The Alan Wake Files

登録日:2025/07/20 Sun 08:06:00
更新日:2025/07/20 Sun 16:58:23NEW!
所要時間:約 5 分で読めます






スチュワード氏の調査活動は、まさに世界中の真相究明者の鑑というべき。
これは飽くなき探究心でタブーにチャレンジした、感動的かつ恐るべき魂の旅の記録である。★★★★

──『真相ニュース』誌


最初から最後まで一気読みだったよ。
リスナーのみんなもきっとハマるぜ。
これはヤバイね!

──キースビンセント
(KBZR-AMパーソナリティ)


エイリアンとの直接コンタクトではないものの、『アラン ウェイク ファイル』は、熟練のUFO研究家たちに、接近遭遇の予兆とも言うべきスリリングな事例を提供してくれる。
マザーシップの到来は近いのか?
畏敬の念と共にブライトフォールズからの続報を期待しよう。

──『季刊 不可知との遭遇』誌


ブライトフォールズこそ『世界不思議百科』に載せるべきだ。

──クリフ・ガントリー
(『ブラウンノートとその他の秘密兵器』著者)


刺激的、衝撃的、かつ魅力的…おかげですっかり寝不足だ。

──テッド・ミッチェル
(『サスクワッチ!』著者)


『The Alan Wake Files』


クレイ・スチュワード著


The Alan Wake Filesは、クレイ・スチュワードにより執筆された彼の伝記にして失踪したベストセラー作家アラン・ウェイクに関する資料を纏めたオカルト本である。












































…という設定のレメディー・コネクテッド・ユニバース関連作品である。

2010年に数量限定で販売された『Alan Wake Limited Edition』に付属する、全129ページもある架空の伝記。

電子書籍の配信は無く、内容を知りたければ物理的に入手するしかない。
と、このように入手手段が限られる本作だが、本作でのみ明かされる情報や設定が大量にあり、後の『Control』や『Alan Wake Ⅱ』でも本書について言及されていることからも明らかな通り、レメディー・ユニバースに正史としてしっかり組み込まれている。

概要

著者(という設定の)クレイ・スチュワード自身の伝記である序文と跋文、クレイが入手したロバート・ナイチンゲールの現地調査メモ(手記)、ナイチンゲールによるインタビューログの書き起こし、ナイチンゲールが集めていた「原稿」の掲載、アラン・ウェイクやエミル・ハートマンの著書からの抜粋、コンラッド・ブレーカー*1の論文からの抜粋、その他ブライトフォールズやアラン・ウェイク関連の資料の抜粋、そしてそれら資料に対するクレイ自身による考察と補遺などが記されている。

クレイ・スチュワードについて

演:ジェフ・カンター

本作の著者。茶髪の白人男性。
ウィスコンシン州マディソン在住で、アンナという妻、マイロという息子がいる。
職業は図書館員のアシスタントで、『ゾーンクォータリー』、『真相ニュース』、『ライジング タイド』といった各紙に記事を発表した。
本作執筆時点では『クトゥルフ神話』で有名なH.R.ラヴクラフト作品への精神分析的アプローチを試みた作品『錬金術師』を執筆していた。

ブライトフォールズ変貌世界事象が起きた2010年当時のクレイは以前の職を失業して以来家族を養えなくなっており、次第に無気力で抑うつ状態となっていた。

+ 『Alan Wake』では…
エピソード1にて余剰次元「闇の世界」を介してアランの悪夢と繋がり、闇の世界でヒッチハイカーに襲われるアランと合流。
アランを近くのキャビンに避難させ、自身はコルトパイソンを手に果敢に挑むもヒッチハイカーに惨殺されてしまった。

+ 本作では…
何度もアランと夢を共有したことから彼に興味を持つようになり、やがて夢の舞台となる「レイン湾」がワシントン州ブライトフォールズにあることを知る。

アラン失踪後は引き止める妻を無視してブライトフォールズを訪れ、マジェスティックモーテル2号室にチェックインするが、その部屋は奇しくもアランを追跡していた元FBIエージェント、ロバート・ナイチンゲールが滞在していた部屋であり、換気口の奥に隠されていた資料を発見する*2

探究心に駆られたクレイは真相を知るためにクレイはブライトフォールズを独自に調査するのだった…。
+ その後…
ブライトフォールズに数週間滞在して取材し、闇の存在により破壊されたエルダーウッド・ビジターセンターの再建に協力したり、ミスター・スクラッチらしきアランのドッペルゲンガーと遭遇したりしていた。

