登録日 :2025/07/21 Mon 09:40:32
更新日 :2025/09/21 Sun 13:08:44NEW!
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荒川弘 先生
「北海道のヒグマの大きさ知ってると、本州のツキノワグマなら戦って倒せる気がするよ」(鼻歌)
ご友人
「いやそれ錯覚だから!気がするだけだから!」
ツキノワグマ (月輪熊、学名: Ursus thibetanus)は、哺乳綱食肉目
クマ 科クマ属に分類される食肉類。
🌙概要
ツキノワグマは日本や中国、朝鮮半島からロシアにかけて分布している。
以前は日本のものだけをツキノワグマと呼び、大陸のものはヒマラヤグマと呼んでいた。
だが、両者が同種とわかり、日本産は亜種のニホンツキノワグマと呼ばれるようになったという経緯がある。
そのため、現在でもこの別名が使われることがある。
名前の通り胸に三日月状の月の輪 を思わせる模様を持つ のが特徴で、体毛は黒い。
◇形態
体毛や体型にはバリエーションもあり、赤みがかった個体や茶色みがかった個体もいる。また、東南アジアのツキノワグマには金色の毛色の個体まで確認されている。
トレードマークの月の輪の存在しない個体(ミナグロ )も存在する。逆にヒグマにも月の輪を持つ個体も存在するので必ずしもツキノワグマだけの特徴という訳ではない。
また、ナマケグマやマレーグマにも形状や色は違うものの月の輪が存在する。
クマ科全般に言えることだが、肩甲骨が発達しているため中にはヒグマを思わせる広い肩幅を持つ個体もいる。
骨格的にはヒグマとの強い類似性が指摘されており、大きさ以外の特徴では同定できないといわれている。(現在はDNA鑑定がある。)
ロシアにおける比較研究では相違点も指摘されている。ツキノワグマはヒグマに比べて華奢であることやツキノワグマはカギ爪が短い、などである。
ツキノワグマの子熊はマレーグマに骨格が近いという指摘もある。
◇大きさ
日本にいる個体群は平均体長120cm〜140cm。体重70〜120kgほどとされ、一応はこれでも比較的小柄な部類。
それでも体長160cm、体重150kgクラスは日本でも普通に見られるとされており、大きい場合では、体長165cm、体重200kgに至ったという記録も存在する。
また、更に寒いロシアでは体長180cm体重250kgにもなる巨大な個体が確認された事例もあるという。
4歳からが成熊のラインだが、オスは15才くらいまでは体が成長する。
十代後半辺りから急激に衰え、20歳手前辺りに寿命を迎えるというケースが多い。
《日本での一般的な大きさ》
国産ツキノワグマの場合、北海道のヒグマなどと違い体長は背中に這わせるのではなく鼻先から尾の付け根まで直線であるため体の凹凸分小さな数字になる計り方をしている。
また、学術調査や行政の計量では100kgが上限の体重計を用いているため、それ以上重い個体は100kg超として一括りとなる。
なので、国産ツキノワグマの場合、大きさはかなり不明瞭 である。
とはいえ、100kg以上の個体でも勿論具体的な記録はあり、駆除された個体の年齢などの詳しい記録も公表している場合がある。
例えば
山形県 と
富山県 によれば、概ね成熊の平均は
性別
体長
体重
身長
オス
140cm
90kg
180㎝
メス
130cm
70kg
170㎝
ほどである模様。
オスの成熊であれば100㎏は中堅サイズである。
ちなみに山形県の記録は冬眠明けの痩せた時期、それも4〜5歳のやや年若い個体が多く、若干小さめな傾向となる。
両県ともに体長なら170cm体重なら180kgという記録もある。
こういった資料を見る限り、
性別
体長
体重
身長
オス
130〜160cm
70〜150kg
160cm〜2m
メス
120〜150cm
50〜100kg
150㎝~190㎝
ほどが「現実的に遭う可能性があるサイズ」 と言えるようだ。
《1m熊とは》
巷では体長1m程度の大型犬サイズのツキノワグマの出没が相次いでいる。
この1m熊は体長110cm程度の子熊が角度によっては1mに見えるのものであり、母熊からはぐれた可能性もある 。
ただし、この1m熊は目撃事例も多く、成人男性の重症被害も多い。決して「子熊」で片付けられるシロモノではない。
この1m子熊は母熊から卒業するかどうかといった2〜3歳の個体 である。
このくらいの個体が出没の中心であることは熊同士の生存競争が激しいことの証左であることはニュースでも報道される通りである。
1m子熊が母熊になる現象は昔のクマ牧場のように熊が密集して生息している場合によく起こるそうである。
つまり、生存競争が激しいだけでなく熊口密度が非常に高いことが伺われる。僅かなエサ場に熊が集中するのだろうか?
1m子熊は、人間の足に抱きついて太ももの動脈を狙うケースが多く、重症死亡事故に繋がりやすい と言える 。
十和利山熊事件においても、体長80〜90cm程度の子熊が人を襲って話題になった。下記に映像記録などもあり、バズった熊襲撃事件においてもこのサイズのツキノワグマが主役になっている。
ツキノワグマにしては小さくとも他の猛獣と比較すると十分すぎる体格を持っているケースも有る。
体長
予測体重
成長具合
危険度
体格の近い猛獣
50cm
10〜20kg
1歳ほど。間違いなく母熊からはぐれた個体である。
成人男性に重症を負わせた例もある。
体重的にはオオヤマネコ、ニホンオオカミ、フォッサなど小型の猛獣に匹敵する。
80cm
20〜30kg
1~2歳。母熊からはぐれた可能性が高い。卒業試験のような形で人間を攻撃する場合もある。極稀にこのくらいのサイズの母熊がいる。
首に噛みつくなどすれば、人狩りも十分に可能なサイズ。
体重はユキヒョウに近い。
1m
30〜50kg
2~3歳。母熊から卒業したかどうかの個体。卒業試験で人間を襲う場合もある。
ナイフなどがあっても押し切られる可能性が高く、人狩り熊化したケースも有る。
ヒョウ、ピューマ、エゾオオカミ、ハイエナなどメジャー級猛獣のサイズである。
120cm
50〜70kg
3~4歳。亜成獣熊。母熊から卒業してすぐの個体である。小型のメスグマのサイズでもある。
猟銃でも仕留めきれない可能性がある。人間の一撃必殺が可能なライン。乗鞍岳の犯人熊や十和利山で人肉が検出されたメスグマがこの階級であり、有名な個体が出てくる。
ブチハイエナやアムールヒョウなど大型のヒョウ。マレーグマもちょうどこのサイズである。
ツキノワグマの子熊をヒグマのレコードサイズと比較する場合が多くわかりにくいが、体長1mは体重的にはメジャー級猛獣のサイズ である。
このあたりから人狩り熊 の例が出てくるサイズでもあり、すぐ上の階級に乗鞍岳犯人熊がいることから、大規模被害に繋がりかねない猛獣であることは覚えておきたい。
《巨大個体の記録》
●日本記録級
1993年春、
長野県 秋山郷にて
冬眠明け直後にして体長240cm体重210kg にもなる巨大な個体が捕獲された。
長野県と新潟県の県境に里を構えるマタギの春熊猟により捕獲された。
狩猟された当時、この熊は、人間の足がくるぶしまで埋まるほど大きく深い足跡を付けながら残雪の中を歩いていたとされる。周りは人払いならぬ「熊払い」をしたかのように他の熊がいなかった。
マタギによれば大熊には2タイプあり1つは10歳前後の壮年熊で、筋肉質で動きが早く頭がキレ、人間の裏をかくこともあるような個体である。今一つが10代後半の老人熊で肥満体型、ヨタヨタと歩き頭も鈍っている個体である。この熊は典型的な後者だったようである。
体長は鼻先から尻尾の付け根までで計測や狩猟には研究者が立ち会った。
恐らく日本最大 のツキノワグマだろうと推測される。
体長が大きいことに加え、痩せた冬眠明けの時期での唯一の200kg級であるためである。
体重の測定値ならこれ以上の例はいくつかあるが、いずれも10月以降のメタボ期である。
冬眠前には300kg級と推定され、ヒグマと比較しても巨大な部類になる。
近縁種のアメリカクロクマに体長2.4m体重推定470kg級の例があるが、ロシアやチベットの大型ツキノワグマもそのくらいのサイズになっていておかしくない。
国産ツキノワグマで300kg級は、十二分にあり得る数値である。動物園の冬眠実験では冬眠前から冬眠明けで3割体重が減少する。この熊の体重210kgを0.7で割ると確かに300kg級なのである。
産地
大きさ
捕獲時
備考
秋田県
237㎏オス
2020年代秋
マタギYouTuberが捕獲。体長目測2m。
秋田県
180㎏メス
2020年代秋
マタギYouTuberが捕獲。体長目測180㎝。
産地
大きさ
捕獲時
備考
岩手県
200kg級
2021年7月
有害駆除。詳細は不明だが、もし本当なら本項目冒頭の長野県の個体より更に大きい可能性がある。冬眠前には400kg級 の可能性すらある 大熊である。
200kg超えの巨大個体が2023年10月にニュースになる。
VIDEO
なお、国産ではないが最も巨大な亜種であるチベットツキノワグマだと体長2.5m体重318kg の例もある。
《体重の季節変動》
クマは冬眠中に痩せるため、冬眠直前から明けるまでに体重が3割減少すると言われている。
また、オスの場合は夏の繁殖期になると食事そっちのけでメス探しとオス同士での喧嘩に励むため更に痩せていく。
ちなみに冬に見かける個体は、何らかの理由で冬眠し損ねている場合が多い(通称:穴持たず)のでやはり痩せる(そして殆どは空腹や寝不足で機嫌が悪い)。
なので、冬眠直前が一番体が重く、真夏になると体重もその半分近くまで痩せることになる 。
そのため、ツキノワグマの体重については計測された時期もかなり重要である。
(例えば、上記のように冬眠前なら300kg 前後の大台にも乗っていた可能性も推定されている。)
●季節変動の一例
あくまでも別個体ではあるが体長や性別(オス)が揃っている。
