USB(端子)

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USB(端子) - (2017/06/19 (月) 09:07:54) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2017/06/18 Sun 12:15:54
更新日:2024/05/01 Wed 00:05:29
所要時間:約 8 分で読めます




USBと言っても色々あるが、ここではコンピュータ機器の接続規格いわゆる端子としてのUSBに関して記述する。

概要

「Universal Serial Bus」の略称。
コンピュータ機器向けのシリアルバス規格の一つ。
プリンタポートことIEEE1284や、旧型のマウスやキーボードの接続に使っているPS/2コネクタなどの後継を狙い、IBMやIntel、コンパックなどの複数の企業によって策定された。
最近のPCやゲーム機なんかについている、あの四角くて金属の接点が4つ見える端子である。
厳密にはUSBというのは「規格」なので、端子はそのUSBの規格の一つでしか無いのだが。
"ユニバーサル"と付いているくらいなので「端子の形と規格さえ合えばどんな機器でも接続できる」点(統一規格)や、機器の電源を入れたままでも抜き差しできるという利便性で様々な機器で採用されている。
最近のPCでは接続端子はUSBと電源だけってのも珍しくない。

特許関連

USB対応機器の製造に当たっては特にライセンス料などはないものの、それでもメーカーを明確にするためなどでベンダーIDの登録…要するに「参入企業の名簿にサインする」ことは必要とされている。
そりゃ、なんでもつなげる端子だからよくわからんところが怪しいアイテム作ってトラブルなんか起こしたら、目も当てられないからね。
但し類似規格の乱立を防ぐという都合上で特許自体は複数存在している。
この「登録すれば誰でも対応機器を作れる」というのも普及の要因の一つだろう。名簿にサインさえすれば中小企業だって無料で参入できるのだから。

特徴

○何でも接続できる

USBの最大の特徴の一つがこれ。
端子の規格が合っていて、「USB対応機器」とさえあればどんな機器同士でも接続できる。
つまり(飽くまでその機器が機能として対応していれば、の話だが)PC向けの周辺機器をゲーム機やスマホに繋いで使いまわしたり、データ共有したりすることだって当たり前のようにできるってこと。

○電源供給できる

USBは単にデータ通信を行うだけの端子ではなく、機器に電力供給をすることも可能である。
このため周辺機器側は別途に電源を用意する必要がないものとして作ることも可能。(動作安定性の問題なので自前の電源を必要とする機器もある)
また当初想定された利用方法ではないが、この点を利用して「電子機器向けの低圧電源」としても使うこともできる…要するにスマホとかの充電にも使える。
実際問題として、ハード的にUSB機器の電力消費の折り合いが合わずにトラブルを招くケースもある。
適当に作ったためにUSBの規格上の最大値を超えた電力を要求する粗雑な製品なんかも稀にある。

最近では需要に応える形で「USB BC」や「USB PD」などの規格も生まれており、『電源』としての用途が無視されているわけではないが、
これもUSB普及からかなりの時間が経ってからの話である上、そこから登場する機器が規格に適合しているかどうかもまた別問題である。

○接続処理はソフトウェア的に行っている

書籍によっては「USBは言わば"役所"」と書かれることがある。
これはハードウェア的に直結しているのではなく、様々なプロトコルなどのソフト的な処理を介して接続を行っているためである。
このためレスポンスなどでは旧来の規格と比べ若干劣る場合があるが、その一方でソフトウェア的に接続するので機器間の相性をここで吸収できるので、特に意識すること無く異なる機器間での接続も可能となっている。

今や常識的になっているが、親機の電源を入れたまま機器を着脱可能であることが仕様になっていることは登場当初では珍しいことだった。
(停電や瞬停対策などもあって実際にはさほど問題の無い機器も多いのだが、その多くは仕様として認められていたわけではない)
ただし、フラッシュメモリやHDDのデータ転送中に抜いてデータ破損などの危険は依然としてあるので、PC上で切断出来た事を確認してから抜くことを強く推奨する。

USBの各世代

○USB1.0

最初期の規格。策定は1996年。通信速度は最大12Mbps。

○USB1.1

1998年に策定された、言わば「USB1.0改」。通信速度は12Mbpsと据え置きだが、電源周りの規格などが改善されている。

○USB2.0

2000年に策定された。恐らく今現在「USB」と言えばこの規格を指す。
最大480Mbpsでの通信を可能とするハイスピードモードが新たに加わっている。
但しハイスピードモードは飽くまで「おまけ」なので、USB2.0でもハイスピードモードに対応していない機器もあるので注意。
また給電能力も強化され、最大500mAの給電が可能となった。

○USB3.0/USB 3.1 gen1

2008年に策定された。当初はUSB3.0と呼ばれていたが、USB3.1の策定以降はUSB3.1の第1世代(gen1)として扱われている。

最大通信速度が一気に5Gbpsに引き上げられている。
端子の形状的には内部のプラスチック板が青くなっている、また奥に新たに5つの接点が追加されている(つまり接点が9個に増えた)などの差異がある。
もちろん、以前の規格との後方互換性も備えているので引き続いて機器を利用することも可能。

○USB3.1 gen2

2013年に策定された(現在での)最新規格。
通信速度が10Gbpsに引き上げられている。

端子の形状

  • USB A
    • 恐らく「USB」と言われて一番最初に思い浮かぶであろう端子。
      長方形の端子の中に金属接点が4つ入っているあれ。
      主にPCやゲーム機などの「親機」に採用されている。

