登録日:2025/06/22 Sun 18:37:48
更新日:2025/06/25 Wed 14:26:41
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魔男のイチとは、超絶美人魔女「デスカラス」ちゃんが憎き魔法「ウロロ」を習得してしまったクソ餓鬼「イチ」を従え戦う、華麗にて優雅なる日々のドラマである。
以上。
以下真面目な解説。
この世界の
果実・植物
動物
鳥・虫・菌類
全ての命に感謝して
ああ 狩りてぇ 狩りてぇなぁ
【概要】
週刊少年ジャンプ2024年41号より連載開始された作品。
原作者と作画担当が別となっており、原作者は『
魔入りました!入間くん』を手掛けている西修氏。集英社での連載は、連載デビュー作となった『ホテルヘルヘイム』(
ジャンプSQ.連載)以来実に10年ぶりとなる。
入間くんは現在でも
週刊少年チャンピオンにて連載中であり、他社発行誌で連載中の作家が原作とはいえジャンプでも連載を手掛けるのは珍しい。
単行本3巻発売の際には、入間くんの単行本43巻の発売と併せてコラボペーパーを配布するフェアも開かれた。
作画担当は『
アクタージュ act-age』でも作画を担当していた宇佐崎しろ氏。
単行本は2025年6月現在、既刊3巻。
【あらすじ】
不思議な力を持つ魔法と、それを操る魔女が存在する世界。
しかし、この世界では2つの特徴があった。
魔法を使えるのは女性のみ。
そして、この世界における魔法は「生き物」であり、それぞれの試練を乗り越えて習得することが出来るというものである。
その中には人類に害を及ぼす魔法もあるため、魔法を操る「魔女」は魔法を狩るハンターのような存在として、尊敬を集めていた。
そんな世界で、未だかつて誰も習得したことのない「王の魔法 ウロロ」を習得しようとするデスカラスだったが、女では習得できないという条件により苦戦を強いられる。
しかし、偶然その場に居合わせた、狩りを生業とする野生児「イチ」がウロロを仕留め、その魔法を習得してしまった。
こうして世界で初めての男の魔法使い、魔女ならぬ魔男となったイチは、デスカラスの下で「反人類魔法専門部隊」として魔法を狩る戦いに身を投じることとなる。
【この世界における「魔法」】
前述の通り、この世界において魔法は生き物となっている。
かつて言葉を話す水滴が、人に話しかけ、試練を与えた。
それを乗り越えたことで人はその魔法を操る事ができるようになった。
試練は魔法によって様々で、大量の水を飲み干す、燃え盛る炎を抱きしめるなど、様々なものがある。
それらの試練を達成しない限り、どれだけ潰そうが切り刻もうが魔法が死ぬことは無い。
それらの困難な試練を乗り越え、魔法を習得するものを、敬意を込めて「魔女」と呼ばれている。
当然魔法にはそれぞれ意思があり、人間に友好的なものもあれば、命を弄ぶ残忍な魔法、いわゆる「反人類魔法」も存在している。
また、習得した者が死ねば魔法は再び自由となるため、それを狙っている者もいる。
姿形は様々で、水滴のような自然物そのままの魔法や、動物のような姿の魔法、人に乗り移り操る魔法も存在している。
なお、動物に似た姿の魔法は修正も動物に似るという特徴がある。
【登場人物】
イチと周囲の人物
「つくづく魔法というものには驚かされる!強大で厄介で見た事もない生き物!」
「こんなに胸躍る狩りは他にない!」
CV:戸谷菊之介(ボイスコミック)
山に住み獣を狩っていた少年。
常人離れした集中力、忍耐力を持っており、獲物を狙って数時間粘り続けることは勿論、年単位での狩りも平気で行う野生児。
狩りにおいては「
死対死」というポリシーを持っており、自分で食べるもの以外では、どれだけ危険な相手でも明確に自分や周囲の生き物に殺意を向けない限りは自分から手を出すことはない。
しかし、
殺意を向けただけでも反射的に反撃を行えるほどの闘争心と、命を踏み躙るような魔法に倒しては容赦をしない心を持っている。
なお、罠だけは先に用意をするなど、殺意の有無に関係なく狩るための準備は怠らない。
6歳の頃に野山に捨てられていたが、自決用の小刀で狩りを行い、生き延びる。
その後は獲物をふもとの村へ渡す事で生きていたが、ウロロを狩るまでは山を出ないと決めていた。
そして、ウロロとデスカラスの戦いに居合わせた事でウロロを仕留め、この世界で初の男の魔法使い「魔男」となる。
なお、この世界の男は基本的に魔力を持たないが、ウロロを習得できる精神力と肉体を持ち、魔男となったことで、平均的な女性程度の魔力を身につけた。
魔法に対しても動物と同様、その習性を利用した狩りを行う。
通常、魔女が魔法を習得するには早くても1週間程度、長ければ年単位の時間を要するものもある。
しかし、イチはウロロ習得後2週間で他に2つ、合わせて3つの魔法を習得しており、その習得ペースは異常であると語られている。
