「爆竜戦隊アバレンジャーDELUXE 外伝 若草のフリージア」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
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&font(#6495ED){登録日}:2016/11/20 Sun 10:55:15
&font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red)
&font(#6495ED){所要時間}:約 10 分で読めます
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&link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧
&tags()
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『&b(){爆竜戦隊アバレンジャーDELUXE 外伝 若草のフリージア}』とは、
2003年に刊行の漫画雑誌『特撮エース』(角川書店)Vol.001から002にかけて掲載された漫画作品である。
同年公開の劇場映画『[[爆竜戦隊アバレンジャー DELUXE アバレサマーはキンキン中!]]』の外伝として発表された。
作画は『超腕導ガイアーム』『冥王計画ゼオライマーΩ』などの和田龍(現:ワタリユウ)。
脚本担当として劇場版のライターも務めた荒川稔久が参加している。
本作は劇場映画『アバレンジャーDELUXE』、ひいてはTVシリーズ『[[爆竜戦隊アバレンジャー]]』の前史に位置する作品で、
時系列は本編よりもずっと遥かな1万5千年前もの過去、[[エヴォリアン>邪命体エヴォリアン]]の侵略の手が入るよりも昔のダイノアースを舞台に
王女フリージアが、爆竜カルノリュータス並びに爆竜カスモシールドンを封印するまでを描いたものとなっている。
内容自体は、映画冒頭でも幼少期のアスカが賢者アクガルより語り聞かされたそれを下地としているのだが
漫画では単に暴れまわる存在に過ぎなかった2匹の爆竜のバックボーンにもスポットを当てるなど、
より鮮明に映像作品では描き切れなかった世界観の掘り下げに注力しているのが特徴。
その結果、『アバレンジャー』本編とは全く異なる、所謂中世を舞台とした戦記・伝承に近い作風に仕上がっている。
作品自体は中編相応のボリュームながらも、『アバレンジャー』前史として読み応えのある内容ではあるのだが、
コミックスに収録するには尺が足りなかったが故か、残念ながら同誌掲載の『[[デカレンジャー>特捜戦隊デカレンジャー THE MOVIE フルブラスト・アクション]]』『[[マジレンジャー>魔法戦隊マジレンジャー THE MOVIE インフェルシアの花嫁]]』劇場版コミカライズと異なり単行本化されず、
&s(){また映画でフリージアを演じた人が、後々アレな事になったのもあって}今後の書籍収録もほぼ絶望的という、色々な意味で惜しい作品。
もし中古書店などで雑誌のバックナンバーを手に取る機会があれば、『アバレンジャー』ファンには可能ならば読んでもらいたい。
ちなみに雑誌表紙では『アバレンジャー外伝 ―若草のフリージア 完全版―』、
目次では『爆竜戦隊アバレンジャーDX外伝 若草のフリージア 完全版』と表記されており、同じ雑誌の中で表記ゆれが微妙に激しい。
*登場人物
フリージア以外の映像作品側の登場人物は、前編冒頭のイメージ画像でアバレンジャーの4人が描かれているのと、後編終盤で賢者アクガルと幼少期の[[アスカ>アバレブラック/アスカ]]が登場するのみ。
-王女フリージア
映像作品では「本物の」フリージアは僅かしか出番がなかったが、本作では全編通しての主人公。
その優しい性格から国民にも人気が高く、戦乱吹き荒れる時代の中ただひたすらに国の未来を案じていた。
バクレイザーの引き起こした悲劇に翻弄されながらも、二頭の爆竜の心に触れたことで、終盤ある決心をする……
-&b(){&font(b,#25ccc4,#0068b7){爆竜カルノリュータス}&&font(b,#a688bd,#e8ece9){爆竜カスモシールドン}}
