Damons(ダイモンズ)

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Damons(ダイモンズ) - (2019/01/02 (水) 12:14:58) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2015/01/10 Sat 06:10:28
更新日:2022/01/16 Sun 23:56:25
所要時間:約 ? 分で読めます




この日、オレが胸に抱いたモノは…
絶望ではなく
怒りと、憎しみだった


「Damons(ダイモンズ)」とは、週刊少年チャンピオンにて連載されていた漫画である。
全116話、単行本全13巻。
作者は「フルアヘッド!ココ」等を連載していた、米原秀幸。
正式なタイトルでは、「a」の上に点が横に二つ並んでいる。

この作品は手塚治虫の作品「鉄の旋律」のリメイク作品である。
だが、「自分の両腕を奪った友人への復讐」という根柢の部分では共通しているものの、
内容はほぼ別物といっていいほど大胆なアレンジがされている。


【あらすじ】

友に裏切られ、己の腕と愛する妻子を奪われた男、「サイモン ヘイト」
なんとか一命を取り留めたヘイトは、失った両腕に代わる「鉄の腕」と、それを操る意志の力「ゼスモス」を身に着けた。
かつて「友」と呼んだ5人の男への壮絶なる復讐劇が、今、始まる!


【登場人物】

  • サイモン・ヘイト(砌斌兵斗)
この物語の主人公。
元々はロゴスティアという医療企業の研究員だったが、その研究が軍事目的に利用されている事を知り、告発。
しかし、その為に友人であるプログレスら5人から制裁を受け、両腕と妻子を失う事となってしまった。
その後は復讐の為に人生を捧げ、荒んだ性格の復讐鬼と成り果てた。
優しさのあった表情も常に険しくなり、髪は白く染まっている。
その執念はまさに『ダイモンズヘイト(悪魔の憎しみ)』と呼ぶに相応しい。
ゲリラ相手に戦いを挑む事で、戦闘の勘を養い、5人の男に復讐を挑む。
彼の肩から先の両腕は完全に義手の「鉄の腕」である。
だが、腕自体には特に精巧な仕掛けがあるわけではなく、意志の力「ゼスモス」によってそれを操る。*1
復讐の為に人とは関わらない様に努めるが、それでも彼の周りには自然と人が集まる。
それもまたゼスモスの力ゆえなのかもしれない。


  • プログレス・カーソン
ヘイトの一番の「心友」を自称する男だが、ナノテクの力を軍事転用し、ヘイトへの制裁を企てた張本人でもある。
ナノマシン開発の権威であるインテリだが、かつては虎の群れの中で生きる野生児であった。
幼い頃は純粋だったものの、高い知性ゆえに複雑で不合理な人間のあり方に苦悩する。
更に行く先々で悉く人間関係に恵まれず、ある意味かなり運が悪い人生を送る。
やがて自分の持つエレセロスの力を自覚し、歪んでしまった。
エレセロスの力、そして自分の出生が不明な事から、自分の事を「人間を粛正する為に地球が遣わした存在」と考えるようになる。
しかし、本質は好意的な相手へのかまってちゃんで、好きになってからそっぽ向かれると殺す人。
そのぶっ飛んだ思考と、元野生児故に何かと全裸になる事から、読者の間ではシリアスな笑いを生み出す存在として愛された。
戦闘スタイルもまるで虎のような動きを見せるが、ヘイトにはワンパンでぶっ飛ばされる。
だが、一度はエレセロスによってゼスモスでさえも支配し、ヘイトを打ち破った。
ナノマシン入りの雨によって人類を粛正した後、大自然の中で動物たちと生活をしていた。全裸で。
ヘイトが再び挑んできた際には樹木と一体化しヘイトを追い詰め、更には様々な生物を取り込んだ異形の姿となった。


  • ジェスト・ローレンス
「乱射乱撃のガンマン」「命中精度の高いスナイパー」の2つの通り名を持つ射撃の名手。
元々ガンマンとしての素質も高く、自身の両腕を改造したナノテク銃によって敵なしの強さを誇る。
精密機器である為変形に少々時間がかかるものの、その性能は折り紙つき。
基本的に明るく軽い性格で身内には優しく、ヘイトの娘であるユミにもかなり懐かれていた。
特に恋人である「マリア」には深い愛情を注いでいたが、彼女を事故で失ったことで生きる気力を無くしてしまう。
そこにヘイトが現れた事で、殺し屋の本分である魂を取り戻すが、自分のマリアはヘイトの妻子のようなゴミとは違うと豪語。
激昂したヘイトの復讐の最初の犠牲者となった。