季節
体長
体重
4月
160㎝
74㎏
6月
157㎝
80㎏
8月
162㎝
92㎏
9月
162㎝
130㎏
10月
165㎝
200㎏
同じ体長でも倍ほどの体重差があることがわかる。4月から9月は一般に痩せている。
《ヒグマとどの程度違うのか》
ヒグマはツキノワグマよりはるかに大きくなることが知られている。 3m500㎏はさすがに大げさとしてもヒグマがツキノワグマとは比較にならないほど大きいことは紛れもない事実である。
学術調査や狩猟の結果である。
性別
体長
体重
備考
オス
153㎝
150㎏
狩猟で得られた平均
メス
137㎝
110㎏
狩猟で得られた平均
比較的小柄とされる道南のヒグマだがそれでもこのサイズである。猟期の平均であるため多少メタボと考えられるがエゾヒグマの平均がツキノワグマやゴビヒグマの大型に匹敵する 。
オスヒグマの平均が120~200㎏ とするデータも存在する。ツキノワグマなら伝説級がモブ感覚で いるのは間違いないだろう。
平均的に見ると日本人とオランダ人 のような感覚だろうか。
次に大型である。
性別
体長
体重
備考
オス
180㎏
学術調査における最大級の一例。「オスの大熊」と称されていた。北海道の9月なのですでに太る時期である。
オス
195㎝
405㎏
冬眠明け。NPO法人の計測
オス
130㎝
60㎏
NPO法人により放獣。6歳なのでまあまあ育ったオスグマ
メス
180㎝
160㎏
北海道最大記録
メス
140㎝
97㎏
有名なピザで餌付けされた個体。7~8歳とメスとしては育った個体
小型個体も入れた。放獣された6歳オスは平均的なメスのツキノワグマと比較してもちょっと情けないサイズである。個体個体で見るとこういった例もあるのだろう。
とは言えガリガリが多くかかる学術調査で180㎏のオスグマがあっさり捕まるのは圧巻 である。ツキノワグマの学術調査における最大は130㎏級であるため50㎏程差がある ことになる。一般人とラグビー選手くらいには体格差があるだろう 。
伝説級同士を比較するとヒグマは冬眠明け405㎏であるため上記の冬眠明け210㎏のツキノワグマの二倍近い巨体である。 ただしヒグマはがっちりした体系のようでツキノワグマのほうが体長は少々大きいようである。
◇豆知識
かつてはニホングマ と呼ばれていた。
金太郎 と相撲を取った熊も分布地的にこの種だと言われているようだ。
水戸黄門を助けた熊もやはり分布地的にツキノワグマとされている。
青森県 に移住した津軽アイヌと呼ばれる本土アイヌからは「キムンカムイ」と呼ばれイオマンテ(熊祭り)の対象だった。
かつてはニホンオオカミ と共に日本の主要な猛獣として知られ、人畜に被害を与えた際は「熊荒れ」 「狼荒れ」と呼ばれていた。
長野県 には「鬼熊」 と呼ばれる熊の妖怪が伝承されている。年を取った熊が妖怪化したもので、夜な夜な家畜の馬などを食害するようだが、下記の家畜被害を見る限り妖怪化の前後で行動が変わっていない ようである。単にツキノワグマの大型個体を鬼熊と呼称しただけかもしれない。
🌙戦闘力
◇概要
クマとしては確かに小柄の種類とはいえ、日本の本州においては事実上生態系の頂点に立つ肉食獣である。
「ククク…奴は日本のクマの中でも最弱 」というのも嘘ではないが、日本国内では比較対象がヒグマしかいないため数値上はあちらに劣るというだけに過ぎない。
そもそも分布域は綺麗に分かれているので、本州以南ではヒグマと比べてもあまり意味はない…。
尚、小柄なだけあってか非常に敏捷性が高いという長所もあり、移動力もある。寧ろ、活動範囲の広さ故に脅威となるケースも挙がっている。
2024年12月の秋田県のスーパーでは、ツキノワグマが立て籠もった際特注クマスーツをはじめ完全武装の
機動隊 が対応に当たったが、突入してクマを取り押さえるなどはできなかった。
石川県 などでもツキノワグマの立て籠もりが起きているが、やはり機動隊などが突入することはできず、最終的に猟友会によって駆除されている。
実はこの手の立て籠もりは他にも兵庫県や島根県など全国で発生している。
こういった市街地への乱入や立て籠もりは猟銃の発砲許可が別途必要になる。
警察官は格闘技や逮捕術のプロであり、機動隊員にもなれば一人ひとりが「達人」といって良い。格闘技で勝てるならまさにそのタイミングである。
しかし、下記の戦闘力を考えると
運動エネルギーで大きな衝撃を受ける。
機動隊のヘルメット越しにでも大きな振動を受ける。
クマスーツで爪や牙などは通らずとも筋肉を断裂させる。あるいは骨をへし折る。
ジャンプ力で頭上を飛び越える。
などが可能であり、機動隊と言えど猟友会のバックアップに徹するしかないのが実情である。
というか、猟友会の協力無しには小熊の対処すらままならないのが実情である。
VIDEO
《攻撃力・生命力》
●攻撃力
体長1メートルほどのメスグマでも成人男性のふともくらいの生木をへし折ったり猪用の檻の鉄格子を引きちぎるのは余裕であるため、小柄な分むしろ捕まえ辛く厄介という考え方もできる。
ジャンプはやや苦手なようだが2.5メートルの高さに届くため、体長50cm程度の小熊に跳びつかれて大人が失明させられた事例も複数存在する。
牙で1cm弱程度の鉄の棒は切断することが可能。
熊爪はただ付いているだけではなく、神経が通っているため 、人間がウルヴァリンの爪を装備した時よりは遥かに器用に動くだろう。
●生命力
頭に20発の散弾銃 の弾が入っていても元気に暴れていた事がある。
子連れの母熊の場合胸に2発猟銃を打ち込まれても数日生きて走っていた事がある。
トンカチ、金属バット、ピッケルなどでたたかれていても元気に走れる。
二階くらいの高さの木から落ちるくらいは日常茶飯事であり気にも留めない。
貨物列車と接触事故を起こして打撲で済んだ ケースがある。
《余談》
熊爪や牙による筋肉や血管の断裂はマッチョな人ほどハイリスク である。
マッチョな人ほど断裂する筋肉量が多く血管が太く、血流も多いためである。
また、筋肉が断裂すると物理的に動けなくなる上、傷完治後も運動能力低下などの後遺症のリスクがある。
同様に血管が太く、血流の良い人ほど出血が多くなる。出血が多くなると当然死亡リスクも高くなる。
格闘家やアスリートなどは普段から大きな衝撃を受けているため疲労骨折もしやすい など筋肉が発達しているが故の弱点も多い。
◇パンチ力
日本ツキノワグマ研究所の米田一彦氏によれば、ツキノワグマのパンチ力は
80kg以上のオスと100kg以上のメスは人間の頭部を破壊して一撃必殺可能
であるとのことである。
十和利山熊襲撃事件 における
スーパーKは84kgとギリギリでありながらヘルメットごと被害者の頭部を破壊していた。また、このサイズのオスのツキノワグマには体重200〜400kg級になる成豚の食害例も複数あるため、人間の力の及ぶところではないだろう。
乗鞍岳のケースにおいても、腕でガードした上で被害者は頭蓋骨を剥ぎ取られ、衝撃で目玉が飛び出していた。犯人熊が60kg級の小型、超高齢、殺意のない攻撃であることを加味すれば、50kg級のメスグマでも一撃必殺の可能性が出てくる 。
このサイズのメスでもサフォーク種という千代の富士並の体格の羊を捕食した事がある。
ツキノワグマのパンチ力はせいぜいボクサー並みというデータも存在する。
ただし、こういった測定値は大抵動物園の個体に餌か何かを与えてやらせたケースが多い。
動物園の動物は基本どんなに怠けていても、餌は十分もらえるためこういった測定には本気を出さない場合がほとんどである。
例えば本来は時速120㎞のチーターでも動物園の計測だと時速65km程度という記録も存在する。
ただ、これを鵜呑みにしたのでは時速90Kmのインパラは捕まえられないことになり明らかにおかしい。
ちなみに野生個体だとボツワナでチーターに加速度計を付けて測定した実験では、最低でも時速96kmの最高速度と120W/㎏の出力質量比を叩き出した。
また餌をもらうためのパンチと敵意が明確にある時のパンチでもまた異なってくるだろう。
そもそも、格闘技の試合やサッカー選手の乱闘が証明しているが、ホモ・サピエンス最高出力の顔面ハイキックですら対人で打撲止まりである。熊爪を仮に足につけてもこうはならないだろう 。
また、当該データによればオスのヒグマのパンチ力はわずか1t、ボクサーのキック力のわずか半分 である。
◇運動エネルギー
ツキノワグマ、
大谷翔平 、大の里の全力疾走の運動エネルギーを計算してみよう。
体重
時速
運動エネルギー
ツキノワグマ
50kg
50km
81×10⁴J
大谷翔平
95kg
33km
67×10⁴J
大の里
190kg
22.5km
63×10⁴J
50kgと小型もしくは亜成獣熊を想定したがそれでも大谷選手より運動エネルギーが大分大きいことがわかる 。体重の大きな大の里が以外にも運動エネルギーが比較的小さいが、これは体重は1乗に対し速度は2乗されるためである。
さらに、ただ運動エネルギーが大きいだけでなく1点に集中してくる。 大谷選手の全力疾走を優に超えるエネルギーが顔や胸腰膝などに集中するため、タックルの一撃でも人間には重大な一撃になることは間違いない。
一般的にスポーツ選手の記録は整備されたフィールドで装備とコンディションを整えた上でのものなのに対し野生のツキノワグマの記録は山道を全裸で雑に走ったときのものなのでそのあたりも違いが出るだろう。
また、ツキノワグマの体重は上記の通り50kgがボトムであり、新潟では車と並走した例もあるため実際には上記より幾分大きな運動エネルギーになることが予想される。例えば80㎏のツキノワグマが時速60㎞で走れば運動エネルギーは187×10⁴Jと大谷選手の3倍近くなる。
◇ツキノワグマはまだ本気を出していない
ツキノワグマの場合死亡事故はせいぜい数%に留まる。
また、被害の約半分が軽症である。
