スターシステム

登録日:2011/10/03 Mon 17:30:48
更新日:2025/04/05 Sat 07:49:30
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『スターシステム』とは、映画、演劇などの興行分野において知名度と人気の高い花形(スター)的人物を主軸に据えることを前提として、作品制作や宣伝、集客などの方針を組み立てていく手法のこと。
転じて、漫画やアニメ等の視覚的作品において、作者がデザインしたキャラクターを、他の作品に『別のキャラクターとして』登場させることを指す。
本項目では、後者に関して説明するものとする。

【概要】

概ねは、上記で述べた通り。
簡単に例えれば、俳優(キャラクター)が同じ監督(作者)の様々な作品にそれぞれ別の役で出演するという形

BLACK CAT』のイヴを『To LOVEる』の金色の闇という、世界観の異なる作品で全く別のキャラクターとして使う=見た目は同じだが中身は別人物として再利用するようなことを指す。

誤解しないで欲しいのは、『ネコマジン』に孫悟空が登場するといった、同一キャラクターが設定を引き継いだ状態で別作品に登場するのは、スターシステムとは別物である。
これは、所謂コラボレーション・クロスオーバーなどと呼ばれる手法である。
ただ、スピンオフ作品は(世界観が同じの場合でも)スターシステムとして認識されることもある(「リリカルなのは」や「岸辺露伴は動かない」など)。
ただし、その辺りの尺度は人によってまちまちなので注意しよう。

この技法は主に手塚治虫先生のように様々な雑誌で連載を持っている人、
鳥山明先生のようにゲームやオリジナルアニメのキャラクターデザインもされる人が主に利用する。

またディズニーの短篇アニメや『トムとジェリー』、『クレヨンしんちゃん』や『天才バカボン』、『おそ松くん』といった赤塚作品などのコメディ系作品では童話や古典、映画をパロディした回が度々描かれるが、
こちらも本編のキャラクターたちを別の物語のキャラクターに当てはめて演じさせるというスターシステムを活用した事例としてイメージしやすいものの一つだろう。

ファンサービスや作者のちょっとしたお遊びで利用される場合もあれば、
原典における人間関係やキャラクター設定が伏線として機能し、物語の重要な鍵となる事もある。

但しあまり多用しすぎると、手抜き行為と見なされ作品の評価が下がってしまう可能性もあるので注意が必要。特に絵柄がシンプルな方は尚更。
また使い回したキャラが作中で犯罪行為等をして、元となったキャラが犯罪行為をしたという誤解を招き風評被害を生み出してしまう恐れもあるので注意。

後、このシステムの中ではキャラクターを俳優として扱う為、
『自分の役に不満をこぼす』、『原典や前回登場した時のネタを引っ張る』等のメタ発言が飛び出す事もある。

遊戯王ARC-Vでスターシステムが用いられたことへのメタとして、同作含めた遊戯王各作品のキャラが登場するゲーム「遊戯王デュエルリンクス」では、「ARC-Vオリジナルのキャラが原典のキャラ達に会う」というイベントを起こすことができる。
当然原典のキャラ側はARC-Vキャラのことを全く知らず、ARC-Vキャラが「どうみても彼らなのに別人なのか?」などと驚く様子が見られる。

【並行同位体】

平行同位体とも。スターシステムの中でも特に設定面での同一人物性を強く意識させる場合に用いられる。

元々はウルトラギャラクシーファイト 大いなる陰謀で登場した用語で、ざっくり説明すると「正史と異なるifの歴史を歩んだ同一人物」という意味。
そこから拡大解釈で「並行世界の同一人物」や「並行世界で同じ役割を持つ人物」なども「並行同位体」と呼称するようになった。


【スターシステムを多く利用する作家】


漫画にスターシステムを初めて組み込んだ手塚治虫先生の場合、多数のキャラクターをスターシステムに組み込んでいた。
作品によっては悪人のアトムやら着流しのドクター・キリコやらそれぞれの原典からは考えられないカオスな配役もあったりする。
スターシステムを採用した漫画家の中でもここまではっきり割りきった人は珍しい。

