追いつめられた名探偵! 連続2大殺人事件(名探偵コナン)

登録日:2012/04/10(火) 16:50:59
更新日:2020/11/28 Sat 21:41:34
所要時間:約 19 分で読めます





ふーーんそっか…
いつもそうやって…
わたし達をだましてきたのね…

そうでしょ?


新一…


『追いつめられた名探偵!連続2大殺人事件』とは、『名探偵コナン』において江戸川コナンが解決した事件である。
収録は単行本第14巻。テレビアニメでは第96話として、1998年3月23日に初の2時間スペシャルで放送された他、初めて本編がデジタルで制作されたエピソードでもある(完全にデジタル制作に移行したのは2002年7月1日放送の『中華街 雨のデジャビュ(前編)』以降から。それまでは今回を含めスペシャルのみで試験的にデジタル制作を行っていた。)。
久々に蘭がコナンの正体に迫る回であると同時に、群馬県警のヘッポコ刑事山村ミサオが初登場する回でもある。
なお、「連続2大」とあるが、両事件とも現在進行形の犠牲者は一人ずつであり、二つの事件に直接のかかわりはない。あくまでも橋渡しとして時系列が繋がっているだけである。


◇主要登場人物


ご存知主人公。
コナンと新一が同一人物だと蘭に疑われてしまう。
その際、蘭の言動に疑いを持っていた発言が多かったものの、蘭の言動をよく理解していなかった。
また、第2の事件では、有希子をからかうようなことを言う度にお仕置きを受けている。

ご存知蘭姉ちゃん。
眼鏡を取ったコナンの姿と幼い頃の新一の写真を見比べて、コナンが幼い頃の新一と似ていたことで正体に感づくことになる。
探りを入れる笑顔が疑惑を持っている時の顔よりも怖い。

ご存知迷探偵。
妃に事件の依頼人を紹介されたことに怒り気味だったが、結局引き受けることになる。
コナンに誘導されて名推理するも、蘭にはコナンが推理したと見抜かれている。

ご存知法曹界のクイーン。
蘭からの頼みで、依頼が無い小五郎を気遣って依頼人を紹介する。

ご存知、闇の男爵夫人。
優作が朝帰りでシャツにキスマークをつけていたためご立腹。

ご存知チート推理力の小説家。
朝帰りしたことで有希子に浮気疑惑をかけられるも、コナンに推理しか頭にない甲斐性なしだと言われていた。
…息子も人のことは言えんが。

ご存知天才発明家。
秋は恋愛の季節であり、事件から離れて蘭と二人でデートをしてみたらどうかとコナンに言っている。

ご存知警部殿。
優作が最も信頼を寄せる警部として、第2の事件のエピローグに登場している。






以下ネタバレ注意





◇第1の事件(有名マジシャン殺人事件)


電話で有希子に優作の愚痴を聞かされるコナン。
探偵事務所に帰っても、電話で小五郎が英理から依頼人を紹介すると世話を焼かれて喧嘩していた。

その後コナンはそのまま寝てしまい、その間に蘭にメガネを外され素顔を見られてしまう。
蘭はその素顔をどこかで見たことがある様子。

起きたコナンはその事をごまかしていると、先程英理が紹介した依頼人の女性がやって来る。

彼女の依頼は一週間前に自殺したマジシャン・九十九元康の調査であった。

幼い頃に九十九元康と写真を撮った事のある蘭はアルバムを開いて驚愕する。
アルバムには蘭、九十九元康と一緒に写ったコナンと瓜二つの幼い頃の新一の写真が……。
蘭がコナンの正体を怪しむ中、探偵事務所の面々は九十九家へ足を運ぶ事に。


【事件関係者】

  • 九十九元康(つくも もとやす)
世界的に有名なマジシャン。過去に新一と蘭は彼のマジックショーに行ったことがあった。
一週間前に自宅の専用の地下室で毒死しており、警察からは自殺と判断されている。
だが、死亡する一週間後には娘の文乃の誕生日があり、一か月前からプレゼントを用意して楽しみにしていたという自殺にしては不自然な状況であり、
地下室の机の上にはトランプのスペードのAとJを貼り付けられたものを残していた。
そして現場に行ったコナンの推理により、何者かに毒殺された殺人事件だと判明する。

  • 九十九七恵(つくも ななえ)
声:久保田民絵
九十九元康の妻。本人も奇術師。42歳。
英理の知り合いで彼女に毛利探偵事務所を紹介され、夫の自殺について小五郎に調査依頼をする。

