登録日:2010/09/19(日) 14:09:16
更新日:2026/07/09 Thu 11:01:25
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Ten little Indian boys went out to dine;
One choked his little self and then there were nine.
十人のインディアンの少年が食事に出かけた。
一人が喉を詰まらせて、九人になった。
Nine little Indian boys sat up very late;
One overslept himself and then there were eight.
九人のインディアンの少年が遅くまで起きていた。
一人が寝過ごして、八人になった。
Eight little Indian boys travelling in Devon;
One said he'd stay there and then there were seven.
八人のインディアンの少年がデヴォンを旅していた。
一人がそこに残って、七人になった。
Seven little Indian boys chopping up sticks;
One chopped himself in halves and then there were six.
七人のインディアンの少年が薪を割っていた。
一人が自分を二つに割って、六人になった。
Six little Indian boys playing with a hive;
A bumblebee stung one and then there were five.
六人のインディアンの少年が蜂の巣を悪戯していた。
蜂が一人を刺して、五人になった。
Five little Indian boys going in for law;
One got in Chancery and then there were four.
五人のインディアンの少年が法律に夢中になった。
一人が大法院に入って、四人になった。
Four little Indian boys going out to sea;
A red herring swallowed one and then there were three.
四人のインディアンの少年が海に出掛けた。
一人が燻製のにしんにのまれ、三人になった。
Three little Indian boys walking in the Zoo;
A big bear hugged one and then there were two.
三人のインディアンの少年が動物園を歩いていた。
大熊が一人を抱きしめ、二人になった。
Two little Indian boys sitting in the sun;
One got frizzled up and then there was one.
二人のインディアンの少年が日向に座った。
一人が陽に焼かれて、一人になった。
One little Indian boy left all alone;
He went and hanged himself and then there were none.
一人のインディアンの少年が後に残された。
彼が首をくくり、後には誰もいなくなった。
AND THEN THERE WERE NONE
そして誰もいなくなった
―――私にとって、これが「こんな作品が書きたい」という目標であることはいつまでも変わらないだろう。
『そして誰もいなくなった』(原題:『And Then There Were None』)とは、小説家・
アガサ・クリスティが1939年に発表した推理小説。
同氏の代表作の1つであり、全世界で1億冊以上を売り上げたとされる。
〈概要〉
舞台は陸から1マイル(約1.6km)程度離れた孤島、「インディアン島」に建てられた洋館。
ここに集められた10人の人々が1人ずつ次々に殺されていき、最後にはタイトル通り全員死んでしまうという連続殺人ミステリーである。
アガサ・クリスティーと言えば「エルキュール・ポワロ」や「ミス・マープル」などを主役とした探偵小説でも有名だが、本作に事件を解決するための「探偵役」は存在せず、主役のいない群像劇のような形で進行する。
孤島の中という閉鎖環境で事件が発生する、いわゆる「クローズド・サークル」系ミステリーの代表作である。
それ以前にも船の上などでの殺人といった同ジャンルの作品は存在したが、本作はクローズド・サークルであることを全面に出したシナリオ、それを利用した衝撃的な結末などで他を圧倒した。
「孤島の洋館で起こる連続殺人事件」というクローズド・サークルのイメージは本作が形成したと言ってよく、1世紀近くが経過した現在でもこのジャンルの筆頭的立場にある。
また、殺人はイギリス伝統の童謡『マザー・グース』の一節、「十人の小さな兵隊さん」の歌詞をなぞる形で行われていく。
現在では
「見立て殺人」と呼ばれる形式であり、当時でもヴァン・ダイン『僧正殺人事件』などに見られ、クリスティ自身もこれ以前に『
ABC殺人事件』を書いている。
本作の人気の高さから、見立て殺人としても本作は代表作に挙げられることが多い。
ちなみに、発表当時の原題は『
Ten Little Niggers (10人の小さな
黒人)』という、表現的に危ないものであったため、翌年アメリカで出版された際に『And Then There Were None (そして誰もいなくなった)』に改題された。
なお、冒頭の童謡の歌詞や島の名前も「Nigger」だったが、上記の通り「Indian」に変更されている。
また、最近では「Indian」も差別用語とする見解があることから、童謡のその部分が「Soldiers」に変えてあるものもあるとか。
〈ストーリー〉
互いに面識の無い十人の男女が、様々な理由で孤島「インディアン島」に招かれた。
しかしそこに招待主であるオーエン夫妻の姿はなく、そのまま夜になり夕食を済ませた時、どこからともなく客達の過去の罪を告発する声が響いた。
そこから一人、また一人と童謡に沿って殺されていく……。
果たして犯人は誰なのか? そして犯人の目的は……?