また、ウェイクと親しい人々への取材は尽く拒否され、バリー・ウィーラーからは告訴すらされそうになるも説得により取り下げて貰えた。

帰郷後、家庭を蔑ろにしたことから妻に見限られて住んでいたアパートを出ていかれており、音信不通になってしまった。
しかし1年かけてようやく復縁でき、本書出版に至る。



重要人物

アラン・ウェイク

『Alan Wake』の主人公にしてレメディー・ユニバースの最重要キーパーソン。

本作ではクレイから見たアランの人物評が語られたり、彼の著書である『煉獄の使い』*3、『宛先不明』*4の第一章が転載されている。
何れも「主人公が自らの闇と戦う物語」で、特に『宛先不明』は殆ど『MAX PAYNE』の作風である。

アラン本人に関する詳細は個別項目を参照。

ロバート・ナイチンゲール

元FBIエージェントの男。
本作の大部分は彼が集めていた資料からの抜粋である。

『Alan Wake』本編では「何故かアランに執着する妄想症で酔っ払いの無職のおっさん」という印象しか無いが、本作では彼が遺した手記とインタビュー記録によりその心情や動機が断片的とはいえ明かされており、印象は大きく変わる。
詳細は個別項目を参照

+ 彼の手記・インタビュー記録に登場する人物
手記に登場。
手記の中ではナイチンゲールに対し敵意剥き出しだったというが、サラ本人はクレイの取材に対し「(ナイチンゲールは)極めて友好的かつ協力的」だったとのこと。
『Alan Wake』本編で明らかな通り、「極めて敵対的」だったのが正解である。
なお父親のフランク・ブレーカーは現在リンゴ農家だが、かつては政府の機密機関「連邦操作局」の捜査部門エージェントであった。

ナイチンゲールとすれ違った「ランプおばさん」。
ナイチンゲールから「ディオゲネス*5女子」と呼ばれた。

  • フィン
ナイチンゲールのかつてのパートナー(同僚)。
とある事件で不可解な死を遂げ、フィンの死が描かれた原稿を見つけたことでアランを「黒幕」だと思うようになった。

「身元不明の対象者」として紹介された。
誰かと揉めていたところをナイチンゲールに仲裁されるが、彼を突き飛ばして逃走した。

  • ポール・ランドルフ
トレーラーパークの管理人。
『Alan Wake』にてローズのトレーラーに押し入り何時間も出てこないアランとバリーを不審に思い通報したが、保安官代理たちとともにやってきたナイチンゲールの銃撃戦に巻き込まれ死にかけた。

本作ではその後に行われたインタビューの書き起こしが記載されているが、ナイチンゲールを「酔っ払い」だと非難していた。

『Alan Wake』では闇に触れられて正気を失い、アランとバリーを自宅のトレーラーに呼び寄せてコーヒーに睡眠薬を盛った。
後にポールの通報でやってきた保安官代理たちに保護されたが、本作ではその直後に受けたインタビューの書き起こしが記載されている。

闇に洗脳された影響で終始質問に集中できていなかったが、好意を寄せていたラッセル・"ラスティ"・ジョンストンを心配する発言をしていた。

ローズと共に保安官代理たちに保護された後、ナイチンゲールのインタビューを受けた。

国家権力を盾に脅すナイチンゲールに対し毅然とした態度で対応しており、実は無職のニセFBI捜査官であるナイチンゲールは強くでられなかった。

  • パット・メイン
地元ラジオDJ兼パーソナリティ。

『Alan Wake』ではラジオ局にやってきたアランに取材しようとしたところをナイチンゲールに襲撃されたが、本作ではその直後にナイチンゲールから受けたインタビューの書き起こしが記載されている。

終始ナイチンゲールを嫌悪する態度を見せた。

アランがコールドロンレイク・ロッジにいると考えて敷地内にやってきたナイチンゲールとのインターホン越しの会話の書き起こしが記載されている。

人間キャラクターとしては『Alan Wake』作中最大の悪党なだけあり、興奮状態のナイチンゲールに対し終始冷静に対応し、門前払いした。


エミル・ハートマン

アーティスト専門療養所「コールドロンレイク・ロッジ」の院長である心理療法士。

本作では彼が出版した『創作家のジレンマ』の一部が転載されている。
なお、レメディー・ユニバースでは作者含めて人気の書籍らしく、『Control』ではフレデリック・ラングストンがサインを貰おうとしていたり、『ブライトフォールズ(短編ドラマ)』では上司からの頼みでジェイク・フィッシャーからサインを求められていた。

