そして誰もいなくなった

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そして誰もいなくなった - (2020/01/20 (月) 20:30:07) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2010/09/19(日) 14:09:16
更新日:2024/04/19 Fri 11:01:21
所要時間:約 5 分で読めます




人のインディアンの少年が食事に出かけた。
一人が喉を詰まらせて、人になった。

人のインディアンの少年が遅くまで起きていた。
一人が寝過ごして、人になった。

人のインディアンの少年がデヴォンを旅していた。
一人がそこに残って、人になった。

人のインディアンの少年が薪を割っていた。
一人が自分を二つに割って、人になった。

人のインディアンの少年が蜂の巣を悪戯していた。
蜂が一人を刺して、人になった。

人のインディアンの少年が法律に夢中になった。
一人が大法院に入って、人になった。

人のインディアンの少年が海に出掛けた。
一人が燻製のにしんにのまれ、人になった。

人のインディアンの少年が動物園を歩いていた。
大熊が一人を抱きしめ、人になった。

人のインディアンの少年が日向に座った。
一人が陽に焼かれて、人になった。

人のインディアンの少年が後に残された。
彼が首をくくり、後には誰もいなくなった。

※本によって和訳に違いがある場合があります。





AND THEN THERE WERE NONE
そして誰もいなくなった








―――私にとって、これが「こんな作品が書きたい」という目標であることはいつまでも変わらないだろう。

川 次郎


〈概要〉

"そして誰もいなくなった"は、小説家アガサ・クリスティの書いた推理小説。
同氏の代表作の1つであり、全世界で1億冊以上を売り上げたとされる。
舞台は陸から1マイル程度離れた孤島、「インディアン島」に建てられた洋館であり、
「孤島の洋館で起こる連続殺人事件」と言われて、この作品を連想する人は少なくないと思われる。


ちなみに、発表当時の原題は「Ten Little Niggers (10人の小さな黒人)*1」という、表現的に危ないものであったため、後に「And Then There Were None (そして誰もいなくなった)」に改題された。
なお、冒頭の童謡の歌詞や島の名前も「Nigger」だったが、上記の通り「Indian」に変更されている。
また、最近では「Indian」も差別用語とする見解があることから、童謡のその部分が「Soldiers」に変えてあるものもあるとか。



〈ストーリー〉

互いに面識の無い十人の男女が、様々な理由で孤島「インディアン島」に招かれた。
しかしそこに招待主であるオーエン夫妻の姿はなく、そのまま夜になり夕食を済ませた時、どこからともなく客達の過去の罪を告発する声が響いた。
そこから一人、また一人と童謡に沿って殺されていく……。

果たして犯人は誰なのか? そして犯人の目的は……?



〈登場人物〉

〇ローレンス・ウォーグレイヴ
元判事の老爺。有罪判決の多さから、"首吊り判事"と一部では呼ばれている。
告発によると、誰もが無罪と信じていた被告を決定的証拠もないまま死刑にした。
インディアン島へは旧友の女性に招かれたことになっている。

〇ヴェラ・クレイソーン
秘書と家庭教師を職業とする女性。
告発によると、体の弱い教え子に泳げるはずのない距離を泳ぐ許可を与えて溺死させた。
秘書としてオーエン夫妻に雇われる事になっていた。

〇フィリップ・ロンバート
元陸軍大尉。
告発によると、アフリカの任地で現地人の部下20名余りを見捨てて死なせた。
モリスと名乗る男の依頼でインディアン島へ赴く。

〇エミリー・ブレント
カトリックの信仰篤い老婦人。
何でもかんでも自分が正しいと思い込んでいる(それ故にターゲットに選ばれることになったのだが)。
告発によると、不義の子を身ごもったメイドにつらく当たり、自殺に追い込んだ。
避暑地のホテルで知り合った人物に招かれたことになっていた。

〇マカーサー
退役した老将軍。
GHQの最高司令官とは何の関係もない。
告発によると、妻と不倫関係にあった部下をわざと死地に送り込んで死なせた。
旧友が来るから、と招かれた。

アームストロング
ロンドンの名医が集うハーレー街に医院を構える医者。
黒船に搭載されてた大砲や、某筋肉錬金術師とは何の関係もな(ry
告発によると、泥酔したまま手術を執刀して助かるはずだった患者を死なせた。
オーエン婦人の診察を頼まれていた。

〇アンソニー・マーストン
遊び好きの若いあんちゃん。
登場していきなりアームストロングの車と事故りそうになるなど、車の運転がめちゃめちゃ荒っぽい。
告発によると、その危険運転で2人の子どもを轢き殺したが事故として片づけられたとのこと。
友人から電報が来たらしい。

〇ウィリアム・ヘンリー・ブロア
元警部の現探偵。
告発によると、虚偽の証言で無実の男に強盗殺人の罪を被せて獄死させた。
オーエン氏に来客者を見張るよう頼まれていた。

〇トマス・ロジャース
1週間前にオーエン夫妻に雇われた執事。
告発によると、かつて仕えていた老婦人の遺産を手に入れるため、主人の持病による心臓発作をわざと放置した。

〇エセル・ロジャース
トマスの妻でコック。
告発による罪状は、夫の共犯。

〇オーエン夫妻
彼らを招いた富豪。
夫はユリック・ノーマン(Ulick・Norman)、妻はユナ・ナンシー(Una・Nancy)で、どちらともU.N.オーエンとなる。



※以下真相を暴く為のヒント的なもの(微妙にネタバレ注意)











"燻製のにしん"とは、「注意を他の事にそらす」という意味で使う時がある。





なお戯曲化された際には結末が異なっている他、ゲーム化もされている。
また2017年にはテレビ朝日にて、舞台を日本に置き換えた前後編のSPドラマを放送。渡瀬恒彦の遺作となった。渡瀬氏の役柄とリアルでの病状等とのリンクが洒落になっていなかったとも言われる。
原作とは違い「解答編」部分がオリキャラの刑事による推理シーンに変更されており、このオリキャラ刑事主役編として、ミス・マーブルシリーズを原作としたドラマも後に放送されている。

ちなみにクローズドサークル及び見立て殺人の草分けとも言える名作であるがゆえに、パロディも多く存在している。
特にクローズドサークルものの作品では、登場人物が自分たちの置かれた状況について「まるで"そして誰もいなくなった"のようだ」とこの作品そのものに言及することもしばしば。



一人のWiki篭りが後に残された。
彼が追記・修正をし、後には誰もいなくなった。

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