〈登場人物〉
〇
アンソニー・ジェームズ・マーストン
遊び好きの若いあんちゃん。
友人から電報が来たんで、深く考えず遊びに来たらしい。
登場していきなりアームストロング医師の
車と事故りそうになるなど、車の運転がめちゃめちゃ荒っぽい。
告発によると、その危険運転で2人の子どもを轢き殺したが事故として片づけられたとのこと。
その事実は本人も認めていたが、「自分も2人も運が悪かった」「あんな迷惑なことって、ありゃしない」「今はスピードの時代」と述べており、反省の色ゼロ。
一人目の犠牲者。
オーエンの告発にも動じず、むしろ面白がっていたが、その直後に飲んだ酒に
毒薬が盛られており、「喉を詰まらせた」の歌詞どおり呼吸困難に苦しみながら絶命した。
――― 一人が喉を詰まらせて、九人になった。
〇エセル・ロジャース
オーエン夫妻に雇われたコックで、執事のトマスの妻。
料理の腕はとてもいい模様。
告発によると、かつて仕えていた老婦人の遺産を手に入れるため、夫と共謀して主人の持病による心臓発作をわざと放置した。
トマスによれば、主人は嵐の夜に容態が悪化し、電話が使えなくなっていて医者を呼べず、トマスが歩いて呼びに行ったが来るのが遅すぎたとのこと。
二人目の犠牲者。
アンソニーの
死にショックを受けて気絶。そのまま寝室に運ばれたが、「寝過ごした」の歌詞どおり就寝中に致死量の睡眠薬を盛られる。
――― 一人が寝過ごして、八人になった。
〇ジョン・ゴードン・マカーサー
退役した老将軍。「あなたの軍時代の旧友が、あなたをお呼びしたいとのことだから」と招かれたらしい。
告発によると、妻と不倫関係にあった部下をわざと死地に送り込んで死なせた。
本人は「偵察に出したら命を落とした。戦争のときにはよくあること」「妻はこの世に二人といない、すばらしい女だった。どこに出しても恥ずかしくない女性だった」として、告発の内容を否定している。
三人目の犠牲者。
「デヴォンに残った」の歌詞どおり散歩に出た先で撲殺され、屋敷に帰ってくることはなかった。
犯した罪の影に怯える人生に疲れ切っており、殺される直前にはこれで「終われる」事に安堵の顔さえ見せていた。
一方、それまでの犠牲者達とは異なり、はっきりと他殺だと分かる殺され方で死んでいた事から、生き残り達は相次ぐ不審死が犯人によって意図的に仕組まれたものだと認めざるを得なくなり、より疑心暗鬼へと陥っていくこととなる。
――― 一人がそこに残って、七人になった。
〇
トマス・ロジャース
オーエン夫妻に雇われた
執事。エセルの夫であり、夫婦で使用人を生業としている。
なお、雇われたのは本編開始のわずか1週間前で、雇い主と直接顔を合わせたこともない。
告発によると、かつて仕えていた老婦人の遺産を手に入れるため、妻と共謀して主人の持病による心臓発作をわざと放置した。
殺された順番からして、おそらく彼の方が主犯。
「主人が死んで、懐がちょっぴり温まったんだろう」というブロアの指摘に対しては、「わたくしどもの心をこめたお世話を喜ばれて、遺産をわけてくださった」「当然ではありませんか」と述べている。
オーエンから事前に指示されていた通り食後にレコードを再生するが、そのレコードが自分たちの罪を告発する内容だとは知らなかった。
四人目の犠牲者。
連続殺人が起こってからも使用人の仕事をこなしていたが、「
斧で自分を真っ二つ」の歌詞どおり薪割りの最中に斧で頭をカチ割られる。
――― 一人が自分を二つに割って、六人になった。
〇
エミリー・キャロライン・ブレント
カトリックの信仰篤い老婦人。
避暑地のホテルで知り合った人物に招かれたことになっていた。
何でもかんでも自分が正しいと思い込んでおり、それ故に標的に選ばれることに。
告発によると、雇っていた未婚の若いメイドが不義の子を身ごもったと知ってつらく当たり、
自殺に追い込んだ。
そのことについて他の者から問われても言うことは何もないと語り、メイドの自殺に責任を感じるどころか、自殺は信仰に背く行動であるとして嫌悪感すら抱いている。