+
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【習得している魔法】 |
「しかし勝てるかね この【王の魔法】に」
【王の魔法】の名を持つ魔法。
尊大な性格で人間を見下しており、イチに習得されてからも度々イチや周囲の人間を唆しては自由になろうと目論む。
その一方で、魔法はこの世界における先住民だと考えており、後から現れて魔法を狩っては使役する人間に恨みも抱いている。
試練の内容は「心臓を止める事」だが、同時に「女では心臓に傷をつけられない」という特性も持っているため、1000年もの間魔女の習得を拒み続けた。
しかし、元々狩りの対象として目をつけていたイチにより心臓を刺され、習得された事で、イチを魔法使いにしてしまう羽目となった。
魔法の能力としては「超越特化魔法」であり、呪文さえ唱えればその魔法を習得していなくても、その魔法を最大の威力で放つ事ができるという、王の名に恥じない規格外のもの。
ただし、その分魔力の消費も激しく、一度使うだけで数日間は眠ってしまうという問題もある。
ウロロ自体に呪文はなく、「ウロロ特化⚪︎⚪︎」という形で発動する。
「そろそろ行くか 人間を焼きに」
世に生まれて2週間程度の魔法。
雷そのものというよりは、電気から生じる電熱を司る魔法であり、体内から血液を沸騰させて生き物を殺す事を楽しむ残虐な性格の持ち主。
しかし、狐の習性を利用されてあっさりとイチに習得された。
魔法として使う際には電撃以外にも、刃に電熱を纏わせて焼き切るのにも使える。
「ようやく来たわねェ! ブスども!」
その名の通り氷を司るサメの魔法。
苦悶に歪む人間の表情を楽しむ残忍な性格で、いくつもの村を氷漬けにしている。
その一方で美を重視するオネエな部分もあり、自分を美しく飾り立てて満足させることを試練としている。
見た目はサメだがヒゲがあるらしい。
ウロロを様付けで呼ぶほど慕っているようで、ウロロ特化魔法で使われた際には喜びを見せた。
「もう やめでよぉ…お前の勝ちだよぉ…勝ちだから…!」
バクガミへ向かう途中、ゴクラクにより痛めつけられていた蜘蛛の魔法。
泣きながら命乞いをしていたが、そもそも風船のような糸を使って子供を誘き寄せ痛めつけていた反人類魔法であり、同情の余地のない存在。
しかし、それでも必要以上に痛めつけられていたのを見兼ねたイチにより習得された。
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「私はな ガキに全部押し付けて平和になった世界でのうのうと生きていくような」
「クソだせぇ大人にはなりたくねぇんだよ」
CV:
小林ゆう(ボイスコミック)
「深淵の魔女」の異名を持つ、当代最強クラスの魔女。
褐色の肌に黒髪と黄金の瞳、
不遜で不真面目、どんな相手にもナメた態度を崩さない自由奔放な性格。
その実力も本物で、同格の天才魔女トゲアイスでさえ習得している魔法は16であるのに対し、少なくとも20以上の魔法を狩っている。
しかしイチの無茶苦茶ぶりには振り回される事も多い。
だが、イチを反世界魔法との戦いに巻き込んだ事に責任も感じており、彼と指定の血判状を交わし、一蓮托生の「家族」となった。
と同時に、ていのいい召使いにした。
かつて「リブロ」という弟がいたが、反世界魔法により命を落としているため、反世界魔法に対しては怒りを燃やす。
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【習得している魔法】 |
レイピア状の杖で刺突を放つ魔法。
それだけだが衝撃波は離れた場所にも届くほどの威力を持つ。
イチがウロロのことを知らずに発動した際には、森の木々を薙ぎ倒すほどの威力となった。
文字通り対象を再生させる回復の魔法。
上記の貫穿によって消し飛ばした森を再生させる為にウロロによって特化した際には、再生どころか前以上に成長した森を発生させた。
手を当てた者を瞬時に眠らせる魔法。
自由な形の彫刻を作り出す魔法。
杖を突き刺した相手を粉々に破裂させる魔法。
ヴェールとフリルの塊のような魔法。
無数の剣状のエネルギーを放ち、反世界魔法の「礫変進軍」を一掃するほどの威力を持つ。
杖による斬撃の魔法。
貫穿と似ているが、威力は桁違い。
あらゆる秘密を聞き出す魔法。
反世界の魔法の習得条件を引き摺り出そうとするも、未遂に終わる。
文字通り火を放つ魔法。
トゲアイスの菌茸と合わせて巨大な爆炎を呼び出した。
甲羅の代わりに球状の籠を乗せた亀を召喚し、相手を捕らえる魔法。
象の目や鼻、耳を持った巨大な鐘を召喚する魔法。
これも相手を捕らえる魔法だが、地中まではカバーできない。
