぬにはいい日なんて死ぬまでない」
=『どんなことがあっても生きなくては』という意味が込められている。

島を旅立つ際に自分を慕ういじめられっ子の少年が
台風が訪れる深夜、崖っぷちで風と雨とを受け止めた壺「勇気の証明」として受け取り大切にしている
(ゲバル曰く豪雨(あめ)突風(かぜ)高波(なみ)(いかずち)飛び出してくる」)。



◆戦闘スタイル・実力◆


一般の囚人の間では「セカンは流儀を持たない」というのが通説であり、
特別な構えを取ることも無い脱力した自然体から予想もつかない攻撃を繰り出し相手を無力化する。

しかし、実際は彼の操る流儀は祖父から伝授された『無隠流』なる忍術である。
つまり…ゲバル=サンはニンジャ…アイエエエエエエ!?ニンジャ!?ニンジャナンデ!?

極めれば刃物や銃器を向こうに廻した戦闘はおろか爆発物すら身一つで対処できるという技術であり、
ゲバルが結成した『武器持たぬゲバル軍団』の構成員は全員が無隠流忍術を高度なレベルで習得したニンジャである。

近代格闘技の死角は「支え」であるという持論を持ち、漠然と地面の上に乗るのではなく、
地球の核と一直線に繋がるかのような重心法を修めている。
これにより、地面に立ったゲバルよりもはるかにウェイトのある力士大男の全力を以てしても彼を持ち上げることはできない。

また、足場を斜めではなく縦に利用し地球の核と一直線になるようにパンチを放つことでその威力を飛躍的に高めることができる。
対オリバ戦では不発に終わってしまったが、裏取引でマイケルの選手生命を奪うよう指令を受けた三つ子の看守(マウス)の1人、
(タング)を同じ術理を用いたであろう竜巻のようなアッパーカットで2階ほどの高さまで打ち上げて倒している。

引き抜いた数本の髪の毛を紙縒りのように捩じって相手の耳穴に突き入れ、解けた髪を三半規管に絡ませて破壊したり、
抜いたヒゲを吹き付けて相手の眼球に針のように刺すなどの奇妙な技も得意とし、
素手であってもその肉体は凶器そのもの。
『マシンガンより強い男に反応するセンサーは無い』『素手である限りあらゆる機関に潜入可能』という
劇中で語られた『素手の時代』の体現者である(無論その第一人者は勇次郎だが)。


相手の心理の隙を衝くのも含めての忍術であり、
  • 意味不明の口上で相手を煙に巻く
  • 物陰から風車を投げつける
  • 暗闇の中からでんぐり返しで登場
  • 相手のズボンに向かっておもむろに放尿
  • そのままぐるぐる回転して尿の結界を張り、中心で大の字になって寝る
  • 力自慢のオリバにハンカチの裾を指でつまんで殴り合い、手を離したら負けという決闘法「ルーザールーズ」を提案
など胡散臭いハッタリを多用する。
これらの奇策はゲバルに有利にはたらくことも少なくなかったが、その一方で、
「どちらが上かを決める純粋な倒しあい」でなく「額面上アンチェインに勝ったという事実を得るための方法」
でしかないとも受け取れ、オリバの恋人・マリアや刃牙には姑息と断じられている。

本気で闘う際は顔に流血で歌舞伎の隈取のようなメイクを施し、
にこやかな普段の貌とは一転、恐ろしげな形相となる。
この時は「ヤイサホー!」という掛け声を上げ、海賊の歌を高らかに歌うなど
精神テンションも海賊時代に戻る。




◆VSオリバ◆


刃牙に先んじてオリバに挑戦したゲバル。
刑務所内で刃牙を含む多くの囚人や看守らが見守る中、
『ルーザールーズ』で一進一退の駆け引きを繰り広げるも、
マリアに愛想を尽かされたことで反省したオリバが張り手一発でゲバルを吹き飛ばす。
しかし、ゲバルはそこから隈取のような闘いのメイクを施しなおも立ち上がる。

オリバと対戦し一時は互角に渡り合った末、
決め技・地球の核を支えに打つ対空の一撃で勝ったかのように見えた。

大統領が土下座し、

範馬勇次郎が地上最強の生物の座を返上しゲバルにへりくだる

???


そう、勝利後の光景は全てゲバルが見た『夢』であり、
実際にはオリバからのカウンターパンチを顔面に受けて失神し敗北していたのだった。
しかし試合内容には満足したらしく、次の日ゲバルは密かにロッカーの下に用意していた抜け穴から脱獄して故郷に帰っていった。
この際、オリバとマリア宛に彼なりの自国への招待状として島の紙幣を残している。

なお、刃牙とは一触即発の雰囲気になったりオリバと共に喧嘩の妨げになった彼を吹っ飛ばしたりもしたが、
結局は一度もまともに戦わずに終わった。
また、大統領の下に送り込まれたゲバルの部下『カモミール・レッセン』の立ち居振る舞いを見た
勇次郎がゲバルに興味を示しているのだがそれもその場限り。
話は刃牙のオリバへの挑戦へと移っていくのだった。

このように蓋を開けてみればゲバルの劇中における役割は
それまでちょっかいや小競り合いを見せることはあっても、ガチの闘いにおける戦績に乏しく、
刃牙が勇次郎に挑む試金石となり得るか微妙な存在だったオリバの具体的な強さを見せるための
引き立て役にすぎなかったわけである。
しかし、その軽妙なキャラ描写からそれなりに好かれているキャラクターであるのも、また事実である。




◆余談◆


★モデルはキューバの革命家にして国民的英雄、チェ・ゲバラ。
顔とかそのまんまである。ただし、いつの間にやら海賊やニンジャにされた挙句フェードアウトするあたり、
板垣の中のトレンドとしては興味があまり持続しなかったんだな、とも受け取れる。


★彼の口癖は劇中では『戦場に赴く兵士の言葉』とされているが実際はネイティブ・アメリカンに伝わる諺らしい。



月夜の晩に 錨を上げろ
嵐の夜に 帆を上げろ
星を標に 宝に向かえ
ラム酒はおあずけ 鉄を焼け

慎み深くをハネ返し 耐えて忍を退けろ
満ち足りることに 屈するな
満ち足りないと なおも言え


(これからだッッ)
(追記・修正はここからだ!!!)

この項目が面白かったなら……\ポチッと/