本人いわく、自分はいつだって良心に従って行動しており、やましいことなどこれっぽっちもないとのこと。
五人目の犠牲者。
生き残り達による捜査にも我関せずといった態度だったが、「蜂に刺される」の歌詞どおり首筋に毒物を注射される。
――― 蜂が一人を刺して、五人になった。
〇ローレンス・ジョン・ウォーグレイヴ
元判事の老爺。有罪判決の多さから、一部では"首吊り判事"と呼ばれている。
インディアン島へは旧友の女性に招かれたらしい。
告発によると、誰もが無罪と信じていた被告を決定的証拠もないまま死刑にした。
本人が言うには、弁護人マシューズの弁護も被告シートンの印象もすぐれていたが、証拠をみるとシートンの犯行であることは動かしようがなく、証拠に従って陪審員に事件要点の説示を行い、陪審員の決定にそって死刑を言いわたしたとのこと。
しかし有罪判決を出したときには誰もがひどく驚いたらしく、ウォーグレイブがシートンに個人的なうらみを持っていたのではないかという噂がある。
六人目の犠牲者。
職業由来の毅然とした厳格さで一同を引っ張っていた彼も「大法院に入る」の歌詞どおり判事の正装に見立てた仮装をさせられ銃殺される。
――― 一人が大法院に入って、四人になった。
〇エドワード・ジョージ・アームストロング
ロンドンの名医が集うハーレー街に医院を構える医者。オーエン夫人の診察を頼まれていたとのこと。
告発によると、泥酔したまま手術を執刀して助かるはずだった患者を死なせた。
本人は覚えがないと述べており、「病院にかつぎこまれたときにすでに手遅れという患者さんが多い」「患者さんが亡くなると、かならず医者のせいにされる」として、かりに死んだ患者がいたとしても自分のせいではないとしている。
七人目の犠牲者。
遺体が発見されたのは八番目。
深夜に行方不明になり、生き残り達は彼こそがオーエンだと色めき立つが、「
海で燻製のにしんに呑まれる」の歌詞どおり何者かに海に突き落とされて溺死していた。
――― 一人が
燻製のにしんにのまれ、
三人になった。
〇ウィリアム・ヘンリー・ブロア
元警部の現探偵。
オーエン氏に来客者を見張るよう依頼されたと主張する。
告発によると、虚偽の証言で無実の男に強盗殺人の罪を被せて獄死させた。
しかし本人は「(獄死した人物は)体の弱い男だった」「やつが有罪なのは明らかだった」「義務を果たしたまで」と述べている。
控えめに言って外道。警察仲間からも嫌われていたらしい。
八人目の犠牲者。遺体が発見されたのは七番目。
腕力と体力に自信があったようだが、「大熊に抱きしめられる」の歌詞どおり熊の形をした大理石像を脳天に落とされてはひとたまりもなかった。
――― 大熊が一人を抱きしめ、二人になった。
〇フィリップ・ロンバート
元陸軍大尉。現在は、アウトローという名のプーな伊達男。
モリスと名乗る男の依頼でインディアン島へ赴く。
告発によると、東アフリカの任地で現地人の部下21名を見捨て、食糧を奪って死なせた。
本人もそのことは認めており、そのことを他の者達に糾弾されても「人間、自分の命を守るのが一番の義務」「やつらは死ぬことをなんとも思っちゃいない」と述べており、しかもそれを話したり聞いた者の反応を見るときに面白そうにしており、反省の色はない。
実は真犯人を真っ先に怪しんでいた。もう少し証拠があれば…
九人目の犠牲者。
残り二人になったためヴェラとお互いに犯人と決めつけ合い、諍いの末に自分が持ち込んだ
拳銃を奪われて撃たれる。
死体は歌詞どおりに「砂浜で陽に焼かれる」ことになった。
――― 一人が陽に焼かれて、一人になった。
〇ヴェラ・エリザベス・クレイソーン
秘書と家庭教師を職業とする若い女性。
秘書としてオーエン夫妻に雇われる事になっていた。
告発によると、体の弱い教え子に泳げるはずのない距離を泳ぐ許可を与えて溺死させた。
実際過去に、自身が家庭教師を務めていたシリルという少年が溺死しているが、ヴェラは後を追って助けようとしていたらしく、検視審問でもヴェラに責任はないという判断が下されている。
