SCP-3883

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SCP-3883 - (2017/10/06 (金) 12:27:57) の編集履歴(バックアップ)


登録日: 2017/10/01 Sun 01:31:21
更新日:2023/12/11 Mon 15:08:21
所要時間:約 11 分で読めます




SCP-3883はシェアード・ワールドThe SCP Foundationに登場するオブジェクト
オブジェクトクラスはSafe。

概要

SCP-3883はサイト-16の標準安全ロッカーに保管されている。
このオブジェクトは基本的には現実世界に干渉するようなブツではない。

SCP-3883は緑色のディルドである。

…まさかと思うけどディルド知らない読者はいないよね?一応説明しておく。
日本語では張形(はりかた)といい、男性器(ペニス)を模した性具である。
主に女性が自慰の際に自分の性器に挿入して用いるほか、性交時に男性が勃起能力が衰えている際に代用品として用いたもので、
現在の歴史学では紀元前から使用されていたものと見られている。

…まあ要は緑色のチンコを模した大人の玩具です。

このオブジェクトは2つの効果を持つ。
ひとつは、「反射面に写った時の反射像が、反射面ごとに異なる」こと。
鏡に写せばディルドそのものがうつるが、液体の面に移すとマダコ、窓に移すと人型、テレビや携帯などの画面に写すと緑色の球状生物、
高輝度の果物に写すとキヒトデに似た何か、と映すジャンルごとに一定の法則はあるものの、いろんな姿を取る。

ふたつ目は、近くでレム睡眠に入った人がいた時に起こる。
1.5m以内で寝た(性的な意味ではなく)人がいると、その人は現実的な夢を見る。
そのなかで、たくさんの足がある緑色の巨大な怪物に襲われるのである。
ちなみにシチュエーション及び怪物の詳細は一定していない。
ただ、この状態を脱出するには、誰かに叩き起こされるか、夢の中で殺される必要がある。
まあ、夢の中で殺されても起きるだけ、なのでそこまで怖いというわけではないが(トラウマにはなるだろうけど)。

ディルドは何を思う

ハーピー博士は、その夢の中に出て来る怪物に興味を持ったのか、怪物と意思疎通する試みを提案した。
提案は承認され、ハーピー博士はディルドの横で寝た(性的な意味ではなく)。

最初に寝た時、怪物はひどく敵対的であった。

<記録開始>

REM睡眠に入ったハーピー博士は、自分が一般的な大都市圏の風景の中にいる事に気付く。即座に地面が揺れ始める。身長およそ15mのヒト型実体が姿を見せ、複数の建造物を破壊する。この生物は、色調と触手に似た多数の付属肢を基に、ハーピー博士からSCP-3883-1であると断定された。ハーピー博士はSCP-3883-1が接近しても身動きしない。ハーピー博士のボディランゲージは困惑を示し、以下の会話が交わされる。

SCP-3883-1: 恐レヌノカ、人間?

ハーピー博士: いいや、恐れてはいない。我々は君を研究している。これが単なる夢であり、君が物理的に私を負傷させられないのは分かっていることだ。私の名前はハーピー博士という。

SCP-3883-1: 愚カナリ。ココニ夢ナド有リハセヌ。我ハイカラナ、銀河ヲ呑ム者。恐怖ニ駆ラレ逃ゲルガヨイ。

ハーピー博士: その気は無い。実は君と話がしたかった、幾つか質問がある。

SCP-3883-1: 人ニ答エルコトナド無イ。我ヲ恐レヨ、定命ノ者。

ハーピー博士: 君は自分が実際には何なのか分かっているのか? 夢の外側では、君はただの性—

SCP-3883-1: 止メロ。モウ十分ダ!

この時点で、SCP-3883-1は付属肢の1本でハーピー博士を叩き潰し、夢の中で“殺害”されたハーピー博士は起床した。

<記録終了>

ハーピー博士が「お前夢の外ではただのディルドだぞ」って言おうとした瞬間に殺され、ハーピー博士は起床する。
だが懲りずにハーピー博士は一週間後に実験再開。

SCP-3883-1: イカラナ、深ミニアリテ貪ル者ハ再ビ宴ノタメニ帰還シタゾ、定命ノ者。

ハーピー博士: やあ、また会ったな。君に幾つか質問がしたい。

SCP-3883-1: マタ貴様カ? 前回何ガ起コッタカ覚エテイナイノカ? 我ヲ恐レルコトヲ学ンダカ?

ハーピー博士: 先に述べたように、君を恐れる理由が無い。私は夢を見ているだけだ。質問を始めても構わないかな?

ハーピー博士が話し終えた時点で、SCP-3883-1は苛立っているように見受けられる。SCP-3883-1は船を攻撃し、やがて船体に穴を空ける。船はゆっくりと沈み始める。

SCP-3883-1: ハハハ! 不安デタマラナイデアロウ? 逃ゲ場ハ無イ、貴様ハココデ死ヌノダ。

ハーピー博士: イカラナ、何回言わなければならない? 私にはこれが夢だと分かっている、君はどんな苦悩であれ私には与えられん。私が何を恐れるというんだ?

SCP-3883-1: 我ヲ! 恐レヨ!

この時点で、SCP-3883-1はハーピー博士を掴み上げ、海に放り出した。水面との衝突時にハーピー博士は夢から目覚めた。

<記録終了>

うーん、イカラナ、見事に空振っている。ハーピー博士はSafeオブジェクトの担当だというが、あまりに肝が座っていると言わざるを得ない。
まあよくよく考えると、「死なない」ってわかっている相手に何をしたって意味ないよね…。

そしてついにイカラナも観念したようだ。

ハーピー博士: ではイカラナ、ついに質問に答える準備ができたという事かな? 何故いつもの設定を変えようと思った?

