登録日:2009/10/17 Sat 21:20:09
更新日:2025/08/29 Fri 12:38:15
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DIO様は決して何者にも心を許していないということだ
口を封じさせて…いただきます
そしてそこの4人…
お命ちょうだいいたします
【概要】
DIOの部下。
気味の悪い怪しげな外国人が多い3部の敵の中では異質な、小奇麗な恰好をしたハンサムな青年。
エンヤ婆が
「なぜきさまがこのわしを殺しにくる」と言っていた事から、
裏切りの可能性がある部下を始末する役目を持っていたと思われる。
初めて登場した時は怜悧な雰囲気で口調も慇懃だったが、その本性は
陰険な卑劣漢。
後述のスタンドの術中に
承太郎を陥れるとすぐに優位な安全地帯から相手を煽ったり嬲りものにするゲスな本性を現した。
口調も地が出ると品の無い軽薄な物に変わる。
承太郎が
人質を取られて手向かいできないのを良い事に、まるで主人のように理不尽な命令を連発。
非力でありながら旅が始まって以来最大級の窮地に彼を追いやったが、一方で生殺与奪権を握りながらさっさと手を下さず大喜びで嫌がらせに興じているあたり、所詮
「スタンド使いになった性格の悪い素人」の域を出ておらず、プロとしての矜持や合理性のような徳目は一切備えていない。
DIOに対しても、当初は忠誠を誓った部下のような口ぶりだったが、実際は単純に高額の報酬に釣られて言うことを聞いているだけの使い走りで、忠誠心のようなものはまるで持っていない。
自分が危なくなれば「もらった前金をやるから許してくれ」と交渉を持ちかける程度の関係である。
自身の優位が覆されたと見るや承太郎の靴を舐めて許しを乞うなど、有利な時に見せた傲慢さや攻撃性はそのまま卑屈さの裏返しでもあり、保身のためならプライドなどいくらでもドブに捨てられる男。
また、目先の利益に賎しい割に長期的な視点が持てず視野が狭いという欠点もあり、自分の旗色に合わせてころころと態度を変え、物事の裏側に注意することなくすぐに勝利を確信して良い気になる。
承太郎にも「正真正銘の史上最低な男」と評されたが、えてしてこういったクズほどタチの悪いスタンドを発現したりする(スタンド=使用者の精神の具現化という隠喩もあるため)というのもこの作品ではよくあることである。
【作中の活躍】
初めはパキスタンのドネルケバブ屋に変装して登場し、「肉の芽」を使いエンヤ婆を殺害した後、
ジョセフ・ジョースターの脳幹に「恋人」を送り込み後述のスタンド能力により、彼を人質に取る。
4対1と数の上では圧倒的に不利ながら優位な状況を作るが、慢心しやすい性格が災いしたのか、勝利を確信し自分の能力をベラベラとしゃべって反撃のきっかけを与えてしまう。
与えてしまった情報からジョセフらによって「恋人」の居場所を特定されてしまい、
花京院の「
法皇の緑」によって自身のスタンドをジョセフの脳から追い出される。
今まで人質としていたジョセフが解放されてしまい、「恋人」を無力化されてしまったダンはこの時点ですぐそばにいる承太郎に攻撃されたらひとたまりもないため、これまでの強気の態度から一変、承太郎に対して恥も外聞もないといわんばかりの必死の
命乞いを始める(一回目)。
靴をなめる等の卑屈な態度をとる一方で形成逆転しようと、隙を狙って承太郎の耳に「恋人」を送り込もうとしたが、「星の白金」の驚異的な視力の前にあえなく失敗。「恋人」を捕獲され、手足を折られる重傷を負ってしまう。
スタンドを使用不能にされ、人質がいないことも承太郎にバレてしまった、もはや「まな板の上の恋鯉」のような状態になってしまったダンは再び承太郎に対して必死の命乞いをする(二回目)。
必死の命乞いが通じた(?)のか、承太郎は「恋人」を解放し、立ち去ろうとする。しかし、ダンはまだ承太郎打倒をあきらめていなかった。
往生際悪く、近くを通りかかった女児の体内に恋人を潜り込ませ人質とし、承太郎を道連れにしようとするも、気づかぬうちに絡みついていた「法皇の緑」の触手によりスタンドの動きを封じられそれも無為に終わるのだった。
万策尽きて打つ手なしの状態となり、なおも見苦しく許しを乞う(三回目)ダンだが、承太郎はダンと敵対した時点で彼を「絶対に許さない」と固く決意していた。
ディ……ディオから前金をもらってる……そっ それをやるよ
『オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ』
『オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラーッ』
『オラオラオラオラオラオラオオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラーッ!!』
……と、
3ページ52発(アニメでは20秒66発)にも渡る怒りのオラオララッシュを叩き込まれ彼に高すぎる
「ツケ」を払う事になった。
TVアニメ版でもきっちりと再現されており、承太郎役の
小野大輔氏の白熱の演技も相まって迫力は最高潮。この腐れ外道が容赦なくボコボコにされる様は、視聴者としては物凄くスッキリすること請け合いである。
本気で感動したり、完璧な原作再現に涙した視聴者も多かっただろう。
しかも細かい所では途中に「
オラオラオラオ」と何故か「ラ」まで言い切っていない一撃が紛れ込んでいる所まで再現しており、製作陣と小野氏の原作描写に対するリスペクトには脱帽するしかない。
なお、ダメ押しに殴り飛ばされた先の煉瓦の建築物をぶち破っており扱いこそ「再起不能」だが、破壊力がスッゴク半端ないスタープラチナにアレだけ殴られた事を考えたら、全身粉砕骨折・内臓破裂で絶命した可能性が高い。自業自得ではあるが。
【スタンド】
フッフッフ 史上最弱が…
最も最も最も最も最も最も最も最も最も最も最も最も最も最も最も最も最も最も最も最も最も最も恐ろしいィィ
マギィーッ!!