実は当時の彼女はシリルの叔父と交際しており、シリルが死亡したことによって交際相手が最終的な遺産の相続人となった。
十人目の犠牲者。
恐怖からの解放と殺人を犯した興奮、過去の罪の意識等がないまぜになった錯乱状態の中、自室に戻ると首吊りのロープがセッティングされていた。
見えない何かに誘われるかのように、歌詞どおりに自分から「首をくくる」。
――― 彼が首をくくり、後には誰もいなくなった。
〇
オーエン夫妻
彼ら十人を島に招いた
富豪。
夫はユリック・ノーマン・オーエン(
Ulick
Norman
Owen)、妻はユナ・ナンシー・オーエン(
Una
Nancy
Owen)。
二人ともイニシャルは
U.N.オーエンとなり、繋げて読むとUNOwen…
“Unknown”と読めてしまう。
"燻製のにしん"とは、
英語圏において「注意を他の事にそらす」という意味で使う慣用句である。
なお、作者がこのヒントのためにこの語句を捻じ込んだという訳ではなく、"燻製のにしん"自体は原典の歌の時点で歌詞に存在したことを付け加えておく。
〈後日談〉
スコットランドヤードの副
警視総監トマス・レッグ卿は苛立っていた。
自分の今いるこのインディアン島では10の遺体が見つかった、痛ましいことだがそれはいい。
どの死体も時間が経ち過ぎていて正確な死亡時刻が判然としない、これも仕方がない。
島の所有者であるアイザック・モリスも薬のオーバードーズで死んでいた
けどこれはどうでもいい。
対岸にあるスティクルヘイヴン村の村人は、島からの救難信号を目にしてから可能な限りの速さで島に駆けつけた。
嵐とその後の高波が治まるまでの丸一日間は船が出せなかったことを、誰も責めることができないだろう。
だが、そこにトマス卿を苛立たせている問題があった。
村人たちは救難信号を目にしてから誰かしらがずっと島を見張っており、自分たちが駆けつけるまで島からは誰も出て行かなかったと断言している。
つまり犯人は、この島で死んでいる10人のうちの1人でしかありえない。
10人のうちの1人が
正義にやたらこだわる異常者であり、自ら選び出した法の及ばぬ殺人者たちを私刑にかけた後に自決したのだと考えるしかない。
だが、
誰が最後に死んだのかが分からない。
彼らの幾人かは日記やメモを残しており、それで途中までの死亡順は追うことが出来た。
マーストン、エセル、マッカーサー、ロジャーズ、ブレント、ウォーグレイヴの順。
だが、そこからは“アームストロングが姿を消した”という記録を最後に何も手掛かりが無くなってしまっている。
なので、残りの4人がそれぞれ犯人だった場合を想定して行動を推理するしかないのだが……。
①アームストロングが犯人の場合
彼の溺死体は満潮線より高いところに引き上げられて綺麗に横たえられていた。
したがって、彼の死後も生きていて死体を引き上げた
人間がいたのは確実である。
なお、この件は真犯人によるものではなく、ヴェラがロンバードから拳銃を奪う隙を作る為に行ったもの。
②ブロアが犯人の場合
9人を殺した後、大理石の時計をどうにかして2階から自分の脳天に落として自殺した……いくら何でも迂遠で不確実に過ぎる。
加えて、元警察官のブロアは警察側でもその素行を把握している。決してこんな抽象的な正義の執行に血道をあげる男ではなかった。
③ロンバートが犯人の場合
9人を殺した後、海岸のアームストロングの死体の傍に行って拳銃自殺した事になる。
だが、彼のピストルは
邸内のウォーグレイヴの部屋で見つかっている。
つまり、やはり彼の死後も生きていて拳銃を邸内まで持って行った人間がいる事になる。
④ヴェラが犯人の場合
9人を殺した後、自室で首を吊って自殺したことになる。
だが、
彼女の靴跡が付いた椅子は他の椅子同様に部屋の壁にきれいに並べられていた。
したがって、
彼女の死後も生きていて椅子を片付けた人間がいた事になる。
だから、島には10人の他にもう1人以上の人間がいたはず。
10人全員が死んだ後に、その後始末をした人間が。
だが、そうだとしたら、そいつ(ら)はどうやって島に潜み、そしてどうやって島から立ち去ったというのか……?
