SCP-033-JP

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SCP-033-JP - (2020/05/27 (水) 00:22:25) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2017/03/05 (日) 14:49:43
更新日:2024/02/29 Thu 17:06:33
所要時間:約 5 分で読めます





今までのモノより危険度が低いように見えるな、ちょっと使ってみたいんだが。-あるエージェント



SCP-033-JPとは、怪異創作コミュニティサイト「SCP Foundation」に登場するオブジェクトの一つである。

項目名は『スパイ七つ道具』。
オブジェクトクラスは「Safe」。またJPのコードが示す通り日本支部の管轄にある。



◆概要
まずは、このオブジェクトはどんなもんですか? という説明からいこう。
これは、タイトルが示す通り七つのアイテムで構成された物品系のオブジェクトである。
子供向けのスパイごっこ用のセットだが、内実は本物の諜報活動が出来てもおかしくないレベルのガチッぷりである。

構成物はSCP-033-JP-1~7と、それを梱包するパッケージ(SCP-033-JP-A)であり、パッケージには「博士のスパイなりきりセット! スパイ七つ道具!」、裏面にはこんなメッセージがある。

博士が開発した、優秀なスパイのための七つ道具! これさえあれば君もスパイだ!
楽しもうね!

まあ、お察しのとおりあの「博士」の作品である。当然ながらメーカーなど製造元の情報は一切存在しなかった。
で、肝心のアイテムはどんなものなのか? これらはそれぞれが別のオブジェクトであるため、プロトコルも個別に存在する。共通して、個別に電子ロックされたロッカーに、それぞれの方法で保管されることになっている。
ここからは、それぞれの特性と収容方法を述べて行くことにする。


  • SCP-033-JP-1「ボールペンピストル」
読んで字のごとくボールペン。普通にボールペンとしても使えるがそこはSCP。
ペン先が引っ込んだ状態で、1秒以内に2回ノックすると、内蔵された芯が射出されるのだ。9mm拳銃弾の初速に匹敵するスピードで。
芯であるため口径は非常に小さく、市販の防弾チョッキならば易々と貫通してしまう。射程距離は不明だが、短いと言うことはないだろう。
特性の関係で連射は不可能だが、芯を取り換えればまた撃てる。ただし、発射のたびにインクが飛び散るという欠点あり。
というわけでコイツはペン先を取り外し、芯とバネを外して保管されている。

  • SCP-033-JP-2「万能鍵ハリガネ」
太さ1mm、長さ20cmほどのステンレス製のハリガネ。先端が曲がっているほかは構造的にも材料的にも普通のハリガネだが、鍵穴に挿入することで錠前を開くことができる。挿入できる大きさの鍵穴であれば、ドアや南京錠、金庫であっても問題なく開くことが出来る。ただし、カードキー、電子ロック、指紋認証など「鍵穴」を持たない施錠には未対応。
要するに「さいごのかぎ」である。
これについては錆びないように、脱酸素剤と一緒にパッケージされている。

  • SCP-033-JP-3「腕時計型無線機」
読んで字のごとし。ボールペンと異なり元となった物体の機能はなく、針は動かない。
竜頭の部分(時間合わせの時に使う小さなダイヤル)を引いて回転させると針が動き、示した時刻の数字に応じた周波数のAMラジオを受信することが出来る。
ただ、内部構造にはラジオどころか時計の機構すら存在せず、竜頭の回転を針に伝えるためのものしか備わっていなかった。
これについては針を十二時に合わせ、竜頭を押し込んで保管されている。

  • SCP-033-JP-4「超小型発信器」
小豆くらいの大きさの発信機。強力な磁石が仕込んであり、金属に吸い付くとなかなか離れない。
常に電磁波を放射しているが、これはSCP-033-JP-3を10:07に合わせることで受信できる。
財団はこれに対し、専用の受信機を開発して収容違反に備えている。
これについては厚さ40mm以上の電磁波遮断ケースに保管され、収容違反が起きた場合は専用の受信機で追跡することになっている。

  • SCP-033-JP-5「変装メガネ」
フレーム・レンズともにプラスチックで作られている、度の入っていないメガネ。
人間がかけると、装着者を視認した人間に対して認識災害を及ぼし、顔見知りであっても名前が出て来なくなる。
ただし、子供がかけることを想定しているのかサイズが小さい。
これについては、市販のメガネケースに入れ、定期的に掃除することになっている。まあかけなければただのメガネだし。