ハートマン自身に関する詳細は個別項目を参照。

◇コンラッド・ブレーカー

ブライトフォールズ保安官サラ・ブレーカーの祖父。

本作では彼の論文『ブライトフォールズ:その歴史』が転載されている。
論文ではブライトフォールズで確認された様々な怪奇現象を纏めており、その中には不吉な黒い鳥らしき「夜に舞う不気味な黒い鳥の群れ」や闇に支配された者らしき「シャドーマン」についても記述されている。

原稿について

本作ではナイチンゲールが集めていた、『Alan Wake』本編には未登場の四枚の「原稿」が掲載されている。
なお、これらのアラン・ウェイクにより執筆された原稿は『Control』にて変貌アイテム*6「タイプライターで打ったページ(AI83-KE)」に指定されている。


+ 原稿の簡単な内容
  • 1ページ目
マギーという26歳になったばかりの女性が闇に支配される様子を描いた原稿。

付着していた土によりラバーズ峠付近で発見されたと判明。

  • 2ページ目
怪奇現象を究明しようとするエレンという中学生が闇に包まれる様子をや描いた原稿。

森の中で半分土に埋まっていた状態で発見された。

  • 3ページ目
闇に支配されたキャビンの中で電気スイッチを探して足掻く女性と、キャビンの外を呑気に歩く老夫婦の様子が描かれた原稿。

エルダーウッド自然遊歩道沿いにある「旧支配者」の名で親しまれる木の傍で発見された。

  • 4ページ目
ブレインという男がアサコという日本人の妻、東京からやってきたアサコの両親と共に休暇を過ごしていると黄昏の空が突然真っ暗になる様子が描かれた、下半分が破れた原稿。

無人のRV車の近くで発見された。


資料について

ナイチンゲールが集めていたその他の資料。
アラン・ウェイクのみならず、様々な時系列の資料を集めていたが、クレイにその真意は読み取れなかった。

  • ブライトフォールズレコード(1970年7月20日)
地元紙の切り抜き。

ブライトフォールズ近くにあるカルデラ湖「コールドロンレイク」に浮かぶ島「ダイバー島」が湖底火山の噴火により消失した事件が抜粋されている。

記事を書いたのはシンシア・ウィーバーで、『Alan Wake』の最初のボスとして印象深いカール・スタッキー(「明朗会計!」の人)のインタビューも載っている。  

  • ブライトフォールズレコード(1970年7月11日)
上記の噴火の10日前にダイバー島の住人であるバーバラ・ジャガーがコールドロンレイクで溺死したことを追悼する記事。

全ての元凶となった事件であるが、ナイチンゲールが何故この記事に興味を持ったかは不明。

  • 『ニューヨーク タトラー』(2006年1月14日)の記事
アレックス・ケイシーシリーズの最終作『サドンストップ』を発表したばかりのアランが報道カメラマンのヴィンセントに暴行を働いた上にその場から逃走した容疑で逮捕状を出された記事の切り抜き。

  • ブライトフォールズの未解決事件の警察調書
ワシントン州ブライトフォールズ・レッドウッド・プレイス34番地で起きた未解決事件の供述調書。
マリガン保安官代理により執筆された。

アンドリュー&サラ・デイビス夫妻が闇の存在と思わしき「黒い竜巻」に飲まれて消息不明となった事件。
近所に住むジャネット・ショール夫人により通報された。

  • 米国司法省からの返答
こちらはナイチンゲールではなくクレイが送った情報公開要請の返答。

ナイチンゲールがパートナーの不可解な死により異常をきたしたことが明かされる。

  • ダイバー島の写真
「不吉な黒い鳥」らしき生物が映り込んでいる。

  • ダイバー島の別の写真
右下の水中に、「謎の黒い生物」が映り込んでいる。

余談

本書は現実世界とRCU世界の両方に存在する、謂わば「メタ構造の作品」と言える。

なお、RCUでは現実世界と架空の世界の両方に存在する「メタ構造の生命体」や「メタ構造の宇宙」が割と頻繁に登場するため、ストーリーをややこしくさせる要因となっている。



追記、修正は妻子とよりを戻して光を取り戻してからお願いします。

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最終更新:2025年07月20日 16:58

*1 フランク・ブレーカーの父親

*2 因みに『Alan Wake』でもこの換気口は確認でき、資料がはみ出ているのが見える

*3 処女作

*4 アレックス・ケイシーシリーズの一作

*5 古代ギリシアの哲学者。昼間にランプを灯していた

*6 制御不能の超自然的なアイテム群