〈真相〉
後日、トロール漁船〈エマ・ジェイン号〉の船長より、ロンドン警視庁にこの事件の証拠文書が送付された。
それは犯人が壜に入れて海に流した手記であり、そこには犯人の正体はもちろん、犯行の動機、自分含めた10人全員を殺害した方法、といったこの事件の全てが書かれていた。
〇ローレンス・ジョン・ウォーグレイヴ
この事件の犯人。
幼少期から、ロマンティックな性格、生き物が死ぬのを見たり、殺したりして喜ぶ嗜虐趣味、それとは正反対の、罪のない人や動物を苦しめ殺したりすることを断じて我慢できない強い正義感、といった様々な性格を併せ持っていた。
それらすべてをほぼ満足させてくれる司法職に就き、シートンの件を含め手がけた事件はすべて、感情に動かされず証拠のみに則って公正に裁いていた。
しかし近年、自分をコントロールする力が弱くなり、重病を患ったこともあって自分で人を殺したいという衝動を抑えられなくなってしまう。
それもただ殺すのではなく、稀有で不可能と思えるような殺人をしたいと考えるようになった。
一方で、生来の正義感が罪もない人を苦しませてはならないと邪魔をした。
そんな中、たまたまロジャース夫妻の話を聞き、「法の裁きを受けていない犯罪者を巧妙なトリックで殺す」と自分の欲求を全て満足させるプランを思い立ち、自分が2歳の頃に聞いた兵隊の歌に見立てることを思いついた。
そしてあちこちで情報を集めて法の裁きを受けなかった犯罪者達を9人見繕い、島におびき寄せる。
自分を除外すると歌の通り10人にならないので、数合わせのためにこれまで自分の代理人として動いてくれていたアイザック・モリスを殺害する。モリスも悪党だったからね、仕方ないね。
招待客たちと共に島へ乗り込み、最初の告発を聞いているときの顔を見て、判事としての経験から9人の有罪を確信。計画を実行に移した。
自身を信用していたアームストロングに「自分が次の犠牲者のように見せ、表向き死んだことにして犯人捜しのために自由に動けるようにする」という計画を持ちかけ、アームストロングと協力して自身の死を偽装。
「燻製のにしん」に飲まれたアームストロングはその後に殺され、ブロアも殺した。
ヴェラがロンバートを殺害した事を確認した後、ヴェラの部屋に首吊りロープを準備し、「錯乱状態に陥った状態で自殺を仄めかす舞台があった場合、その人物は死ぬのか」を「実験」と称して彼女の動向を観察し始める。
そしてヴェラの自殺によって実験の成功を見届けた後、イスを片付け、自分の部屋に戻ってベッドに横たわった。そして、伸び縮みするゴム紐をドアのノブに絡ませ、紐の先にはピストルを緩めに結びつけ、さらにメガネにも結びつけそのメガネを体の下に置き体重をかけた。こうした上で自分の額を撃つことで、ピストルは紐に引っ張られてドアのほうにはねかえり、ノブにぶつかって紐がはずれ、床に落ちる。こうして自殺だとわからないように自分を撃ち、不可能犯罪を完成させた。
一方で彼は警察が真相にたどり着く可能性も考慮していた。
最大のヒント…というか答えがもちろんこの手記の発見であるが、
- 島に集められたゲストは『罪を犯しながら裁かれていない人間』だが、告発でウォーグレイヴが殺したとされたシートンは後に有罪を示す明確な証拠が出ている。すなわちウォーグレイブは罪を犯したゲストではない。
- 前述の通り "燻製のにしん"には「重要な事柄から読者の注意を逸らす」という意味があり、「燻製のにしんに呑まれたアームストロング」は誰かに騙されて殺されたことを暗示している。
- ウォーグレイブの銃痕は"カインの刻印"の暗示となる。弟殺しによって追放されたカインだが、"誰もこの者を傷つけてはいけない"ことを示す刻印が額にされたという。すなわちウォーグレイブは誰かに殺されたのではないことを示す。
キリスト教圏の人ならピンとくる…のか?