本作の敵役にして&b(){最大の被害者}。
映像作品では終始「悪の爆竜」としての扱いだったが、漫画では「なぜ彼らがそうなったか」が克明に描かれ、
彼らもまた、望まずして心を奪われてしまったという真相が明かされた。
バクレンオー形態にもなるが、まだ名付けられてないのか名称を呼ばれるシーンはない。
-おババ
フリージアの世話役にして教育係を務める老婆。若い頃は女傑と言われていたらしい。
作中の台詞などを見る限り、後述する「吹雪石の災厄」を若い頃に直接目にしていた事が示唆されている。
結果的に、過去時代の登場人物では唯一の生き残りとなった。
-国王
フリージアの父親で、サクアスイータの国王。
決して悪人ではないが、戦乱吹き荒れる当時のダイノアースで小国の存亡が掛かった中、心ならずも非道に手を染めてしまう。
彼自身もその所業を強く悔いており、今わの際にはフリージアに自分自身の道で世界を救うよう言葉を残している。
-刀鍛冶のシノギ
サクアスイータの刀鍛冶で、映像作品にも登場した&b(){バクレイザー}を作った人物。
*『若草のフリージア』あらすじ
**◆前編
#center(){
&font(b,maroon){アバレンジャー、ダイノガッツを人一倍宿した、勇気ある若者たち…}
&font(b,maroon){独自の進化を遂げ、高い知能と感情、そして強靭な体を持つ爆竜たちとともに、[[&color(maroon){侵略者集団エヴォリアン}>邪命体エヴォリアン]]と戦う正義の爆竜戦隊。}
&font(b,maroon){今から6500万年前、巨大な隕石の衝突で生じた時空の歪みは、まったく別の時の流れを持つもうひとつの地球を誕生させた…}
&font(b,maroon){ダイノアース、爆竜たちの故郷であるこの星は、竜人族と呼ばれる人類と、彼ら爆竜が共存している、平和で豊かな世界。}
&font(b,maroon){この世界を舞台に物語は始まる。それは…遥かな昔、神話の時代の物語。}
}
前竜世紀3163年―――物語の舞台となるのは、鉱山の周囲に開かれた小国・サクアスイータ。
王都アーズ・マハユから独立した、ダイノアースで唯一の永世中立国である。
そのサクアスイータに、国民の誰からも慕われる太陽のような眩しい笑顔の姫君が居た……彼女の名は&b(){フリージア}、御年12歳。
爆竜たちが陣地争いで諍いを起こしていると聞くや、その場に駆けつけ両者を叱りつけて仲裁。
気性の荒い爆竜たちも、フリージアの前ではタジタジとなり、素直に頭を下げて和解せざるを得ない。
今日もサクアスイータが平和な一日を過ごせたことを振り返り、フリージアは今は亡き母に想いを馳せるのであった。
ある晩、フリージアは、お目付け役の「おババ」と綽名される老婆から、王家の秘密「キユフク」の話を語られる。
名前だけなら彼女も知っていた、遥かな昔より伝えられる王家の禁制地「キユフク」……
真冬でも猛吹雪が吹くその地に存在するのは、更に大昔に天よりキユフクに落ちてきたとされる「吹雪石」なる巨岩。
この岩こそがキユフクの地を凍結させている根源にして、触れるとその呪いにより触れた者の心を凍て尽かせると伝えられている代物だ。
言い伝えによれば、かつてキユフクに迷い込んだ一人の戦士が、拾った吹雪石の欠片を御守りにして持ち帰ったことがあったが、
ある戦で敵の兵士の刃がその御守りに触れた瞬間、突如として荒れ狂う冷気が巻き起こり……
敵も味方も一瞬にして凍結、どころか周囲一帯が氷の世界へと変わってしまったらしい。
吹雪石を恐れた人々は御守りを元の地に返し、それ以来キユフクを永遠に封印したのだと、おババは締めるのであった。
その晩、フリージアはおババの話に恐怖を感じてしまい、中々寝付けずに居た。
ちょっとした冒険心から、夜遅くまで明かりの漏れていた父親……国王の一室に足を運んでみるも、
そこから聞こえてきたのは、キユフクにおける吹雪石の採掘を国王に進言する側近たちの姿であった。
曰く、このサクアスイータがこれまで永世中立国として平和を保ってきたのは、対立する国々へと武器を販売することを
生業としてきたためで、各国が要望する「究極の武器」を作るには、もはや吹雪石は必要不可欠……
切迫した側近たちの進言に、国王も苦渋の決断を下そうとするが、そこに駆け込んできたのは愛娘フリージア。