ちょっとやる気を出したら頭蓋骨が剥ぎ取られるツキノワグマにして死亡事故が少々いや、少なすぎである。
しかも、70代以上のおばあちゃんが大半が軽症である。90代のおばあちゃんが襲われたケースも追記者が確認した事例は全て軽症である。
中には90代のおばあちゃんが15箇所噛まれて「軽症」という例もある。
ニュースなどでも熊棚を作る際太い枝を割り箸感覚でへし折るという話はよく出る。
鉄の檻を引き裂いたという話もお約束である。
人間を熊爪で殴った場合、死なないほうがむしろおかしいのである。
しかしながら、ツキノワグマの被害で頭蓋骨骨折の事例は少ない。また、死亡事故についても人狩り熊がやる頭蓋骨を一撃で破壊する事例はほとんど無い。
要するにツキノワグマは本気を出していないのである。
クマの器用さはサーカスなどでよく知られるところだが、野生のツキノワグマも日常的にその器用さを発揮しているようである。
手加減して格闘に付き合い、負けたふりをするのは有名なヴォイテクが得意としていたことである。
少なくとも、日本のツキノワグマにおいても「手加減」はお手の物のようである。
戦うのが推奨されないのはせっかく接待プレイをしてくれたツキノワグマに顔や首腹などのバイタルを曝すことになるからである 。
ツキノワグマが「襲ってきた」事例のほとんどは下記で詳しく述べるが、接待プレイで敵意が無いことは記憶しておきたい。
🌙食性
◇野生下において
《概要》
どんぐり食のイメージがあるがこれはどんぐりの実がなる秋だけである。
基本的に食性については個体ごとの「好み」による部分も多く一概には言えない。
…とはいえ一応一般論のようなものは研究されている。それによると
季節
食性
備考
春
ブナの新芽や去年の秋に落ちた堅果類(どんぐり)の残り、木の芽、凍死した鹿やカモシカなど有蹄類を食べる。
夏
初夏には鹿の新生児狩りやアリ・ハチなど昆虫類を多く食べる。他にヤマグワの実もよく食べる。
シカのほかに猪なども獲物にしているようである。
秋
ご存知どんぐり(堅果類)他に栗もよく食べる。
下記のカモシカ狩りは秋であるためこの時期でも堅果類が全てではないようだ。
が主な食性であり、季節ごとに得られる物を食べている。
…が魚が安定して捕れる池などがある場合魚しか食べない個体もいるなど実は好き嫌いが激しい生き物でもある。
最近ではここに罠に掛かった鹿やイノシシを襲うパターンが加わっているため、肉が好きな個体は肉食率が高くなっていることが予想される。
ツキノワグマは堅果類の種子散布の役割を担っていることが最近判明した。
これはクマの生態系ニッチを明らかにした画期的な研究で北欧でヒグマを研究しているクマ研究者も興味を持ったそうだ。
この他にツキノワグマに限った話ではなくクマ全般の生態であるがツキノワグマ同士で共食いをする。
特にオスは自分より年下の若いオスを食べたり既に子のいるメスと交尾する為に子を殺し食べてしまうケースも珍しくない。
《カモシカの捕食者としてのツキノワグマ》
草食寄りとされる場合が多いが、勿論肉も食べる時にはきっちり食べる。一般的に冬眠明け〜初夏にかけては腐肉食もしくは子鹿狩りで肉食性が高い傾向にある。
鹿やカモシカ、猪といった草食獣の捕食に加えて牛や豚など大型家畜の食害例も存在する。実際に岐阜県などを調査した海外の研究者もカモシカの捕食が複数回確認されていて、「カモシカの唯一の捕食者」 とされている。
滋賀県 で野生のツキノワグマがカモシカ狩りをする映像がyoutubeで公開されているが、ツキノワグマの食肉目としての1面を垣間見ることができる。VIDEO
兵庫県 では罠にかかった鹿を襲って食べるケースが頻発している。
↑鉄の檻を引き裂いて中にいる鹿を取り出した そうだ。
ニホンジカの新生児が産まれる初夏にはオスグマを中心に積極的に捕食するという調査もある。 これはニホンジカをエゾシカに変えればヒグマ同様の生態である。
炭素同位体の研究ではオスの大熊に肉食性の高い個体がいることが分かっている。
海外では水牛を捕食した事例が知られている。
他にも海外では猿や大型カモシカ、マレーバクやイノシシなど様々な動物の捕食例が知られている。
以上のツキノワグマの生態を踏まえると、種子散布と有蹄類の機会捕食者 の「両刀使い」が生態系におけるニッチとなるだろう。
機会捕食者で有蹄類の個体数調整に役立つのか?という疑念もあるだろうが、ツキノワグマはヒョウやオオカミなどに比べると体が大きく、食べる量も多い。
そのため、鹿の新生児やウリ坊を狩るのみといった程度の捕食者であっても、単体のニホンオオカミやオオヤマネコ程度には捕食者として機能する可能性がある。
《ハチの捕食者としてのツキノワグマ》
動物の肉以外には上の説明通りハチ(ミツバチ、スズメバチ)も食べ、自然下では地面のスズメバチの巣を掘り返したり自然のニホンミツバチの巣、養蜂場の巣箱を襲撃したりする。
毒に耐性を持つわけではないが、厚く頑丈な毛でハチの毒針を通さない為に毒に対しては大丈 夫なものの流石に無数のハチに襲われるのはクマにとっても大変なようで狩りの場面ではハチの攻撃で悶えるシーンが撮影されている。
それでも草食動物を追い掛け回すより少ない消耗で大量のタンパク源やカロリー(ハチの幼虫や蛹、ハチミツ)を手に入れられる為 にめげずにパワーで押し切って巣を破壊する。
特に蜂蜜に関しては、複数のツキノワグマが蜜の残り香から既にミツバチのいない自然の木の古巣を見つけ蜂蜜を求めて頭を突っ込み続けた結果大穴を空ける程でクマのイメージ通り大好物。
巣ごと蜂を食べる天敵はそうそう存在しない (他は人間やハチクマ程度)為か遺伝子レベルで敵として刻まれているようでスズメバチの「黒色に興奮する」という生態もこうした天敵関係が原因となっていると考えられている。
《ツキノワグマはどの程度捕食者として機能するのか》
ツキノワグマとニホンオオカミやオオヤマネコの間には約5.3倍の体重差がある。また、食べる量も体重比通りと仮定しよう。
ロシアでの調査ではツキノワグマは85%草食とされている。つまり15%が肉食である。これが国産ツキノワグマにも当てはまると仮定する。
一方ツキノワグマが食べる量の5.3分の1(ニホンオオカミやオオヤマネコが食べる量)は18.9%である。
かなり雑な推定だが、概ねツキノワグマの肉食量は単体のニホンオオカミやオオヤマネコと同等程度と言えるだろう。
ネックになるのは肉食に計上される昆虫、魚、スカベンジャーの比率がツキノワグマの場合かなり大きいだろうということである。無論ニホンオオカミやオオヤマネコも昆虫食やスカベンジャーはするのだがその割合は大きくは無いだろう…
いずれにせよ、体格差を考えればツキノワグマでも中型捕食者程度には機能する可能性が示された。
下記のように、ツキノワグマの場合体格が大きいため大猪狩りなども可能と考えられるため、こういったニホンオオカミには多分難しい捕食者ニッチも考えると死神代行 「ニホンオオカミ代行」くらいにはなる可能性がある。
また、上記の通りオスの大熊に肉食性が強い個体が多いことがわかっている。ここから考えてみよう。
「オスの大熊」と言っても100kg級から240kg級まで幅広い記録がある。ピラミッド型の分布と考え130kg級を平均としよう。
肉食率は上記の15%の倍30%ほどとする。
130kg級の30%は40kg級になり、これはヒョウやピューマ、チーターなどに匹敵するサイズである。
次にオスの大熊の数を推定しよう。2万匹と推計されるツキノワグマのうち半分がオス、8割が成熊と仮定する。
栃木県での調査ではオス成熊47匹中11匹(23.4%)が100kg級以上だった。学術調査には小物やガリガリばかりかかることや痩せる春夏の調査であることを加味してオス成熊の35%ほどが100kg級以上としよう。
2万×80%×50%×35%=2800匹
以上をまとめるとツキノワグマのオス大熊は肉食獣としてはヒョウやチーターなどに匹敵し、その数は2800匹である。言い換えるとヒョウやチーターが日本には2800匹ほど生息しているという事でもある。
オス大熊は体格が肉食動物としては規格外サイズのため、肉食率3割と控えめな予想でもメジャー級肉食獣に匹敵する結果となった。また、100kg級以上はさほど珍しいサイズではないため、オス大熊のみに捕食者としての役割を求めても十分な個体数が確保できる。
アジアのチーターは生息数80匹、アフリカまで合わせた総数も7000匹程度である。近縁種のヒョウも各国で数十〜数百匹である。
1匹1匹の肉食率は小さくとも、ツキノワグマの場合、生息数が最低でも1万匹と推計されるため、数で挽回できる可能性がある。日本の本州にヒョウが100匹いたとしよう。これはアムールヒョウの生息数と同等である。一方ツキノワグマは推計の下限である1万匹とする。
ツキノワグマが月1匹の鹿を狩るとする。ヒョウは狩りの名人であるが、獲物に恵まれない日やウサギを狩る日もあるため3日に1匹鹿を狩るとする。月にすると10匹。
ツキノワグマもヒョウも8割が成獣(成熊、成猫)とする。
1月に狩る鹿の数はツキノワグマが1万×80%=8000匹に対しヒョウは100×80%×10=800匹となりツキノワグマの方が10倍多いことになる。
これは、生息数と肉食量以外は条件を揃えたため、生息数100倍を肉食量だけで跳ね返す必要があるためである。 例えばヒョウ1匹が月に200匹鹿を狩るなら合計で月に16000匹鹿を狩ることになり、生息数を跳ね返すことができる。
また、この計算法なら肉食の比率は事実上無視できる。ともかく鹿を狩る実績をある程度コンスタントに出しさえすれば、後は数の力である。逆に言えば、絶滅危惧種の大型ネコに並ぶためには1/100の数の鹿を狩るだけでよいわけである。
ツキノワグマはあくまでも草食主体の雑食であるが、食肉目として、「狩りのための体」で産まれる。体が大きく生息数が多いことを活かして「捕食者の側面」を切り取ると中大型捕食者に匹敵することが示唆される。
◇家畜の食害
