SCP-494-JP

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SCP-494-JP - (2021/05/08 (土) 20:45:40) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2017/09/06 (水) 16:24:02
更新日:2024/03/24 Sun 11:42:46
所要時間:約 5 分で読めます





現実。この世でもっとも脆いモノの名前だ。


SCP-494-JPとは、怪異創作コミュニティサイト「SCP Foundation」に登場するオブジェクト (SCiP) の一つである。
項目名は『地球動物大百科』。
JPのコードが示す通り、日本支部生まれのオブジェクトである。
オブジェクトクラスは「Safe」。


概要

まず特別収容プロトコルだが、これは至って簡素。
要約すれば、「鍵をかけた金庫に閉まっとけ。アクセスできるのはサイト管理者とO5だけね」というもの。
そんなSCP-494-JPが何かというと、「地球動物大百科」と印刷されたDVDロムである。

この中には、Windows2000以降で動作する同名のプログラムが入っており、地球上に現在存在する、あるいはかつて存在していたすべての動物のデータが入っている。
肉食・草食獣はもとより、人類、昆虫、植物までも網羅しており、さらに個々の説明は非常に詳細で丁寧、と図鑑としての完成度は文句なしに完璧。
生物学者垂涎のシロモノである。

もっとも、ただ図鑑として使うだけなら、本当にただの図鑑である。
このプログラムには、特定のコマンドを打ち込むことで起動する「デバッグモード」があり、オブジェクトとしての異常性はこちらにある。
デバッグモードでは、図鑑モードでは閲覧できない項目の存在が確認でき、その中には現状未確認の生物がずらりと並んでいる。
要はネッシーだのヒバゴンだのチュパカブラだのと言ったUMAや、ドラゴン・ユニコーンなどの幻想種なのだろう……と思いきや、実は違う。

で、これの何が問題なのかというと、デバッグモードで開かれているすべての生物の項目、それぞれにはチェックボックスが存在することである。
このチェックボックスは「extinction(直訳すると絶滅)」という名前でくくられており、異常性はここに存在する。
現在地球で確認されている生物種は全てこのチェックが外され、逆に確認されていない生物種は全てチェックされている。
チェックが外されている生物種は図鑑モードに項目が出現するが、もし、空白のボックスをチェックするとどうなるか?

お察しの通り、その生物は消滅する。
絶滅ではない、消滅である。

単に、物理的に消えるという意味ではない。
記録、記憶、痕跡、影響、その他一切の存在した証拠もろとも、「最初からいなかった」ことになってしまうのである。

では逆に、チェックを外したらどうなるのか?

その生物種は地球上に突然出現する。
記録、記憶、痕跡、影響、その他一切の存在した証拠もろとも、「最初からいた」ことになってしまうのである。
膨大な記録と共に現れたり、むかーしむかしから存在した古い種族だと認識されていたり、新種として出てきたり、と出現パターンはさまざまである。

つまりこのプログラム、とんでもない規模の過去改変&現実改変能力を備えた超問題児なのである。
幸いプログラムであるため、操作さえしなければ何も起きない。
だから、閉まっておけば異常性は発現せず、Safeで済んでいるのだ。これがもし勝手に起動するとかだったら間違いなくKeterだろう。
『鍵のかかった箱テスト』を地でいくSCPの一つと言える。


発見経緯

記憶まで改変する都合上、SCP-494-JPの発動とその影響を観測することは出来ない。
しかし、デバッグモードを操作した当人だけは、記憶の改変を免れることがわかっている。

財団がこのオブジェクトを発見したのは、2000年代の東京に住むある男性の自宅からである。
この男性は知人との会話の中で、未知の動物に関する深い知識を披露したが、反面ポピュラーな動物についてほとんど知らない、という妙な特徴を見せていた。
この会話の一つをたまたま聞いていたエージェントが「何かおかしい」と思い、話を聞いたところオブジェクトの存在が明らかになった。

なんでも、男性の自宅のポストに、デバッグ用のコマンドなどを書いた紙片とともに、いつの間にか入っていたらしい。
デバッグモードをいじって遊んでいた男性だが、ほどなくして周囲の情報から、デバッグモードにしかいなかったはずの動物が現実に存在し、逆に自分のペットだった動物がいなくなっている(なお、この動物は現在地球上では未確認である)ことに気づいた。
この話から現実改変を疑ったエージェントは、男性とオブジェクトを確保。
男性は記憶処理を行った後解放、その後の実験で、デバッグモードを操作した本人には現実改変が及ばないことが判明した。


補遺

ところで、その後このオブジェクトを調査する中で、一つの事実が判明している。
例の絶滅チェックボックスの中に、それらのチェックがいつつけられ、いつ外されたかを記録するタイムスタンプが発見されたのだ。
これを調べたところ、古来より人類と共に生きてきたとされる、とある科の、複数の動物種のチェックが、2000年代とかなり最近に外されていたことが判明した。……つまり、最低でも1999年までは、その動物は地球上には存在しなかったのである。


今自分が見ている現実は、そこにいる生物は、たった今そこに出現したのかもしれない。
その事実だけでも冷や汗が出るが、一つ注意点がある。

この図鑑に載っている動物は、地球上に存在しうる生物全てである。
もう一度言う、ヒトを含む生物全てである。





追記・修正は自分の知る歴史が正しいと信じる人にお願いします。


CC BY-SA 3.0に基づく表示

SCP-494-JP - 地球動物大百科
by PertProducer
http://ja.scp-wiki.net/scp-494-jp

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