  • 百地裕士(ももち ゆうじ)
声:小森創介
九十九元康の弟子。25歳。
弟子になってから日は浅いが光るものを感じるとのこと。
新入りの弟子は食事係をやらされる伝統があるため、九十九家の給仕を担当している。

  • 三好麻子(みよし まこ)
声:日野由利加
九十九元康の弟子。20歳。
日本の女性マジシャンとしては右に出るものが無いとされる。
だが、鳩を出すマジックを披露したが、百地の鳩と間違えるなど今回の事件で少しこたえているようである。

  • 真田一三(さなだ かずみ)
声:置鮎龍太郎
九十九元康の弟子。27歳。
現在人気ナンバーワンの若手マジシャンで、「2人の天才が1人になった」と嘯きながら現れた。
完璧主義だが、トランプのマジックでバックの柄がバラバラだったりと、彼も今回の事件で少しこたえているようである。
中の人はのちに沖矢昴を演じている。

  • 九十九文乃(つくも あやの)
声:吉田古奈美(現、吉田小南美)
九十九元康の娘でコナンの同級生。クラスはコナンの隣の1年A組。6歳。
父が死んだことをまだ知らず、海外公演に行っていると聞かされている。

【その他】

  • 木之下吉郎(きのした よしろう)
九十九元康の元弟子。
天才中の天才と言われており元康に特にかわいがられていたようだが、14年前に練習中の事故で死亡している。


【以下、事件の真相】




















フフフ…本当はもっと長い眠りにつかせてあげるはずだったけど…

兄のようにね…

  • 三好麻子
この事件の真犯人。
14年前に事故死した木之下吉郎の妹であり、親戚に引き取られて別の名字に変わっていた。
動機は兄の復讐であり、7歳の頃に元康がショーで使う兄の手錠に細工している現場を目撃したからである。
その後、元康の弟子になり、元康の娘である文乃が7歳に迎える前に殺害する計画を企てていた。

事件当日、元康に自分の素性をばらしても平然としていたことに怒り、娘を殺すと脅しようやく狼狽えさせる。元康の殺害後は本当に文乃の殺害も考えていたが、良心は残っていたので最後は思い留まった。
自分の殺人計画に引っかかって、日本一のマジシャンだと聞いて呆れると麻子は高笑いしたが、元康は麻子が木之下の妹であることを知っており、彼女に殺される事を受け入れていた事実を知ってからは複雑そうな顔を浮かべていた。

犯行を立証するための証拠は不十分であり逃げ切ることもできたが、手品(トリック)のネタがバレているのにステージに上がる気がないという彼女のプライド、自分と同じ境遇にしてしまった文乃に申し訳ないという気持ちから、警察に自首をして自ら幕を下ろした。

  • 木之下吉郎
麻子の兄であり、早くに両親を亡くした彼女の唯一の支えだった。
14年前、水槽脱出マジックの練習で元康が細工した手錠を使用。手錠が外せなくなり、そのまま溺死した。

  • 九十九元康
14年前、木之下吉郎の才能に嫉妬して、ショーで使う手錠を細工して木之下を事故死に見せかけて殺害している。
だが、麻子が木之下の写真を大事そうに抱えている姿を目撃して、麻子が木之下の親族だと知ることになる。
そして、麻子に復讐されることも予期して、自身が犯した罪から死を受け入れた。
それが殺害当日に麻子の前で平然としていた理由であり、警察も助かろうともがいた様子がないことから自殺と誤認したのであった。
だが、麻子に娘も殺すと脅されたため、娘を救うためにダイイングメッセージを残すことになる。
後の事件で名前が出た際、木之下殺害については触れられなかったため
弟子殺害に関しては世間に知られていない可能性が高い。
娘に悪いと思った麻子が動機だけはうまくごまかしたのだろうか。

  • 真田一三
元康と同じく麻子が木之下の写真を大事そうに抱えている姿を目撃して、麻子の素性を知ることになる。
そのことを元康に他言無用にされていたが、まさか麻子が元康を殺害するとは思っておらず、
さらには事件現場で動揺していたとはいえ麻子がトリックの隠蔽していたのに気付けなかったことを後悔していた。