体格差も考えてか主に幼獣を襲うケースが多いが、
1999年栃木県 で体重90kgのツキノワグマが種豚(体重300kg級)始め複数の成豚を捕食した例もある 。
この個体が犯人熊とすると牙の色や牙が1本欠けていることから、かなりの年寄り熊と考えられる。
かなり痩せて毛艶も悪く、体長140cm体重85kgはこの時期のオスグマとしては平均的である。体長が大きくないが高齢と夏場でやせ衰えて平均ならば、かつては大熊だった可能性もある。好物の鹿肉を確保できなくなり豚を襲ったのかもしれない。
ちなみにニュース映像は子豚だが、食われたのが子豚とは明言されていないため200㎏超えの成豚の可能性が高い 。(子豚なら子豚という可能性が強い)
事件年
事件場所
被害
備考
2017年以降
秋田県
子牛の食害事件が頻発
秋田では牛豚を食われて廃農するケースも複数出ている 。
2007年
宮城県 仙台市
子牛が食害される。犯人熊は120kgの大熊。
食害されたのは巨大な肥育牛。
1997年
東京都
ジンギスカン用の羊7匹が食害される。犯人熊は50kg級のメスと60kg級のオス。
食害されたのはサフォーク種という千代の富士くらいの体格の大型羊
島根県
体長60cm体重20kgの子熊が金網を破って侵入し鶏を食害した。
鶏の食害と廃農は全国で例がある。
以上の事例などから自重の2倍から3倍程度の獲物は問題なく狩れる と思われる。
体重200kg級以上の豚や肥育牛を仕留めた事例から、オスの大猪や角の生えた雄鹿も捕食できる可能性が高く、ニホンオオカミとは違った捕食者ニッチを占めていると思われる。
🌙人食い
◇三毛別超えの熊害『八甲田山熊襲撃事件』
《概要》
日本最悪の獣害事件と言えば誰もが伝説の三毛別ヒグマ事件を思い出すだろう。
実は(江戸時代なのでランク外だが)八甲田山で三毛別ヒグマ事件の7人食害を大きく超える熊害事件が発生している 。
事件の詳細は「弘前藩庁護国日記」という行政記録に記されている。
1695年(元禄8年)7/11から1720年(享保5年)9/14までの25年に渡り、野良仕事や山菜採りなどで山に入った男性6人子供1人(性別不明)6〜22才の女性4人の計11人がツキノワグマにより食害された 。
被害の詳細には主に以下のものがある。
元禄11年3/21 宮崎村の48歳男性が薪取りの最中に熊に食われた。内臓と足は残らず食われていた。
元禄11年6/11 深浦吉屋町の50代男性がやはり薪取りの最中にクマに食われた。熊は遺体から離れずにいたため足軽2人と町民40人で脅かして遺体を回収した。腹、頭、腕が食われていた。
元禄12年4/29 山菜採りの18歳女性が食害された。腹が食い破られ、首から頭まで皮が剥がされていた。
元禄12年6/5 12歳の女の子が食害される。肩から肘までと足の肉が食われていた。
ほかに少なくとも5人の重軽傷ものが出ているため負傷者・行方不明者を合わせると被害規模は17人 になる。
加害熊の有害駆除は地元のマタギ13人に加え津軽アイヌと呼ばれる本土アイヌ4人まで動員した大規模なものだった。アイヌとマタギの共同駆除 である。
《犯人熊》
討ち取られたツキノワグマは体長160cm程度の超高齢の雄熊だった。立った時の身長は2m程度。
体重は記載が無いが、全盛期には150kg級だったと推定される。超高齢であることなど加味すれば100kgを割り込んでいる可能性も高く、オス成熊の平均である80〜120kg程だろう。
ほかにスーパーkほどのサイズの人食い熊も確認されている。
1連の人食い事件が25年に渡っていることから
十和利山熊襲撃事件 のように複数の人食い熊が関与している可能性が高い。もっとも、上述の雄熊が駆除された当時の人食いは当該熊の単独犯だったようなので母熊から人食いを教わったツキノワグマなのかもしれない。
十和利山でも人食いを覚えた子熊が未駆除であることが指摘されているが十和利山でももしかしたら…。
《余談》
一連の人狩事件が起こっていた25年間の間の被害状況が当時の行政記録から伺える。死傷者39人うち死亡者16人であり死亡率41%である。これは北海道のヒグマの死亡率17%の二倍以上の被害である。
ちなみに八甲田山事件の被害者を差し引ても死傷者22人中5人死亡であり、これはおよそ23%でありやはりヒグマより死亡率が高い。
◇戸沢村の人食い熊
1988年戸沢村で男女3人がツキノワグマに食害される事件が発生している。
明治以降では最初と思われるツキノワグマによる大規模人食い事件である。
以下は事件の概要である。
《被害》
5/25 タケノコ採りの男性(61)が深夜に遺体で発見されたが熊が遺体を保護していたため収容は翌日になった。尻から足を食害され失血死と見られる。
10/6 クルミ採りの女性(59)が朝、遺体で発見される。胸と手足が大きく損傷するほど食われていた。第1現場から500m先の地点である。
10/9 家族で栗を拾っている最中に熊と遭遇。女性(61)が襲われた。尻から足を広く食害されていた。第2現場からさらに5km先の地点である。
被害者全員が下半身を切り裂かれ絶命していた。これは母熊から卒業したかどうかの子熊による犯行の特徴である。
《犯人熊》
第3事故の直後、猟友会員が現場付近で彷徨いている熊を発見して駆除した。
胃が栗でいっぱいにも関わらず胃の上部には人肉が詰まっていた 。つまり満腹にも関わらず人間を襲って食害していたことになる。
犯人熊は単独犯で体長140cm体重84kgと10月にしてはげっそりとした4歳ほどの若いオスグマである。
体格や年齢それから3人を食害したことなど、スーパーkのコピーのような犯人熊 である。
一方でスーパーkが頭部を一撃して被害者を絶命させていた(成熊の攻撃パターン)のに対し戸沢村犯人熊はまるで子熊のような攻撃であるという違いも見られる。
上記のような行動パターンや秋にも関わらず痩せていることや頭蓋骨に損傷があることなどから精神疾患をはじめとした疾病説 が専門家から出ている。
《余談》
本事件を調査した米田一彦氏は犯人熊が移動する という教訓を得て警鐘を鳴らしていたが行政が本事件をそもそも知らなかった ため、同様の移動が発生した十和利山で教訓が生かされなかった。
ツキノワグマの重大事件はとにかくタブー視されるがその弊害が出たのが十和利山事件と言えるだろう。
◇小規模事件
上記以外の単発の人食い事件に以下の事例がある。
被害年
場所
被害
備考
1949年
石川県
30代女性食害
1969年
福島県
30代男性食害
1979年
秋田県
30代男性食害の可能性あり
このケースは「腹をえぐられた」という表現で記事になった。これは内臓などを食害された際の婉曲表現である。一方、この青年は「重態」つまり当時の医療では長く保たないが一応息はあったとのことである。近縁種のアメリカクロクマには被害者が意識のある状況で食害に及んだケースがあるものの、「可能性あり」という表現にした。
1983年
秋田県
40代女性食害
犯人熊は体重わずか40kgの母熊である。熊研究者からも「母熊にしては小さすぎる」と言われているため栄養失調に耐えかねて犯行に及んだと考えられる。
1989年
福井県
70代女性食害
2000年
山梨県
60代男性食害
犯人熊は120kg級のオスグマ。海外の研究者により詳細が調査され、論文も発表されている。Angeli,C.B.2000.Death by Asiatic black bear in Japan :a predator attack ? International Bear News 9(3):10-11
2006年
長野県
50代男性食害
このケースも子連れ母熊の犯行である。長野であればメスでも100kg級の可能性も十分あるが、50kg級の小物だった可能性の方が高い。しかも人食いを覚えた子熊が未駆除。
2007年
秋田県
60代男性食害
2013年
福島県
70代男性食害
警官2人を含む男性4人に重軽傷被害を出すなど二次被害も大きかった。 しかも犯人熊は未駆除 である。
🌙人的被害
◇大規模被害
人食いを除いた大規模な人的被害に以下のものがある。
1953年、富山県で男女13人が重体、重軽傷を負う大規模被害が出た。重体のものは事件後すぐ死亡したとされる。 この被害者数は三毛別ヒグマ事件を大きく超える日本最大級の事件である。
1951年、山梨県で男女10人が重軽傷 。こちらも被害者数だけなら三毛別並みである。
2009年、岐阜県で発生した乗鞍岳熊襲撃事件。こちらも三毛別に匹敵する熊害事件である。下記で改めて解説する。
三毛別級がいっぱいだ
◇個別被害
お年寄りの被害が多いとされているが、若年・壮年男性の重症死亡事例も毎年多数の事例がある。
高齢化で山間部にお年寄りが多く居住していることと、お年寄りの人的被害が多すぎて比率が低くなっているだけである。
被害年
場所
被害
備考
2023年
長野県
30代男性重症
被害者は観光中の韓国人男性である。こういった事件は観光にはマイナスの影響が強いと思われる。
2023年
奈良県
40代男性死亡
2024年
山口県
40代男性重症
2024年
福島県
40代男性死亡
2024年
秋田県
20代と40代の男性重症
いずれも警官
2025年
岩手県
29歳男性、39歳男性重症
いずれも自衛隊員。他にも福島県と石川県で自衛隊員(いずれも20代男性)が重症を負う被害があった。
2025年
長野県
46歳男性死亡
現場作業員
のようにざっと挙げただけでも近年だけでも全国で例がある。
残念ながら亡くなってしまわれた方には背後から頭や首に強烈な一撃を加えた形跡が無かったため、あくまで熊側からすればだが、うっかり命を奪ってしまった 事例であと推測される。
昔は若い人の被害が多かった。
幸いなことにツキノワグマに女性や子供が襲われるケースはほとんど無い。また、稀に女性が襲われた場合40代以上の女性が軽症というケースが大部分を占める。
ツキノワグマはフェミニストだった…!?
