Kiite Cafe

登録日:2025/07/21 (月曜日) 24:00:00
更新日:2025/07/21 Mon 00:01:42NEW!
所要時間:約 6 分で読めます




「好き」が伝わる音楽発掘カフェ


■概要


音楽発掘サービス「Kiite(キイテ)」の機能の一つ。ユーザがお気に入り曲を共有し、
リアルタイムで一緒に聴きながら交流できるオンラインカフェ形式のサービス。

産業技術総合研究所(AIST)とクリプトン・フューチャー・メディアによる共同開発、運用が行われている

PCおよびモバイル対応のブラウザベースの提供。スマホではホーム画面追加でアプリライクに利用可能

2020年8月5日、正式版リリース(ベータは同年5月)

KiiteおよびKiite Cafeで再生されるのは、ニコニコ動画に投稿された
歌声合成ソフト(VOCALOID/CeVIO/UTAUなど)を用いた楽曲」に限定される。
ただし、初音ミクなどのVOCALOIDを用いたオリジナル曲や、合成音声を使ったカバー楽曲はOK。
一方、人間の声による歌唱曲(J-POP、アニメソングなど)は再生対象外となる。
これはKiiteの仕様として用途を限定するためであり、著作権管理やプラットフォーム特性に準拠した設計だから。



■主な機能


最も特筆すべきは、カフェ内にいる他ユーザーと、同じ楽曲を同時に視聴可能 という点。
それに対し「お気に入り」「コメント」「回る」「移動」などの反応が可視化され、使用者の気持ちが見える化される。

サービス内のユーザーは、自分の“イチ推し”プレイリストを設定。その中のプレイリストから優先的に楽曲が再生される。

イチ推しの曲は、~さんのイチ推しです。という文言が表示されるので誰が同じ曲を推しているかが可視化されている
ただし、一度流した曲については2週間ほどのクールダウンが設けられ、再度流すにはクールダウン明けを待つ必要がある。
なのでサービスを利用しているユーザはリスト内の曲がほかのユーザーと被っていたために
後で流そうかと考えている隙に流されていたということもかなりあっただろう。

また、選曲履歴も見ることができ、過去100曲の選曲された曲名や、その曲が再生されている間
どれくらい「回る」や、「お気に入り」が押されているかも見ることができる。

ユーザはアイコンで表示されるので、設定から50 ~300人までで表示人数を変更することができる。
特にキャラクターの誕生祭などがイベントで行われるときは半端じゃないくらいの人が集まってくるので
端末により変わってはくるが表示されているユーザが多すぎると端末の負荷が大きくなるので何気に大事な機能である。

AistPlaylistBotと呼ばれるページの中央に配置されているBotが滞在ユーザーの好みに基づいて自動選曲。
ユーザ同士で新たな楽曲発見が可能となっている。




■イベントなど

Kiite Cafeでは定期的にイベントが開催されている
毎日21時から23時までの時間帯は発掘タイムと呼ばれる、ニコニコ動画上で再生数が1000
または10000再生以下の曲のみが流れるイベントがあり
さらには日曜日に限り21時台22時台ともに最近投稿された新曲のみ、ユーザプレイリストから選曲される。

とにかく新しいボカロ曲を知りたい!というユーザや、めちゃくちゃ素晴らしいボカロ曲を見つけたからぜひみんなに聞いてほしい!
というユーザはこの時間帯を利用しない手はないだろう。

ニコニコ動画のボカロイベントともコラボをしており、毎年行われるThe VOCALOID Collection(通称ボカコレ)では
ボカコレ前夜祭パーティ・ボカコレ期間中のボカコレ発掘タイム・ボカコレアフターパーティが行われる。
ボカコレ前夜祭パーティではXに特定のタグと過去のボカコレで投稿された曲のURLをポストすることで参加でき、
それらを運営が無作為に選び、選曲される。

ボカコレ選曲タイムでは先述した発掘タイムと同じ形式で選曲される。
ただし開催時間に関しては17時から1時間、23時から1時間とまばらであるため注意が必要
また、選曲される曲はボカコレ開催期間に参加するために必要なタグをつけている曲に限る。

ボカコレアフターパーティでは前夜祭同様のXでの投稿応募形式だが、開催期間中に投稿&タグ付けされた曲に限る。

クリプトンと共同開発・運用をおこなっているためクリプトンが権利を持っている キャラクターの誕生日イベントが毎年開催される*1

またKiite Cafeはほかのキャラクターを持つ企業ともコラボを行っており、株式会社インターネットのGUMI/神威がくぽ
株式会社エム・ティー・ケーの音街ウナ、1st PLACE株式会社のIA/OИEなどとも誕生日イベントを行っている。
重音テトに関してはサークルのツインドリルが権利を持つがクリプトン社と協力関係を持ち、重音テトの誕生日パーティにもこぎつけている。



他、さまざまなイベントもちょこちょこ開催されているので気になる人はKiiteのXを確認してみよう。

キャラクター誕生日企画や企画前のリハーサル、特別な日など特定のタイミングで仮想ペンライトがBPM(テンポ)と連動したリズムに応じて演出される。
過去には年末で唐突に仮想ペンライトが数分付与されたりもした。




■Kiite Cafeで得られる体験


他者の反応が見えることでまるで一緒に聴いているかのような連帯感と没入感を得られる。
自分では聴かないジャンル楽曲にも反応・発見があり、新たな音楽の幅が広がる。

「お気に入り」や「コメント」などのリアクションを通じて、キュレーターとしての役割意識と貢献感が高まり、利用継続を促進している
特にその意欲は高止まりを知らずKiite Cafeユーザ発出のボーカロイドメインのクラブイベントも生まれた。
それによるKiite Cafeとのコラボイベントも開催された。





■研究開発としての側面


Kiite Cafeは、人間の音楽体験や共感性を研究するための実証プラットフォームでもある。

実際にKiite Cafeのシステム構成やユーザー行動ログの分析論文が下記で公開されている
  • INTERACTION2022(ユーザーのリアクション行動に関する分析)
  • ISMIR2021(同時視聴と共感の関係性を探る研究)
  • 情報処理学会誌(長期利用データに基づくUX分析)

特に「長時間滞在する人ほど反応が多い」「お気に入りが他人の行動にも影響する」といった知見が得られており、
普段使っているユーザーの行動が、知らず知らずのうちに“研究協力”になっているという、ちょっと面白い側面を持っている。
つまりKiite Cafeは、音楽を“推す”空間であると同時に、“感情の観測装置”でもある。

Kiite Cafeという名のカフェ、サービスとしては「音楽ファンのためのバーチャル空間」。
研究開発としての側面は、"人の心が音楽でどう動くか"を探る、現代の感情科学×推し文化×音楽情報学の交差点となっている



追記 修正は曲を聴いて回りながらお願いします。

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最終更新:2025年07月21日 00:01

*1 初音ミクの誕生日イベントは年々参加ユーザが増えたためにサーバーがパンクしかけて運営がサーバ強化を発表したが予想を上回る1000人超えを達成し、サーバがまたパンクしかけた