  • ラフィン・アガマアガマ
外見は子供だが年齢は立派な大人。
しかし中身は完全な子供であり、わがままで幼稚な自尊心の塊。
エンターティナーを自称するが、単に自分が人から注目されたいだけであり、マジックの腕はからっきし。
ただしマジックと恋愛だけは自らの力で実現させなければ意味がないとし、ナノテクに頼らないだけの誇りは持っている。
…と、言えば聞こえはいいが、実際は能力で評価されたら自分の無能を自分で突きつける部分だけは理解し、現実から逃れているだけ。
そのくせ、マジックの腕を磨く向上心はなく、自分を酷評する相手には容赦なく能力を使う本物のクズ。
ヘイトの制裁に参加したのも、単に仕事も順調の妻子持ちリア充のヘイトへの嫉妬心からだった。
ナノテクの力を宿した左目から発する光で、他人を自在に操る事ができる。但し、目を合わせないと駄目。
ぶっちゃけギアス
ナノテクの力が効かないゼスモスに恐怖するも、ヘイトの生身の部分を支配する事でヘイトを殺そうとする。
しかし、ヘイトの執念と、自分が振りまいたナノテクの力に支配された人々によって、自業自得の形でその命を喪った。
なお、アガマアガマとは七色に姿を変えるトカゲの一種であり、その美しさに惹かれて芸名として選んだ。


  • アールダー
ナノテクによる変幻自在の両腕と光学迷彩機能を持つコートを操る暗殺者。
自分にとっては殺しは生業であり、仕事として行うからこそターゲット以外は(例え妊婦の子供であろうとも)決して手にかけないというポリシーを貫く。
しかし、ターゲットであればどんな善良な人間や無邪気な子供であろうと平気で手にかけるし、殺しの標的の写真をコレクションしている。
更に、それを無益な殺傷はしない「人間の証明」であるという、歪んだ信念を持っている。
両腕のナノテクブレードは単純な斬撃は勿論、鉤爪に変形させて壁に捕まったり、回転させて防御にも利用可能。
また、両腕のブレードを結合させることで岩盤ですら容易く切り裂く威力を発揮する。
しかし、そのブレードを布によって絡め取られ、更に火をつけられたことで、炎の中で絶命した。


  • ランパート
要塞都市「キープディープ」を治める角刈りゴリマッチョ。
ヘイトの裏切りを知っても制裁には進んで参加しようとはしなかったが、ヘイトの娘ユミ(見た感じ年齢一桁)の体を手に入れるため、プログレスに協力する。
「裏切り者のお前などどうでも良かった。私の目的は、お前の娘の体だった!(イっちゃってる目での発言)」
…念の為に言っておくが、彼がロゴスティアで医療機器の研究を進めていたのは難病に侵された自分の子供を救う為であり、
ユミが偶然そのドナーとして適合したためにユミの体を求めたのである。
やましい意味ではない。決して。
彼は目的以外に興味はなく、ヘイトの制裁の非積極性も単にどうでもよかったから。
そのため、目的の為なら幼い子供でも目的の為に人体実験で殺す事に躊躇はなく、妻も娘を病苦から解放の為に安楽死の選択をしたから*2殺している。
ナノテクによって自在に動く巨大な腕を操るが、ヘイトのゼスモスによってその腕を奪われ敗北。
ヘリで逃げようとするもそれすらヘイトに阻止される。
両目を失い、ヘリの墜落で共に脱出しようとした娘さえも亡くしまうが、それによってゼスモスを発現させ、ヘイトを畏怖させた。
しかし、その時の負傷で目を失った事とゼスモスの媒体となる物質が血しか無かった事で、ビルの上から投身する形で死亡した。


  • ベッケル博士
ゼスモスの研究をする老人。
一見身寄りのない子供を引き取って育てる好々爺だが、その本性は自身の研究に異常なまでの執着を持つエゴイスト。
道徳心という物が完全に欠如しており、己の研究の為なら身近なものが死のうと全く意に介す事は無い。
それでもギリギリ人間らしい感情があったものの、ヘイトが一度プログレスのエレセロスに敗れた事で完全に吹っ切れる。
手足の生えたカプセル状の変なメカに乗り、ヘイトとスワロウ、どちらがより強力なゼスモス使いか決める為に二人を戦わせた。
その後改心したフリをして悪びれもせずゼスモスとエレセロスの戦いの行方を見ようとするが、プログレスによってメカごと潰される。


  • ロバート
ベッケルの助手を務める、ちょっとオネエ入った男性。
彼もかつて脚を失っており、木で作った義足をつけて生活している。
ヘイトを甲斐甲斐しく世話するが、怒りと憎しみを糧とするゼスモスとは相性が悪いと、ベッケル博士からは良いように思われていなかった。
しかし、スワロウに対しては彼の危険性を見抜き、警戒していた。
だが、彼のうわべの優しさに騙されて彼を信用し、ゼスモスを操る先輩として優しく接するも、スワロウによって殺害されてしまう。


  • スワロウ
新たにゼスモスを発現させ、「鉄の脚」を手に入れた男。
幼い頃から何度も信用した人間に裏切られ続けた事で、「他人は利用する物」「信じられるのは自分の力だけ」だと考えるようになる。
生まれる前から母親にさえ「生まれてくるな!」と言われており、この為に潜在的に人に対する絶望があったのかもしれない。とんだ胎教である。
力に対する執着も相当なもので、更なる力を得る為だったら残った両腕でさえも捨て去る事を厭わない。
プログレスの人類粛清の後、彼と手を組み、「破壊王」として人々に恐れられた。
ベッケル博士によって真のゼスモス使いを決めるため、両手両足を鉄の手足としてヘイトに挑む。
最期はヘイトの優しさに触れた事で人としての心を取り戻すが、ロバートを手にかけた事を清算する為自らマグマに身を落とした。
ちなみに、一時的に彼の養父となったマイクは、手塚治虫のスターシステムでお馴染み、恰幅のいい悪役面の男がモデルだと思われる。