後に鈴木財閥のパーティーにて怪盗キッドの格好をして再登場。撃ち殺される役回りを演じるあたりちょっと悪趣味。
アニメではこのエピソードより先にキッド登場編が放送されたため、今回のエピソードで鈴木財閥のパーティーにいた人と説明がされた。
この事は蘭から説明があったが、真田がパーティーに登場した時には蘭は既にキッドと入れ替わっており矛盾が生じている(救出された後で真田が出演していた事を聞いた、とも考えられる)。
これ以降も何度か名前のみだが登場するようになる。


【以下、さらなるネタバレ】




















こうして一つ目の事件は解決した。
後に起こった奇術の関係する事件で、この事件の関係者の名前が出てくることもある)
その後、事件でおそくなったため夕飯をコンビニで買ってくると蘭はコナンを連れて行くが、到着したのはコンビニではなく新一の家であり……。


  • 毛利蘭
小さい頃の新一と瓜二つであり、コナンの推理力、行動力、そして音楽の知識に乏しいところを含めて新一だと蘭は確信していた。
ちなみに、小さくなったのは阿笠博士が作った変な薬を飲んだからだと考えており、間違いではあるがいちおうは筋が通っていた。
言い逃れできない絶体絶命の状況に追い込まれ、万事休すのコナンであったが……。


コナンちゃんじゃない!!

ひさしぶりー!!

  • 工藤有希子
コナンと蘭の目の前に現れたのは、ロサンゼルスにいるはずの有希子だった。
何か余計なことを言うんじゃないかと心配するコナンだったが、有希子は話を合わせてコナンを親戚の子だと話す。
少し言い訳が苦しいところも多かったものの、有希子の話で蘭は勘違いだと納得して難を逃れることになる。
この際、コナンが完全に子供になりきって怯えた様子を見せていたことで、「新一ならこんな態度はとらない」と思わせ、それを有希子が突いたこともあり、九死に一生を得た。
なお、有希子が庇わなければ、過去に一緒にお風呂に入ったこともあるため助かっている。
そしてコナンは、そのまま有希子と一緒に工藤家で一夜を明かす事になるが……


◆第2の事件(遺産相続殺人事件)


翌朝、コナンが目を覚ますと何故か有希子の胸の中だった。
バイクで向かうは群馬県豊白町に住む彼女の幼馴染で親友・藪内広美の家。
広美が言うには、先月、父・義親が死んで遺産を分けるのだが、最近父の弟の義房が帰って来た事に何やら違和感があるとのこと。
色々な策を用いて義房を探るも、特に違和感は無い。しかし、彼は「お前にやる遺産は無い」と脅迫状を受けとっていて、ボディーガードまで雇っていた。
その夜、義親の後妻である真知子が井戸から無惨な姿で発見される……。
更に、遺言状の発表をする席で、義房めがけてボウガンの矢が放たれるという事件も起こり、事件は混迷を深めていく……。


【事件関係者】

  • 藪内広美(やぶうち ひろみ)
声:榎本智恵子
有希子の幼なじみで親友。37歳。
今回、3日前にブラジルから戻ってきた義房の雰囲気が違うため、有希子に調査を依頼する。
ちなみに、コナンのことをロスで産んだ2人目だと紹介されている。
山村が有希子を疑った際、彼女が自分に用があってたまたま来ていただけと明かし、他に怪しい人物としてサングラスの人物を挙げるなど、親友としてしきりにかばっていた。
登場しないことから、秀和との間に子供はいない様子。

  • 藪内義房(やぶうち よしふさ)
声:藤本譲
広美の叔父。64歳。
今までブラジルで住んでいたが、3日前に帰国して藪内家に滞在している。
幼い頃に有希子も遊んでもらっていたが、30年も前のことなので有希子のことを覚えていなかった。
雰囲気が違うため遺産を狙ってやってきた偽物だと疑われているが、広美の母親も15年前に他界しており、義房の日本の友人は早死にしているため誰も本物だと確証を得ていなかった。
だが、足の傷跡や左利きであること、さらには義房の手紙の筆跡が同じだったため本物であるとコナンは推理している。

現在、何者かに脅迫状をもらい命を狙われているため、用心棒のカルロスを連れて来ている。
だが、義行に掴み掛られた時は、ブラジリアン柔術で逆に組み伏せるなど、自身も護身術に長けており、何故用心棒を雇っていたのか疑問に思われている。
また、遺産については興味がなく、脅迫状を送りつけたたわけ者共を見るために帰国したらしい。
遺言状の発表時に、時限式のボウガンに狙われるが、間一髪で避けている。