  • USB B
    • 一昔前のスキャナーなどに使われている、正方形に近い形状の端子。主に子機側に採用されている。

  • USB Mini A
    • デジカメの接続端子などに使われている小型のUSB「ミニUSB」端子。台形の断面をしている。

  • USB Mini B
    • これもミニUSB端子の一つ。A端子とは微妙に形状が違う。PSPのUSB端子もこれ。

  • MicroUSB(USB Micro B)
    • スマホのUSB端子とかでおなじみの小型のUSB端子。

  • USB3.0 MicroB
    • USB3.0規格向けのマイクロUSB端子。従来のマイクロUSBの端子の横に追加の端子が増えている。最近の外付けHDDとかで採用されている。

  • USB Type-C
    • USB端子の最新規格。裏表関係なく接続できるリバーシブル仕様。Nintendo Switchの拡張端子もこれ。

複数機器の接続

USB規格では最大127台の端子をツリー状(ハブなどで枝分かれさせていく形の接続)で接続できる。
ツリー構造の深さであるTierとしては、最大7段まで対応。

USB PD

2012年に策定された、「USBで給電を行う」ための規格。
従来の5V/500mA~900mAの他に、9V・12V・15V・20Vの電圧と、最大5Aまでの電流量が規格化されている。
つまり、理論上では最大で20V/5Aの100Wでの給電も可能となる。
この数値がどれだけヤバイのかって、一般的なノートPCのACアダプタは大きくても90Wくらいだって考えればわかるだろう。
つまり、理屈の上では「ちょっとしたノーパソやタブレット程度ならUSB-PDで給電できるので、端子をUSB一本に絞ることすら可能となる」のだ。
というか実際Appleの新型MacbookはUSB Type-C(Thunderbolt)での給電になっているし、ASUSのTransbookにもUSB給電を採用したモデルが有る。

ただここまでのことをすると粗悪なケーブルや機器を使った場合に危険性が増すことにも繋がっているため、トラブルの元になっていることもある。

USB対応機器の例

○PC

最近のPCはほぼ必ずUSB端子を備えており、中には(物理的な)接続端子はUSBのみのモデルもある。

○ゲーム機

これも最近のゲーム機はUSB端子を備える物が多い。
PlayStation VitaやNintendo Switchなどは給電端子としてもUSB規格を採用している。
またMicrosoftのゲーム機「Xbox」は、コントローラの接続端子は形状こそ独自だが内部的にはUSB規格を元としたものを使用している。

○ストレージ

いわゆる外付けHDDやUSBメモリなど。

○インターフェース

マウスやキーボードなども現在はUSB接続のものが主流。

○スマートフォン、タブレットPC

コンパクトさを要求されるので接続端子はMicroUSB、或いはType-C一択となるのが基本。
充電ケーブルもこの端子によって接続されるが、スマートフォン側だけではなくコンセント側もUSBになっており、PCなどに接続して給電もでき、専用のアダプタでコンセントに接続する事もできるようになっているものが多い。

○音楽プレーヤー

本体への音楽データ転送などにUSB接続を用いるものが主流。

○LANアダプタ

有線LANにおいてもUSB接続のアダプタが存在している。

○テレビ

最近のテレビはハードディスクに番組を録画する機能を持つものが多く、録画用の外付けHDD接続端子としてUSBを付けていることもある。

変身アイテム

仮面ライダーにはUSBメモリを用いて変身する者もいる。

○覇者

某ゲーセンにて活躍していた北斗の闘劇覇者は、奇跡的なふんばりからの逆転劇を起こしたり、永パを決められていても体力が残り1ドットのところで相手がコンボミスをしたりする(そしてそこから全く崩せなくなり逆転)事が度々あったため、元々正確無比なコンボ制度を比喩して「精密機械」などと呼ばれていたのにちなんで「筐体をUSB接続で操っているのでは?」などと言われていた。
もちろん冗談の類だが、本人が肯定した事がある。

尚、一部のアーケードゲーム機(NAOMI、SYSTEM246等)の内部構造としてはI/O系(要するにスティックやボタンの接続用など)に物理的な部分、つまり「端子」と「ケーブル」にUSBのそれを流用したものが実際に使われている(JAMMA JVS規格)。但し飽くまで物理的な部分を流用しているだけであり、内部を流れる「信号」は業界団体であるJAMMAの独自規格なのでUSBとの互換性はないのだが。


似たような規格

○IEEE1394

これもシリアルバスの規格の一つ。デジタルビデオカメラなどに使われる(当時としては)USBよりも高速な端子として用いられていた。

○Dockコネクタ

iPhoneやiPodの接続に用いられる端子。

○Lightning

近年のiPhoneに用いられているリバーシブル仕様の端子。

○Thunderbolt

IntelとAppleが策定した高速データ転送規格。
内部的にはPCI ExpressとDispleyPortが元らしい。
端子の形状としては(メタルケーブルの場合)Thunderbolt3以降はUSB Type-Cと物理的には同じであり、
通信方式もUSB3.1の規格も織り込まれているので、「USB Type-C 3.1の上位互換」的に使われることも多い。



余談


大抵のPCにUSB端子が付いていることもあり、USBの特性を狙い撃ちして利用するコンピュータウィルスも存在する。
昔で言えば、道端で拾ったFDをフォーマットして再利用しよう考えて読み込ませるのは危険*1という感じだったが、
今では自身の使っているフラッシュメモリや外付けHDDに感染させ、それを別のPCに接続させただけで感染するなんてケースも珍しくない。
これはコンピュータウィルスの一例に過ぎないが注意しよう。



追記・修正はUSB端子にいろんなものを接続しながらお願いします。

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