これは下記の様に防御姿勢のおかげでもある。また、女性の方がクッションになる体脂肪が厚いことも軽症化に貢献していると考えられる。
《秋田・岩手の事例集計》
以下のデータは秋田県と岩手県が提出した熊外傷のデータの集計である。秋田県の方はやや断片的なものであるが、参考になるだろうと考えられる。
年齢性別
死傷者数
重症者数(死亡者数)
重症死亡率
備考
20・30代男性
6
3
50%
重症者の1人は警官
20・30代女性
1
0%
20代女性の被害無し
40代男性
6
5
83.3%
重症者の1人は警官。データには入っていないが、秋田県で両眼失明の上、顎粉砕骨折 という40代男性の例が2019年にある。
40代女性
1
0%
50代男性
11
3
27.3%
50代女性
2
0%
60代男性
38
14(1)
40%
60代女性
8
4
50%
70代男性
47
27
57.5%
70代女性
16
6(1)
43.8%
80代以上男性
21
9
42.9%
90代以上男性被害無し
80代以上女性
17
7(1)
47.1%
90代女性2名が被害に合うも2人共軽症。
まず目を引くのは40代男性の重症死亡率の際立った高さである 。被害にあった男性のうち軽症で済んだのはわずかに1人である。
2025年に長野県で40代男性が亡くなったが、秋田や岩手でもいつ死亡事故に発展してもおかしくなかったと思われる。
20・30代男性の50%もこれに続く高さである 。
一方女性の側は50代までは重症死亡率は0%である。 そもそも50代以下の女性は数えるほどしか被害がない。
ここまでは熊研究者により以前より明らかになっていたことの確認である。
とはいえ、60代以上になると女性の被害者数も増え、重症死亡率が同年齢の男性を上回る場合もある。
あくまで女性の軽症率が高いというのは多年数の事例を集計をした場合のことと思われる。
それでも20〜40代男性のほうが70代以上の女性より重症死亡率がずっと高いことは注目に値する はずである。
90代女性2名も軽症である。
ツキノワグマの襲撃はそのほとんどが農作業や登山などの最中であるため、20〜40代男性の場合、(実際に警官2名が含まれるが)人間基準で見た場合相当な肉体強度になると考えられる。また、下記のように本能的にナタや素手で反撃したものと考えられるため、戦った際の重症リスクの高さが確認される。
肉体強度が高くとも戦うと重症死亡のリスクが跳ね上がる 。
《2024年・2025年の長野県における連続死亡事故》
長野県で2025年6月に亡くなった男性のケースは以下のように報じられ
その後続報はない 。
上記の2013年福島における人食い熊のように重大被害を出したツキノワグマが行方不明になることはしばしばおこる。
殺意がある人狩熊の場合、上記の通り背後から頭蓋骨と脳を一撃で破壊する。この熊のケースも他の死亡事故同様殺意はなく触診のように被害者を撫でまわしていたのではないだろうか。
VIDEO
また、長野県では2024年でも建設業の50代男性が亡くなる事故が発生 しているがやはり犯人熊は行方不明で続報もない ようである。
2024年・2025年の2年に渡り、長野県では壮年男性が亡くなる 事故が発生している。
2025年には北海道の福島町及び羅臼岳で男性が亡くなる事故が相次いだことは記憶に新しい。
北海道の方は事故が大きく報じられ、駆除個体のDNA鑑定まで詳しく経過報告があったことも有名である。
一方、上記の通り長野県の死亡事故では地元の方でも何人知っているのかという報じられ方で犯人熊について続報の類もない。
2年連続の死亡事故 なのだが、そのことについても全く触れられていないのが現状である 。
2025年春に長野県では90代男性が重症を負う被害があり、こちらは大きく報じれただけでなくドローンを用いた駆除やDNA鑑定などの経過報告もされた。
当該事故では90代男性と共に60代男性が重症、60代女性が軽症被害にあったが、60代男性の重傷被害はほとんどフォーカスされなかった。
◇ヒグマとの比較
人的被害の約95%死亡事例についても80%ほどがツキノワグマによるものである。それどころか平成27年度はヒグマの人的被害が全くなかった。
この被害者数の違いは熊の生息頭数では説明がつかない 。
ツキノワグマの生息数は2万匹、ヒグマが1万匹と推計されているため、熊口比通りならツキノワグマ65%、ヒグマ35%ほどが適正となる。
ヒグマの方が死亡率が高いとされている死亡事故でさえツキノワグマが80%を占めている。
本州と北海道の面積比も概ね3:1のため、熊口密度はむしろ北海道のほうが高い。
人口密度については本州452人/平方kmに対して北海道65人/平方km。これだけ見ると人口密度に大きな差があり、それが遭遇率に影響しているように見える。
北海道と、特に人的被害の多い秋田県と岩手県を比較してみたい。
この2県だけで例年北海道の10倍を超える人的被害を叩き出している。
各指標を比べてみると…
地域
人口
人口密度
熊口
熊口密度
北海道
520万人
65人/平方km
1.2万匹
0.16匹/平方km
秋田&岩手
200万人
75人/平方km
8000匹
0.29匹/平方km
人口と熊口は北海道が圧倒的に多く、密度は秋田と岩手がやや高いものの、僅差である。
人口密度についても被害の特に多い2県なら北海道と大差ない数値が出るのである。
また、仮に被害者数が熊口比通りだった場合、両熊種で凶暴性が変わらないことになる。
ヒグマの方が凶暴と言うなら、特に上記脚注のように、生息数が変わらなかった場合ヒグマが被害者数でほとんどを占めている必要がある。
本州では知名度は無いものの、ヒグマでも以下の事例などもあり、よく言われるほど凶暴とは言えないかもしれない。
事件時期
事件場所
概要
1999年11月
音別町
64歳男性が手負いヒグマと20分素手で格闘 し、重症を負うも生還。
2008年7月
羅臼町羅臼温泉野営場
キャンプ場でテントに寄ってきた大型のヒグマをJCがキックで撃退 。
2023年6月
占冠村
向かってきた体長1mのヒグマを釣りをしていた60代男性が釣り竿で叩くなどして撃退。
2023年6月
八雲町
北海道新幹線の延長工事中の男性がクワを振り回してヒグマを追い立て、無傷で撃退。
2023年7月
滝上町
牧草を食害 するヒグマの駆除の際半矢にしてしまい、向かってきた手負いヒグマと素手で格闘して生還 。格闘した69歳男性は顎などに裂傷を負うも後遺症などはなさそうである。
2023年頃
農作業中の高齢男性がヒグマを投げ飛ばす などして撃退。
◇乗鞍岳熊襲撃事件
2009年9月、岐阜県の乗鞍岳・畳平バスターミナルにて1頭のツキノワグマが暴走し、10人に重軽傷が出る大規模な被害が出た。
死者こそいないものの、被害者10人というのはあの
三毛別羆事件 に匹敵する規模である。
《事件の概要》
遊歩道にて熊に襲われている女性を男性A(登山客66歳)が発見。女性を助けるため、Aが熊を登山用ステッキで殴りつけたところ、熊がAに襲いかかった。
Aを助けるため、男性B(山小屋オーナー59歳)が10mほど離れた地点から大声を出す、手を叩くなどして熊の気を引いた。熊はAから離れBの方に向かってきたがBではなく別の男性従業員を押し倒し、攻撃を加えた(1ヶ月入院のケガ)。Bはさらに熊の気を引くためまた大声を出した。熊はBに向かって突進し、Bは逃げ切れず、押し倒され攻撃を受けた。
Bの長男(年齢不詳だがおそらく30代以下)がBを助けるため熊の腹を思い切り蹴飛ばしたところ熊はBの長男に向かって飛びかかっていったが間一髪軽トラックが割り込んだ。
その後、バスターミナル内の建物にバリケードを貼ったが熊はバリケードを突破従業員たち(主に男性)ががモップやイスなどで抵抗したが逆に怪我をおった。
消化器を熊目がけて噴射したところ熊は売店に逃げ込んだ。従業員がシャッターを閉めて熊を閉じ込めた(シャッターで閉じ込められるとは思えないため、熊側としては籠城のつもりだろうか)。
駆けつけた猟友会員にシャッターの隙間から撃たれた。
《被害状況》
特に重症だったのはAとBである。
Aの被害 殴られたショックで片目が飛び出しもう片方の目も視力が半分に低下。頭蓋骨が剥ぎ取られ脳が露出していた。左腕は骨折し筋肉も断裂したほか、左膝の皿が割れた。歩行困難や失明残った目も視力大幅低下という後遺症を追った。これはとっさに腕でガードした上での被害である。
Aは中学生から登山を始めて、富士山にも5回登ったベテラン登山家であるため、フィジカルも骨密度も平均的な20代〜30代男性を上回っていたと考えられる。
つまり、平均的な20代〜30代男性の場合即死していた可能性が高い。
Bの被害 口周りの肉がめくれ上がり、頸動脈の手前まで爪が到達。左腕の骨折。会話に若干の不自由が生じるようになった。
Bも長年山仕事を続けている。相応に肉体強度があるはずである。
A,Bほどではないが、50代以下の男性従業員が頭の皮をはがされるなど1ヶ月入院の重傷。
他にも逃げようとした際に足を折ったものがいるなど多くの怪我人がいた。
Bについては不幸中の幸いか観光客の中に看護師がいたため簡単な治療を受けたられたのも良かったとされる。
他に、死者が出なかったことについて、Aは頭の傷はコンマ1ミリで死んでいたと診察した医師の証言がある他、腕に噛みつかれ振り回された際に筋肉と骨は切り裂かれたが運良く動脈は傷つかなかった 。つまり、2度死線をくぐっている 。
Bについても、頸動脈の手前で熊爪が止まっていたため運良く生き延びたが、A同様にコンマ1ミリだった 。
A、Bの被害からわかるだろうが、死者無しで済んだのは、周辺の人達が連携プレーで被害者を助けたからで、こういった行為が無ければ死者は間違いなく出ていただろう。
《犯人熊について》
犯行に及んだ熊は体長136cm体重67kgの(9月という季節もあるだろうが)げっそりした21歳という超高齢のオスのツキノワグマである。
事件前に観光バスと接触事故を起こした際に興奮して犯行に至ったとされる。また、超高齢であることからアルツハイマーなどの疾病の可能性が疑われる。
上述したA、Bの被害状況からも殺意があったのではなくパニックになって襲ったものと思われる。(首に噛みついていない。)
立った時の身長については被害者から160cm程度という証言がある他、被害者との比較から平均的な成人男性程度の身長はあると考えられる。
オスのツキノワグマとしては少し小柄な体格や超高齢であることやパニック状態であったことなどから、成熊になったツキノワグマが人が多い場所で暴れた際、恐らく本件は被害状況の「最低基準」つまり最も楽観的な被害予想として機能するだろう。
《乗鞍岳熊事件は阻止できた?》
これから本件を阻止できた可能性について述べる。ただしこれはあくまで「後付」であり、本件において自己犠牲の精神のもと奮闘された方々の勇気にケチを付けるものではないことをあらかじめお断りしておきたい。
ポイントは以下の2点である。
まず、事の発端はAが襲われた女性を助けるために登山用ステッキで熊を叩いたこと。2つ目は熊スプレーが無かったことである。
Aが熊を登山用ステッキで叩いた理由は熊スプレーが普及していないこととツキノワグマの危険性が周知されていなかったことである。
ツキノワグマの危険性がきちんと告知できていて、かつ熊スプレーの存在を知っていればAは熊を叩かず、駆け付けた従業員が颯爽と熊スプレーを噴射して被害は(恐らく)中高年女性の軽症1人というまさにニュースなどが演出する、「喉から手が出るほど欲しかった結果」である 。
