SCP-019-JP

登録日:2025/07/16 wed 11:26:05
更新日:2025/07/22 Tue 12:40:36
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おお、前よりも随分と賢そうな顔になったじゃあないか。


SCP-019-JPはシェアード・ワールド『SCP Foundation』に登場するオブジェクトである。
オブジェクトクラスKeter……からのNeutralized
かつては安全な収容は不可能とされていたが、現時点ではすでに無力化済み。


概要

まず、このオブジェクトが何だったかから順を追って説明しよう。
これはかつて、典型的な堕落した現実改変能力者であった。
ざっくり言うと、ある日突然現実改変能力を手に入れ、それを使って悪行三昧していたクズ
つまりはGOCの言うところの「フェーズ4:お子様神」、欲求を満たすためだけに我儘に能力を振るう末期症状である。

自分のことを救世主だと豪語しているが、数多くの窃盗、暴行、殺人、強姦、[削除済]を犯していたまごうことなき極悪人で、それを指摘されると逆ギレして能力を暴走させて暴れ出すという救いようのなさであった。
同時にIQ300を自称しているが、実際の知能はかなり貧困。まあ、当然と言えば当然か。

さて、こんなヤツが収容された経緯はというと、財団職員が参加していた結婚式に乱入し、職員や赤ちゃんを含む18人を殺害、7歳児含む女性4人を強姦、駆けつけた警官隊まで虐殺したのを、財団の対現実改変能力部隊に発見されたからという胸糞の悪くなるにも程のあるとんでもないもの。
しかもこれ以前にも似た様な事件を十数件起こし、現実改変で揉み消していた模様。

……筆者も書いていてイラついてきたので、ここからは「コイツ」名義で統一させてもらう。どうせ本名も分からんし。

そんな奴を財団も放っておける訳が無く、上記の部隊により収容した訳だが、
当のコイツは「財団に協力してやるために捕まってやっている」とほざいており、実際に何度か他オブジェクトの収容違反を能力で妨害したりしている。
しかしその度に「財団の特殊部隊」に自分を採用しろと脅迫し、受け入れられなければ暴れる始末。
ここまでくると、オブジェクトの収容違反もコイツが現実改変で起こしたのではなかろうかと疑いたくなってくる。


インタビュー

そんな厄介者であっても、意思疎通が可能な以上情報取集のためにインタビューし、記録に残さなければならない。
とはいえ……こんな救いようのないアホなので、どんな会話が繰り広げられているかは想像が付くと思う。
上記の説明に不快感を覚えるようなら読み飛ばしてもらっても構わない。特別この後の説明に影響がある訳でも無し。

SCP-███-JP *1 : せっかく捕まってあげてるのに、退屈で仕方ないよ。ねえ博士、ちょっとさあ、財団の特殊部隊で僕を使ってみてよ。

███████博士: こんにちはSCP-███-JP。その質問に対する回答は否です。あなたの行動を鑑みてください。

SCP-███-JP: へっ。僕の行動のどこに法律違反があるんだ? んー? 超能力で殺人を行ったことを法的に立証できるのかい? ああん? 言っとくけどさ、僕が能力を使った相手はみんなこう言ってるんだよ、「殺してください」、「突っ込んでください」(SCP-███-JPは女性のものと思われる声真似をした)とかね。あはは、合意なんだよ、ぜーんぶ。

███████博士: なるほど。ところで、あなたはどうやってその能力を手に入れたのですか?

SCP-███-JP: んー、さぁ? ある朝起きたら突然超能力が手に入ったんだよ。アメコミみたいじゃないか! きっとこれは神様かなんかがさ、「お前はこれを使って好きなことをしていい」ってくれたんだよ。ラノベとか漫画でもあるじゃん、スーパーパワーを手に入れた主人公が暴れまくるって。で、そういうキャラはどんだけ暴れても許されるでしょ? だから僕も許されるわけよ。こんなパワーを貰ったんだから、有効活用しなきゃ! だから僕も特殊部隊に入れてよ、ほら!

