登録日:2025/07/21 Mon 18:28:51
更新日:2025/07/21 Mon 18:29:19NEW!
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※日本語未翻訳の作品に登場する神格のため、解説に意訳を含みます
今ここに開花する。星々は剥ぎ取られ、飢えた巨大な口のように宇宙の暗闇が開かれる
5…5…6.7 座標3 9-3-1の2乗!!! 座標6 座標6 6 6 6 ろく…ろく…ろくろくろく……
――『When Yiggrath Comes』より意訳して引用
Yiggrathあるいは
Yigguraは
クトゥルフ神話大系に登場する神とおぼしき存在。
この他にも複数の名前で呼ばれているとされ、「
生も死もないもの(the unborn and undying)」、「
超相対論の悪夢(the hyper-relativistic nightmare)」、「
多次元を生きる神(the multi-dimensional living god)」などとも形容されている。
ティム・バラン(Tim Curran) の短編小説『When Yiggrath Comes』(Yiggrathが来る時)に登場する。
(2014年にアメリカで出版されたクトゥルフ神話×スペースオペラ小説アンソロジー『Ride the Star Wind』に収録)
■概要
惑星ガンマエリダニ4(Gamma Eridani4)で6万年以上前に栄えていた、両生類に似た外見の種族フィテリアン(Phyterian)に畏怖されていた存在。
既知宇宙とは並行して存在する反宇宙の実体と推測されており、その肉体は暗黒物質…暗黒電磁気とでも呼称されるような、既知宇宙と反宇宙の中間にある異質な物質で構成されている。
暗黒電磁気でできた15〜20フィート(約4.5〜6メートル)の山羊に似た頭蓋骨の遺物が存在する地点に、数日続く長い夜が訪れると出現し、皮剥ぎの時(time of the skinturning)と呼称される大量虐殺を行う。
頭蓋骨に触れた生物は、Yiggrathが過去に行った数え切れないほどの虐殺の記録を幻視し、その後も夢を通して頭蓋骨の元まで呼ばれ続ける。また頭蓋骨は存在するだけで疫病を招く。
■この神の姿・特徴など
光沢を帯びた黒曜石のように黒い肌の巨大なガーゴイル……、つまりは典型的なイメージの西洋の悪魔のような姿。
身長は3マイル(約5キロ)。地平線から反対方向の地平線まで拡がる巨大な翼を持つ。
出現時には空を赤い霧が覆い、地平線では緑色の稲妻が降り注ぎ続ける。
存在するだけで周囲の時空連続体が渦を巻き回転し裏返しになるかのように崩壊し、時間は逆行し過去の会話が繰り返され、空間は泡立ち歪み引き裂かれ、遥か異邦の狂気的な光景を顕わとする。
Yiggrathのエネルギーを浴びた生物は、意識を深宇宙や倒錯的な幾何学の領域などを飛び越えて破滅の座標へと運ばれ、3次元宇宙が「野獣が夢に見て既に飽きられたシミュレーション」に過ぎない事実を突き付けられ、
その肉体は皮膚が変色し、風船の様に膨張して体の内側と外側が裏返しになり死を迎える。
■When Yiggrath Comesの概略
深宇宙探査任務中の宇宙船が、ガンマエリダニ4の宇宙基地からの救難信号を受け救助に向かうが、
基地内の人員は死に絶え、最後の生き残りも譫言を繰り返した末に隊員たちの目の前で弾け飛び死亡する。
基地内を調査して、彼らがフィテリアンの古代遺跡を研究しYiggrathと呼ばれる存在によって破滅したことを把握し船に戻ろうとするがガンマエリダニ4の太陽が沈み、5日も続く夜が始まる。
Yiggrathが現れ隊員たちは死亡し、最後の一人はガンマエリダニ4への着陸、そもそもの深宇宙探査任務さえもがYiggrathの作為によって誘導されたものだと悟る。
追記・修正お願いします。
最終更新:2025年07月21日 18:29