当時既に戸沢村の大規模な人食い事件が発生しており、本件の発生した岐阜県に隣接する甲信地方では成人男性が食害される事故も本件の直前に発生していた。 ただの重症死亡事故ならザラにあったはずである。
つまり、本件直前時点で既に「ツキノワグマは草食で大人しい」など言っていられる生き物ではない事が目に見える被害という形で出ていたのである。
この点については行政の怠慢としか言いようがない。行政はツキノワグマの危険性の告知と熊スプレーを装備するよう山小屋に勧告しておくべきだった。
そして本件と同じ過ちを十和利山熊事件で繰り返している ようである。
残念ながら、行政の本格的熊対策も山小屋への熊スプレー配備も本事件の後になってしまった。
◇襲われたらどうするか
最も重要な問題と考えられるテーマである。まず、ツキノワグマが襲ってくるパターンには主に以下のものがある。
殆ど敵意はない…「熊の囁き」と呼ばれることもある。じゃれるつもりで腕や足などを甘噛みしたり、背後から抱きついてくる。じゃれるといっても猛獣のそれなので、ひっかき傷位は免れない。
警告攻撃…クマの餌場に入り込んでしまった場合や、子育て中の母熊が子供を守ろうとして良く行う。相手の顔や首等も狙い始めるが、一応殺意はなく懲らしめてやるだけのつもり。比較的軽症で済むことが多いものの、当たり方が悪いと重症死亡に繋がる場合もある。
捕食目的…人間を完全に食べるつもりで襲ってくる場合である。不意打ちすらも厭わなくなる ため、背後から頭めがけて無言で襲いかかってくる。
ニュースなどにしばしば顔を出す「ツキノワグマと素手で格闘 して撃退」というのは幸いまだ人食いクマには至っていない個体であった可能性が高い。
こういった場合、本気で怒らせない限りは2〜30秒ほどで気が済んで立ち去るケースが多く、結果的に軽症で助かる見込みも高い。
上記の人狩り熊のパターンからも、格闘になる辺り熊は本気ではない こともわかる。
では、どうしたらよいか?本気の攻撃でなくとも顔や腹に当たればただでは済まない。熊研究者により以下の傾向が知られている。
武器の有無に関わらず戦うと重症化しやすい。
男性より女性のほうが軽症率が高い。
女性の場合、本能的に熊爪や牙を防ぐ姿勢を取るため、重症率が圧倒的に低いことがわかっている。 防御姿勢 と呼ばれる姿勢である。地面にうつ伏せになり首を手でガードする姿勢である。リュックやヘルメットがあればなお良い。立ったまま顔を腕で覆うだけで意味がある。
こう書くと、「でも戦って熊を怯ませたから助かったケースも有るんじゃないの?」という声もあるだろう。
しかし、眼の前に熊が現れて「お前を食わせろ」と言ってきた時に「どうぞ召し上がれ」となる人が富士の樹海を除いて 果たしているだろうか?大抵の人は蹴飛ばすくらいの抵抗はするだろう。重症死亡事例も大抵は戦った結果である 。
例えば上記の長野県における死亡被害の46歳男性の場合熊ととっ組み合いながら転がっていたため相当に激しい格闘になっていた と考えられる。
また、武器を使って戦ったが押し切られ重症になったケースも有る。
2014年東京、30代男性が登山用ステッキで戦うも重症
2019年長野、30代男性が登山用厚底靴で蹴飛ばすも重症
有名な乗鞍岳のケースも被害者から「(覆いかぶさってきた熊に)登山用ステッキで必死で戦った」と証言があり、YouTubeの映像でも確認できる。
ナタで引っ叩いても38人中22人が重症もしくは死亡である 。
武器を持っていても勝てない場合が多い。
戦うと顔がガラ空きになる。
1959年新潟、20代男性が素手で格闘するも顔と手に重症
当時の医療技術ならブラックジャックのような容貌になっていただろう。現代ならサラッと治せる怪我でも一昔前は重大な負傷だった。現代においても失明と表情筋などの断裂は治せない 。
大抵の場合蹴飛ばすくらいの格闘はしていると思われるため、こういったケースがむしろスタンダードと考えられる 。 登山や山仕事ができるあたり高齢であっても相当なフィジカルがあるだろう。
実際に襲われた事例では映像化されたものも以下の2例がある。
2023年岩手、50代男性が襲いかかってきた母熊を木の槍で応戦するも噛みつかれる。VIDEO
この木の槍は映像ではわかりにくいが、初撃で熊鼻を真っ二つにしている。
防御姿勢は万能ではないことを示すのが以下の事例である。
2020年埼玉、クライミング中の男性を母熊が襲うも登山用厚底靴で蹴り落とすなどして撃退。手を脱臼の軽症。VIDEO
戦ったのが功を奏した稀な事例と考えられる。YouTubeに公表され世界的にもバズった「Bear attack climber」である。
この事例は崖を登ってくる熊を蹴り落とせる、いわば地の利があったこと及び、防御姿勢が難しいだけではなく滑落の危険性があった。戦うしかなかった事例である。
ただし、攻撃パターンとしては小熊を逃がす時間稼ぎや威嚇のための警告攻撃であり、そもそも2〜30秒で撤退する予定だったと思われる。
この男性はクライマーで肉体的には格闘家顔負け であるが、登山用厚底靴で体重をかけて2回蹴り落としをかけたが多少怯ませたかどうかといったところである。戦う場合の危険性がうかがえる事例でもある。
最後に、ツキノワグマを目つきで撃退した空手家の事例を紹介しよう。
山でトレーニング中の空手家63歳男性に体長190cmのツキノワグマが襲いかかるも格闘し目つきで撃退。空手家は足や頭に軽傷。
体長190cmが本当に体長なのかそれとも身長なのかで大分大きさが変わる、体長190cmならロシア産なみであるが、身長190cmなら体長は150cm程度になり、体重は80kg級の可能性もある。
いずれにせよスーパーK以上の体格はありそうである。
同じ格闘家であっても相撲やラグビーのような直接体をぶつけ合うレスリング系はツキノワグマには相性が悪い と考えられる。組み合った時点で切りつけ放題だからである。また、体重が重いと地面に倒された場合自重で相当にダメージを負うだろう。
比較的好相性と考えられるのが空手やキックボクシングのようなフットワーク・打撃系である。この空手家の場合もフットワークで攻撃を躱し、打撃を叩きこんだと考えられる。
このケースも格闘になっているあたり熊の囁きもしくは警告攻撃と思われる。また、繁殖期のオスのツキノワグマにはしばしば目を潰される個体がいることが知られている。目つきで怯む生き物ではない。
ただし、スーパーk以上の体格があるため、ヒグマ同様じゃれ付きでも重篤な攻撃になる可能性が高い。つまり、防御姿勢を突き破って深刻なダメージになりうるケースである。この場合も戦うしかなかった、そして戦って勝ったケースと言えるだろう 。
この空手家の場合世代的に野犬が多かったため、チュートリアルをこなしていたことも良かったと考えられる。
とはいえ、ツキノワグマの警告攻撃などの場合、ヒグマと違って防御姿勢で耐えることができる場合も多い。熊を殴れるなら、その拳で顔を覆ったほうが無難なのが現実である 。
少なくとも、体長120cm程度の大型犬サイズの母熊が真正面から向かってきた時は慌てず騒がず伏せたほうが良いだろう。
《熊スプレー》
防御姿勢の他に有効打になるのが熊スプレー である。国産のツキノワグマにおいても複数の熊研究者が熊の攻撃をこの熊スプレーで退けている 。
ただし、値段が高価なこと、またスプレーを組み立てて構える時間が必要なのがネックである。
「可能な限り風上に陣取り、クマの顔に近いほど有効」がセオリーだが、肝の据わった熊研究者たちは時々自爆に近い形で熊スプレーをばら撒き、これで助かったケースも有るため最悪風向き以上に距離を詰める方が重要であるようだ。
なお、自爆した際の影響についてだが、熊研究者の中には何度も自爆しながら研究を続けている人もいるため、少なくとも直ちに健康に悪影響が出ることは無い模様。そもそも生物を殺傷しないための催涙スプレーの一種だしね!
…とはいっても、クマ用は生粋の悪党が堪らず悲鳴を上げる威力の警察用より更に濃厚 であるため、少なくとも浴びた時点で目や鼻が腫れて病院のお世話になる覚悟はしておくべきだろう。無論クマにやられるよりはマシとはいえ…。
以下は熊スプレーによる撃退事例。腹を決めての自爆スプレーも多い。
クマの冬眠穴を調べに行った熊研究者が襲われた際に使用。自身も鼻や喉目などあらゆる粘膜が悲鳴を上げたそうなので、自爆に近い形と推測される。相手のクマは冬眠明け120kg級。
クマの冬眠穴を調べに行った熊研究者が襲われた際顔の手前まで迫ったツキノワグマに同行していた別の熊研究者が使用。襲われた研究者は自爆どころか実質自分に向けて撃たれたようなものであるが、健康には異常はないようだ。
やはり冬眠穴を調査していたアメリカ人の熊研究者が国産ツキノワグマに撃った例もある。
◇二次被害
奥日光ではツキノワグマ出没を受けて修学旅行がキャンセルになるなど、人的被害に対する二次被害として観光客のキャンセルも発生している。
こういった点も知床や三毛別事件跡地が観光名所になっているヒグマとの大きな違いと言える。
北海道という特別な場所が非日常感を演出してくれる効果があるのだろう。
他に、ヒグマの場合何m何百kgというサイズで解説されるがこういう巨獣に襲われる姿は少々想像し辛いのではないだろうか。
一方、ツキノワグマは普通サイズは大型犬程度、大型でもせいぜいヘビィ級の格闘家程度のサイズを解説されるため、襲われた際の痛みやダメージを想像し易いのではないだろうか。
実際、追記者はトラやライオンよりヒョウやオオヤマネコのほうが出会った時を想像すると怖い。
🌙遺伝的性質
国産のツキノワグマはツキノワグマの枠内にいながらも大陸産のツキノワグマより原始的 でありやや特異な位置にいる。
そのため、日本固有種とまでは残念ながら言えないようだが遺伝的に個性があるため
エゾヒグマが海外産と同じ遺伝子であるのとは対照的にニホンツキノワグマは日本にしかいないことになる 。
そもそもツキノワグマ自体が熊の原型に近い骨格とされるため国産のツキノワグマはいわゆる「
生きた化石 」に近いと言える。
遺伝的には東北から北陸までの東日本グループ 、紀伊半島・四国のグループ 、中国・近畿などの西日本グループ に分かれる。
最大記録はともかく平均的な大きさは地域ごとにほとんど格差はなくなんなら九州で220㎏の記録もある。
他の熊種との関係で言うと
同種にしては距離がある…海外のツキノワグマ
近縁種…アメリカクロクマ
比較的近縁…マレーグマとナマケグマ
比較的遠縁…ヒグマ、シロクマ
遠縁…メガネグマ、ジャイアントパンダ
のようになる。
◇他の熊種とのハイブリッドについて
国外では他の熊種とハイブリッドを生じた事例があり、ナマケグマ・マレーグマとは野生下で交雑した例がある。
また、アメリカクロクマとは飼育下で交雑例があるが、遺伝的近縁性から野外でも会う機会があれば交雑すると予想される。
これらのハイブリッド熊はいずれも繁殖力の無い1代限りのものであると推定される。
国内では秋田県で熊牧場から脱走したヒグマとハイブリッドが生じていてそれが十和利山熊事件などを起こしたとする説がある。
ただ、これは週刊誌の記事が元ネタであり信憑性は高いものではない(
十和利山熊襲撃事件 を参照)。
また、
国内ではヒグマとツキノワグマの体格の差を(いささか誇張しながら)強調して「別の生き物」とする解説がニュースや行政などほとんどを占めている。ハイブリッド熊は果たしてできるのだろうか?