サクアスイータや王自身が氷の呪いに捕らわれる様なことになれば、天国の母親も悲しんでしまうと
涙ながらに父親を説得する彼女の姿を前に、国王も考えを改め、計画の断念を決めるのだった。
フリージアの言葉が王を踏み留めてから4年が経過……前竜世紀3159年。
時代の流れは、刻一刻とサクアスイータを呑み込まんとしていた。
もはや近隣諸国はサクアスイータの武器を見限り、鉱山もろとも乗っ取ろうと侵攻の牙をチラつかせている現状、
これまで永世中立国だったサクアスイータも、軍備を確立する以外に国家の存亡を乗り切る道は無くなっていた。
王女フリージア、御年16歳。彼女もまた、もはや笑顔だけで国民を幸せにできないという現実を憂いていた。
そんな折、会議の場に駆けつけてきたのは、刀鍛冶のシノギ……その姿は見るも無残な凍傷を負っていた。
その頃、王都アーズ・マハユには、二頭の爆竜が出現。
竜人をも遥かに凌駕する巨体を震わせ、咆哮する彼らの名は……&b(){爆竜カルノリュータス、そして爆竜カスモシールドン}。
二頭は矮小な兵士達をいとも容易く蹴散らし、蹂躙したのち、王都をあっと言う間に氷の世界に変えて滅ぼしてしまうと、
山岳の一角……フリージア達が現在駐留している地点を、光のないその眼で睨みつける。
一方、フリージア達は酷い凍傷のシノギを治療しようと急ぐも、シノギは懐に抱えていた代物……自らが鍛え上げた一振りの剣「バクレイザー」を国王らに託し、
これの完成とともに二頭の爆竜が王都に出現したことを言い残すと、そのまま事切れてしまう。
その無残な最期と、王都の壊滅の報を聞いた国王は悲しみに暮れ、フリージアにこれまでひた隠しにしていた真実を明かした。
曰く、かつて彼女の言葉で一度は中止した吹雪石の採掘を秘密裏に最近始めていたこと、
この戦乱の世でサクアスイータのような小国が生き残るにはバクレイザーを完成させて王都に献上するしか他なかったこと、
そしてキユフクの麓で平穏に過ごしていた爆竜のカルノリュータスとカスモシールドンを唆して吹雪石を採掘させ、
その上で秘密を守るため、&b(){彼らを採掘場で生き埋めにした}ことを……
果たして、二頭の爆竜……否、彼らが合体を果たした戦闘巨人&b(){バクレンオー}は、その場に向かって進撃を続けていた。
王は理解していた。彼らは竜人の神に成り代わり、自分自身に天罰を下すために来るのだと。
護衛の兵士たちを容赦なく殺戮し、遂にフリージア達の住まう地に辿り着いたバクレンオー。
王は自身の運命を受け入れると、フリージアに自身が裁きを受けねばならないと彼女らに告げ、逃げるよう促す。
最期に王は、娘に対して「&b(){世継ぎのお前の力で、お前の信じるやり方で、この国を…いや…平和なダイノアースを…}」と遺言を残した。
そして、遂に到着したバクレンオーは、王を宮殿もろとも容赦なく踏みつぶす。
……が、破壊され尽くした宮殿の片隅に居たのは、バクレイザーを手に光に包まれたフリージアの姿であった。
バクレイザーが自身を守ってくれたと理解したフリージアは、父を喪った怒りをバクレンオーに向けて燃やす……
**◆後編
怒りに身を任せ、バクレンオーに切りかかるフリージア。
だが、幾度もの激突の中、彼女はバクレンオー……否、爆竜カルノリュータスとカスモシールドンの心に邂逅する。
彼らが「苦しんでいる」ことを悟ったフリージアだが、それとほぼ同時にバクレンオーは合体を解き、
二体の爆竜へ戻ると再び冷気を放ち、サクアスイータの街を氷の世界に閉ざさんとする。
自分の国の窮地に焦るフリージアだったが、彼女はその最中、再び爆竜たちの声を聞く。
#center(){
&font(b,#20b2aa){「イ…タイ…ヨ…」&br()「…サ…ムイ…ヨ…ク…ル…」&br()「ク…ルシイ…ヨ…」}
}
彼らの心は、バクレイザーを通してフリージアに直接伝わって来たものであった。
バクレイザーの光に反応して途端に凶暴さを増したカルノリュータスとカスモシールドンの姿に、
フリージアは「バクレイザーに反応して二頭が暴れている」事に気づき、
それと同時に、昔おババから聞いた「吹雪石に触れた者は心を凍り付かせてしまう」という伝承を思い出す。
間一髪、ラプターに騎乗したおババに助けられたフリージア、二頭の爆竜もまたバクレイザーに惹かれるかのように追跡する。
