バキュラム

登録日:2011/12/24(土) 23:32:19
更新日:2024/05/02 Thu 12:18:21
所要時間:約 3 分で読めます





バキュラム【baculum】とは陰茎骨、すなわちペニスの骨の事である。
硬骨ではなく軟骨性骨でできている。


バキュラムは性交時、ペニスを支えるために発達した骨に当たる。

というのも、自然界において交尾とは自身の子孫を遺すための重要な行為。雄は、いかにして確実に自身の精子を相手の卵に托すかが重要になってくる。

そこで発達したのがこのバキュラムである。
バキュラムにより交尾時にペニスはしっかり硬い棒のような形状を維持し、さらに奥深くに届く事で確実に雌の卵に精子を受精させる事が可能となったのだ。


高緯度――則ち寒い地方に棲息する動物は、相対的に身体に対するバキュラムの大きさも大きくなるという傾向がある。

これはバキュラムの発達理由に関係があるとされ、一般的に高緯度の動物ほど個体の巡り会わせも少なく、交尾の機会も少ないと言われている。

そのような状況下で確実に交尾を成功させるため、バキュラムの発達が著しいのだと考えられているのだ。

有名な例として、比較的温暖な地域(カリフォルニア沖)に棲息するゾウアザラシと、寒冷な地域(北極圏)に棲息するセイウチの比較が挙げられる。

◆ゾウアザラシ
  • 体長:4.0~5.0m
  • 体重:約2500kg
  • 陰茎骨長:約20cm

◆セイウチ
  • 体長:約4.0m
  • 体重:約1000kg
  • 陰茎骨長:約60cm


このように、一概に身体が大きな動物ほどバキュラムが大きいという訳ではない。


現に、このセイウチのバキュラムは現存する生物のバキュラムとしては最大クラスになる。


我々ヒトの身体には馴染みがないため初めて聞いた人は驚く場合も多いが、実は多くの哺乳類がこのバキュラムを有している。

霊長類で例外的に確認されないのはヒトくらいだとされるが、これはヒトのペニスが生物学的に優れた進化を遂げた賜物。

勃起は、陰茎の海綿体に血液が充満し陰茎が硬直する事で起こる。
ヒトはこの仕組みが優れており、バキュラムで支えずともペニス自体が性交に堪え得る強硬さを持っているのだ。

参考までに、同じ霊長類の中で最大のゴリラはバキュラムは1cm程、勃起時のペニスも4cm程。
ヒトはバキュラムの支えなしになんと勃起時10cm越えという驚異的な進化を遂げたのだ。

また、霊長類では高度な進化を遂げた種ほどバキュラムが退化している傾向があるようだが理由はよく分かっていない。





余談だがヒト以外のバキュラムを有する動物は、当然だが無理な外圧が原因で陰茎骨折を起こす危険がある。

さらに、実はヒトも勃起時に過度な外圧を加えられるとペニスが折れてしまうという。
朝、寝ているお父さんに子供がダイブ→朝勃ちしていた→ポキッ……という事も実際あるらしい。

また、人類は常時ペニスが体内に収納されず体外に露呈している貴重な哺乳類でもある。






……かの旧約聖書の有名な一節に、こう記されている。


ヱホバの神、

アダムより取りたる肋骨を以て女を成り、

之をアダムの所に携きたりたまへり


だが、男女で肋骨の本数に差異がないのは現代では周知の通りである。


しかし、だ。

もし、ヱホバ神が「アダムより取りたる肋骨」が、実は肋骨ではなかったとしたら。

最初の人間たるアダムの持つ、生命の生まれる唯一の処の骨だったとしたら……




追記・修正お願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

最終更新:2024年05月02日 12:18