ガラスの幸福(仮面ライダー龍騎)

登録日:2012/03/31 (土) 00:37:25
更新日:2020/04/07 Tue 22:48:33
所要時間:約 7 分で読めます




仮面ライダー龍騎』の44話。

ガラス工房の跡取り息子である佐野満は、幼馴染の百合絵と大恋愛の末に結ばれるという、純情ラブストーリー。
途中、親友であり恋敵の東條悟や、蛇の皮ジャンを着た暴漢に襲われながらも、佐野は恋に生きる。
大雨の中での一世一代の告白は必見。


追記・修正お願いします。


















   *   *
 *   + うそです
  n ∧_∧ n
+ (ヨ(*´∀`)E)
  Y   Y  *










   *   *
 *   + うその方がいいけどな!
  E) ∧_∧ (ヨ
+ u (#・Д・) u
  Y   Y  *


【本当のあらすじ】


ライダーバトルが終盤に入り熾烈を極める中、生き残ったライダーの一人、佐野満の下にある知らせが届く。

「親父が、死んだ…」

どこか他人事のように呟いた佐野は、外に出かける。
行先は巨大なビルだった。
そこで佐野は、重役らしき人物らと話をしていた。
佐野はこの会社の社長の御曹司だったのだ。
呼ばれた理由は「次期社長を息子に…」という社長の遺言の為で、佐野にフリーターをさせていたのは、世間を知ってほしいという親心だったと言う。
父に勘当されたと思っていた佐野は最初は戸惑うが、重役のヨイショもあって快諾。
早速豪華な食事にありついた。
(関係ないが、この重役は佐野を必要以上に持ち上げており、そもそもその遺言自体が本当なのかの確たる証拠も描かれておらず、明らかに裏がありそうにも見えたが、その真意は不明)

一方、佐野の部屋に残された東條悟は、自分の姿が映る窓を覆い隠し、鏡を壊した。
王蛇とゾルダに打ちのめされ、彼は自信を失っていたのだ。
電気もつけず、部屋の隅でうずくまっていた東條を、帰宅した佐野が心配する。
土産である食事会の残り物を食べながら、佐野は登場に尋ねた。

「英雄になって、何がしたい?」

東條は答えた。

「英雄になれば、みんなが好きになってくれるかもしれない」

その答えに満足したのか、佐野は軽く頷いた。

「でも、ライダーの戦いが終わる前に願いが叶ったら、意味ないよな…」


社長ライフを満喫する佐野の前に、神崎士郎が現れた。
佐野はこれ幸いとばかりにデッキを差し出す。

「やめたいんだ、ライダーを」

いつものように軽い口調で言うが、神崎は当然拒否。
怒った佐野はデッキを地面に叩き付ける。
すると、神崎は語気を荒げてこう言った。

『戦わないのはお前の自由だ! だが、それが何を意味するか、お前もわかっているな』

神崎の後ろには、佐野が契約したギガゼール種のモンスターが蠢いていた。
戦いをやめれば、契約破棄とみなされ、モンスターに襲われてしまう。
佐野が慌ててデッキを拾うと、神崎もギガゼールも消えていた。
しかし、最後に再び声が届く。

『戦え。そして、生き残れ。そうすればライダーをやめられる』

残された佐野は途方に暮れるのであった…


佐野は仲間を求めるべく、営業を再開した「花鶏」に訪れ、真司に交渉をした。
しかし、一度裏切って優衣を狙ったため、信じてもらえない。
以前と違いその地位によって手に入れた大金をちらつかせてまで交渉するが、それでもつっぱねられる。
(真司は興味を示したのは一瞬だけだったのに対して、蓮は終始ガン見していたが)
「バカだね、あんたら」

次に佐野は北岡の元に向かうが、意外にも好感触で、すんなり北岡を雇うことに成功。
しかし、佐野は釈然としない様子だった。
その読みは当たっており、北岡は佐野に協力する気など毛頭なかった。

「契約書を作るって時間がかかるんだよねぇ。一年先か二年先か…」

しかも、金だけは前金としてちゃっかり受け取ってる。
先生!…ステキです(by吾郎ちゃん


「やっぱり頼れるのはアイツしかいない」

というわけで、佐野はちょっと高そうな弁当を差し入れに、東條の待つアパートに戻る。
食事をする東條に、佐野は自分をどう思っているか尋ねた。

「感謝してる。先生以外で初めて優しくしてくれたから」

その言葉に満足した佐野はすっかり気を良くするが、最後に一言、確認するように呟く。

「友達、だよな…俺たち…」

その言葉に、東條はただ、小さく頷いた。


翌日、佐野は「百合絵」という社長令嬢と見合いをしていた。
父同士が知り合いという事だったが、佐野も百合絵もまんざらでもない様子だった。
自分の望んでいた「幸せ」を手にし、それ以上の恋人まで手に入れた佐野は改めて闘う決意を固める。

(俺は勝つ。勝って、俺の人生を守って見せる)



だが、幸せな時はここで終わりを告げた



ミラーワールドからの呼び声により、佐野はインペラーに変身。
ギガゼール軍団に餌を与えるべく、モンスターと闘っていた龍騎に襲いかかる。
だが、インペラーは龍騎に力負けしていた。
そこに偶然現れたタイガに助けを求め、形勢逆転する。