〈余談〉
アガサ・クリスティが自身の手で戯曲化した際にはストーリーの一部が変えられ、生存者が出る形になっている。
他にも舞台化、
ラジオドラマ化、
映画化などが行われており、PC
ゲームが作られたりもしている。
2017年には
テレビ朝日にて、舞台を
現代日本に置き換えた仲間由紀恵主演の「事件編」、及び
沢村一樹主演の「解決編」による前後編のSPドラマを放送。
この作品は数多くのドラマに出演した名優・渡瀬恒彦氏の遺作となっており、氏の没後に放送される形となった。
渡瀬氏は自ら希望して犯人の磐村兵庫を演じている。
癌で余命宣告を受けており、本作の撮影時にはその期限も過ぎた状態にあったこと、
加えて氏が警察官や
探偵といった犯罪者と向き合う役を多く演じてきた背景とを重ねて、
作品を見た人からは「最後の独白のシーンが洒落になっていなかった」との声も。
ちなみに番組プロデューサーは別の役を依頼するつもりで渡瀬氏に声をかけたが、番組資料を見た渡瀬氏が自ら犯人役を希望したという。
上述した通り、原作とは違って「解決編」部分がドラマ
オリジナルキャラクターの刑事による推理シーンに変更されており、このオリキャラ刑事を主役としてミス・マープルシリーズを原作としたドラマも後に放送されている。
クローズド・サークル及び見立て殺人の金字塔とも言える名作であるがゆえに、パロディも多く存在している。
特にクローズド・サークルものの作品では、登場人物が自分たちの置かれた状況について「まるで"そして誰もいなくなった"のようだ」とこの作品そのものに言及することもしばしば。
また、見立て殺人ものにおいては、犯人がこの小説に見立てて殺人を行うという作品が一つならず存在している。
日本の推理小説においては、
綾辻行人による『十角館の殺人』が特に有名だろう。
上述のとおりに、登場人物による「
"そして誰もいなくなった"のようだ」という状況確認が何度も出てくるだけでなく、シチュエーションやプロットをほぼそのまま踏襲しているのは、旧版や新装版の巻末解説でも触れられている。
そしてもちろん、その踏襲こそがトリックのみならずドラマ面においても大きな役割を果たしている。
氏がその才覚によって新本格の先駆となるのは変わりなかったにしても、この
"そして誰もいなくなった"がなかった場合、それは『十角館~』ではない全く違った小説によって成されていたはずで、そういった意味では日本の新本格ミステリ史を語るうえで外せない作品でもある。
一人の
Wiki篭りが後に残された。
彼が追記・修正をし、
後には誰もいなくなった。
- この話の凄い所は密室状態で登場人物が犯人も含めて全員死亡している点。
真犯人がどんなタイミングで、どのような形で死んだかがポイントです。 -- 滋味 (2013-11-14 19:00:57)
- U.N.OwenはUNKNOWNにつながると書かなきゃ片手落ちじゃないかな。 それとSAWの元ネタだな。 -- 名無しさん (2013-12-10 04:13:04)
- 東方のunオーエンは彼女なのか?の元ネタですね。 -- ましろ (2014-02-24 22:41:29)
- 推理小説としては荒唐無稽なのだが、心理描写がうまくできていてオリエント急行などと比べると同じ作者とは思えない説得力のある出来になっている。 -- 名無しさん (2014-04-19 21:46:50)
- おーい、エスカルゴーン! -- 名無しさん (2014-05-24 21:06:19)
- うみねこの元ネタでもあるよね。偉大なミステリーだ -- 名無しさん (2014-05-24 21:13:46)
- そして誰もいらなくなった -- 名無しさん (2014-05-24 21:17:28)
- ↑おっちゃん乙 -- 名無しさん (2014-05-24 22:06:18)
- 舞台版ではたしかハッピーエンドになってるんだよね -- 名無しさん (2014-10-13 21:30:02)
- 最後の一人は結婚したバージョンなら知ってるな -- 名無しさん (2014-10-27 20:37:09)
- 怪奇大作戦の「死神の子守唄」の元ネタ? -- 名無しさん (2014-10-27 21:13:41)
- インディアンのお話、生存者が3人いる様な・・・?(寝過ごした人、デヴォンに居残った人、大法院に行った人) -- 名無しさん (2015-01-12 00:35:10)
- 何故カービィのタグが… -- 名無しさん (2015-03-10 15:23:20)