  • 藪内秀和(やぶうち ひでかず)
声:山口嘉三
広美の夫で藪内家の婿養子。41歳。
落ち着いた人物であり、藪内家の事情の説明を彼がしている。

  • 藪内義行(やぶうち よしゆき)
声:清水明彦
広美の弟。32歳。
少々粗暴な人物であり、義房に掴みかかったりしている。
しかし、自分の母親の事故のことを、怒りもせずコナンに丁寧に説明してやるあたり、根は悪い人間ではない様子。
義房が本当に自分の叔父なのか疑っている。
後妻であるためか、真知子のことは快く思っていない様子。

  • 藪内敬子(やぶうち けいこ)
声:津田真澄
義行の妻。28歳。
少々気だるそうな顔をしており、常に義行と共に行動している。
義房がやってきたことで、財産が減るんじゃないかと心配している。

  • 藪内真知子(やぶうち まちこ)
声:藤木聖子(現、藤生聖子)
義親の後妻。39歳。
5年前に義親と再婚しており、義親とはかなり歳が離れていることから、義行からは財産目当ての結婚だと思われており、快く思われていない。
何かを企む顔をしており遺言によっては取り分がないかもしれないという理由で、義房のことを快く思っていないようである。

友人の結婚式の二次会のため出かけていたが、義親の前妻と同様に井戸の中から死体となって発見される。
死因は刺殺であり、胸ポケットの中に姫椿が入っており、15年前の事故死に関連するような死に様だった。
なぜか電話で言っていた時間より早く帰って来ていたり、彼女の車が林の中で発見されたりと、被害者なのに行動に不審な点が多い…。
余談であるが、彼女が発見された状況や死に顔がやたら怖かったりする。

  • カルロス
義房がブラジルから連れてきた友人。26歳。
寡黙で義房と常に行動を共にしているが、その正体は義房のボディーガード。
義房が脅迫状を受けていたことで雇われたようだが、義房自身も護身術に長けているため、それ以上の強さかも知れないと思われている。

声:古川登志夫
群馬県警捜査一課の新米刑事。
課で風邪が流行っていて動けるのが自分だけだったからという理由で、この事件を担当することになる。
現場は初めてで、死体を見るのも初めてだったため死体を一目見て腰を抜かすほどビビる。
有希子のファンであるが、彼女がドラマ内で銃などの扱いに慣れていたという理由で疑うなど、コナンに「大丈夫か?この刑事」とまで思われる程のへっぽこぶりを見せる。(まあ、屋敷にいた人間の中で唯一アリバイが無かったこともあるが)
もっとも、真知子の死に顔は、山村じゃなくてもビビるくらい怖い
事件の真相を掴んだコナンが有希子を探偵役にしようとするも有希子に断られてしまったので、麻酔針で眠らされ探偵役にさせられている。
名前の元ネタは小説家の山村美紗。


【その他】

  • 藪内義親(やぶうち よしちか)
広美と義行の父親。
先月癌のために病死している。
生前遺言状を残しており、喪が明ける夜10時に開封されることになっている。
なお、遺言状の発表の時にいない人間は「一円たりとも相続させん」と言っていたらしい。

  • 義親の前妻
広美と義行の母親。
15年前の大雪の日に藪内家の井戸の中で死亡しているのが発見されている。
井戸のそばにある姫椿を取りに行った際に、井戸の縁に乗り、足を滑らせて井戸に落ちたとされており、手には姫椿を握っていた。
そのことから、今回の事件は15年前の事件も関係あるのではないかと疑われている。

  • 前妻の兄
15年前の葬式の際に参列していた男。
前妻(つまり自分の妹)の葬式の時に、義行達の中の誰かが井戸に突き落としたのではないか、と騒ぎ立てていた。
原因が姫椿を取ろうとしたための事故とされても、結局最後まで納得しなかったらしい。
当時、もうかなりの高齢だったため、今は亡くなっていると思われているが、生きていたら遺言発表の場に現れるかもしれない、とも言われている。遺言状に名前があれば、遺産を受け取る権利も発生するが…。

  • サングラスの男
藪内家に出没する、サングラスをかけて口元をマフラーで隠す謎の人物。
その正体は、15年前に事故死した前妻の兄ではないかと思われているが…。
裏木戸から覗いていたり、倉の中にいたりしているが、その目的は……?