おババはフリージアの想像が正しいことを告げた。二頭の爆竜の目は、吹雪石に心を凍てつかされてしまった者の目……
彼らもまた、人々のエゴによって踊らされ、ただ自我なく暴れまわる存在へと変えられてしまった被害者だったのだ。
おババ曰く、彼らはもはや元に戻すのは勿論のこと、その命を絶つことすら不可能、バクレイザーで惹き付けて封印するほか手段はないと告げた。
言い伝えによれば、吹雪石の魔力は人の生命を吸い取って封じるものとされている……
おババは自身が人身御供になる覚悟でバクレイザーを渡すようフリージアに言うが、彼女はおババに感謝の言葉を告げると
もはや止まることなど叶わぬラプターを降り、単身カルノリュータスとカスモシールドンの元へと歩む――――
――――かくして、二頭の爆竜の封印は成された。
[[フリージアは二頭に謝罪すると同時に、これからは自分自身も共に居るから怖くないと告げ、自らの胸にバクレイザーを突き立てる。>自己犠牲]]
それこそ、かつて彼女が父親から言われたこと……「自身のやり方」を選んだ末の結果であった。
爆竜の脅威は去った……が、そのためにフリージアが犠牲となった事に涙を流すおババに、彼女の声が届く。
フリージアの魂はバクレイザーの中で永遠に生き続けること、
カルノリュータスとカスモシールドンが本来持っている優しい心を凍らせないように共に眠り続けること、
未来永劫、氷に閉ざされた二頭の封印を誰かが解くことの無いよう氷の中で祈り続けることを、
そして、ダイノアースがいつまでも平和であることを彼女が願っていることを……
――――時は流れ、ダイノアースの幼い子供たちは、賢者アクガルからフリージアと二頭の爆竜の伝承を聞かされていた。
再び二頭が解き放たれる事があれば、ダイノアースは滅んでしまうのかと怖がる子供に、
アクガルは「&b(){なくならないさ…心優しき爆竜と竜人族がいる限り…}」と優しく告げる。
そして、子供たちのうち一人……&b(){[[アスカ>アバレブラック/アスカ]]}は、書物の挿絵に刻まれたフリージアの姿を目に刻み付けるのであった。
#center(){
&font(b,maroon){――そして また…新たな伝説が紡がれてゆく}
}
追記・修正は、冷夏の寒さに負けずお願いします。
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- 今更な話だけど、ジュウレンジャーやキョウリュウジャーの設定や世界観とは似てるようで違うのね -- 名無しさん (2016-11-20 14:03:08)
- バクレンオーって映画の後に本編で倒されてなかったっけ? -- 名無しさん (2016-11-20 14:11:21)
- ↑映画で倒されて復活して倒されてるね、ある意味救いに為ったのかもしれないけど… -- 名無しさん (2016-11-20 14:24:02)
- >尺が足りなかったが故か、残念ながら同誌掲載の『デカレンジャー』『マジレンジャー』劇場版コミカライズと異なり単行本化されず 津島直人版「轟轟戦隊ボウケンジャー 最強のプレシャス」もな。特撮エース休刊の煽りを受けて2話までしか連載できず、この作品と同じ運命をたどってしまった。 -- 名無しさん (2016-11-20 17:26:51)
- 作画の人ってゼオライマーΩの人だったのか……立て主のくせに今更知って驚き -- 名無しさん (2016-11-20 17:42:21)
- 映画公開に合わせて出たアバレンジャーのムック本にも前半部分(バクレンオー合体まで)が掲載されてたよね -- 名無しさん (2016-11-20 21:08:32)
- カルノリュータスとカスモシールドンって、親友だったのかな? ......事件が起こる前の話だけど...... -- 名無しさん (2016-11-20 21:11:05)
- 封印時に、フリージアは裸になったな。 -- 名無しさん (2016-11-20 23:43:10)
- 2体の爆竜が最初からああなのはおかしいとは思ってた。1つの種族がまるごと星を滅ぼしかねない存在に自然進化するとは考えられなかったし。そんな種族だったらそこまで至る前に迫害されている筈だし(悪印象が広まったせいで実際されてて現代では絶滅している可能性もあるけど)。同じ爆竜に誰も理解しようとしてなかったの解せなかった -- 名無しさん (2016-11-30 15:02:45)