███████博士: そうですか。検討させていただきます。

まがりなりにもKeterクラスに分類されるほどの現実改変能力持ちだが、
シンプルにクズ、能力が危険、頭も悪い。現実改変能力者自体はこいつ以外にも存在する以上、わざわざこんなヤツの収容を続ける意味もないし、収容を続けたところでロクな事にならないのは目に見えている。
というわけで確保・収容・保護を目的とする財団も、コイツをとっとと終了することにしたのだった、が……


マヌケテルな無力化経緯

そうと決まれば経験豊富な財団。GOCほどではなくとも現実改変能力者の研究データも終了実績もいくつもある。
おそらくその手順に従いコイツを即死させようとしたはずだが、何らかのミスにより頸部を半ば切断するにとどまってしまった。
するとコイツは咄嗟に近くにいた実験動物の檻に入っていたボノボ *2 と首を取り替えるという現実改変を実行。それによって生き延びようと試みた。

しかし、その瞬間コイツは呆気なく死亡

後にはボノボの頭と人間の胴体を持つキメラが残るのみだった。
そして、ボノボが現実改変能力を使用。やったことは……首から下を元のボノボに変化させることであった。
ボノボからしてみれば、突然自分の体が人間のものに変えられたので違和感が凄かったのだろう。元に戻りたいと思うのも当然である。

それ以降、ボノボは現実改変能力を一切使用していない。
というより、全身元のボノボに戻ったので異常性自体が消失してしまった模様。


要するに、コイツの現実改変能力は首から下の肉体にだけ宿っていたのである。
「IQ300の救世主」を自称していたクセに、特別なのは胴体だけで、頭はサル未満というのはなんとも皮肉なオチである。

と言う訳で、オブジェクトクラスはNeutralizedになり、特別収容プロトコルは
  • サイト-8169にある大型動物収容房で飼育
  • 隠しカメラによって映像を監視し、現実改変能力の行使があった場合直ちに報告
  • 1日に2回、果実を中心とした類人猿用の餌を与える
  • ストレスを軽減するため、適切な遊具と植物を設置し、3日に1回房内を掃除する
……という(監視以外は)動物園での飼育と同じものが敷かれるのであった。

そんなこんなでボノボ君改めSCP-019-JPはのんびりと飼われることになったのだが、無力化したはずのオブジェクトが復活したケースも存在するため、念のため監視は続けられている。


まあ、復活の心配はあるまい。だって、今のコイツは……



SCP-019-JP


普通のボノボ



なのだから。


余談

現実改変の項目に詳しいが、基本として現実改変能力者は自分自身を対象に改変を行うことはできない。
にもかかわらずコイツが「自身とボノボの首を挿げ替える」なんてことができたのは、
胴体の方にあった現実改変を行う「ナニカ」が、コイツの意思を読み取りそれをもとに現実を書き換えていたからだったのだろう。
そういう意味ではなかなか貴重な現実改変者のサンプルだったと言えるかもしれない。


類似オブジェクト

  • SCP-531-D - ドリーマー
コイツの元ネタかと疑うくらい似ている「薄っぺらい人間性の現実改変能力犯罪者」。
精神年齢の低い若い男性であり、能力を盾に財団に遊び道具だの女だのを散々要求してクレフ博士に処刑された。

ちなみに項目自体は「メアリー・スーそのもの」と酷評され速攻で削除されたが、
Tale「終了依頼」に処刑の様子が描かれ、「悪い現実改変能者とその末路」の典型として世界観に残ることになった。

テキストの「部首」を捕食することで形容した対象を現実改変させる一本の柳の木。
ちなみに本項目のコイツと負けず劣らずの自滅をしているが詳細は個別項目を参照。


追記・修正はボノボより賢くなってからお願いします。


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最終更新:2025年07月22日 12:40

*1 数字の部分が隠されているのはどうか無視していただきたい……

*2 チンパンジーの近縁種である類人猿。