登録日:2012/09/04(火) 11:15:13
更新日:2025/05/11 Sun 11:11:25
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おれに名は…ないんだよ。
ただ…ただ、この刀が鬼切丸と…
鬼切丸とは1992年から2001年まで「少年サンデー超増刊号」に連載されていた、楠桂氏原作の漫画である。
1994年にはケイエスエス製作のOVA化(全四話)もされた。
その美麗で繊細なタッチとは裏腹に、
幼女や美少女、美少年が醜悪な鬼になったり、頭から食われたり、犬や猫が虐待、惨殺されたり、描写にまったく容赦がないが、美しく残酷な人間ドラマはメッセージ性が非常に高い。
はるか昔、鬼の屍より少年の姿をした鬼が生まれた。
その者、純血の鬼でありながら同族殺しを天命とし、頭部に生えぬ角代わりに鬼を殺す神器名刀を手に持つ。
すべての鬼をこの世から絶やせば人になれると信じる
その者に人としての名は無く―――
民はただ、刀を「鬼切丸」と呼んだ
【主要人物】
◆鬼切丸の少年
主人公。サンデーどころか連載漫画史上でも他に例を見ない名無し。呼び名を与えようとする者もいたものの、
「名前を持つ」事は呪いの対象になる事でもあるため、多くの鬼の怨みの対象となる彼は防衛策として名乗ることはない。
人の負の感情から産まれる鬼の中、唯一鬼の屍から産まれた純血の鬼。
鬼でありながら角や爪が無く、見た目は完全な人間である。
代わりに鬼の肉を断つ刀「鬼切丸」を持ち、人になれると信じて鬼を切り続ける。
OVA版のCVは
草尾毅。
続編の「伝」では誕生経緯について、
酒呑童子によって母親が丸呑みにされた際に、相手の妖力を奪い取って鬼切丸で切り裂きながら産まれたということが明かされた。その正体は鬼を倒す為に使わされた
仏神の御子。
しかし、その誕生経緯から茨木童子からは
祀られなかった神の忌み子と蔑まれ、事実上母親を見殺しにした頼光ら人間へも激しい憎悪を向けたため「鬼に違いない」と恐れられることとなった。
そして「鬼鳴里で生を受けた」という発言を作者が完全に忘れていて矛盾が発生したため、整合合わせの必要が生じた。ついでにやたらと自分の母への慕情を募らせるので日本最古のマザコン扱いされた。
◆後藤紗英
自称心霊ルポライター。
怪奇現象を追う中で鬼切丸の少年に出会い、それ以降彼を追い続け、鬼に関わる事になる。
OVA版のCVは勝生真沙子。
◆幻雄
鬼を調伏する修行を積んだ結果人間でないものに変化してしまった僧、裏僧枷の残党の一人。
人を恨んだり、狂ったりした裏僧枷の中で、唯一現代に溶け込んでいる。
裏僧伽は共通して鬼を「喰う」調伏方法を取るが、彼は不動明王呪をこめた弾丸を拳銃で撃つことで鬼を勾玉に封じてから食べる。
◆結城七郎
女を鬼に変えてしまう「鬼おとし」の能力を持つ結城一族の生き残り。シスコン美少年。
鬼切丸の少年に命を狙われ、無関係な女性を鬼におとしたが、鬼に落ちた者にも意識が有ることを知ると絶望し、死を選ぶが……。
◆寂影
裏僧伽の残党の1人で唯一の女性。
死ぬことはないにもかかわらず鬼を喰えない「空腹感」には苦しめられるという生き地獄から狂気にかられ、罪のない女性を鬼におとして喰おうと画策する。
冷酷な性格だが、唯一弟の「聖行」だけは可愛がっている。
◆
鈴鹿御前
奥州の鬼、悪路王の妻。鬼の姫でありながら、人間を愛し、坂上田村麿と共に悪路王を倒した後、人間に擬態しながら暮らしている。
『伝』にも登場し、人に寄り添い鬼切丸の少年に「人の強さ」を説く。
◆良子
明治時代に鬼切丸の少年が出逢った少女。
孤児として拾われ、主人達に虐待されていたが、憎しみや妬みを持たない無垢な少女で、それ故に鬼を受け入れてしまい、悲劇に繋がってしまう。
OVA版のCVは鈴鹿千春。
◆鬼魅香
女性の他人の美しさを妬む感情から産まれ、男女を魅了する美しさを持つ鬼。
鬼切丸の少年に好意を持つが、鬼に憑かれた良子と同じことを言ってしまったことで拒絶されてしまう。
【余談】
「鬼切丸」は実在した宝刀、「髭切」の別名である。(鬼切とも言う)
「髭切」は時期によって名が改名されており、「鬼切」と名付けられていたのは平安時代中期辺りで、渡辺綱の他、鵺を退治したことで有名な
源頼光も持っていたという。
その後源為義に「獅子ノ子友切」と改名され、平安末期には元の名の「髭切」に戻された。