- ヤクルトやめーやww -- 名無しさん (2016-09-17 10:04:32)
- 展開や衝撃のオチはすごく良かったんだけど、あえて粗を探すなら、魅力的なキャラクターや共感できるキャラクターが一人も居ないところだな。自分の中では、ミス・マープル・シリーズの方がちょっと上かな。 -- 名無しさん (2016-09-17 14:36:34)
- クローズドサークルはこれが嚆矢なん? -- 名無しさん (2016-12-16 01:38:47)
- これの日本版ドラマに出演したのが最期だったとは…渡瀬さん、謹んで哀悼の意を表します。 -- 名無しさん (2017-03-17 15:19:33)
- 一人が自分を2つに割って8人に増えたのかと思った -- 名無しさん (2017-03-24 14:58:25)
- きっと俺はミステリー読むのに向いてないと前置きした上で言いたい、なんの縁もなく怪しい招待状なんかにノコノコ行くなよ!と -- 名無しさん (2017-03-24 15:13:32)
- ドラマよくできているんじゃね -- 名無しさん (2017-03-25 23:08:14)
- ドラマ見てたら「あれ、最後刑事が解決するんだぁ」って思ったんだけど、原作でもそうなの?当事者たちだけで事件を完結させてほしかったというか・・・ -- 名無しさん (2017-03-25 23:18:26)
- ↑昔読んだうろ覚えだけど、原作はラストは警察が犯人の手記を見つけてそれで真相がわかる流れだったような -- 名無しさん (2017-03-25 23:31:53)
- 原作は犯人が自分の動機故に真相をボトルメールにしてたので判明した。(犯人的には見つかっても見つからなくても良かった) -- 名無しさん (2017-08-19 20:12:46)
- そして誰もいなくなった……と思ったら、そんなことはなかったぜ! 「ばっかもーん!そいつが犯人だ、追えーー!」 -- 名無しさん (2017-10-25 15:04:00)
- ↑7 ↑13 「自分を2つに割って=一人二役もしくは二人一役の暗喩」「生存者ともとれる歌詞」を生かしたリメイクやアレンジができるのでは? -- 名無しさん (2019-12-30 23:37:56)
- Niggersを日本語的に訳そうとしたら黒人じゃなくて、○んぼたち -- 名無しさん (2021-01-26 23:42:24)
- 横溝正史は原題を「みんないなくなったとさ」と訳した。 -- 名無しさん (2021-01-26 23:58:51)
- ↑13 そりゃ、所詮は独善的な殺人者ばかりだから共感できるキャラが居ないのは仕方がない。そういう意味で戯曲、映画、ドラマ版などでは冤罪者や殺人者のふりをして潜入したキャラも居るので魅力的なキャラはいる。 -- 名無しさん (2021-03-17 07:09:36)
- ↑上から10番目、12番目 最初の「10人の○○」の時点でチームかパーティである事が示唆されているので、生死を問わず脱落したらもういないという扱いなんよ。死亡の方が多いのはどこの国でも子供は残酷をネタにして歌いたがるから…人一人を呑み込む大きさのニシン、しかももう燻製にされて死んでるはず、ってのも現代のようなお菓子がなかった時代の子供の好きそうなジョーク。 -- 名無しさん (2021-03-17 08:15:24)
- ヒント:アームストロングの死は燻製のにしん=他に注意をそらす為のもの -- 名無しさん (2021-03-17 08:48:09)
- マザーグースの原詞は伝承なのでクリスティが使ったバージョン以外にもいろんなのがあるらしいけど、谷川俊太郎が訳したら法律の勉強後に「一人がどうにもならなくなって(=勉強についていけなくなった、あるいは法を犯す側になってしまった)」というので、そっちしか知らなかった時にこちらを知って面食らった -- 名無しさん (2021-06-03 00:21:36)
- ダンガンロンパ3未来編のコロシアイの首謀者は、おそらくこの小説を基にしたんだろうと思うけど、はっきり言ってクリスティが草葉の陰で泣くだろうと思うくらい杜撰だったな・・・。 -- 名無しさん (2021-11-21 22:55:31)
- この記事とかWikiとかを読んでみたけど、ヴェラが自殺したのは確定だよね? その後に〇〇が椅子を並べなおした、と。 -- 名無しさん (2021-12-22 15:18:21)
- ハヤカワ・ジュニアミステリーから、挿絵がアニメ調になった、小学生向けのが出てるみたいだね。気になる。というか、ヴェラが主人公みたいだけど、彼女も死んじゃうじゃん!>< 読んだことある人、情報求む -- 名無しさん (2021-12-23 14:02:44)