「悪いな…負けるわけにはいかないんだよ!」

再び龍騎を追い込むインペラー。
そこでタイガも1枚のカードを使った。

『アドベント』

しかし、無機質な音声と共に現れたタイガの契約モンスター「デストワイルダー」は、なんのためらいもなくインペラーに襲いかかる。
何が起こったのか理解できないインペラーの腹に、タイガの爪が突き刺さった。

「お前…!?」

「ごめん。でも、君は大事な人だから。君を倒せば、僕はもっと強くなれるかもしれない」

かつて恩師を倒したのと同じ言葉を、タイガが口にした。
見かねた龍騎がタイガを抑え、インペラーを逃がす。
しかし、すでに満身創痍だったインペラーは足取りもおぼつかないまま、坂を転げ落ちた。

「なんだよアイツ…何考えてるんだよ!?」

それまで友と信じていたタイガの裏切りに、悪態をつくインペラー。
そこに、紫色の影が迫る。
仮面ライダー王蛇だ。
インペラーは逃げようとするが、足が動かない。
その姿はまさに、毒蛇に睨まれた獲物だった。
王蛇は静かに、ファイナルベントのカードを手にする。
そしてインペラーは王蛇の「ベノクラッシュ」の直撃を受け、吹き飛ばされる。
デッキはバックルから外れて地面に落ち、粉々に破壊されてしまった……


この後のことを思えば、このときに死んでいたほうが、まだマシだったであろう……


そして、その直後に突然、大雨が降り始める。
それでも百合絵は、佐野の帰りを待っていた。
ミラーワールドに残された佐野は、満身創痍の身体で待ち合わせの場所に辿り着き、
鏡に映る百合絵に叫ぶ。


百合絵さん!百合絵さん…!出してくれ…出してくれ!


当然、百合絵にその姿は見えず、その声は聞こえない。
鏡を潜ろうとするが、もはやデッキを失った身。道は開かず鏡は粉々に割れてしまう。
鏡の破片を握りしめ、百合絵を追う佐野。
百合絵の姿を間近に捉えたところで、背後を振り返る。
しかし、ミラーワールドの鏡は現実世界を映している。
ミラーワールドのそこには、誰もいなかった。


出してくれ…出してくれよ! 俺は帰らなくちゃいけないんだ俺の世界に! …!?

いやだ…嫌だぁ! 出してくれ! 出して!

なぁ…なんでこうなるんだよ…俺は…俺は…


幸 せ に な り た か っ た だ け な の に


粒子状になって空気中に溶けていく自身の指先や肉体への恐怖から救いを求めるその叫びは、だれにも届かなかった。
鏡の中で豪雨に打たれながら一人寂しく健気に佐野を待ち続ける百合絵を見つめながら、絶望と後悔の中で佐野は消滅。
手にしていた鏡の破片も落ちて砕け散った。


場面は変わり、佐野の住んでいた部屋が映し出される。

佐野の部屋に残された小鳥もまた、閉じ込められたまま死んでいくことを暗示するように…


【余談】

カードデッキが壊れた佐野の下にガゼル軍団は1体も現れなかった。
契約が破棄された後のモンスターの行動は、ボルキャンサーのように「すぐさま捕食」する者もいれば、
メタルゲラスやエビルダイバーのように「契約者の仇討ち」をする者もいるので、
ガゼル軍団の場合は「佐野個人を捕食する気が起きなかった」とも、「契約を台無しにした」王蛇に襲いかかって返り討ちに遭った、あるいは個体ごとに別の行動をとったとも考えられる。

この回のラストに表示されたカードは強奪効果の「スチールベント」
「佐野の幸せは、ライダーの宿命に奪われた」ことをの暗示だろうか。


次の第45話では「会社の社長、就任直後に失踪!?」という見出しで新聞に載り、「もっと、ちゃんと話を聞いてれば…」と、真司の心に深い傷を残した。

この話…というか佐野が出てくる第41話から第44話は、井上敏樹の脚本である。やっぱりね!

ここだけ見ると佐野が悲劇の主人公のようにも見えるが、前述した通り彼は以前願い(勝ち残り)を叶えるために、
東條や香川教授らと共に優衣を襲いミラーワールドへと連れ込み殺害しようとしたことがある。
それも、香川の思想に共感したわけではなく、ただ単に香川に雇われた=報酬を受け取るためだけに。
(その上、今回に至っても真司と蓮に対しその事を詫びるどころか、逆に大金をちらつかせて買収しようとし悪態をつく始末。)

自身の幸せや保身の為だけにライダー以外の人間の命を奪う事にも何の迷いすら無かったあたり、この結末は「自業自得」であるとも言える。
だが、それでも、この結末は、長い仮面ライダーシリーズ史上でもトップクラスの鬱エピソードといえるだろう。
少なくとも、13ライダーの中では最も精神的にキツいリタイアだった。

佐野の消滅シーンは日向崇氏の熱演もあり、より一層悲壮感が漂っており、日曜の朝からちびっこたちにライダーバトルの過酷さを再認識させ、大きなトラウマを植え付けた。
ちなみに、ラストシーンの撮影時、日向氏は高熱だったらしい。

あと、この回は優衣のメイド回…まぁ、それは別にいいか。


『龍騎』から17年後に社長の座に就いた主役ライダーが登場している。





追記・修正は鏡の破片を握りしめながらお願いします
あと、リア充爆発しろと思った人は土下座もお願いします

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