もちろん、ブーン系小説などで多く見られる伊藤m略=「人間のクズ(役)」のように、
キャラクター自身の個性やキャラクター性を重視して決まった役に配されるキャラクターも多い。
例えばヒゲオヤジなら「主人公を助けるおっさん」、ロックやアセチレン・ランプなら「悪人」というように。

星の数ほどと言っていいほどの膨大なキャラクターと、変幻自在のキャラクター作りとドラマの作劇を旨とする先生だからこその使いこなしぶりと言えるだろう。


【スターシステムによって生まれたキャラ】

美来斗利偉・拉麵男(闘将!!拉麺男)
さくら(ツバサ)
金色の闇、マジカルキョーコ、クロ(To LOVEる)
多くの鼻がでかい男達(火の鳥手塚治虫作品)
小池さん、ゴンスケ(藤子不二雄作品)
サラリーマン山田(水木しげる作品)
黒猫(俺の妹がこんなに可愛いわけがない)
ローラ(Dシリーズ)
東方院摩智(かへたんていぶ)
神宮寺くえす(おまもりひまり)
カメダ(パワプロクンポケット4 RPG風冒険編以降)
華園みあ(アイドルタイムプリパラ
七星あいら、幸瀬なる、激川ゆい(キラッとプリ☆チャン
西園寺ゆらり、西園寺きらり(KING OF PRISM -Shiny Seven Stars-
テキ屋のおっさん(そらのおとしもの)
鯨井ルカ【ネムルバカ】、鯨井早菜【木曜日のフルット】、マル、トキオ【天国大魔境】(それでも町は廻っている紺双葉顔)
ウィンナー、マスカット(コロッケ!)
ブータン(デュエル・マスターズ ビクトリー)
タブチ先生、ヤスダ先生、広岡先生(ののちゃん)
ジェラール、フリード、プルー(FAIRY TAIL
シキ、ハッピー、エルザ(EDENS ZERO)
ラルさん(ガンダムビルドファイターズ)
ウルトラマンベリアル アーリースタイルウルトラマントレギア アーリースタイルウルトラギャラクシーファイト 大いなる陰謀
ゼンカイザーブラック/五色田介人(暴太郎戦隊ドンブラザーズ)
メリル・シルバーバーグ、メタルギアMk-Ⅱ、エド&ジョナサン(メタルギアシリーズ)
ハロ(ガンダムシリーズ)


【スターシステムを用いた作品】

魔法少女リリカルなのはINNOCENT
ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日
ワイルドアームズ the Vth Vanguard
舞-乙HiME
TYPE-MOON製の作品(月姫シリーズFateシリーズCarnival Phantasm
Dシリーズ(Dの食卓エネミー・ゼロ、Dの食卓2)
ツバサ
マブラヴ オルタネイティブ
遊戯王ARC-V
実況パワフルプロ野球(サクセスモード)
パワプロクンポケット2以降 (裏サクセス)
ウルトラシリーズ(ウルトラギャラクシーファイト 大いなる陰謀大決戦!超ウルトラ8兄弟など)
バイオレンスジャック他多数のダイナミックプロ作品
僕のヒーローアカデミア
ゼルダの伝説シリーズ
シャーマンキングシリーズ
Cygames製の一部ゲーム神撃のバハムートグランブルーファンタジープリンセスコネクト!Re:Diveなど)
幻日のヨハネ
miHoYo製のゲーム(崩壊シリーズ、原神
仮面ライダージオウ

【スターシステムをネタにしている作品】

いっしょにとれーにんぐ(主人公がスターシステム上の女優という設定)
昭和冒険編(オールスター編では楽屋ネタのような展開になっている)
戦星のバルジ(最終巻の描き下ろしで登場人物たちが打ち上げをやってる)



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