- あーそうか、なんでレッド・ヘリングがキーワードなのかって思ったら、多分そういう事か。「そうだけどそうじゃない」のか。10分ぐらい引っかけられてたわ……確かにこれは『古典的名作』な訳だ -- 名無しさん (2022-02-22 20:30:04)
- 綾辻行人の十角館の殺人もだけど、推理作家の何人かはオマージュとして似た題材の作品を出してるよね。米澤穂信のインシテミルや、我孫子武丸のかまいたちの夜とか。 -- 名無しさん (2022-02-22 20:39:25)
- ↑ ここのページだけずっとにらめっこしてたけど、正に『かまいたちの夜』の事を思い出した瞬間に、ネタにアタリがついたよ。後々当たり前になる事を一番最初にやったのは、やっぱ凄いよなぁ……てか、何気にこのページの書き方、良い意味で絶妙に意地悪だな -- 名無しさん (2022-02-22 20:48:46)
- その場にいるキャラが全滅したりするギャグMADなんかで使われる -- 名無しさん (2022-02-23 09:49:08)
- これを「犯人たちの事件簿」風にしたら面白そうだな -- 名無しさん (2022-07-08 18:07:37)
- ↑それ読みたいマジで www -- 名無しさん (2023-02-16 23:26:15)
- ↑↑この犯人最初から最後までピンチもハプニングもなく計画完遂してるから全編自画自賛の嵐にしかならん気が……それはそれで面白そうだw -- 名無しさん (2023-02-21 21:04:03)
- ↑いやぁ自分が○○○と思わせたシーンはかなりの綱渡りでしょ。あれ協力者以外が触れたら一発でバレる。あの瞬間は内心で心臓バクバクだったろう -- 名無しさん (2023-07-19 16:41:48)
- うる星やつらの旧アニメに「そして誰もいなくなったっちゃ」ってのが有った -- 名無しさん (2024-09-02 13:23:48)
- 最近漫画版が出たぞ 犯人視点の最終話は想像以上に↑3だった -- 名無しさん (2025-03-18 23:13:30)
- 「いるさっ ここにひとりな!!」 -- 名無しさん (2025-12-02 17:29:43)
- 漫画になってるのでそちらを読みました。 -- 名無しさん (2025-12-02 18:12:41)
- 「正義感からターゲットは法で裁けない犯罪者にした」とは言うものの、マッカーサーはじめ後悔してた者もいるしやっぱり身勝手感はあるよなあ アームストロングとか知った経緯が「自分の担当の看護師が酒嫌いで酒の危険性を示す例として手術の件を持ち出した」って感じで信憑性が少々怪しいし(作劇的には全員クロなんだろうけど) -- 名無しさん (2026-01-15 22:04:55)
- 劇中で掘り下げなかっただけでウォーグレイヴがシートン他複数の被告人に恨みではなく個人的な好き嫌いや偏見、自分の手腕への自信から有罪判決に持ち込んだ可能性はあってもおかしくないとは思う -- 名無しさん (2026-03-30 16:16:20)
- 罪が軽い順にしたって中でヴェラが最後、マーストンが最初で他はその間ってのも、首肯し難い部分はあるし、犯人趣向による決め付け気質が滲み出てるというか。シートンは違っただけで真の冤罪はあった気がしてならない -- 名無しさん (2026-05-04 23:40:17)
- ブレントはヒス信仰婆さんで人間的に好感持てないキャラだから錯覚しがちだが、実際は罪と呼べるかすら相当危うい。勝手に未婚妊娠した「ただの使用人」に過ぎない人間の面倒見る責任なんて法的は勿論、道義的にも義務まで課す話じゃなかろう。メイドの自己都合責任と断じれないこともない話。法律家にしては価値判断に疑問符、しかもこれが5番目に重いまで行くとまず嫌いだからだろって -- 名無しさん (2026-05-06 17:08:09)
- 歌に準えて殺している都合上、歌に合わせた殺した方で順番を決めた部分は確実にある。斧で頭を割られる役=薪割りは執事のトマスが適任。アームストロングはトリックの都合上後半に回さないといけない。マーストンは性格的に犯人の指示を聞いてくれないので早めに殺すべき。ブレントは○○偽装の時にリビングから動いてくれない可能性があるので先に殺す必要がある。 -- 名無しさん (2026-07-09 11:01:25)
最終更新:2026年07月09日 11:01