- アスカとジャンヌといい、アバレキラーといい、テレビ局といい……人間の醜さがメインなアバレンジャーらしい過去話だ…… -- 名無しさん (2020-12-08 15:09:41)
- 映画のコミカライズ(レンジャーが戦う話)じゃないから尺が足りないのはしょうがないね -- 名無しさん (2023-02-25 19:37:45)
#comment
#areaedit(end)
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&font(#6495ED){登録日}:2016/11/20 Sun 10:55:15
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『&b(){爆竜戦隊アバレンジャーDELUXE 外伝 若草のフリージア}』とは、
2003年に刊行の漫画雑誌『特撮エース』(角川書店)Vol.001から002にかけて掲載された漫画作品である。
同年公開の劇場映画『[[爆竜戦隊アバレンジャー DELUXE アバレサマーはキンキン中!]]』の外伝として発表された。
作画は『超腕導ガイアーム』『冥王計画ゼオライマーΩ』などの和田龍(現:ワタリユウ)。
脚本担当として劇場版のライターも務めた荒川稔久が参加している。
本作は劇場映画『アバレンジャーDELUXE』、ひいてはTVシリーズ『[[爆竜戦隊アバレンジャー]]』の前史に位置する作品で、
時系列は本編よりもずっと遥かな1万5千年前もの過去、[[エヴォリアン>邪命体エヴォリアン]]の侵略の手が入るよりも昔のダイノアースを舞台に
王女フリージアが、爆竜カルノリュータス並びに爆竜カスモシールドンを封印するまでを描いたものとなっている。
内容自体は、映画冒頭でも幼少期のアスカが賢者アクガルより語り聞かされたそれを下地としているのだが
漫画では単に暴れまわる存在に過ぎなかった2匹の爆竜のバックボーンにもスポットを当てるなど、
より鮮明に映像作品では描き切れなかった世界観の掘り下げに注力しているのが特徴。
その結果、『アバレンジャー』本編とは全く異なる、所謂中世を舞台とした戦記・伝承に近い作風に仕上がっている。
作品自体は中編相応のボリュームながらも、『アバレンジャー』前史として読み応えのある内容ではあるのだが、
コミックスに収録するには尺が足りなかったが故か、残念ながら同誌掲載の『[[デカレンジャー>特捜戦隊デカレンジャー THE MOVIE フルブラスト・アクション]]』『[[マジレンジャー>魔法戦隊マジレンジャー THE MOVIE インフェルシアの花嫁]]』劇場版コミカライズと異なり単行本化されず、
&s(){また映画でフリージアを演じた人が、後々アレな事になったのもあって}今後の書籍収録もほぼ絶望的という、色々な意味で惜しい作品。
もし中古書店などで雑誌のバックナンバーを手に取る機会があれば、『アバレンジャー』ファンには可能ならば読んでもらいたい。
ちなみに雑誌表紙では『アバレンジャー外伝 ―若草のフリージア 完全版―』、
目次では『爆竜戦隊アバレンジャーDX外伝 若草のフリージア 完全版』と表記されており、同じ雑誌の中で表記ゆれが微妙に激しい。
*登場人物
フリージア以外の映像作品側の登場人物は、前編冒頭のイメージ画像でアバレンジャーの4人が描かれているのと、後編終盤で賢者アクガルと幼少期の[[アスカ>アバレブラック/アスカ]]が登場するのみ。
-王女フリージア
映像作品では「本物の」フリージアは僅かしか出番がなかったが、本作では全編通しての主人公。
その優しい性格から国民にも人気が高く、戦乱吹き荒れる時代の中ただひたすらに国の未来を案じていた。
バクレイザーの引き起こした悲劇に翻弄されながらも、二頭の爆竜の心に触れたことで、終盤ある決心をする……
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本作の敵役にして&b(){最大の被害者}。
映像作品では終始「悪の爆竜」としての扱いだったが、漫画では「なぜ彼らがそうなったか」が克明に描かれ、