スタンド名:『ラバーズ』
破壊力…………E
スピード………D
射程距離………A(数百キロ)
持続力…………A
精密動作性……D
成長性…………E
体長1mmにも満たない程非常に小さく、髪の毛一本すら動かす力も無い自称・
史上最弱のスタンド。
デザインはカニやヤドカリを人型にした
エイリアンのような姿をしており、両手はハサミになっている。
鳴き声は
「マギィーッ!」だが、それとは別に人語も操る。
◆能力
その小ささを利用して相手の脳に入り込み、本体のダンの受けた痛みを数倍にして相手に伝えることができる。
これはダンへのダメージがスタンドに伝わり、反応して脳内のスタンドが暴れる、という割と原始的な仕組みで引き起こしているらしい。
厳密にはスタンドに行わせている作業の一部なのかもしれない。
,、,、
ノノv丶
ヾ_6 ゚ヮ゚)ツ「「スタンド」と「本体」は一心同体!「スタンド」をキズつければ本体もキズつく」
,、,、
ノノv丶
ヾ_6*゚ヮ゚)ツ「逆も真なり!このわたしを少しでもキズつけてみろッ!同時にわたしのスタンドがわたしの痛みや苦しみに反応してあばれるのだ!」
例としては
- ダンが指をポキポキ鳴らす→ジョセフの義手にまで指ポキの感覚が伝わる
- ダンが子供にホウキで叩かれる→ジョセフが鈍器で殴られたぐらいの痛みを感じる
- ダンが壺にキックする→ジョセフの脚が痺れるぐらい痛くなる
- ダンがちょっと背中が痒いからと掻いてもらう→ジョセフが思いっきりくすぐられてる状態になる
……などである。
人間を殺すのに力なんぞいらないのだよ……………
わかるかね諸君!
,、,、
ノノv丶
m9_6 ゚ヮ゚)ツ
‾丶}丶ノ{丶
/__|ノ
/:/|:|
/:/ |:|
よく「恋人同士は小指と小指が赤い糸で結ばれている」と言うが、本体のダンのサディズムと、その性格故の孤独を表した実に皮肉めいた能力である。
能力の応用で脳の中にDIOから拝領した「肉の芽」を植え付けて、爆発的に増殖させて脳を食い破らせて殺す事もでき、一行を「早くスタンドを倒さないと肉の芽で死ぬ」しかし「本体を叩けばダメージが跳ね返る」という
チェスや
将棋でいう「
詰み」の状態まで追い込んだ。
本当に何故姿を見せたし……。
さらに細胞を粘土のようにコネて分身を大量に作ったり、身に纏って「法皇の緑」に化けたりと多彩な戦術でスタンドを潜入させた花京院と
ポルナレフを苦戦させた。
特に分身は斬っても殴っても次々に分裂・増殖し、大量の「恋人」がゾロゾロ襲い掛かって来るシーンはさながら
SF映画のエイリアンが大量に襲いかかって来るシーンを彷彿とさせる不気味さである。
「恋人」及び分身は縮小した「
銀の戦車」とも肉弾戦で戦えているので、非力というのはあくまで小さいからであり、サイズ相応で言えば身体能力はむしろ高い部類といえる。
本人も認める通り最弱、それでいて最凶の能力だが、欠点もある。
もともとスタンドは自分に対して分厚すぎる壁は透過できず、縮小した「法皇の緑」や「銀の戦車」がそうしたように、「恋人」も体内に潜入するときにはわざわざ耳などから入り、血液を泳いだり体組織を掘り破っていかなければならない。
これは脱出するときも同様で、作中でもいちいち足元の組織を掘りぬいて逃げ潜っていった。
遠距離からでなく間近から、本体の目視のもと潜入させたのはこの性質のためだと思われる。
また、承太郎が「苦痛を感じる暇も与えずに即死させてみせる」と攻撃に踏み切ろうとした時にはダンも本気で焦っており、可能ならばそれも有効な攻撃手段になるはずである。
そして相手に攻撃されたことを全く認識させずに葬れる能力を持ち、自分以外の人間がどんな目に遭おうと意に介さないDIOとは全方面で相性が最悪である。
それ故に忠誠を誓ったのかもしれない。
なおいろいろな意味で有名なSFC版ではダンはなぜか登場せず、『恋人』はエンヤ婆が種としてジョセフに埋め込んでいる。
また、その際ジョセフ以外の4人がスタンドを小さくして彼の体内に入ることになる。
余談
ー作者からー
中東方面では、日本や西洋などの常識は全く通用しない。