SCP-3883-1: 貴方だと気付いて諦めました。古い慣習では貴方に効果が無いのは分かっていたことです。最初に会った時点で既に気付いていました。私はただそれを否定したかった。

どうやらイカラナは、最初からハーピー博士は明らかに自分を怖がってくれないであろうと気付いていたようだ。
しかし、化物には化物なりの意地があったのだろう。

ハーピー博士: 何故この“古い慣習”に執着している? 何故こういう夢を見せるんだ?

SCP-3883-1: 私が何物なのかを知らないのですか? つまり、ここではなく、外側の話です。現実世界の。私が何のために使われているかを知っていますか?

ハーピー博士: ああ、分かっている。だが—

SCP-3883-1: 私を見たことがありますか? 触手ですよ! 私は巨大な名状し難き存在とか、都市を破壊する怪獣とかの一部であるべきなのです… 交配の代用品などではなく! あんな… あんな恥ずかしい目に。

ハーピー博士: それでは、これらの夢は君にとって逃避の一種であるのかな?

SCP-3883-1: その通りです! それに、私はそこに問題があるとは思っていません。これはWin-Winの関係です。私は自分がいつもなりたいと思っている存在を装うことができますし、貴方たち人間も一生に一度あるかないかの面白い夢が見られるでしょう。

ハーピー博士: 理解できる。

SCP-3883-1: 博士、その… 実はお願いがあるのです。

ハーピー博士: 何かな、イカラナ?

SCP-3883-1: 時々、新しい顔ぶれを送ってはくれませんか? 私はただ… このちょっとした見せかけを続けていたいのですよ。私には大いに助けになります。

ハーピー博士: …出来る限りの事はしよう。

ハーピー博士はこの時点で起床し、夢を記録した。

…そう、イカラナには悩みがあった。

本来緑色の触手といえば、なんかしらの化物の一部みたいな、そういう存在であってしかるべきだと、イカラナは考えていた。
しかし現実問題、イカラナはディルドである。女性のおまんこに突き刺されて使われるただのおもちゃでしかない。
イカラナはせめて、夢の中でくらいは、化物になりたかった。

ハーピー博士はイカラナに同情したのか、あるいはほっとくと別の異常性が出ても困ると考えたのか、はたまた両方なのかはわからないが、
収容プロトコルに「毎月、SCP-3883の効果を知らないDクラスを近くで寝させる(性的な意味ではなく)」というもの付け加えるよう要求した。
とはいえど、流石に上層部も「ええ…(困惑)」と思ったのか、現時点ではこの変更は保留されている。

オブジェクト制作の経緯

元々このオブジェクトはSly161氏が元ネタを考えたオブジェクトであった。
ディルドの写真を撮影し、意気揚々と投稿されたSCP-3883は…しかしDV削除の憂き目にあった。

が、どうしてもディルドのオブジェクトを書きたかったSly161氏は、Zyn氏(※女性です)に相談。
Zyn氏は「もしディルドが、自分自身の存在を恥ずかしく思い、クトゥルフになりたいと夢を見たら?」という質問をされるとは思わなかったと回答している。
ともあれ、Zyn氏のアドバイスを聞いて生みだされたSCP-3883は、「なんか古き時代の傑作オブジェクトって感じがする」という高評価を得るに至っている。
実際、シリーズI(三桁台)のオブジェクトのようなシンプルなオブジェクトに仕上がっている。







SCP-3883 - Dildos Have Dreams Too(ディルドにだって夢はある)









関連

SCP-3883のように、「性具のオブジェクト」をいくつか紹介する。

電源が超小型原子炉になっているバイブレータ。
オン・オフスイッチは5段階に変更されており、「オフ/弱/中/強」までは普通のバイブとして(使用したい物好きがいるかはともかく)使用できる。
しかし次の「自殺」に設定すると、SCP-297の振動周波数はすみやかに20万kHzずつ増加し、個体物質の凝集力を失わせ、
高周波の正のフィードバックループを引き起こすものに振動数を変更…つまり完全にぐちゃぐちゃにしてしまう。まさにエクストリーム自殺。

書いたのはDrClef氏。アバター同様、そういうのがお好きなようである。

  • SCP-1805 - A Real Doll ("ホンモノ"のドール)
実際の女性によく似た精巧なセックスドール。
対象になった人の妻として振る舞い、エッチにはどんなことでも可能な限り応じてくれる。
ただし、他の女――仮にそれが過去の彼女だろうが、二次元の嫁だろうが、テレビの中のアイドルだろうが――に対象者が惚れると、
凄く怒り狂って暴力的になる。

ちなみに書いたのがsandrewswann氏。
あの「S・アンドリュー・スワンの提言」を書いた人である。

  • SCP-966-JP - 性の目覚め
シリコン製ラブドール。
パーツがちゃんと揃っている時に擬似性交を行うと、性器の形が変化し、以後そのラブドールでしか性欲を発散しようと思わなくなる。
人格も物分りの良い性格に変化するそうである。
なお一人のみ、体から自分自身を産みだすというよくわからない結果が起きた。
性的オブジェクトは往々にしてシュールなオブジェクトであることが多い中、
「このラブドール、誰が元々何の目的で作ったんだ?」という疑問が残る。



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