彼らもまた、望まずして心を奪われてしまったという真相が明かされた。
バクレンオー形態にもなるが、まだ名付けられてないのか名称を呼ばれるシーンはない。
-おババ
フリージアの世話役にして教育係を務める老婆。若い頃は女傑と言われていたらしい。
作中の台詞などを見る限り、後述する「吹雪石の災厄」を若い頃に直接目にしていた事が示唆されている。
結果的に、過去時代の登場人物では唯一の生き残りとなった。
-国王
フリージアの父親で、サクアスイータの国王。
決して悪人ではないが、戦乱吹き荒れる当時のダイノアースで小国の存亡が掛かった中、心ならずも非道に手を染めてしまう。
彼自身もその所業を強く悔いており、今わの際にはフリージアに自分自身の道で世界を救うよう言葉を残している。
-刀鍛冶のシノギ
サクアスイータの刀鍛冶で、映像作品にも登場した&b(){バクレイザー}を作った人物。
*『若草のフリージア』あらすじ
**◆前編
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&font(b,maroon){この世界を舞台に物語は始まる。それは…遥かな昔、神話の時代の物語。}
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前竜世紀3163年―――物語の舞台となるのは、鉱山の周囲に開かれた小国・サクアスイータ。
王都アーズ・マハユから独立した、ダイノアースで唯一の永世中立国である。
そのサクアスイータに、国民の誰からも慕われる太陽のような眩しい笑顔の姫君が居た……彼女の名は&b(){フリージア}、御年12歳。
爆竜たちが陣地争いで諍いを起こしていると聞くや、その場に駆けつけ両者を叱りつけて仲裁。
気性の荒い爆竜たちも、フリージアの前ではタジタジとなり、素直に頭を下げて和解せざるを得ない。
今日もサクアスイータが平和な一日を過ごせたことを振り返り、フリージアは今は亡き母に想いを馳せるのであった。
ある晩、フリージアは、お目付け役の「おババ」と綽名される老婆から、王家の秘密「キユフク」の話を語られる。
名前だけなら彼女も知っていた、遥かな昔より伝えられる王家の禁制地「キユフク」……
真冬でも猛吹雪が吹くその地に存在するのは、更に大昔に天よりキユフクに落ちてきたとされる「吹雪石」なる巨岩。
この岩こそがキユフクの地を凍結させている根源にして、触れるとその呪いにより触れた者の心を凍て尽かせると伝えられている代物だ。
言い伝えによれば、かつてキユフクに迷い込んだ一人の戦士が、拾った吹雪石の欠片を御守りにして持ち帰ったことがあったが、
ある戦で敵の兵士の刃がその御守りに触れた瞬間、突如として荒れ狂う冷気が巻き起こり……
敵も味方も一瞬にして凍結、どころか周囲一帯が氷の世界へと変わってしまったらしい。
吹雪石を恐れた人々は御守りを元の地に返し、それ以来キユフクを永遠に封印したのだと、おババは締めるのであった。
その晩、フリージアはおババの話に恐怖を感じてしまい、中々寝付けずに居た。
ちょっとした冒険心から、夜遅くまで明かりの漏れていた父親……国王の一室に足を運んでみるも、
そこから聞こえてきたのは、キユフクにおける吹雪石の採掘を国王に進言する側近たちの姿であった。
曰く、このサクアスイータがこれまで永世中立国として平和を保ってきたのは、対立する国々へと武器を販売することを
生業としてきたためで、各国が要望する「究極の武器」を作るには、もはや吹雪石は必要不可欠……
切迫した側近たちの進言に、国王も苦渋の決断を下そうとするが、そこに駆け込んできたのは愛娘フリージア。
サクアスイータや王自身が氷の呪いに捕らわれる様なことになれば、天国の母親も悲しんでしまうと
涙ながらに父親を説得する彼女の姿を前に、国王も考えを改め、計画の断念を決めるのだった。
フリージアの言葉が王を踏み留めてから4年が経過……前竜世紀3159年。
時代の流れは、刻一刻とサクアスイータを呑み込まんとしていた。
もはや近隣諸国はサクアスイータの武器を見限り、鉱山もろとも乗っ取ろうと侵攻の牙をチラつかせている現状、
これまで永世中立国だったサクアスイータも、軍備を確立する以外に国家の存亡を乗り切る道は無くなっていた。