  • SCP-033-JP-6「秘密暗号手帳」
後半に乱数表と暗号作成方法が印刷された手帳。コイツで作る暗号は、日本語の文を五十音に対応させた数字に置き換え、簡単な計算をすることで生成できる。
複号には、別の計算方法と乱数表を用いるが、ひらがなにしか対応していない。ちなみに財団所属の暗号解読チームに、この手帳を用いた暗号の解読を行わせた実験がある。結果は解読自体には成功したが、5人がかりでのべ80時間がかかった。
現代世界でたった80時間、4日足らずで解読される暗号に何の価値があるのか……と思うかも知れないが、よく考えてもらいたい。
オブジェクトに関わる一方で、数々の要注意団体と暗闘を繰り広げているSCP財団。そんな彼らの抱える暗号解読チームが警察組織や軍のそれと同レベルで務まるわけもない。
そんな彼らが、5人がかりで80時間。つまり、この手帳を知らない誰かであれば、恐らく年単位の時間をかけても解けないレベルなのだ。その強度から、フィールドエージェント向けの暗号アルゴリズムに使えないかという意見も出たが、却下されている。
これについては、脱酸素剤と共にパッケージされている。また、内容をスキャンした画像はスタンドアローンの端末でのみ使用が許可される。

  • SCP-033-JP-7「スパイなりきり大百科」
これは以上6つのアイテムの説明書。使用法を漫画で説明した「ゴルゴタセブン危機一髪!」と、スパイに必要な条件などを説明した「スパイ大百科」で構成された16ページの冊子である。
漫画については「超A級スパイ・ゴルゴタセブン」が、SCP-033-JP-1からSCP-033-JP-6までを駆使してピンチを乗り越え、任務を達成するという内容。だが実際に読んだ研究員曰く、このゴルゴタセブン、「どう見ても雲盗り塹平」らしい。
後半の大百科だが、曲がりなりにも子供向けにも関わらずかなり本格的で、「政府機関への侵入のコツ」「機密保持者から情報を聞き出す手順」「尾行・逃走のやり方」「武器を奪われても出来る自殺の方法」など、ごっこ遊びのレベルを超えたガチガチっぷりである。
ちなみにコレの異常性は、最後まで読み終わると6つのアイテムの使用に熟練し、かつ潜入エージェントとして十二分な能力が身につく、というものである。
便利に思えるが、財団ではその手の人材は間に合っている。
なのでこれについては、脱酸素剤と共にパッケージし、実験に使う際はゴム手袋を着用して紫外線を避けるなどの保護措置が取られる。そして読了した人物には記憶処理を施し、それが出来ないのならば終了することになっている。


発見経緯と補遺

このオブジェクトは、某県郊外にある個人経営の玩具店で発見された。
当時、休暇を楽しんでいたエージェントが、店先に置いてあるSCP-033-JP-Aを何気なく見た際、イラストの爆風の陰影が「ワンダーテインメント」に見えたことに驚き、それが発見につながった。
どんだけワンタメさんに悩まされてるんだ財団。

店主はこのセットをどこから仕入れたのか覚えておらず、クラスBの記憶処理が施されて終わっている。
また、とある博士はこのオブジェクトをエージェントの研修用教材に使えないかと具申したが、由来が不明であるため却下された。
商品名やパッケージ裏の解説から、ワンタメさんとの関連が推測されているが、「ワンダーテイメント博士」関連製品のロゴや商標が存在しないため、パロディ製品または単なる海賊版と判断された。
が、肝心の製作者についてはわかっていない。



「博士」とSCP-033-JP

ここまで読んだ諸兄は、「『博士』の作品なのに調査中?」と思うかもしれない。
実は、この元記事が書かれた段階では「博士」の設定が固まりきっていなかった。そのためか「楽しもうね」のフレーズやワンタメさんを意識した文章など、基礎の基礎となる部分しか語られておらず、後の「博士」関連のオブジェクトに見られる明確な悪意の類はここではまだ見られない。

SCP記事を読む際は、要注意団体の設定の変遷や確定までの流れを想像しながら見るのも面白いだろう。


CC BY-SA 3.0に基づく表示

SCP-033-JP - スパイ七つ道具
by broken_bone
http://ja.scp-wiki.net/scp-033-jp

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