  • 弁護士
声:中博史
義親の遺言状の発表にやって来た弁護士。
遺言が入ったカセットテープのA面とB面を間違えて入れたり、再生ボタンと録音ボタンを間違えて押したりと、何かとミスが多い(が、前述の通り何も入っていないB面が入ってたので遺言は消えなかったし、その時録音された内容が第2の事件の解決に大きく貢献することになった。どっちも偶然だが)。

【以下、事件の真相】






















  • 藪内敬子
時限式のボウガンを仕掛けて、義房を狙った犯人。
ボウガンが確認される前に、発射されたものを「矢」だと口を滑らせたことで、犯人と見破られた。
最初は義行にかばわれたものの、時限式のボーガンに使用した矢からネジ一本までどこで購入したか調べると山村(の口を借りたコナン)に言われて白状した。(アニメではこのあたりの山村(コナン)のセリフはカットされている)

動機は金。実は、夫には内緒で借金をしており、順当に遺産が分配されれば、彼に知られずに全額返済できる予定だった。
だが、義房が帰ってくることで、分配が少なくなると思いカーッとなってやったとのこと。
元々、目的は義房を脅かしてブラジルに帰ってもらうことであり、殺すつもりは全く無く、ボウガンも最初から外れるように計算して仕掛けていたのだが、矢が危険なほどの至近距離を通ってしまったのは、計算外だったようだ。

  • 藪内真知子
最初の事件は、真知子がある人物を殺そうとした計画殺人が発端だったことが明らかになる。
結婚式の会場の音を録音したカセットテープを使って、二次会にいるように見せかけてアリバイを作り、返り血を浴びないように用意していた雨ガッパを纏っていた。
さらに、姫椿も、殺した相手に持たせて15年前の前妻の事故死と関連があるように見せかけ、5年前に後妻となった自分を容疑者から外すため、彼女自身が用意していたものだった。
殺害動機は死亡したため不明であるが、コナンは遺産の取り分を増やすためだろうと推測している。ぶっちゃけ、この事件で一番の危険人物。
だが、アリバイ工作をしてまで犯行に臨んだものの、その人物に返り討ちに遭ってしまい、自分が殺されてしまったのだった。
さらに、そのアリバイ工作が、皮肉にも自分を殺した時の相手のアリバイを作る結果になってしまったのである。

  • 藪内義房
この事件で真知子に殺されかけた人物であり、返り討ちにした張本人。
真知子の殺人現場は風呂場であり、一番風呂に必ず入るためそこを真知子に狙われたが、とっさにブラジリアン柔術を使って返り討ちにした。
正当防衛ではあるものの、実は脅迫状が2通届いていることもあり、真知子以外に自分を殺そうとする人物がいるため名乗り出なかったのと、死体を見つかりやすく井戸に隠したのはもう1人の犯人への見せしめのためだろう、とコナンは推理している。
そのままコナンは、犯人は全員指摘したため義房を白状させようとしたが―――



まだまだ甘いな…






【以下、さらなるネタバレ】

  • 義親の遺言状
コナンが義房を白状させようとしたが、その時に目の前に現れたのはサングラスの男だった。
その男が言うには遺言状の内容ですべてが明らかになると言われ、弁護士がテープを再生すると、遺産の相続人に予想外の名前が出てきた。

「真知子、広美、秀和、義行、敬子、そしてカルロス

そう、義房がボディーガードとして連れてきたはずのカルロスの名前が入っていた。逆に、本来入っているはずの義房の名前が入っていなかったのである。
するとサングラスの男=工藤優作は義房の正体について話し始める。




フ……まったくあなたのいうとおりじゃ

寸分のちがいもない…

  • 藪内義房
本名「ヒクソン田中」。義房本人ではなく、彼に成り済ました日系二世のブラジル人であった。
義房の息子であるカルロスを守るために同行したブラジリアン柔術の達人。つまり、自分を守るためにカルロスを連れて来たのではなく、その反対だった。
本物の義房とは同じ農場の友人であり、竜巻で左腕を失った義房の代筆をしていたため、筆跡でも別人と見抜けず、更に同じ左利きでもあった*1
半年前に死んだ義房のふりをすることで脅迫者の矛先をカルロスから自分に向けるようにした。
後からよく見ると、ボウガンが飛んできた時の動きも狙われているはずの彼の方がカルロスを守っているかのような動きであることが分かる。