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「ただの研究員なのに……なんでこんなことに……!」
魔女候補生の少女。
元々はシラベドンナの部下であり研究学部の研究員だったが、イチらと出会った事により、記録役として彼らに同行する羽目になってしまった苦労人。
元々魔法の扱いも苦手で、家族からも魔女への道を否定されていたが、イチと行動を共にする事で少しずつ打ち解けていく。
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【習得している魔法】 |
飲料水を出す生活用魔法。
イチと反世界の魔法の戦いを書き留めるのに使用した、記録用の魔法。
複数の筆を操ることで、状況の記録を行う。
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【マンチネル魔女協会】
「皆様の安全は魔法の専門家たるマンチネル魔女協会が保証いたします」
「黄金の魔女」の異名を持つ、マンチネル魔女協会の現協会長。
デスカラスはじめとした問題児揃いの魔女を統括する存在。
出会って間もないイチに対しても、彼を犠牲とするような予言を突きつけるジキシローネに怒りを見せる心優しい性格。
「私が「正しい」と分析したことは森羅万象「正しい」」
「それが私“追求の魔女 シラベドンナ”さ」
「追求の魔女」の異名を持つ、魔女及び魔法研究学部、通称「魔女研」の統括責任者。
珍しい研究対象に対してはタガが外れてしまう困った性格の持ち主。
しかし彼女の分析能力は本物であり、彼女の下した分析結果は絶対に正しいものとして、協会全体から絶対の信頼を置かれている。
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【習得している魔法】 |
見ただけで身長体重や体脂肪率などの情報を分析できる魔法。
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「常に規律正しく美しく よろしいですね みなさん」
「銀雪の魔女」の異名を持つ魔女。
アイスピックのような杖と眼鏡が特徴的な美女。
真面目で勤勉、クールな努力家だがとんでもない方向音痴で、部屋の中でさえ間違った方向に向けて話すのに気付かないほど。
野生児であるイチに懐疑的であり、彼の存在を公表する前に教育を施すべきだと主張する。
デスカラスと並ぶ実力者であり、彼女と同様史上最年少で魔女の称号を得た天才。
性格は水と油であり、度々正反対の主張をして対立するが、互いに愛称で呼び合うなど仲が悪いわけではないらしい。
規律を重んじる性格で、マネーゴールドからは万が一の際の魔女協会の次期協会長にとして信頼を受けている。デスカラスやシラベドンナなど、他の魔女が自由すぎるというのもあるが。
ただ、魔法のスタイルとしては脳筋気味で、豪快で力押しな部分も目立つ。
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【習得している魔法】 |
氷を含む風を操る魔法。
人を軽々と運ぶ程度には風力がある。
複数の頭を持つ巨大な龍を召喚する魔法。
広範囲を凍り付かせる吐息を使う。
杖を刺した相手を瞬時に凍りつかせて砕く魔法。
密着した相手にも有効。
地面の中から巨大なミミズを召喚し、広範囲を飲み込んで凍り付かせる魔法。
氷によるレンズを作り、遠くを眺めるための魔法。
「キノコを崇めない生き物は滅びろ!!」
手足の生えた喋るキノコというマスコット的な見た目の魔法。
人懐っこい無邪気な性格だが、「他の者もキノコが大好き」という思い込みから無限に胞子を振り撒いて周囲を侵食している、悪意のない反人類魔法。
当然ながら人体に有害であり、防護魔法程度では防げないほどの繁殖力もあるため、見た目と性格に反して相当危険。
イチとトゲアイスの勝負ついでに駆除の対象となったが、習得される直前にイチが反世界の魔法へ相手を移したため、トゲアイスによって習得される。
しかし、その結果氷雪系の魔法で統一していた彼女の魔法心円はキノコまみれとなる羽目に。
魔法として唱えた際には瞬時に巨大なキノコを生やす魔法で、火炎魔法との組み合わせで巨大な火種となる。
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「何を隠そう!僕の予言はどれもドンピシャ大当たり!」
「予言の魔女」を名乗っているが、その正体は魔法であり、10年間眠り続けた女性に無理やり習得させる事で、その体を操っている「予言の魔法」。
性格も元の女性とは大きく変わっているようで、道化師のような姿をしている。
正確な予言を魔女に授ける人類に友好的な魔法。
しかし、それを知らせるタイミングは彼女次第であり、なおかつ協力「してあげている」といった上から目線の態度や、反世界の魔法の出現から後出しをする形でイチに