例えば大型犬と小型犬では交尾行動から難しいことが知られており、また強いて言えば大型種のメスと小型種のオスの間にしかハイブリッドが生じないのが一般的である。
一般的に解説されるツキノワグマとヒグマの間の「非常に大きな体格差」を考えれば交尾行動からして不可能であることは想像に難くない。
現実的なサイズでもせいぜいオスのツキノワグマとメスのヒグマが動物園のような環境で交尾行動に至るかどうか、といったところだろう。
ちなみに、ロシアでもツキノワグマとヒグマのハイブリッドが噂され調査がされたことがあったがそんな個体はいなかった そうである。
🌙各地のツキノワグマ
◇各県のツキノワグマ
ツキノワグマと言えば秋田や長野のイメージかもしれないが実は東京など本州のほとんどの地域に生息している。
事件年
事件場所
概要
備考
福島県
ラジオ福島で熊情報を提供している。
全国でも珍しい取り組みのようだ。
2023年10月
東京都町田市
ツキノワグマの目撃情報が寄せられネイチャーファクトリー東京町田が休業になる。
2025年5月〜
奈良県
奈良市や天理市など郊外ではあるものの街なかへの出没が相次ぐ。
2020年10月
石川県
市街地の商業施設にツキノワグマが半日以上に渡り立て篭もりを起こす。機動隊が出動し、猟友会が駆除した。
体長130cm体重100kg以上のオス
2021年11月
兵庫県
市街地の民家にツキノワグマが立て篭もりを行い、猟銃の使用許可が降りるまで2日にわたり籠城する
131kg16歳のオスで事件前に貨物列車と接触事故を起こしていたが、打撲で済んだようである。
2010年
富山県
魚津駅や市役所のある中心市街地に熊が乱入する。
体長130cm体重130kgと大型だが5歳と未成熟な個体。
◇九州のツキノワグマ
すでに絶滅してしまったツキノワグマの個体群。
九州産のツキノワグマは冬眠前のメタボとはいえ130㎏級の雌熊が確認されるなどベルグマンの法則に反して大型の個体が多いことやそもそもツキノワグマは九州から北上してきたことなどから大陸産大型亜種とのハイブリッドではないかといわれている。
大正時代に日本記録レベルの220kg級が討ち取られている。
《最後のツキノワグマ》
九州の個体は1987年に
大分県 で捕獲されたのを最後に確認できず、2012年に絶滅が宣言されている。
なおその個体はDNA鑑定の結果、ミトコンドリアDNAが
福井県 嶺北地方から
岐阜県 西部にかけて分布しているものと同一という結果が出ており琵琶湖以東から九州へ移入された個体、もしくはその子孫と考えられている。
確実な最後のツキノワグマは1941年12月宮崎県笠松山における133kgのオスグマである。やはりデカい。
《絶滅までの経緯》
時代ごとにツキノワグマの分布域を整理すると以下のようになる。
縄文時代…九州全土に分布していた。北九州市からも分布の証拠が出土しているため、福岡市にも分布していたと考えられる。
江戸時代…宮崎県、熊本県、大分県の一部にまで分布域が縮小。このときはまだ熊本県に熊がいた 。
明治時代以降…祖母山系にほとんど分布が限定される。
少なくとも明治時代には九州ではツキノワグマは絶滅危惧種となっていたようだ。
九州のツキノワグマが早くから絶滅危惧であったことは熊塚 という文化に見て取れる。これは熊一匹 を捕殺する度にその遺骨の上に塚を建て慰霊を行う文化である。
鹿や猪は千匹事 であったことを考えると相当に貴重な生物であったことが伺われる。
他に、乱獲を防ぐためか熊の祟なども伝承されていたようである。
上記のように縄文時代から減少が進んでいたことや保護に近い活動が古くからされていたため、絶滅の原因は人間の乱獲だけでは説明がつかない。九州では温暖な気候によって林業が発展し、クマの餌となるドングリの生る広葉樹林が伐採されてスギやヒノキなどの植林が進み、森の分断も進んだことで越冬が難しくなったためと考えられている。
また、九州は面積が小さく、大型食肉目であるツキノワグマの分布には適さないことも個体数減少に拍車をかけたとされる。
上記の事情は四国のツキノワグマにも全て当てはまる。九州のツキノワグマが祖母山系に追い詰められたように四国のツキノワグマも剣山系に追い詰められ、生息数はわずか20匹程度である。
《「熊」本の由来》
よりによって熊の名を冠する
熊本県 が九州にあることについては、九万の谷から水が流れこむ「九万川」と呼ばれた「球磨川」があることから
元々は特産の蓮根の良くとれる湿地を表す「隈」を用いた「隈本」と書いたが、隈という字は
「阜」 ( おか ) と「畏れる」が複合したものなので
大名の居城としては相応しくないとして強い「熊」に加藤清正が変えたとされる。
ただし、上記のようにこの時代はギリギリ熊本にツキノワグマは生息していた。
◇ロシアのツキノワグマ
ロシアのツキノワグマは国産のツキノワグマよりはるかに大きくなる。
10数個体の簡素な調査で体長190cm体重190kgの雄熊が含まれるなど日本なら伝説級の個体がゴロゴロいる 。
日本で同様の調査を行えば体長140㎝体重100㎏程の雄熊がいれば御の字だろう。
ロシアでは、
体長150〜2m 身長180〜2.3m程度
オス 平均130~160㎏ 大型200~250㎏
メス 平均120~140㎏ 大型170㎏
という学術調査がある 。
学術調査は一般にガリガリや小物しかかからないため実際より過少に推定される(学術調査だと北海道のヒグマでも180kgで「オスの大熊」と評された事例がある。)がこれだけのサイズである。
日本での学術調査ではオスが70~80㎏、メス50~60㎏が平均的、オスの大熊でも100〜130㎏程度であるから倍ほどの体格差があることがわかる。
日本においては、ツキノワグマの方が人的被害が多く、ヒグマの方が死亡率が高いという傾向が古くから知られているが、ロシアでも全く同様の傾向が見られる。
日露共同調査においてはオス同士のツキノワグマとヒグマの間に互いに避けあう行動 が観察された。
◇台湾のツキノワグマ
国産のツキノワグマはタイワンツキノワグマに次いで小兵の部類と言われている。
よってツキノワグマの中では最小の部類になる。
体長 120〜180cm 身長は170〜200cm程度
体重 60〜200kg
台湾では最大最強にして唯一の大型肉食獣であるためか軍隊の士気バッチに使われるなど国の象徴的野生動物である。実際に国獣に指定されている。
高雄の「雄」と「熊」が同音のため、2015年5月にマスコットキャラ「高熊」のデザインコンテストが行われ、優勝デザインは同年7月に「高雄熊」として着ぐるみ化され高雄観光大使の役職を果たしている。元デザインになかった瞳が付け足されたり月の輪の中の花柄が無くなったりした結果2011年から活動中の某熊本県のマスコットと似てしまったが、くまモンサイドから兄弟呼びされているらしいので大丈夫なようだ
日本同様カモシカの唯一の捕食者であり、台湾ウンピョウが健在だった時代は食べ残しを狙っていた。
2024年11月体重125㎏のオスのタイワンツキノワグマが養鶏場に乱入し鶏400羽が被害にあった。台湾では貴重動物のためか山に返された。
遺伝的には大陸産のツキノワグマと共通である。
🌙フィクションのツキノワグマ
真面目な話が続いたがアニヲタにとって重要なのはむしろこちらだろう。フィクションの猛獣にはありがちだが噛ませにされることが多い。
また、ツキノワグマはせいぜいチョイ役程度の役しか貰えないケースが多く、「シャトゥーン ヒグマの森」や「ヒグマグマ」のように主役を張れるケースはまずない。
作品名
概要
備考
グラップラー刃牙
範馬勇次郎の友人の安藤さんに素手で仕留められ生で食われていた。今作では噛ませの噛ませ的扱いである。
シロクマやヒグマも噛ませだったけどね 。
はじめの一歩
鷹村守 と激闘の末敗北。鷹村の胸の傷はこの時付いたもの。身長185㎝の鷹村より頭二個分は大きいため230㎝程度はありそう。
鷹村が死を覚悟する、自分の甘さを呪うなど作中における最強の対戦相手と思われるため、かなり扱いがよい。眉間のあたりを30回以上殴って気絶させただけだが、その後通りかかった猫田が銃で撃って熊鍋にしてしまった。鷹村は泣きながら食べた。ちなみに2回ほど鷹村に攻撃クリーンヒットしており数m吹っ飛ばされているが骨折はしていない。そら人間のボクサーじゃ鷹村に勝てないわ…
鬼滅の刃
奥多摩に身長2.7mの巨大な人食いツキノワグマが現れたが、ヒノカミ神楽 の噛ませになる。
ニュースや行政の資料ではマレーグマの子熊酷いときにはレッサーパンダ並みの大きさにされるツキノワグマにしては良い扱いと言える 。ヒノカミ神楽=日の呼吸も打倒無惨の切り札であるためこの意味でもどちらかと言えば扱いは中ボスである。鬼でない一介の野生動物としては破格の待遇だろう 。
鬼滅の刃外伝
冨岡さんとしのぶちゃんがマタギの里で活躍する過去編にも人食い熊として登場。
今作で人食いだったのはゲストヒロインの鬼化した父親だったため出演したと言えるかはビミョーと言える。
百姓貴族
作者が「ツキノワグマなら素手で勝てそう」と発言した後に被害報道を見てから前言撤回している。
まよチキ
主人公の妹が所属する手芸部の山ごもりで登場。
作中では指折りの戦闘力を持つ妹が「熊さんに挑むのは早かった」と発言していることからどうやら噛ませでは無かった模様。
「マタギ」矢口高雄
こちらも数少ないツキノワグマが噛ませじゃない作品。主人公はマタギの青年でツキノワグマが準主人公的扱いである。
他の動物も出てくる。ニホンオオカミもいる。
山賊ダイアリー
岡山県における狩猟漫画。モノローグなどでツキノワグマが出演している。
生徒会にも穴はある
生徒会の面々が山に行った時にちらりと登場した。
くまみこ
出そうで出なかった作品その1。
青森が舞台なのに何故かヒグマ。主人公がアシㇼパさん アイヌモチーフだししょうがないね。
ゆるキャン△
出そうで出なかった作品その2。
人食い事件まで起きてる山梨県が舞台でキャンプ漫画なのに出演していない。まあ出てきても困るが…
「人狩り熊」米田一彦
ノンフィクション。ツキノワグマ版「慟哭の谷」。
ポケットモンスター
リングマ
モチーフがツキノワグマ。
デジタルモンスター
グリズモン