  • レイ
ラフィンに父を殺された少年。
舞台が世紀末に移っても強く生き残り、ヘイトに協力する。


  • ヨシコ
ヘイトのかつての部下であった女性。
彼女もまた裏切り者としてアールダーに命を狙われるが、ヘイトに救われてからは彼に献身的に協力する。
アールダーの死後はベッケル博士の元に身を寄せ、ナノテクの力とゼスモスを効果的に発現できる新たな「鉄の腕」を開発した。
だが、ロゴスティアのナノマシン入りの雨による虐殺の際、ベッケル博士にシェルターの外に締め出され餓死するという残酷な死を遂げる。


  • アラン
ランパートの収める「キープディープ」の治安部隊の隊長。本名「亜蘭 修次(アラン シュウジ)」
かなりの長身と破天荒な性格の持ち主で、部下からは慕われている。
実はヘイトの旧友であり、ヘイトとの出会いが更生のきっかけとなった。
ランパートの為にヘイトに容赦なく銃を向けるも、実は彼もランパートに兄を殺されており、その復讐の為に治安部隊に身を置いていた。
ランパートと戦った際にはあえなく敗れるが、ランパート亡き後のキープディープと、ユミの墓を守る。
だが、ロゴスティアの襲撃により、ユミを守ってその命を散らした。


【用語】

◆ゼスモス
怒りと憎しみによって作用する「繋ぎとめる力」
感情の高ぶりによってその力は無限に高まるが、それはあくまで極限状態での話。
繋ぎ留めさえすれば様々な物体を操る事が出来るようになる半面、如何に自在に操ろうともその物体の本質を変える事は出来ない。
つまり、布で作った腕は所詮は布であり、いともたやすく壊れてしまう。

◆エレセロス
自分を解き放ち、生き物を支配する力。
解き放つといっても全裸になる必要はないがプログレスは良く全裸になる。
幼いころからプログレスが身に着けていた力であり、野生児であった彼は無力な子供でありながら虎の群れの中で生き続けていた。全裸で。
しかし、人間相手だと誰にでも効くわけではなく、「プログレスに興味を持った者にしか効かない」という制約がある。
正確には、興味が相手を支配する(相手の中に入る)通り道となる。
プログレスは何度かヘイトにこの力を発動したが、ヘイトには効果が無かった為、それが決定的な裏切りと映ったようだ。

◆ナノマシン/ナノテク
ロゴスティアの開発した、SFでお馴染みの超小型機械。
変幻自在の兵器として扱われており、一見普通の人間と変わらない腕が、瞬時に銃や剣などの武器に変形する。
しかし、ロゴスティアの真の目的は、雨粒の中にナノマシンを仕込み、人が水分を摂取した際に気道に膜を貼り、不要な人類を間引くことであった。
しかもロゴスティアの人間はマシンの対象からちゃっかり除外するという外道ぶり。
プログレスによってそのシステムは無力化され、結局はロゴスティアの人間も同じ苦しみを味わう事となった。

◆トリニティースローター
ロゴスティアの開発した、三位一体の殺戮兵器。
ジェストの銃、アールダーの剣と光学迷彩、ランパートのアームを操る。
流石にラフィンのギアスは利用できなかったようだが、それでもナノマシンの雨から生き延びた人類を殲滅するには十分すぎる戦闘力を誇る。


【余談】

作者の米原秀幸は、連載が開始される直前の号まで「南風!BunBun」という別の漫画を連載していた。
原作のある作品とはいえ、凄まじい切り替えの早さである。

上記の人物説明を見てもらうと分かるが、終盤の展開は完全に世紀末だったり最終的に登場人物の8割以上が死んでたり、地味に壮絶なシナリオである。

物語終盤に当たる第109話には浦安鉄筋家族連載15周年記念企画「春巻誌中大遭難」として、春巻 龍がゲスト出演したことがある。
聖闘士星矢 THE LOST CANVAS 冥王神話」に次ぐレベルのインパクトというか理不尽さがあったものの、残念ながらコミックスでは修正済み。




追記・修正は鉄の腕を持つ男がお願いします。




























◆鉄の腕
ヘイトの相棒として活躍した、合金製の腕。
「替えが利く」「最悪捨てればいい」という利点があるせいか、よく壊れたり捨てられたりする。
当初は手首に爆薬が仕込んである程度だったが、後にナノテクブレード、及びシールドを搭載した「よし子'sハンドパート1」、
更にはゼスモスを具現化、実体化させるというトンデモ技術を搭載した「よし子'sハンドパート2」にパワーアップした。
プログレスとの戦いの後、ヘイトのゼスモスを受け続けた事により、なんと自我が芽生える
更なる殺戮を求めヘイトと対峙するところで、物語は終わりを迎える……



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