…というのも、値段がすごくいい加減なのだ。
日常の値打ちを知らない初めての外国人は、
一体いくらなのか全く検討が付かず、
すごくカモられてしまう。
しかし、ここの世界ではカモるのは悪いことではない。
騙されて、買ってしまうヤツが、マヌケなのである!!
ここで、買い物の仕方を説明しよう。
例えば、この場合『わしはふっかけられてるのをお見通しだよン』という態度を取り
自分でも『こんなに安く言っちゃって悪いなぁ〜〜〜』と思うぐらいの値を言う。
……すると
『マジィ〜〜〜?常識あんの〜〜〜??』
と、人を小馬鹿にした態度で
「そんな値段で売ってたらワタシの家族全員飢え死にだもんねー」
…と、首を掻っ切る仕草をしてくる
しかし、ここで気負けしてはいけない!!
「OKフレンド!ワタシ外国人に親切ネ!5個700円にするヨ?」
「600」
「350」
「550」
「400」
「450」
『425』
(いつもは5個で150円で売ってるもんねー)
「バイバーイ サンキューねっ」
「恋人」のエピソードで特に欠かせないのが、ドネルケバブ屋に化けてた際の上記のジョセフとの値段交渉バトル。(※アニメと混合してますが、ほぼ原文ママ。)
これは作者の荒木氏の取材体験を元に作られたエピソードであるらしく、妙に気合が入っている。
実際に中東方面や東南アジア辺りでは、買い物での値切り交渉は当たり前である。
海外旅行に行った際に、参考にした読者も結構多いのではないだろうか?
そしてアニメにおけるケバブ屋に変装した際の、ジョセフとの値段交渉バトルは、焼かれてるケバブ肉の飯テロ級の旨そうな作画や、ナレーションの大川透氏の「楽しそうにやってるなぁ」と思わせる解説っぷり、そして岸尾氏の熱演も相まって腹筋崩壊モノであり、更に必見である。
この時ダンは普段は五個(日本円で)150円で売ってるケバブを五個1000円(交渉前)→五個425円(交渉後)でぼったくってたが、現在の日本で売ってるケバブに比べると遥かに安いのが、なんとも複雑にさせてしまうシーンである……。
わざわざモノローグで「いつもは」と言及している事もあり、ケバブ屋は一時凌ぎの変装ではなく本業だったのではと考えるファンも多いとか。
そして最終的にちょっとぼったくられたとはいえ、ケバブを値切りまくったジョセフのドケチっぷり。いいのかニューヨークの不動産王……
「おいアニヲタども」
「おれの代わりに追記・修正してくれよ」
「どうだ?追記・修正してくれないのか」
「てめーーなにふざけてやがるんだ」
「追記・修正しろと言っているんだッこのポンチ野郎がァーッ」
- 予告した通り、コメント欄が長いのでリセットしました。 -- 名無しさん (2018-04-19 23:50:05)
- 5部だったらズッケェロみたいな感じでナランチャ達に袋叩きにされるだろうな -- 名無しさん (2018-12-13 23:50:58)
- 「時計は生意気にタグホイヤーだがな」 ←あの時、ダンが承太郎から借りた(盗った)ヤツは何てモデルだったんだろう。見た目からして、カレラ、フォーミュラー1、アクアレーサーのどれかだとは思うんだけど・・・。 -- 名無しさん (2019-08-15 04:35:06)
- いつ見てもこいつがオラオララッシュでフルボッコにされるシーンは見ていて心がすっきりする。ストレス解消にびったりだよ -- 名無しさん (2020-03-04 23:09:55)
- ↑2 漫画版はベルトの形状からしてリンク、アニメ版はフォーミュラ1かアクアレーサー。 -- 名無しさん (2020-04-20 17:50:15)
- 敗因を挙げるとすれば承太郎以外のメンバー(特に花京院)の対策を立てなかった事だと思う。 -- 名無しさん (2020-05-13 02:41:59)
- 名前を見て、一瞬SCP-297を思い出したのは俺だけでいい・・・ -- 名無しさん (2020-05-13 07:51:20)
- >ジョセフのドケチっぷり たぶん本気でケチりたかったんじゃなくて、半ばゲーム感覚で値切ってたんじゃないかね。ジョセフの性格的にも。 -- 名無しさん (2020-05-13 10:33:07)