王女フリージア、御年16歳。彼女もまた、もはや笑顔だけで国民を幸せにできないという現実を憂いていた。
そんな折、会議の場に駆けつけてきたのは、刀鍛冶のシノギ……その姿は見るも無残な凍傷を負っていた。
その頃、王都アーズ・マハユには、二頭の爆竜が出現。
竜人をも遥かに凌駕する巨体を震わせ、咆哮する彼らの名は……&b(){爆竜カルノリュータス、そして爆竜カスモシールドン}。
二頭は矮小な兵士達をいとも容易く蹴散らし、蹂躙したのち、王都をあっと言う間に氷の世界に変えて滅ぼしてしまうと、
山岳の一角……フリージア達が現在駐留している地点を、光のないその眼で睨みつける。
一方、フリージア達は酷い凍傷のシノギを治療しようと急ぐも、シノギは懐に抱えていた代物……自らが鍛え上げた一振りの剣「バクレイザー」を国王らに託し、
これの完成とともに二頭の爆竜が王都に出現したことを言い残すと、そのまま事切れてしまう。
その無残な最期と、王都の壊滅の報を聞いた国王は悲しみに暮れ、フリージアにこれまでひた隠しにしていた真実を明かした。
曰く、かつて彼女の言葉で一度は中止した吹雪石の採掘を秘密裏に最近始めていたこと、
この戦乱の世でサクアスイータのような小国が生き残るにはバクレイザーを完成させて王都に献上するしか他なかったこと、
そしてキユフクの麓で平穏に過ごしていた爆竜のカルノリュータスとカスモシールドンを唆して吹雪石を採掘させ、
その上で秘密を守るため、&b(){彼らを採掘場で生き埋めにした}ことを……
果たして、二頭の爆竜……否、彼らが合体を果たした戦闘巨人&b(){バクレンオー}は、その場に向かって進撃を続けていた。
王は理解していた。彼らは竜人の神に成り代わり、自分自身に天罰を下すために来るのだと。
護衛の兵士たちを容赦なく殺戮し、遂にフリージア達の住まう地に辿り着いたバクレンオー。
王は自身の運命を受け入れると、フリージアに自身が裁きを受けねばならないと彼女らに告げ、逃げるよう促す。
最期に王は、娘に対して「&b(){世継ぎのお前の力で、お前の信じるやり方で、この国を…いや…平和なダイノアースを…}」と遺言を残した。
そして、遂に到着したバクレンオーは、王を宮殿もろとも容赦なく踏みつぶす。
……が、破壊され尽くした宮殿の片隅に居たのは、バクレイザーを手に光に包まれたフリージアの姿であった。
バクレイザーが自身を守ってくれたと理解したフリージアは、父を喪った怒りをバクレンオーに向けて燃やす……
**◆後編
怒りに身を任せ、バクレンオーに切りかかるフリージア。
だが、幾度もの激突の中、彼女はバクレンオー……否、爆竜カルノリュータスとカスモシールドンの心に邂逅する。
彼らが「苦しんでいる」ことを悟ったフリージアだが、それとほぼ同時にバクレンオーは合体を解き、
二体の爆竜へ戻ると再び冷気を放ち、サクアスイータの街を氷の世界に閉ざさんとする。
自分の国の窮地に焦るフリージアだったが、彼女はその最中、再び爆竜たちの声を聞く。
#center(){
&font(b,#20b2aa){「イ…タイ…ヨ…」&br()「…サ…ムイ…ヨ…ク…ル…」&br()「ク…ルシイ…ヨ…」}
}
彼らの心は、バクレイザーを通してフリージアに直接伝わって来たものであった。
バクレイザーの光に反応して途端に凶暴さを増したカルノリュータスとカスモシールドンの姿に、
フリージアは「バクレイザーに反応して二頭が暴れている」事に気づき、
それと同時に、昔おババから聞いた「吹雪石に触れた者は心を凍り付かせてしまう」という伝承を思い出す。
間一髪、ラプターに騎乗したおババに助けられたフリージア、二頭の爆竜もまたバクレイザーに惹かれるかのように追跡する。
おババはフリージアの想像が正しいことを告げた。二頭の爆竜の目は、吹雪石に心を凍てつかされてしまった者の目……
彼らもまた、人々のエゴによって踊らされ、ただ自我なく暴れまわる存在へと変えられてしまった被害者だったのだ。
おババ曰く、彼らはもはや元に戻すのは勿論のこと、その命を絶つことすら不可能、バクレイザーで惹き付けて封印するほか手段はないと告げた。
言い伝えによれば、吹雪石の魔力は人の生命を吸い取って封じるものとされている……
おババは自身が人身御供になる覚悟でバクレイザーを渡すようフリージアに言うが、彼女はおババに感謝の言葉を告げると