2013年8月3日、吉祥寺シアターにて舞台版公開が決定した。
2017年は第二弾となる『鬼切丸伝〜源平鬼絵巻〜』が公演された。
舞台版では鬼切丸の少年の相方として
刀の方も擬人化されている。なんだか某刀剣ゲームを彷彿とさせるが、作者の楠桂は『刀剣乱舞』のプレイヤーである。
また、「戦国武将列伝」にて舞台を戦国時代に移した新作「鬼切丸伝」が連載中。
鬼切丸の少年、鬼姫鈴鹿、我を保ったまま鬼と化した
織田信長らを中心に物語が展開される。
修正・追記は鬼切丸の少年に出会ってからお願いします。
- 最初の話はトラウマ・・・鬼に犯された女性が最後には・・・。 -- 名無しさん (2014-03-07 09:46:43)
- 全体的に楠先生のダークサイドが炸裂してる。っていうか、増刊とはいえ、よくこんなの少年誌に書けたな…昔のサンデーの凄さを感じるね -- 名無しさん (2014-03-07 13:20:54)
- ↑第一話ですね。確かあの頃は読み切りだったんでは。「それは、女だけが知っている」はトラウマレベル。 -- 茶沢山 (2014-04-14 07:45:09)
- 明治~大正の書生姿の少年が一番好きだ -- 名無しさん (2014-04-14 10:39:07)
- 何か坊さんに名前つけてもらい、「私が(その名前を)呼ぼう!」て言われるシーン好き。 -- 茶沢山 (2014-04-14 13:48:17)
- 鬼切丸伝の単行本、早く出ないかな -- 名無しさん (2014-08-19 14:19:07)
- ↑コミックは9月発売予定だっけ?あとやっと鬼切丸の誕生秘話が明かされたな。母を見殺しにした人間を憎んでいるみたいだが、それがいつ何故本編のように人間を愛しく思うようになったか、これから楽しみ。 -- 名無しさん (2014-08-19 17:08:44)
- 情報有り難う。知らんやった -- 名無しさん (2014-08-19 18:08:04)
- 文庫版版の巻末に有った、とある漫画家さんの漫画に楠先生は「締め切り1ヶ月前倒しで原稿上げる」って描いてあったんだよな。あんだけのクオリティの原稿を一ヶ月前倒しで上げるってすげぇよな。 -- 名無しさん (2015-06-16 00:27:10)
- 連稿すまん。あと楠先生の凄いところってモブのデザインがほとんど被っていないのが凄い。最近の絵柄ではモブの描き分けはあんま出来ていないけど、旧鬼切丸では百人はいると思われるモブキャラを一人一人描き分けていたんだよな。本当楠先生凄すぎる・・・。 -- 名無しさん (2015-06-16 00:30:23)
- 戦国武将伝のほうの鬼切丸も面白いな。鈴鹿御前が相変わらず可愛い -- 名無しさん (2015-06-16 00:52:10)
- 楠先生が刀剣乱舞にハマってるから……か、どうかはさておき、最新話では少年が「髭切」って呼ばれていたな。 -- 名無しさん (2016-08-05 15:50:52)
- これ基本的に鬼は斬るしかないんだけど、心だけは救ってやれたり鬼に襲われず慕われる人間も出てくるのが興味深い。 -- 名無しさん (2019-03-13 18:08:51)
- 主人公の少年は子供には優しいんだよな。そして子を思う母にもある程度気持ちを汲んでやる。鬼斬丸伝での出生考えると納得だ。 -- 名無しさん (2020-06-22 00:55:32)
- 「俺は鬼を切るだけだ」として「助けた訳ではない」という口ぶりは、人間を拒絶してる「鬼切丸伝」だけではなく、人間を愛するようになった後である旧「鬼切丸」でもしているけど、「鬼を切る」事はできても「鬼を産んだり招いたりした原因や問題」に立ち向かうのは、人間自身のする事だから、少年や鬼切丸に「助ける」事はできないんだな -- 名無しさん (2020-12-14 21:13:37)
- 「全ての鬼を切った時、少年は人間になれる」というのは、人間に伝わる「物語」としてだけでなく、作中の鬼達の口からも語られるけども、「人間になれる」というのを広めた「ナニモノカ」がいるのかな? サンデーコミックスあらすじで「高僧に告げられた」と書かれた事もあるけど、「鬼を切る役割から解放される」事の比喩ではなく「人間になれる」のだろうか? -- 名無しさん (2020-12-16 00:02:51)
最終更新:2025年05月11日 11:11