V-ROD(バイク)

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V-ROD(バイク) - (2021/10/26 (火) 00:44:25) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2015/08/17 (月) 23:19:49
更新日:2022/04/13 Wed 19:40:37
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V-RODとはバイクの王者、ハーレー・ダビッドソンが販売していたドラッガースタイルのバイク。現在では絶版になっているものの、派生車種が販売され続けている。

初代V-ROD(VRSC)

2001年発表、2002年発売開始。日本での発売は2003年でハーレー創業100周年。恐らくは80周年、90周年とアニバーサリーモデルを出してきたので100周年記念車に相当すると思われる。空冷エンジンで戦ってきた同社初の市販型水冷エンジンを搭載したバイクであり、伝統逸脱、封印解除の新たな意欲を盛り込んだマシーン。

「我々ハーレー・ダビッドソンも100周年目前。記念の新マシンの開発に取り組みたい」
「賛成だ。ではどんなバイクを造ろうか」
「……水冷エンジンに手を出すべきでは?」
「莫迦な!それでは今までのハーレー・ダビッドソン総てのエンジニアに無礼だ!!」
「本当にそうかな?他社のバイクはパワフルなマシンでいっぱいだ。王者の我々が今のままで良いのか?」
「……っ!分かった。禁断の水冷に手を出そうじゃないか!!名前は?」
「……ちょっと良いか?ずっと心に決めていた名前がある」
「ん?なんだよ」
V-ROD。その意味は、V-TWIN=Vエンジン最強の、HOTROD=カスタムカーだ

こうして出来上がったのが、VRSCことV-ROD。先述の通り水冷エンジンではあるが、スタイルは完璧にハーレー。それでいて近未来的なイメージを盛り込み、水冷エンジン特有のラジエターまでも自然にデザインに溶け込ませているその姿はまさに秀逸である。
エンジンはポルシェとの共同開発。車に詳しくない方でもスーパーカーのあれ?と思い浮かぶあのポルシェだ。そのエンジンは他の空冷エンジン(ハーレーファミリー)が低回転型なのに比べ、高回転型のかっ飛びエンジン。

ハーレーはマシンの馬力を公表しないことで有名なのであるが、実際に計測してみるとファミリー平均で70psくらい。ハーレーの販売車は日本でいうところの大型二輪車で、同クラスのマシンだと100psを余裕で超えるマシンがじゃんじゃか存在する。
正直に言えば別に70psの馬力があれば、日本の公道をスムーズに走るのには問題はない。だがハーレーは初の水冷エンジンを搭載させる100周年記念モデルに、他社のバイクに太刀打ちの出来る性能と、ハーレー最強のマシンの称号を与えたかった。

その結果、V-RODは排気量1131ccで最高馬力115psという数値を誇っている。だからなんだよ?とスーパースポーツ、レーサーレプリカ乗りの声が聞こえそうだが、この数値はクルーザーというカテゴリで見ればトップクラスの数値なのだ。そして、紛うことなきハーレーファミリー最強の数字。


さぁ、これが100年目のハーレーだ!!


と、満を持して登場したものの……このマシンあまり人気がない(泣)。理由として考えられるものは、やはりハーレー乗りは別にスピードなぞ求めていないこと、伝統の空冷エンジンではない、空冷ではない故にハーレーの鼓動と振動が感じられない。ということであろうか。

致命的なのはやはり3つ目の鼓動と振動であろう。所ジョージやビートたけし、B`zの稲葉に甲本ヒロトと芸能人にもファンが多いハーレー。そのほぼ全ての人が恐らくはあの「ドンッ!ドッドッドッ、ドドドドドド……!!」という音に惚れ込んでのものであろう。だがこの音は空冷のハーレーのものであり、水冷のV-RODでは発しえないサウンドなのだ……。

この状況に業を煮やしたハーレーはすぐさま打開策をとる。

ストリートロッド(VRSCR)

2005年発売。最高馬力を120psにアップし、そのエンジン性能を最高に活かすためにスポーツモデルに近いスタイルに変更した。新設計のリアサスペンション、倒立式フロントフォークと意欲的ではあったのだが……2年で販売終了。ハーレー乗りがスポーツ的なスタイルを望むわけなかった。欧州の一部では支持されたらしいが。

デストロイヤー(VRXSE)

2006年発売。まさにV-RODのコンセプトであるドラッグレースそのもの、専用のバイクである。最高馬力は165psと興奮してしまうような数値を誇る。あっ……はい。ハヤブサやYZF-R1乗りの方はどうか、その、鼻で笑う程度にして頂けますでしょうか……。
マジでレース用として売り出されたバイクなので、公道で走行することはできない。

ナイトロッド(VRSCD)

2006年発売。黒を基調とし、ビキニカウル搭載のドラッグスタイルを強調したモデル。はて?黒基調?ビキニカウル?あいつを思い出すなぁ。
2007年にナイトロッド・スペシャル(VRSCDX)へと発展。リアホイールが超極太化し、益々力強い見た目に。2012年モデルからは倒立フォーク、リアフェンダーの形状変更、ビキニカウルを外して販売。

2代目V-ROD(VRSCAW)

2007年発売。初代の完全進化版。リアホイールが先のナイトロッドスペシャル同様に超極太化し、排気量が1246ccにアップ。それに伴い馬力もストリートロッド同様の120psに。燃料タンクも初代より4L拡大で更にABSを搭載!!これで向かうところ敵なし!!

なのに……なのに2011年で販売終了。そんな、そんなバカな!!

マッスル(VRSCF)

2009年発売。名前の通りにマッシヴな印象を持つ力強い1台……ってそれはV-RODファミリー全てに言える。ぶっちゃけよく分からない。
シート高が低いのだが、倒立フォークという面白い1台である。ウインカーやテールランプがLED。

アニバーサリーエディション(VRSCDX)

2012年発売のV-ROD発売10周年エディションである。ナイトロッドとマッスルのエッセンスを含んでいる。2012年の記念モデルなのでこの年のみの製造。


以上がハーレー・ダビッドソンの記念車、V-RODの全てである。スタンダードであるV-RODの製造販売は終了しているものの、派生のナイトロッドとマッスルの販売は続けられている。
日本ではハーレーの取り扱い店でも見ることが少ない車両だが、乗ってみると面白い部分もありハーレー特有の鼓動や振動はないが、キュインキュイン回るスムーズなエンジンはハーレーらしからぬ走りを見せ付けられる。

ハーレー唯一の市販水冷エンジン搭載車。これからの展開がどうなっていくのか楽しみな1台だ。

〈余談〉


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