本来は脅迫者を捕まえるつもりだったが、真知子に殺害されそうになり、返り討ちにしてしまう。そのままだと正当防衛とはいえ警察に連行されてしまうが、脅迫者はもう1人おり、それが誰か分からない内にカルロスから離れるわけにはいかなかった。井戸に死体を隠したのはコナンが言うような見せしめのためではなく、やって来る刑事が話せる男かどうか見極めるため。しかし、来たのは頼りない新米刑事だったため、仕方なく遺言発表まで沈黙を守っていたのだった。
最後は全てを言い当てた優作を信じ、彼に紹介されて駆け付けた目暮警部と共に群馬県警まで連行されることになる。
敬子とは違い、正当防衛で罪に問われることは無いため、じきに戻ってくるだろう、とのこと。そりゃ入浴中という丸腰状態のところを包丁を持った真知子に襲いかかられたからなぁ…

  • カルロス
義房の友人兼ボディーガードと見せかけて、本物の義房が現地女性との間に設けた息子。
日本語があまりわからず、義房が連行されても状況を全く把握しておらず、田中も藪内家が父親の実家であることを伝えていなかった様子。
しかし、優作のポルトガル語の事情説明で子供のように微笑む。
田中が茶をこぼした時に自分から拭こうとするなど、とても田中を慕っているようだ。

  • 本物の藪内義房
本物の義房は半年前に病死。
現地の女性との間にカルロスを設けているが、竜巻にあって農場がつぶれ、利き腕を失くすなど災難も多かったようだ。
義親はその事情を知り、甥のカルロスにも遺産を分けることとした。
義親もちゃんと周囲に事情を話しておけば、遺産トラブルの可能性を少しでも減らすことはできたのではないだろうか…。

  • 工藤優作
コナンの蝶ネクタイ型変声機の音を拾う集音機を阿笠博士からもらっており、それによってコナンの推理を聞いていたことが明らかになる。
また、倉の中から義房の手紙を発見しており、コナンもこの手紙を見つければ義房が偽物だって気づくことができたと言っているが、
実は彼は、義房の過去の写真を見た段階で偽物だと気づいたという*2
結局優作はコナンに観察力で勝り、コナンの推理の補足をしていいとこどりをしている。
なお、有希子とは夫婦喧嘩していたが、最後は仲直りしている。

  • 工藤有希子
タバコの吸い殻から、優作が自分を追いかけて訪れていたことをだいぶ前から気づいていた。
そのため山村の声を使った推理の際に、「私が見ていてあげるから」と内心で呟いている。
優作について散々悪口を言うが、最後には仲直りをしている(冒頭でコナンが言ったとおり、犬も食わない喧嘩だったようだ)。
コナンとの別れ間際、コナンに蘭と別れた時の笑顔が引っかかるという忠告をしている。

  • 毛利蘭
有希子の忠告を聞いて身構えていたコナンだったが、阿笠博士と泊りがけで遊びに行ったことを連絡しなかったことに怒られただけで、いつも通りの日常に戻ることができたのだった。
だが、有希子の忠告の意味を後の事件で知ることになる。


【遺産について】
本作では、遺言で「真知子、広美、秀和、義行、敬子、カルロスに均等に遺産を分ける」ということになっている。
すなわち、各人の取り分は6分の1となる。

しかし、義親の妻である真知子には最低限度の遺産の取り分として4分の1の遺留分が保証されているため、自分の取り分が4分の1になるまで遺産をよこせと真知子は要求することができる。
更に、遺言に書いていなければ義房には相続の権利はない。

トラブルの元になるので遺留分を無視した遺言には気を付けよう。

真知子は義房(田中)を殺して遺産の取り分を増やそうとしたと推測されているが、実は義房を殺し、犯人であるとばれなくても真知子の遺留分は増えない。
つまり、遺言としても法的な取り分としても全く意味の無い殺人を企て、返り討ちされたことになる。しかも自分を返り討ちにした田中は正当防衛で無罪、となればとんだピエロである。

最後に、カセットテープの遺言は本来は無効である。*3


【余談】

  • 有希子がコナンを祖父の兄の娘のイトコの叔父の孫と紹介していることについて。

辿っていくと「コナン」に繋がり、結局は遠回しに「自分の息子」と言っている、という説があるが…

実は、「祖父の兄の娘のイトコの叔父の孫」は、どう辿っても有希子の息子(コナン)には繋がらないらしい。



追記・修正は正当な理由で遠回しにお願いします。

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最終更新:2020年11月28日 21:41