名前からするとグリズリーがメインモチーフと思われるが、ツキノワグマのような三日月模様が額にある。
🌙まとめ
ここまで読んだ方の中には「これだけの危険生物なら、本格的に駆逐しないとマズいのでは?」 と考える方もいるだろう。
熊害が深刻な地域を考えると殊更尤もな意見ではあるが、ツキノワグマの屈強さを考えると共存が難しいと同時に、積極的に排除しようにも極めて難しいと言える 。
もし、日本国内で有志の警察官や自衛隊員、ハンターを募って大規模駆除を決行した場合、その内少なくない人数がツキノワグマの反撃に遭い落命したり、重篤な怪我や後遺症を受けてしまう危険が高い。
念を押すようだが、日頃体を鍛えている彼らでもツキノワグマの襲撃に対処できなかった事例は数多いのだから。クマの習性を考えると、闇雲に人員が押し寄せると却って凶暴化させてしまう可能性もある。
また、数少ない大型の捕食者である彼らが、生態系の維持に貢献しているのも事実である。いくら猛獣が憎かろうとも根絶やしにして良いかはまた別の話なのだ。
また熊にしては小さいということで過度に甘く見る意見もあり、こういった意見も危険だが一方で恐れすぎると観光のキャンセルなどに片鱗が出ているが生活に必要以上の支障が出る恐れがある。
熊に限った話ではなく野生動物問題には正解が無い。
結局のところ、ツキノワグマに限らず野生の獣に対しては「過度に怯えても仕方ないが侮っては痛い目に遭う 」という一言に尽きるのである。
荒川弘先生「………。」
「訂正します。」
ツキノワグマは強いです。
「私の発言は戦場で呂布 (Lv100)を見た後に関羽 (Lv99)を見て 『あ。関羽なら勝てそー』 って思っちゃうおろかな発言でした!!」
ご友人「ああっわかりやすい!!」
愚問だが、ヒグマはでかいから危険、ツキノワグマが小さいからかわいいなんてことはない!! -- 名無しさん (2025-07-21 10:10:06)
ぼのぼののヒグマの大将は作者のミスでツキノワグマみたいな模様が付いているというのをネットで知ったな -- 名無しさん (2025-07-21 11:18:50)
月の輪グマとは言うけど、三日月模様じゃん。全然、月の“輪”じゃねーじゃん -- 名無しさん (2025-07-21 11:22:14)
牛漫画家「ヒグマに慣れてるとツキノワグマくらいなら倒せる気がする」→「やっぱ無理ですゴメンナサイ」 -- 名無しさん (2025-07-21 11:26:04)
熊肉が食用肉としても販売されていて通販で買える -- 名無しさん (2025-07-21 11:34:18)
そんな餌で俺様が釣られクマー 熊と出会ったら、熊から目をそらさずに後ずさりするのが良いそうだ -- 名無しさん (2025-07-21 11:45:29)
どうして人間の脅威となる生き物の能力の比較に大谷翔平が出てくるんだ… -- 名無しさん (2025-07-21 13:55:46)
「ヒグマをライオンとしたらツキノワグマは犬くらい」と甘く見られることがあるけど、あくまでヒグマがヤバすぎるってだけでツキノワグマだって恐ろしい動物であることに違いはないんだよね。そもそも人間は生身じゃ犬にも勝てないって話でもあるけど。それはそれとして熊肉は美味しかったな。ジビエっぽい風味はあるけど、獣臭くはなくていい意味でワイルドな味わいになってた -- 名無しさん (2025-07-21 14:04:39)
ガトリングガンに比べたらマシンガンは弱いって言ってるようなもんだからな、どちらも脅威であることに変わりはないわけで -- 名無しさん (2025-07-21 14:25:19)
報道の仕方などはともかく、隠ぺいされているってことは基本無いと思うからそこはカットした方がいいんじゃない?陰謀論じみててやばい -- 名無しさん (2025-07-22 06:39:41)
面白いこと言おうとして滑ってるなぁ -- 名無しさん (2025-07-22 17:18:48)
報道関係のとこだけなんか異様な気がする -- 名無しさん (2025-07-22 19:00:23)
ビーファイターにギガツキノワという、殺されたクマの怨念から誕生した合成獣が出てきてたな -- 名無しさん (2025-07-22 21:37:26)
報道に関して、少なくとも秋田ではテレビやラジオが報じる前に自治体がSNSで出現情報流したり『クマダス』というアプリに通知飛ばしたりしてる。もはやテレビやラジオの情報では追いつかないから報じない -- 名無しさん (2025-07-22 23:20:53)
あの特徴的な月輪模様って、なんのためにあるんだろうな。いまでも残ってるってことは、進化学上でそれなりの意味はあるんだよね -- 名無しさん (2025-07-23 13:42:23)
ちょっと順序がとっ散らかってた印象を受けたので、勝手ながら整理させてもらいました。(章立ての順序を変えて改行を入れただけで、内容に関しては手を加えていません) -- 名無しさん (2025-07-23 15:09:52)
肉食性が高くその個体がいるのも恐ろしいが、絶滅してしまった二ホンオオカミの役割を担ってもいるのも複雑。 -- 名無しさん (2025-07-23 23:08:46)
いくら人より強いと言っても、生態系にはいないと困るのは結果的には人類だから、人間は領分を守るしかないな。 -- 名無しさん (2025-07-24 17:00:38)
安藤さんが食ってた奴 -- 名無しさん (2025-07-24 21:24:47)
まさか未だに『クマの縄張りに人間が入り込んでるから被害が起きる』だとか思ってるのはいないよな? -- 名無しさん (2025-07-25 03:26:06)
2m近いコイツを実際に素手で撃退した空手家最近いたよな…… -- 名無しさん (2025-07-25 10:51:54)
Wikipediaの「佐藤良蔵」のページにある巨大個体の画像アップロードお願いできますか?部外者には無理なようです。 -- 名無しさん (2025-07-30 16:13:13)
↑動画貼れたんで画像は大丈夫です。 -- 名無しさん (2025-07-31 18:06:52)
質問・意見交換所 で反対意見が無かったため、青森県 、岩手県 、秋田県 、宮城県 、山形県 、福島県 、栃木県 、群馬県 、埼玉県 、東京都 、神奈川県 、新潟県 、富山県 、石川県 、福井県 、長野県 、山梨県 、岐阜県 、静岡県 、滋賀県 、兵庫県 、奈良県 、島根県 、広島県 、山口県 、徳島県 、宮崎県 以上の項目より、クマに関する記述を移設しました。基本的に元の文章は変えていませんが、体裁を整えるために一部省略、簡略化、プラグイン調整等している部分もあります。 -- 名無しさん (2025-07-31 21:34:19)
大変だったでしょう。わざわざありがとうございます。 -- 名無しさん (2025-07-31 21:50:06)
炭治郎のお父さんが倒した個体はツキノワグマだろうが、えらいデカい個体だったが、あっさり倒したな……。 -- 名無しさん (2025-08-04 20:36:07)
某ハガレンの人の四コマで、「ヒグマを見てツキノワグマならなんとかなる、と思ったけどそれは呂布の後に関羽を見て関羽なら行けると思っただけ」という例えが非常に解り易い…どっちもやばいんよ -- 名無しさん (2025-08-10 13:49:32)
カモシカの子供を狩る動画を見たけど、親のカモシカはクマに仕留められた我が子を一瞬見てもう逃げるしかないというのが・・・それほどクマは恐ろしく自然は人間が思うよりもずっと残酷だって事を深く考えてほしい。 -- 名無しさん (2025-08-18 22:19:55)
エゾヒグマって結局対ツキノワ用デコイで観光猛獣なんだよ。大した被害も無いのに大袈裟演出。そのくせ観光はお気軽にお越しくださ〜い移住もお気軽にどうぞ〜。ヒグマはどうでも良くてほとんどの人に無関係の北海道だから大袈裟に言うんだよ。ツキノワグマの場合重大被害のほとんどが行政に隠蔽されてるじゃないか。どっちが本当に危険かよく分かる。 -- 名無しさん (2025-09-05 13:13:35)
↑蝦夷ヒグマってぶっちゃけでかくもないよな。メスとか160㎏でレコードだし。 -- 名無しさん (2025-09-05 13:43:46)
とっ散らかっているし、危険性についてお子様向けのつもりか同じことを繰り返しすぎだし、ネタにしても行政が隠蔽&マスコミが過小報道みたいな言い方ウザい。ヒグマよりもツキノワグマのほうが多いからキリがないだけでは?危険性に比例して報道していたらミツバチももっと報道してほしい -- 名無しさん (2025-09-20 07:27:59)
ヒグマもツキノワグマも危険、で済む話。あと上にもあるが、出没地域の自治体のSNS見ていればツキノワグマ注意報とかしばしば流れてくるから、多すぎて全国区(東京)のテレビに載せられないだけだろうに -- 名無しさん (2025-09-20 07:38:14)
冗長と思われる箇所及び報道関係の重複しつこいと思われる箇所を削る修正などしたので、また何かあれば追記修正コメ欄での指摘などお願いたい -- 名無しさん (2025-09-20 08:25:19)
各県のツキノワグマについて、移動してくれた方に、長いかなと重って消しました。すいませんありがとうございます。 -- 名無しさん (2025-09-20 08:36:43)
三連投大変恐縮だが、連絡とお願い。大半記載したものだけど、都合により、指摘を受けても今後迅速な対応が難しい。今回初めて編集作業をやってみて力不足を実感。上のコメで指摘を受けて今一度読み直して見て読みづらいね。無駄に長いし記載も独りよがりだったし。指摘の多かった行政マスコミ関係については、乗鞍岳は熊スプレー1つで抑止可能だったのと二年連続死亡事故についてはほとんど何の対応がされていないように見えるので残した。でも何か問題があるとか、悪文のように見えるなら記載の削除変更お願いします。筆を投げて申し訳ないが、項目作成したメンバーさんなど中心に、俺のこと気にしないで良いので追記修正願います。 -- 名無しさん (2025-09-20 20:16:31)
最終更新:2025年09月21日 13:08