自己犠牲を迫る予言を付け足されたと語るなど、不穏な部分も見られる。
なお、あくまで操っている身体を使っているため、短期間に複数の予言をすると疲れてしまうらしい。
【その他の登場人物、魔法】
「俺はただ出現し 変滅し 去る」
「そうして破壊を続け いずれこの世界を滅ぼす」
「それだけを使命とした存在だ」
三度笠に錫杖のような杖を持った、人の姿をした魔法。
人、自然、全てのものを
異形へと変滅させる「神の魔法」であり、世界を削り変えるとも言われている存在。
「
轢変進軍」と呼ばれる祈りを捧げた死体のような不気味な化け物により、広範囲を一気に変滅させられる他、自身も直接変滅の力を使うことが可能。
ウロロとは旧知の仲だが、ウロロの方は彼を警戒しており、イチが対峙した時には迷わず逃げるよう指示をするほど。
獣の骨を仮面のように被った、東の島国出身の漁師。
イチの狩の師匠で、魚の獲り方、捌き方や植物の毒の有無、大量を願う舞など、数々のサバイバルスキルをイチに教えた。
名前の由来は航海や狩猟の神である「建御名方神」から。
「んーよしよし いい子だから俺に習得させてよザコ魔法ちゃん」
男でありながら魔法を習得しようとする青年。
イチの場合はウロロの設定した特殊な試練をクリアするという条件が重なった結果、奇跡的に魔法を習得できたが、彼はそれ以外の魔法を力ずくで習得しようとしており、それが叶わないため魔法を習得せず痛めつけるだけに留まっている。
その為に身体に魔法具を埋め込むなどして魔法に触れられるようになった、いわば対魔法用改造人間。
バクガミ、及びその中に住む者に対して並々ならぬ恨みを抱いているらしいが……?
【幸眠の魔法】の異名を持つ魔法。
ナンバーワン怪力は持っていない。
眠っている巨大なバクのような姿で、その名の通り国民に幸せな夢を見せる友好的な魔法。
当然国民からも信奉されている重要保護魔法、この魔法の習得は国家反逆罪とまで言われるほど。
追記・修正お願いします。
- あれ?檻蜘蛛はイチが習得してなかったっけ? -- 名無しさん (2025-06-22 21:13:59)
- 試練たる角折りは目立たないけどイチがやってるし、その後のゴクラク戦でイチが使ってる。どこで勘違いしたのやら -- 名無しさん (2025-06-22 21:38:06)
- 本当だ、直しておきました。単行本で見てたので使ってるシーンは知らなかったけど、乱入してる時に角折ってるのは普通に見落とし。 -- 名無しさん (2025-06-22 21:56:23)
- 「別の雑誌で連載中の作家が原作とはいえジャンプでも連載を手掛けるのは異例なことである」とありますが、賭ケグルイ(ガンガンJOKER)原作者がジャンプラで幕末賭博バルバロイやってたので、異例ではないと思います。 -- 名無しさん (2025-06-22 23:54:32)
- ↑なるほど、なら「珍しい事である」みたいな」みたいな文章にしつつ、他の事例を注釈でつけるのがいいでしょうか -- 名無しさん (2025-06-23 00:08:57)
- ↑「他の例だと~」みたいな注釈でいいと思いますが、「珍しい事である」は不要だと思います。 -- 名無しさん (2025-06-23 00:43:04)
- 別紙で連載持ちはまだ居るとして、週刊少年ジャンプとチャンピオンの俗にいう4大週刊誌で両方に連載持ち、さらに同時に表紙を飾るとかは前例に無いからその辺は記述してもいいと思う -- 名無しさん (2025-06-23 09:53:12)
- ↑比べるもんでは無いと思うけど赤塚不二夫とかがやってそう -- 名無しさん (2025-06-23 11:26:57)
- ジャンプラとジャンプ本誌は同系列とはいえ別の媒体なんだからバルバロイの例は不適切では? boichiの方が例としては適切だと思う -- 名無しさん (2025-06-23 14:30:43)
- と言うかそもそも例要らないと思うので消した。あとしろ先生が復帰ってのもアクタの後読み切りやってたから別に復帰じゃないし、帯に他の作家の推薦文が乗るのは別に本作に限った話じゃないのでそれも消しといた -- 名無しさん (2025-06-23 14:33:17)
- ↑前者はともかく後者の削除の意味がよくわからんのだが… -- 名無しさん (2025-06-23 14:59:20)
- ↑2 後者は宇佐崎先生は打ち切りにおける完全な被害者側で落ち度は全くないんだし、読み切り書いたからって復帰したとみなすのはちと強引じゃない? 連載→読み切り一本だけ描いて消えた漫画(作画)家なんてごまんといそうだし。 -- 名無しさん (2025-06-24 03:05:41)
最終更新:2025年06月25日 14:26