もはや止まることなど叶わぬラプターを降り、単身カルノリュータスとカスモシールドンの元へと歩む――――
――――かくして、二頭の爆竜の封印は成された。
[[フリージアは二頭に謝罪すると同時に、これからは自分自身も共に居るから怖くないと告げ、自らの胸にバクレイザーを突き立てる。>自己犠牲]]
それこそ、かつて彼女が父親から言われたこと……「自身のやり方」を選んだ末の結果であった。
爆竜の脅威は去った……が、そのためにフリージアが犠牲となった事に涙を流すおババに、彼女の声が届く。
フリージアの魂はバクレイザーの中で永遠に生き続けること、
カルノリュータスとカスモシールドンが本来持っている優しい心を凍らせないように共に眠り続けること、
未来永劫、氷に閉ざされた二頭の封印を誰かが解くことの無いよう氷の中で祈り続けることを、
そして、ダイノアースがいつまでも平和であることを彼女が願っていることを……
――――時は流れ、ダイノアースの幼い子供たちは、賢者アクガルからフリージアと二頭の爆竜の伝承を聞かされていた。
再び二頭が解き放たれる事があれば、ダイノアースは滅んでしまうのかと怖がる子供に、
アクガルは「&b(){なくならないさ…心優しき爆竜と竜人族がいる限り…}」と優しく告げる。
そして、子供たちのうち一人……&b(){[[アスカ>アバレブラック/アスカ]]}は、書物の挿絵に刻まれたフリージアの姿を目に刻み付けるのであった。
#center(){
&font(b,maroon){――そして また…新たな伝説が紡がれてゆく}
}
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- 今更な話だけど、ジュウレンジャーやキョウリュウジャーの設定や世界観とは似てるようで違うのね -- 名無しさん (2016-11-20 14:03:08)
- バクレンオーって映画の後に本編で倒されてなかったっけ? -- 名無しさん (2016-11-20 14:11:21)
- ↑映画で倒されて復活して倒されてるね、ある意味救いに為ったのかもしれないけど… -- 名無しさん (2016-11-20 14:24:02)
- >尺が足りなかったが故か、残念ながら同誌掲載の『デカレンジャー』『マジレンジャー』劇場版コミカライズと異なり単行本化されず 津島直人版「轟轟戦隊ボウケンジャー 最強のプレシャス」もな。特撮エース休刊の煽りを受けて2話までしか連載できず、この作品と同じ運命をたどってしまった。 -- 名無しさん (2016-11-20 17:26:51)
- 作画の人ってゼオライマーΩの人だったのか……立て主のくせに今更知って驚き -- 名無しさん (2016-11-20 17:42:21)
- 映画公開に合わせて出たアバレンジャーのムック本にも前半部分(バクレンオー合体まで)が掲載されてたよね -- 名無しさん (2016-11-20 21:08:32)
- カルノリュータスとカスモシールドンって、親友だったのかな? ......事件が起こる前の話だけど...... -- 名無しさん (2016-11-20 21:11:05)
- 封印時に、フリージアは裸になったな。 -- 名無しさん (2016-11-20 23:43:10)
- 2体の爆竜が最初からああなのはおかしいとは思ってた。1つの種族がまるごと星を滅ぼしかねない存在に自然進化するとは考えられなかったし。そんな種族だったらそこまで至る前に迫害されている筈だし(悪印象が広まったせいで実際されてて現代では絶滅している可能性もあるけど)。同じ爆竜に誰も理解しようとしてなかったの解せなかった -- 名無しさん (2016-11-30 15:02:45)
- アスカとジャンヌといい、アバレキラーといい、テレビ局といい……人間の醜さがメインなアバレンジャーらしい過去話だ…… -- 名無しさん (2020-12-08 15:09:41)
- 映画のコミカライズ(レンジャーが戦う話)じゃないから尺が足りないのはしょうがないね -- 名無しさん (2023-02-25 19:37:45)
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