- 3部の項目ではスタンドの名称は「星の白金」とか「法皇の緑」みたく「」&漢字表記に統一して欲しい。カナ表記が半端に混ざってると気持ち悪い -- 名無しさん (2020-06-17 18:12:12)
- アニメ版が「オラオラオ」で一旦息継ぎをしたところまで再現しているのだから、第一部の「なにをするだァ -- 名無しさん (2020-09-22 20:29:52)
- ↑(続き)…も(たとえ誤植だと分かっていても)再現して欲しかったよ… -- 名無しさん (2020-09-22 20:30:53)
- 比較されがちなチョコと違って生きてても不思議じゃない感じがするのは本気の殺意で念入りに抹殺したあっちと違ってわりとコメディ寄りな雰囲気があったからだろうな。ラバーソールやダービー弟と合わせて五体満足で元気してても驚かない。 -- 名無しさん (2020-09-22 20:39:35)
- 性根が曲がったサディストだったのが真の敗因。本体を現したのも相手を自ら踏みつけにするためなわけだし。そうでなかったら一行を全滅できるポテンシャルはあった。・・・まあこの性格だからこそ、この性能で発現したスタンドかもしれないが。 -- 名無しさん (2020-10-27 23:38:26)
- 自分に忠義とアドバイスくれたエンヤ婆を、コイツで処理するあたりDIOの合理的というか。スタンドの能力としてはピカイチで実力あったコイツだから任せたともあるけどさ -- 名無しさん (2021-04-12 13:41:43)
- 5個で1000円でも充分安いの草生える -- 名無しさん (2021-08-09 16:57:27)
- 項目名が「鋼入りのダン」でなく「スティーリー・ダン」で(ジョジョ)表記もないとバンドの方なのか分かりにくいな。まあ、アニヲタwikiだから高確率で前者なんだけど。 -- 名無しさん (2021-10-20 13:38:18)
- ケバブってあんまりおいしいと思ったことはない…が -- 名無しさん (2022-01-23 19:49:14)
- 後年のジョセフの痴呆症、脳細胞いじられたことも関係あったりするのかな。この能力で知らぬ間に頭の中ぐちゃぐちゃにできたのかもしれないと思ったら、ちょっと吐き気が…。 -- 名無しさん (2022-11-03 14:41:26)
- ジョジョ スティーリー・ダン クズすぎ -- 名無しさん (2023-07-10 15:01:39)
- 「相手を知らな過ぎた事が敗因だ」と花京院に言われてたけど、ジョセフを人質に取った際に一行を全滅させようとしなかったから勝機を失ったり自分がどういう状況か理解もしないで少女を人質に取った気になって承太郎を殺そうとして再起不能したから敗因は全部自分のせいだよね -- 名無しさん (2023-11-22 13:07:11)
- スティーリー・ボール・ダン -- 名無しさん (2024-04-25 21:19:10)
- コイツの横暴に振る舞ってたのが形勢を覆されると一転して卑屈な態度に出て許しを請うも、そのくせ内心では逆転の隙をうかがっているというゲスさ加減は、漂流教室の関谷を思わせるのだが、おそらくモデルにしてるんだろうな。 -- 名無しさん (2024-11-21 12:05:51)
- 作中内の年代的に1$=130円なので5個4$。1970年の米国で1個75セント=225円か1990年プレート付きケバブが5$=650円だったので425円なら大喜びなのは間違いない。 -- 名無しさん (2025-03-06 10:04:08)
- 仮に生きてたとしてもオラオラのラッシュをたっぷり受けたからな。メンタル折れたとかかも -- 名無しさん (2025-06-21 01:09:44)
- 全て終わった後で次、スタンド使ったらまたボコリにくるからなって念入りに言われてそう -- 名無しさん (2025-06-30 12:28:39)
最終更新:2025年08月29日 12:38